JP2006149343A - 木質系バイオマスからのグルコース生成物とグルコース生成物製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 建設廃木材、間伐材や古紙等の廃棄物を含む木質系バイオマスの糖化(グルコース化)によりバイオマスエタノールを得ることが求められているが、エタノール発酵の原料となるグルコースを木質系バイオマスから高純度で得る方法は確立していない。高度な脱リグニンの技術を通じて得られたセルロースから、温和な酵素利用糖化法でグルコースを製造する方法を提供すること。
【解決手段】 上記廃棄物を含む木質系バイオマスを粒径1ミリメータ以下の微粉体とし、微量のタングステン酸あるいはモリブデン酸塩触媒を含有する過酸化水素水を用い、リグニンを選択的に分解する。得られた木質セルロースをセルラーゼ酵素により効率良く糖化して、エタノール発酵原料であるグルコースを製造する。糖化工程におけるセルラーゼ酵素とグルコースの限外濾過膜分離が、当該酵素の失活を避けた長期的利用を可能としたグルコースの高効率製造方法を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】 上記廃棄物を含む木質系バイオマスを粒径1ミリメータ以下の微粉体とし、微量のタングステン酸あるいはモリブデン酸塩触媒を含有する過酸化水素水を用い、リグニンを選択的に分解する。得られた木質セルロースをセルラーゼ酵素により効率良く糖化して、エタノール発酵原料であるグルコースを製造する。糖化工程におけるセルラーゼ酵素とグルコースの限外濾過膜分離が、当該酵素の失活を避けた長期的利用を可能としたグルコースの高効率製造方法を提供する。
【選択図】 なし
Description
本発明は地球温暖化対策とも直結する持続的再生型社会形成に向けたバイオマス利活用技術に係る分野であり、木質系バイオマスから高純度セルロースの入手を経て、セルロースからバイオマスエタノールの製造原料等となるグルコース(ブドウ糖)生成物およびその製造方法に関する。
バイオマスから製造されるエタノールは、二酸化炭素の排出削減に直結するガソリン添加剤として極めて重要な低級アルコール燃料として認知されており、バイオマスとりわけ木質バイオマス廃棄物からエタノール燃料の生成と当該物の製造方法が希求されている。現状では、バイオマスエタノールは、澱粉を主成分とするサトウキビやトウモロコシ等の澱粉糖のエタノール発酵により得られているのが主流である。未利用バイオマス利活用の観点から注目される建設廃木材、間伐材や古紙等の廃棄物を含む木質系バイオマスからグルコース(ブドウ糖)を効率良く入手し、得られたグルコースからエタノールを製造する技術に関しては、開発中といっても過言ではない(
)。
)。
建設廃木材、間伐材や古紙等の廃棄物を含む木質系バイオマスに含まれるセルロースの糖化からグルコース(ブドウ糖)を効率良く入手するには、木質系バイオマス自身がセルロース糖化を疎外するリグニンを相当量含む(古紙は少ないが)ため、糖化操作以前にリグニンの除去が前処理として要求される。現状では、脱リグニン前処理を省いた強引な方法として、濃硫酸または希硫酸を用いた硫酸法によるセロース分解糖化法よりグルコース(ブドウ糖)を得て、従来の酵母利用によるエタノール発酵でバイオマスエタノールを得る方法が検討されている(非特許文献1)。しかし、硫酸法は、セロースの分解糖化後にエタノール発酵を行うための硫酸除去処理すなわち硫酸の中和を必要とし、水酸化カルシウムを用いた中和により硫酸カルシウムいわゆる石膏を残査として排出しており、石膏処理にコストをかける必要が生じる。硫酸法のより重要な問題点は、その中和過程で硫酸すなわち硫黄成分を完全に除去できずにエタノール発酵を行うことになり、硫黄分を含んだエタノールを生産することになりかねない欠点を持つ点である。さらに、硫酸法は、製造プラントの設計上も耐酸性を要求する欠点を持つ点も無視出来ない。
上記の問題ある硫酸法を用いずに建設廃木材、間伐材や古紙等の廃棄物を含む木質系バイオマスからエタノールの原料となるグルコース(ブドウ糖)を製造するには、木質系バイオマスから効率良くリグニンを除去する技術及び脱リグニン処理により得られたセルロースのグルコースへの糖化技術の確立が不可欠である。脱リグニンにより得られたセルロースのグルコースへの糖化は、硫酸法と異なり温和な条件下で行える酵素糖化法が有望となる。なお、得られたグルコースは従前のエタノール発酵を行うことによりエタノールに変換することができる。
従って、木質系バイオマスからエタノールの原料となるグルコース(ブドウ糖)を生成するには、木質からの出来る限りセルロース成分を分解しない効率良い脱リグニン技術及び脱リグニンにより得られたセルロースのグルコース化(すなわち糖化)を行える酵素利用糖化技術の早急な確立が希求される。
日揮株式会社、月島機械株式会社「日経バイオビジネス」2002年9号、p55−56
独立行政法人森林総合研究所「平成14年度年報」p45
未利用バイオマス利活用の観点から注目される建設廃木材、間伐材や古紙等の木質系バイオマスが含有するセルロース成分を効率良く糖化してグルコースを得る技術が確立すれば、従前の澱粉からのエタノール発酵と同様にグルコースのエタノール発酵からバイオマスエタノールを生産できる。しかるに、木質系バイオマスが保有するリグニンがセルロース成分の糖化反応を著しく阻害し、木質系バイオマスからのグルコース生成ひいてはバイオマスエタノールの製造は、有効な脱リグニン技術(木質系バイオマスのセルロース成分を出来る限り分解しないでリグニンのみを分解する技術)が確立していないために困難な状態に置かれているのが現状である。
木質系バイオマスの脱リグニン法の代表的なものとしてオゾン酸化法(
)があるが、オゾンが発生する酸素ラジカルがリグニンやセルロースを攻撃して分解するもので、脱リグニンのみを優先するものでないし、人体にとっても危険なオゾンガスは安全性上の問題を持っている。その意味では、安全性上はオゾンより優れる過酸化水素の熱分解により生じるヒドロキシラジカルの利用もオゾン利用と同様にリグニンやセルロースを攻撃して分解するもので、脱リグニンのみを優先するものでない。
)があるが、オゾンが発生する酸素ラジカルがリグニンやセルロースを攻撃して分解するもので、脱リグニンのみを優先するものでないし、人体にとっても危険なオゾンガスは安全性上の問題を持っている。その意味では、安全性上はオゾンより優れる過酸化水素の熱分解により生じるヒドロキシラジカルの利用もオゾン利用と同様にリグニンやセルロースを攻撃して分解するもので、脱リグニンのみを優先するものでない。
