JP5089722B2 - 燃料噴射弁および燃料噴射システム - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関に使用され、その内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射弁に関するものである。
近年、自動車などの排出ガス規制が強化される中、燃料噴射弁から噴射される燃料の微粒化の向上が求められている。
例えば、特許文献1としての特開2007−182767号公報では、噴孔プレートの上流に積層プレートを配置して積層プレートと噴孔プレートとの間を燃料通路とし、噴孔を燃料通路のコーナー部に配置して噴孔へ流入する燃料に旋回を与えて、噴射燃料を微粒化する手段が示されている。
また、特許文献2としての特許第4230503号公報では、噴孔プレートの上流に案内プレートを配置し、弁体と弁座の隙間から流出した燃料が案内プレート外周側の円錐側面部の下部を通って噴孔に到り、噴孔内で液膜を形成して噴射燃料を微粒化する方法が示されている。
特許文献3としての特許第4147405号公報では、噴孔径を比較的小さくして噴射燃料を微粒化する例が示されている。この公報では、比較的小さい噴孔径に合わせて噴孔長さを短くするために噴孔部の噴孔プレート厚さを薄くする一方、噴孔の近傍で噴孔より外周側に噴孔プレートの厚みが増加するテーパー状の段差部を形成し、テーパー部より外側の噴孔プレートを厚くして剛性を高め、微粒化と耐圧性を両立させている。
特開2007―182767号公報 特許第4230503号公報 特許第4147405号公報
上述した従来の特許文献1に示された燃料噴射弁の燃料流れの様子を図25に示す。図26は図25のIII−III線における断面を示し、図27は図25のIV−IV線における断面を示す。図25において、弁座110と弁体108の隙間から流出した燃料の一部は直接積層プレート1501−1の切り欠き通路C1から積層プレート1501−1と噴孔プレート111との間の通路301に到る流れKとなる。図26または図27において、切り欠き通路C1がない断面では弁座面110aの延長線が積層プレート1501−1の上面と点Pで交わっており、燃料は積層プレート1501−1の上面に誘導されて積層プレート1501−1の上面に沿う流れMとなり、積層プレート1501−1の上面を横断した後に前記切り欠き通路C1に流入する。このため、流れMは流れ経路が長くなり圧力損失が大きい。また流れMが切り欠き通路C1の入口で流れKと衝突し、衝突により流れKの流速が低下する。
上述した従来の特許文献2に示された燃料噴射弁では、案内プレートの外側が全周燃料通路となっており、また案内プレートの円錐部の角度設定により弁座面の延長線が案内プレートの円錐部の下流側を通っている。このため弁座面から流出した燃料は案内プレート
の上面に流入しにくく、文献1の問題が解決されている。ところが、案内プレートの円錐
部は噴孔への燃料流入をシート部に対して開放しており、シート部を通過した燃料は直線的に噴孔入口に達し、噴孔へ斜め上方から燃料が流入する。このため噴孔内で燃料を片側に押し付ける作用が弱く、燃料の液膜化とそれによる噴射燃料の微粒化が不十分だった。
また、特許文献2では、噴孔上部の燃料通路の高さが噴孔プレートと案内プレートの円錐部との隙間で形成されている。このため案内プレートと噴孔プレートとの位置ズレによって噴孔上部の通路高さが変化し噴孔上部の流路断面積が変化し、燃料噴射弁ごとに流量ばらつきが大きかった。
また、特許文献1では、噴孔入口側に旋回流を発生させて高微粒化噴霧を形成して内燃機関の吸気弁に指向して噴射しているが、噴霧の拡散を抑制するため高微粒化噴霧を牽引する旋回のかからない噴霧を追加しており、これによる微粒化の悪化が懸念された。
また、上述した従来の特許文献3に示された燃料噴射弁では、この燃料噴射弁を燃焼室に近接して配置した場合に問題がある。すなわち、噴孔プレートの下流側表面は燃焼室から吹き返される高温ガスにさらされるが、噴孔付近が外周部よりくぼんでいるため表面積が大きく高温ガスからの受熱が増加する。また、噴孔付近が外周部より薄肉で熱容量が小さく、さらに周辺部への熱伝導性も低い。これらの原因による噴孔の高温化により、噴孔内の残留ガソリンが噴孔内面に固着して微粒化の悪化が懸念される。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、燃料の圧力損失、減速などの流体的なロスを減らし、さらに噴孔内での液膜化を促進し、噴射燃料の微粒化を促進することができる燃料噴射弁を提供することを目的としている。
また、この発明の他の目的は、部品の位置ばらつきによる性能ばらつきへの影響を減らし、噴射燃料の流量のばらつきを小さくすることができる燃料噴射弁を提供することを目的としている。
また、この発明の他の目的は、微粒化の良好なスワール噴霧形状をコントロールし、吸気弁または吸気管の内壁への燃料付着を低減し、燃費を向上または排出されるハイドロカーボンを低減することができる燃料噴射弁を提供することを目的としている。
また、この発明の他の目的は、噴孔の高温化を抑制し、噴射燃料の微粒化の悪化を抑制することができる燃料噴射弁を提供することを目的としている。
この発明に係わる燃料噴射弁は、弁本体の先端部分に設けられ、弁座面を有する弁座と、前記弁座の弁座面のシート部で離接して燃料通路を開閉する弁体と、前記弁本体の先端部分で前記弁座の下流側に配置され、燃料を外部に噴射する複数の噴孔を有する噴孔プレートとを備えた燃料噴射弁において、前記弁座の内部で前記噴孔プレートの上面に取り付けられ、前記噴孔プレートとの間に径方向通路を形成するとともに前記弁座との間に環状通路を形成し、前記シート部からの燃料流が直線的に前記噴孔に流入しないように前記噴孔を覆う覆体部を設けたカバープレートとを備え、前記弁座面の延長線が前記カバープレートの上面と交わらないようにするとともに、前記シート部からの前記燃料は前記環状通路に流入し前記環状通路から前記径方向通路に流入し前記径方向通路を通って前記噴孔プレートの前記噴孔に供給されるものである。
