以下、本発明を具現化した実施形態について図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る半導体モジュールの断面図であり、図2は同半導体モジュールの外部接続電極等が形成された面の平面図である。
第1実施形態の半導体モジュールにおける半導体基板1は、P型シリコンウエハなどが採用され、その表面S1(上面側)に周知の技術により所定の集積回路などの半導体素子(図示せず)が形成され、実装面となる表面S1(特に外周縁部)に半導体素子の電極2が形成されている。この電極2の所定の領域(中央部分)が露出するように半導体基板1の表面上の領域には保護膜3が形成されている。半導体基板1の上には、電極2のピッチをより広くするために電極2および保護膜3の上に絶縁層7が形成され、さらにこの絶縁層7を貫通して電極2の露出面に接続する複数の突起部4aとこれら突起部4aが表面S2側(下面側)に一体的に設けられた再配線パターン4とが形成されている。この再配線パターン4は突起部4aが設けられた突起領域5aとこれに連続して延在する配線領域5bとを有している。ここで、絶縁層7は配線領域5bにおいて凹形状の上面を有して形成され、配線領域5bにおける再配線パターン4はその上面に沿って形成されている。このため、配線領域5bにおける再配線パターン4は突起領域5aにおける再配線パターン4よりも半導体基板1側に凹んだ状態となっている。また、再配線パターン4には表面S2と反対側(上面側)の所定の領域(パッド電極領域5c)に外部接続電極(はんだボール)9が設けられ、この外部接続電極以外の領域はソルダーレジスト層8により覆われている。
具体的には、電極2は、半導体素子を構成する集積回路と接続され、集積回路の外周縁部に多数個が位置するように形成されている。電極2の材料にはアルミニウム(Al)や銅(Cu)などが採用される。なお、電極2の材料にアルミニウムを採用する場合には、電極2の表面に窒化チタン(TiN)や窒化タンタル(TaN)などのバリア膜を形成してもよい。このように電極2の表面にバリア膜を形成することで、銅からなる突起部4aが電極2に当接した場合でも、突起部4aの材料である銅が電極2に拡散されることを防止することができる。また、電極2の材料に銅を採用する場合には、電極2と突起部4aの熱膨張係数が同じになるので、その界面での熱応力に対する接続信頼性(耐熱信頼性)を向上させることができる。さらに、突起部の先端に細かな凹凸を設けることも可能であり、それによりプレス加工時の電極との接合を確実にし、接合信頼性を向上させることができる。また、突起部の先端に金(Au)/ニッケル(Ni)のめっきを施して電極との接合信頼性を向上させることができる。
絶縁層7は、半導体基板1の上に形成され、突起部4a間において突起部4a側からその中央部に向かって徐々に膜厚が薄くなる凹形状の上面を有して形成されている。突起部4a間における絶縁層7の凹み量H1は、たとえば、約25μmである。絶縁層7は加圧したときに塑性流動を引き起こす材料からなる。加圧したときに塑性流動を引き起こす材料としてはエポキシ系熱硬化型樹脂が挙げられ、その樹脂は、たとえば、温度160℃、圧力8MPaの条件下で、粘度が1kPa・sの特性を有する材料であればよい。また、温度160℃の条件下で、この材料は15MPaで加圧した場合に、加圧しない場合と比較して、樹脂の粘度が約1/8に低下する。
再配線パターン4は、絶縁層7の上に形成され、突起領域5aとこれに連続して延在する配線領域5bとを有している。そして、突起領域5aにおける再配線パターン4には電極2の位置に対応して表面S2から突出してこの絶縁層7を貫通する突起部4aが一体的に複数設けられている。これら突起部4aは、図2に示すように、半導体基板1の外周縁部に配置されている。また、図1に示すように、配線領域5bにおける再配線パターン4は、絶縁層7の上面に沿って形成され、突起領域5aにおける再配線パターン4よりも半導体基板1側に凹んで形成されている。この再配線パターン4における凹み量H1は、絶縁層の凹み量と同じ約25μmである。再配線パターン4および突起部4aには、たとえば、圧延された銅からなる圧延金属が採用される。銅からなる圧延金属は、めっき処理等によって形成された銅からなる金属膜と比較すると、機械的強度の点において強く、再配線のための材料として優れている。再配線パターン4の厚さは、たとえば、約20μmであり、突起部4aの高さ(厚さ)は、たとえば、約35μmである。突起部4aは、円錐台形状に設けられ、その具体的な形状は、半導体基板1の電極2との接触面と平行な先端部4a1と、この先端部4a1に近づくにつれて径(寸法)が細くなるように形成された側面部4a2とを備えており、円錐形の先端部を除去してその断面形状が台形状をなしている(以下、「円錐台」と称する)。突起部4aの先端(先端部4a1)の径および基面(電極2との接触面)の径は、それぞれ約30μmφおよび約40μmφである。また、突起部4aは電極2に対応する位置に設けられている。突起部4aの先端(先端部4a1)は半導体基板1の電極2と直に接するように形成され、突起部4aを介して電極2と再配線パターン4とを電気的に接続している。
外部接続電極(はんだボール)9は、再配線パターン4の表面S2と反対側(上面側)の所定の領域(パッド電極領域5c)に設けられ、それぞれの電極2に対応する外部接続端子として機能する。外部接続電極9は、図2に示すように、半導体基板1の外周縁部に設けられた突起部4aにて囲まれる領域の内部に配置され、配線領域5b(パッド電極領域5cを含む)における再配線パターン4を介して突起部4a(突起領域5aにおける再配線パターン4)と電気的に接続されている。また、図1に示すように、パッド電極領域5c以外の領域は再配線パターン4の保護膜として機能するソルダーレジスト層8により覆われている。
なお、半導体基板1は本発明の「基板」、電極2は本発明の「電極」、絶縁層7は本発明の「絶縁層」、再配線パターン4は本発明の「配線層」、突起部4aは本発明の「突起部」、突起領域5aは本発明の「第1の領域」、及び配線領域5bは本発明の「第2の領域」の一例である。
(製造方法)
図3(A)は半導体基板の一例である半導体ウエハ(以下、本明細書においては同様。)の斜視図であり、図3(B)は半導体ウエハ上に形成された突起部を有する金属板の斜視図であり、図3(C)は突起部を有する金属板の断面図である。
まず、複数のスクライブライン10aにより区画された半導体モジュール形成領域10(半導体基板1)が格子状(マトリクス状)に配置された半導体基板の一例である半導体ウエハ30を用意する。半導体ウエハ30の表面には、図3(A)に示すように、半導体モジュール形成領域10ごとに集積回路などの半導体素子が形成され、この半導体素子と接続された電極2がその外周縁部に形成されている。なお、このような半導体ウエハ30は、通常のリソグラフィ技術、エッチング技術、イオン注入技術、成膜技術、及び熱処理技術などを組み合わせた半導体製造プロセスにより製造される。
次に、突起部を有する金属板として、突起部4aが一体的に設けられた銅板4xを用意する。銅板4xの平面的な大きさは、図3(B)に示すように、半導体ウエハ30と同程度に形成されている。また、突起部4aは銅板4xの表面S2に各半導体モジュール形成領域10内の電極2の位置にそれぞれ対応して設けられている。突起部4aは、図3(C)に示すように、半導体基板1の電極2との接触面に対して平行な先端部4a1と、この先端部4a1に近づくにつれて径が細くなるように形成された側面部4a2とを有している。
以下に、突起部を有する金属板(突起部4aが一体的に設けられた銅板4x)の形成方法を説明する。図4は図3(C)に示す突起部を有する金属板の形成方法を説明するための断面図である。
まず、図4(A)に示すように、少なくとも突起部4aの高さと再配線パターン4の厚さとの和よりも大きい厚さを有する銅板4zを用意する。銅板4zの厚さは約100μmである。また、銅板4zとしては圧延された銅からなる圧延金属が採用される。
図4(B)に示すように、リソグラフィ技術を用いて各半導体モジュール形成領域10内における突起部形成領域にレジストマスクPR1を形成する。ここで、突起部形成領域の配列は複数のスクライブライン10aによって複数の半導体モジュール形成領域10に区画された半導体ウエハ30における半導体基板1の各電極2の位置に対応している。なお、レジストマスクPR1を設けた面と反対側(上面側)の全面にはレジスト保護膜(図示せず)を形成して銅板4zを保護しておく。
