JP5108754B2 - 水酸基含有アルケンの製造方法及び水酸基含有アルケン - Google Patents
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Description
そして、α,β−不飽和エステルとアルデヒド化合物とを、アルデヒド化合物に対する水のモル比を0.6〜1.9として反応させる工程を含むことにより、飽和エステル化合物及び両性イオン化合物の副生を最小限に抑制することができることから、効率的に目的物である水酸基含有アルケンを製造することができることを見いだし、上記課題をみごと解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。本発明者等は、更に、α,β−不飽和エステルに対する水のモル比を0.25以上、0.63未満として上記反応工程を行うことによってもまた、本発明の効果が発揮されることをも見いだした。本発明の水酸基含有アルケンの製造方法は、基質と触媒を効率的に利用でき、更に、有機溶媒を使用しない場合は、精製工程を簡略化することができ、また経済的にも有利であるため、工業的製造に用いることができる有用な方法である。
本発明はまた、α,β−不飽和エステルとアルデヒド化合物とを、第三級アミン化合物及び水の存在下で反応させて水酸基含有アルケンを製造する方法であって、上記製造方法は、α,β−不飽和エステルに対する水のモル比を0.25以上、0.63未満として反応させる工程を含む水酸基含有アルケンの製造方法でもある。
本発明は更に、α,β−不飽和エステルとアルデヒド化合物とから得られる水酸基含有アルケンであって、上記水酸基含有アルケンは、飽和エステル化合物の含有量が1.5質量%以下である水酸基含有アルケンでもある。
以下に本発明を詳述する。
上記アルデヒド化合物に対する水のモル比(水/アルデヒド化合物)が0.6未満であると、α,β−不飽和エステルとアルデヒド化合物との反応が進行しにくくなり、水酸基含有アルケンの反応収率が低下するおそれがある。また、上記モル比が1.9を超えると、不純物であるβ−ヒドロキシ飽和エステルの生成量が増加し、水酸基含有アルケンの品質が低下するおそれがあると共に、触媒と基質の不可逆的損失を招く両性イオンの生成量が増加するため、反応工程が経済的に非効率なものとなるおそれがある。
上記アルデヒド化合物に対する水のモル比は、0.7〜1.8であることが好ましい。上記モル比としてより好ましくは0.8〜1.75であり、更に好ましくは0.9〜1.7であり、特に好ましくは0.95〜1.67であり、最も好ましくは0.95〜1.4である。
(1)アルデヒド化合物に対する水のモル比を0.9〜1.9として反応させる実施形態。;
(2)α,β−不飽和エステルに対する水のモル比を0.25以上、0.63未満として反応させる実施形態。;
(3)アルデヒド化合物に対する第三級アミン化合物が有するアミン部位のモル比を0.05〜1.0として反応させる実施形態。;
(4)水、α,β−不飽和エステル、及び、第三級アミン化合物が有するアミン部位の総和を100モル%としたとき、α,β−不飽和エステルを59〜79モル%として反応させる実施形態。;
(5)水、α,β−不飽和エステル、第三級アミン化合物が有するアミン部位、及び、アルデヒド化合物の総和を100モル%としたとき、水を16〜29モル%として反応させる実施形態。
本発明の水酸基含有アルケンの製造方法は、これらの実施形態の中でも、上記反応工程が上記実施形態(1)及び(2)を満たすことが好ましい。上記製造方法の実施形態としてより好ましくは、上記実施形態(1)〜(5)をできるだけ数多く満たすものである。
なお、本明細書中において、本発明の製造方法という場合、特に断りがなければ、上記(1)〜(5)の実施形態の少なくとも1つを満たす製造方法を意味する。すなわち、上記(1)〜(5)の実施形態の少なくとも1つを満たすものは、本発明の水酸基含有アルケンの製造方法である。
本発明の製造方法が上記実施形態を有すると、更に効率的に水酸基含有アルケンを製造することが可能になる。
上記水酸基含有アルケンの収率は、60モル%以上であることが好ましい。より好ましくは65モル%以上であり、更に好ましくは70モル%以上である。特に好ましくは75モル%以上であり、最も好ましくは80モル%以上である。
なお、上記水酸基含有アルケンの収率(モル%)とは、原料として用いられたアルデヒド化合物に対する水酸基含有アルケンの収率である。
上記飽和エステル化合物の反応収率が0.1%〜0.7モル%であるとは、上記反応工程において基質として仕込むアルデヒド化合物の量を100モル%としたとき、精製工程を行う前において含まれる飽和エステル化合物の量が0.1〜0.7モル%である水酸基含有アルケンを意味する。上記飽和エステル化合物の量の上限として、より好ましくは、0.65モル%以下、更に好ましくは0.6モル%以下、最も好ましくは0.5モル%以下である。上記飽和エステル化合物の反応収率が0.7モル%以上であると、精製工程における負担が大きくなり、経済的に非効率となるおそれがある。
