JP2012100617A - リグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法 - Google Patents

リグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 使用酵素を反応液から高回収率で回収して長期間にわたって循環利用することを可能とするリグノセルロース系バイオマスの工業的な酵素糖化処理方法を提供する。
【解決手段】酵素糖化反応に適する原料とする前処理が施されているリグノセルロース系原料を含有する原料懸濁液に炭酸カルシウム粒子を添加して酵素糖化反応を行い、処理懸濁液から酵素含有液を分離回収し、回収した酵素含有液を前記酵素糖化処理工程に循環するリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法、及び前記原料懸濁液に生成糖類を発酵基質とする発酵微生物を添加することにより酵素糖化反応と糖類の発酵反応を同時に行う酵素糖化処理方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、糖化に適した処理を施したリグノセルロースを含有するバイオマスをセルロース分解酵素やヘミセルロース分解酵素からなる酵素群により糖化処理する反応を含むリグノセルロース系バイオマスの酵素糖化処理方法において、使用する酵素群を反応液から高回収率で回収して長期間にわたって循環利用することを可能とするリグノセルロース系バイオマスの酵素糖化処理方法に関する。
糖化に適した処理を施したリグノセルロース原料から糖を製造する技術は、この糖を微生物の発酵基質として用いることによりガソリンの代替燃料となるアルコールや、プラスチック原料となるコハク酸や乳酸などの化成品原料を製造することができることから、循環型社会の形成に有益な技術である。
植物系バイオマス中の多糖類から発酵基質となる単糖や小糖類を製造する方法は2つに大別できる。一つは鉱酸を用いて加水分解する酸糖化法であり、もう一つは酵素やその酵素を生産する微生物を用いて加水分解する酵素糖化法である。
酸糖化法は酵素糖化法に比べて技術的に完成されているが、リグノセルロース系バイオマスを原料とする方法の場合は、澱粉や廃糖蜜などを原料とする方法に比べて糖収率が低いことに加えて、処理工程から排出される廃酸の処理設備や、酸による腐食に耐え得る大型の設備が必要となること等が製品コストの増大原因となっていて実用化の大きな障壁となっている。
一方、酵素糖化法は、近年酵素の価格が下がってきていることと技術の進歩から、後処理まで含めた全体のコストで酸糖化法のコストに近づいてきてはいるが、酵素糖化法の全体コストに占める割合が高い酵素の価格は依然として高いことから、酵素糖化法の実用化のためには酵素にかかる費用の一層の低減が重要である。
酵素糖化法のコストを下げる技術としては、セルロース繊維への酵素のアクセスを容易にする前処理の方法の開発や、結晶性セルロースを効率よく糖化する方法の開発、更には酵素の効率的な回収、再利用方法の開発などが考えられる。
リグニンを除去していないリグノセルロース材料は、リグニンを除去したリグノセルロース材料と比べて酵素によって分解されにくく、糖化されずに樹脂、金属などの不純物と一緒に糖化液中に残渣として残る。一般に、この残渣はスクリーン、遠心分離等により分離し廃棄される。この残渣には酵素糖化法におけるコストの中で大きな比重を占めている酵素が多量に吸着されているため、反応液から分離した残渣をそのまま廃棄してしまうと高価な酵素も廃棄されてしまうという問題があった。
上記のような残渣中の酵素の回収手段として、残渣の洗浄が考えられる。しかし、酵素は、その分子内に有しているセルロースに特異的に吸着するセルロースバインディングドメイン(CBD)等によりセルロースと強固に結合しているため、単なる水洗浄ではセルロースに吸着した酵素を十分に回収することは困難であった。
そこで、酵素の回収率の改善を目的として界面活性剤を添加して処理する方法(特許文献1参照)などが提案されている。しかし、界面活性剤処理法でも、酵素の回収率が十分であるとはいえず、また、薬品添加による酵素の失活や、処理工程付加に伴うコストアップ及び後の発酵段階における微生物への悪影響などが懸念されることなどから実用的ではない。
糖液からの酵素の回収法としては、限外濾過を用いた方法(特許文献2参照)、糖液に再度セルロースを添加して酵素を吸着回収する方法(特許文献3参照)などが提案されている。しかし、限外濾過法は微少な不純物がろ過膜につまり十分な処理速度及び酵素回収率が得られない問題があるし、セルロース添加による回収法では十分な酵素回収が困難であった。
吸着した酵素を剥離させる工程を経ずに、酵素が吸着しているリグノセルロース残渣を次回分の酵素糖化に再利用する方法が提案されている(特許文献4)。この方法では、残渣の蓄積は避けられないので反応効率が低下することが懸念される。また、CBH(セロビオヒドラーゼ)等、CBDを有する酵素に関してはリグノセルロース残渣を次回分で再処理することで酵素の循環利用が可能であるが、β−グルコシダーゼ等は上清中に遊離している場合もあるので、添加したセルラーゼの全てを循環利用することは困難である。
