JP5133905B2 - 巻爪矯正具 - Google Patents

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Description

本発明は、爪の成長に合わせて巻爪状態を自然に解消する巻爪矯正具に関するものである。
ハイヒールのように靴先の狭い靴を継続的に履き続けると、足指の爪が極端に湾曲して、巻爪の状態に変形することがある。この様な巻爪を矯正する器具として、本出願人は特許文献1の矯正具を提案している。
この矯正具は、爪の片側の先端に矯正具を挿入して、爪の湾曲状態を矯正する方向に矯正具を移動させる。その状態で固定することにより、爪の成長に合わせて巻爪を矯正するものであり、非常に好評を博している。
特許第3393865号公報
しかし、前記の矯正具は、その構成から、足指の皮膚が障害となり爪の奥深くまでは挿入することができない。そのため、爪との接着面を十分に確保することができず、成長する爪による応力が、狭い接着箇所に集中する結果、爪が割れる可能性が否定できない。
また、単一の矯正具で、様々な湾曲度の巻爪を矯正するには、やや無理があるので、巻爪の湾曲度に対応した矯正具の開発が強く望まれている。更にまた、爪先が白癬菌に犯されている場合にも、適切に対応できる器具の開発も望まれている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、巻爪の矯正時に広く圧力を分散させることができ、爪が割れることを回避した矯正具を提供することを目的とする。また、爪の湾曲度合いなどに応じて、最適な矯正力を発揮する矯正具を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、巻爪状態となった足指の爪に、本体から不要部を除去した後の必要部分が接着されて爪と一体化され、爪の成長に合わせて巻爪状態を解消する巻爪矯正具であって、第一表面と、第二表面と、二つの表面を連絡する端面と、を有して構成され、巻爪状態を解消する方向に回転操作される板状の基端操作部と、前記必要部分が爪に接着されると露出状態となる露出表面が、基端操作部の第一表面に連続して、基端操作部から先端側に向けて、所定の突出長さと、これに直交する所定の突出幅と、を有して突出形成される薄板状の当接部と、前記必要部分の爪への接着に先立って、爪に挿入されて皮膚に接触する皮膚接触面が、基端操作部の第二表面に連続して、基端操作部から先端側に向けて、当接部の露出表面の突出幅より狭く突出形成される薄板状の係合部と、基端操作部の一端面から先端に向けて突出形成されて当接部と係合部とを接続し、先端側から見てJ字状の断面を形成する底部と、を備えて構成され、当接部の突出長さが、係合部や底部の突出長さより長く形成されることで、必要な接着面積を確保すると共に、当接部の基端位置において、基端操作部を、不要部として本体から除去することで、前記必要部分が形成されている
なお、巻き爪には、陥入爪や、トランペット爪、刺し爪と呼ばれるもの、及び渦巻状に巻いた爪も含んでいる。
爪表面への十分な接着面積を確保し、巻き爪の矯正時に広く圧力を分散させることにより、爪表面が割れることを防ぐため、前記当接部は、略矩形状に形成されていることが好適である。
係合部は、基端操作部に連続する連結部と、連結部より先端側に位置する係合本体部と、を有していることが好適である。通常、円弧状に形成される爪のイエローラインに対応して、幅狭の係合本体部を限界位置まで挿入でき、爪裏面への十分な接着面積を確保できる。
前記係合本体部は、先端に向けて漸次幅狭に形成されていることが好適である。矯正初期は、爪裏面への接着面積が広いので、特に、爪先端で強力な矯正力を発揮する。その後、爪の伸びに応じて湾曲状態が矯正されるので、接着面積が減っても問題がない。
前記連結部と前記係合本体部とは、先端に向けて漸次幅狭に形成された中間部を経由して連設されていることが好適である。中間部を設けることで、係合本体部を同一幅にできる。そのため、爪裏面への接着面積を長期にわたって広く確保でき、強力な矯正力を発揮する。
前記当接部は、前記操作部に連続する基端当接部と、前記基端部より突出幅が狭い先端当接部とを有していてもよい。幅狭の先端当接部を有するので、十分な挿入深さを確保できる。そのため、重度の巻爪に対して、爪表面への十分な接着面積を確保できる。
上記の場合前記底部は、前記係合部の先端側が切欠かれていることが好適である。係合本体部の先端を限界位置まで挿入でき、爪裏面への十分な接着面積を確保できる。
