JP5128761B2 - Soiウエーハの製造方法 - Google Patents
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しかしこの方法は結合熱処理工程と薄膜化工程とを何度も行う必要があるため、工程数が多く、煩雑である。
単結晶シリコンウエーハ上に、同一のエッチング液によるエッチング速度が単結晶シリコンとは異なる第一の単結晶薄膜層を形成する工程、
該第一の単結晶薄膜層上にエピタキシャル法により単結晶シリコン薄膜を形成する工程、
該単結晶シリコン薄膜の表面から水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、イオン注入層を形成する工程、
該単結晶シリコンウエーハのイオン注入面及び/又は前記透明絶縁性基板の表面を、プラズマ及び/又はオゾンで処理する工程、
前記単結晶シリコンウエーハのイオン注入面と前記透明絶縁性基板の表面とを、前記処理をした表面を接合面として室温で密着させて接合する工程、
前記イオン注入層に衝撃を与えて前記接合ウエーハを機械的に剥離する工程、
前記単結晶シリコン薄膜が露出するまで前記剥離面をエッチングする工程、
を行なうことを特徴とするSOIウエーハの製造方法を提供する。
このように、第一の単結晶薄膜層を、単結晶シリコンにボロンを5×1019/cm3以上添加したP++層とすれば、その上に良質の単結晶シリコン薄膜をエピタキシャル成長でき、かつ所定のエッチング液を用いて単結晶シリコンとのエッチング速度差を十分なものとできる。
このように、第一の単結晶薄膜層をSiGe層としても、その上に良質の単結晶シリコン薄膜をエピタキシャル成長でき、かつ所定のエッチング液を用いて単結晶シリコンとのエッチング速度差を十分なものとできる。
このように、接合工程を行なった後、該接合ウエーハを熱歪が発生しないような350℃以下の低い温度で熱処理してより結合力を高める工程を行い、その後剥離工程を行えば、機械的応力による接合面の剥離、ひび割れ等の発生をより確実に防止できる。
このように、透明絶縁性基板を石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすれば、これらは光学的特性が良好な透明絶縁性基板であるから、電気光学装置用基板作製に好適なSOIウエーハを製造できる。
ここで、ガラス基板としては、一般的な青板ガラスのほか、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、結晶化ガラスなどを用いることができる。また、青板ガラスなどの様にアルカリ金属を含むガラス基板を用いる場合には、表面からのアルカリ金属の拡散を防止するため、ガラス基板の表面にスピンオンガラスによる拡散防止膜を形成することが好ましい。
このように、イオン注入層を第一の単結晶薄膜層中に形成すれば、シングルエッチストップ法により剥離した第一の単結晶薄膜層を選択エッチングし、膜厚均一性に優れた単結晶シリコン薄膜を露出できる。
このように、イオン注入層を単結晶シリコンウエーハ中に形成すれば、ダブルエッチストップ法により剥離した単結晶シリコン層及び第一の単結晶薄膜層を選択エッチングし、膜厚均一性に優れた単結晶シリコン薄膜を露出できる。
このように、上記のいずれかの製造方法により製造されたSOIウエーハであれば、製造の際に熱歪、剥離、ひび割れ等が発生しておらず、また、各種デバイス作製に有用な、薄くて良好な膜厚均一性を有し、結晶性に優れ、キャリア移動度の高い透明絶縁性基板上にSOI層を持つSOIウエーハとなる。
前述のように、電気光学装置用基板等に用いるSOIウエーハは、SOI層の厚さが薄い必要があり、また、良好な膜厚均一性が要求される。
本発明者らは、薄くて良好な膜厚均一性を有する結晶性の優れたSOI層を透明絶縁性基板上に形成する方法について鋭意検討した結果、単結晶シリコンウエーハ上に同一のエッチング液によるエッチング速度が単結晶シリコンとは異なる第一の単結晶薄膜層を形成し、該第一の単結晶薄膜層上にエピタキシャル法により結晶性に優れた単結晶シリコン薄膜を形成することに想到した。このようにすれば、その後イオン注入、透明絶縁性基板との接合、剥離を行ってから、単結晶シリコン薄膜が露出するまで剥離面をエッチングすることにより、エッチング速度の差異により単結晶シリコン薄膜表面でエッチストップが起こり、膜厚均一性に優れた単結晶シリコン薄膜(SOI層)を、透明絶縁性基板上に形成できる。また、このようなエッチングによりイオン注入剥離により生じる剥離面の面粗れを除去できるので、例えばタッチポリッシュ等の鏡面研磨が不要になる。従って従来研磨により生じていた同一のSOIウエーハのSOI層内での膜厚のばらつきや、異なるSOIウエーハ間でのSOI層の膜厚のばらつきを低減できる。
本発明者らは上記の発想に基づき諸条件を精査し、本発明を完成させた。
図1は、本発明に係るSOIウエーハの製造方法の一例を示す工程図である。