なお、上記含有量は、単離生成物中の水酸基含有アルケンを100質量%としたときの飽和エステル化合物含有量である。上記水酸基含有アルケンは、本発明の水酸基含有アルケンの製造方法によって得られるものであることが好ましい。
上記飽和エステル化合物の含有量は、1.3質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.6質量%以下、最も好ましくは0.4質量%以下である。
上記飽和エステル化合物の含有量の下限値としては、できる限り小さく、実質的には0質量%であることが好ましいが、0質量%以上である場合には、0.3質量%以上であることが好ましい。より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。なお、後述する反応収率と組み合わせて設定された水酸基含有アルケンであることが、本発明の好ましい形態であるといえる。
上記飽和エステル化合物の含有量が1.5質量%を超えると、例えば、水酸基含有アルケンを重合させる時に加えられる熱による発泡が多くなり、後述する電子情報材料用及び/又は機能性化学品用重合体を製造するために適しないものとなるおそれがある。これに対して、上記水酸基含有アルケンは、加熱時の発泡が充分に抑制され、電子情報材料用重合体や機能性化学品用重合体を製造するために好適なものである。
上記水酸基含有アルケンは、言い換えれば、α,β−不飽和エステルとアルデヒド化合物とを、第三級アミン化合物及び水の存在下で反応させて得られる水酸基含有アルケンと飽和エステル化合物等の不純物とを含んでなる組成物であって、上記組成物は、組成物に含まれる水酸基含有アルケンを100質量%としたときの飽和エステル化合物の含有量が1.5質量%以下である組成物である。
上記反応収率を55モル%とするには、上述した本発明の製造方法を適宜採用すればよい。上記水酸基含有アルケンは、反応収率が55モル%以上のものであると、1回あたりの反応で得られる水酸基含有アルケンの生産性が増すばかりでなく、相対的に飽和エステル化合物の含有量が低下することになり、電子情報材料用重合体や機能性化学品用重合体の製造に好適に用いることができるものとなる。
上記反応収率は、60モル%以上であることが好ましい。上記水酸基含有アルケンの収率として、より好ましくは65モル%以上であり、更に好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは75モル%以上であり、最も好ましくは80モル%以上である。
上記電子情報材料用重合体や機能性化学品用重合体を用いて形成される光学用面状成型体は、例えば、厚さが均一でありかつ高い透明性を有すると同時に、ヘイズや異物等の不連続点がない等の優れた特性を有することになる。その理由は、下記のように考えられる。
従来の製造方法で得られる水酸基含有アルケンは、上記のような飽和エステル化合物を含んでいるから、例えば、フィルムを形成する場合には、重合工程、環化工程、成型工程等で加えられる熱によって低い分子量を有する飽和エステル化合物が気化し、発泡が生じる原因の一つとなる。また、これによって、フィルムの表面を均一にすることが難しく、電子情報材料及び機能性化学品の用途に適した性質を充分に発揮するものではなかった。これに対して、本発明の電子情報材料用重合体や機能性化学品用重合体は、飽和エステル化合物の含有量が充分に少ない水酸基含有アルケンを用いることにより、重合時の発泡が充分に防止されることになり、上記のような優れた特性を有することになる。また、上記電子情報材料用及び/又は機能性化学品用重合体は、上記水酸基含有アルケンの製造方法によって得られる水酸基含有アルケンを用いて形成されるものであることが好ましい。
上記水酸基含有アルケンの使用方法については、本発明の電子情報材料用及び/又は機能性化学品用重合体についての詳細な説明を参照することができる。例えば、上記水酸基含有アルケンの使用方法は、上記水酸基含有アルケンの製造方法によって得られる水酸基含有アルケンを用いるものであることが好ましい。
また、上記水酸基含有アルケンの使用方法の用途は、光学用面状成型体の用途であることが好ましい。上記使用方法の用途としてより好ましくは、導光体、光学レンズ、光学用フィルム、光学プリズム、光学ディスク等の光学部品の用途である。更に好ましくは導光体、光学レンズ、光学用フィルムの用途である。特に好ましくは光学用フィルムの用途である。
すなわち、本発明はまた、上記水酸基含有アルケンを光学用フィルムの材料として使用する水酸基含有アルケンの使用方法でもある。