また、前記当接部には複数の溝孔が形成されていることが好ましい。矯正具を爪に固定し、爪から余分に飛び出ている部分を削り落とす際に、加工しやすい。
また、請求項9に係る発明は、巻爪状態となった足指の爪に、本体から不要部を除去した後の必要部分が接着されて爪と一体化され、爪の成長に合わせて巻爪状態を解消する巻爪矯正具であって、前記必要部分が爪に接着されると露出状態となる露出表面と、反対側の隠蔽表面と、二つの表面を連絡する端面と、を有して構成され、他の部分に接続された基端側から先端側に向けて、所定の突出長さと、これに直交する所定の突出幅と、を有して突出形成され、隠蔽表面を爪の表面に接触させるべく、足指の幅方向に使用される薄板状の当接部と、前記必要部分の爪への接着に先立って、爪に挿入されて爪の裏面に接触する爪接触面が、当接部の隠蔽表面に対面して、当接部の突出長さより短く先端側に向けて略平行に突出形成された薄板状の係合部と、当接部と係合部とを接続して、当接部の端面側から見てJ字状の断面を形成する折り返し部と、を備えて構成され、当接部と係合部と折り返し部とが薄板材によって一体形成され、係合部が挿入される爪の挿入位置に対応して、当接部及び/又は係合部の一部を、不要部として本体から除去することで、前記必要部分が形成されている
本矯正具では、爪の薄い場合、従来難しいとされてきた親指以外の足指、更には手の指の場合においても、矯正することができる。
爪表面への十分な接着面積を確保し、巻き爪の矯正時に広く圧力を分散させることにより、爪表面が割れることを防ぐため、前記当接部の基端側は面方向に幅広に形成され、全体として平面略T字状に形成されていることが好適である。
前記係合部は、先端側が台形形状に切欠かれように形成されていてもよい。矯正具の加工の際の工程が大幅に削減され、装着時間が短く簡易に装着することが可能だからである。
また、前記当接部の先端側に、肉厚の操作部が連設されていてもよい。矯正具の把持が容易になるからである。
また、請求項13に係る発明は、陥入爪となった足指の爪に、本体から不要部を除去した後の必要部分が接着されて爪と一体化され、爪の成長に合わせて陥入状態を解消する巻爪矯正具であって、第一表面と第二表面と二つの表面を連絡する端面とを有する厚板状の基端操作部と、前記必要部分が爪に接着されると隠蔽状態となる隠蔽表面が、基端操作部の第一表面に連続して、基端操作部から先端側に向けて、所定の突出長さと、これに直交する所定の突出幅と、を有して突出形成される薄板状の連結部、及びこの連結部に延設された当接部と、前記必要部分の爪への接着に先立って、爪に挿入されて爪の裏面に接触する爪接触面が、当接部の隠蔽表面に対面して、当接部の突出長さより短く先端側に向けて略平行に突出形成された薄板状の係合部と、当接部と係合部とを接続して、当接部の端面側から見てJ字状の断面を形成する折り返し部と、を備えて構成され、当接部は、連結部よりも肉厚に形成されると共に、連結部の所定の切断位置において、基端操作部を、連結部の一部を含んで不要部として本体から除去することで、前記必要部分が形成されている
本矯正具は、他の矯正具を巻き爪に装着した後、その矯正具の表面に貼り付けて使用してもよい。この場合、皮膚に食い込んだ爪の側端のみならず、爪の先端も同時に矯正することが可能である。
上記した本発明によれば、巻き爪の矯正時に広く圧力を分散させることで、爪が割れる恐れを回避して安全に矯正することができ、更に、爪の側端を広範囲に引き上げることができる。また、本発明は、白癬菌に犯された場合でも、その犯されている部分をよけて、爪の矯正ができ、重度の陥入爪でも矯正することができる。
本発明の第一実施例に係る矯正具EQ1を示す図面である。 矯正具EQ1の別の一例である矯正具EQ1’を示す図面である。 矯正具EQ1の使用方法を示す図面である。 矯正具EQ1の使用方法を示す別の図面である。 本発明の第二実施例に係る矯正具EQ2を示す図面である。 矯正具EQ2の別の一例である矯正具EQ2’を示す図面である。 矯正具EQ2の使用方法を示す図面である。 矯正具EQ2の別の一例である矯正具EQ2’’,矯正具EQ2’’’を示す図面である。 本発明の第三実施例に係る矯正具EQ3を示す図面である。 矯正具EQ3の使用方法を示す図面である。 矯正具EQ3の使用方法を示す別の図面である。 矯正具EQ3の別の使用方法を示す図面である。 矯正具EQ3の別の使用方法を示す図面である。 矯正具EQ3の別の一例である矯正具EQ3’,矯正具EQ3’’を示す図面である。 本発明の第四実施例に係る矯正具EQ4を示す図面である。 矯正具EQ4の使用方法を示す図面である。 矯正具EQ4の別の一例である矯正具EQ4’を示す図面である。 矯正具EQ4’の使用例を示す図面である。 使用する矯正具を決定する巻き爪度数早見表を示す図面である。