酵素のコストを下げる方法として、酵素を循環利用する方法が報告されている。Scott,C.D.らの方法(非特許文献1)によると、酵素を大量(濾紙分解活性で基質1gに対して80−160単位)に添加して古紙原料を酵素加水分解する主反応槽に、酵素加水分解液中の未反応古紙面から高剪断力で生成グルコースやセロビオース成分を除いて常に新しいセルロース繊維表面を露出させる高速遠心ポンプによる磨砕装置と、磨砕装置からの処理液から未反応原料と加水分解液を分離して未反応原料のみを主反応槽に循環する膜分離装置と、膜分離装置からの加水分解液から酵素と生成グルコース及びセロビオースを分離して酵素のみを主反応槽に循環する限外濾過装置とを有する循環ラインを設けた連続システムを想定してコストを予測している。このシステムにより、糖化率は25時間で100%であり、酵素の残存率は24時間で95%以上であるとされている。
また、酵素が残渣に吸着されて失われること、残渣の酵素の吸着機能はpHを5〜7に高めることで低下可能な場合があること、温度を5℃に下げることで低減できるという報告もあることが記載されている。
酵素を回収再利用する方法として、蒸煮・爆砕処理したシラカンバ材を5質量% の濃度で糖化槽に加え、2万単位のセルラーゼを添加して、限外濾過により糖液と酵素液とを分離し、酵素を回収再利用しながら、8日間で2kgのシラカンバ材から単糖類を630g得ている方法も報告されており、この方法で酵素の使用量を20%節約できたとされている(非特許文献2)。
特許昭63-87994号公報 特許昭61-234790号公報 特開昭55-144885号公報 特開2010-98951号公報
Scott,C.D.,Rothrock,D.S.,Appl.Biochem.Biotechnol.,45/46,pp.641−653(1994 ) Ishihara,M.,etal.,Biotechnol. Bioeng.,37,948−954(1991)
リグノセルロースなどのセルロース系原料から糖類を製造する技術は、これまで化石資源に頼ってきた燃料やプラスチック原料を新たに供給し得る技術であり、特に循環型社会の構築に役立つ技術である。前述したように、これまで様々な技術が開発されてはいるものの、糖化に要する酵素のコストが高いことが主たる原因で経済性がないことが課題となっている。
前記したように、糖化に用いた酵素を回収し繰り返し使用することにより酵素の使用量を削減しようという試みが種々なされているが、糖化の際に生じる残渣に酵素が強く吸着しているため、回収率が下ってしまい、問題の解決には至っていない。このように、酵素糖化の際に生じる残渣に酵素が強度に吸着することが、酵素回収の際の最大の問題であり、これを解決できれば酵素のリサイクル性は向上し、コストを低下させ、酵素糖化処理法の経済性は大きく改善できる。本発明は、リグノセルロース材料の酵素糖化処理のために投入される酵素を無駄なく有効利用することができる方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明者らは、連続的に酵素糖化反応を行う工程において、全体コストに極めて大きな割合を占める価格の高い酵素について、酵素の回収率を高めて繰り返し使用することによりコストを下げる方法を検討した結果、酵素糖化反応液中で、酵素がリグノセルロース原料や反応残渣等に酵素が吸着されることを抑制することができる新しい手段を見出し、以下の発明をなすに至ったものである。
(1)酵素糖化反応に適した原料とする前処理が施されたリグノセルロース系原料をセルロース糖化酵素含有水中に添加してなる原料懸濁液を酵素糖化処理工程において攪拌下に酵素糖化処理して処理懸濁液を得、該処理懸濁液から反応生成物と酵素を分離回収し、回収した酵素含有液を酵素糖化処理工程用の酵素源として循環利用する酵素糖化処理方法であって、前記原料懸濁液に炭酸カルシウム粒子を添加して酵素糖化処理することを特徴とするリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(2)前記炭酸カルシウム粒子が、リグノセルロース原料(絶乾)100質量部に対して1〜10質量部の割合で添加される(1)項記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(3)前記セルロース糖化酵素がセルラーゼである(1)項又は(2)項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(4)前記酵素糖化反応に適した原料とする前処理が、リグノセルロース系原料をアルカリ薬品含有溶液で浸漬処理する化学的処理、加圧熱水処理、破砕繊維化処理又は磨砕処理よりなる機械的処理から選択される少なくとも1種を含む前処理である(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(5)前記酵素糖化反応工程に循環される酵素含有液が、糖化酵素及び生成糖類中のオリゴ糖類を含有する酵素含有液である(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