図4(C)に示すように、レジストマスクPR1をマスクとして塩化第二鉄溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理を行い、銅板4zの表面に分離溝を形成することにより、銅板4yの表面S2から突出する所定の円錐台パターンの突起部4aを形成する。この際、突起部4aはその先端部4a1に近づくにつれて径(寸法)が細くなるテーパ状の側面部4a2を有するように形成される。なお、突起部4aの高さは約35μmとし、突起部4aの先端(先端部4a1)の径および基面の径はそれぞれ約30μmφおよび約40μmφとしている。
図4(D)に示すように、レジストマスクPR1およびレジスト保護膜を除去する。これにより、銅板4yの表面S2に突起部4aが一体的に形成される。なお、レジストマスクPR1に代えて銀(Ag)などの金属マスクを採用してもよい。この場合には銅板4zとのエッチング選択比が十分確保されるため、突起部4aのパターニングのさらなる微細化を図ることが可能となる。
図4(E)に示すように、塩化第二鉄溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理などにより、表面S2の反対側から銅板4yの全体をエッチングすることにより銅板4yを薄膜化する。この際、表面S2にはレジスト保護膜(図示せず)を形成して突起部4aおよび銅板4yを保護しておき、エッチング処理後にレジスト保護膜を除去する。これにより、所定の厚さ(再配線パターン4の厚さ)に加工され、表面S2に所定の突起部4aが一体的に設けられた銅板4xが形成される。本実施形態の銅板4xの厚さは約20μmである。なお、銅板4xは本発明の「金属板」の一例である。
このように製造した突起部4aを有する銅板4xを別途用意しておき、以下に説明する第1実施形態での半導体モジュールの製造プロセスに採用する。図5および図6は第1実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスを説明するための断面図である。
まず、図5(A)に示すように、あらかじめ表面S1(上面側)に電極2および保護膜3を有する半導体モジュール形成領域10が形成された半導体ウエハ30を用意する。具体的には、P型シリコン基板などの半導体ウエハ30(半導体基板1)内のそれぞれの半導体モジュール形成領域10に対して、その表面S1に周知の技術により所定の集積回路などの半導体素子とその外周縁部に電極2を形成する。電極2の材料にはアルミニウムや銅などの金属が採用される。これらの電極2を除いた半導体基板1の表面S1上に、半導体基板1を保護するための絶縁性の保護膜3を形成した半導体ウエハ30を用意する。保護膜3としてはシリコン酸化膜(SiO2)やシリコン窒化膜(SiN)やポリイミド(PI)などが採用される。なお、半導体ウエハ30は本発明の「半導体ウエハ」の一例である。
図5(B)に示すように、半導体ウエハ30上(表面S1側)において、半導体ウエハ30と、突起部4aが一体的に形成された銅板4xとの間に絶縁層7を挟持するように配置する。その絶縁層7の厚さは突起部4aの高さと同程度の約35μmである。なお、突起部4aを有する銅板4xの形成方法は上記の通りである。
図5(C)に示すように、上記のように絶縁層7を挟持した状態でプレス装置を用いて加圧成形することにより、半導体ウエハ30、絶縁層7及び銅板4xを一体化させる。プレス加工時の圧力および温度は、それぞれ約5MPaおよび200℃である。このプレス加工により、絶縁層7はその粘度が低下し、塑性流動を起こす。これにより、突起部4aが絶縁層7を貫通し、突起部4aと電極2とが電気的に接続される。なお、突起部4aが先端部4a1に近づくにつれて径が細くなるように形成された側面部4a2を有することにより、突起部4aが絶縁層7をスムースに貫通する。この結果、突起部4aと電極2との界面から絶縁層7が効果的に押し出されて絶縁層7の一部が界面に残存しにくくなる。
図5(D)に示すように、プレス加工後に銅板4xと接着した状態で絶縁層7を冷却して膜収縮させることにより、銅板4xは各突起部4aを支点として凹形状に撓んでおり、突起部4a間における絶縁層7は突起部4a側からその中央部に向かって徐々に膜厚が薄くなる凹形状の上面を有するように形成される。こうして、銅板4xは絶縁層7の表面に沿って半導体ウエハ30側に凹形状に撓み、配線領域5bの銅板4xの上面は突起領域5aの銅板4xの上面よりも凹んだ状態に仕上がる。なお、突起部4a間における銅板4x
(パッド電極領域5cに対応する部分)の凹み量H1は、たとえば、約25μmである。なお、冷却前に樹脂の完全硬化を行うことによって基点となる突起部が動かない状態とするが、その際には、たとえば、240℃で2時間の圧着加熱し、冷却中もプレスを行い室温に戻すことにより実現できる。
次に、図6(A)に示すように、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて銅板4xを加工することにより、再配線パターン4を形成する。この再配線パターン4は突起部4aが設けられた突起領域5aとこれに連続して延在する配線領域5bとを有する。なお、配線領域5bにおける再配線パターン4は、先の銅板4xの凹形状の上面をそのまま反映し、突起領域5aにおける再配線パターン4よりも半導体ウエハ30側に凹んだ状態に仕上がっている。
図6(B)に示すように、ソルダーレジスト層8を、再配線パターン4のパッド電極領域5cに開口部を有し、絶縁層7および再配線パターン4を覆うように形成する。このソルダーレジスト層8は再配線パターン4の保護膜として機能する。ソルダーレジスト層8にはエポキシ樹脂などが採用され、その膜厚は、たとえば、約40μmである。そして、はんだ印刷法を用いて再配線パターン4のパッド電極領域5cに外部接続端子として機能する外部接続電極(はんだボール)9を形成する。具体的には、樹脂とはんだ材をペースト状にしたはんだペーストをスクリーンマスクにより所望の箇所に印刷し、はんだ溶融温度に加熱することで外部接続電極9を形成する。
図6(C)に示すように、複数の半導体モジュール形成領域10(半導体基板1)を区画するスクライブライン10aに沿って半導体ウエハ30の裏面(下面側)から半導体ウエハ30をダイシングすることにより半導体モジュールに個別化する。この後、個別化された半導体モジュールに対して薬液による洗浄処理を行うことで、ダイシング時に発生する残渣などを除去する。
これらの工程により先の図1に示した第1実施形態の半導体モジュールが製造される。
続いて、以下に、本実施形態における半導体モジュールの構成による効果について説明する。
本実施形態の突起部への応力緩和効果を確認するために行った熱シミュレーション結果によれば、再配線パターンに凹みのない従来例(配線領域における再配線パターンが半導体ウエハと平行な状態)では突起部に加わる剥離方向(半導体ウエハから引き離される方向)の応力は約456MPaであったのに対し、再配線パターンに凹みを設けた実施例(配線領域における再配線パターンが突起領域における再配線パターンよりも半導体ウエハ側に凹んでいる状態)ではその応力は約434MPaであった。すなわち、本実施形態の構造とすることにより、突起部にかかる応力が5%程度緩和されている。これは、半導体モジュールの動作時に発生する熱により突起部が基点となって配線領域の再配線パターンが熱膨張する際に、配線領域の再配線パターンには半導体ウエハ表面と平行な平行成分と下向きの垂直成分を有するモーメントが発生し、こうしたモーメントが生じた配線領域の再配線パターンが突起領域の再配線パターンを介して突起部に連結され、突起部に配線領域の再配線パターンのモーメントに対応したモーメントが作用するためである。なお、熱シミュレーションでは、半導体ウエハ上における絶縁層の膜厚を35μm、再配線パターンの厚さを20μm、再配線パターンと一体的に設けられた突起部を直径35μmの円柱状とし、半導体ウエハの温度を25℃から125℃(回路動作時に相当)に昇温した際における突起部と半導体基板との界面にかかる応力を算出している。
この第1実施形態の半導体モジュールおよびその製造方法によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)配線領域5bの再配線パターン4を突起領域5aの再配線パターン4よりも半導体ウエハ30側に凹んで形成したことにより、半導体モジュールの動作時に発生する熱により突起領域5aに位置する突起部4aが基点となって配線領域5bの再配線パターン4が熱膨張する際には、配線領域5bの再配線パターン4に半導体ウエハ30の表面と平行な平行成分と下向きの垂直成分を有するモーメントが発生する。そして、こうしたモーメントが生じた配線領域5bの再配線パターン4が突起領域5aの再配線パターン4を介して突起部4aに連結されているので、突起部4aに配線領域5bの再配線パターン4のモーメントに対応したモーメントが作用する。このため、半導体モジュールに熱応力が発生した際には、こうしたモーメント(下向きのモーメント)により突起部4aに加わる剥離方向(基板から引き離される方向)の応力が緩和されるため、半導体モジュールにおける電極2と突起部4aとの間の接続信頼性(耐熱信頼性)を向上させることが可能となる。
