JP5114298B2 - 植物系繊維材料の糖化分離方法 - Google Patents
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Description
従来、セルロースやヘミセルロースを分解してグルコース等の糖を生成する種々の方法が提案されており(例えば、特許文献1〜4等)、一般的な方法としては、希硫酸や濃硫酸等の硫酸、塩酸を用いてセルロースを加水分解する方法(特許文献1等)が挙げられる。また、セルラーゼ酵素を用いる方法(特許文献2等)、活性炭やゼオライト等の固体触媒を用いる方法(特許文献3等)、加圧熱水を用いる方法(特許文献4等)もある。
さらに、硫酸や塩酸等の酸は、分離、回収して再利用することが非常に困難である。そのため、これら酸をグルコース生成の触媒として用いることは、バイオエタノールのコストを引き上げる原因の一つとなっている。
また、上記特許出願においては、植物系繊維材料の加水分解により生成した糖と、クラスター酸触媒の分離方法についても提案している。具体的には、加水分解後、生成した糖と、クラスター酸触媒とを含む反応混合物に、有機溶媒を添加することで、クラスター酸を溶解する一方、糖は固形分として、残渣と共に該クラスター酸有機溶媒と分離させる方法を提案している。
本発明の第1の糖化分離方法によれば、植物系繊維材料の加水分解により生成する、グルコースを主とする糖の脱水反応(過反応)の抑制し、糖の収率を高めることが可能である。
本発明の第2の糖化分離方法によれば、植物系繊維材料の加水分解により生成する、グルコースを主とする糖の脱水反応(過反応)の抑制し、糖の収率を高めることが可能である。
本発明の第3の糖化分離方法によれば、植物系繊維材料の加水分解により生成する、グルコースを主とする糖の脱水反応(過反応)の抑制し、糖の収率を高めることが可能である。
本発明の第3の糖化分離方法では、クラスター化促進処理において、前記擬融解状態のクラスター酸触媒と加熱攪拌する前記植物系繊維材料を、前記一回投入可能な量の植物系繊維材料の10重量%以下とすることが好ましく、また、該擬融解状態のクラスター酸触媒の粘度を変化させない量であることが好ましい。
本発明者らの検討の結果、上記クラスター酸触媒を用いた植物系繊維材料の糖化分離方法において、未使用の新品クラスター酸試薬を用いた場合、加水分解の反応初期(具体的には反応温度70℃において反応開始から10分間)において、生成したグルコース等の単糖の脱水反応(過反応)が進行し、逆に、その後(具体的には反応温度70℃において反応開始から10分後以降)は単糖の脱水反応が進行しない、という知見を得た。単糖の脱水反応は、糖収率を低下させるため、充分に抑制することが重要である。糖の脱水反応を抑制する方法として、加水分解反応工程の反応温度の低下が挙げられるが、反応時間の長期化を招くほか、反応安定性が低下するおそれがある。
(A):未使用の新品ヘテロポリ酸試薬を室温(20〜25℃)でエタノールに溶解した後、エタノールを蒸発させ、乾燥させたヘテロポリ酸(比較例1参照)
(B):未使用の新品ヘテロポリ酸試薬とエタノールとを60℃で加熱しながら攪拌し、45℃まで温度を下げ、攪拌容器内を真空引きしてエタノールを急速に蒸発させ、乾燥させたヘテロポリ酸(実施例1参照)
(C)植物系繊維材料の加水分解触媒として使用したヘテロポリ酸を含有するエタノール中に、未使用品のヘテロポリ酸試薬を加え(使用済みヘテロポリ酸:未使用のヘテロポリ酸=9:1)、50℃で加熱攪拌した後、攪拌容器内を真空引きしてエタノールを急速に蒸発させ、乾燥させたヘテロポリ酸(実施例2参照)