(6)前記酵素糖化反応工程に循環される酵素含有液が、生成糖類が除かれた酵素含有液である(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(7)前記酵素糖化処理方法が、リグノセルロース系原料に酵素糖化反応に適した原料とする処理を施す前処理工程、セルロース糖化酵素含有水に該前処理が施されたリグノセルロース系原料と炭酸カルシウム粒子を添加してなる原料懸濁液を攪拌下に酵素糖化処理する酵素糖化処理工程、該酵素糖化処理工程から出る処理懸濁液から固形残渣を除去する固液分離工程、該固液分離工程から出る液体留分を遠心分離して残留残渣を除去する遠心分離工程、該遠心分離工程から出る残留残渣が除去された液体留分から酵素含有液と生成糖含有液を分離する膜分離工程、該膜分離工程から得られる酵素含有液を酵素貯留槽を経て酵素糖化処理工程に酵素源として循環供給する酵素循環工程を有する一連の工程に従ってリグノセルロース系原料を糖化処理する方法である(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(8)前記酵素糖化処理工程を、単糖類を醗酵基質とする発酵用微生物を添加して酵素糖化処理と該酵素糖化処理によって生成する糖類中の単糖類を基質とする発酵処理を併行して行う併行糖化発酵処理工程とし、併行糖化発酵処理工程から出る処理懸濁液から発酵生成物と酵素を分離回収し、回収酵素を含有する酵素含有液を酵素糖化処理工程に酵素源として循環供給することを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(9)前記発酵用微生物がアルコール酵母である(8)項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
(10)前記酵素糖化処理方法が、リグノセルロース系原料に酵素糖化反応に適した原料とする処理を施す前処理工程、セルロース糖化酵素含有水に該前処理が施されたリグノセルロース系原料、炭酸カルシウム粒子、及び単糖類を発酵基質とする発酵用微生物を添加してなる原料懸濁液を攪拌しながら酵素糖化処理と生成糖類中の単糖類の発酵処理を併行して行う酵素糖化処理工程、該酵素糖化処理工程から出る処理懸濁液から固形残渣を除去する固液分離工程、該固液分離工程から出る液体留分を減圧蒸留して発酵生成物を分離回収する蒸留工程、該蒸留工程から出る蒸留残液を遠心分離して残留残渣を除去する遠心分離工程、該遠心分離工程から出る残留残渣が除去された液体留分を酵素含有液と生成糖含有液に分離する膜分離工程、該膜分離工程から得られる酵素含有液を酵素貯留槽を経て酵素糖化処理工程に循環供給する回収酵素循環工程を有する一連の工程に従ってリグノセルロース系原料を併行糖化発酵処理する方法である(8)項又は(9)項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
本発明の酵素糖化処理方法によれば、リグノセルロース未反応原料や反応残渣等への糖化酵素の吸着が抑えられて、酵素糖化処理懸濁液からの糖化酵素の分離・回収が容易となる結果、酵素損失が少なく経済性の高い連続的なリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法が提供される。
リグノセルロース系原料から糖類を製造する酵素糖化処理方法を実施する工程を示す図である。 リグノセルロース系原料から糖類及び発酵生成物の製造を併行して行う酵素糖化処理方法を実施する工程を示す図である。
以下、本発明のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法をさらに詳しく説明する。
<リグノセルロース系原料>
本発明の方法で使用するリグノセルロース系原料としては、木質系として、製紙用樹木、林地残材、間伐材等のチップ又は樹皮、製材工場等から発生する鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、草本系として、ケナフ、稲藁、麦わら、バガスなどの農産廃棄物、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等が挙げられる。なお、本発明におけるリグノセルロース系原料としては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ等も利用可能である。
前記木質系のリグノセルロース原料の中でも、木材の樹皮は、現在ほとんど有効利用されておらず、製材工場やチップ工場で均一な品質のものが大量に入手可能であり、木材の木部部分より柔軟かつ可溶性成分が多いため、糖化処理や併行糖化発酵処理の原料として特に好ましい。例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属又はアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
<酵素糖化処理に適した原料とする前処理>