従って、本発明が解決しようとする課題は、木質系バイオマスのリグニン成分(国産針葉樹で20.3(カラマツ)〜34.8%(スギ)、広葉樹で17.1(カバ)〜26.9%(シナノキ)、古紙で10〜20%程度の範囲で含有)を優先的に分解し、セルロース成分(国産針葉樹でセルロース量47.2(カラマツ)〜60.3%(エドマツ)、広葉樹でセルロース量50.4(シナノキ)〜66.4%(ドロノキ)、古紙で80〜90%の範囲で含有)を極力分解しない脱リグニン技術を確立し、未利用木質バイオマスの利活用の観点から、建設廃木材、間伐材や古紙等の木質系バイオマス廃棄物からエタノール製造原料であるグルコース(ブドウ糖)を効率良くかつ硫黄分等の不純物を含まない状態で生成する酵素利用糖化法を提示することにある。また、酵素利用糖化法において酵素の長期安定利用技術(酵素のグルコース阻害を避ける方法及び酵素の長期再利用方法を組込んだ技術)の提示も必要となる。
本発明者らは前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、スギやヒノキ等の針葉樹、ブナやコナラ等の広葉樹、あるいは針葉樹と広葉樹が混在した建設廃木材、古紙等の木質系バイオマス原料を適切なサイズに微粉化する工程と微粉化した木質系バイオマス原料からセルロースを温存しつつ脱リグニン処理を行う前処理工程及び脱リグニン処理した木質系バイオマス原料の微粉体を高活性セルラーゼ酵素でグルコース糖化する工程により、硫黄分等の不純物を含まない状態で効率良くグルコースを生成することに成功した。
前記の木質系バイオマス原料を適切なサイズに微粉化する工程においては、木材破砕機により得た木片あるいはクロスシュレッターに掛けた古紙を解繊機(ディスパルパー)とピンチップ除去トロンメルを通じて粒径1ミリメートル以下(望ましくは600マイクロメータ以下)に微粉化する。脱リグニン処理を行う工程では、1ミリメートル以下に微粉化した原料を過酸化水素水(通常30%程度)と触媒量(過酸化水素の1/100〜1/10程度)のタングステン(あるいはより強力なモリブデン)酸ソーダにより80〜90℃前後で処理することで、原料中のリグニンと形成した金属過酸化物中間体との優先的反応により、セルロース酸化分解を抑制したリグニン酸化解裂脱リグニン処理に成功した。粒径が1ミリメートル以上の大きな微粉体が混入した状態での脱リグニン処理では、リグニン除去率が低下することもすでに判明している。
糖化工程においては、上記の脱リグニン処理バイオマスセルロース原料溶液を直接酵素利用糖化反応に供する場合は、残存過酸化水素による酵素失活を避けるために過酸化水素を完全に反応消失させておくかあるいは予め酸化マンガン等での過酸化水素の分解処理を行っておく必要が有る(タングステンあるいはモリブデン酸触媒は繰返し利用が可能で酵素失活とは直接関係しない)。このように必要に応じた残存過酸化水素の分解処理後、脱リグニン処理バイオマスセルロース原料溶液(5〜20重量%)にセルラーゼ酵素を0.1〜20重量%になるように添加して水素イオン濃度pH5.0前後(実際は、エタノー発酵で発生する二酸化炭素のブロアー利用でpH5.0前後となる)で糖化を行い、グルコースを生成させる。しかし、生成したグルコースは、その濃度に比例してセルラーゼ酵素の活性低下をもたらす(例えば1.0重量%酵素利用の場合20重量%のグルコース生成で酵素活性が相対的に1/10程度に低下する)ため、セルラーゼ酵素と生成物グルコースとの分離及び分離酵素の再利用方法が要求される。
糖化工程におけるセルラーゼ酵素には、木質セルロース成分をセロビオース(グルコース2量体)にする微結晶性セルロース分解活性(セルロースをランダムに分解する活性)及びカルボキシメチルセルラーゼ活性(セルロースを端末から分解する活性)に秀でたもので、セロビオースをグルコースに変換するβ−グルコキシターゼ活性が高いものが要求される。市販の工業用セルラーゼ酵素にもこれら条件に該当するものがあり(例えば、洛東化成工業株式会社製のエンチロンCM)、その単属の使用で十分で、セルラーゼ酵素を複合で利用する必要はないことが明確になっている。
前記の糖化工程におけるセルラーゼ酵素と生成物グルコースとの分離及び分離酵素の再利用は、糖化槽と発酵槽間に設置した限外濾過膜装置により行う。すなわち、糖化槽内のグルコース濃度を低減させるために限外濾過膜によりグルコースは任意の濃度でグルコース濃縮槽に、酵素は活性を維持したまま糖化槽に再導入させることでグルコースによる酵素阻害を避けたセルラーゼ酵素の活性維持と長期利用に成功している。この限外濾過膜装置により糖化槽内でのグルコース濃度は10重量%以下望ましくは5重量%程度に保ち、限外濾過膜の分画分子量値は、5,000から50,000であり、出来れば10,000から30,000が好ましい。なお、限外濾過膜により分離されたグルコース水溶液は、エタノール化発酵用に濃縮器により15〜25重量%に濃縮する。グルコースを固形物として得たい場合は、更に水分を除去すればよい。
木材破砕機により得た木片あるいはクロスシュレッターに掛けた古紙を解繊機(ディスパルパー)とピンチップ除去トロンメルを通じて粉体化して得た粒径1ミリメートル以下望ましくは600マイクロメータ以下に微粉化されたスギ(リグニン28.0〜34.8%、セルロース49.0〜56.6%の範囲で含有)やヒノキ(リグニン25.7〜32.2%、セルロース50.8〜58.8%範囲で含有)等の針葉樹、ブナ(リグニン18.3〜24.2%、セルロース51.9〜61.2%範囲で含有)やコナラ(リグニン20.5〜22.8%、セルロース50.4〜62.0%範囲で含有)等の広葉樹、あるいは針葉樹と広葉樹が混在した建設廃木材(リグニン17.1〜34.8%、セルロース47.2〜66.4%範囲で含有)、古紙(リグニン10〜20%程度、セルロース80〜90%の範囲で含有)等の木質系バイオマス原料のセルロース成分を出来る限り維持したままでの脱リグニン操作は、5〜20重量%の木質粉体を15〜30%過酸化水素水(過酸化水素の1/30〜1/10程度のタングステンあるいはより強力なモリブデン酸ソーダを含む)中に室温で0.5〜1時間程度含浸させ、80〜90℃で数時間反応させることにより、脱リグニン処理は完了する。この際、セルロース成分の減少は極めて少なく、このことはリグニンを含まないセルロース粉体そのものに対して同一の処理を行ってもセルロースの減少はほとんど見られないことと一致する。
前記の脱リグニン処理により得られた木質系バイオマス微粉体の5〜20重量%水溶液にセルラーゼ酵素を0.1〜20重量%程度になるように加え、(エタノール発酵から得られる)二酸化炭素のバブリングによりイオン濃度pH5.0程度に調節して、50℃で撹拌しつつ、セルラーゼ酵素と生成グルコースを分離しないで反応をつづけると、セルラーゼ酵素がエンチロンCM(洛東化成工業株式会社製)である場合、1日後は糖化率40%以上でグルコースを生成し、セルラーゼ酵素はグルコースの阻害を受けながら4日後は70%程度の糖化率を呈示する。セルラーゼ酵素とグルコースを逆浸透膜で分離しつつ酵素再利用下で反応させると、2日程度の反応でセルロースはほぼ100%グルコースに変換されることが判明した。なお、同一のセルラーゼ酵素に対する木質系バイオマス微粉体の反応性は、微粉体濃度が一律である限り、粒径1ミリメートル以下(望ましくは600マイクロメータ以下)の微粉体では粒径サイズにより極端に変化するものではないことも合わせて明確になった。
