この電子キーシステム101において、車両5の異常状態、例えば、車両5のドア5aの非施錠状態、半ドア状態、窓の閉め忘れ状態、ライトの点灯状態等を、表示装置や小型の音響装置等を用いてユーザに通知させるように電子キー6を構成すれば、ユーザは、当該異常状態を認知した上で車両5のドア5aの施解錠操作等を行うことができるので、利便性がさらに向上すると考えられる。
ところが、電子キーシステム101をこのように構成すると、車両5の近傍においても電子キー6との双方向の通信が行われるため、ユーザが、例えば、故意に車両5のドアを開け、トランクスペースに荷物の積み下ろし作業を行っている状態においても、そのような車両5の異常状態が通知される情報通信の無駄が生じるため、却ってユーザの利便性が損なわれることが考えられる。
一方、車両5と電子キー6との間で常時双方向の無線通信が行われると、特に電子キー6において無線通信の電力消費量が嵩み、その内蔵電池の消耗が増大する懸念もある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車両の異常状態等の車両情報が電子キーを介して無駄なく且つ確実に通知され、利便性が向上する電子キーシステムを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられ、所定の条件の成立により車載装置による制御を許可する通信制御部と、同車両のユーザに所持される電子キーとを備え、同通信制御部及び電子キーは、それぞれ送信要求信号を含む第1電波、及び、UHF帯の電波であり、且つ認証用コードを含む第2電波をポーリング発信することで双方向の無線通信を行い、前記通信制御部は、認証が成立したことを条件に前記車載装置による制御を許可すると共に、前記車両の近傍には第1通信エリアを設け、前記第1通信エリアの外周であって同車両から離隔した領域には第2通信エリアを設けた電子キーシステムであって、前記通信制御部は、前記電子キーが前記第1通信エリアに位置するときは、前記第1電波をLF帯の電波に設定すると共に、前記電子キーが前記第2通信エリアに位置するときは、当該第1電波をLF帯からUHF帯の電波に変更し、且つ同第1電波に車両に関する車両情報を含ませる一方、前記電子キーは、通知手段を備え、同通知手段によって前記通信制御部から送信された車両情報をユーザに通知するように構成したこと、を要旨とする。
同構成によれば、電子キーを所持したユーザが車両の近傍の第1通信エリアに存在する場合には、車両の通信制御部から電子キーに送信される第1電波がLF帯の電波に設定されるとともに、ユーザが同車両から離隔した第2通信エリアに存在する場合には、当該第1電波がUHF帯の電波に設定されるので、ユーザ(に所持された電子キー)が第1通信エリア及び第2通信エリアに存在するときには、電子キーから送信(ポーリング発信)される認証用コードが正規のものである場合に、通信制御部により車載装置による制御が許可される通常の無線通信が実行される。さらに、ユーザが第2通信エリアに存在する場合には、車両の通信制御部から車両情報を含んで電子キーに送信される第1電波がUHF帯の電波に設定されるので、同第1電波の到達距離が伸張し、当該第1電波に含まれる車両情報は電子キーにより受信可能となる。このため、ユーザは、第2通信エリアに存在し、車両から離隔した地点で次第に同車両から離れつつあるときには、電子キーの通知手段を介して車両情報を確実に認知できるようになる。しかも、ユーザは、車両の近傍に存在し、車両情報を視覚や聴覚等で直接的に認知できるときには、当該車両情報が電子キーの通知手段を介してユーザに通知されないことで情報通知の無駄を排除しうると共に、車載装置による制御は通常とおり遠隔で実行することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信制御部は、前記送信要求信号に各々応答して電子キーから返信される第2電波が受信可能であることを判断基準として前記電子キーが前記第1通信エリアに位置すると判断すると共に、同第2電波が受信不能であるときには前記電子キーが前記第2通信エリアに位置すると判断するように構成したこと、を要旨とする。
同構成によれば、通信制御部は、送信要求信号に応答して電子キーから返信される第2電波が受信可能であることを判断基準として電子キーが第1通信エリアに位置すると判断すると共に、電子キーが送信要求信号に応答せず、当該第2電波が受信不能であるときには電子キーが第2通信エリアに位置する(進入した)と判断する。このため、通信制御部は、特別な装置を用いることなく、第2電波の受信可否のみで、電子キーが第1又は第2通信エリアのいずれに位置するかを容易に判断することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信制御部は、前記第2電波が一旦受信不能となった時から再度受信されることなく、予め設定した所定時間を経過した時に前記第1電波をLF帯からUHF帯の電波に変更するように構成したこと、を要旨とする。