本発明の酵素糖化処理に適した原料とする前処理とは、図1及び図2に示されている「前処理工程」において、前記リグノセルロース系原料に以下の前処理を施してリグノセルロース系原料を酵素糖化反応を受けやすい状態とする処理である。
化学的処理、水熱処理、加圧熱水処理、二酸化炭素添加水熱処理、蒸煮処理、湿式粉砕処理、機械的磨砕処理、破砕繊維化処理、希硫酸処理、水蒸気爆砕処理、アンモニア爆砕処理、二酸化炭素爆砕処理、超音波照射処理、マイクロ波照射処理、電子線照射処理、γ線照射処理、超臨界処理、亜臨界処理、有機溶媒処理、相分離処理、木材腐朽菌処理、グリーン溶媒活性化処理、各種触媒処理、ラジカル反応処理、オゾン酸化処理。
これらの処理は、各単独の処理もしくは複数を組み合わせた処理のいずれであってもよい。中でも、リグノセルロース含有バイオマスに対し、アルカリ処理、加圧熱水処理、破砕繊維化処理及び機械的磨砕処理から選択される1つ以上の前処理を施すことが好ましい。
前記化学的処理は、酸やアルカリ等の薬品の水溶液にリグノセルロース系原料を浸漬して、次工程の酵素糖化処理に適した状態にする処理である。
化学的処理に使用する薬品等については特に限定されないが、たとえば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、硫酸、希硫酸などの硫化物、炭酸塩又は亜硫酸塩から1種以上選択されたものであり、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、硫化ナトリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等から選択された1種以上の薬品の水溶液に浸漬してなるアルカリ処理等が化学処理として好適である。また、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による化学的処理も可能である。
化学的処理は、前記破砕繊維化処理や機械的磨砕処理と組み合わせてそれらの前処理の後処理として行うことが好適である。
化学的処理に使用する薬品の添加量は、状況に応じて任意に調整可能であるが、薬品コストの抑制やセルロースの溶出・過分解による収率低下を防止するためには、リグノセルロース系原料の絶乾100質量部に対して50質量部以下であることが望ましい。化学的処理における薬品の水溶液への浸漬時間及び処理温度は、使用する原料や薬品によって任意に設定可能であるが、処理時間30分〜1時間、処理温度80〜130℃が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理時間は1時間以下、処理温度は130℃以下であることが好ましい。
酵素糖化反応に適した原料とする前処理が施されているリグノセルロース系原料に対しては、リグノセルロース系原料懸濁液の調製に使用する前に、殺菌処理を施すことが好ましい。リグノセルロース系原料中に雑菌が混入していると、酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下してしまうという問題が発生する。
殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でもよいが、高温下で処理する方法でもよく、両方を組み合わせてもよい。酸処理後やアルカリ処理後の原料については酵素反応や発酵反応に支障のない弱酸性領域から弱アルカリ性領域にまたがるpH領域に調整されている原料懸濁液の状態で使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは酵素反応や発酵反応に支障のない温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。
<酵素糖化処理工程>
酵素糖化反応に適した原料とする前処理が施されているリグノセルロース系原料が適量の水に酵素と共に添加され、混合されて酵素糖化処理用の原料懸濁液が調製され、酵素糖化処理工程に供給される。糖類の製造を目的とした酵素糖化処理は、図1の「糖化処理工程」における処理である。
「酵素糖化工程」では、前処理工程で酵素糖化処理に適した状態に処理されたリグノセルロース系原料がセルロース分解酵素含有水中に炭酸カルシウム粒子とともに添加されて原料懸濁液が調製され、攪拌下に酵素糖化処理される。
酵素糖化処理工程における原料懸濁液中のリグノセルロース系原料(絶乾)の懸濁濃度は、1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
酵素糖化処理工程で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加することができる。市販されているセルラーゼ製剤には、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いればよい。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム属(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス属(Trametes)、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分(絶乾)100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
