JPH08299000A - 植物系繊維材料からグルコースを製造する方法 - Google Patents
植物系繊維材料からグルコースを製造する方法Info
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- JPH08299000A JPH08299000A JP11157795A JP11157795A JPH08299000A JP H08299000 A JPH08299000 A JP H08299000A JP 11157795 A JP11157795 A JP 11157795A JP 11157795 A JP11157795 A JP 11157795A JP H08299000 A JPH08299000 A JP H08299000A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】セルロース繊維を含む植物系繊維材料を効率よ
く、かつ比較的穏和な条件で加水分解してグルコースを
良好な収率をもって製造する。 【構成】植物系繊維材料をリンのオキソ酸(例えば、リ
ン酸)を包含する溶媒に実質的に均一に溶解し、その溶
液をハロゲン化水素等の無機酸触媒と接触させて該植物
系繊維材料に含まれる多糖類(セルロース)を加水分解
させ、グルコースを生成させる。
く、かつ比較的穏和な条件で加水分解してグルコースを
良好な収率をもって製造する。 【構成】植物系繊維材料をリンのオキソ酸(例えば、リ
ン酸)を包含する溶媒に実質的に均一に溶解し、その溶
液をハロゲン化水素等の無機酸触媒と接触させて該植物
系繊維材料に含まれる多糖類(セルロース)を加水分解
させ、グルコースを生成させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物系繊維材料からグ
ルコースを製造する方法に関する。
ルコースを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物系繊維は、多糖類としてセルロース
を含む。このセルロースをその基本構成単位であるグル
コースに効率的に分解することができれば、穀類からだ
けでなく、植物系繊維から食糧源又はエネルギー源とし
てグルコースを有効利用できる道が開ける。
を含む。このセルロースをその基本構成単位であるグル
コースに効率的に分解することができれば、穀類からだ
けでなく、植物系繊維から食糧源又はエネルギー源とし
てグルコースを有効利用できる道が開ける。
【0003】従来、セルロースの加水分解方法として、
酸法及び酵素法が知られている。酸法には、希硫酸又は
濃硫酸を用いた各種抽出法、塩化水素を濃塩酸又はガス
の形態で使用する方法などがある。酵素法は、木材断片
又は木材粉を前処理した後、セルラーゼと反応させる方
法である。これら酸法及び酵素法は、加水分解を受ける
基質であるセルロースが固体状態にあるため、反応条件
等に種々の工夫が凝らされているが、いずれにしろ加水
分解に長時間を要する。
酸法及び酵素法が知られている。酸法には、希硫酸又は
濃硫酸を用いた各種抽出法、塩化水素を濃塩酸又はガス
の形態で使用する方法などがある。酵素法は、木材断片
又は木材粉を前処理した後、セルラーゼと反応させる方
法である。これら酸法及び酵素法は、加水分解を受ける
基質であるセルロースが固体状態にあるため、反応条件
等に種々の工夫が凝らされているが、いずれにしろ加水
分解に長時間を要する。
【0004】セルロースは、グルコースがβ−1,4−
グリコシド結合した天然高分子である。セルロースの構
成単位であるグルコースは本来親水性であるにもかかわ
らず、セルロース繊維は水不溶性である。これは、セル
ロース分子同士が強い水素結合により会合し、結晶化し
たためであると考えられる。ちなみに、希酸によりセル
ロース繊維の非晶質領域を加水分解処理して得られる結
晶性セルロース(商品名アビセル)は、その収率が90
%であるといわれている。このことは、セルロース繊維
中で結晶領域が90%に近い値で存在することを示唆し
ている。この結晶性セルロースは、例えば3N塩酸で室
温では強く撹拌しても、1週間経過後も大きな変化は生
じない。また、これを沸騰させると部分加水分解が認め
られるが、同時に生成グルコースの分解も認められれ
る。このように、結晶領域は、加水分解に対する抵抗性