また、この発明に係わる燃料噴射弁は、弁本体の先端部分に設けられ、弁座面を有する弁座と、前記弁座の弁座面のシート部で離接して燃料通路を開閉する弁体と、前記弁本体の先端部分で前記弁座の下流側に配置され、燃料を外部に噴射する複数の噴孔を有する噴孔プレートと、前記噴孔プレートは前記噴孔位置から半径方向外側に向けて実質的な厚みの増加に伴う形状変化を有するものにおいて、前記噴孔プレートの上面に前記噴孔プレー
トの熱を逃がす放熱プレートを設けたものである。
この発明に係わる燃料噴射弁は、燃料の圧力損失、減速などの流体的なロスを減らし、さらに噴孔内での液膜化を促進し、噴射燃料の微粒化を促進することができる燃料噴射弁を得ることができる。
また、この発明に係わる燃料噴射弁は、噴孔の高温化を抑制し、噴射燃料の微粒化の悪化を抑制することができる燃料噴射弁を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の先端部を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の図2の矢視I−Iにおける噴孔プレートを示す平面図である。 この発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の先端部を示す拡大断面図である。 この発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の噴射部を示す拡大断面図である。 この発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の噴射部を示す拡大断面図である。 この発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の噴射部を示す拡大断面図である。
この発明の実施の形態2に係わる燃料噴射弁の先端部を示す拡大断面図である。 この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁の先端部を示す拡大断面図である。 この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁の図9の矢視II−IIにおける噴孔プレートを示す平面図である。 この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁における図10の噴射部の要部拡大図である。
この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁の噴霧特性を説明する特性図である。 この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁から噴射される噴霧状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁の図13の矢視A−A線における噴霧量分布を示す分布図である。
この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁を搭載した燃料噴射システムを示す構成図である。 この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁を搭載した燃料噴射システムを示す要部構成図である。 この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁をスロットルボディに搭載した構成図である。 この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁をスロットルボディに搭載した他の構成図である。
この発明の実施の形態4に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。 この発明の実施の形態5に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。 この発明の実施の形態6に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。 この発明の実施の形態7に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。 この発明の実施の形態8に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。 この発明の実施の形態9に係わる燃料噴射弁の先端部を示す拡大断面図である。
従来の燃料噴射弁を示す要部断面図である。 従来の燃料噴射弁を示す図25のIII−III線における断面図である。 従来の燃料噴射弁を示す図25のIV−IV線における断面図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1ないし図7に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁を示す断面図である。図2はこの発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の先端部を示す断面図である。図3はこの発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の図2の矢視I−Iにおける噴孔プレートを示す平面図である。図4はこの発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の先端部を示す拡大断面図である。図5はこの発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の噴射部を示す拡大断面図である。図6はこの発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の噴射部を示す拡大断面図である。図7はこの発明の実施の形態1に係わる燃料噴射弁の噴射部を示す拡大断面図である。