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。図1は、本発明の第一実施例の巻爪矯正具EQ1を図示したものである。それぞれ正面図(a)、平面図(b)、底面図(c)、斜視図(d)、A−A断面図(e)である。
この矯正具EQ1は、使用時に把持される平板状の操作部1と、操作部1の左側面の背面側から延設され、先端方向に向けて真直ぐに突出する薄板状の当接部2と、当接部2より上下方向に幅狭で、当接部2と略平行に操作部1の左側面の正面側から延設される薄板状の係合部3と、操作部1の左側面の底面側から先端方向に延設され、当接部2と係合部3とを接続して略J字状の断面を形成する底部4とが、一体的に透明プラスチック製(ABS樹脂)で構成されている。なお、矯正具EQ1は、左右方向の長さが、例えば52mm程度に形成されている。
図1(d)に示すように、当接部2と係合部3と底部4とで、断面略J字状の挿入溝5が形成されている。また、当接部2の突出長さは、係合部3、底部4の突出長さより長く形成されている。
当接部2は、略矩形状に形成されており、面方向(上下方向)の幅の長さが操作部1と同一に形成されている。また、当接部2には、先端側(左側)やや中央付近から先端側にかけて肉薄に形成された肉薄部6が設けられている。この肉薄部6は、後述する矯正具EQ1をカットするときの大まかな目印であり、カットし易いように肉薄に形成されている。
係合部3は、上下方向の幅の長さが操作部1より幅狭に形成されて操作部1に連続する連結部3aと、連結部3aより延設され上下方向に更に幅狭の係合本体部3bとで構成されている。係合本体部3bは、底部4に向かって漸次幅狭となるように傾斜している。
第一実施例の矯正具EQ1は、上述のように構成されているので、図3(a)に示す足指の巻き爪の矯正対象部分が、被験者に向かって右側に位置する場合に使用するものである。そのため、矯正対象部分が被験者に向かって左側に位置する場合には、図2の構成の矯正具EQ1’を使用する。
次に、第一実施例の矯正具EQ1の使用方法について図3及び図4を用いて説明する。矯正具EQ1の使用に先立って、被験者の足を蒸しタオル等で拭く。フットバス(足浴器)に足を浸してもよい。この場合、爪の中にあまり水分が入り込まないように、足をすすぐ程度にする。
続いて、図3(b)に示すように、被験者の巻き爪10の爪先11(フリーエッジ)の基端部付近に一旦係合部3の先端を当てる。そして、爪10から突出する当接部2の肉薄部6の一部をカットする。次に、矯正具EQ1の当接部2の内表面下側付近にジェル13を塗布する。そして、ブラシ(不図示)にアクティベータ14(活性剤)を含ませ、当接部2に乗せたジェル13を、ブラシでアクティベータ14と混ぜ合わせて、挿入溝5内部にまでジェル13が行きわたるようにブラシで塗り込む。このとき当接部2の内表面上側には、ジェルが塗り込まれないようにする。ここでジェル13とは、エチル−2−サイアノアクリレイト(Ethyl-2-Cyanocrylate)と、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl Methacrylate)と、ハイドロキノマ(Hydroquinone)とを主成分とするものである。また、アクティベータ14は、酢酸エチル(Ethyl acetate)とジメチル−P−トルイジン(Dimethl-P-Toluidine)とを主成分とするもので、ジェル13を速く乾燥させるものである。
次に、図3(c)、(d)に示すように、爪10の側端が見えるように被験者の側爪郭を開き、挿入溝5を爪先11の基端部に差し込む。そして、係合部3が爪先11の裏側と、当接部2の下側が爪10及び爪先11の表側と、ジェル13で接着されるまで、当接部2の外表面下側を押さえつける。
その後、ジェル13が固まり、爪10の右側端と、矯正具EQ1の下側が固定されると、図3(e)に示すように、更にジェル13を爪10表面と、当接部2との間に流し込む。次に、図3(f)に示すように、操作部1を回転させて矯正具EQ1を倒し、爪10表面と、当接部2の上側を接合させる。その後、矯正具EQ1の倒した状態を保ったまま待機すると、ジェル13が硬化し、巻き爪の湾曲状態が矯正された状態で、矯正具EQ1と被験者の爪10が一体化される。