酵素糖化処理工程に添加する炭酸カルシウム粒子としては、軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムのいずれも使用可能である。また、その粒径も、酵素糖化処理槽内の攪拌反応条件下で安定な懸濁状態を維持できる粒径であれば特に制限はない。一般的には、平均粒径0.001〜50μm以下、好ましくは1.0μm〜20.0μmの範囲のものが使用される。
炭酸カルシウム粒子の添加割合は、原料リグノセルロース(絶乾)100質量部に対して炭酸カルシウム1〜10質量部、好ましくは5〜10質量部である。1質量部より少なくなるにしたがって添加効果が十分発揮されない状態となるし、10質量部を超えて添加しても添加量の増加に見合った酵素回収率の向上は期待できない。
酵素糖化処理工程における懸濁液のpHは、酵素反応の至適pH数値の範囲内であれば特に制限はなく、3.5〜10.0の範囲で適宜選択されるが、4.0〜7.5の範囲に維持することが好ましい。
酵素糖化処理温度は、酵素反応の至適温度の数値範囲内であれば特に制限はなく、通例25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。反応は、連続式でもバッチ方式でもよい。反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、好ましくは15〜100時間である。
<固液分離工程>
酵素糖化処理工程を出た処理懸濁液は、図1における「固液分離工程」で濾過装置によりリグニン、ヘミセルロース、セルロース及び炭酸カルシウム粒子を含んだ固形残渣が除かれる。この固形残渣中のセルロース成分はリグニン等により保護されている状態であり、糖化原料として利用し難いものであるため他の固形分と共に系外に排出される。液体留分は次工程の遠心分離工程に送られる。
<遠心分離工程>
固形残渣成分が除かれた液体留分は、図1の「遠心分離」の工程で随伴されている微細炭酸カルシウム粒子や液体残渣成分が除去されて、酵素、生成糖類を含有する液体留分が得られる。
<膜分離工程>
遠心分離工程から出る液体留分は、次いで、図1の「膜分離」の工程で限外濾過装置により生成糖類含有液と酵素含有液に分離され、生成糖類含有液は図1に「糖」として示されている糖類貯槽に送られる。生成糖類含有液は製品として回収される。他方、酵素含有液は、図1に「回収酵素」として示されている酵素貯槽を経て酵素糖化処理工程の酵素源として循環される。
<併行糖化発酵処理>
図2に示されるように、「糖化工程」における酵素糖化処理を、酵素糖化処理によって生成する糖類中の単糖類を発酵基質(発酵原料)とした発酵処理を同時に行う併行糖化発酵処理とすることにより発酵生産物を製造することを主たる目的とする併行糖化発酵処理方法を実施する工程とすることができる。
前処理工程で酵素糖化処理に適した状態とする処理が施されたリグノセルロース系原料は酵素糖化処理工程に供給され、ここで、セルロース分解酵素、発酵用微生物、たとえばアルコール酵母、炭酸カルシウム粒子等を含有する原料懸濁液が調製され、酵素糖化反応と生成する単糖類を基質とする発酵反応が併行して進行する併行糖化発酵処理が行われる。
併行糖化発酵処理のための発酵用の微生物としてはアルコール酵母などが用いられる。酵母などの発酵用微生物はそれらの増殖培地と一緒に反応系に添加することができる。酵母としては特許文献3、4などに記載される周知の酵母が使用できる。
発酵用微生物は固定化しておいてもよい。発酵用微生物を固定化しておくと酵母の回収が容易となる。また、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収、再利用を可能にすることもできる。
併行糖化発酵工程では、酵素糖化反応によって六炭糖、即ちグルコース、マンノース、ガラクトース等、ヘミセルロースに由来する五炭糖、即ちキシロースなどのほかにオリゴ糖類が生成し、グルコース等の六炭糖類が主として発酵基質とされエタノールのようなアルコール等が生成する。なお、生成する五炭糖はエタノール酵母の発酵基質として消化されることなく処理懸濁液中に残存する場合があるし、オリゴ糖類も発酵基質とはならないので残存するので、五炭糖については発酵基質とする微生物を併用するか、あるいは、五炭糖のみを別工程で処理してもよい。また、オリゴ糖類は後述するように回収酵素と共に併行糖化発酵工程に供給してさらに酵素分解処理してもよいし、糖製品として回収してもよく、いずれの実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
併行糖化発酵処理後の処理懸濁液は、酵素糖化処理工程を出て図2に「固液分離」として示されている工程に送られ、濾過装置によりリグニン、ヘミセルロース、セルロース、炭酸カルシウム及び酵母を含んでいる固形残渣と生成アルコール、オリゴ糖類、酵素等を含有する液体留分とに分離される。分離される固形残渣中のセルロース分はリグニン等により保護されている状態で酵素糖化原料として適さないのでその他の固形分と共に残渣分としては系外に排出される。