脱リグニン処理した木質系バイオマス微粉体のセルロース成分の糖化に用いるセルラーゼ酵素は比較的安価な市販品のものでよく、エンチロンCM(洛東化成工業株式会社製)、セルロシンT−2(HBI社製)、セルラーゼXP−425あるいはセルライザーHT(長瀬産業株式会社製)、GODO−TCL(合同酒精株式会社製)、Amano AあるいはT(天野エンザイム株式会社製)、ドリセラーゼ20(共和発酵株式会社製)等々の内、セルロースをセロビオース(グルコース2量体)にする際セルロースをランダムに分解する微結晶性セルロース分解活性及びセルロースを端末から分解するカルボキシメチルセルラーゼ活性とセロビオースをグルコースに変換するβ−グルコキシターゼ活性の優れたセルラーゼ酵素例えばエンチロンCM(洛東化成工業株式会社製)の利用度が高いことが判明した。なお、一定の木質系バイオマス微粉体濃度でセルラーゼ酵素濃度を希薄にすると酵素当たりのグルコースの生成量は見掛上増大するが、微粉体セルロース成分のグルコース化率いわゆる糖化率は減少するので、そのバランスを考慮してセルラーゼ酵素濃度は0.1〜20重量%程度の範囲で使用すれば良い。
前記のバイオマス原料の微粉体の糖化工程におけるセルラーゼ酵素の高活性の維持は、糖化槽内の水溶液のpH(水素イオン濃度)をpH5前後にする必要がある。このためには、水溶液を0.1モル/リットル程度の酢酸緩衝液等にして用いれば良いが、望ましきは酢酸緩衝液等を使用しない簡便法が良く、エタノール発酵で排出する二酸化炭素を糖化槽に導入することにより、セルラーゼ酵素が望む最適な糖化溶液のpHをpH4.5〜pH6.5の範囲で酢酸緩衝液等を用いず制御できると共に二酸化炭素ブロアーを用いることにより糖化反応促進のための撹拌を不要にすること等の知見を得ている。
前記の糖化工程におけるセルラーゼ酵素と生成物グルコースとの分離及び分離酵素の再利用は、糖化槽とエタノール発酵槽の間に設置した限外濾過装置により行う。すなわち、グルコースによるセルラーゼ酵素の阻害はグルコース濃度に比例し、例えば1.0重量%酵素利用の場合20重量%のグルコース生成で酵素活性が相対的に1/10程度に低下する。糖化槽内のグルコース濃度を低減させるために限外濾過膜によりグルコースは任意の濃度で発酵槽に、酵素は活性を維持したまま糖化槽に再導入させることでグルコースによるセルラーゼ酵素の阻害を避けたセルラーゼ酵素活性維持と長期利用に成功している。この限外濾過装置により糖化槽内でのグルコース濃度は10重量%以下望ましくは5重量%程度に保ち、限外濾過膜の分画分子量値は、5,000から50,000であり、出来れば10,000から30,000が好ましい。なお、限外濾過膜により分離されたグルコース水溶液は、グルコース濃縮器により15〜25重量%に濃縮した後に酵母利用エタノール化発酵に供することができるが、グルコースを固体生成物として入手する場合は、更なる濃縮結晶化を行えば良い。
前記糖化工程で糖化反応槽の底部から未反応分及び不溶成分を300メッシュの濾布で回収し、回収物は屋上緑化植生マット等に活用するかあるいは燃料として利用してゼロエミッションを図る。なお、糖化槽からの残渣回収操作によりセルラーゼ酵素を幾分損失することになるので、必要により補充することが望ましい。
以下に、本発明の本質を確認することを目的として、本発明に係る木質系バイオマスのリグニン成分を優先的に分解する脱リグニン処理工程及びエタノール製造原料グルコース(ブドウ糖)の生成のためのセルラーゼ酵素利用糖化工程の各工程を実験室的な簡易型反応装置を用いて行った実験結果によってさらに具体的に説明する。もとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 木質バイオマスの糖化に対する前処理脱リグニン工程の必要性
図1で示したホッパー、スクリューフィーダー、破砕機を通した木材の木片を解繊機(ディスパルパー)により粉体化し、ピンチップ等をトロンメル分離(あるいはメッシュ分離)して得た粒径300ミクロン程度の針葉樹スギ(リグニン34.1%、セルロース54.7%含有)と広葉樹ブナ(リグニン19.2%、セルロース47.3%含有)、及び比較のための粒径20ミクロンのセルロース粉体(リグニン1%以下、セルロース95%以上含有)の2.0重量%水溶液を図2で示した糖化槽に入れ(ここでリグニンとセルロース量はそれぞれ酸不溶性リグニン量測定とフェノール硫酸呈色吸光度測定によるグルコース量から得た全糖量から算出)、1.0重量%のセルラーゼ酵素を用い、pH5.0(発酵槽から排出する二酸化炭素のバブリングまたは0.1モル/リットル酢酸緩衝液で調製)の条件下50℃で限外濾過装置を稼働させない状態で4日間糖化を行い、糖化率を生成グルコース量と糖含量比率よりした結果、セルラーゼ酵素が洛東化成工業株式会社製エンチロンCMの場合の1日後(または4日後)のセルロース成分のグルコース化した割合即ち糖化率は、スギで2.8(5.7%)、ブナで5.9(9.4%)、セルロースで32.6(62.2%)となり、明らかにセルロース粉体の糖化に比してリグニン含有のスギ及びブナの糖化率は著しく低く、リグニンの存在は糖化反応(グルコース生成)を抑制してリグニン含有率が高いものほど糖化率(グルコース生成率)を低下させるため、糖化(グルコース生成)促進には脱リグニン処理が不可欠となる。
図1で示したホッパー、スクリューフィーダー、破砕機を通した木材の木片を解繊機(ディスパルパー)により粉体化し、ピンチップ等をトロンメル分離(あるいはメッシュ分離)して得た粒径300ミクロン程度の針葉樹スギ(リグニン34.1%、セルロース54.7%含有)と広葉樹ブナ(リグニン19.2%、セルロース47.3%含有)、及び比較のための粒径20ミクロンのセルロース粉体(リグニン1%以下、セルロース95%以上含有)の2.0重量%水溶液を図2で示した糖化槽に入れ(ここでリグニンとセルロース量はそれぞれ酸不溶性リグニン量測定とフェノール硫酸呈色吸光度測定によるグルコース量から得た全糖量から算出)、1.0重量%のセルラーゼ酵素を用い、pH5.0(発酵槽から排出する二酸化炭素のバブリングまたは0.1モル/リットル酢酸緩衝液で調製)の条件下50℃で限外濾過装置を稼働させない状態で4日間糖化を行い、糖化率を生成グルコース量と糖含量比率よりした結果、セルラーゼ酵素が洛東化成工業株式会社製エンチロンCMの場合の1日後(または4日後)のセルロース成分のグルコース化した割合即ち糖化率は、スギで2.8(5.7%)、ブナで5.9(9.4%)、セルロースで32.6(62.2%)となり、明らかにセルロース粉体の糖化に比してリグニン含有のスギ及びブナの糖化率は著しく低く、リグニンの存在は糖化反応(グルコース生成)を抑制してリグニン含有率が高いものほど糖化率(グルコース生成率)を低下させるため、糖化(グルコース生成)促進には脱リグニン処理が不可欠となる。
実施例2 脱リグニン処理による糖化率とグルコース生成量の向上