同構成によれば、通信制御部は、第2電波が一旦受信不能となった時から、同第2電波が再度受信されることなく、予め設定した所定時間経過した時に第1電波をLF帯からUHF帯の電波に変更する。このため、第1通信エリアAの外周に分布する一定領域(ユーザとともに移動する電子キーがLF帯の電波である第1電波を受信できなくなった時から、UHF帯の電波である第1電波を受信することで第2電波を返信し、当該第2電波が通信制御部で受信されるようになる時までに対応する領域)を車両(通信制御部)と電子キーとの間で双方向の無線通信が行なわれないバッファゾーンとすることができる。また、このバッファゾーンは、所定時間の変更によって、任意に設定しうる。これにより、第1通信エリアAの範囲外において、車両情報の通知を不要とする領域を同バッファゾーンとして任意に設定することができ、例えば、ユーザが、第1通信エリアAから一旦脱出した後、当該所定時間内で車両に引き返す状況においては、車両情報が電子キーの通知手段を介してユーザに通知されないことで情報通知の無駄が排除できる。しかも、このバッファゾーンでは、通信制御部と電子キーとの間で双方向の無線通信が行われないので、特に電子キーにおいて第2電波の送信に要する電力消費量の低減を図ることもできる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信制御部は、前記電子キーより受信した第2電波の電波強度を測定する電波強度測定手段を備え、同電波強度が低下し、所定閾値以下となったことを判断基準として、同電子キーが前記第2通信エリアから外れ、無線通信不能となったと判断すると共に、当該無線通信不能である旨を無線通信以外の手法による報知手段によってユーザに報知するように構成したこと、を要旨とする。
同構成によれば、電波強度測定手段によって測定され、電子キーから送信される第2電波の電波強度が、予め設定した所定閾値以下となったことを判断基準として、電子キーが第2通信エリアから外れ、無線通信不能となった旨が、通信制御部によって容易且つ確実に判断されるようになる。さらに、当該無線通信不能である旨は、通信制御部によって車両のユーザに無線通信以外の手法による報知手段を介して報知されるようにしたので、ユーザは電子キーが第2通信エリアから外れることで無線通信不能となった旨を容易に判別することができるようになる。さらに、電波強度測定手段は、車両の通信制御部に設けられているので、電子キーの構成が簡素で済むようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電子キーシステムにおいて、前記報知手段が車両に設けられ、点灯又は点滅するハザードランプ、又は、音を吹鳴するホーン装置であること、を要旨とする。
同構成によれば、点灯又は点滅するハザードランプによって車両のユーザに無線通信不能である旨が報知される場合は、音響や吹鳴等を利用する場合に比して周囲に与える悪影響が小さくなると共に、ユーザには確実に報知されるようになる。一方、音を吹鳴するホーン装置によって車両のユーザに無線通信不能である旨が報知される場合では、ユーザが直接車両を目視していない場合でも、ユーザに確実に報知されるようになる。さらに、当該ハザードランプは、車両に設けられているので、電子キーの構成が簡素で済むようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信制御部は、車両のドアの非施錠状態又は半ドア状態からなる車両の異常状態を検知可能とされ、前記車両情報には、当該異常状態が含まれること、を要旨とする。
同構成によれば、通信制御部は、車両のドアの非施錠状態又は半ドア状態からなる車両の異常状態を検知可能とされ、車両情報には、当該異常状態が含まれるので、ユーザは、電子キーの通知手段を介して当該異常状態を容易に認識することができ、しかも同異常状態を解消すべく、同電子キーを用いて車両のドアの施錠操作等を遠隔で行うことが可能となる。また、例えば、ユーザが、車両のドアを故意に開放した状態で、車両のトランクスペースへの荷物の積み下ろし作業をしている状況では、車両の異常状態が電子キーの通知手段を介してユーザに通知される煩わしさがない。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信制御部は、前記電子キーが前記第2通信エリアに位置しても、前記車両の異常状態を検知したときに限り、前記第1電波を発信するように構成したこと、を要旨とする。
同構成によれば、通信制御部は、ユーザ(に所持された電子キー)が車両の近傍の第1通信エリアに存在しても、車両の異常状態を検知したときに限り、同電子キーに、車両の異常状態についての車両情報を含む第1電波を送信する。このため、ユーザが第2通信エリアに存在しても、車両に異常状態がないときには、通信制御部と電子キーとの間で双方向の無線通信が行われないので、特に電子キーにおいて第2電波の送信に要する電力消費量の低減を図ることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の電子キーシステムにおいて、前記電子キーは、前記通信制御部により許可される車載装置による制御の種別を選択する選択スイッチを備え、前記通信制御部は、同電子キーが第2通信エリアに位置するときに前記選択スイッチが操作者に操作され、且つ、前記車両の異常状態が解消したときには、この異常状態の解消後、前記第1電波を介して前記車両情報を1回発信すると共に、その発信後には同第1電波の発信を停止するように構成したこと、を要旨とする。
同構成によれば、通信制御部は、ユーザ(に所持された電子キー)が第2通信エリアに存在するときに、電子キーの通知手段を介して車両の異常状態をユーザが認識し、選択スイッチを操作することで当該異常状態が解消したときには、その異常状態の解消後、同電子キーに第1電波を介して車両情報を1回発信すると共に、その発信後は第1電波の送信を停止する。このため、電子キーは、異常状態が解消した直後における最新の車両情報を受信し、車両に関するデータのメモリへの書換え等を最小頻度の無線通信で実行可能となると共に、特に電子キーにおいて第2電波の送信に要する電力消費量の低減を図ることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の電子キーシステムにおいて、前記電子キーは、前記第2電波に送信指令信号を含ませて通信制御部に送信する車両情報スイッチを備え、この車両情報スイッチが操作され、且つ、前記通信制御部が当該送信指令信号を受信することにより同通信制御部から前記車両情報が強制的に発信されるように構成したこと、を要旨とする。