固液分離工程を出る液体留分は、図2に「蒸留」として示されている減圧蒸留装置からなる蒸留工程に送られて発酵生成物、たとえばエタノールが回収されて「エタノール」として示されている貯槽に蓄えられる。
蒸留工程を減圧工程とすることにより、低い温度で発酵生成物を分離できるため酵素が失活することを防ぐことができる。減圧蒸留装置としてはロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪化する。蒸留後の蒸留残液中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下とすることが好ましい
蒸留残液は、図2に「遠心分離」として示されている工程で残留している残渣分を遠心分離によって除去した後、液体留分は「膜分離」として示されている工程に送られて限外濾過装置により酵素含有液とオリゴ糖類を主成分とする糖含有液に分離され、酵素含有液は「回収酵素」として示されている酵素貯槽を経て併行糖化発酵工程に循環される。オリゴ糖を主成分とする糖含有液は製品として回収される。
また、遠心分離工程で残渣分が除去された酵素と生成糖類を含有する液体留分は、膜分離工程を経ずにそのまま酵素糖化処理工程に供給して含まれるオリゴ糖成分をさらに酵素糖化処理に付すことも可能である。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
<酵素糖化試験>
実施例1
(前処理)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を20mmの丸穴スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC-15)で破砕し、木質系原料として用いた。
反応容器に上記原料200g(絶乾)に水1400mlを添加し、150℃で2時間加熱処理を行った。加熱処理後、40メッシュのスクリーンで固液分離し、固形分(絶乾)質量に対して6倍量の水を添加して混合した後、レファイナー(熊谷理機工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー:クリアランス0.5mm)で摩砕した。摩砕物を40メッシュのスクリーンで固液分離後、固形物に水を添加し、40メッシュのスクリーンを用いて脱水することにより溶液の電気伝導度が30μS/cmになるまで洗浄した。固液分離後の固形物を前処理物(原料)として次の酵素糖化試験で用いた。
300ml容三角フラスコ(滅菌済)に前処理物原料(絶乾)の最終濃度が4質量%になるように添加した。次に、原料(絶乾)100質量部に対して10質量部の炭酸カルシウム粉末(和光純薬、特級炭酸カルシウム、粒径12μm)を添加後、市販セルラーゼ(ジェネンコア社製GC220:セロビオヒドロラーゼ活性100U/mL、β−グルコシダーゼ活性200U/mL)2mlを添加し、最終容量を蒸留水で100mlにメスアップした。この混合液を30℃で24時間培養した。培養後の培養液を遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清液を得た。
上清液の酵素活性(セロビオヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ)を測定した。セロビオヒドロラーゼ活性は、下記の方法で測定した。1.25mM 4−Methyl−umbelliferyl cellobioside を含有する100mM酢酸緩衝液(pH5)32μl、100mMグルコノ-δ-ラクトン4μl、サンプル4μlを96ウェルプレートに添加し37℃で30分間インキュベーションした。500mM Glycine−NaOH緩衝液(pH10.5)200μlを反応液に添加し、蛍光プレートリーダーで460nmの蛍光波長(励起光350nm)を測定した。検量線は0−500pmol の4−Methyl umbelliferonを用いて作製した。1分間に1μmolのMethyl umbelliferonを生成する酵素量を1単位(U)とした。
β−グルコシダーゼは下記の方法で測定した。1.25mM 4−Methyl−umbelliferyl glucoside を含有する100mM酢酸緩衝液(pH5)16μl、サンプル4μlを添加し37℃で30分間インキュベーションした。500mM Glycine−NaOH緩衝液(pH10.5)100μlを反応液に添加し、蛍光プレートリーダーで460nmの蛍光波長(励起光350nm)を測定した。検量線は0−500pmolの4−Methyl umbelliferonを用いて作製した。1分間に1μmolのMethyl umbelliferonを生成する酵素量を1単位(U)とした。酵素(セロビオヒドロラーゼおよびβ−グルコシダーゼ)の回収率は下記の式を用いて算出した。
酵素回収率(%)=上清の酵素活性/添加した酵素活性
実施例2
(前処理)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を、実施例1の(前処理)と同様の方法で処理した。