が高い。
グリコシド結合した天然高分子である。セルロースの構
成単位であるグルコースは本来親水性であるにもかかわ
らず、セルロース繊維は水不溶性である。これは、セル
ロース分子同士が強い水素結合により会合し、結晶化し
たためであると考えられる。ちなみに、希酸によりセル
ロース繊維の非晶質領域を加水分解処理して得られる結
晶性セルロース(商品名アビセル)は、その収率が90
%であるといわれている。このことは、セルロース繊維
中で結晶領域が90%に近い値で存在することを示唆し
ている。この結晶性セルロースは、例えば3N塩酸で室
温では強く撹拌しても、1週間経過後も大きな変化は生
じない。また、これを沸騰させると部分加水分解が認め
られるが、同時に生成グルコースの分解も認められれ
る。このように、結晶領域は、加水分解に対する抵抗性
が高い。
【0005】そこで、セルロース繊維を、まず溶媒に溶
解することができれば、後の加水分解が効率よく進行す
ると考えられる。セルロースの溶解法についてみると、
それ自体として種々の方法が知られているが、従来既知
の溶解方法は、主として繊維製品又はフィルム製品を製
造するためのものであり、セルロースをその誘導体や錯
体に変換して溶解させるものであって、加水分解により
グルコースを得るためには不向きである。また、一般に
アルコール残基を有する高分子例えばポリビニルアルコ
ールはアルカリケン化することにより溶解性が増大する
が、セルロースは、強アルカリにより膨潤することはあ
るが、穏和な条件では溶解するまでには至らない。ま
た、ヒドラジンやN−メチルモルホリンオキシドによっ
てセルロースが溶解するとの報告もあるが、この溶液
は、加水分解に使用するには不向きである。このよう
に、セルロースは、アルカリにも溶解しにくく、特にア
ルカリによる加水分解には長時間を要するばかりでな
く、ピーリング反応等の副反応が生起し、グルコースの
収率を低下させる。
解することができれば、後の加水分解が効率よく進行す
ると考えられる。セルロースの溶解法についてみると、
それ自体として種々の方法が知られているが、従来既知
の溶解方法は、主として繊維製品又はフィルム製品を製
造するためのものであり、セルロースをその誘導体や錯
体に変換して溶解させるものであって、加水分解により
グルコースを得るためには不向きである。また、一般に
アルコール残基を有する高分子例えばポリビニルアルコ
ールはアルカリケン化することにより溶解性が増大する
が、セルロースは、強アルカリにより膨潤することはあ
るが、穏和な条件では溶解するまでには至らない。ま
た、ヒドラジンやN−メチルモルホリンオキシドによっ
てセルロースが溶解するとの報告もあるが、この溶液
は、加水分解に使用するには不向きである。このよう
に、セルロースは、アルカリにも溶解しにくく、特にア
ルカリによる加水分解には長時間を要するばかりでな
く、ピーリング反応等の副反応が生起し、グルコースの
収率を低下させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、セルロース繊維を含む植物系繊維材料を効率よく、
かつ比較的穏和な条件で加水分解してグルコースを良好
な収率をもって製造するための方法を提供しようとする
ものである。
は、セルロース繊維を含む植物系繊維材料を効率よく、
かつ比較的穏和な条件で加水分解してグルコースを良好
な収率をもって製造するための方法を提供しようとする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、リン酸等リンのオキソ
酸が、セルロース繊維の溶媒として極めて有効であり、
後の酸触媒による加水分解を比較的穏和な条件で行わせ
ることができることを見い出し本発明を完成するに至っ
た。
を解決すべく鋭意研究した結果、リン酸等リンのオキソ
酸が、セルロース繊維の溶媒として極めて有効であり、
後の酸触媒による加水分解を比較的穏和な条件で行わせ
ることができることを見い出し本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明によれば、植物系繊維材
料をリンのオキソ酸を包含する溶媒に実質的に均一に溶
解し、その溶液を無機酸触媒と接触させて該植物系繊維
材料に含まれる多糖類(セルロース)を加水分解させ、