続いて図3(g)に示すように、矯正具EQ1の操作部1と、当接部2と係合部3の爪10から余分に飛び出している不要部分を削り落とし、爪に接着された必要部分のみを残す。また、図3(h)に示すように、爪10表面と当接部2との間の段差を無くすように、当接部2の上端を削り落とす。そして、全体として見栄えの良い形状となるよう爪10及び矯正具EQ1を削り、形を整える(図3(i)参照)。
以上の処理の結果、爪10は矯正具EQ1と一体化し、図4(a)の状態に仕上がる。次に矯正具EQ1の耐久性を高めるため、ファイバーグラス15の爪10への貼り付けを行う。まず、矩形状のファイバーグラス15を爪10表面に貼り、爪10表面よりはみ出す部分を、カットする(図4(b)参照)。そして、爪10表面に貼られたファイバーグラス15の上からレジンを塗布し、爪10表面にファイバーグラス15をしっかりと接着させる(図4(c))。その結果、ファイバーグラス15の繊維状の網目は、殆んど見えない状態となる。なお、レジン(樹脂)は、エチル−2−サイアノアクリレート(Ethyl-2-Cyanocrylate)と、ハイドロキノン(Hydroquinone)とを主成分としている。
最後にジェル13とアクティベータ14とを、ファイバーグラス15が貼られた爪10表面全体に塗り伸ばして、爪10表面全体をジェルで固める。これにより、爪10が矯正された状態で固定化され、巻き爪の矯正処理は完了する。図4(d)と図4(e)は、完成状態の爪の正面図と、平面図を示したものである。
第一実施例の矯正具EQ1では、当接部2の突出長さは、係合部3の突出長さより長く形成されているので、爪表面広範囲に矯正具EQ1は固着される。その結果、巻き爪の矯正時に広く圧力を分散させることができ、爪が割れる恐れを回避して安全に矯正することができる。また、当接部2を略矩形状に形成したことにより、爪表面への十分な接着面積を確保できる。
また、矯正具EQ1は、透明プラスチック製であるので、簡易に切断したり、形を変えることが可能である。したがって、被験者の爪に矯正具EQ1を固着した後、矯正具EQ1を通して被験者の爪の形を見ることができ、その爪の形に合わせて矯正具EQ1をカットすることが可能である。さらに、透明な矯正具EQ1とともに透明になるファイバーグラス15が爪表面に貼られるので、矯正具EQ1を取り付けて爪を矯正している間も違和感なく過ごすことができる。また、見た目も矯正具EQ1が付いていることが殆んど判らないように見栄えよく矯正することが可能である。
次に、図5は、本発明の第二実施例の巻爪矯正具EQ2を図示したものであり、正面図(a)、平面図(b)、斜視図(c)である。
この矯正具EQ2は、重度の巻き爪であって、図7(a)に示すように皮膚と爪との間の隙間がほとんどなく、第一実施例の矯正具EQ1の底部4が皮膚と爪との間に入り込めない場合、さらには、爪が何重にも巻きこんだ渦巻き状の場合に好ましく使用されるものである。この矯正具EQ2は、使用時に把持される平板状の操作部21と、操作部21の右側面の背面側から延設され、先端(右)方向に向けて突出する薄板状の当接部22と、当接部22より上下方向に幅狭で、当接部22と略平行に操作部21の右側面の正面側から延設される薄板状の係合部23と、操作部21の右側面の底面側から先端方向に延設され、当接部22と係合部23とを接続してJ字状の断面を形成する底部24とで構成されている。なお、矯正具EQ2は、左右方向の長さが、例えば56mm程度に形成されている。
図5(c)に示すとおり、当接部22の突出長さは、係合部23、底部24の突出長さより長く形成されている。また、当接部22は、操作部21に連続し、操作部21と面方向(上下方向)に同一の幅の基端当接部22aと、幅狭矩形状に形成された先端当接部22cと、基端当接部22aと先端当接部22cとを接続し漸次幅狭に形成された中間部22bとで構成されている。
係合部23は、上下方向の幅の長さが操作部21より幅狭に形成され操作部21に連続する連結部23aと、連結部23aより上下方向に更に幅狭の係合本体部23cと、連結部23aと係合本体部23cとを接続し漸次幅狭に形成された中間部23bとで構成されている。
底部24は、係合部23の突出長さよりその突出長さが短く、当接部22及び係合部23に対し切欠状に形成されている。言い換えると、当接部22と係合部23は、底部24から二股状に突出形成されている。
第二実施例の矯正具EQ2は、上述のように構成されているので、図7(a)に示す足指の巻き爪の矯正対象部分が、被験者に向かって左側に位置する場合に使用するものである。そのため、矯正対象部分が被験者に向かって右側に位置する場合には、図6の構成の矯正具EQ2’を使用する。