一方、(B)及び(C)のヘテロポリ酸のIR測定では、ピークシフトが観察された。具体的には、結晶により規制されたH2O分子の吸収ピーク(図3の3200cm-1付近の吸収ピーク)が減少し、強酸性の担体上のOH基の吸収ピーク(図3の3500cm-1付近の吸収ピーク)が増加した。すなわち、植物系繊維材料の加水分解工程や、ヘテロポリ酸が可溶なエタノール中における加熱攪拌によって、ヘテロポリ酸は、ヘテロポリ酸数分子で構成されたクラスター状に変化することがわかった。また、(B)及び(C)のヘテロポリ酸を植物系繊維材料の加水分解触媒として用いたところ、糖の収率は(B)では83.5%、(C)では86.5%となり、(A)を用いた場合と比較して糖収率が大幅に増加することが確認された。
クラスター化促進処理によって、加水分解反応系におけるクラスター酸触媒の拡散速度が高くなるため、加水分解反応速度が増加するという効果も得られる。
尚、ここでは結晶状態のクラスター酸触媒、及び、数分子のクラスター酸触媒で構成されるクラスター状態のクラスター酸触媒と、水和又は配位する水を、一般的に使用される「結晶水」という用語で代用する。この結晶水にはクラスター酸触媒を構成するアニオンと水素結合したアニオン水、カチオンに配位した配位水、カチオン及びアニオンと配位しない格子水の他、OH基の形で含まれているものも含まれる。
また、クラスター状態のクラスター酸触媒とは、1〜数分子程度のクラスター酸から構成される集合体であり、結晶とは異なる。固体状態、擬融解状態、溶媒中に溶解(コロイド状)した状態でもクラスター状態とすることができる。
尚、IR測定において、上記H2O分子に由来する吸収ピークは、強酸性の担体に結合したOH基に由来する吸収ピークの吸収に限らず、ブロードなピークとして観察されるのが一般的である。
このような高波数シフトと低感度化は、クラスター酸触媒のクラスター化による以下の構造変化から起こる。WO6八面体はWのイオン半径が0.074nmと小さいため、図1のようにWOは非常にタイトになっている。クラスター化による表面エネルギー安定化が起こり、さらに球に近い形に歪むと、WO6の対称性は下がり、さらにWO6距離が短くなる。このため、感度低下と結合強度アップにより、散乱と高波数シフトが同時に起こることになる。この現象はリンタングステン酸だけでなく、他のクラスター酸でも同様に生じるため、ラマン分光測定によりクラスター酸触媒の構造変化を観察することで、クラスター酸触媒のクラスター状態を確認することができる。
本明細書において、「一回投入可能な量の植物繊維材料」とは、加水分解工程において使用する擬融解状態のクラスター酸触媒(加水分解工程における使用量)に混合したときに、該混合物が全体的に均一な捏和混練状態となる量である。このとき該混合物において該植物系繊維材料は乾燥状態にない。この植物系繊維材料の一回投入可能量は、混練機の種類により変動するため、一概に決定することはできないが、一般的には、一回投入可能な量の植物系繊維と、加水分解工程において使用する擬融解状態のクラスター酸触媒の重量比(植物系繊維:クラスター酸触媒)が1:2〜1:6程度が好ましい。
また、本明細書において、「加水分解工程において、反応系全体として一回投入可能な量の植物繊維材料が投入された時点」とは、加水分解工程において、加水分解工程において使用されるクラスター酸触媒に対して混合される植物系繊維材料の量が、上記「一回投入可能な量」に達した時点を意味する。
尚、ここでは、主としてセルロースからグルコースを生成させる工程を中心に説明しているが、植物系繊維材料にはセルロース以外にヘミセルロースも含まれ、また、生成物もグルコース以外にキシロース等のその他の単糖もあり、これらの場合も本発明の範囲に含まれる。
これら繊維材料は、反応系における分散性の観点から、通常、粉末状のものを用いる。粉末状にする方法としては、一般的な方法に準じればよい。クラスター酸触媒との混合性、反応機会向上の観点から、植物系繊維材料は、数μm〜200μm程度の直径を有する粉末状であることが好ましい。
