JP2010136702A - エタノールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 リグノセルロース系のバイオマスを原料とした、効率的なエタノールの製造法を提供する。
【解決手段】 アルカリ蒸解し、さらに漂白処理により脱リグニンしたリグノセルロース系バイオマスを原料してエタノール発酵することでエタノール収率と糖化酵素回収率を向上させることを特徴とするエタノールの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エネルギー資源として利用可能なリグノセルロース系バイオマスからのエタノール変換方法に関するものである。
リグノセルロース系バイオマスからエタノールを製造する方法として、硫酸などの酸を使ってバイオマス中のヘミセルロースとセルロースの加水分解を行い、加水分解液の中和後、あるいは酸の分離除去後に、酵母等によりエタノール発酵する方法が実用化されてきている。この方法は硫酸等の強酸の回収や耐酸性の容器を導入する必要があるほか、過分解による糖分の収率低下及び発酵阻害物の生成などの問題があり、簡便ではない。また、蒸煮爆砕処理により木材成分を分離し、セルロースとヘミセルロースを酵素により糖化し、同時に酵母等によりエタノール発酵させる方法も提案されてきているが、広葉樹材しか適用できず、針葉樹材では処理条件を厳しくしても酵素糖化が困難であるなど問題点があり、リグノセルロース系バイオマスを原料としたエタノール製造法は確立された技術になっていない。
リグノセルロース系のバイオマスからエタノールを製造する技術として特許文献1(特開2006-20603号公報)でキノコ廃菌床をアルカリ処理し、セルラーゼにより糖化し、微生物によりエタノール発酵を行う製造法が提供されている。この発明では、リグノセルロース系バイオマスとしてキノコ廃菌床を限定しているとともに、糖化酵素については最適な酵素生産について言及していない。したがって、資源量的に豊富にあるリグノセルロース系バイオマスには十分適用できない。また、アルカリ処理の温度範囲も低く、一般的なリグノセルロース系バイオマスの前処理には有効でない。
また、特許文献2(特開2008-92910号公報)では、リグノセルロース系バイオマスをアルカリ蒸解した原料を糖化、発酵してエタノール生産する方法が提供されているが、この方法では原料の一部が糖化されずに未分解残渣として残り、これに糖化酵素が結合し、不活性化し、酵素使用量の増大を招くとともに、再利用性が困難であることが分かってきた。
特開2006-20603号公報 特開2008-92910号公報
本発明者らは、環境負荷が少なく、大量なバイオマス資源を処理できる信頼性の高い技術である特許文献2の製造方法を改良し、上記問題点を解決した効率的にエタノールを製造する方法を研究した結果、リグノセルロース系バイオマスをアルカリ蒸解後、さらに漂白処理を加えることで格段に未分解残渣が減少することで糖化酵素の使用量を削減でき、さらに、酵素回収率が増加することで、エタノール生産効率の向上に有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)アルカリ蒸解法でパルプ化し、さらに漂白によって脱リグニン化したリグノセルロース系バイオマスを糖化酵素液および/または糖化酵素産生菌の培養液で糖化し、エタノール発酵菌でエタノール発酵させることを特徴とするエタノールの製造方法。
(2)リグノセルロース系バイオマスが、木本植物、草本植物、それらの加工物およびそれらの廃棄物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)項に記載のエタノールの製造方法。
(3)漂白処理は酸素漂白、オゾン漂白、塩素漂白、二酸化塩素漂白、触媒添加過酸化水素漂白、過酢酸漂白、過硫酸漂白などリグニンを酸化的に分解してパルプ中から除く漂白処理、およびアルカリ性過酸化水素漂白、ハイドロサルファイト漂白などリグニン中のフェノール性水酸基やカルボニル基など、酵素の吸着に関係する置換基を化学的に変性させる漂白処理であることを特徴とする(1)項に記載のエタノールの製造方法。
(4)アルカリ蒸解法がソーダ法またはクラフト法であることを特徴とする(1)項に記載のエタノールの製造方法。