同構成によれば、車両情報スイッチを操作すれば、通信制御部と電子キーとの間で行われる双方向の無線通信と無関係に通信制御部から車両情報が返信される。このため、ユーザは、その自由意思に基づいて、車両の異常状態等の車両情報を電子キーの通知手段を介して確実に知ることができるようになる。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、前記電子キーに設けられた通知手段は、前記車両情報を視覚により認識可能な状態で表示する表示手段であることを要旨とする。
同構成によれば、ユーザは、車両から離隔した地点で次第に同車両から離れつつあるときでも、電子キーに設けられた通知手段である表示手段を介して車両情報を視覚により確実に認知することができる。
請求項11に記載の発明は、車両に設けられ、所定の条件の成立により車載装置による制御を許可する通信制御部と、同車両のユーザに所持される電子キーとを備え、同通信制御部及び電子キーは、それぞれ送信要求信号を含む第1電波、及び、UHF帯の電波であり、且つ認証用コードを含む第2電波をポーリング発信することで双方向の無線通信を行い、前記通信制御部は、認証が成立したことを条件に前記車載装置による制御を許可すると共に、前記車両の近傍には第1通信エリアを設け、前記第1通信エリアの外周であって同車両から離隔した領域には第2通信エリアを設けた電子キーシステムであって、前記通信制御部は、前記電子キーが前記第1通信エリアに位置するときは、前記第1電波をLF帯の電波に設定すると共に、前記電子キーが前記第2通信エリアに位置するときは、当該第1電波をLF帯からUHF帯の電波に変更するものであり、前記車両には、伝達手段が設けられ、同伝達手段によって前記車両に関する車両情報をユーザに伝達するように構成したことを要旨とする。
同構成によれば、電子キーを所持したユーザが車両の近傍の第1通信エリアに存在する場合には、車両の通信制御部から電子キーに送信される第1電波がLF帯の電波に設定されるとともに、ユーザが同車両から離隔した第2通信エリアに存在する場合には、当該第1電波がUHF帯の電波に設定されるので、ユーザ(に所持された電子キー)が第1通信エリア及び第2通信エリアに存在するときには、電子キーから送信(ポーリング発信)される認証用コードが正規のものである場合に、通信制御部により車載装置による制御が許可される通常の無線通信が実行される。さらに、ユーザが第2通信エリアに存在し、車両から離隔した地点で次第に同車両から離れつつある場合でも、車両の通信制御部から電子キーに送信される第1電波に車両に関する車両情報を含ませることなく、ユーザは、車両の伝達手段を介して当該車両情報を確実に認知できるようになる。
本発明によれば、車両の異常状態等の車両情報が電子キーを介して消費電力の無駄なく且つ確実に通知され、利便性が向上するようになる。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子キーシステム1は、車両(自動車)3のユーザが所持する電子キー2と、同車両3に設けられた通信制御部30とを備えている。そして同の電子キーシステム1は、同電子キー2と通信制御部30との間で、IDコード(認証用コード)を用いた電磁的認証のための双方向の無線通信を行い、同認証が成立したことを条件として、車載装置としてのボデーECU35(ドア施解錠装置)によるドア3aの施解錠制御や、同じく車載装置としてのエンジンECU34(エンジン始動装置)を介して車両3のエンジンの始動制御を許可したりする。
前記電子キー2には、前記無線通信を通して、車両3に関する車両情報を表示(通知)する通知手段(表示手段)としての液晶表示部20、マイコン21、LF帯の電波を受信すべくアンテナ22aを有するLF受信器22、UHF帯の電波を送受信すべくアンテナ23aを有するUHF送受信器23、車両3のドア3aの施錠用スイッチ24、同車両3のドア3aの解錠用スイッチ25、車両3から前記車両情報を送信させるべく操作される車両情報スイッチ26が設けられている。そして、同液晶表示部20、LF受信器22、UHF送受信器23、施錠用スイッチ24、解錠用スイッチ25、及び車両情報スイッチ26は、前記マイコン21に電気的に接続されている。本実施形態では、これら施錠用スイッチ24及び解錠用スイッチ25は、前記通信制御部30により許可される車載装置による制御の種別(施錠又は解錠)を選択する選択スイッチとして機能する。尚、図1に示すマイコン21には、CPU21aと、該CPU21aに電気的に接続されたメモリ21bとが設けられている。
本実施形態において、前記LF受信器22は、アンテナ22aを介して入力された電波を例えばFSK(Frequency Shift Keying)方式で電気信号に復調し、マイコン21に出力する。また、前記UHF送受信器23は、アンテナ23aを介して入力された電波を例えばFSK方式で電気信号に復調し、マイコン21に出力すると共に、同マイコン21から入力された電気信号を例えばFSK方式で電波に変調し、アンテナ23aを介して外部に発信するように構成されている。
