JP6888308B2 - 樹脂組成物、重合体の製造方法及び成形体 - Google Patents

樹脂組成物、重合体の製造方法及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、重合体の製造方法及び成形体に関する。
ピリミジン環等を骨格に有するピリミジン系重合体は、一般に非プロトン性極性溶媒中で、重縮合反応を行うことで、芳香族求核置換反応が促進され、高分子量体を得ることができる。
かかる重合体の合成に使用する非プロトン性極性溶媒としては、例えばジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる(米国特許出願2011/0808755号明細書及び国際公開第2013/080929参照)。
しかし、上記重合体の製造に使用する従来公知の非プロトン性極性溶媒には、種々の不都合があり、代替溶媒の開発が求められている。
例えばDMAc、DMF、NMP等のアミド系溶媒は、生体毒性が懸念される。また、アミド系溶媒は、一般に分解し易く、分解生成物が、上記重合体を含有する樹脂組成物から得られる成形体の着色の原因になる。例えばDMAcは、酸素及び水の存在下で容易に分解反応が進行し、この際に生成した分解生成物が着色の原因となることが知られている(特開平7−173119号公報参照)。また、スルホランは、生体毒性の問題はないものの、それ自体が不純物の影響で淡黄色をしており、加熱により容易にさらに黄変する。着色物質を除去することは非常に難しく、色相を改善するためには、着色物質の発生を抑えることが肝要である。
特に、高い無色透明性が求められる用途、例えば耐熱透明フィルム、透明回路基板、レンズ、太陽電池基板等の用途に上記重合体を適用する場合、それらの成形体の着色を抑制する必要性がある。そのため、成形体を得るための樹脂組成物には、着色の要因が極力排除されることが求められる。
米国特許出願公開2011/0808755号明細書 国際公開第2013/080929号 特開平7−173119号公報
本発明は、上述の事情に基づいてなされたものであり、その目的は、色相に優れる成形体を製造できる樹脂組成物、重合体の製造方法及び成形体を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、下記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される第1構造単位を有する重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)と、有機溶媒(以下、「[B]有機溶媒」ともいう)とを含有する樹脂組成物であって、上記[B]有機溶媒が、下記式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)若しくは(2−6)で表される化合物又はこれらの組み合わせであることを特徴とする樹脂組成物である。
Figure 0006888308
(式(1−1)〜(1−3)中、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。nは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。nが2の場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。)
Figure 0006888308
(式(2−1)中、Rは、アミド基以外の炭素数1〜5の1価の有機基である、iは、0〜5の整数である。iが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
式(2−2)中、Rは、アミド基及びアルコキシ基以外の炭素数1〜5の1価の有機基である。jは、0〜5の整数である。jが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
式(2−3)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基である。Eは、エタンジイル基又はプロパンジイル基である。kは、1〜4の整数である。kが2以上の場合、複数のEは同一でも異なっていてもよい。
式(2−4)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。mは、1〜5の整数である。
式(2−5)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。pは、0〜5の整数である。pが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
式(2−6)中、R13及びR14は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基若しくは炭素数2〜10のアルケニル基であるか、又はこれらの基が互いに結合して環員数3〜20の脂環構造の一部を形成する。)
上記課題を解決するためになされた別の発明は、有機溶媒を用い、重縮合反応により、上記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される構造単位を有する重合体を製造する方法であって、上記有機溶媒が、上記式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)若しくは(2−6)で表される化合物又はこれらの組み合わせであることを特徴とする重合体の製造方法である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、上記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される構造単位を有する重合体と、有機溶媒とを含有する成形体であって、上記有機溶媒が、下記式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)若しくは(2−6)で表される化合物又はこれらの組み合わせであることを特徴とする成形体である。
ここで、「有機基」とは、少なくとも1つの炭素原子を含む基をいい、「有機基」はヘテロ原子を含んでいてもよい。「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基を含む。この「炭化水素基」は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の両方を含む。「環状炭化水素基」とは、環状構造を含む炭化水素基をいい、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の両方を含む。「脂環式炭化水素基」とは、環状構造として脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。ただし、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環状構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいい、単環の芳香族炭化水素基及び多環の芳香族炭化水素基の両方を含む。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。「環員数」とは、環状構造を構成する原子数をいい、多環の場合は、この多環を構成する原子数をいう。
本発明によれば、色相に優れる成形体を製造できる樹脂組成物、重合体の製造方法及び成形体を提供できる。
本発明は、樹脂組成物、重合体の製造方法及び成形体を含む。以下、これらについて詳述する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、[A]重合体と[B]有機溶媒とを含有する。当該樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、任意成分を含有していてもよい。
<[A]重合体>
[A]重合体は、上記第1構造単位を有する重合体である。[A]重合体は、さらに、後述する第2構造単位を有することが好ましく、第1構造単位及び第2構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。[A]重合体は、上記各構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。また、[A]重合体は、後述するように、第1及び第2構造単位を含む繰り返しユニット(a)〜(c)を有してもよく、さらにその他の繰り返しユニットを有してもよい。以下、各構造単位及び各繰り返しユニットについて説明する。
[第1構造単位]
第1構造単位は、下記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される構造単位である。
Figure 0006888308
上記式(1−1)〜(1−3)中、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。nは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。nが2の場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。