これら各図において、燃料噴射弁1は図示しない内燃機関の吸気管に取り付けられ、上部から加圧燃料が供給されている。燃料噴射弁1の下部先端は内燃機関の吸気通路内に臨んでおり、下方に向けて燃料を噴射する。
電磁力を発生するソレノイド装置2は、磁気回路のヨーク部分をなすハウジング3、固定鉄心をなすコア4、コイル5、可動鉄心であるアマチュア6で構成される。
弁装置7は、主に弁本体9の内部にあって、燃料噴射弁1の先端部分に設けられた弁座10と、弁座10の下流側に設けられた噴孔プレート11と、弁座10の内部で噴孔プレート11の上流に設けられたカバープレート18と、弁本体9と弁座10の内面に外周が接する弁体8と、弁体8の上流に設けられた圧縮バネ14とで構成されている。
弁体8は、中空のロッド8aの上流側にアマチュア6が設けられており、下流側にボール13が設けられている。
弁本体9はコア4の先端外径部に圧入、溶接されている。アマチュア6の内面にはロッド8aが圧入、溶接されている。ロッド8aの下流側にはボール13が溶接されており、ボール13には燃料噴射弁1の中心軸Yに平行な面取り部13aが設けられている。
燃料噴射弁1の先端には、噴孔プレート11が弁座10の先端面及び弁本体9の内面に溶接されている。噴孔プレート11には板厚方向に貫通する複数の噴孔11aが開口している。
コイル5への通電がない状態では、弁体8はロッド8aを介して圧縮バネ14に下方に押し付けられており、ボール面13cが弁座面10aのシート部R1で接触しており、燃料流路が閉じた状態となっている。
コイル5の通電によりアマチュア6に一体化された弁体8が上方向へ移動を開始すると、弁座面10aからボール面13cが離れ、燃料流路が形成される。アマチュア6の上面6aがコア4に当接すると、弁体8は全開のストローク状態となる。
この実施形態1の特徴とする噴孔プレート11とカバープレート18及び弁座10、ボール13の詳細な位置、構造につき、図2および図4、図5に基づいて詳細に説明する。
図3は図2の矢視I−Iにおける噴孔プレート11の平面図である。噴孔プレート11には、燃料噴射弁1の中心軸Yに対して下流に向けて外側に向かう10個の噴孔11aが円環状に配置されている。噴孔11aは内燃機関の吸気弁を指向して図3の左右の2方向に向かう噴孔群に分かれている(2スプレー)。
精密プレスによって製造されるカバープレート18は、寸法精度が高く、噴孔プレート11の外周に対してカバープレート18の外周面18eがほぼ同軸となるよう精度よく位置決めされ、噴孔プレート11の上面11bに溶接される。
その後、噴孔プレート11が燃料噴射弁1に組み付けられ、カバープレート18は弁座面10aより内径側でボール13の下流側に配置される。カバープレート18の外周面18eと弁座10の内周面との間には燃料が通過する環状通路Cが形成されている。
カバープレート18の上面18aとボール13の下面13bとの間には、偏平な隙間通路Aが形成されている。カバープレート18は外周側に覆体部18bを有し、覆体部18bの下面18cは噴孔プレート11の上面11bと所定の隙間を持って平行に対面して、環状の径方向通路Bを形成している。
噴孔11aは径方向通路Bの入口から噴孔径Dと同一の距離で、径方向通路Bの終端面18dから噴孔径Dの1/2の距離に開口している。
次に動作について説明する。図示は省略した内燃機関の制御装置より燃料噴射弁1の駆動回路に動作信号が送られると、燃料噴射弁1のコイル5に電流が通電され、アマチュア6はコア4側へ吸引され、アマチュア6と一体構造である弁体8のボール面13cが弁座面10aから離れて両者に間隙が形成され、燃料噴射が開始される。
次に内燃機関の制御装置より燃料噴射弁1の駆動回路に動作の停止信号が送られると、コイル5への通電が停止し、弁体8は圧縮バネ14によって弁座10側に押され、ボール面13cと弁座面10aとは閉じ状態となり、燃料噴射が終了する。
弁体8の開弁時において、燃料はボール13の面取り部13aと弁座10の内面との間の中心軸Yに平行な通路から、ボール面13cと弁座面10aの間を下流へ向かいシート部R1に至る。
シート部R1の上流では燃料が燃料噴射弁1の中心軸Yに平行に流れるため、シート部R1を通過した後において燃料は慣性により弁座面10aに沿う流れが主流となり、弁座面10aの下流端の点P1に達する。P1で弁座面10aは弁座10の内周へと屈曲するため、燃料は点P1からはく離する。弁座面10aの延長線はカバープレート18の側面と点P2で交わっており、点P1からはく離した燃料は点P2に向かい環状通路Cを通過
して、径方向に大幅な進路変更を伴わずに径方向通路Bに流入する。
上記によりシート部R1を通過する燃料の主流は環状通路Cに流入するため、隙間通路Aへの流入は抑制される。
シート部R1と噴孔11aの入口の点R2を直線で結んだ線は、カバープレート18の覆体部18bに交叉しており、覆体部18bはシート部R1から噴孔11a入口へ燃料の直線的な流入をさえぎっている。このため噴孔11aに流入する燃料の少なくとも一部は、径方向通路Bに沿う流れとなる。
終端面18dは噴孔11aに近接して配置され、燃料噴射弁1の中心軸Y側から噴孔11aに流入する戻り流れの流路を閉塞させ、戻り流れの速度を低下させる。戻り流れの抑制によりシート部R1側から噴孔11aに流入する正面流れの速度が相対的に強められる。
正面流れの少なくとも一部が径方向通路Bに沿って進行した後に噴孔11a内で大幅な方向変化を強制されること、正面流れが高速であることにより、噴孔11a断面において燃料は燃料噴射弁1の中心軸Y側の噴孔11a内面に強く押し付けられる。