一方、前記通信制御部30には、照合ECU31、LF帯の電波を送信すべくアンテナ32aを有するLF送信器32、及び、UHF帯の電波を送受信すべくアンテナ33aを有するUHF送受信器33が設けられている。同通信制御部30には、さらに、前記照合ECU31に接続されたボデーECU35、該ボデーECU35に接続され、エンジンの始動を制御するエンジンECU34、同ボデーECU35に接続され、図示しないドアロック機構を駆動してドア3aを施解錠するドアコントロールモータ35a、前記ボデーECU35に接続され、ドア3aの施解錠状態を検出し、同施解錠状態に応じてオンオフ信号を当該ボデーECU35に出力するドアロックスイッチ36、及び、同ボデーECU35に接続され、ドア3aの開閉状態を検出し、同開閉状態に応じてオンオフ信号を当該ボデーECU35に出力するドアカーテシランプスイッチ37が設けられている。尚、照合ECU31には、CPU31aと、該CPU31aに電気的に接続されたメモリ31bとが設けられている。
ここで、LF送信器32は、前記照合ECU31から入力された電気信号を例えばFSK方式で電気信号に変調し、アンテナ32aを介して外部に発信する。また、UHF送受信器33は、アンテナ33aを介して入力された電波を例えばFSK方式で電気信号に復調し、照合ECU31に出力すると共に、同照合ECU31から入力された電気信号を例えばFSK方式で電波に変調し、アンテナ33aを介して外部に発信するように構成されている。
また、図1の領域αに拡大して示すように、前記UHF送受信器33は、アンテナ33aと照合ECU31との間に接続された受信回路33b、アンテナ33aと照合ECU31との間に接続された送信回路33d及び送信制御回路33e、及び、アンテナ33aと送信制御回路33eとの間に挿入された電波強度測定手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator;受信信号強度表示信号)回路33cを備えている。即ち、UHF送受信器33では、前記受信回路33bが、アンテナ33aを介して入力された電波を例えばFSK方式で電気信号に復調し、照合ECU31に出力すると共に、当該送信回路33dが照合ECU31から送信制御回路33eを介して入力された電気信号を例えばFSK方式で電波に変調し、アンテナ33aを介して外部に発信している。
前記RSSI回路33cは、アンテナ33aから入力された電気信号(電波)の強度に応じた強度電圧を送信制御回路33eに出力する。具体的にはアンテナ33aから図示しないリミッタアンプを介して入力された電気信号の強度が増大するに従って高まる強度電圧を送信制御回路33eに出力する。そして、同送信制御回路33eは、電波強度に対応する当該強度電圧と、予め設定した所定閾値(閾値電圧)とを比較して大小関係を判定し、その結果を示す信号を照合ECU31に出力すると共に、同強度電圧が前記所定閾値以下となった場合には、送信回路33dによる電波の発信を停止するように構成されている。
尚、図1に示す車両3には、前記ボデーECU35に接続されると共に、車両3の前方左右両脇に設けられたハザードランプ装置39,39に、その点滅状態を制御しうるように接続されたメータECU38が設けられている。
本実施形態の電子キーシステム1は、図2及び図3に示すように、所謂ポーリング方式を採用し、車両3(通信制御部30)は、送信要求信号を含む第1電波を電子キー2にポーリング発信(間欠的に送信)し、同電子キー2は、該送信要求信号に各々応答してIDコード(認証用コード)を含む第2電波をポーリング発信し、さらに、車両3は、該第2電波に含まれる信号に各々応答して電子キー2に第1電波をポーリング発信するように構成されている。ここで、送信要求信号は、前記照合ECU内のメモリ31bに記憶され、IDコードは、前記マイコン21内のメモリ21bに記憶されている。さらに該電子キー2のIDコードに対応する車両3のIDコードは、前記照合ECU内のメモリ31bに記憶されている。
詳しくは、図2及び図3に示すように、本実施形態の電子キーシステム1では、車両3の近傍には第1通信エリアAを設け、該第1通信エリアAの外周であって同車両3から離隔した領域には第2通信エリアBを設けている。この第1通信エリアAは、車両3の通信制御部30の照合ECU31が、電子キー2からIDコードを含む第2電波を返信させるべく、送信要求信号を含む第1電波をLF送信器32を介して車両周辺及び車両室内にポーリング発信することで形成される。そして、通信制御部30は、前記送信要求信号に応答して電子キー2から返信される第2電波が受信可能であることを判断基準として同電子キー2が前記第1通信エリアAに位置すると判断する。さらに、通信制御部30は、電子キー2が前記送信要求信号に応答せず、第2電波が受信不能であるときには同電子キー2が前記第2通信エリアBに位置すると判断する。このように電子キー2が、ユーザに所持された状態で車両3から離間し、第2通信エリアBに位置することにより、同車両3からの第1電波を受信不能となって第2電波を返信しなくなるのは、LF帯の電波の到達可能な領域が車両3を中心として半径2m〜3m以内に制限されることに起因する。これに対して、UHF帯の電波の到達可能な領域は車両3を中心として半径5m〜10mの範囲に拡張される。
そして、該通信制御部30の照合ECU31は、電子キー2が前記第1通信エリアAに位置する(と判断した)ときは、前記送信要求信号を含む第1電波をLF帯の電波に設定する一方で、電子キー2が前記第2通信エリアBに位置する(と判断した)ときは、前記送信制御回路33eによって同第1電波をLF帯からUHF帯の電波に変更するとともに、電子キー2からの第2電波に含まれるACK信号に各々応答し、それぞれLF送信器32、UHF送受信器33を介して同電子キー2にポーリング発信(ここでは、発信周期を100ms〜500msとする)することが可能なように構成されている。一方、前記電子キー2は、前記送信要求信号に各々応答し、前記通信制御部30に、UHF帯の電波であり、且つIDコード及びACK信号を含む第2電波をポーリング発信するように構成されている(ここでは、発信周期を100ms〜500msとする)。