で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)、上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
1価及び2価のヘテロ原子含有基を構成するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR’−、−SO−、−SO−、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。これらの中で、−O−、−S−及び−NR’−が好ましい。
1価のヘテロ原子含有基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基等が挙げられる。これらの中で、ヒドロキシ基及びシアノ基が好ましい。
としては、第1構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させ、それにより成形体の色相をより優れたものにする観点から、ハロゲン原子、炭素数1〜3の1価の炭化水素基、炭素数1〜3の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基及びシアノ基が好ましく、フッ素原子、塩素原子、メチル基、ニトロ基及びシアノ基がより好ましい。同様の観点から、nとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
第1構造単位の一方の結合手に対する他方の結合手の位置としては、第1構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点からメタ位及びパラ位が好ましく、メタ位がより好ましい。
また、第1構造単位としては、第1構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させ、それにより成形体の色相をより優れたものにする観点から、ピリミジン骨格を有する上記式(1−2)で表される構造単位が好ましい。
[A]重合体における第1構造単位の含有割合の下限としては、[A]重合体の全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、30モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、67モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、55モル%がさらに好ましく、50モル%が特に好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることにより、成形体の色相をさらに優れたものとすることができる。
[第2構造単位]
第2構造単位は、下記式(3)で表される構造単位である。
Figure 0006888308
上記式(3)中、R10及びR11は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。e及びfは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。aが2以上の場合、複数のR10は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。bが2以上の場合、複数のR11は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R12は、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基である。vは、0〜2の整数である。vが2の場合、2つのR12は同一であっても異なっていてもよく、2つのZは同一であっても異なっていてもよい。wは、0〜2の整数である。wが2の場合、2つのR12は同一であっても異なっていてもよく、2つのZは同一であっても異なっていてもよい。Lは、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−又は炭素数1〜20の2価の有機基である。cは、0又は1である。yは、0〜2の整数である。yが2の場合、2つのeは同一でも異なっていてもよい。Lが複数の場合、複数のLは同一であっても異なっていてもよい。R10が複数の場合、複数のR10は同一であっても異なっていてもよい。
10及びR11で表されるハロゲン原子としては、例えば上記Rで表されるハロゲン原子として例示したものと同様のハロゲン原子等が挙げられる。
10及びR11で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば上記Rの1価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
10及びR11としては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、ハロゲン原子、炭素数1〜6の1価の炭化水素基、炭素数1〜6の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基及びシアノ基が好ましく、フッ素原子、塩素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、ニトロ基及びシアノ基がより好ましく、フッ素原子、メチル基、t−ブチル基及びフェニル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
a及びbとしては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、0〜2が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。同様の観点から、e及びfとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
Zとしては、[A]重合体の構造安定性の観点から、−O−が好ましい。
12で表される炭素数2〜10のアルキレン基としては、例えばエチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基等が挙げられる。
12としては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、メチレン基及び炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。
v及びwとしては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させ、それにより、成形体の色相をより優れたものとする観点から、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
Lで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば上記Rの1価の有機基として例示した基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
Lとしては、炭素数1〜20の2価の炭化水素基及び炭素数1〜20の2価のフッ素化炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜15の2価の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜5のアルカンジイル基、炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基及び炭素数1〜5のフッ素化アルカンジイル基及び炭素数13〜15のジベンゾシクロアルカンジイル基がさらに好ましく、プロパン−2,2−ジイル基、1−フェニルエタン−1,1−ジイル基、シクロヘキサン−1,1−ジイル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,1−ジイル基、1,1,1,3,3,3−テトラフルオロプロパン−2,2−ジイル基及びフルオレン−9,9−ジイル基が特に好ましい。
yとしては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させ、それにより成形体の色相をより優れたものにする観点から、1及び2が好ましく、1がより好ましい。
上記式(3)におけるe又はfが0の場合、第2構造単位におけるベンゼン環における一方の結合手に対する他方の結合手の位置としては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させ、それにより成形体の色相をより優れたものにする観点からパラ位及びメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。また、[A]重合体の溶解性を向上させる観点からは、オルト位が好ましい。
[A]重合体における第2構造単位の含有割合の下限としては、[A]重合体の全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、30モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、67モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、55モル%がさらに好ましく、50モル%が特に好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることにより、成形体の色相をさらに優れたものとすることができる。