(2)突起部4a間における絶縁層7を凹形状の上面を有して形成したことにより、突起部4a間における再配線パターン4(特に絶縁層7の凹形状の底部近傍に位置する再配線パターン4)と半導体ウエハ30との間の距離(上下方向の間隔)が、突起部4a間における絶縁層7の上面が凹形状でない場合(たとえば、半導体ウエハ30に対して平行な場合)に比べて短くなるので、半導体ウエハ30からの熱が再配線パターン4に伝導しやすくなり、半導体モジュールの放熱性を向上させることができる。
(3)突起部4a間に設けられた銅板4xを半導体ウエハ30側に凹形状に撓ませて形成した後、この銅板4xをパターニングして再配線パターン4を形成するようにしたので、半導体モジュールの動作時に発生する熱により突起部4aが基点となって配線領域5bの再配線パターン4が熱膨張する際には、配線領域5bの再配線パターン4に半導体ウエハ30の表面と平行な平行成分と下向きの垂直成分を有するモーメントを発生させることができる。そして、こうしたモーメントが生じた配線領域5bの再配線パターン4を突起領域5aの再配線パターン4を介して突起部4aに連結しているので、突起部4aに配線領域5bの再配線パターン4のモーメントに対応したモーメントを作用させることができる。このため、半導体モジュールに熱応力が発生する際には、突起部4aに加わる剥離方向(半導体ウエハ30から引き離される方向)の応力が緩和され、電極2と突起部4aとの間の接続信頼性(耐熱信頼性)が向上した半導体モジュールを製造することができる。
(4)銅板4xと半導体ウエハ30とを絶縁層7を介して圧着する際に、新たな装置を追加することなく銅板4xを凹形状に撓ませることができるので、銅板4xをエッチングして形成される再配線パターン4(特に配線領域5bにおける再配線パターン4)を容易に凹形状とし、これに連結される突起部4aにかかる剥離方向の応力を緩和することが可能な半導体モジュールを低コストで製造することができる。
(5)半導体モジュールが個別化される前の半導体ウエハ30の状態で一括して突起部4aを有する再配線パターン4を形成したので、半導体モジュールごとに個別に再配線パターン4などを形成する場合に比べて、半導体モジュールの製造コストを低減することができる。
(6)再配線パターン4に突起部4aを一体的に設けたことで、半導体基板1の電極2から外部接続電極9に至るまでの経路に異種材料間の接続部(界面)がないため、回路動作時の温度変化などにより、突起部4aと再配線パターン4との間に熱応力が作用しても断線等の恐れが少ない。したがって、半導体モジュールの熱応力による接続信頼性の低下を抑制することができる。
(第2実施形態)
図7は本発明の第2実施形態に係る半導体モジュールを説明するための断面図である。第1実施形態と異なる箇所は、再配線パターン4のパッド電極領域5cにおいて、表面S2と反対側の面に再配線パターン4と一体的な凸状のポスト部4cが設けられ、このポスト部4cの上面がソルダーレジスト層8から露出し、その露出面に外部接続電極9が形成されていることである。それ以外については先の第1実施形態と同様である。
(製造方法)
図8および図9は第2実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスを説明するための断面図である。
まず、先の図4(D)までに示した工程を経て形成された突起部4aを有する銅板4yを用意する。この銅板4yは第1実施形態における銅板4xとは異なり、銅板を薄膜化していない状態である。そして、図8(A)に示すように、半導体ウエハ30の表面S1(上面側)において、半導体ウエハ30と、突起部4aを有する銅板4yとの間に絶縁層7を挟持するように配置する。
図8(B)に示すように、上記のように挟持した状態でプレス装置を用いて加圧成形することにより、半導体ウエハ30、絶縁層7、及び銅板4yを一体化させる。プレス加工条件は第1実施形態と同様の条件が採用される。
図8(C)に示すように、プレス加工後に銅板4yと接着した状態で絶縁層7を冷却して膜収縮させることにより、銅板4yは各突起部4aを支点として凹形状に撓み、突起部4a間における絶縁層7は突起部4a側からその中央部に向かって徐々に膜厚が薄くなる凹形状の上面を有して形成される。したがって、銅板4yは絶縁層7の表面に沿ってその上面が凹形状に撓むとともに、配線領域5bに対応する銅板4yの上面は突起領域5aに対応する銅板4yの上面よりも凹んだ状態に仕上がる。なお、突起部4a間における銅板4y(パッド電極領域5cに対応する部分)の凹み量H2は、たとえば、約25μmである。
図8(D)に示すように、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて銅板4yを加工して、銅板4yの表面S2の反対側の面に分離溝を形成する。これにより、銅板4yは所定の厚さ(再配線パターン4に相当する厚さ)にまで薄膜化された銅板4xに加工され、この銅板4xには表面S2の反対側の面におけるパッド電極領域5cに所定の円錐台パターンを有するポスト部4cが一体的に形成される。
次に、図9(A)に示すように、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて銅板4xを加工することにより、再配線パターン4をパターニングする。この再配線パターン4は、第1実施形態と同様、突起部4aが設けられた突起領域5aとこれに連続して延在する配線領域5bとからなる。先の銅板4xの凹形状の上面を反映し、配線領域5bにおける再配線パターン4は突起領域5aにおける再配線パターン4よりも半導体ウエハ30側に凹んだ状態に仕上がる。また、パッド電極領域5cにおける再配線パターン4には凸状のポスト部4cが一体的に形成されている。
図9(B)に示すように、ソルダーレジスト層8をラミネートし、リソグラフィ法により再配線パターン4のポスト部4cを露出させ、半導体ウエハ30上の絶縁層7および再配線パターン4を覆うように形成する。そして、はんだ印刷法を用いて再配線パターン4のポスト部4cの露出面に対して外部接続電極9を形成する。
図9(C)に示すように、複数の半導体モジュール形成領域10を区画するスクライブライン10aに沿って半導体ウエハ30の裏面(下面側)から半導体ウエハ30をダイシングすることにより半導体基板1と同じ外形寸法を有する半導体モジュールに個別化する。この後、個別化された半導体モジュールを薬液による洗浄処理を行うことで、ダイシング時に発生する残渣などを除去する。
これらの工程により先の図7に示した第2実施形態の半導体モジュールが製造される。
この第2実施形態の半導体モジュールおよびその製造方法によれば、上記(1)〜(6)の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(7)再配線パターン4に凸状のポスト部4cを設けたことで、この突出したポスト部4cが横方向に作用する応力に応じて変形するようになるため、ポスト部4cに接続して設けられる外部接続電極9に作用する熱応力を低減させることが可能になり、外部接続電極9の接続信頼性を向上させることができる。
(8)再配線パターン4に突起部4aおよびポスト部4cをそれぞれ一体的に設けたことで、半導体基板1の電極2から外部接続電極9に至るまでの経路に異種材料間の接続部(界面)がないため、回路動作時の温度変化などにより、突起部4aと再配線パターン4との間もしくは再配線パターン4とポスト部4cとの間に熱応力が作用しても断線等の恐れが少ない。したがって、半導体モジュールの熱応力による接続信頼性の低下を抑制することができる。
(9)半導体基板1の電極2から外部接続電極9に至るまでの経路を、一枚の銅板4zからエッチング処理により形成することができるので、CSPによる半導体モジュールの製造工程を簡略化することができる。さらに半導体モジュールの製造コストを低減することができる。
(第3実施形態)
図10は第3実施形態における突起部を有する金属板の形成方法を説明するための断面図であり、図11は第3実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスを説明するための断面図である。第3実施形態における半導体モジュールは第2実施形態とその構成は同じであり、第2実施形態と異なる箇所はその製造方法である。具体的には、表面S2と反対側の面に銅板4xと一体的な凸状のポスト部4cを予め形成しておき、この銅板4xを半導体ウエハ30に絶縁層7を介して圧着することにより、第2実施形態における半導体モジュールを製造していることである。なお、ポスト部4cは本発明の「ポスト部」の一例である。
