JP6221759B2 - 重合体、化合物、樹脂組成物、樹脂ペレット及び樹脂成形体 - Google Patents
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Description
式(3)中、d、e及びfは、それぞれ独立して、0又は1である。)
式(7)中、d、e及びfは、それぞれ独立して、0又は1である。)
本発明の重合体(以下「(A)重合体」ともいう)は、下記式(1)で表される2価の基(以下「X基」ともいう)を含む構造単位(以下「構造単位(a)」ともいう)を主鎖中に有する。
X基は、例えば芳香族ジオール化合物、その誘導体又は前駆体等に由来する。
上記式(3)中、d、e及びfは、それぞれ独立して、0又は1である。なお、上記式(3)の上記式(1)で表される2価の基との結合手は、繰り返し数dの括弧を貫通しているが、これは上記結合手がベンゼン環、及び硫黄原子を含む複素環のいずれの環に結合部位を有していてもよいことを意味する。
構造単位(a)としては、下記式(9)で表されるエステル基含有構造単位、式(10)で表されるカーボネート基含有構造単位、式(11)で表されるエーテル基含有構造単位が好ましく、下記式(11)で表されるエーテル基含有構造単位がより好ましい。
上記式(9)中、Yは、脂環又は芳香環を有する2価の有機基である。
上記式(11)中、Zは、メチレン基、炭素数2〜4のアルキレン基又は芳香環を有する2価の有機基である。
(A)重合体は、公知の方法、例えば構造単位(a)を与える芳香族ジオール化合物等と他の化合物とを、必要に応じてさらに他の化合物を、有機溶媒存在下で所定の反応条件で反応させることで合成できる。
アルカリ金属化合物は、(A)重合体の合成の過程で、芳香族ジオール化合物等と反応してアルカリ金属塩を形成する。このようなアルカリ金属化合物としては、例えば
リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属;
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;
炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中で、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。
有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、塩化メチレン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、例示した有機溶媒の中でも、誘電率の高い極性溶媒であることから、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシドが好ましい。
(A)重合体の合成時の反応温度としては、60℃〜250℃が好ましく、80℃〜200℃がより好ましい。上記合成時の反応時間としては、15分〜100時間が好ましく、1時間〜24時間がより好ましい。
本発明の化合物(以下「(a)化合物」ともいう)は、下記式(5)で表される。この(a)化合物は、上記X基を与えることができるものである。
上記式(7)のd、e及びfは、上記式(3)のd、e及びfと同義である。
化合物(a)は、例えば下記合成スキームにより得ることができる。具体的には、まず下記式(12)で表される化合物をテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(Pd(PPh3)4)の存在下でR1B(OH)2等と反応させることで、臭素原子をR1に置換し下記式(13)の芳香族ジオール化合物前駆体を得ることができる。下記式(13)で表される芳香族ジオール化合物前駆体は、化合物(a)の一例に対応する。
樹脂組成物(以下「(A)樹脂組成物」ともいう)は、(A)重合体及び有機溶媒を含有する。この(A)樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでいてもよい。この(A)樹脂組成物は、後述の樹脂ペレットや樹脂成形品を形成するために好適に使用できる。
(A)樹脂組成物は、(A)重合体、酸化防止剤及び(A)重合体以外の重合体以外のその他の任意成分を含んでいてもよい。その他の任意成分としては、例えば加工性を向上させる滑剤の他、公知の添加剤、例えば難燃剤、抗菌剤、着色剤、離型剤、発泡剤が挙げられる。これらのその他の任意成分は、1種を単独使用してもよしい、2種以上を併用してもよい。
(A)樹脂組成物は、(A)重合体及び有機溶媒、必要に応じて酸化防止剤、他の樹脂等の他の成分を均一に混合することによって調製される。樹脂組成物は、粉末状、ペレット状、チップ状等の固体状に調製され、又は適当な溶媒で溶解して液状あるいはペースト状に調製される。
本発明の樹脂ペレット(以下「(A)樹脂ペレット」ともいう)は、(A)重合体を主成分とする。この(A)樹脂ペレットは、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでいてもよい。
本発明の樹脂成形体(以下「(A)樹脂成形体」という)は、(A)重合体を主成分とする。(A)樹脂成形体としては、例えば光学部品が挙げられる。
光学部品としては、例えば波長板、位相差板等の光学フィルム、円錐レンズ、球面レンズ、円筒レンズ等の各種特殊レンズ、レンズアレイなどが挙げられる。
(A)樹脂成形体の製造方法としては、例えば金型成形法、押出成形法、溶剤キャスト法等が挙げられる。レンズの製造には、金型成形法が好適である。光学フィルムの製造には、押出成形法及び溶剤キャスト法が好適であり、押出成形法がより好ましい。以下、押出成形法について説明する。