上記熱硬化性樹脂組成物において用いる無機成分の種類及び量は、電子情報材料及び機能性化学品に要求される特性に応じて、適宜調整することが好適である。また、上記熱硬化性樹脂組成物は、水酸基含有アルケンと共重合可能なその他の単量体成分を含んでいてもよい。上記その他の単量体成分の種類及び量は、要求される特性に応じて、適宜選択することが好適であるが、例えば、上記熱硬化性樹脂組成物において、水酸基含有アルケンが熱硬化性樹脂成分の主成分であることが好ましい。なお、水酸基含有アルケンが熱硬化性樹脂成分の主成分であることは、熱硬化性樹脂成分を100質量%としたとき、水酸基含有アルケンが占める質量比が少なくとも50質量%以上であることを意味する。上記重量比は、80質量%以上であることが好ましい。より好ましくは90質量%であり、更に好ましくは95質量%である。
上記電子情報材料用及び/又は機能性化学品用重合体は、光学用面状成型体であることが好適である。また、上記光学用面状成型体は、導光体、光学レンズ、光学用フィルム、光学プリズム、光学ディスク等の光学部品であることが好ましい。上記光学用面状成型体は、より好ましくは導光体、光学レンズ、光学用フィルムであり、更に好ましくは光学用フィルムである。
すなわち、本発明はまた、上記水酸基含有アルケンを用いて形成される光学用フィルムでもある。
Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸等を行うこともできる。
上記延伸フィルム形成において、面積比で定義した延伸倍率は、1.1〜25倍であることが好ましい。上記延伸倍率は、より好ましくは1.3〜10倍である。延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸に伴う靭性の向上につながらないことがある。逆に、延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められないことがある。
なお、本発明の光学用フィルムは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うことができる。熱処理の条件は、公知の延伸フィルムに対して行われる熱処理の条件と同様に適宜選択することが好適である。
実施例1
(α,β−不飽和エステルとアルデヒド化合物とを、第三級アミン化合物及び水の存在下で反応させてることによる、水酸基含有アルケンの製造)
以下の条件により、水酸基含有アルケンの製造を行った。
1Lオートクレーブにアクリル酸メチル(344.3g、4.0mol)、92%(8%水分含有)パラホルムアルデヒド(32.6g、1.0mol)、イオン交換水(19.0g、1.2mol)、p−メトキシフェノール(0.20g、1.6mmol)、を加えて70℃に加熱した。ここに、30%トリメチルアミン水溶液(19.7g、0.1mol)を加え、8時間攪拌した。なお、アルデヒド化合物に対する水のモル比は、1.2であった。冷却後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的の2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの収率が71%、両性イオンの収率(メタノールの収率に対応)が、5.6%、α−ヒドロキシプロピオン酸メチルの収率が0.46%であった。両性イオン化合物の存在は、1H−NMRにより確認した。(δ=2.5(t)、2.95(s)、3.4(t)/D2O溶媒使用)
実施例1における反応工程の概略について、図1に示した。実施例2−20、比較例1−5についても、表1にある組成、及び、下記に示される手順を変えた以外は、図1に示される実施例1の反応工程と同様に行った。なお、実施例2−20では、α,β−不飽和エステル及びアルデヒド化合物等の原料に第三級アミン化合物を加えた後に、気相部に2.75%酸素/窒素標準ガスを全圧が284.1kPaとなるまで加えた後に攪拌を行った。また、実施例2−20では、反応液をガスクロマトグラフィーで分析する前に気相部をパージした。これらの結果を表1に示す。
1Lオートクレーブにアクリル酸ブチル(320.4g、2.5mol)、92%(8%水分含有)パラホルムアルデヒド(32.6g、1.0mol)、イオン交換水(25.0g、1.4mol)、アセトニトリル(123.5g、3.0mol)、p−メトキシフェノール(0.20g、1.6mmol)、を加えて70℃に加熱した。ここに、無水トリメチルアミン(11.8g、0.20mol)を加え、気相部に2.75%酸素/窒素標準ガスを全圧が294.1kPaとなるまで加え、8時間攪拌した。なお、アルデヒド化合物に対する水のモル比は、1.4であった。冷却後、気相部をパージし、反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的のα−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチルの収率が80.2%、両性イオン収率(ブタノールの収率に対応)が、1.3%、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチルの収率が0.69%であった。1M塩酸水溶液(200mL)で中和し、続いてイオン交換水(200mL)で洗浄した。得られた溶液にCB剤(ジチオカルバミン酸銅)(1000ppm)を投入して減圧蒸留することにより、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル(沸点:108〜109℃/5mmHg)を単離した。(114.9g、72.6%単離収率)。
