JP5085095B2 - 高炉鋳床設備 - Google Patents
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Description
また、脱硫は吸熱反応であるため、高炉からの出銑後の最も高温時期である溶銑流路内を流れる過程で脱硫処理することが最も望ましい。
特許文献1は、高炉の傾注樋にて溶銑と精錬剤とを強制的に攪拌し、溶銑中に精錬剤を巻き込ませることによって、溶銑の精錬を行う精錬方法である。
特許文献2は、高炉から出銑された溶銑に脱硫剤を添加することで脱硫処理を行う方法である。この脱硫処理を行う方法では、溶銑樋を流れる溶銑に脱硫剤を添加した後、脱硫剤を添加した溶銑を傾斜壁を介して急速流下(落下)させることで、脱硫を行っている。
特許文献2や特許文献3に示すように、溶銑に脱硫剤を添加し、脱硫剤を添加した溶銑を落下させることで脱硫剤を溶銑中に巻き込ませるという方法では、溶銑に対する攪拌力が十分でない場合があり、反応効率がよくない場合があった。また、特許文献2及び特許
文献3では、溶銑をどの程度落下させるか等の条件が開示されておらず、実際に実施しても、十分な脱硫が得られないのが実情である。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、高炉から出銑された溶銑が流れる溶銑流路と、この溶銑流路内を流れる溶銑に精錬剤を添加する添加装置と、溶銑を攪拌する1基のインペラを有する攪拌装置と、前記攪拌装置で攪拌された後に生じた溶銑上のスラグを外部へ排出する排滓樋とを備えた高炉鋳床設備において、
前記溶銑流路の上流側には溶銑を落下させるための段差部が設けられ、この段差部の下流側に前記インペラが位置するように攪拌装置が設けられ、このインペラの下流側に添加装置が設けられ、この添加装置の下流側に前記排滓樋が設けられており、前記インペラの幅が式(1)を満たすように設定され、前記段差部が式(2)〜式(4)を満たすように設定され、前記添加装置の位置が式(5)を満たすように設定され、前記排滓樋の位置が式(6)を満たすように設定されている点にある。
0<L/D≦1.5 ・・・(2)
H/Z≧1 ・・・(3)
θ≧30 ・・・(4)
0<M/D≦0.8 ・・・(5)
1.2≦R/D≦5 ・・・(6)
ただし、
d:インペラの幅(m)
D:溶銑流路の最大幅(m)
L:段差部からインペラまでの距離(m)
H:段差部の高さ(m)
Z:溶銑の深さ(m)
θ:段差部の勾配(deg)
M:インペラの回転軸中心から添加装置までの距離(m)
R:インペラの回転軸中心から排滓樋までの距離(m)
発明者は、精錬剤を溶銑中に確実に巻き込ませることで、精錬処理の効率を向上させる方法について様々な角度から検証した。
実験の結果、前記インペラの幅が式(1)を満たし、段差部が式(2)〜式(4)を満たし、前記添加装置の位置が式(5)を満たし、前記排滓樋の位置が式(6)を満たすようにすれば、精錬剤を溶銑中に確実に巻き込ませることができ、精錬処理の効率が向上することを見出した。
る1基のインペラを有する攪拌装置と、前記攪拌装置で攪拌された後に生じた溶銑上のスラグを外部へ排出する排滓樋とを備えた高炉鋳床設備において、
前記溶銑流路の上流側には溶銑を落下させるための段差部が設けられ、この段差部の下流側に前記インペラが位置するように攪拌装置が設けられ、このインペラの下流側に添加装置が設けられ、この添加装置の下流側に前記排滓樋が設けられており、前記インペラの幅が式(1a)を満たすように設定され、前記段差部が式(2a)〜式(4a)を満たすように設定され、前記添加装置の位置が式(5a)を満たすように設定され、前記排滓樋の位置が式(6a)を満たすように設定されている点にある。
0<L/D≦1.0 ・・・(2a)
H/Z≧2.2 ・・・(3a)