次に、図7を用いて、上記のように構成された矯正具EQ2の使用方法について図7を用いて説明する。まず、第一実施例と同様に足の衛生処理を行い、図7(a)に示すように爪30の爪先31を先端部分を所定の長さにカットする。次に、第一実施例と同様にジェルとアクティベータを混合して、当接部22の内表面下側、係合部23及び底部24に塗布する。このとき当接部22の基端当接部22aと中間部22bの内表面上側には、ジェルが塗り込まれないようにする。
そして、図7(b)に示すように、当接部22が爪30の表面と、係合本体部23cが爪30の裏面と係合し、底部24が足指の皮膚とぶつからない程度に、爪先31の側端に矯正具EQ2を挿入する。
しばらくすると、ジェルが固まり、爪30の側端と、矯正具EQ2の下側が固定される。固定後、第一実施例と同様に、更にジェルを足指から突出した爪表面と、基端当接部22a及び中間部22bの内表面上側との間に流し込む。次に、図7(c)に示すように、操作部21を捻り、爪表面と、当接部22の上側側面を接合させる。その後、矯正具EQ2を捻った状態を保ったまま待機すると、ジェルが硬化し、巻き爪の湾曲状態が矯正された状態で、矯正具EQ2と被験者の爪30が一体化される。
以下、第一実施例と同様に、矯正具EQ2の爪30から余分に飛び出ている部分を削り落とす。そして、ファイバーグラスを爪30の表面に貼り、その上にジェルを塗布することにより、爪30が矯正された状態で固定化される。
第二実施例の矯正具EQ2では、当接部22の突出長さは、係合部23の突出長さより長く形成されているので、爪表面広範囲に矯正具EQ2は固着される。その結果、巻き爪の矯正時に広く圧力を分散させることができ、爪が割れる恐れを回避して安全に矯正することができる。
さらに、重度の巻き爪であって、皮膚と爪との間の隙間がなく、第一実施例の矯正具EQ1の底部4が皮膚と爪との間に入り込めない場合であっても、矯正具EQ2では、当接部22とともに係合部23が二股状に底部24から突出形成されているので、足指の皮膚が底部24とぶつかることなく、ピンセットで爪を挟むように爪に固着することができる。
さらに、矯正具EQ2は、例えば、図7(d)に示すような何重にも巻きこんだ渦巻き状の爪であっても適用することができる。図7(e)に示すように、渦巻状の爪の先端に矯正具EQ2を差し込む。そして、操作部21を回転させて固定化することにより、渦巻きが解消された状態で爪を矯正することができる。
なお、本実施例の場合、矯正具EQ2は、図8(a)に示す変形例、矯正具EQ2”であってもよい。この矯正具EQ2”では、当接部は操作部の上下方向略中央付近から延設され、係合部は基端から先端まで一直線に延設形成されており、その当接部と係合部は、二股状に底部から突出するように形成されている。
また、図8(b)に示す変形例、矯正具EQ2’’’であってもよい。この矯正具EQ2’’’の当接部は、操作部21に連続し、操作部21と面方向(上下方向)に同一の幅の基端当接部22aと、基端当接部22aの先端方向(右方向)から延出され、面方向に幅狭矩形状に形成された先端当接部22bと、で構成されている。図8(b)に示すとおり、基端当接部22aの表面には、上下方向中央に2行8列に渡って複数の溝孔24・・・24が形成されている。
この矯正具EQ2’’’では、複数の溝孔24が形成されているので、爪に固定し、爪から余分に飛び出ている部分を削り落とす際に、加工しやすい。
次に、図9は、本発明の第三実施例の巻爪矯正具EQ3を図示したものであり、それぞれ正面図(a)、背面図(b)、左側面図(c)、右側面図(d)、平面図(e)、底面図(f)、斜視図(g)である。
この矯正具EQ3は、軽度の巻き爪及び陥入爪の矯正に使用されるものであり、先端方向(上方向)に向けて長く延びる当接部41と、当接部41より短く略平行に上方向に向けて延びる係合部42と、当接部41と係合部42とを基端側で接続する折返し部43とで構成され、全体として断面J字状に形成されている。なお、この矯正具EQ3も透明プラスチック製で形成されているが、ABS樹脂よりも硬いプラスチックで形成されていることが好ましい。そして、矯正具EQ3は上下方向の長さが24mm程度に形成されている。
図9(a)に示すように、当接部41の基端側は、面方向(左右方向)に幅広に形成され、当接部41は、全体として平面視略T字状に形成されている。
第三実施例の矯正具EQ3は、上述のように構成されているので、左右何れの巻き爪についても同一の矯正具EQ3を使用して矯正することができる。