押出成形法としては、例えば溶融押出法、半溶融押出法等が挙げられるが、溶融押出法が好ましい。溶融押出法としては、各種形状のダイを用いて方法が挙げられるが、中でも、Tダイ、コートハンガーダイを用いる方法が好ましい。
<(A)重合体のガラス転移温度(Tg)>
(A)重合体のガラス転移温度(Tg)としては、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。このような(A)重合体のガラス転移温度が200℃以下であることで、この(A)重合体を主成分とする樹脂ペレットや樹脂組成物は、溶融押出等の押出成形時の成形性に優れる。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、例えばRigaku社の「8230型DSC測定装置」(昇温速度20℃/分)により測定することができる。
(A)重合体の重量平均分子量(Mw)の下限としては、10,000が好ましく、20,000がより好ましく、30,000がさらに好ましい。重量平均分子量(Mw)の上限としては、75,000以下が好ましく、60,000以下がさらに好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算分子量である。
(A)樹脂成形体としての光学フィルムの厚みとしては、10μm以上1,000μm以下であり、10μm以上500μm以下がさらに好ましい。光学フィルムの厚みが10μm未満であると、シート強度を十分に確保できないおそれがある。一方。高分子シートの厚みが1,000μmを超えると、シートの透明性を確保できなくなるおそれがある。
(A)重合体及び(A)樹脂成形体としての光学部品の全光線透過率としては、厚み50μmのシートとして作成したときに85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。ここで、全光線透過率は、厚み50μmのシートにおける透明度試験法(JIS−K−7105:1981)の値である。シートの全光線透過率が85%以上であることで、光学フィルム等の(A)光学部品の透明性を確保することができる。そのため、光学フィルム等の光学部品は、表示装置等に好適に使用することができる。
(A)重合体及び光学部品の屈折率(nD)としては、1.65以上が好ましく、1.66以上がより好ましくし、1.67以上がさらに好ましい。
(A)重合体及び光学部品のアッベ数(D)としては、21以下が好ましく、20以下がより好ましく、19以下がさらに好ましい。
(A)重合体及び光学部品の屈折率(nD)が1.65以上であり、且つアッベ数(D)が21以下であることで、レンズ、フィルム等の薄膜化、高付加価値化を実現することが可能となる。
(A)重合体及び(A)光学部品の応力光学係数(CR)の絶対値の上限としては、2,000Br以下が好ましく、1,500Br以下がより好ましく、1,000Br以下がさらに好ましい。光学フィルムの応力光学係数(CR)の絶対値を上記上限以下とすることで、光学フィルムの複屈折を小さくすることが可能となる。すなわち、成形体の光学歪を小さくすることができ、カメラモジュールレンズ等に適用した場合により高精細な撮像が可能となる。一方、応力光学係数(CR)の絶対値の下限としては、特に制限はなく、100Brが好ましく、0Brがより好ましい。なお、応力光学係数(CR)の単位「Br」は、「10−12Pa−1」に相当する。
撹拌子を入れた100mL二つ口ナス型フラスコに、三方コック及び冷却管を取り付けた後、1−ブロモ−3,5−ジメトキシベンゼン3.60g(16.6mmol)、ベンゾチオフェン−2−ボロン酸2.95g(16.6mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)1.92g(1.66mmol)、及び炭酸ナトリウム3.52g(33.2mmol)を量り入れた。容器内を窒素置換したのち、トルエン160mL及びエタノール18mLを加え、123℃まで昇温して6時間反応させた。次いで、得られた反応混合物に水50mLを加え、分離回収した有機層を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥を行い、濾過をしたのち濾液から溶媒を留去して粗生成物を回収した。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はノルマルヘキサン:酢酸エチル=95:5(重量比))により精製し、化合物(a)(芳香族ジオール化合物前駆体)としての2−(3,5−ジメトキシフェニル)ベンゾチオフェン(化合物(a−1))の粉末を2.81g(10.4mmol)得た。この化合物(a−1)の収率は、63%であった。
撹拌子を入れた100mL二つ口ナス型フラスコに、三方コック及び平栓を取り付けた後、2−(3,5−ジメトキシフェニル)ベンゾチオフェン2.81g(10.4mmol)を量り入れた。容器内を窒素置換した後、ジクロロメタンを12mL加え、−78℃で冷却しながら三臭化ホウ素のジクロロメタン1mol/L溶液41.56mL(41.56mmol)を滴下した。滴下後、反応混合物を徐々に昇温させ、室温にて6時間反応させた。次いで、得られた反応混合物に水50mLを加え、分離回収した有機層を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥を行い濾過した後、濾液から溶媒を留去して粗生成物を回収した。この粗生成物をシクロヘキサン洗浄により精製し、化合物(a)(芳香族ジオール化合物)としての5−ベンゾチオフェニルベンゼン−1,3−ジオール(化合物(a−2))の粉末を1.84g(7.60mmol)得た。この化合物(a−2)の収率は、73%であった。また、実施例1と同様にして測定した1H−NMRは次の通りであった。