θ≧45 ・・・(4a)
0<M/D≦0.66 ・・・(5a)
1.2≦R/D≦4.4 ・・・(6a)
ただし、
d:インペラの幅(m)
D:溶銑流路の最大幅(m)
L:段差部からインペラまでの距離(m)
H:段差部の高さ(m)
Z:溶銑の深さ(m)
θ:段差部の勾配(deg)
M:インペラの回転軸中心から添加装置までの距離(m)
R:インペラの回転軸中心から排滓樋までの距離(m)
インペラの幅が式(1a)を満たし、段差部が式(2a)〜式(4a)を満たし、前記添加装置の位置が式(5a)を満たし、前記排滓樋の位置が式(6a)を満たすようにすれば、精錬剤を溶銑中に確実に巻き込ませることができ、精錬処理の効率が向上する。
図1、2に示すように、高炉2の周りには高炉鋳床1が設けられており、この高炉鋳床1は高炉2から出銑された溶銑が流れる出銑樋4を有している。
出銑樋4は、高炉2から出銑した溶銑を、溶銑を入れる溶銑鍋や混銑車等に導く溶銑流路である。図1の左側から右側へ溶銑が流れる。ゆえに、図1の左側を上流、図1の右側を下流と呼ぶ。
出銑樋4の上流側には、第1排滓樋5が分岐形成されており、この第1排滓樋5の分岐点よりも下流側には溶銑上に浮かぶスラグ6が第1排滓樋5に流れるように案内する第1潜り堰7が設けられている。潜り堰とは、矩形状のものであって、下部が出銑樋4の底部から離れ、上部が溶銑から突出している堰のことで、溶銑上に浮かぶスラグを堰止め、溶銑自体を下側から通すものである。
段差部8の下流側には回転によって溶銑を攪拌するインペラ10を有する攪拌装置11が配置され、このインペラ10の下流側には精錬剤を添加する添加装置12が配置されている。
図5に示すように、出銑樋4は、底部4aや底部4bを構成する底壁20と、この底壁20から立ち上がる側壁21とを有し、側壁21が底壁20の両端部から上方にいくにしたがって徐々に外側に移行するような断面台形状となっている。底壁20及び側壁21は、不定形の耐火物を流し込むことで形成されている。
[攪拌装置について]
図13、14に示すように、攪拌装置11は、溶銑を攪拌するインペラ10と、このインペラ10を回転駆動させる駆動部30と、インペラ10及び駆動部30を昇降させる昇降部31とを備えている。
駆動部30は、インペラ10を回転させるための駆動モータ32と、駆動モータ32から下側に突出した出力軸である第1回転軸33と、この第1回転軸33の先端に取り付けられた第1歯車34と、この第1歯車34に噛合する第2歯車35と、この第2歯車35が上端に設けられ且つ軸芯が上下に向く第2回転軸36とを有している。これら駆動モータ32、第1回転軸33及び第2回転軸36は、支持体37に配備されている。
昇降部31は、一対のシリンダ(ロック付きエアシリンダ)40を有しており、このシリンダ40はその軸芯を上下に向けて支持体37の両側に配置されている。
シリンダ40のシリンダ本体41aは踏み板42上に固定されたフレーム41に取り付けられている。シリンダ40のロッド40bの先端は支持体37に接続されており、ロッド40bの伸縮によって、支持体37を昇降できるようになっている。
インペラ10の回転軸15は、出銑樋4の上方に設けられて出銑樋4を覆う溶銑樋カバー43を貫通すると共に、溶銑樋カバー43の上方に設けられた踏み板42を貫通している。回転軸15の上端は、接続具39を介して駆動部30の第2回転軸36に接続されている。
インペラ10の各羽根16は回転軸15の先端から径外方向に突出した略矩形状のものである。インペラ10の羽根16の枚数は4枚とされている。各羽根16はその枚数に対応して回転軸15に対し均等な角度(例えば、90deg)の間隔で回転軸15に取り付け
られている。
0.3≦d/D<1 ・・・(1)
ただし、
d:インペラの幅(m)
D:溶銑流路の最大幅(m)