(酵素糖化試験)
実施例1の(酵素糖化試験)と同様の方法で試験を実施した。但し、炭酸カルシウムの添加量を原料(絶乾)100質量部に対して5質量部として試験を実施した。
実施例3
(前処理)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を、実施例1の(前処理)と同様の方法で処理した。
(酵素糖化試験)
実施例1の(酵素糖化試験)と同様の方法で試験を実施した。但し、炭酸カルシウムの添加量を原料(絶乾)100質量部に対して1質量部として試験を実施した。
比較例1
(前処理)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を、実施例1と同様の方法で処理した。
(酵素糖化試験)
実施例1の(酵素糖化試験)と同様の方法で試験を実施した。但し、炭酸カルシウムの替わりに蒸留水を添加して試験を実施した。
セロビオヒドロラーゼ、およびβ−グルコシダーゼの回収率の結果を表1に示す。原料100質量部に対する炭酸カルシウムの添加量を10質量部(実施例1)、5質量部(実施例2)、1質量部(実施例3)とした場合では、炭酸カルシウムを添加しない場合(比較例1)と比較しセロビオヒドロラーゼおよびβ−グルコシダーゼの回収率が高かった(上清中の酵素活性が高かった)。
Figure 2012100617
<併行糖化発酵試験>
実施例4
(前処理)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を、実施例1と同様の方法で処理した。
(併行糖化発酵試験)
液体培地A(ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、グルコース30g/L、蒸留水に溶解、pH 5.6)100mlと液体培地B(ポリペプトン15g/L、酵母エキス10g/L、麦芽エキス10g/L:蒸留水に溶解)20mlを混合した培地で市販酵母(商品名:Maurivin: Mauri Yeast Australia Pty Limited)を30℃、24時間培養した。培養後の培養液100mlを遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清を取り除き培養液の容量を10mlに調製(酵母を集菌)した(濃縮酵母菌体)。300ml容三角フラスコ(滅菌済)に前処理物(絶乾原料)の最終濃度が4質量部になるように添加した。次に、原料(絶乾)100質量部に対して10質量部の炭酸カルシウム(和光純薬、特級炭酸カルシウム、粒径12μm)を添加後、濃縮酵母菌体10ml、市販セルラーゼ(ジェネンコア社製GC220:セロビオヒドロラーゼ活性100U/mL、β−グルコシダーゼ活性200U/mL)2mlを添加し、最終容量を蒸留水で100mlにメスアップした。この混合液を30℃で24時間培養した。培養後の培養液を遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清液を得た。上清液の酵素活性(セロビオヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ)を実施例1と同様の方法で測定した。
実施例5
(前処理)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を、実施例1の(前処理)と同様の方法で処理した。
(併行糖化発酵試験)
実施例4の(併行糖化発酵試験)と同様の方法で試験を実施した。但し、炭酸カルシウムの添加量を原料(絶乾)100質量部に対して5質量部として試験を実施した。
実施例6
(前処理)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を、実施例1の(前処理)と同様の方法で処理した。
(併行糖化発酵試験)
実施例4の(併行糖化発酵試験)と同様の方法で試験を実施した。但し、炭酸カルシウムの添加量を原料(絶乾)100質量部に対して1質量部として試験を実施した。
比較例2
(前処理)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を、実施例1と同様の方法で処理した。
(併行糖化発酵試験)
実施例4の(併行糖化発酵試験)と同様の方法で試験を実施した。但し、炭酸カルシウムの替わりに蒸留水を添加して実施した。
セロビオヒドロラーゼ、およびβ−グルコシダーゼの回収率の結果を表2に示す。原料100質量部に対する炭酸カルシウムの添加量を10質量部(実施例4)、5質量部(実施例5)、1質量部(実施例6)とした場合では、炭酸カルシウムを添加しない場合(比較例2)と比較してセロビオヒドロラーゼおよびβ−グルコシダーゼの回収率が高かった(上清中の酵素活性が高かった)。
Figure 2012100617
表1及び表2の結果から、本発明の酵素糖化処理方法を炭酸カルシウム粒子の存在下で行う方法により、酵素活性の経時での低下が少なくすることが可能となることは明白である。このような結果は、酵素糖化処理系に炭酸カルシウムを添加することで固形残渣分に酵素が吸着されることが抑制されて、系外に排出され廃棄される酵素量が顕著に減少することによってもたらされるものである。