攪拌子を入れた100mLの3つ口フラスコに、窒素導入管、Dean−Stark管、及び冷却管を取り付け、実施例2にて得られた芳香族ジオール化合物(化合物(a−2))(0.967g、3.99mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(Bis−A、0.911g、3.99mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(DFBN、1.11g、8.00mmol)、炭酸カリウム(2.21g、16.0mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)5.6mL、及びトルエン1.4mLを仕込んだ。フラスコ内を窒素置換した後に130℃で加熱撹拌し、生成する水をDean−Stark管により随時除去しながら9時間反応させた。室温まで冷却した後、生成した塩を濾過で除去した。ろ液にイオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。イオン交換樹脂を濾紙にて取り除いた後、ろ液をメタノールに投入して固体を析出させた。析出した固体を80℃で真空乾燥して、(A)重合体としての重合体(A−1)の粉末1.87gを得た。重合体(A−1)の収率は、70%であった。
ベンゾチオフェン−2−ボロン酸の代わりに2−ナフタレンボロン酸2.86g(16.6mmol)を用いた他は、実施例1と同様に操作し、化合物(a)(芳香族ジオール化合物前駆体)としての2−(3,5−ジメトキシフェニル)ナフタレン(化合物(a−3))の粉末2.63g(9.96mmol)を得た。化合物(a−3)の収率は、60%であった。また、実施例1と同様にして測定した1H−NMRは次の通りであった。
2−(3,5−ジメトキシフェニル)ベンゾチオフェンに代えて、2−(3,5−ジメトキシフェニル)ナフタレン2.75g(10.4mmol)を用いた以外は、実施例2と同様に操作し、化合物(a)(芳香族ジオール化合物)としての5−ナフチルベンゼン−1,3−ジオール(化合物(a−4))の粉末を1.84g(7.80mmol)得た。化合物(a−4)の収率は、75%であった。また、実施例1と同様にして測定した1H−NMRは次の通りであった。
化合物(a−2)に代えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)1.40g(3.99mmol)を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行い、比較重合体(CA−1)の粉末を2.79g得た。比較重合体(CA−1)の収率は、90%であった。
重合性モノマーとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(Bis−A)1.82g(7.98mmol)及び2,6−ジフルオロベンゾニトリル(DFBN)1.11g(8.00mmol)を用いた以外は、実施例3と同様に操作を行い、比較重合体(CA−2)の粉末を2.30g得た。比較重合体(CA−2)の収率は、88%であった。
実施例3及び比較例1,2の重合体について、下記方法に従い、ガラス転移温度(Tg)、屈折率(nD)、アッベ数(νD)及び応力光学係数(CR)を評価した。その結果を表1に示す。表1には、各重合体の合成に用いた各化合物の量(mmol)を併せて示す。なお、表1における「−」は、該当する化合物を用いなかったことを示す。
重合体のガラス転移温度は、DSC装置(Rigaku社の「Thermo Plus DSC8230」)を用い、窒素下、20℃/分の昇温速度の条件で測定した。
ガラス転移温度(Tg)は、200℃以下である場合を「○」、200℃超の場合を「×」として評価した。
重合体を適量の塩化メチレンに溶解させたものをガラス板上にキャスト製膜し、常温常圧下にて一晩乾燥させた。次いで真空乾燥機にて残存塩化メチレンを除去し、重合体のフィルムを得た。本フィルムの屈折率を、Metricon社の「プリズムカプラ モデル2010」にて測定した。屈折率は、408nm、633nm、828nmの3波長にて測定し、Cauchyの式を用いてD線(589nm)での屈折率(nD)を求めた。F線(486nm)及びC線(656nm)の屈折率についても同様にして求め、アッベ数(νD)を算出した。
屈折率(nD)は、1.660以上である場合を「○」、1.660未満の場合を「×」として評価した。
アッベ数(νD)は、21.0以下である場合を「○」、21.0超の場合を「×」として評価した。
応力光学係数CRは、公知の方法(Polymer Journal、Vol.27、No.9、P.943〜950(1995)))により求めた。上記屈折率評価用に製膜したフィルムに数種類の荷重をかけ、Tg+20℃の温度条件下にて加熱延伸し、荷重をかけたままゆっくりと室温まで冷却した。フィルムに加えた応力と、生じた位相差(測定波長550nm)とからCRを計算した。位相差の測定には大塚電子社の「RETS分光器」を用いた。
応力光学係数(CR)は、絶対値(|CR|)が1,000Br以下である場合を「○」、1,000Br超の場合を「×」として評価した。
Claims (8)
- 下記式(11)で表されるエーテル基含有構造単位を主鎖中に有し、
上記構造単位の全構造単位に対する含有割合が、25モル%以上である重合体。
式(3)中、d、e及びfは、それぞれ独立して、0又は1である。) - 請求項1又は請求項2に記載の重合体と、有機溶媒とを含有する樹脂組成物。
- 請求項1又は請求項2に記載の重合体の含有量が50質量%以上である樹脂ペレット。
- 請求項1又は請求項2に記載の重合体の含有量が50質量%以上である樹脂成形体。
- 光学部品である請求項7に記載の樹脂成形体。
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