まず、図10(A)に示すように、先の図4(D)までに示した工程を経て形成された突起部4aを有する銅板4yを用意する。この銅板4yは第2実施形態で採用した銅板と同じである。
図10(B)に示すように、リソグラフィ技術を用いて各半導体モジュール形成領域10内におけるパッド電極領域5cに対応する部分にレジストマスクPR2を形成する。なお、レジストマスクPR2を設けた面と反対側(表面S2)にはレジスト保護膜(図示せず)を形成して銅板4yを保護しておく。
図10(C)に示すように、レジストマスクPR2をマスクとして塩化第二鉄溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理を行い、銅板4yの表面S2の反対側の面に分離溝を形成する。これにより、銅板4yは所定の厚さ(再配線パターン4に相当する厚さ)にまで薄膜化された銅板4xに加工され、この銅板4xには表面S2の反対側の面におけるパッド電極領域5cに所定の円錐台パターンを有するポスト部4cが一体的に形成される。
図10(D)に示すように、レジストマスクPR2およびレジスト保護膜を除去する。これにより、所定の厚さに加工され、表面S2に所定の突起部4aが一体的に設けられるとともに、表面S2の反対側の面におけるパッド電極領域5cに所定のポスト部4cが一体的に設けられた銅板4xが形成される。
このように製造した突起部4aおよびポスト部4cを有する銅板4xを別途用意しておき、以下に説明する第3実施形態での半導体モジュールの製造プロセスに採用する。
まず、図11(A)に示すように、半導体ウエハ30の表面S1(上面側)において、半導体ウエハ30と、突起部4aおよびポスト部4cを有する銅板4xとの間に絶縁層7を挟持する。
図11(B)に示すように、上記のように挟持した上でプレス装置を用いて加圧成形することにより、半導体ウエハ30、絶縁層7、及び銅板4xを一体化して重畳する。プレス加工条件は第1実施形態と同様の条件が採用される。この際、凸状のポスト部4cに加わる圧力により、対応する突起部4a間の銅板4xは凹んだ状態に形成される。さらに絶縁層7を冷却して収縮させることにより、銅板4xは各突起部4aを支点としてさらに撓み、図11(C)に示すように、突起部4a間における絶縁層7は突起部4a側からその中央部に向かって徐々に膜厚が薄くなる凹形状の上面を有して形成される。これにより、銅板4xは絶縁層7の表面に沿ってその上面が凹形状に撓み、配線領域5bに対応する銅板4xは突起領域5aに対応する銅板4xよりも半導体ウエハ30側に凹んだ状態に仕上がる。なお、突起部4a間における銅板4x(パッド電極領域5cに対応する部分)の凹み量H3は、たとえば、約30μmである。
これ以降は先の図9(A)〜図9(C)で示した工程を経て第3実施形態における半導体モジュールが製造される。
この第3実施形態における半導体モジュールおよびその製造方法によれば、上記(1)〜(9)の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(10)突起部4aが設けられた表面S2と反対側の面に、突起部4aと重畳しない位置に銅板4xと一体的な凸状のポスト部4cを形成したことで、銅板4xと半導体ウエハ30とを絶縁層7を介して圧着する際、絶縁層7の収縮による変形に加え、凸状のポスト部4cに加わる圧力により突起部4a間の銅板4xを凹形状に撓ませることができる。このため、より確実に、且つ、より制御よく接続信頼性の向上した半導体モジュールを製造することができる。
(第4実施形態)
図12は本発明の第4実施形態に係る半導体モジュールを説明するための断面図である。
第4実施形態の半導体モジュールにおける半導体基板1は、その表面S1(上面側)に周知の技術により所定の集積回路などの半導体素子(図示せず)が形成され、実装面となる表面S1に半導体素子の電極2が形成されている。この電極2の所定の領域(中央部分)が露出するように半導体基板1の表面上の領域には保護膜3が形成されている。半導体基板1の上には、電極2および保護膜3を被覆する絶縁層7が形成され、この絶縁層7を貫通して電極2の露出面に接続する複数の突起部4aとこれら突起部4aが表面S2側(下面側)に一体的に設けられた再配線パターン4とが形成されている。この再配線パターン4は突起部4aが設けられた突起領域5a1(5a2)とこれに連続して延在する配線領域5b1(5b2)とを有している。ここで、絶縁層7は突起部4a間において凹形状の上面を有して形成され、たとえば、配線領域5b1における再配線パターン4はその上面に沿って形成されている。このため、配線領域5b1における再配線パターン4は突起領域5a1(5a2)における再配線パターン4よりも半導体基板1側に凹んだ状態となっている。この凹み量H4は、たとえば、約20μmである。そして、再配線パターン4には表面S2と反対側(上面側)の所定の領域に外部接続電極(図示せず)が設けられ、これ以外の領域はソルダーレジスト層8により覆われている。なお、こうした半導体モジュールは第1実施形態と同様の製造方法にて容易に製造することができる。
この第4実施形態における半導体モジュールおよびその製造方法によれば、少なくとも第1実施形態と同様の効果を享受することができる。
(第5実施形態)
図13は第5実施形態における突起部を有する金属板の形成方法を説明するための断面図であり、図14は第5実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスを説明するための断面図である。第5実施形態における半導体モジュールは第1実施形態とその構成は同じであり、第1実施形態と異なる箇所はその製造方法である。
以下に、突起部を有する金属板(突起部4aが一体的に設けられた銅板4x)の形成方法を説明する。
まず、図13(A)に示すように、先の図4(D)までに示した工程を経て形成された突起部4aを有する銅板4yを用意する。この銅板4yは第1実施形態で採用した銅板と同じである。
次に、図13(B)に示すように、リソグラフィ技術を用いて各半導体モジュール形成領域10内において突起部4aを含む再配線パターン形成領域にレジストマスクPR3を形成する。なお、レジストマスクPR2を設けた面と反対側(表面S2)にはレジスト保護膜(図示せず)を形成して銅板4yを保護しておく。
次に、図13(C)に示すように、レジストマスクPR3をマスクとして塩化第二鉄溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理を行い、銅板4yの表面S2の反対側の面において、再配線パターン形成領域を除く領域をハーフエッチする。これにより、銅板4yの表面S2の反対側の面に再配線パターン形成領域を凸部50とする凹凸が形成される。この凹凸の段差は後述する再配線パターン4に相当する厚さと同等であることが望ましい。
次に、図13(D)に示すように、レジストマスクPR3およびレジスト保護膜を除去する。これにより、所定の厚さに加工され、表面S2に所定の突起部4aが一体的に設けられるとともに、表面S2の反対側の面に再配線パターン形成領域を凸部50とする凹凸が設けられた銅板4xが形成される。
このように製造した突起部4aおよび凸部50を有する銅板4xを別途用意しておき、以下に説明する第5実施形態での半導体モジュールの製造プロセスに採用する。
まず、図14(A)に示すように、半導体ウエハ30の表面S1(上面側)において、半導体ウエハ30と、突起部4aおよび凸部50を有する銅板4xとの間に絶縁層7を挟持する。
図14(B)に示すように、上記のように挟持した上でプレス装置を用いて加圧成形することにより、半導体ウエハ30、絶縁層7、及び銅板4xを一体化して重畳する。プレス加工条件は第1実施形態と同様の条件が採用される。この際、凸部50に加わる圧力により、対応する突起部4a間の銅板4xは凹んだ状態に形成される。本実施の形態では、プレス加工の際に膜厚が薄くなっている凹部52が絶縁層7に押し込まれやすいため、銅板4yが各突起部4aを支点としてより一層撓みやすくなる。さらに絶縁層7を冷却して収縮させることにより、銅板4xは各突起部4aを支点としてさらに撓み、図14(C)に示すように、突起部4a間における絶縁層7は突起部4a側からその中央部に向かって徐々に膜厚が薄くなる凹形状の上面を有して形成される。これにより、銅板4xは絶縁層7の表面に沿ってその上面が凹形状に撓み、配線領域5bに対応する銅板4xは突起領域5aに対応する銅板4xよりも半導体ウエハ30側に凹んだ状態に仕上がる。
次に、図15に示すように、銅板4xの表面S2の反対側の面をエッチバックすることにより、再配線パターン4を形成する。
これ以降は先の図6(B)〜図6(C)で示した工程を経て第5実施形態における半導体モジュールが製造される。