グルコースを生成させることを特徴とする植物系繊維材
料からグルコースを製造する方法が提供される。本発明
の好ましい態様において、溶媒は、濃度70重量%以上
のリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸もしくはメタリン
酸の水溶液からなる。本発明の他の好ましい態様におい
て、無機酸触媒は、ハロゲン化水素または濃硫酸からな
り、ハロゲン化水素が特に好ましい。また、本発明のさ
らに他の好ましい態様において、植物系繊維材料を溶媒
中に溶解する間又は溶解した後、ハロゲン化金属塩を添
加し、酸触媒であるハロゲン化水素を生成させることが
できる。
料をリンのオキソ酸を包含する溶媒に実質的に均一に溶
解し、その溶液を無機酸触媒と接触させて該植物系繊維
材料に含まれる多糖類(セルロース)を加水分解させ、
グルコースを生成させることを特徴とする植物系繊維材
料からグルコースを製造する方法が提供される。本発明
の好ましい態様において、溶媒は、濃度70重量%以上
のリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸もしくはメタリン
酸の水溶液からなる。本発明の他の好ましい態様におい
て、無機酸触媒は、ハロゲン化水素または濃硫酸からな
り、ハロゲン化水素が特に好ましい。また、本発明のさ
らに他の好ましい態様において、植物系繊維材料を溶媒
中に溶解する間又は溶解した後、ハロゲン化金属塩を添
加し、酸触媒であるハロゲン化水素を生成させることが
できる。
【0009】以下、本発明をさらに詳しく説明する。本
発明によりセルロースを含む植物系繊維材料から加水分
解によりグルコースを製造するためには、まず、植物系
繊維材料をリンのオキソ酸を包含する溶媒に溶解させ
る。リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホ
スフィン酸、メタリン酸等を好ましく例示することがで
きる。セルロースの溶媒としては、これらリンのオキソ
酸の好ましくは濃度70重量%以上の水溶液であること
が望ましい。リンのオキソ酸系溶媒の使用量に特に制限
はないが、通常、植物系繊維材料の5重量%〜15重量
%の割合で用いることが好ましい。
発明によりセルロースを含む植物系繊維材料から加水分
解によりグルコースを製造するためには、まず、植物系
繊維材料をリンのオキソ酸を包含する溶媒に溶解させ
る。リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホ
スフィン酸、メタリン酸等を好ましく例示することがで
きる。セルロースの溶媒としては、これらリンのオキソ
酸の好ましくは濃度70重量%以上の水溶液であること
が望ましい。リンのオキソ酸系溶媒の使用量に特に制限
はないが、通常、植物系繊維材料の5重量%〜15重量
%の割合で用いることが好ましい。
【0010】本発明の溶媒による植物系繊維材料の溶解
は、室温程度で行うことができるが、60℃まで加熱し
てもよい。植物系繊維材料のリンのオキソ酸系溶媒中へ
の実質的な均一溶解は、溶液が粘度変化しなくなり、不
溶物質の残存がないことを目視して確認することができ
る。ここで、本発明で使用するリンのオキソ酸は、いわ
ゆるプロトン供与体としての酸として作用するというよ
りも、セルロース等の溶媒として作用するものである。
事実、リン酸等は、硫酸等と異なり、セルロースと同じ
グルコースがα−1,4−グルコシド結合した澱粉に対
して、その溶解力が弱い。すなわち、セルロース等植物
系繊維材料は、実質的に分解を受けることなく本発明の
リンのオキソ酸系溶媒に溶解しえる。
は、室温程度で行うことができるが、60℃まで加熱し
てもよい。植物系繊維材料のリンのオキソ酸系溶媒中へ
の実質的な均一溶解は、溶液が粘度変化しなくなり、不
溶物質の残存がないことを目視して確認することができ
る。ここで、本発明で使用するリンのオキソ酸は、いわ
ゆるプロトン供与体としての酸として作用するというよ
りも、セルロース等の溶媒として作用するものである。
事実、リン酸等は、硫酸等と異なり、セルロースと同じ
グルコースがα−1,4−グルコシド結合した澱粉に対
して、その溶解力が弱い。すなわち、セルロース等植物
系繊維材料は、実質的に分解を受けることなく本発明の
リンのオキソ酸系溶媒に溶解しえる。