蒸解処理としては、例えば、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Na2SO3、NaHCO3、NaHSO3、Mg(HSO3)2、Ca(HSO3)2などのアルカリや塩及びその水溶液、これらにさらにSO2溶液を混合したもの、NH3等のガスと、植物系繊維材料(例えば、数cm〜数mm)を、水蒸気下で接触させる方法が挙げられる。具体的な条件として、反応温度は120〜160℃、反応時間は数十分から1時間程度でよい。
上記したように、加水分解工程において、クラスター酸触媒は擬融解状態となり、反応溶媒としても機能するため、本発明においては、植物系繊維材料の形態(大きさ、繊維の状態等)、クラスター酸触媒と植物系繊維材料の混合比及び体積比等にもよるが、加水分解工程において、反応溶媒としての水や有機溶剤等を用いなくてよい。
以上のように、クラスター酸の結晶水量は容易にコントロールが可能であり、結晶水量の制御によりセルロースの加水分解反応温度も容易に調整可能である。
また、植物系繊維材料として、乾燥状態のものを用いる場合には、特に考慮する必要がないが、水分を含む植物系繊維材料を用いる場合には、反応系内に存在する水分量として、該植物系繊維材料が含有する水分量も考慮することが好ましい。
また、加水分解工程の温度によって、植物系繊維材料に含まれるセルロースの加水分解のグルコース生成の選択性が変化する。反応温度が高くなると反応率が高くなることは一般的なことであり、例えば、特願2007−115407にて報告したように、結晶水率160%のリンタングステン酸を用いたセルロースの加水分解反応においても、50℃〜90℃における反応率Rは温度が高くになるにつれて上昇し、80℃位ではほぼ全てのセルロースが反応する。一方、グルコースの収率ηは、50℃〜60℃にかけてはセルロースの反応率と同様の増加傾向を示すが、70℃をピークに減少する。すなわち、50〜60℃において高選択的にグルコースが生成するのに対して、70〜90℃においてグルコース生成以外の反応、例えば、キシロース等のその他の糖生成や分解物生成等が進行する。
従って、加水分解の反応温度は、セルロースの反応率とグルコース生成の選択性を左右する重要な要素であり、エネルギー効率の観点から加水分解反応の温度は低いことが好ましい旨を述べたが、セルロースの反応率やグルコース生成の選択性等も考慮して加水分解反応の温度を決定することが好ましい。
加水分解工程におけるクラスター酸触媒と植物系繊維材料を含む混合物は粘度が高いため、その攪拌方法は、例えば、加熱ボールミル等が有利であるが、一般的な攪拌器でもよい。
固液分離により得られる固形分は、蒸留水等の水を添加し、攪拌することで、糖が水に溶解するため、さらに固液分離することによって、糖水溶液と、残渣等を含む固形分とを分離することができる。
特に好ましくは、加水分解反応混合物中に含まれる全てのクラスター酸触媒の結晶水率が100%未満となるように、加水分解反応混合物の水分量を調節することが好ましい。クラスター酸触媒が多くの結晶水、典型的には、標準結晶水量以上の結晶水を有する場合、過剰な水分に生成物である糖が溶解し、クラスター酸有機溶媒溶液側に糖が混入することによって糖の回収率が低下してしまう。クラスター酸触媒の結晶水率を100%未満とすることで、このようにクラスター酸触媒に糖が混入することを抑制することができる。
具体的なクラスター化促進処理の方法としては、以下の3つを挙げることができる。すなわち、(1)クラスター酸触媒と、該クラスター酸触媒を可溶な有機溶媒とを加熱攪拌する工程を備える方法、(2)植物系繊維材料をクラスター酸触媒を用いて加水分解する加水分解工程において、一回投入可能な量の植物系繊維材料の一部を、擬融解状態のクラスター酸触媒と加熱攪拌し、該植物系繊維材料の加水分解を行う方法、(3)クラスター酸触媒を擬融解状態で加熱攪拌する方法が挙げられる。以下、上記(1)〜(3)の方法について説明する。
クラスター酸触媒を可溶な有機溶媒としては、上記糖分離工程において使用可能な有機溶媒が挙げられる。中でも、クラスター酸の溶解度、沸点の観点から、エタノール、メタノールが好適である。