この第5実施形態における半導体モジュールの製造方法によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(11)半導体ウエハ30、絶縁層7、及び銅板4xをプレス加工により一体化する際に、膜厚が薄くなっている凹部52が絶縁層7に押し込まれやすいため、銅板4xが各突起部4aを支点としてより一層撓みやすくなる。
(第6実施形態)
図16は本発明の第6実施形態に係る半導体モジュールを説明するための断面図である。本実施形態に係る半導体モジュールの基本的な構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態と異なる点は、外部接続電極9の位置に対応して、再配線パターン4の表面S2側にダミー突起部60が設けられていることである。このダミー突起部60の頂部面は、半導体基板1に設けられた電極2には接続されておらず、保護膜3と接している。すなわち、ダミー突起部60は半導体基板1とは電気的に接続されていない状態で前記半導体基板1に支持された突起部である。
以下に、突起部およびダミー突起部を有する金属板(突起部4aおよびダミー突起部60が一体的に設けられた銅板4x)の形成方法を説明する。図17(A)〜(E)は突起部およびダミー突起部を有する金属板の形成方法を説明するための断面図である。
まず、図17(A)に示すように、少なくとも突起部4aの高さと再配線パターン4の厚さとの和よりも大きい厚さを有する銅板4zを用意する。銅板4zの厚さは約100μmである。また、銅板4zとしては圧延された銅からなる圧延金属が採用される。
次に、図17(B)に示すように、リソグラフィ技術を用いて各半導体モジュール形成領域10内における突起部形成領域およびダミー突起部形成領域に、それぞれレジストマスクPR1、レジストマスクPR1’を形成する。ここで、突起部形成領域の配列は複数のスクライブライン10aによって複数の半導体モジュール形成領域10に区画された半導体ウエハ30における半導体基板1の各電極2の位置に対応している。また、本実施形態におけるレジストマスクPR1’の配列は、外部接続電極9の位置に対応している。レジストマスクPR1’の径はレジストマスクPR1の径より小さい。たとえば、レジストマスクPR1の径は100μmφ、レジストマスクPR1’の径は50μmφである。なお、レジストマスクPR1を設けた面と反対側(上面側)の全面にはレジスト保護膜(図示せず)を形成して銅板4zを保護しておく。
次に、図17(C)に示すように、レジストマスクPR1およびレジストマスクPR1’をマスクとして塩化第二鉄溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理を行い、銅板4yの表面S2から突出する所定の円錐台パターンの突起部4aおよびダミー突起部60を形成する。ダミー突起部60の高さは突起部4aの高さより低くなっている。このようなダミー突起部60はレジストマスクPR1およびレジストマスクPR1’をマスクとして銅板4yの表面S2をエッチングし、さらにオーバーエッチングを施すことにより形成することができる。
次に、図17(D)に示すように、レジストマスクPR1およびレジスト保護膜を除去する。これにより、銅板4yの表面S2に突起部4aおよびダミー突起部60が一体的に形成される。なお、レジストマスクPR1およびレジストマスクPR1’に代えて銀(Ag)などの金属マスクを採用してもよい。この場合には銅板4zとのエッチング選択比が十分確保されるため、突起部4aおよびダミー突起部60のパターニングのさらなる微細化を図ることが可能となる。
次に、図17(E)に示すように、塩化第二鉄溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理などにより、表面S2の反対側から銅板4yの全体をエッチングすることにより銅板4yを薄膜化する。この際、表面S2にはレジスト保護膜(図示せず)を形成して突起部4a、ダミー突起部60および銅板4yを保護しておき、エッチング処理後にレジスト保護膜を除去する。これにより、所定の厚さ(再配線パターン4の厚さ)に加工され、表面S2に所定の突起部4aおよびダミー突起部60が一体的に設けられた銅板4xが形成される。なお、銅板4xは本発明の「金属板」の一例である。
このように製造した突起部4aおよびダミー突起部60を有する銅板4xを別途用意しておき、以下に説明する第6実施形態での半導体モジュールの製造プロセスに採用する。図18および図19は第6実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスを説明するための断面図である。
まず、図18(A)に示すように、あらかじめ表面S1(上面側)に電極2および保護膜3を有する半導体モジュール形成領域10が形成された半導体ウエハ30を用意する。なお、半導体ウエハ30は、第1実施形態の図5(A)に示したものと同様である。
次に、図18(B)に示すように、半導体ウエハ30上(表面S1側)において、半導体ウエハ30と、突起部4aおよびダミー突起部60が一体的に形成された銅板4xとの間に絶縁層7を挟持するように配置する。その絶縁層7の厚さは突起部4aの高さと同程度の約35μmである。なお、突起部4aを有する銅板4xの形成方法は上記の通りである。
図18(C)に示すように、上記のように絶縁層7を挟持した状態でプレス装置を用いて加圧成形することにより、半導体ウエハ30、絶縁層7及び銅板4xを一体化させる。プレス加工時の圧力および温度は、それぞれ約5MPaおよび200℃である。このプレス加工により、絶縁層7はその粘度が低下し、塑性流動を起こす。これにより、突起部4aが絶縁層7を貫通し、突起部4aと電極2とが電気的に接続される。なお、突起部4aが先端部4a1に近づくにつれて径が細くなるように形成された側面部4a2を有することにより、突起部4aが絶縁層7をスムースに貫通する。この結果、突起部4aと電極2との界面から絶縁層7が効果的に押し出されて絶縁層7の一部が界面に残存しにくくなる。一方、ダミー突起部60は突起部4aに比べて高さが低いため、絶縁層7に食い込んだ状態となっており、ダミー突起部60の頂部面と保護膜3との間に絶縁層7が介在している。
図18(D)に示すように、プレス加工後に銅板4xと接着した状態で絶縁層7を冷却して膜収縮させることにより、銅板4xは各突起部4aを支点として凹形状に撓んでおり、突起部4a間における絶縁層7は突起部4a側からその中央部に向かって徐々に膜厚が薄くなる凹形状の上面を有するように形成される。こうして、銅板4xは絶縁層7の表面に沿って半導体ウエハ30側に凹形状に撓み、配線領域5bの銅板4xの上面は突起領域5aの銅板4xの上面よりも凹んだ状態に仕上がる。銅板4xが絶縁層7の表面に沿って半導体ウエハ30側に凹形状に撓むことにより、ダミー突起部60の先端部と保護膜3とが接触する。この結果、凹形状に撓んだ銅板4xがダミー突起部60によって支持される。このため、ダミー突起部60の高さにより銅板4xと保護膜3との間の距離が定まるため、ダミー突起部60により銅板4xの凹形状、または撓み度合いを調整することができる。なお、冷却前に樹脂の完全硬化を行うことによって基点となる突起部が動かない状態とするが、その際には、たとえば、240℃で2時間の圧着加熱し、冷却中もプレスを行い室温に戻すことにより実現できる。
次に、図19(A)に示すように、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて銅板4xを加工することにより、再配線パターン4を形成する。この再配線パターン4は突起部4aが設けられた突起領域5aとこれに連続して延在する配線領域5bとを有する。なお、配線領域5bにおける再配線パターン4は、先の銅板4xの凹形状の上面をそのまま反映し、突起領域5aにおける再配線パターン4よりも半導体ウエハ30側に凹んだ状態に仕上がっている。なお、ダミー突起部60は、電極2の位置とは異なる位置に対応して突出している。本実施形態では、ダミー突起部60はパッド電極領域5cに対応した位置に設置されている。また、本実施形態では、ダミー突起部60は突起部4aとは反対側の再配線パターン4の端部に設けられている。
図19(B)に示すように、ソルダーレジスト層8を、再配線パターン4のパッド電極領域5cに開口部を有し、絶縁層7および再配線パターン4を覆うように形成する。このソルダーレジスト層8は再配線パターン4の保護膜として機能する。ソルダーレジスト層8にはエポキシ樹脂などが採用され、その膜厚は、たとえば、約40μmである。そして、はんだ印刷法を用いて再配線パターン4のパッド電極領域5cに外部接続端子として機能する外部接続電極(はんだボール)9を形成する。具体的には、樹脂とはんだ材をペースト状にしたはんだペーストをスクリーンマスクにより所望の箇所に印刷し、はんだ溶融温度に加熱することで外部接続電極9を形成する。すなわち、パッド電極領域5cにおいて、再配線パターン4の表面S2にダミー突起部60が形成され、再配線パターン4の表面S2の反対側に外部接続電極9が形成される。