【0011】次に、得られた溶液を無機酸触媒(リンの
オキソ酸を除く)と接触させて、セルロースの加水分解
を行わせる。無機酸触媒としては、添加・接触等による
白色沈殿の生成を起こさせないようにするため、水分量
の少ないものが好ましく、したがって、塩酸水溶液は好
ましくない。本発明に用いる無機酸触媒としては、濃硫
酸、ハロゲン化水素ガス等を好ましく例示することがで
きる。ハロゲン化水素ガスとしては、塩化水素、臭化水
素、フッ化水素を例示することができる。特に好ましい
無機酸触媒は、塩化水素ガスである。
オキソ酸を除く)と接触させて、セルロースの加水分解
を行わせる。無機酸触媒としては、添加・接触等による
白色沈殿の生成を起こさせないようにするため、水分量
の少ないものが好ましく、したがって、塩酸水溶液は好
ましくない。本発明に用いる無機酸触媒としては、濃硫
酸、ハロゲン化水素ガス等を好ましく例示することがで
きる。ハロゲン化水素ガスとしては、塩化水素、臭化水
素、フッ化水素を例示することができる。特に好ましい
無機酸触媒は、塩化水素ガスである。
【0012】加水分解は、植物系繊維材料の溶液に無機
酸触媒を添加(溶液の場合)又は吹き込んで撹拌しなが
ら、40℃〜80℃という比較的穏やかな条件で行うこ
とができる。加水分解は、使用する植物系繊維材料の量
にもよるが、通常、0.5時間〜3時間で終了しえる。
無機酸触媒は、植物系繊維材料に対して、5〜20重量
%の割合で用いることが好ましい。
酸触媒を添加(溶液の場合)又は吹き込んで撹拌しなが
ら、40℃〜80℃という比較的穏やかな条件で行うこ
とができる。加水分解は、使用する植物系繊維材料の量
にもよるが、通常、0.5時間〜3時間で終了しえる。
無機酸触媒は、植物系繊維材料に対して、5〜20重量
%の割合で用いることが好ましい。
【0013】ところで、無機酸触媒としてのハロゲン化
水素は、植物系繊維材料の溶液に対応するハロゲン化金
属塩を添加することによりその場で発生させることがで
き、これにより同様に加水分解を行うことができる。ハ
ロゲン化金属塩が溶液に溶解して対応するハロゲン化水
素酸が生成する。そのような金属塩としては、ナトリウ
ム、リチウム、マグネシウム、アルミニウム等のハロゲ
ン化金属を挙げることができ、より具体的には、塩化水
素を発生させるものとして、塩化リチウム、塩化マグネ
シウム、塩化アルミニウム等、臭化水素を発生させるも
のとして、臭化リチウム等、フッ化水素を発生させるも
のとして、フッ化リチウム等を例示することができる。
これらハロゲン化金属塩は、リンのオキソ酸系溶媒によ
る植物系繊維材料の溶解中又は溶解後に添加することが
できる。
水素は、植物系繊維材料の溶液に対応するハロゲン化金
属塩を添加することによりその場で発生させることがで
き、これにより同様に加水分解を行うことができる。ハ
ロゲン化金属塩が溶液に溶解して対応するハロゲン化水
素酸が生成する。そのような金属塩としては、ナトリウ
ム、リチウム、マグネシウム、アルミニウム等のハロゲ
ン化金属を挙げることができ、より具体的には、塩化水
素を発生させるものとして、塩化リチウム、塩化マグネ
シウム、塩化アルミニウム等、臭化水素を発生させるも
のとして、臭化リチウム等、フッ化水素を発生させるも
のとして、フッ化リチウム等を例示することができる。
これらハロゲン化金属塩は、リンのオキソ酸系溶媒によ
る植物系繊維材料の溶解中又は溶解後に添加することが
できる。
【0014】加水分解反応終了後、反応混合物をイオン
交換樹脂又はイオン交換膜を用いてろ過し、ろ液を濃縮
することにより、グルコース結晶が得られる。なお、本
発明において用いられる植物系繊維材料としては、セル
ロース自体はいうまでもなく、紙、木材等を好ましくは
微粉砕粉末の形態で用いることができる。
交換樹脂又はイオン交換膜を用いてろ過し、ろ液を濃縮
することにより、グルコース結晶が得られる。なお、本
発明において用いられる植物系繊維材料としては、セル
ロース自体はいうまでもなく、紙、木材等を好ましくは
微粉砕粉末の形態で用いることができる。
【0015】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はそれらに限定されるものではない。 実施例1 結晶性セルロース粉末5gに85%リン酸水溶液50g
を加え、十分に撹拌した。結晶性セルロース粉末がリン