実施例1で用いた粒径300ミクロン程度の針葉樹スギと広葉樹ブナ、及び比較のための粒径20ミクロンのセルロース粉体のそれぞれ500ミリグラムを30%過酸化水素水10ミリリットルに加え、室温にて0.5時間含浸させた後、90℃で毎分90回転の撹拌下2.5時間反応させ、4号濾紙にて濾過し水洗いした後、実施例1と同様の条件で1日間糖化して以下の結果を得た。
(1)30%過酸化水素水が1%タングステン酸ソーダを含む場合、スギ(リグニン7.3%、残存セルロース77.0%含有となり、糖化率及び脱リグニン処理後の木紛100g当たりのグルコース生成量はそれぞれ54.3%及び46.4g)、ブナ(リグニン4.3%、残存セルロース94.0%含有となり糖化率及びグルコース生成量は43.8%及び45.7g)、及びセルロース粉体(リグニン1%以下、残存セルロース91.4%含有となり糖化率及びグルコース生成量は38.3%及び38.9g)をもたらし、(2)30%過酸化水素水のみの場合、スギ(リグニン26.5%、残存セルロース71.9%含有となり糖化率及びグルコース生成量は22.7%及び18.1g)、ブナ(リグニン13.7%、残存セルロース86.3%含有となり糖化率及びグルコース生成量は21.4%及び20.5g)及びセルロース粉体(リグニン1%以下、残存セルロース93.6%含有となり糖化率及びグルコース生成量は40.6%及び42.2g)を示し、(3)水のみで1%タングステン酸ソーダを含む場合、スギ(リグニン34.0%、残存セルロース61.5%含有となり糖化率及びグルコース生成量は.2.3%及び1.6g)、ブナ(リグニン13.5%、残存セルロース78.8%含有となり糖化率及びグルコース生成量は3.1%及び2.7g)、及びセルロース粉体(リグニン1%以下、残存セルロース93.8%含有となり糖化率及びグルコース生成量は37.0%及び38.5g)で、(4)水のみの場合、スギ(リグニン34.6%、残存セルロース61.3%含有となり糖化率及びグルコース生成量は.2.2%及び1.5g)、ブナ(リグニン13.4%、残存セルロース78.9%含有となり糖化率及びグルコース生成量は2.8%及び2.5g)、及びセルロース粉体(リグニン1%以下、残存セルロース94.4%含有となり糖化率及びグルコース生成量は37.2%及び39.0g)を呈示した。従って、(1)の30%過酸化水素水が1%タングステン酸ソーダを含む場合のみが、明らかに針葉樹スギ及び広葉樹ブナの脱リグニンを促進して糖化率及びグルコース生成量を著しく向上させている。また、(1)の場合、(2)の30%過酸化水素水のみの場合と比較して、残存セルロースの含有率が高くなっており、過酸化水素のみがヒドキシラジカルを生成してセルロースのグルコース部位の分解を引き起こす機会がタングステン酸イオンによって抑制されている(即ち、過酸化水素がタングステン過酸化物としてリグニン分解に作用している)ことが判明する。さらに、(3)水のみで1%タングステン酸ソーダを含む場合で示されるように、タングステン酸ソーダのみが効果を発揮するものでないことも明白である。更に、参照物質として用いたセルロース粉体において、上記(1)の処理による95%程度含有されていたセルロース成分((4)の水のみの系で残存セルロース量94.4%を呈示)の減少については、(1)の1%タングステン酸ソーダを含む30%過酸化水素水の場合(残存セルロース量91.4%)が(2)の過酸化水素水のみの場合(93.6%)あるいは(3)の水のみで1%タングステン酸ソーダを含む場合(93.8%)と比べて大差なく、1%タングステン酸塩を含む30%過酸化水素水による直接的なセルロース分解は極めて少ない。従って、木質バイオマスを対象とした(1)の系による優先的脱リグニン反応の過程でリグニンと結合(あるいは相互作用)しているセルロース(あるいはそのグルコース部位)がリグニンとともに幾分離脱(即ち、減少)する可能性は認められるものの、脱リグニン作用と比較して大きなものでない。しかし、過酸化水素の全量がタングステン酸イオンと反応して金属過酸化物となり脱リグニンを行うわけでない(過酸化水素の1部は単独でセルロースやリグニンと反応する)ので、適切な過酸化水素と触媒的に作用するタングステン酸塩の濃度比を明確にする必要が有る(実施例5を参照)。
実施例1で用いた粒径300ミクロン程度の針葉樹スギと広葉樹ブナ、及び比較のための粒径20ミクロンのセルロース粉体のそれぞれ500ミリグラムを30%過酸化水素水10ミリリットルに加え、室温にて0.5時間含浸させた後、90℃で毎分90回転の撹拌下2.5時間反応させ、4号濾紙にて濾過し水洗いした後、実施例1と同様の条件で1日間糖化して以下の結果を得た。
(1)30%過酸化水素水が1%タングステン酸ソーダを含む場合、スギ(リグニン7.3%、残存セルロース77.0%含有となり、糖化率及び脱リグニン処理後の木紛100g当たりのグルコース生成量はそれぞれ54.3%及び46.4g)、ブナ(リグニン4.3%、残存セルロース94.0%含有となり糖化率及びグルコース生成量は43.8%及び45.7g)、及びセルロース粉体(リグニン1%以下、残存セルロース91.4%含有となり糖化率及びグルコース生成量は38.3%及び38.9g)をもたらし、(2)30%過酸化水素水のみの場合、スギ(リグニン26.5%、残存セルロース71.9%含有となり糖化率及びグルコース生成量は22.7%及び18.1g)、ブナ(リグニン13.7%、残存セルロース86.3%含有となり糖化率及びグルコース生成量は21.4%及び20.5g)及びセルロース粉体(リグニン1%以下、残存セルロース93.6%含有となり糖化率及びグルコース生成量は40.6%及び42.2g)を示し、(3)水のみで1%タングステン酸ソーダを含む場合、スギ(リグニン34.0%、残存セルロース61.5%含有となり糖化率及びグルコース生成量は.2.3%及び1.6g)、ブナ(リグニン13.5%、残存セルロース78.8%含有となり糖化率及びグルコース生成量は3.1%及び2.7g)、及びセルロース粉体(リグニン1%以下、残存セルロース93.8%含有となり糖化率及びグルコース生成量は37.0%及び38.5g)で、(4)水のみの場合、スギ(リグニン34.6%、残存セルロース61.3%含有となり糖化率及びグルコース生成量は.2.2%及び1.5g)、ブナ(リグニン13.4%、残存セルロース78.9%含有となり糖化率及びグルコース生成量は2.8%及び2.5g)、及びセルロース粉体(リグニン1%以下、残存セルロース94.4%含有となり糖化率及びグルコース生成量は37.2%及び39.0g)を呈示した。従って、(1)の30%過酸化水素水が1%タングステン酸ソーダを含む場合のみが、明らかに針葉樹スギ及び広葉樹ブナの脱リグニンを促進して糖化率及びグルコース生成量を著しく向上させている。また、(1)の場合、(2)の30%過酸化水素水のみの場合と比較して、残存セルロースの含有率が高くなっており、過酸化水素のみがヒドキシラジカルを生成してセルロースのグルコース部位の分解を引き起こす機会がタングステン酸イオンによって抑制されている(即ち、過酸化水素がタングステン過酸化物としてリグニン分解に作用している)ことが判明する。さらに、(3)水のみで1%タングステン酸ソーダを含む場合で示されるように、タングステン酸ソーダのみが効果を発揮するものでないことも明白である。