次に、図10及び図11を用いて、上記のように構成された矯正具EQ3の使用方法について説明する。まず、第一実施例と同様に足の衛生処理を行う。次に、爪50の爪先51の右側端を矯正する場合は、図10(a)矯正具EQ3の背面図に示すように、矯正具EQ3の当接部41及び係合部42をカットラインL1のラインに沿ってカットする(図10(b)参照)。そして、ジェルとアクティベータを混合したものを、当接部41の基端側、係止部42、底部43に塗布する。このとき当接部41の上側には、ジェルが塗り込まれないようにする。
そして、図11(a)に示すように、爪先51の右側端に矯正具EQ3を挿入し、当接部41の基端側を爪50の表面に、係合部42を爪50の裏面に固着させる。この場合、ピンセット52で矯正具EQ3を爪先51に挿入すると良い。
その後、ジェルが固まり、爪50の側端と、矯正具EQ3の基端側が固定されると、更にジェルを爪50表面と、当接部41上側との間に流し込む。次に、爪先51をピンセット52で挟んで爪50を外側に引き出しながら、当接部41の上側を爪50表面に貼りつける(図11(b)参照)。ジェルが硬化すると、矯正具EQ3の爪50から突き出ている部分をカットする。更に、ジェルを当接部41の周縁に塗り固めることにより、巻き爪の湾曲状態が矯正された状態で、矯正具EQ3と被験者の爪50が一体化される。
なお、爪先の左側端を矯正する場合は、図12(a)矯正具EQ3背面図に示すカットラインL2にしたがって、当接部41及び係合部42をカットして(図12(b)参照)、矯正具EQ3を爪に取り付ける(図12(c)参照)。
爪先以外の爪側端を矯正する場合は、図13(a)矯正具EQ3背面図に示すカットラインL3にしたがって、係合部42のみをカットし(図13(b)参照)、爪側端に係合部42を挿入して、爪の矯正を行う(図13(c)参照)。
第三実施例の矯正具EQ3では、当接部41の基端側は、面方向(左右方向)に幅広に形成されているので、巻き爪の矯正時に広く圧力を分散させることができ、爪が割れる恐れを回避して安全に矯正することができる。また、爪の側端を広範囲に引き上げることができる。
この矯正具EQ3の当接部41の基端側は、略T字状に形成されているが、三角形状、台形形状、又は、矩形状であってもよい。矯正時に爪側端にかかる圧力を広く分散できる形状であれば特に当接部の形状は限定されない。
さらに、矯正具EQ3では、カットラインL1〜L2にしたがって当接部41及び係合部42をカットすることにより、爪先の左右両側端何れでも使用することができる。また、爪先だけが巻いている場合でも、有効に矯正することが可能である。また、カットラインL3にしたがって係合部42をカットすることにより、爪先以外の爪側端に使用することができ、白癬菌に犯されている部分をよけて、矯正具EQ3を爪に装着することが可能である。また、重度の巻き爪が他の実施例の矯正具EQの使用により、軽度の巻き爪へ矯正されたときに、爪の根元に矯正具EQ3を装着することにより、爪の根元だけを確実に上げることができる。
また、矯正具EQ3では、爪の薄い場合、従来難しいとされてきた親指以外の足指、更には手の指の場合においても、矯正することが可能である。さらに、矯正具EQ3では、爪との接着時に、ジェルを用いなくても矯正することができる。この場合、爪先に矯正具EQ3を引っ掛け、当接部41より大きい布テープTPを当接部41の表面に貼る。そして、布テープと共に当接部41を爪表面に倒して、巻き爪の湾曲状態が矯正された状態で、矯正具EQ3を爪に固定する(図11((c)〜(e)参照)。このように接着剤を塗布した布テープを用いることにより、自宅でも巻爪を簡易に矯正することが可能である。
なお、本実施例の場合、矯正具EQ3は、図14(a)、(b)に示す変形例、矯正具EQ3’,矯正具EQ3’’であってもよい。この矯正具EQ3’,EQ3’’では、略T字状の当接部45の先端に肉厚に形成された円盤状の操作部46が形成されている。当接部45の基端側は、面方向(左右方向)に幅広に形成され、さらに基端側が一部切り欠かれて形成されている。また、係合部47は、矯正具EQ3’では爪先の右側端に係合するように、矯正具EQ3’’では左側端に係合するように、予め台形状に切り欠かれて形成されている。
次に、図15は、本発明の第四実施例の巻爪矯正具EQ4を図示したものであり、それぞれ斜視図(a)、右側面図(b)である。
この矯正具EQ4は、中度〜重度の陥入爪の矯正に使用されるものであり、平板状の操作部61と、操作部61の底面の背面側から延設された薄板状の連結部62と、連結部の下側先端より延設され、正面側に向かって肉厚に形成された当接部63と、当接部63の下側先端から折り返し形成された鉤状の係合部64とで、一体的に構成されている。そして、矯正具EQ4は、上下方向の長さが、例えば24mm程度に形成されている。