即ち、図2及び図3に示すように、本実施形態の電子キーシステム1では、前記第1通信エリアAに電子キー2が進入すると、同電子キー2のマイコン21は、通信制御部30から、アンテナ22aを介してLF帯の電波であり、且つ送信要求信号を含む第1電波を受信する。そして、該第1電波は、LF受信器22で送信要求信号に復調され、マイコン21に入力される。さらに、同マイコン21は、該送信要求信号に応答し、メモリ21bに記憶されたIDコード(を含むIDコード信号)をUHF送受信器23でUHF帯の電波である第2電波に変調し、アンテナ23aを介して車両3の通信制御部30にポーリング発信する。
そして、前記通信制御部30は、このIDコードを含む第2電波をUHF送受信器33によって受信すると、UHF送受信器33の受信回路33bでIDコードに復調し、前記照合ECU31がそのメモリ31bに記憶されたIDコードと当該復調されたIDコードとの照合を行う。そして、同照合ECU31は、それらIDコード同士が一致したことを条件として電子キー2と通信制御部30との間での双方向の無線通信を介した認証が成立したものとする。この結果、同通信制御部30は、車両3のドア3aの施解錠制御や、車両3のエンジンの始動制御を許可したりする。即ち、電子キーシステム1では、認証成立の場合に、同車両3の車載装置としてのボデーECU35(ドア施解錠装置)及びエンジンECU34(エンジン始動装置)による制御が許可される。
本実施形態では、第1通信エリアAの車両周辺において、電子キー2の施錠用スイッチ24が操作されると、同電子キー2は、マイコン21及びUHF送受信器23を介して施錠要求信号を変調し、前記第2電波に含ませて車両3に送信する。そして、車両3の通信制御部30は、第2電波を受信すると、照合ECU31及びUHF送受信器33を介して施錠要求信号に復調し、さらに前記認証が成立したことを条件として、車両3のドア3aが解錠(アンロック)状態であれば、その施錠要求信号に従い、照合ECU31、ボデーECU35、ドアコントロールモータ35aを介してドア3aを施錠する。一方、電子キー2の解錠用スイッチ25が操作されると、同電子キー2は、マイコン21及びUHF送受信器23を介して解錠要求信号を変調し、前記第2電波に含ませて車両3に送信する。そして、車両3の通信制御部30は、この第2電波を受信すると、照合ECU31及びUHF送受信器33を介して解錠要求信号に復調し、さらに前記認証が成立したことを条件として、車両3のドア3aが施錠(ロック)状態であれば、その解錠要求信号に従い、照合ECU31、ボデーECU35、ドアコントロールモータ35aを介してドア3aを解錠する。ここで、照合ECU31は、前記ドアロックスイッチ36から入力されるオンオフ信号に基づいて車両3のドア3aの施解錠状態を判別している。
一方、第1通信エリアAの車両室内に電子キー2が位置する場合は、車両3の通信制御部30は、前記認証が成立したことを条件として、図示しないエンジンスイッチの手動操作(押圧操作)により、エンジンECU34を介して車両3のエンジンを始動可能な状態とする。尚、電子キー2が車両室内に位置することは、ドア3aの開閉操作、ユーザが車両3のブレーキ(図示せず)を踏んだこと、車両3のエンジンが始動したこと、又はドアロックスイッチ36がオンされたことを照合ECU31が検知する。そしてこのとき、同照合ECU31は、UHF送受信器33を介して、車両室内に第2電波の検知エリアを形成する。
図3に示すように、本実施形態では、車両3の通信制御部30は、第2電波が一旦受信不能となった時から再度受信されることなく、予め設定した所定時間を経過した時に第1電波をLF帯からUHF帯の電波に変更するように構成されている。
詳しくは、通信制御部30の照合ECU31は、電子キー2から第2電波の応答がなくなり、前記第2通信エリアBに電子キー2(ユーザ)が進入したと判断すると、その第2電波が受信不能となった時からCPU31aに内蔵されたタイマが作動し、さらに同タイマがカウントアップして、予め設定した所定時間(ここでは、5sec〜15sec)が経過した時に、送信制御回路33eによって同第1電波をLF帯の電波から前記送信要求信号及び前記車両3に関する車両情報を信号として含むUHF帯の電波に変更し、送信回路33dで変調後、引き続いてアンテナ33aを介して電子キー2にポーリング発信する。尚、この所定時間内に再び電子キー2から第2電波が受信可能となれば、第1電波はLF帯の電波のままで維持される。
ここで、本実施形態では、車両3に関する車両情報には、車両3のドア3aの非施錠状態及び半ドア状態からなる車両3の異常状態についての情報が含まれる。該非施錠状態及び半ドア状態は、それぞれ、ドアロックスイッチ36及びドアカーテシランプスイッチ37からボデーECU35を介して入力される各オンオフ信号に基づいて照合ECU31が識別し、当該情報をメモリ31bに一時的に記憶する。さらに、同照合ECU31は、当該情報を信号に変換し、送信回路33dで変調し、第1電波に含ませてアンテナ33aから電子キー2に送信する。そして、電子キー2では、マイコン21がその信号を含む第1電波を受信すると、同マイコン21は、UHF送受信器23を介して信号に変調し、液晶表示部20によって当該異常状態をユーザが視認可能な状態、例えば、「ドアアンロック」、「半ドア」等と画面表示する。
さらに、本実施形態において、通信制御部30の照合ECU31は、前記RSSI回路33cから出力された第2電波の強度電圧(電波強度)が低下し、所定閾値以下となった場合には、送信制御回路33eから入力される信号に基づき、電子キー2が前記第2通信エリアBから外れ、電子キー2との間で無線通信が不能となったと判断するように構成されている。