酸水溶液に溶解するにつれ、溶液の粘性は徐々に低下し
た。この粘性の変化が認められなくなるまで撹拌を続
け、セルロース粉末がリン酸水溶液に完全に溶解し、残
存していないことを確認した後、粘性による気泡の混入
がおさまるまで放置した。
明はそれらに限定されるものではない。 実施例1 結晶性セルロース粉末5gに85%リン酸水溶液50g
を加え、十分に撹拌した。結晶性セルロース粉末がリン
酸水溶液に溶解するにつれ、溶液の粘性は徐々に低下し
た。この粘性の変化が認められなくなるまで撹拌を続
け、セルロース粉末がリン酸水溶液に完全に溶解し、残
存していないことを確認した後、粘性による気泡の混入
がおさまるまで放置した。
【0016】得られたセルロースのリン酸溶液に塩化リ
チウム3gを加え、室温で撹拌しながら溶解させた。こ
のとき、アンモニア水を近づけたところ塩化アンモニウ
ム白煙が発生したこと、及び臭いにより、塩化水素の発
生を確認できた。室温で20分間撹拌した後、溶液を5
分間かけて80℃に加熱し、さらに30分間撹拌したと
ころ、黄色を帯びた溶液が得られた。この溶液を室温ま
で放冷した後、イオン交換樹脂アンバーライト(商品
名)を充填したカラムに通し、流出する無色透明溶液を
集めた。この溶液を減圧下で約20mlまで濃縮する
と、白色沈殿4gが得られた。フェーリング反応試験及
び酵素電極法により、この白色沈殿がグルコースである
ことを確認した。
チウム3gを加え、室温で撹拌しながら溶解させた。こ
のとき、アンモニア水を近づけたところ塩化アンモニウ
ム白煙が発生したこと、及び臭いにより、塩化水素の発
生を確認できた。室温で20分間撹拌した後、溶液を5
分間かけて80℃に加熱し、さらに30分間撹拌したと
ころ、黄色を帯びた溶液が得られた。この溶液を室温ま
で放冷した後、イオン交換樹脂アンバーライト(商品
名)を充填したカラムに通し、流出する無色透明溶液を
集めた。この溶液を減圧下で約20mlまで濃縮する
と、白色沈殿4gが得られた。フェーリング反応試験及
び酵素電極法により、この白色沈殿がグルコースである
ことを確認した。
【0017】実施例2 実施例1の手順に従い、古紙粉末3gを85%リン酸水
溶液30gに溶解した。その後、この溶液に、塩化リチ
ウムの代りに濃硫酸3mlを加えた以外は、実施例1の
手順に従って、反応及び後処理を行って、グルコース
2.4gを得た。
溶液30gに溶解した。その後、この溶液に、塩化リチ
ウムの代りに濃硫酸3mlを加えた以外は、実施例1の
手順に従って、反応及び後処理を行って、グルコース
2.4gを得た。
【0018】実施例3 セルロース5gに85%リン酸水溶液40gを加えて十
分に撹拌したところ、水飴状となった。これに塩化リチ
ウム5gを加えて混練りした。この混練り物を容器ごと
湯浴上に写、80℃まで加熱し、蒸気が水飴状セルロー
スと接触するように蓋をし、30分間その状態を保っ
た。水飴状物が溶液となったことを確認した後、その一
部を取り出し、これに水を加えて白濁しなくなってから
反応を終了させた。この溶液に水20mlを加えて希釈
し、イオン交換樹脂充填カラムを通し、流出物を濃縮し
て粗製グルコース4gを得た。
分に撹拌したところ、水飴状となった。これに塩化リチ
ウム5gを加えて混練りした。この混練り物を容器ごと
湯浴上に写、80℃まで加熱し、蒸気が水飴状セルロー
スと接触するように蓋をし、30分間その状態を保っ
た。水飴状物が溶液となったことを確認した後、その一
部を取り出し、これに水を加えて白濁しなくなってから
反応を終了させた。この溶液に水20mlを加えて希釈
し、イオン交換樹脂充填カラムを通し、流出物を濃縮し
て粗製グルコース4gを得た。
【0019】実施例4 古紙粉末10gに蒸留水10mlを加え、十分に吸収さ
せた後、85%リン酸水溶液30gを加え、十分に混練
りした。この混練り物を50〜60℃に加熱し、混練り
を続けてペーストを得た。室温に冷却した後、このペー
ストに塩化水素ガスを吹き付けながら十分に撹拌した。
これを密閉容器に入れ、80℃まで加熱し、ガス抜きし
ながらその状態で撹拌を続けた。これ以降は実施例4と
同様に反応終了の確認を行い、後処理を行って、粗製グ
ルコース7gを得た。
せた後、85%リン酸水溶液30gを加え、十分に混練
りした。この混練り物を50〜60℃に加熱し、混練り