図3〜5に示すように、インペラの幅dは、互いに対向しているそれぞれの羽根16の幅(回転軸15から突出している長さ)と回転軸15の直径とを加算したものである(d=d1+d2+d1)。即ち、インペラの幅dが式(1)を満たすように、羽根16の幅及び回転軸15の直径が設定されている。
なお、出銑樋4において、溶銑流路の最大幅Dを採用する場所は、インペラ10を浸漬した場所(攪拌場所)の近傍であることが好ましい。
また、攪拌装置11の昇降部31で支持体37を昇降させることで、インペラ10の羽根16を溶銑に浸す浸し姿勢と、インペラ10の羽根16を溶銑に浸さない退避姿勢とに姿勢変更することができる。
脱珪処理及び脱硫処理を行う際は、昇降部31によって支持体37を下降させ、インペラ10の羽根16を浸す姿勢にした後、駆動モータ32を駆動して溶銑に浸した羽根16を回転させる。
段差部8が式(2)〜式(4)を満たすように、当該段差部8の位置、段差部8の高さH及び勾配(傾斜角度)が設定されている。
0<L/D≦1.5 ・・・(2)
H/Z≧1 ・・・(3)
θ≧30 ・・・(4)
ただし、
L:段差部からインペラまでの距離(m)
H:段差部の高さ(m)
Z:溶銑の深さ(m)
θ:段差部の勾配(deg)
図3、4に示すように、段差部からインペラまでの距離Lは、溶銑と段差部8の傾斜部8cとが接触している接触部分Tから羽根16を回転させたときの軌道Kまでの水平距離である。言い換えれば、段差部からインペラまでの距離Lは、溶銑と段差部8の傾斜部8cとが接触している接触部分から羽根16の先端部までの水平距離である。
[添加装置について]
図13に示すように、添加装置12は、精錬剤を貯蔵するホッパー45と、ホッパー45の下部から排出された精錬剤を細かく切り出す切り出し部46と、切り出された精錬剤を搬送するスクリューコンベア47と、スクリューコンベア47の精錬剤の送り出し側(先端部ということがある)に設けられた剤投入ランス17とを有している。
剤投入ランス17は、その軸芯が上下に向けられ、溶銑樋カバー43及び踏み板42を貫通している。剤投入ランス17の上端はスクリューコンベア47の先端に接続され、剤投入ランス17の下端は、溶銑の上側に達している。
0<M/D≦0.8 ・・・(5)
ただし、
M:インペラの回転軸中心から添加場所までの距離(m)
添加装置12の位置とは、筒状の剤投入ランス17の中心位置のことである。式(5)に示すMは、詳しくは、インペラ10の回転軸15の中心(軸芯)から剤投入ランス17の中心(軸芯)までの水平距離のことである。即ち、式(5)を満たすように、剤投入ランス17の中心位置が設定されている。
[第2排滓樋について]
排滓樋(第2排滓樋13)の位置が式(6)を満たすように設定されている。
1.2≦R/D≦5 ・・・(6)
ただし、
R:インペラの回転軸中心から排滓樋までの距離(m)
第2排滓樋13の位置とは、断面視矩形状の第2排滓樋13において下流側の側壁13a(側壁13aの上端)の位置のことである。式(6)に示すRは、インペラ10の回転軸15の中心から第2排滓樋13の下流側の側壁13a(側壁13aの上端)までの水平距離のことである。
高炉鋳床装置1によれば、高炉2から出銑した溶銑は、第1潜り堰7下を通過して段差部8に向けて下流側へと流れ、スラグ6は第1排滓樋5に流れる。そして、段差部8へ向けて流れる溶銑は、段差部8の水平部8bを通過して、段差部8の傾斜部8cに到達し、傾斜部8cに沿ってさらに下流側に流れることとなる。
段差部8から落下して攪拌された溶銑は、インペラ10に到達して当該インペラ10によって機械攪拌され、インペラ10よりもさらに下流側に流れることとなる。添加装置12付近に到達した溶銑には、精錬剤(例えば、脱珪剤又は脱硫剤)が添加され、溶銑の脱珪や脱硫が行われる。
滓樋13に流れることになる。