更に、参照物質として用いたセルロース粉体において、上記(1)の処理による95%程度含有されていたセルロース成分((4)の水のみの系で残存セルロース量94.4%を呈示)の減少については、(1)の1%タングステン酸ソーダを含む30%過酸化水素水の場合(残存セルロース量91.4%)が(2)の過酸化水素水のみの場合(93.6%)あるいは(3)の水のみで1%タングステン酸ソーダを含む場合(93.8%)と比べて大差なく、1%タングステン酸塩を含む30%過酸化水素水による直接的なセルロース分解は極めて少ない。従って、木質バイオマスを対象とした(1)の系による優先的脱リグニン反応の過程でリグニンと結合(あるいは相互作用)しているセルロース(あるいはそのグルコース部位)がリグニンとともに幾分離脱(即ち、減少)する可能性は認められるものの、脱リグニン作用と比較して大きなものでない。しかし、過酸化水素の全量がタングステン酸イオンと反応して金属過酸化物となり脱リグニンを行うわけでない(過酸化水素の1部は単独でセルロースやリグニンと反応する)ので、適切な過酸化水素と触媒的に作用するタングステン酸塩の濃度比を明確にする必要が有る(実施例5を参照)。
実施例3 脱リグニン、原料回収及び糖化に対する木質微粉体原料の粒径効果
粒径600〜1190マイクロメータ(大半は600マイクロメータ程度)、300マイクロメータ程度及び250マイクロメータ以下(大半は200〜250マイクロメータ程度)の針葉樹スギ(リグニン34%、セルロース64%含有)を実施例2と同様にして。1.0%触媒含有30%過酸化水素水で90℃、2.5時間反応させて前処理を行い、得られた脱リグニン処理原料を4号濾紙にて濾過し水洗いした後、その2.0重量%水溶液を糖化槽に入れ、実施例2と同様に1.0重量%のセルラーゼ酵素(洛東化成工業株式会社製エンチロンCMを使用)を用い、pH5.0、50℃で1日間糖化を行った結果、残存リグニン量%(と残存セルロース量%)及び糖化率%(と100g前処置済み原料当たりのグルコース生成量g)は、粒径600〜1190マイクロメータで10.6%(72.9%)及び42.2%(34.0g)、粒径300マイクロメータ程度で7.3%(77.0%)及び54.3%(46.4g)、粒径250マイクロメータ以下で2.2%(83.3%)及び54.9%(50.8g)となり、それぞれに著しい大差がないものの、粒径600マイクロメータ以上に対し粒径250マイクロメータ以下のものが脱リグニン量及びグルコース生成量に優位さが見られた。一方、脱リグニンの増大は溶出分解生物量を増して処理原料の回収量を低減させ、4号濾紙利用での回収率は、粒径600〜1190マイクロメータで66.1%、粒径300マイクロメータ程度で60.6%、粒径250マイクロメータ以下で49.9%となるが、回収量の低化を加味しても結果として得られるグルコース生成量は脱リグニン処理が高い程良い。(リグニン処理と4号濾紙利用の簡易な方法での回収率との相関の詳細は実施例9を参照。)
粒径600〜1190マイクロメータ(大半は600マイクロメータ程度)、300マイクロメータ程度及び250マイクロメータ以下(大半は200〜250マイクロメータ程度)の針葉樹スギ(リグニン34%、セルロース64%含有)を実施例2と同様にして。1.0%触媒含有30%過酸化水素水で90℃、2.5時間反応させて前処理を行い、得られた脱リグニン処理原料を4号濾紙にて濾過し水洗いした後、その2.0重量%水溶液を糖化槽に入れ、実施例2と同様に1.0重量%のセルラーゼ酵素(洛東化成工業株式会社製エンチロンCMを使用)を用い、pH5.0、50℃で1日間糖化を行った結果、残存リグニン量%(と残存セルロース量%)及び糖化率%(と100g前処置済み原料当たりのグルコース生成量g)は、粒径600〜1190マイクロメータで10.6%(72.9%)及び42.2%(34.0g)、粒径300マイクロメータ程度で7.3%(77.0%)及び54.3%(46.4g)、粒径250マイクロメータ以下で2.2%(83.3%)及び54.9%(50.8g)となり、それぞれに著しい大差がないものの、粒径600マイクロメータ以上に対し粒径250マイクロメータ以下のものが脱リグニン量及びグルコース生成量に優位さが見られた。一方、脱リグニンの増大は溶出分解生物量を増して処理原料の回収量を低減させ、4号濾紙利用での回収率は、粒径600〜1190マイクロメータで66.1%、粒径300マイクロメータ程度で60.6%、粒径250マイクロメータ以下で49.9%となるが、回収量の低化を加味しても結果として得られるグルコース生成量は脱リグニン処理が高い程良い。(リグニン処理と4号濾紙利用の簡易な方法での回収率との相関の詳細は実施例9を参照。)
実施例4 古紙の脱リグニンによる糖化率及びグルコース生成量の向上
予め600マイクロメータ程度の粒径にした古紙(リグニン15.6%、セルロース83.4%含有)500ミリグラムを1%タングステン酸ソーダ含有30%過酸化水素水10ミリリットルに加え、室温にて0.5時間含浸させた後、90℃で毎分90回転の撹拌下2.5時間反応させた4号濾紙にて濾過し付着過酸化水素を水洗いした結果、回収率は72.9%でリグニン量8.0%及びセルロース量85.6%となり、古紙含有リグニンは半減した。この脱リグニン処理古紙を実施例2と同様の条件で1日間糖化して以下の結果、糖化率46.3%で脱リグニン処理古紙100当たり44.0gのグルコースを得た。脱リグニン処理をしないで糖化した場合の糖化率27.4%で古紙100当たり25.6gグルコース生成に比して相当の脱リグニン処理効果が見られた。
予め600マイクロメータ程度の粒径にした古紙(リグニン15.6%、セルロース83.4%含有)500ミリグラムを1%タングステン酸ソーダ含有30%過酸化水素水10ミリリットルに加え、室温にて0.5時間含浸させた後、90℃で毎分90回転の撹拌下2.5時間反応させた4号濾紙にて濾過し付着過酸化水素を水洗いした結果、回収率は72.9%でリグニン量8.0%及びセルロース量85.6%となり、古紙含有リグニンは半減した。この脱リグニン処理古紙を実施例2と同様の条件で1日間糖化して以下の結果、糖化率46.3%で脱リグニン処理古紙100当たり44.0gのグルコースを得た。脱リグニン処理をしないで糖化した場合の糖化率27.4%で古紙100当たり25.6gグルコース生成に比して相当の脱リグニン処理効果が見られた。
実施例5 過酸化水素水と6族金属酸イオン種及び触媒量変化の脱リグニン効果