[その他の構造単位]
その他の構造単位としては、例えば置換又は非置換の2価の芳香族炭化水素基からなる構造単位等が挙げられる。
[A]重合体がその他の構造単位を含有する場合、その他の構造単位の含有割合の下限としては、[A]重合体の全構造単位に対して、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、40モル%が好ましく、30モル%がより好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることにより、上述した効果を損なわない範囲で分子量の調整を容易に行うことができる。
[各構造単位の配列]
[A]重合体は、上記第1構造単位を有する限り、各構造単位の配列については限定されないが、各種有機溶媒への溶解性をより向上させる観点から、上記第1構造単位を主鎖中に有することが好ましい。ここで、「主鎖」とは、重合体中で相対的に最も長い結合鎖をいう。
また、[A]重合体が上記第1構造単位を主鎖中に有すると、[A]重合体をプリント配線板用絶縁性フィルムに適用する場合に低誘電率化が容易となるため、例えばプリント配線板の高周波特性を向上させることができる。
[繰り返しユニット]
[A]重合体が第1及び第2構造単位を主鎖中に有する例としては、例えば下記式(a)に示す繰り返しユニット(a)、下記式(b)に示す繰り返しユニット(b)、下記式(c)に示す繰り返しユニット(c)、これらの繰り返しユニットの組み合わせ(以下、これらをまとめて「特定繰り返しユニット」ともいう)等を主鎖中に有する重合体が挙げられる。
Figure 0006888308
Figure 0006888308
Figure 0006888308
上記式(a)〜(c)中、R及びnは上記式(1−1)〜(1−3)と同義である。R10、R11、R12、a、b、e、f、v、w、y、c、L及びZは上記式(3)と同義である。
[A]重合体の重量平均分子量(Mw)の下限としては、500が好ましく、1,000がより好ましく、10,000がさらに好ましく、20,000が特に好ましく、30,000がさらに特に好ましい。上記Mwの上限としては、300,000が好ましく、200,000がより好ましく、100,000がさらに好ましく、90,000が特に好ましい。上記Mwを上記下限以上とすることにより、成形体の耐熱性をより向上させることができる。一方、上記Mwが上記上限を超えると、成形性が低下するおそれがある。なお、上記Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により以下に示す測定条件で測定される値である。
カラム:例えば東ソー社の「TSKgelα−M」
溶出溶媒:N−メチルピロリドン
流量:0.6mL/分
試料濃度:0.2質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[A]重合体のガラス転移温度の下限としては、150℃が好ましく、165℃がより好ましく、180℃がさらに好ましく、190℃が特に好ましい。上記ガラス転移温度を上記下限以上とすることにより、耐熱性をより向上させることができる。上記ガラス転移温度の上限としては、例えば300℃である。なお、上記「ガラス転移温度」は、例えば示差走査熱量測定装置を用い、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定した値である。
当該樹脂組成物における[A]重合体の含有量の下限としては、当該樹脂組成物の全固形分に対して、1質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましく、90質量%が特に好ましい。上記含有量の上限は、例えば100質量%である。
<[B]有機溶媒>
[B]有機溶媒は、下記式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)若しくは(2−6)で表される化合物(以下、これらの化合物をそれぞれ、「有機溶媒(2−1)」、「有機溶媒(2−2)」、「有機溶媒(2−3)」、「有機溶媒(2−4)」、「有機溶媒(2−5)」、「有機溶媒(2−6)」ともいう)又はこれらの組み合わせである。
Figure 0006888308
上記式(2−1)中、Rは、アミド基以外の炭素数1〜5の1価の有機基である、iは、0〜5の整数である。iが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
上記式(2−2)中、Rは、アミド基及びアルコキシ基以外の炭素数1〜5の1価の有機基である。jは、0〜5の整数である。jが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
上記式(2−3)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基である。Eは、エタンジイル基又はプロパンジイル基である。kは、1〜4の整数である。kが2以上の場合、複数のEは同一でも異なっていてもよい。
上記式(2−4)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。mは、1〜5の整数である。
上記式(2−5)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。pは、0〜5の整数である。pが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
上記式(2−6)中、R13及びR14は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基若しくは炭素数2〜10のアルケニル基であるか、又はこれらの基が互いに結合して環員数3〜20の脂環構造の一部を形成する。)
で表されるアミド基以外の炭素数1〜5の1価の有機基としては、例えば上記式(1)のRの1価の有機基として例示した基のうち、アミド基以外かつ炭素数1〜5のもの等が挙げられる。
iとしては、0〜2が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
で表されるアミド基及びアルコキシ基以外の炭素数1〜5の1価の有機基としては、例えば上記式(1)のRの1価の有機基として例示した基のうち、アミド基及びアルコキシ基以外かつ炭素数1〜5のもの等が挙げられる。
jとしては、0〜2が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。
Eとしては、エタンジイル基が好ましい。
kとしては、1〜3が好ましく、2及び3がより好ましく、2がさらに好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば上記R及びRで表される同じ基と同様のもの等が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばR及びRで表される同じ基と同様のもの等が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
mとしては、1〜4が好ましく、2及び3がより好ましく、3が特に好ましい。
及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば上記R及びRで表される同じ基と同様のもの等が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
13及びR14で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、i−ペンチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、i−ブチル基及びn−ペンチル基がより好ましい。
13及びR14で表される炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えばエテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられる。これらの中で、炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、プロペニル基がより好ましい。
13及びR14の基が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に形成する環員数3〜20の脂環構造としては、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の飽和脂環構造;
シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造等の不飽和脂環構造などが挙げられる。これらの中で、飽和脂環構造が好ましく、環員数4〜8の飽和脂環構造が好ましく、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造及びシクロヘプタン構造がより好ましい。
13及びR14としては、アルキル基が好ましく、また、飽和脂環構造の一部を形成していることも好ましい。
pとしては、0〜2が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