1Lオートクレーブにアクリル酸メチル(690.1g、8.0mol)、n−ブチルアルデヒド(144.3g、2.0mol)、イオン交換水(40g、2.2mol)、p−メトキシフェノール(0.20g、1.6mmol)を加えて、70℃に加熱した。ここに、1,4アザビシクロ[2.2.2]オクタン(112g、1.0mol)を加え、20時間攪拌した。なお、アルデヒド化合物に対する水のモル比は、1.1であった。冷却後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的のα−(プロピルヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの収率が55.7%、両性イオンの収率(メタノールの収率に対応)が、12.3%、3−ヒドロキシプロピオン酸メチルの収率が0.05%であった。1M塩酸水溶液(200mL)で中和し、続いてイオン交換水(200mL)で洗浄した。得られた溶液にCB剤(ジチオカルバミン酸銅)(1000ppm)を投入して減圧蒸留することにより、α−(プロピルヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(沸点98〜100℃/10mmHg)を単離した。(169.9g、53.7%単離収率)。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、実施例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル3500g、メタクリル酸メチル6500g、メチルイソブチルケトンとメチルエチルケトンとからなる混合溶媒(重量比9:1)6667gを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルパゾール570、アトケマ吉富(株)製)12.0gを添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート12.0g、メチルイソブチルケトンとメチルエチルケトンとからなる混合溶媒(重量比9:1)3315gからなる溶液を3.5時間かけて滴下しながら、還流下(約95〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。得られた重合体溶液をメチルエチルケトン5000gで希釈し、リン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物(商品名:Phoslex A−8、堺化学(株)製)5gを加え、還流下(約85〜100℃)で2時間、環化縮合反応を行い、さらに、オートクレーブ中で240℃、加圧下で1.5時間環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度265℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入しながら、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行った。また、この際、オクチル酸亜鉛(商品名:ニッカオクチックス亜鉛18%、日本化学産業(株)製)6.6gとトルエン85.9gとからなる溶液を20g/時間の速度で投入しながら、押出すことにより、透明なペレット(1A)を得た。得られたペレット(1A)について、重量平均分子量は119000であり、メルトフローレートは3.5g/10分、ガラス転移温度は147℃であった。次に、リップ開度0.4mm、幅150mmのTダイを装着した押出し機を用いて、得られたペレット(1A)を280℃で押し出し、110℃に調温したロールで引き取ることにより、厚さ100μmの透明で実質的に欠陥(不連続点)を有しないフィルムを得ることができた。なお、重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー(株)製GPCシステム、カラム:東ソー(株)製 TSK−GEL SUPER HZM−M、クロロホルム溶媒)のポリスチレン換算により求めた。メルトフローレートは、JIS K6874に基づき、試験温度を240℃、荷重10kgで測定した。樹脂およびフィルムの熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC(装置名:DSC−8230、(株)リガク社製)を用いて行った。ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