次に、図19(C)に示すように、複数の半導体モジュール形成領域10(半導体基板1)を区画するスクライブライン10aに沿って半導体ウエハ30の裏面(下面側)から半導体ウエハ30をダイシングすることにより半導体モジュールに個別化する。この後、個別化された半導体モジュールに対して薬液による洗浄処理を行うことで、ダイシング時に発生する残渣などを除去する。
これらの工程により先の図16に示した第6実施形態の半導体モジュールが製造される。
この第6実施形態における半導体モジュールの製造方法によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(12)プレス加工の際に、銅板4xの表面S2側に設けられたダミー突起部60の頂部面と保護膜3とが接触しているため、凹形状に撓んだ銅板4xがダミー突起部60によって支持される。このため、ダミー突起部60の高さにより銅板4xと保護膜3との間の距離が定まるため、ダミー突起部60により銅板4xの凹形状または撓み度合いを調整することができる。特に、ダミー突起部60を突起部4aとは反対側の再配線パターン4の端部に設けることにより、再配線パターン4の凹形状または撓み度合いを調整することができる。
(13)パッド電極領域5cにおいて、再配線パターン4の表面S2にダミー突起部60を形成し、再配線パターン4の表面S2の反対側に外部接続電極9を形成することにより、外部接続電極9がダミー突起部60によって支持される。このため、外部接続電極9の上下方向の位置のずれが生じにくくなり、外部接続電極9を実装基板等に接続する場合の接続信頼性が向上する。
(14)再配線パターン4から絶縁層7内に突出するダミー突起部60を設けたことで、半導体基板1から発生する熱がダミー突起部60を介して再配線パターン4に伝導するようになる。このため、ダミー突起部60を設けない場合に比べ、半導体基板1からの熱を再配線パターン4へ放熱する際の熱抵抗が減少し、半導体モジュールとしての放熱性が向上する。この結果、半導体モジュールの温度上昇が抑制され、再配線パターン4と絶縁層7との間の熱応力が低減されるので、再配線パターン4が絶縁層7からの剥離することが防止される。
なお、本発明は、ここまでで説明した各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。たとえば、各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
上記第1実施形態では、半導体基板1の電極2のピッチをより広くするために、突起部4aを絶縁層7に埋め込むようにして銅板4x、絶縁層7、及び半導体基板1を積層させて再配線パターン4を形成し、再配線パターン4上に外部接続電極9を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、突起部を有する銅板を用いて所定のパターンからなる配線層を繰り返し形成して多層化するようにしてもよい。これによれば、多層配線のビルドアップをより簡便に行うことができるとともに、多層配線内における各突起部の接続信頼性(耐熱信頼性)を向上させることができる。
上記第2実施形態では、銅からなる再配線パターン4のポスト部4cの露出面に外部接続電極9を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、ポスト部4cの露出面に、選択めっき法を用いて金めっき層(電解Au/Niめっき膜)を形成した後、外部接続電極9を形成するようにしてもよい。このようにすることで、ポスト部と外部接続電極との間の接続信頼性を向上させることができる。
上記第4実施形態では、半導体素子を構成する集積回路と接続された電極2とこれに接続する突起部4aを複数設け、こうした突起部4a間を接続する再配線パターン4(配線領域5b1)を半導体基板1側に凹ませる例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、電極2の一方に集積回路と接続されていないダミー電極を採用し、ダミー電極上の突起部と電極2上の突起部との間における再配線パターンを凹ませるようにしてもよい。また、突起部4aの一方に電極2と接続していないダミー突起部を採用し、ダミー突起部と突起部との間における再配線パターンの上面を凹ませるようにしてもよい。こうした場合にも、上記効果を享受することができる。特にダミー突起部を設ける場合には、突起部の配置に関する設計自由度が向上するため、再配線パターン4の上面の凹み量H4をより制御しやすくなる。
上記第6実施形態では、突起部4aより高さが低いダミー突起部60を形成するために、オーバーエッチングが施されていたが、本発明はこれに限らず、たとえば、レジストマスクPR1を選択的に除去し、レジストマスクPR1’を残した状態で、突起部4aの頂部面にめっき膜(たとえば、膜厚5μm)を形成してもよい。これにより、ダミー突起部60の高さを突起部4aの高さより低くすることができる。
上記実施形態では、銅板と一体的に設けた突起部を円錐台で、その先端部に近づくにつれて径(寸法)が細くなるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、所定の径を有する円柱状の突起部であってもよい。また、突起部として円錐台のものを採用したが、四角形などの多角形であってもよい。この場合にも、突起部に加わる剥離方向の応力が緩和され、半導体基板の電極と突起部との間の接続信頼性(耐熱信頼性)を向上させることができる。
上記実施形態では、絶縁層を介して銅板と半導体ウエハを圧着する工程において、平面的に膜厚が均一な絶縁層を採用した例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、再配線パターンを凹ませたい領域に対応する部分の絶縁層に、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて予め凹部を形成しておき、こうした凹部を有する絶縁層を介して銅板と半導体ウエハを圧着するようにしてもよい。
(第7実施形態)
図20は本発明の第7実施形態に係る半導体モジュールの概略断面図である。
第7実施形態の半導体モジュールにおける半導体基板1には、基材としてP型シリコン基板1aが採用され、周知の技術によりその内部に所定の電気回路などの半導体素子2が形成されている。そして、P型シリコン基板1aの表面Sには、半導体素子(たとえば、LSI素子)2と電気的に接続された電極2aと、半導体素子2と電気的に接続されていないダミー電極2bとが形成されている。さらに、P型シリコン基板1a上には半導体素子2を保護するための保護膜3が設けられている。なお、電極2aおよびダミー電極2bの材料にはアルミニウム(Al)や銅(Cu)などの金属が採用され、保護膜3にはシリコン酸化膜(SiO2)やシリコン窒化膜(SiN)などの絶縁膜が採用される。
電極2aおよびダミー電極2bの上には絶縁層7が形成され、この絶縁層7上には所定のパターンを有する再配線パターン4が形成されている。そして、この再配線パターン4には、再配線パターン4と一体的に形成されるとともに、絶縁層7を貫通して電極2aに接する第1の導体部4aが形成されている。さらに、第1の導体部4aが突出する面と同じ側に、絶縁層7を貫通してダミー電極2bに接する第2の導体部4bが一体的に設けられている。
再配線パターン4の上面(第1の導体部4aと第2の導体部4bが突出する面とは反対側の面)側には、第2の導体部4bと重畳する位置に外部接続電極(はんだボール)9が設けられている。そして、半導体基板1上の絶縁層7および再配線パターン4を覆うようにソルダーレジスト層8が設けられ、外部接続電極9はこのソルダーレジスト層8から上方に突出し露出している。
なお、半導体基板1は本発明の「基板」、半導体素子2は本発明の「半導体素子」、電極2aは本発明の「第1の電極」、ダミー電極2bは本発明の「第2の電極」、第1の導体部4aは本発明の「第1の導体部」、第2の導体部4bは本発明の「第2の導体部」、絶縁層7は本発明の「絶縁層」、再配線パターン4は本発明の「配線層」、及び外部接続電極9は本発明の「外部電極」の一例である。
(製造方法)
図21は各導体部を有する銅板の形成方法を説明するための概略断面図である。
まず、図21(A)に示すように、少なくとも第1の導体部4a(または第2の導体部4b)の高さと再配線パターン4の厚さとの和よりも大きい厚さを有する導電体、たとえば、銅板4zを用意する。銅板4zの厚さは約300μmである。また、銅板4zとしては圧延された銅からなる圧延金属が採用される。銅からなる圧延金属は、めっき処理などによって形成された銅からなる金属膜と比較すると、機械的強度の点において強く、再配線のための材料として優れている。