図5の噴孔11a断面において燃料とエアの方向を矢印で表す。噴孔11a入口で、低速な戻り流れは噴孔11a内面に沿う流れαを形成し高速な正面流れは燃料を押し付ける流れβを形成する。エアは噴孔11a出口から噴孔11a入口付近に導入され燃料流れβに作用して、点Qを起点とした燃料のはく離を生成する。噴孔11a内を進行するにともない燃料流れは押し付けられ、燃料液膜1aは噴孔11a内面の円周方向に広がりつつ噴孔11a内面に沿う方向に変化していく。径方向通路高さgに対して噴孔長さLが適切であると、噴孔11a内で薄い燃料液膜1aの状態まで押し付けられる。そして噴射された燃料液膜1aは、所定の距離を経て分裂を開始し微粒化された液滴が生成される。
図6に示すように、径方向通路高さgに対して噴孔長さLが比較的長いと、噴孔11a内で燃料流れの押し付けが完了して噴孔11a内面に沿った燃料液膜1aが長くなるが、この部分が長いと燃料の乱れが増加してエアの導入量が減少する。エアの導入量の減少に伴い噴孔11a入口での燃料はく離が小さくなり噴孔11a内での燃料液膜1aが厚くなるため、噴射燃料の微粒化が悪化する。また噴孔長さLが長いと、せっかく形成された燃料液膜1aが、表面張力のために太く戻ってしまうこともある。図7に示すように、径方向通路高さgに対して噴孔長さLが比較的短いと、噴孔11a内での燃料流が十分に押し付けられない状態で噴射され燃料液膜1aが形成されないので、噴射燃料の微粒化が悪化する。
実験結果によれば、噴孔径をD、噴孔長さをLとしてL/Dが0.5から2の範囲にお
いて、L<1.5×gかつL>0.5×gとすれば、噴射燃料の微粒化を比較的良好な範囲とすることができる。なお、径方向通路高さgはボール13の位置とは無関係に設定されており、開閉弁の途中でもLとgの関係は一定であり噴射期間を通してLとgを適正値とすることができるので、噴射燃料の微粒化に有利である。
コイル5に通電が開始され、ボール13が開弁し始めた噴射初期の状態では、ボール13と弁座面10aとの隙間が小さく、この部分での圧力損失が大きいので、噴孔11aの上流にかかる燃料圧力は低く、微粒化の不十分な燃料が噴射される。
ボール面13cの下流側には円錐状の下面13bが形成され、円錐状の下面13dの位置をカバープレート18の上面18aに極力近接するように設定し、噴射初期においても
隙間通路Aの隙間を極力小さくしている。
噴孔11aの上部位置において、カバープレート18の上面18aと円錐状の下面13dとの隙間をh、径方向通路高さをgとしたときに、噴射初期の状態でh<gとなるよう隙間を小さく設定している。これにより、噴射初期で、シート部R1から流出した燃料の隙間通路Aへの流入を抑制し、シート部R1から環状通路Cを経由して径方向通路Bへ流入する燃料割合を増加させている。
カバープレート18は噴孔プレート11の中央に位置決めされるが、工作上の限界により若干の位置ずれが発生することがある。このため、噴孔11aと径方向通路上面のカバープレート18の覆体部18bの下面18cとの相対位置はばらつくが、径方向通路上面のカバープレート18の覆体部18bの下面18cが噴孔プレート11の上面11bに平行に形成されており、カバープレート18の位置ばらつきが発生しても噴孔11a上部の通路高さは一定となる。
噴孔11a上部の高さhと噴孔11aの円周長さjの積によって定義される噴孔11a上部の流路断面積Sは流量に影響するが、カバープレート18の位置ばらつきにかかわらずSが一定なため、流量ばらつきは無視できるレベルとなる。
カバープレート18の位置ばらつきにより、噴孔11aと終端面18dとの距離が長くなると戻り流れの流路が開放されるが、カバープレート18の外周面18eで決まる隙間通路Aの入口から噴孔11aまでの距離が短くなり正面流れの経路が短縮されるため、戻り流れの促進と正面流れの促進の同時発生により、結局戻り流れの急増は抑制される。
噴孔11aとカバープレート18の外周面18eとの距離と、噴孔11aと終端面18dとの距離をそれぞれ可能な限り最短に設定することにより、噴孔11aへの高速な正面流れと低速な戻り流れを実現し噴射燃料が微粒化されるので、径方向通路Bの容積V1は比較的小さく設定できる。
シート部R1からカバープレート18の外周面18eまでの通路は、流路の迂回が少なく最低限の流路断面積が確保されていれば噴射燃料の微粒化に影響はなく、シート部R1からカバープレート18の外周面18eまでの容積V2は比較的小さく設定できる。V1とV2の合計よりなるシート部R1から噴孔11aまでの容積Vを比較的小さく設定できるため、閉弁後排出される容積V部分の残留燃料による二次噴射の問題が軽減される。もちろん、噴孔数が10個に限定されることはない。噴霧パターンも2スプレーに限定されることはない。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係わる燃料噴射弁を図8に基づいて説明する。図8はこの発明の実施の形態2に係わる燃料噴射弁の先端部を示す拡大断面図であり、噴孔プレート11とカバープレート18及び弁座10、ボール13の詳細な位置、構造につき、詳細に説明する。
シート部R1から連続するボール面13cは、先端部の下面13bと屈曲点P3で接続している。シート部R1から流出してボール面13cに沿う燃料は、屈曲点P3ではく離する。屈曲点P3におけるボール面13cの接線の延長線はカバープレート18の側面と点P4で交わっており、点P3からはく離した燃料は点P4に向かい環状通路Cを経由して径方向通路Bに流入する。
上記によりシート部R1を通過する燃料のほとんどは環状通路Cに流入するため、隙間
通路Aへの流入は大幅に抑制される。