(5)糖化酵素がセルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびβ−グルコキシダーゼからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(1)に記載のエタノールの製造方法。
(6)糖化酵素産生菌が、トリコデルマ属、アスペルギルス属、フミコラ属、イルペックス属またはアクレモニウム属に属する微生物であることを特徴とする(1)に記載のエタノールの製造方法。
(7)エタノール発酵菌が、サッカロマイセス属、ザイモモナス属またはピキア属に属する微生物であることを特徴とする(1)に記載のエタノールの製造方法。
エネルギー資源として豊富なリグノセルロース系バイオマスを利用して、簡便かつ環境に対する負荷の少ない製造工程により、ガソリン代替燃料として期待されるエタノールが得られる。本発明は糖化酵素の回収率が向上し、酵素コストを大幅に削減することができる。
本発明では、リグノセルロース系バイオマスの糖化は、セルロースおよびヘミセルロースを分解できる酵素を使用し、一般的な市販酵素を使用しても、リグノセルロース系バイオマスの糖化に適した糖化酵素を得るために、まずリグノセルロース系バイオマスをアルカリ蒸解したものを炭素源として糖化酵素産生菌を培養し、その培養液を使用してもどちらでも良い。
本発明において用いるリグノセルロース系バイオマスとしては、木本植物、草本植物、それらの加工物およびそれらの廃棄物からなる群より選ばれる少なくとも1種であればその種類は問わない。但し、アルカリ蒸解を効率的に行うためには、縦3cm×横3cm×厚さ5mmの製紙用切削チップ以下の大きさに細かく粉砕した方が好ましい。
本発明における木本植物とは、スギ、ヒノキ、カラマツ、マツ、米マツ、米スギ、米ツガ、ポプラ、シラカバ、ヤナギ、ユーカリ、クヌギ、コナラ、カシ、シイ、ブナ、アカシア、タケ、ササ、アブラヤシ、サゴヤシなどを例示することができる。また、樹皮、枝条、果房、果実殻なども使用することができる。また、これらを使った合板、繊維板、集成材のような加工材も使用することができる。また、建築物に使用後、解体された部材も使用することができる。また、紙などリグノセルロース系バイオマスの加工物や古紙紙ゴミ、製紙時に発生する製紙スラッジ中のパルプ繊維も使用することができる。
本発明における草本植物とは、イネ、ムギ、サトウキビ、ヨシ、ススキ、トウモロコシなどを挙げることができる。
アルカリ蒸解法としては、ソーダ法またはクラフト法を挙げることができる。
ソーダ法とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ薬品を使用し、リグノセルロース系バイオマスからリグニンを除去する方法であり、添加剤として、キノン系蒸解助剤、酸素、過酸化水素、ポリサルファイドの使用が可能である。
クラフト法とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ薬品と硫化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのイオウを含む薬品を共用し、リグノセルロース系バイオマスからリグニンを除去する方法であり、添加剤として、キノン系蒸解助剤、酸素、過酸化水素、ポリサルファイド、水素化ホウ素塩を代表とする各種還元剤、キレート剤の使用が可能である。
アルカリ蒸解に用いる薬剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムが使用でき、添加剤として硫化ナトリウム、キノン系蒸解助剤、酸素、過酸化水素、ポリサルファイドを使用することができる。また、アルカリ薬剤の添加量は、蒸解に使用するリグノセルロース系バイオマス乾燥重量の5〜40%とする。また、キノン系蒸解助剤、酸素、過酸化水素、ポリサルファイドなどの添加剤は、含有するリグニンの性質、量に応じて使用できるが、アルカリ薬剤のみで蒸解できる場合には、使用しなくてもよい。添加する場合には、蒸解に使用するリグノセルロース系バイオマス重量の10%以下が好ましい。アルカリ蒸解に使用するリグノセルロース系バイオマスは、蒸解を進行しやすくするために、あらかじめ粉砕するか、チップ状に切削・破砕してもよい。アルカリ蒸解時のリグノセルロース系バイオマスの重量濃度は5〜50%、反応温度は100〜200℃、望ましくは120℃以上、加熱時間は60〜500分で、チップの形状・寸法及び含有するリグニンの性質、量に応じて変更することができる。