単結晶シリコンウエーハとしては特に限定されず、例えばチョクラルスキー法により育成された単結晶をスライスして得られたもので、例えば直径が100〜300mm、導電型がP型またはN型、抵抗率が10Ω・cm程度のものを用いることができる。
また、透明絶縁性基板も特に限定されないが、これを石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板、のいずれかとすれば、これらは光学的特性が良好な透明絶縁性基板であるから、電気光学装置用基板作製に好適なSOIウエーハを製造できる。
形成する第一の単結晶薄膜層の厚さは特に限定されないが、例えば10〜500nmとできる。また、形成する第一の単結晶薄膜層の材質は、このように同一のエッチング液によるエッチング速度が単結晶シリコンとは異なるものであれば特に限定されないが、好ましくは単結晶シリコンに対する選択比が100倍以上、特に好ましくは数100倍〜1000倍となるようなものとする。例えば、第一の単結晶薄膜層を単結晶シリコンにボロンを5×1019/cm3以上添加したP++層とすることができ、あるいはSiGe層とすることができる。なお、P++層とする場合は、単結晶シリコンウエーハの表面にボロンイオンをイオン注入し、その表層を第一の単結晶薄膜層としてもよい。また、SiGe層のGeの組成比は特に限定されないが、Geの組成比が大きいほど選択比を高くできるので好ましい。このような第一の単結晶薄膜層とすれば、その上に良質の単結晶シリコン薄膜をエピタキシャル成長でき、かつ所定のエッチング液を用いて単結晶シリコンとのエッチング速度差を十分なものとできる。
形成する単結晶シリコン薄膜の厚さは所望の厚さのSOI層を形成するために適宜選択されるが、例えば10〜500nmとできる。
本実施形態では、イオン注入層5を単結晶シリコンウエーハ1中に形成する。
この際、例えば、単結晶シリコンウエーハの温度を250〜450℃とし、その表面から所望の深さにイオン注入層を形成できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入する。このときの条件として、例えば注入エネルギーは50〜100keV、注入線量は1×1016〜1×1017/cm2とできる。また、単結晶シリコンウエーハの表面にあらかじめ薄いシリコン酸化膜などの絶縁膜を形成しておき、それを通してイオン注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られる。
プラズマで処理をする場合、真空チャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をしたエピタキシャル層を形成した単結晶シリコンウエーハ及び/又は透明絶縁性基板を載置し、プラズマ用ガスを導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜10秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、単結晶シリコンウエーハを処理する場合、表面を酸化する場合には酸素ガスのプラズマ、酸化しない場合には水素ガス、アルゴンガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガスを用いることができる。透明絶縁性基板を処理する場合はいずれのガスでもよい。
工程Eにおいて、単結晶シリコンウエーハのイオン注入面または透明絶縁性基板の表面の少なくとも一方がプラズマ処理及び/又はオゾン処理されているので、これらを例えば減圧または常圧下、一般的な室温程度の温度下で密着させるだけで後工程での機械的剥離に耐え得る強度で強く接合できる。従って、1200℃以上といった高温の結合熱処理が必要でなく、加熱により問題になる熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、接合面での剥離等が発生するおそれがなく好ましい。
例えば透明絶縁性基板が石英の場合、熱膨張係数はシリコンに比べて小さく(Si:2.33×10−6、石英:0.6×10−6)、同程度の厚さの単結晶シリコンウエーハと接合した接合ウエーハを350℃を超える温度で熱処理すると熱歪が発生してウエーハが割れてしまうおそれがある。しかし、このような比較的低温の熱処理であれば、熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生するおそれがなく好ましい。なお、この熱処理工程において、バッチ処理方式の熱処理炉を用いる場合、熱処理時間は0.5〜24時間程度であれば十分な効果が得られる。
水素イオン注入剥離法においては、接合ウエーハを不活性ガス雰囲気下500℃程度で熱処理を行ない、結晶の再配列効果と注入した水素の気泡の凝集効果により熱剥離を行なうという方法であるが、本発明においてはイオン注入層に衝撃を与えて機械的剥離を行なうので、加熱に伴う熱歪、ひび割れ、接合面の剥離等が発生するおそれがない。