弁体8の閉弁時において、ボール13の先端部の下面13bはカバープレート18の上面18aと平行に形成されており、開弁初期においてもほぼ平行な状態となっている。このため、隙間通路A全体の隙間が小さくなっており、燃料の流入が抑制されている。なおボール13の先端部の下面13bが例えば2deg以下のテーパー形状となっている場合でも、平行な場合と同様な効果を奏する。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁を図9ないし図11に基づいて説明する。図9はこの発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁の先端部を示す拡大断面図である。図10はこの発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁の図9の矢視II−IIにおける噴孔プレートを示す平面図である。図11はこの発明の実施の形態3に係わる燃料噴射弁における図10の噴射部の要部拡大図である。この実施形態3の特徴とする噴孔プレート11とカバープレート18及び弁座10、ボール13の詳細な位置、構造につき説明する。
噴孔プレート11には、燃料噴射弁1の中心軸Yに対して下流に向けて外側に向かう4個の噴孔11aが配置されている。噴孔11aは内燃機関の吸気弁を指向して図10の左右の2方向に向かう噴孔群に分かれている(2スプレー)。
噴孔プレート11の上面11bには溝が形成され、溝は各噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4の周囲に一部分が円弧形状を有する旋回室11cと、旋回室11cにつながる細長い助走通路11dに分けられる。旋回室11cの内面11eは助走通路11dの片側の側面11fと接線方向に接続している。旋回室11cは噴孔の周りに助走通路11dの開口部を除く約270度の円弧形状を有している。
旋回室11cと助走通路11dの接続位置において、助走通路11dの通路幅の中心線Wは旋回室11cの中心に対してオフセットEを持っている。助走通路11dの燃料入口部から旋回室11cとの接続位置までの長さX2は、助走通路11dの幅X1より長く設定されている。助走通路11dの通路幅の中心線Wは、燃料入口部におけるカバープレート18中心からの放射線方向に対して角度θを持っている。
図10において噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4、旋回室11cおよび助走通路11dは噴孔プレート11の中心に対して上下および左右が対称に形成されている。
円盤形状のカバープレート18がボール13の下流側で、噴孔プレート11の上面11bに溶接されて配置される。カバープレート18は弁座面10aより内径側で燃料噴射弁1の中央に配置され、カバープレート18の外周面18eと弁座10の内周面との間には環状通路Cが形成されている。カバープレート18の上面18aとボール13の下面13bとの間には、平行な隙間通路Aが形成されている。カバープレート18の覆体部18bの下面18cと噴孔プレート11の溝底面11gとは所定の間隔を持って平行に対面して径方向通路Bを形成している。
弁体8の開弁時において、シート部R1から環状通路Cを通過した燃料は、径方向に大幅な進路変更を伴わずに助走通路11dに侵入する。助走通路11dはX1<X2の細長い通路としているため、助走通路11dの入口でカバープレート18の外周の法線方向からの助走通路11dに侵入した燃料は、助走通路11dの側面11fに沿った流れに強制されて旋回室11cに到る。
旋回室11cの中心に対してオフセットして流入した燃料の一部は、噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4の一部が助走通路11dに露出しているため噴孔入口の助走通路11d側の点dから約45°時計回りに回転した点aからほぼ接線方向で噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4に流入し、残りは旋回室11cの内面11eにガイドされて方向変化し、点aと助走通路11dと反対側の点bの間で旋回室11cの内面11eから噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4に流入する。点bよりさらに時計回りにわずかに回転した点cと点dの間で噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4に流入する燃料は、助走通路11dからきた燃料が180
度以上方向変化しているため流速が低下している。
また、この間では噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4と旋回室11cの内面11eとの間隔が一定であり噴孔周りの流路が縮小しないため、ほとんどの燃料が噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4に流入しないで助走通路11d側に還流する。実質的には点aから点bの間で噴孔11a−1,11a−2,11a−3,11a−4に流入した燃料が主流となり、噴孔内面で部分的に液膜を形成する。
遠心力で噴孔内面に押し付けられて螺旋状に運動する燃料は、噴孔入口の点aから点bに対して所定角度回転した位置で噴孔出口に達する。旋回エネルギーが同じであれば回転角度は噴孔の長さに依存するため、噴孔部の噴孔プレート11の厚さを変えることにより噴孔出口の燃料が噴射される位置を調整できる。噴射された燃料は、例えば断面が約1/2円の三日月状の液膜が、下流に向かって部分的に円錐状に広がるスワール噴霧を形成し、所定の距離を進み薄膜となって液膜分裂を開始し、微粒化された液滴が生成される。