加熱反応後はアルカリを除去し、水洗し、脱水を行う。洗浄は、後の糖化・発酵工程を阻害しないpHになるまで行い、好ましくはpH9以下まで行う。回収したアルカリ廃液中には、リグニンが混入しているのでリカバリーボイラで燃焼させ、熱を回収するとともにソーダ灰を回収して再利用する。ここで得られる熱は製造工程の中で利用する事ができるので低コスト化を図ることができる。また、この水洗・脱水処理を無菌的に行うことで、発酵前の滅菌工程を省略することができる。
漂白処理は、一連のアルカリ処理を行ったリグノセルロース系バイオマスから、固液分離によりアルカリ蒸解排液を除いて洗浄した後、酸素、オゾン、塩素、二酸化塩素、過酢酸、過硫酸、各種触媒により活性化された過酸化水素などのリグニンを酸化的に分解する薬剤、またはアルカリ性過酸化水素、ハイドロサルファイトナトリウムなどのようにリグニンの構造を変化させる漂白剤を単独または混合でリグニンが残留するバイオマスパルプに添加して行う。この時、添加する漂白剤は、気体、液体、個体のいずれでもよく、またそれらの混合物でもよい。また、それら漂白剤は漂白剤以外に他の成分を含んでいてもよい。また、漂白剤以外に添加剤を添加して、漂白効果またはパルプセルロースの分解保護または漂白剤の分解抑制あるいはそれら効果のいずれかの組み合わせまたはすべてを補助または促進してもよい。漂白剤はその必要な添加量を確保するために、加圧して添加してもよい。
漂白は、漂白剤の効果が向上するようなpH条件下で行われることが望ましい。例えば、酸素漂白や過酸化水素漂白ではアルカリ性、オゾン漂白では酸性、二酸化塩素漂白では弱酸性などであるが、必要であれば漂白効果を多少減じるようなpH条件下でも構わない。漂白温度は、それぞれの漂白剤が最も効率よくリグニンを分解する温度に設定されることが望ましいが、装置の性能や温度を制御するためのコスト等によって、その最適温度から外れても構わない。漂白されるパルプの固形分濃度は5%〜50%が望ましいが、必要であればこの範囲から外れても構わない。また、パルプと酸素ガスまたは酸素を含むガスを混合するため、高せん断型パルプミキサーを用いることもできる。パルプが漂白効果を減じるような化合物を含んでいる場合、それを漂白前に前処理して除去してもよい。各漂白は、同一の漂白を何回か繰り返す多段漂白か、または異なる種類の漂白を組み合わせるような多段漂白を行うこともできる。その場合に、漂白と漂白の間に必要ならパルプを洗浄してもよい。また、リグニン分解物をアルカリ性水溶液や酸性水溶液で抽出してもよい。またその時、必要であれば加熱することもできる。また、抽出工程に漂白剤を添加して抽出効率を向上させることもできる。
例えば酸素漂白の場合、固液分離によりアルカリ排液を除去し洗浄したパルプにアルカリと酸素ガスを添加して加熱し、酸素でリグニンを分解することにより行う。このとき、パルプ固形分濃度は5%〜50%の範囲で8%以上がのぞましいが、その範囲を外れても構わない。アルカリ添加量は、パルプスラリー中のpHがリグニンのフェノール性水酸基のpKa値以上になる量を添加することが望ましいが、それ以下のpHでも構わない。この時、アルカリ蒸解後に固液分離したパルプを洗浄せず、残留するアルカリをそのままpH調整に用いてもよい。また、アルカリ蒸解排液(黒液)をアルカリ薬剤の代わりに使用してもよい。また、排液を回収ボイラで燃焼し得たソーダ灰から再生された緑液、苛性化工程において水酸化カルシウムでイオン交換して得た白液を用いても良い。加熱温度は40℃以上で漂白時間は30min以上が反応を進行させてリグニンを分解する上で望ましいが、これ以下でも構わない。添加剤として、炭酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物、または重金属補足能を持つ各種キレート剤を添加してもよい。また、使用する酸素ガスは、加圧して添加してもよい。また酸素ガスは他のガス成分や水分を含んでいても構わない。また、空気を用いてもよい。漂白は、酸素漂白を二回以上繰り返す多段酸素漂白または他の漂白法と組み合わせる多段漂白を行うこともできる。