6族金属(クロム、モリブデン及びタングステン)酸イオンは触媒的に過酸化水素と反応して金属過酸化物を形成することから、いずれも木質の脱リグニンに利用できる。環境上クロムを外すとタングステンより周期律表で1周期上のモリブデン酸も有用である。0.1%のモリブデン酸(あるいタングステン酸)ソーダを含む30%過酸化水素水による粒径300ミクロン程度の針葉樹スギ(リグニン34.1%、セルロース54.7%含有)の脱リグニンを実施例2と同様にして行うと、リグニン量18.7(21.7)%及び残存セルロース量74.1(71.6)%となり、モリブデン酸塩の方がタングステン酸塩より若干優れているが、大差はないといえる。1.0%タングステン酸塩含有過酸化水素水のリグニン量7.3%及び残存セルロース量77.0%に比して0.1%タングステン酸塩量では脱リグニン効果は低下しているが、0.5%タングステン酸塩量にするとリグニン量16.0%及び残存セルロース量73.8%に回復し、2.0(または3.0)%タングステン酸塩量ではリグニン量7.5(6.7)%及び残存セルロース量83.4(82.8)%で1.0%の触媒量を2倍あるいは3倍量に増大させても著しい脱リグニンの向上は見られない。従って、30%過酸化水素水に添加するタングステン(あるいはモリブデン)酸塩の添加量は0.1〜3.0%の範囲、金属塩の後処理等を考慮すると望ましくは1.0%程度といえる。
6族金属(クロム、モリブデン及びタングステン)酸イオンは触媒的に過酸化水素と反応して金属過酸化物を形成することから、いずれも木質の脱リグニンに利用できる。環境上クロムを外すとタングステンより周期律表で1周期上のモリブデン酸も有用である。0.1%のモリブデン酸(あるいタングステン酸)ソーダを含む30%過酸化水素水による粒径300ミクロン程度の針葉樹スギ(リグニン34.1%、セルロース54.7%含有)の脱リグニンを実施例2と同様にして行うと、リグニン量18.7(21.7)%及び残存セルロース量74.1(71.6)%となり、モリブデン酸塩の方がタングステン酸塩より若干優れているが、大差はないといえる。1.0%タングステン酸塩含有過酸化水素水のリグニン量7.3%及び残存セルロース量77.0%に比して0.1%タングステン酸塩量では脱リグニン効果は低下しているが、0.5%タングステン酸塩量にするとリグニン量16.0%及び残存セルロース量73.8%に回復し、2.0(または3.0)%タングステン酸塩量ではリグニン量7.5(6.7)%及び残存セルロース量83.4(82.8)%で1.0%の触媒量を2倍あるいは3倍量に増大させても著しい脱リグニンの向上は見られない。従って、30%過酸化水素水に添加するタングステン(あるいはモリブデン)酸塩の添加量は0.1〜3.0%の範囲、金属塩の後処理等を考慮すると望ましくは1.0%程度といえる。
実施例6 最適な脱リグニン処理温度と糖化率とグルコース生成量
粒径300マイクロメータ程度の針葉樹スギ(リグニン34.1%、セルロース54.7%含有)500ミリグラムを30%過酸化水素水10ミリリットルに加え、室温にて0.5時間含浸させた後、1.0%触媒含有30%過酸化水素水で反応温度を90、80、70、50℃あるいは室温で毎分90回転の撹拌下2.5時間反応させ、4号濾紙にて濾過し水洗いした後、2.0重量%水溶液を糖化槽に入れ、実施例2と同様に1.0重量%のセルラーゼ酵素(洛東化成工業株式会社製エンチロンCMを使用)を用い、pH5.0、50℃で1日間糖化を行った結果、90℃処理のスギ微粉体の残存リグニン7.3%(セルロース77.0%)及び糖化率54.3%(100g原料当たりのグルコース生成量46.4g)が、80℃でリグニン13.4%(セルロース73.1%)及び糖化率49.4%(グルコース生成量40.1g)、70℃でリグニン25.0%(セルロース64.0%)及び糖化率16.3%(グルコース生成量11.6g)、50℃でリグニン29.8%(セルロース65.3%)及び糖化率9.0%(グルコース生成量6.5g)、室温でリグニン29.9%(セルロース62.8%)及び糖化率3.6%(グルコース生成量2.5g)となり、70℃以下では脱リグニン量が少なく低糖化率及び低グルコース生成量をもたらしたが、80〜90℃望ましくは90℃が脱リグニンひいてはグルコース生成に最適であった。90℃以上の反応温度は過酸化水素自身の分解を早め、また水の蒸発による水量制御(ひいては過酸化水素濃度制御)も必要となるので、特に注目していない。
粒径300マイクロメータ程度の針葉樹スギ(リグニン34.1%、セルロース54.7%含有)500ミリグラムを30%過酸化水素水10ミリリットルに加え、室温にて0.5時間含浸させた後、1.0%触媒含有30%過酸化水素水で反応温度を90、80、70、50℃あるいは室温で毎分90回転の撹拌下2.5時間反応させ、4号濾紙にて濾過し水洗いした後、2.0重量%水溶液を糖化槽に入れ、実施例2と同様に1.0重量%のセルラーゼ酵素(洛東化成工業株式会社製エンチロンCMを使用)を用い、pH5.0、50℃で1日間糖化を行った結果、90℃処理のスギ微粉体の残存リグニン7.3%(セルロース77.0%)及び糖化率54.3%(100g原料当たりのグルコース生成量46.4g)が、80℃でリグニン13.4%(セルロース73.1%)及び糖化率49.4%(グルコース生成量40.1g)、70℃でリグニン25.0%(セルロース64.0%)及び糖化率16.3%(グルコース生成量11.6g)、50℃でリグニン29.8%(セルロース65.3%)及び糖化率9.0%(グルコース生成量6.5g)、室温でリグニン29.9%(セルロース62.8%)及び糖化率3.6%(グルコース生成量2.5g)となり、70℃以下では脱リグニン量が少なく低糖化率及び低グルコース生成量をもたらしたが、80〜90℃望ましくは90℃が脱リグニンひいてはグルコース生成に最適であった。90℃以上の反応温度は過酸化水素自身の分解を早め、また水の蒸発による水量制御(ひいては過酸化水素濃度制御)も必要となるので、特に注目していない。
実施例7 脱リグニンに対する最適な過酸化水素及び触媒濃度
1.0%触媒量を含有する30%過酸化水素水(触媒量は30分の1)に対応するように、それぞれ30分の1のタングステン酸ソーダを含む30%、15%、5.0%、あるいは2.5%過酸化水素水(タングステン酸ソーダをそれぞれ1.0%、0.5%、0.17%、あるいは0.08%含有)10ミリリットルに粒径300マイクロメータ程度の針葉樹スギ(リグニン34.1%、セルロース54.7%含有)500ミリグラムを加えて5重量%基質溶液とし、室温にて0.5時間含浸させた後、90℃で毎分90回転の撹拌下2.5時間反応させた結果、スギ微粉体に残存するリグニン(及びセルロース)量はそれぞれ7.3(77.0)%、18.7(78.4)%、27.8(70.1)%、あるいは31.7(69.1)%と分析された。従って、30分の1の触媒量を含む15〜30%過酸化水素水は脱リグニンに対して有効であるが、望ましくは1.0%触媒含有30%過酸化水素水が最適で、取扱い上の問題も含む30%以上の高濃度過酸化水素水は必要ないといえる。
1.0%触媒量を含有する30%過酸化水素水(触媒量は30分の1)に対応するように、それぞれ30分の1のタングステン酸ソーダを含む30%、15%、5.0%、あるいは2.5%過酸化水素水(タングステン酸ソーダをそれぞれ1.0%、0.5%、0.17%、あるいは0.08%含有)10ミリリットルに粒径300マイクロメータ程度の針葉樹スギ(リグニン34.1%、セルロース54.7%含有)500ミリグラムを加えて5重量%基質溶液とし、室温にて0.5時間含浸させた後、90℃で毎分90回転の撹拌下2.5時間反応させた結果、スギ微粉体に残存するリグニン(及びセルロース)量はそれぞれ7.3(77.0)%、18.7(78.4)%、27.8(70.1)%、あるいは31.7(69.1)%と分析された。従って、30分の1の触媒量を含む15〜30%過酸化水素水は脱リグニンに対して有効であるが、望ましくは1.0%触媒含有30%過酸化水素水が最適で、取扱い上の問題も含む30%以上の高濃度過酸化水素水は必要ないといえる。