ところで、上述した実施形態1または実施の形態2における非スワール噴霧と、スワール噴霧の液膜厚さを図12に示す。実験結果から非スワール噴霧の場合は噴孔径φ0.2の1/2の液膜厚さt1=0.1となっており、噴射後も液膜の広がりがなく、液膜厚さt1で液膜の分裂が開始される。スワール噴霧の場合は、噴孔内面の1/2の範囲に液膜が形成され、はさみ角10°の部分的円錐形で噴射されると、仮に最短で噴孔出口から1mm以下で液膜が分裂するとしても、その位置では液膜厚さt3が0.06と非スワール噴霧の液膜厚さt1の約60%となり、微粒化度合いが改善される。種々の噴霧の液膜分裂を観察した結果、燃料圧力0.3MPaのポート噴射では、最短で噴孔出口から5mm程度のところで液膜分裂が始まるようであり、スワール噴霧による微粒化効果が大きいことがわかっている。
図9の燃料噴射弁1の噴孔下流における燃料噴射弁1の中心軸Yに垂直な断面の右側の噴孔11a―1と11a―4から噴射される燃料の分布形状例を図13および図14に示
す。図14(1)から図14(3)の例は、噴孔ごとの噴孔長さをそれぞれ変えて噴孔内での液膜の回転角度を変えることにより、噴孔下流における噴霧断面形状を異なるものとしている。
燃料は、噴孔11a−1と11a−4からそれぞれ三日月状の噴霧断面形状で噴射され、図14(1)では両者が中心点のほぼ反対側に形成されて中空円状に、図14(2)では両者がほぼ重なり三日月状に、図14(3)では両者が若干の重なり部を有したC形状の噴霧断面形状が形成される。公知のスワール噴霧は前記の噴霧断面形状が全周につながった円形となる中空の円錐噴霧であり、噴霧の拡散抑制や噴霧形状調整ができなかった。実施形態3では各噴孔からの三日月状の噴霧の組み合わせにより噴霧形状がコントロール
され、内燃機関の様々な要求への柔軟な対応が可能である。
ところで、上述した実施の形態3の燃料噴射弁1を搭載した吸気ポート燃料噴射システムを図15に示す。当該燃料噴射システムは、内燃機関に装着された各種センサ30と、
各種センサ30からのセンサ信号に基づきプログラムに従って演算を行う制御装置31と、制御装置31に接続し噴射信号によって燃料噴射弁1に通電する駆動回路32と、内燃機関の吸気管またはシリンダヘッドに搭載され2つの吸気弁22を臨む上述した実施の形態3の燃料噴射弁1で構成される。
制御装置31より、各種センサ30からの入力情報に基づき運転状態に応じて駆動信号が発信されると、駆動回路32により燃料噴射弁1に電流が通電され噴射が開始される。燃料噴射弁1は、吸気通路内壁21に比べて高温化される吸気弁22をねらって噴射できる位置および方向に取り付けられて、吸気弁22の閉弁中に噴射燃料が吸気弁22に衝突するよう通電制御される。
例えば図14―(2)の左右噴霧の中央寄りが円弧形状となる噴霧断面を有する上述した実施の形態3の燃料噴射弁1を用いて、図16に示す2つの吸気弁22間の中央寄りを指向して噴射することにより、吸気弁表面22aの燃焼室の中央に近く高温化した部分に燃料を付着させて、より気化を促進させることができる。
なお、上述した実施の形態3の燃料噴射弁1の噴霧形態および燃圧設定、制御方法は前記に限らず、例えば吸気弁22の開弁時に最も吸気弁22に衝突しないように噴射することなどが可能である。これらにより、排出されるハイドロカーボンを低減したり、燃焼性向上による燃費向上を計ることができる。
つまり、従来は、多噴孔噴霧からなる集合噴霧で吸気弁を指向する2方向の噴霧を形成していたが、各噴孔からの噴射燃料とその集合する過程でのコアンダ効果(引き寄せ効果)により集合噴霧はほぼ円形に近い断面形状となり、円錐に近い噴射燃料分布となっていた。
したがって、このような噴霧の円錐噴霧角や噴射方向を適合させて排出ガスや燃費の最適化を計っていたに過ぎず、最適な断面形状の噴霧を実現していたわけではなかった。また、燃圧を切替あるいは可変化することにより噴霧形態を微妙に変化させることが可能となるので、燃圧変更による噴射率変化とあわせて混合気形成の状態を運転条件に適するように変化させることが可能となる。
また、上述した実施の形態3の燃料噴射弁1をスロットルボディ24に搭載した構成図を図17に示す。燃料噴射弁1はスロットルボディ24のバタフライ弁24aの下流側の位置に、吸気流の下流に向かって燃料噴射するように先端部が下流側に傾斜して取り付けられる。この実施の形態では、スワール噴霧の特性を生かした微粒化された比較的貫徹力の低い噴霧を噴射するため、吸気1弁あるいは2弁などの種々の内燃機関において、噴射
方向が吸気弁をねらえない場合でも吸気管内壁面への噴霧燃料付着量を低減できる。
また、それにより、吸気管内壁面に生じる燃料流を抑制できるので、吸気弁への噴霧燃料付着も低減することが可能である。その結果、シリンダ内へ流入する微粒化混合気の燃料割合が増加して燃費が向上するだけではなく、排出されるハイドロカーボンを低減することができる。
なお、燃料噴射弁1は、スロットルボディ24とは別に取り付けた場合でも前記の効果を得ることが可能である。
また、上述した実施の形態3の燃料噴射弁1をスロットルボディ24に搭載した別の構成図を図18に示す。燃料噴射弁1はスロットルボディ24のバタフライ弁24aの下流側の位置に、吸気流の上流に向かって燃料噴射するように先端部が上流側に傾斜して取り
付けられている。この実施形態では、スワール噴霧の特性を生かした微粒化された比較的貫徹力の低い噴霧を一旦上流に噴射して混合気が形成される時間的空間的余裕を持たせることによって、極端に吸気ポートが短い場合などで下流方向に噴射すると気筒間の燃料量分配がアンバランスになったり、吸気ポートへの噴霧付着割合が増えたりして、結果的に混合気形成状態が悪くなり内燃機関の性能が向上しないといった状態を改善することが可能である。
更に、上述した実施の形態3のスワール噴霧の特性を生かした、左右の噴射燃料のはさみ角の大きな噴霧が可能であることから、吸気管集合部に燃料噴射弁を一本だけ配置して、各気筒の吸気弁付近への広角な噴霧を行うことが可能である。いわゆる汎用エンジン、小型エンジンにおいては、現在キャブレタから燃料噴射システムへの転換が進んでいるが、大幅なコストアップは難しいため、前記のようなシステムは製品のコストパーフォーマンスを向上されることになり、非常に有用である。なお燃料噴射弁1は、スロットルボディ24とは別に取り付けた場合でも前記の効果を得ることが可能である。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係わる燃料噴射弁を図19に基づいて説明する。図19はこの発明の実施の形態4に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。