有機溶媒(2−1)としては、例えばベンゾニトリル、メチルベンゾニトリル、エチルベンゾニトリル、ジメチルベンゾニトリル等が挙げられる。これらの中で、ベンゾニトリルが好ましい。
有機溶媒(2−2)としては、例えばアニソール、メチルアニソール、エチルアニソール、ジメチルアニソール等が挙げられる。これらの中で、アニソールが好ましい。
有機溶媒(2−3)としては、例えば
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエチレングリコールジエーテル;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールジエーテル:
ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールジエーテル;
ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジプロピレングリコールジエーテル;
トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のトリエチレングリコールジエーテル;
トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル等のトリプロピレングリコールジエーテル;
テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のテトラエチレングリコールジエーテル;
テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールエチルメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル等のテトラプロピレングリコールジエーテルなどが挙げられる。これらの中で、ジエチレングリコールジエーテル及びトリエチレングリコールジエーテルが好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルがより好ましい。
有機溶媒(2−4)としては、例えば
2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル等の2−アルコキシ酢酸エステル;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸エステル:
4−メトキシ酪酸メチル、4−エトキシ酪酸エチル等の4−アルコキシ酪酸エステル;
5−メトキシ吉草酸メチル、5−エトキシ吉草酸エチル等の5−アルコキシ吉草酸エステル;
6−メトキシカプロン酸メチル、6−エトキシカプロン酸エチル等の6−アルコキシカプロン酸エステルなどが挙げられる。これらの中で、3−アルコキシプロピオン酸エステルが好ましく、3−メトキシプロピオン酸エステルがより好ましく、3−メトキシプロピオン酸メチルがさらに好ましい。
有機溶媒(2−5)としては、例えば
安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、o−メチル安息香酸メチル、m−メチル安息香酸メチル、p−メチル安息香酸メチル、o−メチル安息香酸エチル、m−メチル安息香酸エチル、p−メチル安息香酸エチル、o−メチル安息香酸プロピル、m−メチル安息香酸プロピル、p−メチル安息香酸プロピル等が挙げられる。これらの中で、安息香酸メチル、安息香酸エチル、o−メチル安息香酸メチル、m−メチル安息香酸メチル及びp−メチル安息香酸メチルが好ましく、安息香酸メチルがさらに好ましい。
有機溶媒(2−6)としては、例えば
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、イソホロン等が挙げられる。これらの中で、メチル−n−ペンチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンが好ましい。
当該樹脂組成物における[B]有機溶媒の含有量は、当該樹脂組成物の取り扱い性を確保しつつ、当該樹脂組成物から得るべき成形体の態様に応じた成形性等を好適に確保できるように適宜選択すればよい。例えば当該樹脂組成物をキャスト法に適用する場合、[B]有機溶媒の含有量の下限としては、当該樹脂組成物の全量に対して、50質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、95質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、85質量%がさらに好ましい。また、当該樹脂組成物を濃縮して、射出成形法、押出成形法等に用いるペレットに加工する場合、濃縮前の当該樹脂組成物における[B]有機溶媒の含有量の下限としては、当該樹脂組成物の全量に対して、50質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、65質量%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、90質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましい。
当該樹脂組成物をキャスト法に適用する場合、[B]有機溶媒の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、100質量部が好ましく、150質量部がより好ましく、230質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、2,000質量部が好ましく、1,000質量部がより好ましく、600質量部がさらに好ましい。また、当該樹脂組成物を濃縮して、射出成形法、押出成形法等に用いるペレットに加工する場合、濃縮前の当該樹脂組成物における[B]有機溶媒の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、100質量部が好ましく、150質量部がより好ましく、190質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、1,000質量部が好ましく、400質量部がより好ましく、300質量部がさらに好ましい。
<任意成分>
上記任意成分としては、例えば酸化防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤、離型剤、発泡剤、[A]重合体以外の他の重合体等が挙げられる。これらの任意成分は、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、金属系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。このうち、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、分子量500以上のものが好ましい。分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物としては、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス[2−メチル−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−5−t−ブチルフェニル]ブタン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
当該樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、当該樹脂組成物における酸化防止剤の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.01質量部が好ましく、0.1質量部がより好ましい。上記含有量の上限としては、10質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。
<重合体の製造方法>
[A]重合体は、例えば[B]有機溶媒中で、第1構造単位を与える単量体(以下、「単量体(I)」ともいう)を所定の反応条件下で縮重合させることで製造することができる。[A]重合体の製造に際して、必要に応じて、[B]有機溶媒中に、第2構造単位を与える単量体(以下、「単量体(II)」ともいう)、他の構造単位を与える単量体、アルカリ金属化合物等を混合してもよい。
単量体(I)は、製造すべき[A]重合体の種類に応じて選択すればよい。単量体(I)としては、例えば第1構造単位を与えるジハライド化合物等が挙げられる。
単量体(II)は、製造すべき[A]重合体の種類に応じて選択すればよい。単量体(II)としては、例えば第2構造単位を与えるジフェノール化合物等が挙げられる。
重合溶媒として用いる[B]有機溶媒としては、当該樹脂組成物が含有する[B]有機溶媒として例示したものと同様の溶媒等が挙げられる。重合溶媒として用いる[B]有機溶媒としては、有機溶媒(2−1)、有機溶媒(2−3)、有機溶媒(2−4)及び有機溶媒(2−6)が好ましく、ベンゾニトリル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、メチル−n−ペンチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンがより好ましい。これらの溶媒を重合溶媒として用いることにより、得られる重合体のMwをより大きくすることができる。