操作部61と連結部62と当接部63の背面側は、面一に形成されている。また当接部63の正面側は、側面視台形状に肉厚に形成されている。
次に、図16を用いて、上記のように構成された矯正具EQ4の使用方法について説明する。ここで陥入爪とは、図16(a)に示すように、爪71の側端が皮膚72内部に食い込んだ状態であり、破線部分は、爪71の皮膚72内部にある部分を表している。
まず、第一実施例と同様に足の衛生処理を行う。次に、ジェルとアクティベータを混合したものを、当接部63の内表面下側と係合部64の内側に塗布する。このとき当接部63の上側には、ジェルが塗り込まれないようにする。
次に、図16(b)に示すように、爪71の側端が見えるように被験者の側爪郭を開き、係合部64を爪71の側端に引っ掛けて固着する。その後、ジェルが固まり、爪71の右側端と、矯正具EQ4の下側が固定されると、更にジェルを爪71表面と、当接部63及び連結部62との間に流し込む。次に、図16(c)に示すように、操作部61を把持して爪71の側端を引き上げながら矯正具EQ4を倒し、爪71表面と、当接部63の上側と連結部62を接合させる。その後、矯正具EQ4の倒した状態を保ったまま待機すると、ジェルが硬化し、陥入爪の湾曲状態が矯正された状態で、矯正具EQ4と被験者の爪71が一体化される。また、皮膚72は、台形状の当接部63によって押し広げられた状態となる。
そして、カットラインに沿って連結部62の一部をカットし、ファイバーグラスを爪71の表面に貼り、その上にジェルを塗布することにより、陥入爪の矯正処理を終える(図16(d)参照)。その後、回復度合いに応じて、例えば第一実施例の矯正具EQ1を爪71に挿入し、爪71を矯正することにより、図16(e)の様に爪71の陥入状態は矯正されることとなる。
第四実施例の矯正具EQ4では、当接部63が台形状に肉厚に形成されているので、皮膚72を押し広げることができ、成長していく爪71が皮膚72の内側に入り込まないように爪71を矯正することができる。
なお、本実施例の場合、矯正具EQ4は、図17に示す変形例、矯正具EQ4’であってもよい。この矯正具EQ4’では、操作部65は肉厚の円盤形状に形成されている。また、鉤状の係合部66と反対方向に正面視円弧状の当接部67が突出形成されている。
この矯正具EQ4’も矯正具EQ4と同様に使用されるが、他の矯正具とともに使用してもよい。例えば、図18に示すように、第一実施例の矯正具EQ1とこの矯正具EQ4’を併せて使用することにより効果的に爪の矯正をすることができる。まず、予め矯正具EQ4’をカットラインL4に沿ってカットしておく(図18(a),(b)参照)。次に、爪73の側端が皮膚74内部に食い込んだ状態の爪に対し、矯正具EQ1を差し込む(図18c参照)。そして、操作部1を回転させて矯正具EQ1を爪に固着させ、不要部分をカットする。矯正具EQ1の固定後、爪側端の皮膚74を開き、当接部67で皮膚74を押し広げた状態となるように矯正具EQ4’を矯正具EQ1の表面に固着させる(図18d参照)。この方法では皮膚に食い込んだ爪の側端のみならず、爪の先端も同時に矯正することが可能である。
最後に、本発明の矯正具EQ1〜EQ4は、巻き爪の湾曲度合いに応じて適宜使用する矯正具を変更することができる。そして、矯正具EQ1〜EQ4の何れを使用するか決定するため、図19に示す巻き爪度数早見表80が使用される。この巻き爪度数早見表80は、名刺サイズの透明板体に、爪の湾曲度の深刻さに対応して、セーフティゾーン、軽度、中度、重度に分類された複数の測定部81が印刷形成されている。これらの測定部には、所定の爪の湾曲度に対応した複数の円弧82が形成されている。
この巻き爪度数早見表80を足指の正面に配置し、爪と円弧82を見比べて、爪の湾曲度合いに対応する円弧82を選択する。その円弧82が属する測定部81の分類を見ることにより、使用する矯正具EQ1〜EQ4を決定する。例えば、矯正具EQ1は40〜70度、矯正具EQ2は80〜100度、矯正具EQ3は10〜50度又は軽度の陥入爪、矯正具EQ4は中度〜重度の陥入爪の時に使用することとなる。

Claims (13)

  1. 巻爪状態となった足指の爪に、本体から不要部を除去した後の必要部分が接着されて爪と一体化され、爪の成長に合わせて巻爪状態を解消する巻爪矯正具であって、
    第一表面と、第二表面と、二つの表面を連絡する端面と、を有して構成され、巻爪状態を解消する方向に回転操作される板状の基端操作部と、