噴孔11a−3,11a−4は噴孔中心に対する助走通路11dの通路幅の中心線のオフセットE2が、噴孔11a−1,11a−2のオフセットE1より小さく設定されている。燃料密度ρ、流量Q、噴孔入口の平均流速U、噴孔半径D/2とした時の単位時間あたりに噴孔に流入する燃料の角運動量は、ρ×Q×U×(D/2)で表される。
オフセットが小さく設定された噴孔11a−3,11a−4は噴孔11a−1,11a−2に対して、噴孔入口の平均流速Uが低く角運動量が小さいため、噴孔内で燃料流速の旋回成分が弱く噴孔軸方向成分が強くなる。このため噴孔ごとの噴射燃料の広がり角や噴射方向、貫徹力を変化させることができ、噴霧形状のコントロールがよりフレキシブルとなる。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係わる燃料噴射弁を図20に基づいて説明する。図20はこの発明の実施の形態5に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。
噴孔11a−3,11a−4は旋回室に対する助走通路のオフセットE4を噴孔11a−1,11a−2のオフセットE3より小さくしている。これにより上述した実施の形態4と同様に噴孔ごとに噴射燃料の広がり角や噴射方向、貫徹力を変化させることができる。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係わる燃料噴射弁を図21に基づいて説明する。図21はこの発明の実施の形態6に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。
噴孔11a−3,11a−4は噴孔に対する旋回室のオフセットE6を噴孔11a−1,11a−2のオフセットE5より小さくしている。これにより上述した実施の形態4と同様に噴孔ごとに噴射燃料の広がり角や噴射方向、貫徹力を変化させることができる。
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係わる燃料噴射弁を図22に基づいて説明する。図22はこの発明の実施の形態7に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。
助走通路長さX2を助走通路幅X1より短くして、カバープレート18の法線方向からの助走通路11d内に侵入した燃料は助走通路11dの側面11fに沿った流れに強制される前に旋回室11cに導入する。これにより燃料は噴孔入口の中心に対して助走通路11d内の主流方向がオフセットして旋回室11cに流入し、上述した実施の形態3と同様の作用により噴射燃料が微粒化される。
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係わる燃料噴射弁を図23に基づいて説明する。図23はこの発明の実施の形態8に係わる燃料噴射弁における噴孔プレートの平面図である。
噴孔11a−3,11a−4は、助走通路11dの中心線と助走通路11d入口のカバープレート18の中心点からの放射線とのなす角θ34を噴孔11a−1,11a−2のなす角θ12より小さくして、噴孔入口の中心に対する助走通路11d内の主流方向のオフセットを小さくしている。これにより上述した実施の形態4と同様に噴孔ごとに噴射燃料の広がり角や噴射方向、貫徹力を変化させることができる。
実施の形態9.
この発明の実施の形態9に係わる燃料噴射弁を図24に基づいて説明する。図24はこの発明の実施の形態9に係わる燃料噴射弁の先端部を示す拡大断面図であり、この実施の形態9の特徴とする噴孔プレート11と放熱プレート19及び弁座10、ボール13の詳細な位置、構造につき説明する。
噴孔プレート11には、燃料噴射弁1の中心軸Yに対して下流に向けて外側に向かう複数の噴孔11aが配置されている。噴孔11aは内燃機関の吸気弁を指向して左右の2方向に向かう噴孔群に分かれている。噴孔11aの径方向外側には噴孔プレート11の厚さの変化部11cが形成され、噴孔プレート11の外周側で厚くなっている。
噴孔プレート11の厚さの変化部11cと噴孔11aとの距離D1を、噴孔11aの厚さの変化部11cと噴孔プレート11と弁座10の溶接部との距離D2より短くして、噴孔プレート11は極力噴孔11a周辺部のみ薄くして噴孔プレート11の強度に余裕を持たせるとともに噴孔プレート11による弁座10への放熱にも有利にしている。噴孔11aの内側で噴孔プレート11の上面11bには放熱プレート19が噴孔プレート11に接触して配置され、放熱プレート19の周囲には隙間通路A、径方向通路B、環状通路Cが形成されている。
比較的噴孔径が小さい場合に、噴孔長さも短く対応させるため噴孔プレート11を薄くする必要があるが、燃料に対する耐圧性を確保するため噴孔プレート11の外周側は厚くする必要がある。
一方、排気弁と吸気弁のオーバーラップが大きい条件では高温の排気ガスが吸気通路内に侵入し噴孔プレート11の表面も高温ガスにさらされるが、噴孔プレート11が薄く弁座10の接触部から離れている噴孔部およびその内部は高温化しやすい。また、噴孔プレート11の厚さの変化部11cによって受熱面積が増加し、高温化しやすい。
この実施の形態9では、噴孔プレート11の上流に配置した放熱プレート19により噴孔プレート11が受けた熱を放熱させ、噴孔プレート11の温度上昇を抑制している。また、放熱プレート19の表面の一部は燃料流路を形成しているため、より放熱性が高まる。