有機溶媒とクラスター酸触媒の混合割合は、特に限定されず、有機溶媒に対するクラスター酸触媒の溶解度等に応じて適宜選択することができる。また、加熱攪拌時間は、使用する有機溶媒に対するクラスター酸触媒の溶解度、加熱温度等に応じて、適宜決定すればよく、通常は、10分〜60分程度、又は30〜60分程度である。混合方法も特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
また、上記糖分離工程において、加水分解反応混合物に有機溶媒を添加、攪拌した後、固液分離により得られるクラスター酸有機溶媒溶液を、加熱攪拌することで、再利用するクラスター酸触媒のクラスター化を促進することもできる。
具体的には、減圧蒸留、凍結乾燥等によって、有機溶媒を除去することが好ましい。加熱により有機溶媒を除去することも可能であるが、クラスター酸のクラスター状態を維持させるという観点からは、低温(具体的には、65℃以下)において、有機溶媒を除去することが好ましく、上記のような減圧蒸留、凍結乾燥等が好適であるといえる。
その他、反応温度、圧力などは、上記加水分解工程と同様にすることができる。
このようなクラスター酸を擬融解状態で加熱攪拌する方法は、擬融解状態のクラスター酸を加水分解触媒として使用する加水分解工程の前準備工程として、既存の工程に容易に組み込むことができる。また、未使用のクラスター酸試薬を用いる場合であっても、加水分解工程における単糖の脱水反応を抑制することができる。
(クラスター酸触媒のクラスター化促進処理)
未使用のヘテロポリ酸(リンタングステン酸)試薬1kgと、エタノール500mlとを、加熱しながら攪拌し、60℃温度一定で1時間攪拌を行った。その後、45℃まで温度を下げ、攪拌容器内を真空引き(20kPa程度に減圧)して急速にエタノールを蒸発させ、粉末状のクラスター化促進処理ヘテロポリ酸を得た。
密閉容器内に、予め蒸留水を入れ、予定の反応温度(70℃)まで昇温し、容器内を飽和蒸気圧状態とし、容器内面に水蒸気を付着させた。
次に、図5に示すように、上記にて得られたクラスター化促進処理ヘテロポリ酸(予め結晶水量を測定済み)1kg、ヘテロポリ酸の結晶水量を100%にするために必要な水分とセルロースが加水分解してグルコースになるのに必要な水分(55.6g)との合計量からの不足分(上記70℃での飽和蒸気圧分の水分は除く)の蒸留水(35g)を容器に投入し、加熱攪拌し、容器内温度が70℃になってから、さらに5分間攪拌を続けた。
続いて、容器内に0.5kgのセルロースを投入し、70℃で2時間攪拌を続けた。その後、加熱を停止し、容器の密閉を開放し余分な水蒸気を排出させながら、室温まで冷却した。
一方、図7に示すように、上記にて回収した濾液1〜3(ヘテロポリ酸のエタノール溶液)は、45〜50℃で減圧蒸留を行い、エタノールを蒸発させ、ヘテロポリ酸を回収した。
尚、ここで、単糖の収率は、以下のようにして算出した。
(クラスター酸触媒のクラスター化促進処理)
まず、上記実施例1において、クラスター化促進処理を施していないヘテロポリ酸を使用すること以外は同様にして、セルロースの加水分解及び糖とヘテロポリ酸の分離を行い、ヘテロポリ酸のエタノール溶液を回収した。
回収したヘテロポリ酸のエタノール溶液(ヘテロポリ酸900g、エタノール300ml含有)に、未使用の約100gのヘテロポリ酸試薬を添加、溶解し、加熱しながら攪拌した。50℃で20分間攪拌した後、真空引き(20kPa程度に減圧)してエタノールを蒸発させ、粉末状のクラスター化促進処理ヘテロポリ酸を得た。
上記にて得られたクラスター化促進処理ヘテロポリ酸(予め結晶水量を測定済み)1kg、ヘテロポリ酸の結晶水量を100%にするために必要な水分とセルロースが加水分解してグルコースになるのに必要な水分(55.6g)との合計量からの不足分(上記70℃での飽和蒸気圧分の水分は除く)の蒸留水(35g)を容器に投入する以外は、実施例1と同様にして、セルロースの加水分解及び糖とヘテロポリ酸の分離を行った。単糖の収率は86.5%であった。