    前記必要部分が爪に接着されると露出状態となる露出表面が、基端操作部の第一表面に連続して、基端操作部から先端側に向けて、所定の突出長さと、これに直交する所定の突出幅と、を有して突出形成される薄板状の当接部と、
    前記必要部分の爪への接着に先立って、爪に挿入されて皮膚に接触する皮膚接触面が、基端操作部の第二表面に連続して、基端操作部から先端側に向けて、当接部の露出表面の突出幅より狭く突出形成される薄板状の係合部と、
    基端操作部の一端面から先端に向けて突出形成されて当接部と係合部とを接続し、先端側から見てJ字状の断面を形成する底部と、を備えて構成され、
    当接部の突出長さが、係合部や底部の突出長さより長く形成されることで、必要な接着面積を確保すると共に、当接部の基端位置において、基端操作部を、不要部として本体から除去することで、前記必要部分が形成される巻爪矯正具。
  2. 当接部は、略矩形状に形成されている請求項1に記載の巻爪矯正具。
  3. 係合部は、基端操作部に連続する連結部と、連結部より先端側に位置する係合本体部と、を有して構成され、
    前記突出幅は、連結部より係合本体部の方が狭く形成されている請求項1に記載の巻爪矯正具。
  4. 係合部本体は、その突出幅が、先端側に向けて漸次狭く形成されている請求項3に記載の巻爪矯正具。
  5. 連結部と係合本体部とは、先端に向けて突出幅が漸次狭く形成された中間部を経由して連設されている請求項3に記載の巻爪矯正具。
  6. 当接部は、基端操作部に連続する基端当接部と、突出幅が基端当接部より狭く形成されている先端当接部と、を有して構成されている請求項1に記載の巻爪矯正具。
  7. 底部の突出長さは、係合部の突出長さより短く形成されている請求項3に記載の巻爪矯正具。
  8. 当接部には、複数の溝孔が形成されている請求項7に記載の巻爪矯正具。
  9. 巻爪状態となった足指の爪に、本体から不要部を除去した後の必要部分が接着されて爪と一体化され、爪の成長に合わせて巻爪状態を解消する巻爪矯正具であって、
    前記必要部分が爪に接着されると露出状態となる露出表面と、反対側の隠蔽表面と、二つの表面を連絡する端面と、を有して構成され、他の部分に接続された基端側から先端側に向けて、所定の突出長さと、これに直交する所定の突出幅と、を有して突出形成され、隠蔽表面を爪の表面に接触させるべく、足指の幅方向に使用される薄板状の当接部と、
    前記必要部分の爪への接着に先立って、爪に挿入されて爪の裏面に接触する爪接触面が、当接部の隠蔽表面に対面して、当接部の突出長さより短く先端側に向けて略平行に突出形成された薄板状の係合部と、
    当接部と係合部とを接続して、当接部の端面側から見てJ字状の断面を形成する折り返し部と、を備えて構成され、
    当接部と係合部と折り返し部とが薄板材によって一体形成され、係合部が挿入される爪の挿入位置に対応して、当接部及び/又は係合部の一部を、不要部として本体から除去することで、前記必要部分が形成される巻爪矯正具。
  10. 当接部の基端側は面方向に幅広に形成され、全体として平面略T字状に形成されている請求項9に記載の巻爪矯正具。
  11. 係合部は、先端側が台形形状に切欠かれている請求項9に記載の巻爪矯正具。
  12. 当接部の先端側に、肉厚の操作部が連設されている請求項9に記載の巻爪矯正具。
  13. 陥入爪となった足指の爪に、本体から不要部を除去した後の必要部分が接着されて爪と一体化され、爪の成長に合わせて陥入状態を解消する巻爪矯正具であって、
    第一表面と第二表面と二つの表面を連絡する端面とを有する厚板状の基端操作部と、
    前記必要部分が爪に接着されると隠蔽状態となる隠蔽表面が、基端操作部の第一表面に連続して、基端操作部から先端側に向けて、所定の突出長さと、これに直交する所定の突出幅と、を有して突出形成される薄板状の連結部、及びこの連結部に延設された当接部と、
    前記必要部分の爪への接着に先立って、爪に挿入されて爪の裏面に接触する爪接触面が、当接部の隠蔽表面に対面して、当接部の突出長さより短く先端側に向けて略平行に突出形成された薄板状の係合部と、
    当接部と係合部とを接続して、当接部の端面側から見てJ字状の断面を形成する折り返し部と、を備えて構成され、
    当接部は、連結部よりも肉厚に形成されると共に、連結部の所定の切断位置において、基端操作部を、連結部の一部を含んで不要部として本体から除去することで、前記必要部分が形成される巻爪矯正具。
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