例えばオゾン漂白の場合、固液分離によりアルカリ排液を除去し洗浄したパルプを、希硫酸などの酸性水溶液を添加してpHを酸性にし、オゾンガスを添加してリグニンを分解することにより行う。オゾンガスを製造する方法は特には規定しないが、一般的には酸素ガスや酸素を含む気体に放電を行うことにより、または紫外線を照射することにより、製造される。オゾンは、アルカリ性条件下で不安定になり分解するので、パルプにオゾンを添加する前に希硫酸などの酸性水溶液を添加して、パルプスラリーをpH5以下することが望ましい。パルプ濃度は5%〜50%で8%以上が望ましいが、この範囲を外れても構わない。漂白温度は、高温におけるオゾンの分解を避けるため低ければ低いほどよく、望ましくは80℃以下であるが、この温度以上でも構わない。オゾンの添加率は、対パルプ乾燥重量当り、カッパー価で示したパルプ中のリグニン量に0.1を乗じた重量パーセントの添加率を基本とするが、その値から外れても構わない。また、オゾンは加圧して添加してもよい。また、必要量のオゾンを一度に添加せず、数度に分けて添加しても良い。その場合、添加の間にパルプを洗浄してリグニン分解物を除去してもよい。また、オゾンは重金属を触媒として分解されるので、漂白前にパルプを酸性水溶液やキレート剤水溶液で洗浄して重金属を除いても良い。
こうして得られた漂白処理したリグノセルロース系バイオマスを原料とし、先に記述した糖化酵素液あるいは糖化酵素産生菌の培養液もしくはその両方、また、本説明に記載したエタノール製造方法によって得られる反応液から回収される糖化酵素液を使って糖化させ、エタノール発酵菌によってエタノールを製造するが、糖化と発酵を順次実施しても、糖化酵素液あるいは糖化酵素産生菌の培養液もしくはその両方、あるいは、回収された糖化酵素液とエタノール発酵菌を同時に添加し、糖化と発酵を同時に実施しても良い。この時、同時に行う同時糖化発酵の方が効率は高いが、糖化反応を先に実施し、その糖化液を発酵させる方式でもよい。
糖化反応に使用される酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびβ−グルコキシダーゼからなる群より選ばれる少なくとも一種である。ヘミセルラーゼとしては、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼおよびペクチナーゼを挙げることができる。
また本発明の糖化反応には、糖化酵素産生菌の培養液を用いてもよい。糖化酵素産生菌としては、トリコデルマ属、アスペルギルス属、フミコラ属、イルペックス属またはアクレモニウム属に属する微生物を挙げることができる。
糖化酵素産生菌の培養液の炭素源としては、例えば、結晶性のセルロースや濾紙、あるいは、アルカリ蒸解処理後のリグノセルロース系バイオマスやアルカリ蒸解法でパルプ化し、さらに漂白によって脱リグニン化したリグノセルロース系バイオマスを挙げることができる。リグノセルロース系バイオマスとしては、木本植物、草本植物、それらの加工物およびそれらの廃棄物からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
中でも、アルカリ蒸解法でパルプ化し、さらに漂白によって脱リグニン化したリグノセルロース系バイオマスを炭素源とすることが、その炭素源分解に必要な酵素を効率的に糖化酵素産生菌に生産させることができるという点で好ましい。
糖化反応に使用する糖化酵素は、酵素製剤の場合でも培養液の場合でも回収された糖化酵素液の場合でも原料基質となる漂白処理したリグノセルロース系バイオマスのセルロース分1gに対して5〜50unitのセルラーゼ活性を含むように調整する。
糖化されたリグノセルロース系バイオマスは、エタノール発酵菌によりエタノール発酵される。
エタノール発酵に用いられるエタノール発酵菌は、サッカロマイセス属、ザイモモナス属またはピキア属に属する微生物である。
エタノール発酵菌の投入量は多いほど発酵効率がよい。
同一の反応器で糖化反応とエタノール発酵を行う場合には、反応液のpHと温度は、糖化反応と発酵、どちらも作用できる条件で行う。条件としては、エタノール発酵菌の発酵条件を優先し、pHは、4〜7、温度は、20〜40℃が好ましい。また、同時糖化発酵を嫌気的条件で行うことで、好気性菌である糖化酵素産生菌の増殖を抑制することができ、糖化酵素産生菌の増殖に伴う糖の消費を抑制することができる。また、同時糖化発酵は撹拌した方が糖化反応が進行し易いため、エタノール生産性が良くなる。また、生成したエタノールを分離回収しながら同時糖化発酵を行うこともできる。