噴孔プレート11の放熱を促進することにより、噴孔部の温度上昇が抑制され、高温化による燃料の固着にともなう噴孔11a内の燃料流れの変化と、それによる燃料流量変化または噴霧の変化が改善される。
この発明は、噴射燃料の微粒化を促進することができるとともに噴孔の高温化を抑制し、噴射燃料の微粒化の悪化を抑制する燃料噴射弁の実現に好適である。
1 燃料噴射弁
8 弁体
10 弁座
10a 弁座面
11 噴孔プレート
11a 噴孔
11b 上面
11c 旋回室
11d 助走通路
18 カバープレート
18a 上面
19 放熱プレート
B 径方向通路
R1 シート部

Claims (16)

  1. 弁本体の先端部分に設けられ、弁座面を有する弁座と、前記弁座の弁座面のシート部で離接して燃料通路を開閉する弁体と、前記弁本体の先端部分で前記弁座の下流側に配置され、燃料を外部に噴射する複数の噴孔を有する噴孔プレートと、前記弁座の内部で前記噴孔プレートの上面に取り付けられ、前記噴孔プレートとの間に径方向通路を形成するとともに前記弁座との間に環状通路を形成し、前記シート部からの燃料流が直線的に前記噴孔に流入しないように前記噴孔を覆う覆体部を設けたカバープレートとを備え、前記弁座面の延長線が前記カバープレートの上面と交わらないようにするとともに、前記シート部からの前記燃料は前記環状通路に流入し前記環状通路から前記径方向通路に流入し前記径方向通路を通って前記噴孔プレートの前記噴孔に供給されることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記弁体の前記シート部から連続する面の下流端に屈曲部を形成し、燃料噴射が開始された開弁初期に、前記シート部から連続する面の延長線または前記屈曲部における前記シート部から連続する面の接線が前記カバープレートの上面と交わらないことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記各噴孔位置における前記弁体と前記カバープレートとの隙間高さをhおよび前記径方向通路の高さをgとしたときに、燃料噴射が開始された開弁初期にh<gであることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記弁体の先端に前記カバープレートと略平行な面を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  5. 前記噴孔の長さをL、噴孔径をDとしたときに、L/Dが0.5から2の範囲において、少なくとも一つの噴孔において前記噴孔の長さをL、前記径方向通路の高さをgとしたときに、L<1.5×gかつL>0.5×gであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  6. 前記噴孔の位置において前記径方向通路は、前記噴孔プレートの上面と略平行であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  7. 前記各噴孔に向かう各流路は、前記噴孔の周囲に形成されて少なくとも一部分が円弧形状を有する旋回室と前記旋回室に繋がる助走通路とから成り、前記旋回室あるいは前記噴孔入口の略中心に対して、前記旋回室と前記助走通路の繋がり部における前記助走通路の幅の略中心方向がオフセットしていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  8. 少なくとも一つの前記噴孔について、前記噴孔入口と前記助走通路との位置関係を、他の前記噴孔の場合とは異なるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射弁。
  9. 少なくとも一つの前記旋回室について、前記旋回室と前記助走通路との位置関係、あるいは前記旋回室と前記助走通路との繋ぎ目の形状を、他の前記旋回室の場合とは異なるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射弁。
  10. 少なくとも一つの前記噴孔について、前記噴孔入口と前記旋回室との位置関係を、他の前記噴孔の場合とは異なるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射弁。
  11. 前記各噴孔に向かう各流路は、前記噴孔の周囲に形成されて少なくとも一部分が円弧形状を有する前記旋回室と前記旋回室に繋がる前記助走通路とから成り、前記旋回室あるいは前記噴孔入口の略中心に対して、前記助走通路内の流れの主流方向がオフセットしていることを特徴とする請求項に記載の燃料噴射弁。
  12. 少なくとも一つの前記噴孔について、前記噴孔入口に対する前記助走通路内の流れの主流方向を、他の前記噴孔の場合とは異なるようにしたことを特徴とする請求項11に記載の燃料噴射弁。
  13. 少なくとも一つの前記旋回室について、前記旋回室に対する前記助走通路内の流れの主流方向を、他の前記旋回室の場合とは異なるようにしたことを特徴とする請求項11に記載の燃料噴射弁。
  14. 前記各噴孔からの燃料流(噴霧流)の断面形状が、略偏平状あるいは略三日月状となっていることを特徴とする請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  15. 請求項7から請求項14のいずれか1項に記載の燃料噴射弁から噴射される噴霧が、吸気流動における下流方向(吸気弁方向)に噴射するように前記燃料噴射弁を配設したことを特徴とする燃料噴射システム。
  16. 請求項7から請求項14のいずれか1項に記載の燃料噴射弁から噴射される噴霧が、吸気流動における上流方向(吸気弁とは反対側)に噴射するように前記燃料噴射弁を配設したことを特徴とする燃料噴射システム。
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