上記アルカリ金属化合物は、[A]重合体の合成の過程で、上記ジオール単量体等と反応してアルカリ金属塩を形成する。このようなアルカリ金属化合物としては、例えば
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属;
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;
炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中で、水酸化アルカリ金属及びアルカリ金属炭酸塩が好ましく、水酸化ナトリウム及び炭酸カリウムがより好ましい。
上記アルカリ金属化合物を使用する場合、その使用量の下限としては、[A]重合体の合成に用いる全単量体の水酸基に対するアルカリ金属化合物中の金属原子の量として、1倍当量が好ましく、1.1倍当量がより好ましく、1.2倍当量がさらに好ましく、1.5倍当量が特に好ましい。一方、上記使用量の上限としては、3倍当量が好ましく、2倍当量がより好ましい。
[A]重合体の製造時の反応温度の下限としては、20℃が好ましく、100℃がより好ましい。上記反応温度の上限としては、250℃が好ましく、180℃がより好ましい。反応時間の下限としては、15分が好ましく、1時間がより好ましい。上記反応時間の上限としては、100時間が好ましく、10時間がより好ましい。
当該重合体の製造方法によれば、重合溶媒として[B]有機溶媒を用いることで、成形体の色相に優れる重合体を製造することができる。
<樹脂組成物の調製方法>
当該樹脂組成物は、[A]重合体、[B]有機溶媒及び必要に応じて酸化防止剤等の任意成分を均一に混合することによって調製される。[A]重合体と[B]有機溶媒との混合液は、[A]重合体の合成後の重合体溶液から得られる[A]重合体を[B]有機溶媒に再溶解させたものを使用することができるが、上述のように[A]重合体を製造した重合体溶液を使用することが好ましい。この重合体溶液は、そのまま当該樹脂組成物の調製に使用してもよく、また溶媒の一部(例えば他の溶媒としての極性溶媒)を除去し、あるいは溶媒(例えば[A]重合体の合成時に使用する[B]有機溶媒)を加えて[B]有機溶媒の含有量を調整して当該樹脂組成物としてもよい。
当該樹脂組成物によれば、特定の[B]有機溶媒を用いているので、成形体の着色を抑制することが可能となる。
また、当該樹脂組成物に必須成分として含有される[B]有機溶媒は、[A]重合体の合成に使用できるものであり、無色透明又はそれに近い色相を有する。そのため、上述のように[A]重合体の合成後に溶媒の置換を行うまでもなく、[A]重合体の合成後の重合体溶液をそのまま、あるいは溶媒濃度を調製することで樹脂組成物として利用することができるため、プロセス的に有利である。従って、当該樹脂組成物は、高い透明性が求められる用途、例えば耐熱透明フィルム、透明回路基板、レンズ、太陽電池基板等の形成に好適に使用することができる。
<成形体>
当該成形体は、[A]重合体と[B]有機溶媒とを含有する成形体である。ここで、本発明において「成形体」とは、樹脂組成物から形成される流動性のない固体状のものをいう。また、本発明における「成形体」は、少なくともペレット、フィルム、シート及び射出成形体を含む。
当該成形体における[A]重合体としては、当該樹脂組成物が含有する[A]重合体として例示したものと同様の重合体等が挙げられる。
当該成形体における[B]有機溶媒としては、当該樹脂組成物が含有する[B]有機溶媒として例示したものと同様の溶媒等が挙げられる。当該成形体における[B]有機溶媒の含有量(残存溶媒濃度)の下限としては、5ppmが好ましく、50ppmがより好ましく、500ppmがさらに好ましく、1,000ppmが特に好ましい。[B]有機溶媒の含有量(残存溶媒濃度)の上限としては、2,000ppmが好ましく、1,900ppmがより好ましく、1,800ppm以下がさらに好ましく、1,700ppmが特に好ましい。なお、当該成形体における特定の有機溶媒の含有量(残存溶媒濃度)は、後述する実施例に記載の加熱によるフィルムサンプルの質量減少を測定する方法により求めた値である。残存溶媒濃度は、H−NMRを用いる方法によっても求めることができる。これは、例えば核磁気共鳴装置(VARIAN社)を用い、重合体の重クロロホルム溶液のH−NMRを測定し、測定結果から、重合体の構造単位と残留溶媒とのモル比を求め、このモル比から質量比を算出することにより、残存溶媒濃度(ppm)を求めることができる。
当該成形体のb値の上限としては、0.70が好ましく、0.60がより好ましく、0.50がさらに好ましく、0.45が特に好ましい。当該成形体のb値の下限としては、例えば0.30である。成形体の色相b値は、後述する実施例に記載の方法により測定した値である。
[ペレット]
ペレットは、射出成形や押出成形等により成形体を形成するための材料であり、例えば粒状、柱状の形態を有している。ペレットのサイズは、特に制限はなく、得るべき成形体の形態、使用する成形装置のサイズ等により適宜設定すればよく、通常、粒状のペレットの場合は平均粒径が1mm〜10mm、柱状のペレットの場合は長さが1mm〜10mm、幅(直径)が0.5mm〜5mmとされる。なお、ペレットの平均粒径は、レーザ回折法に測定した体積粒度分布から算出されるメディアン径(d50)である。
(ペレットの製造方法)
ペレットの製造方法としては、特に制限はないが、例えば当該樹脂組成物を溶融押出した後に所定寸法に切断する方法が挙げられる。具体的には、ペレットは、二軸押出機を用いて当該樹脂組成物を脱溶し、溶融混練して押出したストランドをペレタイザーにて所定寸法に切断、粉砕することにより得ることができる。
ペレットは、当該樹脂組成物を貧溶媒中に押出して析出及び/又は凝固させ、それを洗浄及び/又は乾燥した後、所望寸法に切断、粉砕することにより製造することもできる。
[フィルム及びシート]
フィルム及びシートは、例えば光学シート、耐熱透明フィルム、透明回路基板、太陽電池基板フィルム等に適用されるものである。フィルムは、例えば当該樹脂組成物を用いて平均厚みを200μm未満に成形したものである。一方、シートは、平均厚みが200μm以上となるように成形したものをいう。ここで、「平均厚み」とは、JIS K 7130:1999に準拠して測定した値をいう。
(フィルム及びシートの製造方法)
フィルム及びシートの製造方法としては、特に制限はないが、例えば溶媒キャスト法、溶融押出成形法が挙げられる。
フィルム及びシートは、溶剤キャスト法の場合、基板に対して樹脂組成物を塗工して形成した塗膜を乾燥し、必要に応じて塗膜を焼成することで製造することができる。この場合のフィルム及びシートは、基板に形成した状態であってもよいし、基板から剥離したものであってもよい。
樹脂組成物の塗工法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗工法(スピンコート法)、スリットダイ塗工法、バー塗工法、インクジェット法が挙げられる。
塗膜の乾燥は、例えば加熱装置による加熱、真空乾燥機による減圧乾燥、温風(熱風)発生機による温風(熱風)乾燥、自然乾燥、これらの2以上の組み合わせにより行うことができる。加熱、減圧乾燥及び温風(熱風)による塗膜の乾燥条件は、[A]重合体の融点、特定の有機溶媒等の溶媒類の沸点、溶媒類の容量等に応じて適宜設定すればよく、例えば50℃〜250℃、5分〜1時間とされる。
塗膜の焼成は、例えば加熱装置による加熱、真空乾燥機による減圧乾燥、温風発生機による温風乾燥、これらの2以上の組み合わせにより行うことができる。加熱、減圧乾燥及び温風による塗膜の焼成条件は、[A]重合体の融点等に応じて適宜設定すればよく、例えば250℃〜400℃、5分〜1時間とされる。なお、塗膜の焼成は省略することができ、また塗膜の乾燥と同時に行ってもよい。
一方、押出成形法としては、例えば溶融押出法、半溶融押出法が挙げられるが、溶融押出法が好ましい。溶融押出法としては、各種形状のダイを用いた方法が挙げられるが、中でも、Tダイ、コートハンガーダイを用いる方法が好ましい。押出成形法により得られるフィルム又はシートは、延伸処理を施してもよい。これにより、フィルム又はシートを光学フィルムに適用することが可能となる。
このような溶融押出では、熱溶融された樹脂組成物をダイから押出した後、金属ベルト、冷却ロール等に密着させてシート化し、この高分子シートを冷却した後に巻き取ることでロール状の光学シートが得られる。
[射出成形体]
射出成形体とは、樹脂組成物(又は[A]重合体)を加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させることによって成形したものをいう。このような射出成形体としては、例えば光学部品が挙げられる。光学部品としては、例えば波長板、位相差板等の光学フィルム、円錐レンズ、球面レンズ、円筒レンズ等の各種特殊レンズ、レンズアレイなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<重合体の製造及び樹脂組成物の調製>
[実施例1]