糖化反応と発酵を別々の反応器で同時に行う方式では、糖化反応は、糖化反応に適した温度で実施する。好ましくは、40〜60℃で実施する。反応液のpHは、発酵条件と同一とし、4〜6が好ましい。糖化反応液を連続的に取り出し、発酵槽へ供給する。発酵槽のエタノール発酵菌は、固定化してもしなくても良いが、固定化した方が好ましい。発酵条件は、pHは、4〜7、温度は、20〜40℃が好ましい。エタノール発酵液は再び糖化反応槽へ戻し、糖化反応と発酵を同時に行う。その際、生成したエタノールを分離回収することもできる。
糖化反応を先に実施し、その糖化液を発酵させる方式の場合には、糖化反応は、糖化反応に適した温度で実施する。好ましくは、40〜60℃で実施する。反応液のpHも、糖化反応に適した条件で実施し、4〜7が好ましい。糖化反応が終了したら、糖化反応液を取り出し、発酵槽へ供給する。この時、糖化反応液の糖濃度を調整し、エタノール発酵に適した糖濃度に濃縮や希釈をする方が好ましい。また、pHを調整し、エタノール発酵菌の最適発酵条件のpHにする方が好ましい。発酵槽のエタノール発酵菌は、固定化してもしなくても良いが、固定化した方が好ましい。発酵条件は、エタノール発酵に適した条件で実施する。pHは、4〜8、温度は、20〜40℃が好ましい。エタノール発酵中に生産したエタノールを分離回収することもできる。
糖化反応の経過に伴って反応器内の漂白処理したリグノセルロース系バイオマスは分解され、減少するため、必要に応じて漂白処理したリグノセルロース系バイオマスを反応器内に無菌的に投入し反応を継続させる方が望ましい。
また、反応器内にエタノールが蓄積し、エタノール濃度が上昇すると発酵が抑制されるので、発酵液からエタノールを分離回収しながら発酵させても良い。その場合、浸透気化膜を使っても良く、エバポレーション装置を使っても良い。その際、酵素や発酵微生物が失活しない50℃以下で運転しなければならない。ただし、エタノールを回収後の発酵液を反応器に戻さない場合には、この限りではなく、エタノール回収に適した温度で実施できる。また、エタノール回収後の液中には酵素や発酵微生物が残存しているので反応器へ無菌的に戻し、再利用する方が望ましい。本発明の特徴である漂白処理したリグノセルロース系バイオマスを原料とするので酵素の回収率が増加するとともに発酵残渣量を削減することができる。
酵素や発酵微生物は長期運転により活性が低下するので必要に応じて無菌的に追加しても良い。
また、反応器内には不溶性の残さが蓄積し、撹拌効率を抑制するので遠心分離機などを使って除去しても良い。これも、漂白処理したリグノセルロース系バイオマスを原料とするので未分解残渣が減少し、製造工程を効率化することができる。
回収したエタノールは、蒸留装置で蒸留することができる。
実施例
以下、実施例に従って本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
風乾したスギチップ1kgに、水酸化ナトリウム260gを含む水溶液6Lを加え、蒸解助剤として1,4-dihydro-9,10-dihydroxyanthracene disodium salt(アントラキノン)を10g添加し、20℃から90分間かけて170℃まで加温し、さらに170℃を150分間保った(全アルカリ蒸解時間240分)。水溶液を除いた後、アルカリ蒸解したスギを十分に水洗し、水分70%になるまで圧縮脱水した。得られたスギパルプ400g(乾燥パルプ120g、水分280g)に対パルプ乾燥重量当り10%重量の水酸化ナトリウム(12g)を含む水800mlを加えてパルプ濃度を10%とした。このパルプスラリーを高せん断型パルプミキサー(Quantam Mk.V)に入れ、90℃に加熱した後、酸素ガスを6kg/cm2の圧力で添加し、60分間酸素漂白した。漂白後、スギパルプはpHが8以下になるまで水洗し、脱水し固形分濃度30%とした。 Saccharomyces cerevisiae(NBRC 2347)は、YM Broth 100mLで28℃、3日間培養し、エタノール発酵微生物培養液を調整した。500mLガラス反応器に前記漂白処理したスギ20g(無水換算)を入れ、水分80gに調製し、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)を200mL加え、糖化酵素としてTrichoderma reesei由来の市販酵素GC220(ジェネンコア社製)を5mL使用した。前記Saccharomyces培養液20mLを加え、30℃で嫌気的に同時糖化発酵を行った。7日後のエタノール生産量は8.4g(無水換算)となり、エタノール収率は、88%であった。また、この時発酵液から投入酵素の89%が回収され、再利用できることを確認した。