(クラスター酸触媒のクラスター化促進処理及びセルロースの糖化分離)
密閉容器内に、予め蒸留水を入れ、予定の反応温度(70℃)まで昇温し、容器内を飽和蒸気圧状態とし、容器内面に水蒸気を付着させた。
次に、未使用のヘテロポリ酸(予め結晶水量を測定済み)1kg、ヘテロポリ酸の結晶水量を100%にするために必要な水分とセルロースが加水分解してグルコースになるのに必要な水分(55.6g)との合計量からの不足分(上記70℃での飽和蒸気圧分の水分は除く)の蒸留水(35g)を容器に投入し、加熱攪拌し、容器内温度が70℃になってから、さらに5分間攪拌を続けた。
続いて、容器内に0.05kg[加水分解処理量(一回投入可能量)0.5kgの10wt%分]のセルロースを投入し、70℃で10分間攪拌した。その後、残りのセルロース0.45kg(加水分解処理量の90wt%分)を投入し、さらに、70℃で80分間攪拌を続けた。その後、加熱を停止し、容器の密閉を開放し余分な水蒸気を排出させながら、室温まで冷却した。
次に、実施例1と同様にして、加水分解反応混合物から糖とヘテロポリ酸を回収した。
単糖の収率は82.1%だった。
(クラスター酸触媒のクラスター化促進処理及びセルロースの糖化分離)
密閉容器内に、予め蒸留水を入れ、予定の反応温度(70℃)まで昇温し、容器内を飽和蒸気圧状態とし、容器内面に水蒸気を付着させた。
次に、未使用のヘテロポリ酸(予め結晶水量を測定済み)1kg、ヘテロポリ酸の結晶水量を100%にするために必要な水分とセルロースが加水分解してグルコースになるのに必要な水分(55.6g)との合計量からの不足分(上記70℃での飽和蒸気圧分の水分は除く)の蒸留水(35g)、さらに、50gの蒸留水を容器に投入し、加熱攪拌し、容器内温度が70℃になってから、さらに20分間攪拌を続けた。
続いて、容器内に0.5kgのセルロースを投入し、70℃で2時間攪拌した。その後、加熱を停止し、室温まで冷却した。
次に、実施例1と同様にして、加水分解反応混合物から糖とヘテロポリ酸を回収した。単糖の収率は75.1%だった。
未使用の新品ヘテロポリ酸試薬1.0gを室温(20〜25℃)でエタノール0.5mlに溶解した後、エタノールを蒸留し、乾燥させ、実施例1と同様にしてIR測定した。結果を図3に示す。また、実施例2と同様にしてラマン散乱の測定を行った。結果を図4に示す。
続いて、容器内に0.5kgのセルロースを投入し、70℃で2時間攪拌を続けた。その後、加熱を停止し、容器の密閉を開放し余分な水蒸気を排出させながら、室温まで冷却した。
その後、実施例1と同様にして、加水分解反応混合物から糖とヘテロポリ酸を回収した。単糖の収率は60.0%だった。
実施例1〜4及び比較例1について、単糖の収率を表1に示す。
また、図4に示すように、実施例2において使用したクラスター化促進処理を実施したヘテロポリ酸と、比較例1において使用した未使用の新品ヘテロポリ酸試薬のラマンスペクトルを比較すると、比較例1のクラスター酸触媒では、985cm-1付近に鋭い大きな散乱ピークが観察されたが、実施例2のクラスター酸触媒では、1558cm-1付近に大きな高波数へのシフトが起こり、且つ、ピーク強度が大幅に低下し、クラスター化が促進されたことが確認された。
Claims (10)
- 植物系繊維材料を加水分解し、グルコースを主とする糖を生成し、分離する植物系繊維材料の糖化分離方法であって、
擬融解状態のクラスター酸触媒を用いて、前記植物系繊維材料に含まれるセルロースを加水分解し、グルコースを生成させる加水分解工程を備えており、