イオン注入層に衝撃を与えるためには、例えばガスや液体等の流体のジェットを接合したウエーハの側面から連続的または断続的に吹き付ければよいが、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
この場合、すでに単結晶シリコンウエーハは剥離により薄膜となっているので、熱処理をある程度高温で行なってもよいが、第一の単結晶薄膜層にB(ボロン)やGeが含まれている場合には、これらの拡散を抑制するため、バッチ処理方式の熱処理炉を用いる場合は800℃以下の温度で1時間以下の熱処理を行うことが好ましい。一方、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置として知られるランプ加熱器等の加熱方式を用いた急速加熱・急速冷却装置を用いる場合には、1000℃以上1250℃程度以下の温度で120秒以下の熱処理を行なっても、BやGeの拡散を抑制した上で結合力を高めることができる。
すなわち、まず所定の選択エッチング液を用いて剥離面の単結晶シリコン層6をエッチストップ法によりエッチング除去し、その後別の所定の選択エッチング液を用いて第一の単結晶薄膜層3をエッチストップ法によりエッチング除去して、単結晶シリコン薄膜4を露出させる。このようなダブルエッチストップ法により単結晶シリコン薄膜4を膜厚均一性の高いSOI層として透明絶縁性基板2の上に形成できる。また、このようなエッチングによりイオン注入剥離により生じる剥離面の面粗れを除去できるので、例えばタッチポリッシュ等の鏡面研磨が不要になる。従って従来研磨により生じていた同一のSOIウエーハのSOI層内での膜厚のばらつきや、異なるSOIウエーハ間でのSOI層の膜厚のばらつきを低減できる。
また、このようなSOIウエーハは、透明絶縁性基板の上にSOI層が形成されているものであるから、液晶装置等の電気光学装置用基板の作製用に特に適する。
工程A’〜工程G’までは図1の工程A〜工程Gとほぼ同様に行うことができるが、本実施形態では、工程D’においてイオン注入層5’を第一の単結晶薄膜層3’中に形成する点が異なる。従って、水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入する際の注入エネルギーを、注入深さが第一の単結晶薄膜層3’中となるようなものとする。
この場合、所定の選択エッチング液を用いて剥離面の第一の単結晶薄膜層6’をエッチストップ法によりエッチング除去して、単結晶シリコン薄膜4’を露出させる。このようなシングルエッチストップ法により単結晶シリコン薄膜4’を膜厚均一性の高いSOI層として透明絶縁性基板2’の上に形成できる。また、前述と同様にこのようなエッチングにより鏡面研磨が不要になるので、同一のSOIウエーハのSOI層内での膜厚のばらつきや、異なるSOIウエーハ間でのSOI層の膜厚のばらつきを低減できる。
また、このようなSOIウエーハは、透明絶縁性基板の上にSOI層が形成されているものであるから、液晶装置等の電気光学装置用基板の作製用に特に適する。
(実施例1)
図1に示す工程に従い、SOIウエーハを作製した。第一の単結晶薄膜層を単結晶シリコンにボロンイオンをイオン注入したP++層(P++Si層)とした。その作製条件を表1に示す。
図2に示す工程に従い、SOIウエーハを作製した。第一の単結晶薄膜層をSiGe層とした。その作製条件を表2に示す。
3、3’…第一の単結晶薄膜層、 4、4’…単結晶シリコン薄膜、
5、5’…イオン注入層、 6…剥離面の単結晶シリコン層、
6’…剥離面の第一の単結晶薄膜層。
Claims (1)
- 石英基板、サファイヤ(アルミナ)基板、ガラス基板のいずれかの透明絶縁性基板上にSOI層を形成してSOIウエーハを製造する方法において、少なくとも、
単結晶シリコンウエーハ上に、同一のエッチング液によるエッチング速度が単結晶シリコンとは異なる第一の単結晶薄膜層として、単結晶シリコンにボロンを5×1019/cm3以上添加したP++層をイオン注入で形成する工程、
該第一の単結晶薄膜層上にエピタキシャル法により単結晶シリコン薄膜を形成する工程、
該単結晶シリコン薄膜の表面から水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、前記第一の単結晶薄膜層中にイオン注入層を形成する工程、
該単結晶シリコンウエーハのイオン注入面及び/又は前記透明絶縁性基板の表面を、プラズマ及び/又はオゾンで処理する工程、
前記単結晶シリコンウエーハのイオン注入面と前記透明絶縁性基板の表面とを、前記処理をした表面を接合面として室温で密着させて接合する工程、
前記接合ウエーハを350℃以下の温度で熱処理して結合力を高める工程、
前記イオン注入層に衝撃を与えて前記接合ウエーハを機械的に剥離する工程、
前記単結晶シリコン薄膜が露出するまで前記剥離面をエッチングする工程、
を行なうことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
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