を続けてペーストを得た。室温に冷却した後、このペー
ストに塩化水素ガスを吹き付けながら十分に撹拌した。
これを密閉容器に入れ、80℃まで加熱し、ガス抜きし
ながらその状態で撹拌を続けた。これ以降は実施例4と
同様に反応終了の確認を行い、後処理を行って、粗製グ
ルコース7gを得た。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
セルロース繊維を含む植物系繊維材料を効率よく、かつ
二次分解反応が生じない比較的穏和な条件で加水分解し
てグルコースを良好な収率をもって製造するための方法
が提供される。
セルロース繊維を含む植物系繊維材料を効率よく、かつ
二次分解反応が生じない比較的穏和な条件で加水分解し
てグルコースを良好な収率をもって製造するための方法
が提供される。
Claims (5)
- 【請求項1】 植物系繊維材料をリンのオキソ酸を包含
する溶媒に実質的に均一に溶解し、その溶液を無機酸触
媒と接触させて該植物系繊維材料に含まれる多糖類を加
水分解させ、グルコースを生成させることを特徴とする
植物系繊維材料からグルコースを製造する方法。 - 【請求項2】 溶媒が、濃度70重量%以上のリン酸、
ホスホン酸、ホスフィン酸もしくはメタリン酸の水溶液
からなる請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 無機酸触媒が、ハロゲン化水素または濃
硫酸からなる請求項1又は2記載の方法。 - 【請求項4】 無機酸触媒がハロゲン化水素からなる請
求項1又は2記載の方法。 - 【請求項5】 植物系繊維材料を溶媒中に溶解する間又
は溶解した後、ハロゲン化金属塩を添加し、ハロゲン化
水素を生成させることを特徴とする請求項4記載の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11157795A JPH08299000A (ja) | 1995-05-10 | 1995-05-10 | 植物系繊維材料からグルコースを製造する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11157795A JPH08299000A (ja) | 1995-05-10 | 1995-05-10 | 植物系繊維材料からグルコースを製造する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08299000A true JPH08299000A (ja) | 1996-11-19 |
Family
ID=14564907
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11157795A Withdrawn JPH08299000A (ja) | 1995-05-10 | 1995-05-10 | 植物系繊維材料からグルコースを製造する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08299000A (ja) |
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006223152A (ja) * | 2005-02-16 | 2006-08-31 | Hitachi Zosen Corp | セルロース溶剤による溶解と加水分解の組合せによるバイオマス処理方法 |
WO2009005168A1 (ja) | 2007-07-03 | 2009-01-08 | Takashi Kawasaki | セルロース系物質による単糖類並びにエタノールの製造方法 |
WO2010035832A1 (ja) * | 2008-09-29 | 2010-04-01 | 株式会社日本触媒 | 単糖類の製造方法 |
JP2010537662A (ja) * | 2007-09-06 | 2010-12-09 | ザ クイーンズ ユニバーシティ オブ ベルファスト | 転化方法 |
JP2010537661A (ja) * | 2007-09-06 | 2010-12-09 | ザ クイーンズ ユニバーシティ オブ ベルファスト | 転化方法 |
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