実施例8 過酸化水素処理時間と脱リグニン量
粒径600マイクロメータ程度の針葉樹スギ(リグニン34%、セルロース64%含有)500ミリグラムを30%過酸化水素水10ミリリットルに加え、室温にて0.5時間含浸させた後、1.0%触媒含有30%過酸化水素水で90℃、毎分90回転の撹拌下0.5〜5.0時間反応させ、残存リグニン量を測定した結果、図3で示すように残存リグニン量(反応時間)は30.0%(0.5時間)、22.6%(1.0時間)、20.6%(1.5時間)、13.0%(2.0時間)、10.6%(2.5時間)、9.4%(3.0時間)、1.6%(4時間)及び0%(5時間)で、撹拌速度を上げれば本条件下では3時間程度で脱リグニンは完結すると判断できる(木質微粉体原料の粒径が小さければ同様に加速される)。
粒径600マイクロメータ程度の針葉樹スギ(リグニン34%、セルロース64%含有)500ミリグラムを30%過酸化水素水10ミリリットルに加え、室温にて0.5時間含浸させた後、1.0%触媒含有30%過酸化水素水で90℃、毎分90回転の撹拌下0.5〜5.0時間反応させ、残存リグニン量を測定した結果、図3で示すように残存リグニン量(反応時間)は30.0%(0.5時間)、22.6%(1.0時間)、20.6%(1.5時間)、13.0%(2.0時間)、10.6%(2.5時間)、9.4%(3.0時間)、1.6%(4時間)及び0%(5時間)で、撹拌速度を上げれば本条件下では3時間程度で脱リグニンは完結すると判断できる(木質微粉体原料の粒径が小さければ同様に加速される)。
実施例9 リグニン処理と処理後原料の回収率
実施例1〜7で行った粒径1190〜200マイクロメータ以下(大半は600〜250マイクロメータ程度)の針葉樹スギ(リグニン34%、セルロース64%含有)あるいは古紙の脱リグニン処理(0.1〜3.0%タングステン酸あるいはモリブデン酸ソーダを含む15〜30%過酸化水素水による80〜90℃、0.5〜3時間反応処理。主に、1.0%タングステン酸ソーダを含む30%過酸化水素水による90℃、2.5時間反応処理)における4号濾紙利用による脱リグニン処理原料の回収率は分解リグニンの水への溶出量の増加(残存リグニンリグニン量の低下)と共に低下し、処理原料回収率(%)と残存リグニン量(%)の間に図4に示したような直線相関(相関係数0.95)が示され、残存リグニン量が0%で4号濾紙利用による回収率49.8%(約50%)の状態で純白のスギあるいは古紙微粉末が得られることになる。残存リグニン量は当然糖化効率すなわちグルコースの生成量に直接的影響を与えるが、常に100%の脱リグニン処理が不可決か否かは重要な課題となる(詳細については、実施例10を参照)。
実施例1〜7で行った粒径1190〜200マイクロメータ以下(大半は600〜250マイクロメータ程度)の針葉樹スギ(リグニン34%、セルロース64%含有)あるいは古紙の脱リグニン処理(0.1〜3.0%タングステン酸あるいはモリブデン酸ソーダを含む15〜30%過酸化水素水による80〜90℃、0.5〜3時間反応処理。主に、1.0%タングステン酸ソーダを含む30%過酸化水素水による90℃、2.5時間反応処理)における4号濾紙利用による脱リグニン処理原料の回収率は分解リグニンの水への溶出量の増加(残存リグニンリグニン量の低下)と共に低下し、処理原料回収率(%)と残存リグニン量(%)の間に図4に示したような直線相関(相関係数0.95)が示され、残存リグニン量が0%で4号濾紙利用による回収率49.8%(約50%)の状態で純白のスギあるいは古紙微粉末が得られることになる。残存リグニン量は当然糖化効率すなわちグルコースの生成量に直接的影響を与えるが、常に100%の脱リグニン処理が不可決か否かは重要な課題となる(詳細については、実施例10を参照)。
実施例10 残存リグニン量と糖化率及びグルコース生成量との相関
実施例1〜7で行った粒径1190〜200マイクロメータ以下(大半は600〜250マイクロメータ程度)の針葉樹スギ(リグニン34%、セルロース64%含有)の脱リグニン処理(0.1〜3.0%タングステン酸あるいはモリブデン酸ソーダを含む15〜30%過酸化水素水による80〜90℃、0.5〜3時間反応処理。主に、1.0%タングステン酸ソーダを含む30%過酸化水素水による90℃、2.5時間反応処理)における4号濾紙利用による脱リグニン処理原料を2.0〜20重量%水溶液を糖化槽に入れ、1.0〜5.0重量%のセルラーゼ酵素(洛東化成工業株式会社製エンチロンCMを使用)を用い、pH5.0、50℃で1日間糖化を行った結果における残存リグニン量(%)と糖化率(%)あるいは脱リグニン処理原料100g当たりのグルコース生成量(g)の関係は、それぞれ図4あるは5で示される相関係数0.98の一次相関が存在する。即ち、セルラーゼ酵素がそのセロビオース(グルコース2量体)生成活性を発揮すべくセルロースと相互作用(バインディング)し、多糖形成グルコース間エーテル結合を歪めてセロビオースを生成するのを残存リグニンが妨害しており、残存リグニンによるセロビオース生成の抑制は結果的にセロビオースをグルコースに変換するβ−グルコキシターゼ活性が抑制されグルコース生成が押さえられた状態を示唆している。従って、効率良い木質原料の糖化グルコース生成のためには残存リグニンがないような脱リグニン処理が望ましく、実施例での条件下で残存リグニンがない場合では約61%の糖化率及び100g処理原料から約55gのグルコースが入手できる。現実的には、上記の糖化率及びグルコース量に近い状態は残存リグニン量が2%程度でも実現できるので、完全な脱リグニンを必ずしも要求するものでない。
実施例1〜7で行った粒径1190〜200マイクロメータ以下(大半は600〜250マイクロメータ程度)の針葉樹スギ(リグニン34%、セルロース64%含有)の脱リグニン処理(0.1〜3.0%タングステン酸あるいはモリブデン酸ソーダを含む15〜30%過酸化水素水による80〜90℃、0.5〜3時間反応処理。主に、1.0%タングステン酸ソーダを含む30%過酸化水素水による90℃、2.5時間反応処理)における4号濾紙利用による脱リグニン処理原料を2.0〜20重量%水溶液を糖化槽に入れ、1.0〜5.0重量%のセルラーゼ酵素(洛東化成工業株式会社製エンチロンCMを使用)を用い、pH5.0、50℃で1日間糖化を行った結果における残存リグニン量(%)と糖化率(%)あるいは脱リグニン処理原料100g当たりのグルコース生成量(g)の関係は、それぞれ図4あるは5で示される相関係数0.98の一次相関が存在する。即ち、セルラーゼ酵素がそのセロビオース(グルコース2量体)生成活性を発揮すべくセルロースと相互作用(バインディング)し、多糖形成グルコース間エーテル結合を歪めてセロビオースを生成するのを残存リグニンが妨害しており、残存リグニンによるセロビオース生成の抑制は結果的にセロビオースをグルコースに変換するβ−グルコキシターゼ活性が抑制されグルコース生成が押さえられた状態を示唆している。従って、効率良い木質原料の糖化グルコース生成のためには残存リグニンがないような脱リグニン処理が望ましく、実施例での条件下で残存リグニンがない場合では約61%の糖化率及び100g処理原料から約55gのグルコースが入手できる。現実的には、上記の糖化率及びグルコース量に近い状態は残存リグニン量が2%程度でも実現できるので、完全な脱リグニンを必ずしも要求するものでない。