詳しくは、通信制御部30の照合ECU31は、第2電波に含まれるACK信号の1回の送信機会(ポーリング)において同第2電波の強度電圧が低下し、所定閾値以下となったことを判断基準として、電子キー2が前記第2通信エリアBから外れ、無線通信不能となったと判断する。
すると、同照合ECU31は、前記ボデーECU35を介してメータECU38にハザードランプ装置39,39の点滅指令信号を伝送し、同メータECU38によってハザードランプ装置39,39を点滅させる。このように本実施形態では、このハザードランプ装置39,39が、車両3のユーザに無線通信不能である旨を無線通信以外の手法で報知する報知手段として機能する。
さらに、通信制御部30のUHF送受信器33の送信制御回路33eは、第2電波の強度電圧が前記所定閾値以下となった場合には、送信回路33dによる電波の発信を停止する。
本実施形態では、図1に示す車両情報スイッチ26は、ユーザ(操作者)に操作されることにより、送信指令信号を含む第2電波を通信制御部30に送信し、同通信制御部30により車両3に関する車両情報を含む第1電波を返信させるように機能する。
即ち、同車両情報スイッチ26を操作すると、マイコン21が送信指令信号を前記UHF送受信器23に出力する。そして、UHF送受信器23は、同送信指令信号を第2電波に変調して車両3に送信する。さらに、車両3の通信制御部30は、同送信指令信号をUHF送受信器33を介して受信すると、照合ECU31は復調された同送信指令信号に基づいて、電子キー2が第1通信エリアAにあると、第2通信エリアBにあるとに拘わらず、前記UHF送受信器33を介して、車両3に関する車両情報を含む第1電波を送信するように構成されている。
このように、本実施形態の電子キーシステム1では、電子キー2の車両情報スイッチ26が操作されることにより、同電子キー2が第1通信エリアA及び第2通信エリアBのいずれに位置しても、車両3の通信制御部30から前記車両情報を含む第1電波が強制的に発信されるように構成されている。
また、図4に示すように、本実施形態では、車両3の通信制御部30は、電子キー2が第2通信エリアBに位置するときに車両3の異常状態であるドア3aの非施錠状態をユーザに通知することで同ユーザによって施錠用スイッチ24が操作され、且つ、ドア3aの非施錠状態が解消したときには、この非施錠状態の解消後、第1電波を介して前記車両情報を1回発信すると共に、その発信後には第1電波の発信を停止するように構成されている。
具体的には、通信制御部30の照合ECU31は、先ず、電子キー2から第2電波を受信不能となり、同電子キー2が第2通信エリアBに位置する(進入した)と判断する。その後、同照合ECU31は、同電子キー2と車両3の通信制御部30との間でポーリング方式による双方向の無線通信が行われている最中に、電子キー2の液晶表示部20を介してドア3aの非施錠状態がユーザに通知され、同ユーザが施錠用スイッチ24を操作することで、車両3のドア3aが施錠され、ドア3aの非施錠状態が解消したと判断したときには、その非施錠状態の解消後、同電子キー2にUHF送受信器33を介して前記車両情報を含む第1電波を1回送信すると共に、その後は同第1電波の送信を停止する。この第1電波の送信は、車両3に関するデータ(車両情報)のメモリ21bへの書換のための送信に相当する。そして、マイコン21によって、液晶表示部20に画面表示される情報が、「ドアアンロック」から「ドアロック完了」に変更される。
また、図5に示すように、本実施形態では、車両3の通信制御部30は、電子キー2が第2通信エリアBに位置しても、車両3の異常状態を検知したときに限り、UHF帯の電波である第1電波を発信するように構成されている。
具体的には、通信制御部30の照合ECU31は、電子キー2から第2電波を受信不能となり、同電子キー2が第2通信エリアBに位置する(進入した)と判断しても、ドアロックスイッチ36及びドアカーテシランプスイッチ37から入力される各オンオフ信号に基づき、車両3のドア3aが非施錠状態又は半ドア状態であると判断しない限り、UHF送受信器33を介して第1電波を発信することはない。
本実施形態の電子キーシステム1によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)電子キー2を所持したユーザが車両3の近傍の第1通信エリアAに存在する場合には、車両3の通信制御部30から電子キー2に送信される第1電波がLF帯の電波に設定されるとともに、ユーザが同車両3から離隔した第2通信エリアBに存在する場合には、当該第1電波がUHF帯の電波に設定されるので、ユーザ(に所持された電子キー2)が車両3の近傍の第1通信エリアA及び第2通信エリアBに存在するときには、電子キー2から送信(ポーリング発信)されるIDコードが正規のものである場合に、通信制御部30により車載装置としてのボデーECU35及びエンジンECU34による制御が許可される通常の無線通信が実行される。さらに、ユーザが車両3から離隔した第2通信エリアBに存在する場合には、車両3の通信制御部30から車両3の車両情報を信号として含んで電子キー2に送信される第1電波がUHF帯の電波に設定されるので、同第1電波の到達距離が伸張し、当該第1電波に含まれる車両情報は電子キー2により受信可能となる。このため、ユーザは、第2通信エリアBに存在し、車両3から離隔した地点で次第に同車両3から離れつつあるときには、電子キー2の液晶表示部20を介して車両情報を確実に認知できるようになる。しかも、ユーザは、車両3の近傍に存在し、車両情報を視覚や聴覚等で直接的に認知できるときには、当該車両情報が電子キー2の液晶表示部20を介してユーザに通知されないことで情報通知の無駄を排除しうると共に、車載装置による制御は通常とおり遠隔で実行することができる。