図21(B)に示すように、リソグラフィ技術を用いて各半導体モジュール形成領域6内における導体部形成領域にレジストマスクPRを形成する。ここで、導体部形成領域の配列は半導体基板1の各電極(電極2a、ダミー電極2b)の位置に対応している。
図21(C)に示すように、レジストマスクPRをマスクとして、薬液を用いたウェットエッチング処理を行い、銅板4zを加工する。これにより、銅板4yの下面側から突出する第1の導体部4aおよび第2の導体部4bを一括して形成する。この際、第1の導体部4aは、円錐台形状に設けられ、その具体的な形状は、半導体基板1の電極2aとの接触面と平行な先端部4a1と、この先端部4a1に近づくにつれて径(寸法)が細くなるように形成された側面部4a2とを備えており、円錐形の先端部を除去しその断面形状が台形状をなしている。第1の導体部4aの高さは約35μmとし、第1の導体部4aの先端(先端部4a1)の径および基面(銅板との連結部)の径はそれぞれ約30μmφおよび約40μmφとしている。なお、本実施形態では、第2の導体部4bは、同様に加工され、第1の導体部4aと同じ円錐台形状に仕上がっている。
図21(D)に示すように、レジストマスクPRを除去する。これにより、銅板4yの一方の面側(下面側)に対して第1の導体部4aおよび第2の導体部4bが一体的に形成される。
図21(E)に示すように、薬液を用いたウェットエッチング処理により、上面側(各導体部が突出する面とは反対側の面)から銅板4yの全体をエッチングすることにより銅板4yを薄膜化する。これにより、所定の厚さ(再配線パターン4の厚さ)に加工され、一方の面側(下面側)に所定の第1の導体部4aおよび第2の導体部4bが一体的に設けられた銅板4xが形成される。本実施形態の銅板4xの厚さは約20μmである。なお、銅板4xは本発明の「導電体」の一例である。
このように製造した第1の導体部4aおよび第2の導体部4bを有する銅板4xを別途用意しておき、以下に説明する第7実施形態での半導体モジュールの製造プロセスに採用する。図22および図23は第7実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスを説明するための概略断面図である。
まず、図22(A)に示すように、P型シリコン基板1aに対してスクライブライン5により区画した複数の半導体モジュール形成領域6を設けた半導体基板1を用意する。半導体基板1の表面S側には、半導体モジュール形成領域6ごとに、半導体素子2、電極2a、ダミー電極2b、及び保護膜3が形成されている。なお、このような半導体基板1は、通常のリソグラフィ技術、エッチング技術、イオン注入技術、成膜技術、及び熱処理技術などを組み合わせた半導体製造プロセスにより製造される。
図22(B)に示すように、半導体基板1と、第1の導体部4aおよび第2の導体部4bが一体的に形成された銅板4xとの間に絶縁層7を挟持するように配置する。絶縁層7の厚さは第1の導体部4aおよび第2の導体部4bの高さと同程度の約35μmである。絶縁層7としては加圧したときに塑性流動を引き起こす材料が好ましい。その材料としては、たとえば、エポキシ系熱硬化型樹脂が挙げられる。なお、第1の導体部4aおよび第2の導体部4bを有する銅板4xの形成方法は前述の通りである。
図22(C)に示すように、上記のように挟持した上でプレス装置を用いて加圧成形することにより、半導体基板1、絶縁層7、及び銅板4xを一体化させる。プレス加工時の圧力および温度はそれぞれ約5MPaおよび200℃である。このプレス加工により、絶縁層7はその粘度が低下し、塑性流動を起こす。これにより、第1の導体部4aは絶縁層7を貫通し、第1の導体部4aと電極2aとが電気的に接続される。さらに、第2の導体部4bが絶縁層7を貫通し、第2の導体部4bとダミー電極2bとが接するように形成される。なお、第1の導体部4aがその先端部4a1に近づくにつれて径(寸法)が細くなるように形成された側面部4a2を有することにより、第1の導体部4aが絶縁層7をスムースに貫通する。この結果、第1の導体部4aと電極2aとの界面から絶縁層7が効果的に押し出されるため絶縁層7の一部が界面に残存しにくくなる。
図22(D)に示すように、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて銅板4xを加工することにより所定のパターンを有する再配線パターン4を形成する。
次に、図23(A)に示すように、半導体基板1上に設けた絶縁層7および再配線パターン4を覆うようにソルダーレジスト層8を形成する。このソルダーレジスト層8は再配線パターン4の保護膜として機能する。ソルダーレジスト層8にはエポキシ樹脂などが採用され、その膜厚は、たとえば、約40μmである。そして、このソルダーレジスト層8に対して再配線パターン4上の外部接続電極形成領域に開口部8aを形成する。
続いて、はんだ印刷法を用いてソルダーレジスト層8の開口部8a内の再配線パターン4上に外部接続端子として機能する外部接続電極(はんだボール)9を形成する。具体的には、樹脂とはんだ材をペースト状にしたはんだペーストをスクリーンマスクにより所望の箇所に印刷し、はんだ溶融温度に加熱することで外部接続電極9を形成する。
図23(B)に示すように、複数の半導体モジュール形成領域6を区画するスクライブライン5に沿ってダイシングすることにより半導体基板1を個別化する。この後、薬液による洗浄処理を行うことでダイシング時に発生する残渣などを除去する。
これらの工程により先の図20に示した第7実施形態の半導体モジュールが製造される。
この第7実施形態の半導体モジュールおよびその製造方法によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(15)再配線パターン4から絶縁層7内に突出する第2の導体部4bを設けたことで、再配線パターン4と絶縁層7との間の接触面積が増加するとともに、第2の導体部4bのアンカー効果により、再配線パターン4と絶縁層7の界面(接触面)での密着性が向上する。このため、半導体モジュールの動作時に生じる熱応力により再配線パターン4が絶縁層7から剥離することを防止することができる。
(16)再配線パターン4から絶縁層7内に突出する第2の導体部4bを設けたことで、半導体基板1から発生する熱が第2の導体部4bを介して再配線パターン4に伝導するようになる。このため、従来の第2の導体部4bを設けない場合に比べ、半導体基板1からの熱を再配線パターン4へ放熱する際の熱抵抗が減少し、半導体モジュールとしての放熱性が向上する。この結果、半導体モジュールの温度上昇が抑制され、再配線パターン4と絶縁層7との間の熱応力が低減されるので、再配線パターン4が絶縁層7からの剥離することが防止される。
(17)第2の導体部4bを半導体基板1と接するようにしたことで、動作時に半導体基板1から発生する熱が第2の導体部4bを介して再配線パターン4に伝導されやすくなる。このため、上記(16)の効果をより顕著に享受することができる。
(18)再配線パターン4上の、第2の導体部4bと畳重する位置に外部接続電極9を設けたことで、動作時に半導体基板1から発生する熱が第2の導体部4bと再配線パターン4を介してより効率的に外部に放出されるようになる。このため、上記(16)または(17)の効果より顕著に享受することができる。
(19)第2の導体部4bの先端部を半導体基板1に設けたダミー電極2bと接触させたことで、その接触面は金属同士による接着状態となる。このため、半導体モジュールの温度が上昇する場合であっても、第2の導体部4bとダミー電極2bの熱膨張係数の差が小さいために、第2の導体部4bの先端部が絶縁性の樹脂材料と接触する場合に比べて、先端部における密着強度が向上する。この結果、再配線パターン4と絶縁層7の間の密着性をさらに向上させることができる。
(20)第2の導体部4bとダミー電極2bとを同一の金属(たとえば、銅)からなるようにすることで、第2の導体部4bとダミー電極2bの熱膨張係数が同じになる。このため、上記(19)の効果をより顕著に享受することができる。
(21)ダミー電極2bの露出部を金(Au)とし、第2の導体部4bの先端に金(Au)めっき処理を施した場合には、両者の接触後に熱処理を行うことによりAlとAuが合金化されるため、ダミー電極2bと第2の導体部4bとの密着性をさらに向上させることができる。
(22)第2の導体部4bの形成と埋設を、第1の導体部4aの形成工程と圧着工程をそのまま利用して行うので、従来の薬液処理やプラズマ処理などによる密着性改善処理を別途行う場合に比べて、再配線パターン4と絶縁層7との間の密着性が向上した半導体モジュールを低コストで製造することができる。