4つ口フラスコに、温度計、攪拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、4,6−ジクロロピリミジン37.25g(0.25mol)、Bisphenol−AP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)72.59g(0.25mol)、炭酸カリウム44.92g(0.325mol)及び重合溶媒としてのベンゾニトリル(BN)439gを添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、120℃で3時間反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。その後、140℃まで昇温し、そのまま5時間反応させた。室温(25℃)まで冷却後、吸引ろ過により、生成した塩をろ紙でろ過した。ろ液を攪拌下メタノールで再沈殿させ、凝固物を得た。凝固物をろ別により分離し、分離した沈殿物を100℃で12時間真空乾燥し、白色粉末である重合体を得た(収量87.0g、収率95%)。得られた白色粉末を重合溶媒と同じBNに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例2]
重合溶媒として、BNに代えて、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)439gを使用した以外は、実施例1と同様にして重合及び重合体の精製を行った。その結果、白色粉末である重合体が得られた(収量86.1g、収率94%)。得られた白色粉末を重合溶媒と同じジグライムに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例3]
重合溶媒として、BNに代えて、3−メトキシプロピオン酸メチル(MMP)439gを使用した以外は、実施例1と同様にして重合及び重合体の精製を行った。その結果、白色粉末である重合体が得られた(収量87.0g、収率95%)。得られた白色粉末を重合溶媒と同じMMPに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例4]
重合溶媒としてBNに代えて、アニソール(Anisole)439gを使用した以外は、実施例1と同様にして重合を行った。重合開始後5時間経過して重合反応液をサンプリングし、メタノールにより凝固させ、ろ過、乾燥させて得られた重合体について分子量測定を行った。得られた重合体のMwは13,000であった。
[実施例5]
重合溶媒としてBNに代えて、安息香酸メチル(MB)439gを使用した以外は、実施例1と同様にして重合を行った。重合開始後5時間経過して重合反応液をサンプリングし、メタノールにより凝固させ、ろ過、乾燥させて得られた重合体について分子量測定を行った。得られた重合体のMwは15,000であった。
[実施例6]
実施例3と同様に、重合溶媒としてMMPを用いて重合及び重合体の精製を行った。その結果、白色粉末である重合体が得られた(収量84.3g、収率92%)。得られた白色粉末をアニソールに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[比較例1]
重合溶媒として、BNに代えて、ジメチルアセトアミド(DMAc)439gを使用した以外は、実施例1と同様にして重合及び重合体の精製を行った。その結果、白色粉末である重合体が得られた(収量87.9g、収率96%)。得られた白色粉末をDMAcに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[比較例2]
重合溶媒として、BNに代えて、N−メチルピロリドン(NMP)439gを使用した以外は、実施例1と同様にして重合及び重合体の精製を行った。その結果、白色粉末である重合体が得られた(収量87.8g、収率96%)。得られた白色粉末をNMPに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例7]
まず、実施例1と同様にしてBNを重合溶媒に用いて重合し、重合反応液を得た。この重合反応液に、適量のBNを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のBNを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例8]
まず、実施例2と同様にしてジグライムを重合溶媒に用いて重合し、重合反応液を得た。この重合反応液に、適量のジグライムを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のジグライムを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例9]
まず、実施例3と同様にしてMMPを重合溶媒に用いて重合し、重合反応液を得た。この重合反応液に、適量のMMPを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のMMPを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[比較例3]
まず、比較例1と同様にしてDMAcを重合溶媒に用いて重合し、重合反応液を得た。この重合反応液に、適量のDMAcを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のDMAcを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[比較例4]
まず、比較例2と同様にしてNMPを重合溶媒に用いて重合し、重合反応液を得た。この重合反応液に、適量のNMPを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のNMPを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例10]
4つ口フラスコに、温度計、攪拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、4,6−ジクロロピリミジン37.25g(0.25mol)、Bisphenol−A(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)57.07g(0.25mol)、炭酸カリウム44.92g(0.325mol)及びMMP377gを添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、120℃で3時間重合反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。その後、140℃まで昇温し、そのまま5時間重合反応させた。この重合反応液に、適量のMMPを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のMMPを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例11]
4つ口フラスコに、温度計、攪拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、4,6−ジクロロピリミジン37.25g(0.25mol)、Bisphenol−AF(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)84.06g(0.25mol)、炭酸カリウム44.92g(0.325mol)及びMMP377gを添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、120℃で3時間重合反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。その後、140℃まで昇温し、そのまま5時間重合反応させた。この重合反応液に、適量のMMPを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のMMPを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例12]
4つ口フラスコに、温度計、攪拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、4,6−ジクロロピリミジン37.25g(0.25mol)、Bisphenol−Z(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン)67.09g(0.25mol)、炭酸カリウム44.92g(0.325mol)及びMMP377gを添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、120℃で3時間重合反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。その後、140℃まで昇温し、そのまま5時間重合反応させた。この重合反応液に、適量のMMPを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のMMPを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例13]