結晶状態のクラスター酸触媒のクラスター化を促進する処理であって、処理前と比較して、IRスペクトルにおいて結晶中に挟まれたH 2 O分子に由来する3200cm -1 付近のピーク強度を小さくし、且つ、IRスペクトルにおいて強酸に結合したOHに由来する3500cm -1 付近のピーク強度を大きくする、クラスター化促進処理を、前記加水分解工程の前に行うことを特徴とする、植物系繊維材料の糖化分離方法。 - 前記クラスター化促進処理が、前記クラスター酸触媒と、該クラスター酸触媒を可溶な有機溶媒とを、加熱攪拌する工程、及び、該加熱攪拌工程後、前記有機溶媒を除去する工程、を備える、請求項1に記載の糖化分離方法。
- 前記クラスター化促進処理において、前記クラスター酸触媒と、前記有機溶媒とを、65℃以下で加熱攪拌する、請求項2に記載の糖化分離方法。
- 植物系繊維材料を加水分解し、グルコースを主とする糖を生成し、分離する植物系繊維材料の糖化分離方法であって、
擬融解状態のクラスター酸触媒を用いて、前記植物系繊維材料に含まれるセルロースを加水分解し、グルコースを生成させる加水分解工程と、
前記加水分解工程後の反応混合物に、前記クラスター酸触媒が可溶な有機溶媒を添加し、該クラスター酸触媒及び該有機溶媒を含む液体分と、前記糖を含む固体分と、に固液分離する糖分離工程と、
前記糖分離工程後の前記クラスター酸触媒を、植物系繊維材料の加水分解に再利用する加水分解工程と、
を備え、
結晶状態のクラスター酸触媒のクラスター化を促進する処理であって、処理前と比較して、IRスペクトルにおいて結晶中に挟まれたH 2 O分子に由来する3200cm -1 付近のピーク強度を小さくし、且つ、IRスペクトルにおいて強酸に結合したOHに由来する3500cm -1 付近のピーク強度を大きくする、クラスター化促進処理を、前記再利用加水分解工程の前に行い、
前記クラスター化促進処理が、前記糖分離工程において得られる前記液体分に、該糖分離工程におけるクラスター酸触媒の損失分を補充するために結晶状態のクラスター酸触媒を添加し、加熱攪拌する工程を備えることを特徴とする、植物系繊維材料の糖化分離方法。 - 植物系繊維材料を加水分解し、グルコースを主とする糖を生成し、分離する植物系繊維材料の糖化分離方法であって、
擬融解状態のクラスター酸触媒を用いて、前記植物系繊維材料に含まれるセルロースを加水分解し、グルコースを生成させる加水分解工程を備えており、
結晶状態のクラスター酸触媒のクラスター化を促進する処理であって、処理前と比較して、IRスペクトルにおいて結晶中に挟まれたH 2 O分子に由来する3200cm -1 付近のピーク強度を小さくし、且つ、IRスペクトルにおいて強酸に結合したOHに由来する3500cm -1 付近のピーク強度を大きくする、クラスター化促進処理を、前記加水分解工程の初期に行い、
前記クラスター化促進処理が、前記加水分解工程の初期において、一回投入可能な量の植物系繊維材料の一部を、前記擬融解状態のクラスター酸触媒と加熱攪拌し、該植物系繊維材料の加水分解を行うことを特徴とする、植物系繊維材料の糖化分離方法。 - 前記クラスター化促進処理において、前記擬融解状態のクラスター酸触媒と加熱攪拌する前記植物系繊維材料は、前記一回投入可能な量の植物系繊維材料の10重量%以下である、請求項5に記載の糖化分離方法。
- 前記クラスター化促進処理において、前記擬融解状態のクラスター酸触媒と加熱攪拌する前記植物系繊維材料は、該擬融解状態のクラスター酸触媒の粘度を変化させない量である、請求項5又は6に記載の糖化分離方法。
- 前記クラスター化促進処理が、前記クラスター酸触媒を擬融解状態で加熱攪拌するものである、請求項1に記載の糖化分離方法。
- 前記クラスター化促進処理において、前記クラスター酸触媒が擬融解状態になり始める温度よりも5〜10℃以上高い温度で、加熱攪拌する、請求項8に記載の糖化分離方法。
- 前記クラスター酸促進処理において、前記クラスター酸触媒を、該クラスター酸触媒の結晶水率が100%以上となる量の水と加熱攪拌する、請求項8又は9に記載の糖化分離方法。
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