実施例11 糖化槽に付属する限外濾過装置の必要性
図1で示される糖化槽に付属する限外濾過装置の濾過膜が、糖化工程において酵素の生成物阻害を削減し、セルラーゼ酵素の繰返し安定利用が図れるか否かについて、濾過膜による酵素の回収率及び回収酵素の活性と再利用度の点から調べた。実施例1〜6の糖化反応のいずれにおいても、セルラーゼ酵素エンチロンCM(洛東化成工業株式会社製)を使用した糖化反応(pH5.5、50℃)より生成したグルコースの糖化槽からの分離排出は、濾過膜分画分子量が5,000、10,000、30,000、あるいは50,000のいずれを用いても成功するが、セルラーゼ酵素の回収は分画5,000で目詰まりを生じ、分画50,000では酵素の素通りが多く、分画10,000〜30,000が適していることが判明した。すなわち、1気圧加圧下で15分〜1時間の限外濾過でのセルラーゼ酵素の平均回収率は80%以上(分画10,000)及び55%以上(分画30,000)、4気圧加圧下で70%以上(分画10,000)、0.2気圧加圧下において85%以上(分画30,000)となり、限外濾過装置にかける圧力も酵素回収に大きく影響した。さらに、回収したセルラーゼ酵素の活性は、新鮮なものと対比して糖化率で±8%以内の増減(分画10,000、4.2気圧下70%以上で回収した場合)となり誤差範囲内で一致し、回収酵素の活性低下は全く見られなかった。したがって、糖化工程に付属する限外濾過装置の利用は、グルコースの糖化槽外への連続的排出によるセルラーゼ酵素のグルコース阻害の回避、糖化槽内へ返される回収酵素の長期間の活性発揮とグルコースの連続的生成をもたらし、極めて有用であることが明確となった。
図1で示される糖化槽に付属する限外濾過装置の濾過膜が、糖化工程において酵素の生成物阻害を削減し、セルラーゼ酵素の繰返し安定利用が図れるか否かについて、濾過膜による酵素の回収率及び回収酵素の活性と再利用度の点から調べた。実施例1〜6の糖化反応のいずれにおいても、セルラーゼ酵素エンチロンCM(洛東化成工業株式会社製)を使用した糖化反応(pH5.5、50℃)より生成したグルコースの糖化槽からの分離排出は、濾過膜分画分子量が5,000、10,000、30,000、あるいは50,000のいずれを用いても成功するが、セルラーゼ酵素の回収は分画5,000で目詰まりを生じ、分画50,000では酵素の素通りが多く、分画10,000〜30,000が適していることが判明した。すなわち、1気圧加圧下で15分〜1時間の限外濾過でのセルラーゼ酵素の平均回収率は80%以上(分画10,000)及び55%以上(分画30,000)、4気圧加圧下で70%以上(分画10,000)、0.2気圧加圧下において85%以上(分画30,000)となり、限外濾過装置にかける圧力も酵素回収に大きく影響した。さらに、回収したセルラーゼ酵素の活性は、新鮮なものと対比して糖化率で±8%以内の増減(分画10,000、4.2気圧下70%以上で回収した場合)となり誤差範囲内で一致し、回収酵素の活性低下は全く見られなかった。したがって、糖化工程に付属する限外濾過装置の利用は、グルコースの糖化槽外への連続的排出によるセルラーゼ酵素のグルコース阻害の回避、糖化槽内へ返される回収酵素の長期間の活性発揮とグルコースの連続的生成をもたらし、極めて有用であることが明確となった。
1 原料ホッパー
2 スクリューフィーダー型粉砕機
3 解繊機(トロンメル付属)
4 脱リグニン処理装置
5 スチー加熱管
6 撹拌機
7 糖化槽
8 予備攪拌機
9 二酸化炭素ブロアー
10 残渣フィルター
11 限外濾過用ポンプ
12 限外濾過装置
13 グルコース濃縮槽
14 濃縮加熱管
2 スクリューフィーダー型粉砕機
3 解繊機(トロンメル付属)
4 脱リグニン処理装置
5 スチー加熱管
6 撹拌機
7 糖化槽
8 予備攪拌機
9 二酸化炭素ブロアー
10 残渣フィルター
11 限外濾過用ポンプ
12 限外濾過装置
13 グルコース濃縮槽
14 濃縮加熱管
Claims (7)
- 原料物質である廃木材、間伐材や古紙等を含む木質系バイオマスを糖化するための微粉化及び脱リグニンを行う前処理工程と糖化工程により得られるグルコース生成物
- 原料物質である廃木材、間伐材や古紙等を含む木質系バイオマスを糖化するための微粉化及び脱リグニンを行う前処理工程と糖化工程により得られるグルコース生成物の製造法
- 廃木材、間伐材や古紙等を含む木質系バイオマスの微粉化及び脱リグニンを行う前処理工程において、微粉化された原材料の粒径及び脱リグニン処理条件と前処理後の残存リグニン量を規格化する方法により、糖化工程における前処理後の木質原料からのグルコース生成を効率良く促進する方法である請求項1及び2
- 糖化工程において、セルロースからのセロビオース(グルコース2量体)生成及びセロビオースからのグルコース生成に優れた活性を発揮するセルラーゼ酵素を用いて脱リグニン処理後の木質原料からグルコース生成を促進する方法である請求項1及び2
- 廃木材、間伐材や古紙等を含む木質系バイオマスの微粉体の脱リグニン前処理工程において、粒径が1ミリメータ以下望ましくは600マイクロメータ以下の微粉体を、タングステン酸あるいはモリブデン酸塩を含有する15〜30%過酸化水素水で脱リグニン処理し、得られた微粉体の残存リグニン量を10%以下望ましくは2%以下にすることによりセルラーゼ酵素利用糖化を促進する方法である請求項3及び4
- 糖化工程において、セルラーゼ酵素の活性と安定性を保持するために要求される水素イオン濃度pH5.0前後を設定するために、糖化槽内に二酸化炭素ブロアー等を設置して、糖化反応液へ二酸化炭素をバブリングすることで酸及び緩衝液等を不要とする方法である請求項4
- 糖化工程において、糖化生成物であるグルコースとセルラーゼ酵素を分離するために限外濾過膜の分画分子量が5,000〜50,000望ましくは10,000〜30,000である限外濾過装置を糖化槽に付属させ、セルラーゼ酵素を阻害するグルコースを糖化槽からグルコース濃縮槽に排出して、セルラーゼ酵素を糖化槽内に温存しつつ活性を維持することにより糖化反応を促進させる方法である請求項4
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