4つ口フラスコに、温度計、攪拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、4,6−ジクロロピリミジン37.25g(0.25mol)、Bisphenol−TMC(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)77.61g(0.25mol)、炭酸カリウム44.92g(0.325mol)及びMMP377gを添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、120℃で3時間重合反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。その後、140℃まで昇温し、そのまま5時間重合反応させた。この重合反応液に、適量のMMPを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のMMPを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例14]
4つ口フラスコに、温度計、攪拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、4,6−ジクロロピリミジン37.25g(0.25mol)、BPFL(9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン)87.60g(0.25mol)、炭酸カリウム44.92g(0.325mol)及びMMP377gを添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、120℃で3時間重合反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。その後、140℃まで昇温し、そのまま5時間重合反応させた。この重合反応液に、適量のMMPを加えて希釈した後、塩をろ紙を用いてろ別した。イオン交換樹脂(三菱化学社の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで2時間攪拌した。攪拌終了後、イオン交換樹脂をろ別し、得られた重合体溶液に、適量のMMPを追加し、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例15]
4つ口フラスコに、温度計、攪拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、4,6−ジクロロピリミジン37.25g(0.25mol)、Bisphenol−AP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)72.59g(0.25mol)、炭酸カリウム44.92g(0.325mol)及びメチル−n−ペンチルケトン(MAK)439gを添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、120℃で3時間重合反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。その後、140℃まで昇温し、そのまま5時間重合反応させた。室温(25℃)まで冷却後、吸引ろ過により、生成した塩をろ紙を用いてろ別した。得られたろ液に攪拌下メタノールを加えて再沈殿させ、凝固物を得た。凝固物をろ別により分離し、分離した沈殿物を100℃で12時間真空乾燥し、白色粉末である重合体を得た(収量87.0g、収率95%)。得られた白色粉末を重合溶媒と同じMAKに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例16]
重合溶媒としてMAKに代えて、シクロヘキサノン(CHN)439gを使用した以外は、実施例15と同様にして重合及び重合体の精製を行った。その結果、白色粉末である重合体が得られた(収量84.3g、収率92%)。得られた白色粉末を重合溶媒と同じCHNに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
[実施例17]
重合溶媒としてMAKに代えて、シクロペンタノン(CPN)439gを使用し、重合温度を130℃とし、8時間反応させた以外は、実施例15と同様にして重合及び重合体の精製を行った。その結果、白色粉末である重合体が得られた(収量86.1g、収率94%)。得られた白色粉末を重合溶媒と同じCPNに溶解させ、重合体濃度が10質量%である樹脂組成物を調製した。
<評価>
実施例1〜17及び比較例1〜4の樹脂組成物について、下記方法に従い、重合体の重量平均分子量(Mw)、成形体中の残留溶媒濃度及び成形体の色相(b値)を評価した。これらの評価結果を下記表1に示す。表1中の「(*1)」及び「(*2)」は、フィルムを得ることができなかったため、b値の測定を行わなかったことを示す。
[重量平均分子量(Mw)]
重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC装置(東ソー社の「HLC−8320型」)を使用して、カラム(東ソー社の「TSKgelα−M」)を用い、以下の分析条件で測定した。Mwは、実施例1〜6及び15〜17並びに比較例1及び2では得られた重合体について、実施例7〜14並びに比較例3及び4では、調製した樹脂組成物を少量サンプリングし、メタノールを加えて凝固させ、ろ過、乾燥させることにより得られた重合体について測定した。
(分析条件)
溶出溶媒 :N−メチルピロリドン
流量 :0.6mL/分
試料濃度 :0.2質量%
試料注入量 :100μL
カラム温度 :40℃
検出器 :示差屈折計
標準物質 :単分散ポリスチレン
[残留溶媒濃度]
残留溶媒濃度の測定のため、まず、フィルムサンプルを作製した。フィルムサンプルは、上記得られた樹脂組成物をスピンコーターにてガラス基板上に塗工した後、この塗工液をホットプレートにて70℃で15分間及び120℃で15分間加熱し、さらに真空乾燥機にて200℃で2時間減圧乾燥させてフィルム付ガラス基板を作製した。このフィルム付ガラス基板からフィルムを剥離し、平均厚みが30μmのフィルムサンプルを得た。
残存溶媒濃度は、示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメンツ社の「EXSTAR TG/DTA6200」)を用い、TG−DTA測定により求めた。具体的には、残存溶媒濃度は、フィルムサンプルをアルミパンに乗せ、窒素雰囲気下で昇温速度を10℃/minとして室温から350℃まで昇温し、100℃でのフィルムサンプルの質量から350℃でのフィルムサンプルの質量を減じた値(質量減少分)として算出した。
[色相(b値)]
色相(b値)は、上記残留溶媒濃度の測定の場合と同様にして作成したフィルムについて、村上色彩技術研究所社の「SPECTROPHOTOMETER DOT−3C」を用いて測定した。成形体の色相は、b値が小さく、0に近いほど優れていることを示す。
Figure 0006888308
表1から明らかなように、重合溶媒としてBN、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、MMP、MAK、CHN又はCPNを使用して製造した実施例1〜3及び6〜17の重合体を含有する樹脂組成物から形成されるフィルムは色相に優れるものであった。
これに対して、重合溶媒としてDMAc又はNMPを使用した比較例1〜4の重合体を含有する樹脂組成物から形成されるフィルムは色相が実施例のものに対して劣っていた。
このように、[A]重合体の製造に使用する重合溶媒は、[A]重合体を含有する樹脂組成物から得られる成形体の色相に影響を与えることが確認された。そして、重合溶媒として、ベンゾニトリル系溶媒であるBN、エーテル系溶媒であるジグライム及びアルコキシカルボン酸エステル系溶媒であるMMP、ケトン系溶媒であるMAK、CHN及びCPNといった非プロトン性極性溶媒を使用することで、アミド系溶媒であるDMAcやNMPを使用する場合に比べて、[A]重合体を含有する樹脂組成物から得られる成形体の色相が優れたものにできることも確認された。これは、例えば[A]重合体の重合反応において、重合溶媒として[B]有機溶媒を用いることにより、着色の原因となる副反応をより抑制することが可能となったこと等によるものと考えられる。
本発明によれば、色相に優れる成形体を製造できる樹脂組成物、重合体の製造方法及び成形体を提供できる。

Claims (8)

  1. 下記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される第1構造単位及び下記式(3)で表される第2構造単位主鎖中に有する重合体と、
    有機溶媒と
    を含有する樹脂組成物であって、
    上記有機溶媒が、下記式(2−6)で表される化合物であることを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 0006888308
    (式(1−1)〜(1−3)中、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。nは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。nが2の場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。)
    Figure 0006888308
    (式(2−6)中、R13及びR14は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。)
    Figure 0006888308