(2)通信制御部30は、送信要求信号に応答して電子キー2から返信される第2電波が受信可能であることを判断基準として電子キー2が第1通信エリアAに位置すると判断すると共に、電子キー2が送信要求信号に応答せず、当該第2電波が受信不能であるときには電子キー2が第2通信エリアBに位置する(進入した)と判断する。このため、通信制御部30は、特別な装置を用いることなく、第2電波の受信可否のみで、電子キー2が第1通信エリアA又は第2通信エリアBのいずれに位置するかを容易に判断することができるようになる。
(3)通信制御部30は、第2電波が一旦受信不能となった時から、同第2電波が再度受信されることなく、CPU31aのタイマにより予め設定した所定時間経過した時に第1電波をLF帯からUHF帯の電波に変更する。このため、第1通信エリアAの外周に分布する一定領域(ユーザとともに移動する電子キー2がLF帯の電波である第1電波を受信できなくなった時から、UHF帯の電波である第1電波を受信することで第2電波を返信し、当該第2電波が通信制御部30で受信されるようになる時までに対応する領域)を車両3(通信制御部30)と電子キー2との間で双方向の無線通信が行なわれないバッファゾーンとすることができる。また、このバッファゾーンは、タイマによる所定時間の変更によって、任意に設定しうる。これにより、第1通信エリアAの範囲外において、車両情報の通知を不要とする領域を同バッファゾーンとして任意に設定することができ、例えば、ユーザが、第1通信エリアAから一旦脱出した後、当該所定時間内で車両3に引き返す状況においては、車両情報が電子キー2の液晶表示部20を介してユーザに通知されないことで情報通知の無駄が排除できる。しかも、このバッファゾーンでは、通信制御部30と電子キー2との間で双方向の無線通信が行われないので、特に電子キー2において第2電波の送信に要する電力消費量の低減を図ることもできる。
(4)RSSI回路33cによって測定され、電子キー2から送信される第2電波の電波強度が、予め設定した所定閾値以下となったことを判断基準として、電子キー2が第2通信エリアBから外れ、無線通信不能となった旨が、通信制御部30によって容易且つ確実に判断されるようになる。さらに、当該無線通信不能である旨は、通信制御部30によって車両3のユーザに無線通信以外の手法によるハザードランプ装置39,39を介して報知されるようにしたので、ユーザは電子キー2が第2通信エリアBから外れることで無線通信不能となった旨を容易に判別することができるようになる。さらに、RSSI回路33cは、車両3の通信制御部30に設けられているので、電子キー2の構成が簡素で済むようになる。
(5)点滅するハザードランプ装置39,39によって車両3のユーザに無線通信不能である旨が報知されるので、音響や吹鳴等を利用する場合に比して周囲に与える悪影響が小さくなると共に、ユーザには確実に報知されるようになる。さらに、当該ハザードランプ装置39,39は、車両3に設けられているので、電子キー2の構成が簡素で済むようになる。
(6)通信制御部30は、車両3のドア3aの非施錠状態又は半ドア状態からなる車両3の異常状態を検知可能とされ、車両情報には、当該異常状態が含まれるので、ユーザは、電子キー2の液晶表示部20を介して当該異常状態を容易に認識することができ、しかも同異常状態を解消すべく、同電子キー2を用いて車両3のドア3aの施錠操作等を遠隔で行うことが可能となる。また、第1通信エリアAでは、車両情報はユーザに通知されないので、例えば、ユーザが、車両3のドア3aを故意に開放した状態で、車両3のトランクスペースへの荷物の積み下ろし作業をしている状況では、車両3の異常状態が電子キー2の液晶表示部20を介してユーザに通知される煩わしさがない。
(7)通信制御部30は、ユーザ(に所持された電子キー2)が車両3の近傍の第1通信エリアAに存在しても、車両3の異常状態を検知したときに限り、同電子キー2に、車両3の異常状態についての車両情報を含む第1電波を送信する。このため、ユーザが第2通信エリアBに存在しても、車両3に異常状態がないときには、通信制御部30と電子キー2との間で双方向の無線通信が行われないので、特に電子キー2において第2電波の送信に要する電力消費量の低減を図ることができる。
(8)通信制御部30は、ユーザ(に所持された電子キー2)が第2通信エリアBに存在するときに、電子キー2の液晶表示部20を介して車両3の異常状態であるドア3aの非施錠(アンロック)状態をユーザが認識し、施錠用スイッチ24を操作することで当該異常状態が解消したときには、その異常状態の解消後、同電子キーに第1電波を介して車両情報を1回発信すると共に、その発信後は第1電波の送信を停止する。このため、電子キー2は、異常状態が解消した直後における最新の車両情報を受信し、車両3に関するデータのメモリ21bへの書換え等を最小頻度の無線通信で実行可能となると共に、特に電子キー2において第2電波の送信に要する電力消費量の低減を図ることができる。
(9)車両情報スイッチ26を操作すれば、通信制御部30と電子キー2との間で行われる双方向の無線通信と無関係に通信制御部30から車両情報が返信される。このため、ユーザは、その自由意思に基づいて、車両3の異常状態等の車両情報を電子キー2の液晶表示部20を介して確実に知ることができるようになる。
尚、上記実施形態は以下のように変形してもよい。
・上記実施形態では、通信制御部30は、電子キー2から送信される第2電波の電波強度(受信信号の電力レベル)が、IDコードの1回の送信機会(ポーリング)で所定閾値以下となったことを判断基準として同電子キー2が第2通信エリアBから外れたと判断すると共に、前記車両3のユーザに無線通信不能である旨をハザードランプ装置39,39によって報知するように構成した。しかしこれに限られず、その判断基準に代えて、第2電波の電波強度がIDコードの2回以上の連続した送信機会で所定閾値以下となったことを判断基準とすることもできる。これによれば、電子キー2が第2通信エリアBから外れた旨をより確度高く判断することができる。さらに、その判断基準に代えて、電子キー2から送信される第2電波が、予め設定した所定時間(例えば、1sec〜2sec)返信がないことを判断基準とすることもできる。尚、これらの判断は、照合ECU31(CPU31a)によって実行される。