本発明によれば、リグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法における酵素のリサイクル性が向上して酵素糖化処理法の経済性は大きく改善されるので、リグノセルロース材料の酵素糖化処理による糖類等の商業的な生産に途を拓くものである。

Claims (10)

  1. 酵素糖化反応に適した原料とする前処理が施されたリグノセルロース系原料をセルロース糖化酵素含有水中に添加してなる原料懸濁液を酵素糖化処理工程において攪拌下に酵素糖化処理して処理懸濁液を得、該処理懸濁液から反応生成物と酵素を分離回収し、回収した酵素含有液を酵素糖化処理工程用の酵素源として循環利用する酵素糖化処理方法であって、前記原料懸濁液に炭酸カルシウム粒子を添加して酵素糖化処理することを特徴とするリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  2. 前記炭酸カルシウム粒子が、リグノセルロース原料(絶乾)100質量部に対して1〜10質量部の割合で添加される請求項1記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  3. 前記セルロース糖化酵素がセルラーゼである請求項1又は2に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  4. 前記酵素糖化反応に適した原料とする前処理が、リグノセルロース系原料をアルカリ薬品含有溶液で浸漬処理する化学的処理、加圧熱水処理、破砕繊維化処理又は磨砕処理よりなる機械的処理から選択される少なくとも1種を含む前処理である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  5. 前記酵素糖化反応工程に循環される酵素含有液が、糖化酵素及び生成糖類中のオリゴ糖類を含有する酵素含有液である請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  6. 前記酵素糖化反応工程に循環される酵素含有液が、生成糖類が除かれた酵素含有液である請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  7. 前記酵素糖化処理方法が、リグノセルロース系原料に酵素糖化反応に適した原料とする処理を施す前処理工程、セルロース糖化酵素含有水に該前処理が施されたリグノセルロース系原料と炭酸カルシウム粒子を添加してなる原料懸濁液を攪拌下に酵素糖化処理する酵素糖化処理工程、該酵素糖化処理工程から出る処理懸濁液から固形残渣を除去する固液分離工程、該固液分離工程から出る液体留分を遠心分離して残留残渣を除去する遠心分離工程、該遠心分離工程から出る残留残渣が除去された液体留分から酵素含有液と生成糖含有液を分離する膜分離工程、該膜分離工程から得られる酵素含有液を酵素貯留槽を経て酵素糖化処理工程に酵素源として循環供給する酵素循環工程を有する一連の工程に従ってリグノセルロース系原料を糖化処理する方法である請求項1〜6のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  8. 前記酵素糖化処理工程を、単糖類を醗酵基質とする発酵用微生物を添加して酵素糖化処理と該酵素糖化処理によって生成する糖類中の単糖類を基質とする発酵処理を併行して行う併行糖化発酵処理工程とし、併行糖化発酵処理工程から出る処理懸濁液から発酵生成物と酵素を分離回収し、回収酵素を含有する酵素含有液を酵素糖化処理工程に酵素源として循環供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  9. 前記発酵用微生物がアルコール酵母である請求項8記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
  10. 前記酵素糖化処理方法が、リグノセルロース系原料に酵素糖化反応に適した原料とする処理を施す前処理工程、セルロース糖化酵素含有水に該前処理が施されたリグノセルロース系原料、炭酸カルシウム粒子、及び単糖類を発酵基質とする発酵用微生物を添加してなる原料懸濁液を攪拌しながら酵素糖化処理と生成糖類中の単糖類の発酵処理を併行して行う酵素糖化処理工程、該酵素糖化処理工程から出る処理懸濁液から固形残渣を除去する固液分離工程、該固液分離工程から出る液体留分を減圧蒸留して発酵生成物を分離回収する蒸留工程、該蒸留工程から出る蒸留残液を遠心分離して残留残渣を除去する遠心分離工程、該遠心分離工程から出る残留残渣が除去された液体留分を酵素含有液と生成糖含有液に分離する膜分離工程、該膜分離工程から得られる酵素含有液を酵素貯留槽を経て酵素糖化処理工程に循環供給する回収酵素循環工程を有する一連の工程に従ってリグノセルロース系原料を併行糖化発酵処理する方法である請求項8又は9に記載のリグノセルロース系原料の酵素糖化処理方法。
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