    (式(3)中、R 10 及びR 11 は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。e及びfは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。aが2以上の場合、複数のR 10 は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。bが2以上の場合、複数のR 11 は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R 12 は、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基である。vは、0〜2の整数である。vが2の場合、2つのR 12 は同一であっても異なっていてもよく、2つのZは同一であっても異なっていてもよい。wは、0〜2の整数である。wが2の場合、2つのR 12 は同一であっても異なっていてもよく、2つのZは同一であっても異なっていてもよい。Lは、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO −又は炭素数1〜20の2価の有機基である。cは、0又は1である。yは、0〜2の整数である。yが2の場合、2つのeは同一でも異なっていてもよい。Lが複数の場合、複数のLは同一であっても異なっていてもよい。R 10 が複数の場合、複数のR 10 は同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 上記有機溶媒が、メチル−n−ペンチルケトンである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 有機溶媒を用い、重縮合反応により、下記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される第1構造単位及び下記式(3)で表される第2構造単位主鎖中に有する重合体を製造する方法であって、
    上記有機溶媒が、下記式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)若しくは(2−6)で表される化合物又はこれらの組み合わせであることを特徴とする重合体の製造方法。
    Figure 0006888308
    (式(1−1)〜(1−3)中、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。nは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。nが2の場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。)
    Figure 0006888308
    (式(2−1)中、Rは、アミド基以外の炭素数1〜5の1価の有機基である、iは、0〜5の整数である。iが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
    式(2−2)中、Rは、アミド基及びアルコキシ基以外の炭素数1〜5の1価の有機基である。jは、0〜5の整数である。jが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
    式(2−3)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基である。Eは、エタンジイル基又はプロパンジイル基である。kは、1〜4の整数である。kが2以上の場合、複数のEは同一でも異なっていてもよい。
    式(2−4)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。mは、1〜5の整数である。
    式(2−5)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。pは、0〜5の整数である。pが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
    式(2−6)中、R13及びR14は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基若しくは炭素数2〜10のアルケニル基であるか、又はこれらの基が互いに結合して環員数3〜20の脂環構造の一部を形成する。)
    Figure 0006888308
    (式(3)中、R 10 及びR 11 は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。e及びfは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。aが2以上の場合、複数のR 10 は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。bが2以上の場合、複数のR 11 は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R 12 は、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基である。vは、0〜2の整数である。vが2の場合、2つのR 12 は同一であっても異なっていてもよく、2つのZは同一であっても異なっていてもよい。wは、0〜2の整数である。wが2の場合、2つのR 12 は同一であっても異なっていてもよく、2つのZは同一であっても異なっていてもよい。Lは、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO −又は炭素数1〜20の2価の有機基である。cは、0又は1である。yは、0〜2の整数である。yが2の場合、2つのeは同一でも異なっていてもよい。Lが複数の場合、複数のLは同一であっても異なっていてもよい。R 10 が複数の場合、複数のR 10 は同一であっても異なっていてもよい。)
  4. 上記有機溶媒が、ベンゾニトリル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、アニソール、安息香酸メチル、メチル−n−ペンチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又はこれらの組み合わせである請求項3に記載の重合体の製造方法。
  5. 下記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で表される第1構造単位及び下記式(3)で表される第2構造単位主鎖中に有する重合体と、
    有機溶媒と
    を含有する成形体であって、
    上記有機溶媒が、下記式(2−6)で表される化合物であることを特徴とする成形体。
    Figure 0006888308
    (式(1−1)〜(1−3)中、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。nは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。nが2の場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。)
    Figure 0006888308
    (式(2−6)中、R13及びR14は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。)
    Figure 0006888308
    (式(3)中、R 10 及びR 11 は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。e及びfは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。aが2以上の場合、複数のR 10 は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。bが2以上の場合、複数のR 11 は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R 12 は、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基である。vは、0〜2の整数である。vが2の場合、2つのR 12 は同一であっても異なっていてもよく、2つのZは同一であっても異なっていてもよい。wは、0〜2の整数である。wが2の場合、2つのR 12 は同一であっても異なっていてもよく、2つのZは同一であっても異なっていてもよい。Lは、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO −又は炭素数1〜20の2価の有機基である。cは、0又は1である。yは、0〜2の整数である。yが2の場合、2つのeは同一でも異なっていてもよい。Lが複数の場合、複数のLは同一であっても異なっていてもよい。R 10 が複数の場合、複数のR 10 は同一であっても異なっていてもよい。)
  6. 上記有機溶媒の含有量が、5質量ppm以上2,000質量ppm以下である請求項5に記載の成形体。
  7. ペレット、フィルム、シート又は射出成形体である請求項5又は請求項に記載の成形体。
  8. 上記有機溶媒が、メチル−n−ペンチルケトンである請求項5、請求項6又は請求項7に記載の成形体。
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