実施例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルに代えて、比較例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルを用いた以外は、実施例23と同様にペレット(2A)を製造した。得られたペレット(2A)の重量平均分子量は120000であり、メルトフローレートは3.4g/10分、ガラス転移温度は147℃であった。次に、リップ開度0.4mm、幅150mmのTダイを装着した押出し機を用いて、得られたペレット(2A)を280℃で押し出し、110℃に調温したロールで引き取ったところ、発泡によるスジが発生し、きれいなフィルムを得ることが出来なかった。なお、重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー(株)社製GPCシステム、カラム:東ソー(株)製 TSK−GEL SUPER HZM−M、クロロホルム溶媒)のポリスチレン換算により求めた。メルトフローレートは、JIS K6874に基づき、試験温度を240℃、荷重10kgで測定した。樹脂およびフィルムの熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC(装置名:DSC−8230、(株)リガク社製)を用いて行った。ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
これに対して、比較例6は、アルデヒド化合物に対する水のモル比を4.4として反応させ、単離生成物中の飽和エステル化合物である3−ヒドロキシプロピオン酸メチルの含有量が1.8質量%である水酸基含有アルケンを用いて調製した重合体からフィルムを形成したものであるが、発泡によるスジが発生し、きれいなフィルムを得ることができなかった。
これらの結果から、本発明によって得られる水酸基含有アルケンは、電子情報材料用及び/又は機能性化学品用重合体の原料として好適なものであり、該重合体は、電子情報材料及び機能性化学品としてのフィルムを形成・製造するための原料として好適なものであることが確認された。製造されたフィルムは、透明で欠陥を有しない性質等を有するものであることから、光学用フィルムとして、特に光学用面状成型体の用途に好適であるといえる。このようなフィルムにおいては、透明であることと、表面に不連続点等の欠陥がないことが優れた光学特性を発揮するために重要であり、本発明によって得られる水酸基含有アルケン、電子情報材料用及び/又は機能性化学品用重合体は、この点で優れた効果を発揮するものである。
Claims (7)
- α,β−不飽和エステルとアルデヒド化合物とを、第三級アミン化合物及び水の存在下で反応させて水酸基含有アルケンを製造する方法であって、
該製造方法は、α,β−不飽和エステルに対する水のモル比を0.25以上、0.50以下として反応させる工程を含む
ことを特徴とする水酸基含有アルケンの製造方法。 - 前記反応工程は、アルデヒド化合物に対する水のモル比を0.6〜1.9として行われることを特徴とする請求項1に記載の水酸基含有アルケンの製造方法。
- 前記反応工程は、アルデヒド化合物に対する第三級アミン化合物が有するアミン部位のモル比を0.05〜1.0として行われる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の水酸基含有アルケンの製造方法。 - α,β−不飽和エステルとアルデヒド化合物とを、第三級アミン化合物及び水の存在下で反応させて水酸基含有アルケンを製造する方法であって、
該製造方法は、水、α,β−不飽和エステル、及び、第三級アミン化合物が有するアミン部位の総和を100モル%としたとき、α,β−不飽和エステルを59〜79モル%として反応させる工程を含む
ことを特徴とする水酸基含有アルケンの製造方法。 - 前記反応工程は、α,β−不飽和エステルに対する水のモル比を0.25以上、0.63未満として行われる
ことを特徴とする請求項4に記載の水酸基含有アルケンの製造方法。 - 前記反応工程は、アルデヒド化合物に対する水のモル比を0.6〜1.9として行われることを特徴とする請求項4又は5に記載の水酸基含有アルケンの製造方法。
- 前記製造方法は、水酸基含有アルケンの反応収率が55モル%以上である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水酸基含有アルケンの製造方法。
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