このように、漂白処理したリグノセルロース系バイオマスを原料として同時糖化発酵を行うことでエタノール収率が増加し、糖化酵素の回収率が向上し、低コスト化を図ることができた。
比較例1
対スギチップ乾燥重量当りの水酸化ナトリウム添加量26%、蒸解助剤として1,4-dihydro-9,10-dihydroxyanthracene disodium salt(アントラキノン)添加量0.1%を加え、液比6、170℃、90分間加熱してアルカリ蒸解処理のみをしたスギパルプとこれをさらにパルプ濃度10%、対パルプ当りの水酸化ナトリウム添加量10%、酸素添加圧力6kg/cm2、90℃60分間加熱という条件で酸素漂白処理したスギを原料とした場合のエタノール生産量と酵素回収率を比較した。
アルカリ蒸解処理のみをしたスギのセルロース量を2%とし、ペプトン、塩類を調整した培養液で、トリコデルマ(ATCC 31329)を30℃で10日間、通気撹拌培養を行い、糖化酵素を生産させ、培養液を得た。
アルカリ蒸解処理のみをしたスギおよびこれをさらに漂白処理したスギをセルロース量が20gとなるように加えた50mM酢酸緩衝液(pH4.5) 100mL中に前記培養液100mLを加え、Saccharomyces cerevisiae(NBRC 2347)をYM Broth で28℃、3日間培養し、エタノール発酵微生物培養液を20mL を加え、30℃で100時間反応させた。反応後のエタノール生産量と反応液中に残存ずる酵素活性を比較した。
Figure 2010136702
この結果、表1に示すように、アルカリ蒸解処理のみをしたスギでは、エタノール生産量は、7.2gで、酵素の回収率は、6%であった。これに比べ、漂白処理したスギでは、エタノール生産量は、8.1g、酵素の回収率は96%となった。したがって、漂白処理をすることにより、エタノール生産性が、1.125倍に増加し、さらに酵素回収率は、16倍に増加した。
このことから、アルカリ蒸解処理のみでなく、これを漂白することでリグノセルロース系バイオマスからのエタノール生産における酵素使用量を大幅に削減できることにより、エタノール生産性を大きく向上することが明らかとなった。
本発明のエタノールの製造法により、エネルギー資源としてリグノセルロース系バイオマスを利用した先行技術に比べて酵素コストを大幅に削減することができ、安価にガソリン代替燃料として期待されるエタノールが得られるので、本発明は有用である。

Claims (7)

  1. アルカリ蒸解法でパルプ化し、さらに漂白によって脱リグニン化したリグノセルロース系バイオマスを糖化酵素液および/または糖化酵素産生菌の培養液で糖化し、エタノール発酵菌でエタノール発酵させることを特徴とするエタノールの製造方法。
  2. リグノセルロース系バイオマスが、木本植物、草本植物、それらの加工物およびそれらの廃棄物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のエタノールの製造方法。
  3. 漂白処理は酸素漂白、オゾン漂白、塩素漂白、二酸化塩素漂白、触媒添加過酸化水素漂白、過酢酸漂白、過硫酸漂白などリグニンを酸化的に分解してパルプ中から除く漂白処理、および過酸化水素漂白、ハイドロサルファイト漂白などリグニン中のフェノール性水酸基やカルボニル基など、酵素の吸着に関係する置換基を化学的に変性させる漂白処理であることを特徴とする請求項1に記載のエタノールの製造方法。
  4. アルカリ蒸解法がソーダ法またはクラフト法であることを特徴とする請求項1に記載のエタノールの製造方法。
  5. 糖化酵素がセルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびβ−グルコキシダーゼからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のエタノールの製造方法。
  6. 糖化酵素産生菌が、トリコデルマ属、アスペルギルス属、フミコラ属、イルペックス属またはアクレモニウム属に属する微生物であることを特徴とする請求項1に記載のエタノールの製造方法。
  7. エタノール発酵菌が、サッカロマイセス属、ザイモモナス属またはピキア属に属する微生物であることを特徴とする請求項1に記載のエタノールの製造方法。
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