・上記実施形態では、通信制御部30から電子キー2に送信する車両情報として、車両3の異常情報である非施錠状態及び半ドア状態が含まれるようにした。しかしこれに限られず、当該車両情報としては、同じく車両3の異常情報である「窓の閉め忘れ状態」や「ライトの点灯状態」をさらに含むようにすることもできる。さらに、当該車両情報としては、そのような車両3の異常情報に限られず、車両室内の温度やエンジンの始動状態等についての正常状態での情報とすることも可能である。
・上記実施形態では、車両3のユーザに無線通信不能である旨を無線通信以外の手法で報知する報知手段を、点滅するハザードランプ装置39,39としたが、これに限られず、点灯するハザードランプ装置であってもよい。さらに同報知手段は、たとえば、車両3の吹鳴装置(ホーン装置、ブザー装置)であってもよい。このように、音を吹鳴するホーン装置やブザー装置によって車両3のユーザに無線通信不能である旨が報知される場合では、ユーザが直接車両3を目視していない場合でも、ユーザに確実に報知されるようになる。
・上記実施形態では、通信制御部30の照合ECU31は、第2電波を受信不能となり、第2通信エリアBに電子キー2が進入したと判断すると、その受信不能となった時から所定時間経過した時に、第1電波をLF帯の電波からUHF帯の電波に変更し、引き続いて電子キー2にポーリング発信するように構成した。しかしこれに限られず、図6に示すように、通信制御部30の照合ECU31は、電子キー2から第2電波の応答がなくなり、第2通信エリアBに電子キー2が進入した時点において直ちに、第1電波をLF帯の電波からUHF帯の電波に変更し、連続して電子キー2にポーリング発信するように構成することも可能である。
・上記実施形態では、車両3の異常状態等の車両3に関する車両情報は、通信制御部30から電子キー2に電波で送信するとともに、当該電子キー2に設けられた通知手段としての液晶表示部20でユーザに通知するように構成した。しかしこれに限られず、当該車両情報は、そのような通知手段に代えて、或いは、追加して、車両3に設けられたハザードランプ装置等の光出射装置や音を吹鳴するホーン装置等の音響装置である伝達手段でユーザに伝達するように構成することも可能である。
これによれば、電子キー2を所持したユーザが車両3の近傍の第1通信エリアAに存在する場合には、車両3の通信制御部30から電子キー2に送信される第1電波がLF帯の電波に設定されるとともに、ユーザが同車両3から離隔した第2通信エリアBに存在する場合には、当該第1電波がUHF帯の電波に設定されるので、ユーザ(に所持された電子キー2)が第1通信エリアA及び第2通信エリアBに存在するときには、電子キー2から送信(ポーリング発信)されるIDコード(認証用コード)が正規のものである場合に、通信制御部30により車載装置による制御が許可される通常の無線通信が実行される。さらに、ユーザが第2通信エリアBに存在し、車両3から離隔した地点で次第に同車両3から離れつつある場合でも、車両3の通信制御部30から電子キー2に送信される第1電波に車両3に関する車両情報を含ませることなく、ユーザは、車両3の伝達手段であるハザードランプ装置やホーン装置を介して当該車両情報を確実に認知できるようになる。
・上記実施形態では、車両3に設けられ、ユーザに無線通信不能である旨を報知する報知手段は、視覚により認識可能なように点灯又は点滅するハザードランプ装置とした。しかしこれに限られず、当該報知手段は、聴覚により認識可能なように、例えば、音を吹鳴するホーン装置であってもよい。
これによれば、ユーザは、電子キー2に設けられた報知手段であるホーン装置を介して、無線通信不能である旨を音の吹鳴により確実に認知できるようになる。
さらに、前記した実施形態および変形例より把握できる技術的思想について以下に記載する。
○請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信制御部は、前記電子キーから送信される第2電波が、予め設定した所定時間返信がないことを判断基準として、同電子キーが前記第2通信エリアから外れ、無線通信不能となったと判断すると共に、前記車両のユーザに無線通信不能である旨を報知手段によって報知するように構成した電子キーシステム。
同構成によれば、電子キーから送信される第2電波が車両の通信制御部で所定時間受信できないことを判断基準として、電子キーが第2通信エリアから外れ、無線通信不能となった旨を容易に判断することができる。また、車両のユーザに無線通信不能である旨を無線通信以外の手法を用いた報知手段によって報知するようにしたので、ユーザは電子キーが第2通信エリアから外れたことが原因となって無線通信不能となった旨を確実に認識することができるようになる。さらに、電子キーから送信される第2電波の電波強度が所定閾値以下となったことを電子キーが第2通信エリアから外れたことの判断基準とする場合に必要となる電波強度測定手段を車両の通信制御部に設ける必要がなくなり、通信制御部の構成が簡素で済むようになる。
1…電子キーシステム、2…電子キー、3…車両、20…液晶表示部(通知手段、表示手段)、30…通信制御部、34…エンジンECU(車載装置)、35…ボデーECU(車載装置)、39…ハザードランプ(報知手段)、A…第1通信エリア、B…第2通信エリア。