(23)第2の導体部4bを再配線パターン4からはみ出さないように形成する場合には、再配線パターン4のレイアウトを変更することなく第2の導体部4bを配置できる。
(24)第2の導体部4bを配置したことで、プレス加工時の銅板4x(加工後の再配線パターン4)のたわみを最適に調整することができる。このため、再配線パターン4のパターニング精度および微細化の向上に寄与することができる。
(第8実施形態)
図24は本発明の第8実施形態に係る半導体モジュールを説明するための概略断面図である。第7実施形態と異なる箇所は、半導体基板1にダミー電極2bを配置せず、第2の導体部4bを半導体基板1の保護膜3に接するように形成していることである。それ以外については第7実施形態と同様である。
この第8実施形態の半導体モジュールおよびその製造方法によれば、上記(15)〜(18)および(22)〜(24)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(25)半導体基板1にダミー電極2bを設けないので、別途用意する半導体基板1に対して、再配線パターン4および第2の導体部4bに関するレイアウト自由度が向上する。このため、半導体モジュールの低コスト化を図ることができる。
(26)銅板4xへの第1の導体部4aの形成時に、第2の導体部4bを形成するだけの変更で、再配線パターン4と絶縁層7との間の密着性を向上させている。そのため、少なくとも上記(15)〜(18)に記載のような好適な半導体モジュールを容易に製造することができる。
(第9実施形態)
図25は本発明の第9実施形態に係る半導体モジュールを説明するための概略断面図である。第8実施形態と異なる箇所は、外部接続電極9の直下に設けていた第2の導体部4bを第1の導体部4aと外部接続電極9との間に配置していることである。それ以外については第8実施形態と同様である。
この第9実施形態の半導体モジュールおよびその製造方法によれば、上記(15)〜(18)および(22)〜(24)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(27)第2の導体部4bを第1の導体部4aと外部接続電極9との間に設けるようにしたことで、第2の導体部4bのレイアウト自由度が向上する。このため、第2の導体部4bを半導体基板1上のより効果的な再配線パターン部分に配置し、動作時に半導体基板1から発生する熱を再配線パターン4により効率的に伝導させることができる。この結果、上記(16)または(17)の効果より顕著に享受することができる。
(28)第2の導体部4bを再配線パターン4からはみ出さないように形成する場合には、再配線パターン4のレイアウトを変更することなく第2の導体部4bを配置できるため、第2の導体部4bのレイアウト自由度がさらに向上する。
次に、本発明の半導体モジュールを備えた携帯機器について説明する。なお、携帯機器として携帯電話に搭載する例を示すが、たとえば、個人用携帯情報端末(PDA)、デジタルビデオカメラ(DVC)、音楽プレーヤ、及びデジタルスチルカメラ(DSC)といった電子機器であってもよい。
図26は本発明の実施形態に係る半導体モジュールを備えた携帯電話の構成を示す図である。携帯電話110は、第1の筐体112と第2の筐体114が可動部120によって連結される構造になっている。第1の筐体112と第2の筐体114は可動部120を軸として回動可能である。第1の筐体112には文字や画像等の情報を表示する表示部118やスピーカ部124が設けられている。第2の筐体114には操作用ボタンなどの操作部122やマイク部126が設けられている。なお、本発明の各実施形態に係る半導体モジュールはこうした携帯電話110の内部に搭載されている。なお、このように、携帯電話に搭載した本発明の半導体モジュールとしては、各回路を駆動するための電源回路、RF発生するRF発生回路、DAC、エンコーダ回路、携帯電話の表示部に採用される液晶パネルの光源としてのバックライトの駆動回路などとして採用することが可能である。
図27は図26に示した携帯電話の部分断面図(第1の筐体112の断面図)である。本発明の各実施形態に係る半導体モジュール130は、外部接続電極9を介してプリント基板128に搭載され、こうしたプリント基板128を介して表示部118などと電気的に接続されている。また、半導体モジュール130の裏面側(外部接続電極9とは反対側の面)には金属基板などの放熱基板116が設けられ、たとえば、半導体モジュール130から発生する熱を第1の筐体112内部に篭もらせることなく、効率的に第1の筐体112の外部に放熱することができるようになっている。
本発明の実施形態に係る半導体モジュールを備えた携帯機器によれば、以下の効果を得ることができる。
(29)第1実施形態乃至第6実施形態の半導体モジュールを用いた場合:半導体モジュール130の動作時に熱応力が発生した際に、突起部に加わる剥離方向(基板から引き離される方向)の応力が緩和され、半導体モジュールにおける電極と突起部との間の接続信頼性(耐熱信頼性)が向上するので、こうした半導体モジュール130を搭載した携帯機器の信頼性(耐熱信頼性)が向上する。
(30)第7実施形態乃至第9実施形態の半導体モジュールを用いた場合:半導体モジュール130の動作時に生じる熱応力により半導体モジュール内の再配線パターン4が絶縁層7から剥離することが防止され、半導体モジュール130の信頼性(耐熱信頼性)が向上するので、こうした半導体モジュール130を搭載した携帯機器の信頼性(耐熱信頼性)が向上する。
(31)放熱基板116を介して半導体モジュール130からの熱を効率的に外部に放熱することができるので、半導体モジュール130の温度上昇が抑制され、再配線パターン4と絶縁層7との間の熱応力が低減される。このため、放熱基板116を設けない場合に比べ、電極と突起部との間の接続信頼性(耐熱信頼性)が向上し、または、半導体モジュール内の再配線パターン4が絶縁層7から剥離することが防止され、半導体モジュール130の信頼性(耐熱信頼性)が向上する。この結果、携帯機器の信頼性(耐熱信頼性)を向上させることができる。
(32)上記実施形態で示したウエハレベルCSP(Chip Size Package)プロセスにより製造された半導体モジュール130は薄型化・小型化されるので、こうした半導体モジュール130を搭載した携帯機器の薄型化・小型化を図ることができる。
なお、本発明は、第7実施形態以降の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。たとえば、各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
上記実施形態では、銅板と一体的に設けた各導体部を円錐台で、その先端部に近づくにつれて径が細くなるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、所定の径を有する円柱状の導体部であってもよい。また、導体部として円錐台のものを採用したが、四角形などの多角形であってもよい。こうした場合にも上記効果を享受することができる。
上記実施形態では、第1の導体部4aと第2の導体部4bとを同一形状で同一寸法とした例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、導体部の形状や寸法を互いに異なるようにしてもよい。
上記実施形態では、電極2aを再配置するための再配線パターン4ごとに第2の導体部4bを1箇所配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、第2の導体部4bを複数(2箇所以上)配置するようにしてもよい。この場合には第2の導体部4bごとの効果により、再配線パターン4と絶縁層7の界面(接触面)での密着性がさらに向上する。
上記実施形態では、第1の導体部4aおよび第2の導体部4bを絶縁層7に埋め込むようにして銅板4x、絶縁層7、及び半導体基板1を積層させて再配線パターン4を形成した後、この再配線パターン4上に外部接続電極9を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、各導体部(下層の配線層と電気的に接続する第1の導体部と下層の配線層とは接続しない第2の導体部)を有する銅板を用いて所定のパターンからなる配線層を繰り返し形成して多層化するようにしてもよい。これによれば、多層配線のビルドアップをより簡便に行うことができるとともに、多層配線内における配線層の密着性(耐熱信頼性)を向上させることができる。
1・・・半導体基板、2・・・電極、3・・・保護膜、4・・・再配線パターン、4a・・・突起部、4a1・・・突起部の先端部、4a2・・・突起部の側面部、5a・・・突起領域、5b・・・配線領域、5c・・・パッド電極領域、7・・・絶縁層、8・・・ソルダーレジスト層。