なお、出銑樋4は、図5にしめすような出銑する前に断面視で台形状であるものを使用した。
溶銑へ添加された脱硫剤(精錬剤)が効率的に脱硫反応に寄与したかを表す指標として、式(8)に示される脱硫効率ηSを用いた。
Al2O3−8M.Al(in mass%)を用いた。
従来ような機械的な攪拌のみの精錬では、同じ脱珪剤原単位で比較した場合、脱珪酸素効率ηO2は30〜40%であった。それを鑑み、まず、脱珪酸素効率ηO2は高効率である50%以上になることを基準とした。この場合、出銑時の珪素[Si]が0.38〜0.42mass%であったが、処理後の珪素[Si]は、0.25mass%以下となる。
れを鑑み、まず、脱硫効率ηSは高効率である50%以上になることを基準とした。この
場合、出銑時の硫黄[S]が0.022〜0.023mass%であったが、処理後の硫黄[
S]は、0.010mass%以下となる。
脱珪酸素効率ηO2の基準を50%以上とすることで、本処理の後工程に行われる脱りん処理における効率(脱りん時間の短縮、脱りん量の向上)を向上させることができる。
また、脱硫効率ηSが50%未満の場合、さらに追加の脱硫工程が必要となる場合があ
り、生産性低下や熱ロスを招くため、操業上好ましくない。したがって、脱硫効率ηSは
50%以上確保する必要がある。
したがって、高炉2より出銑される溶銑の珪素[Si]が比較的高濃度である場合には、脱珪酸素効率ηO2の基準を60%以上とすることが好ましい。
また、後工程で起こる可能性のある復硫に対応するために、脱硫効率ηSを60%以上
とすることが好ましい。
なお、表2,表3に示す直線樋とは、図1に示すような出銑樋4の直線部分にてインペラ10を浸漬させると共に、精錬剤を添加したことを示している。また、表2,表3に示す丸樋とは、図12に示すような出銑樋4の円弧部分にてインペラ10を浸漬させると共に、精錬剤を添加したことを示している。丸樋の場合は、溶銑流路の最大幅Dは円弧部分におけるものとした。
高炉鋳床での精錬処理では、出銑樋4を流れる溶銑に対して脱珪処理又は脱流処理行う
ことから、脱珪剤又は脱流剤を連続的に添加する必要がある。
精錬処理では、精錬剤を連続的に添加する場合であっても、精錬剤を確実に溶銑に巻き込ませることが重要である。溶銑流路の最大幅Dに対してインペラ10の幅dが小さければ、インペラ10の回転によって生じる攪拌渦も小さくなり(攪拌力小)、一部或いは大部分の精錬剤が溶銑中に巻き込まれずに反応に寄与しないまま上流から下流へと流れていき、その結果、反応効率が低下する。
一方で、表2や図6に示すように、0.3≦d/D<1のとき、即ち、溶銑流路の最大幅Dに対してインペラ10の幅dが十分大きければ、攪拌力は大であると考えられ、脱珪酸素効率ηO2は50%以上となる(実施例1〜44)。
なお、式(1)を満たす場合で、d/D≒1のとき、出銑樋4に対するインペラ10の上下方向の位置によっては、インペラ10が出銑樋4に接する。即ち、インペラ10の幅dと溶銑流路の最大幅Dとが同じとなる場合がある。この条件ではインペラ10が出銑樋4と接触してインペラ10自体を回転させることができず操業として成り立たない。式(1)の適用にあっては、インペラ10と出銑樋4とが接触しない範囲、即ち、インペラ10が回転できる条件で式(1)を満たすようにするのは当然である。
0.55≦d/D<1 ・・・(1a)
を高炉鋳床の連続精錬方法の条件として採用することは非常に好ましい。
[段差部及び段差部の位置について]
出銑樋4に段差部8を設けることで溶銑を落下させ、この落下によって溶銑に乱流を発生させることができる。発生した溶銑の乱流によって、溶銑は攪拌されるため精錬剤を溶銑に巻き込ませる効果が期待できる。
これに加え、段差部8の傾斜部8cが邪魔板として働いて溶銑の流れに乱れを起こし、その結果、戻ってきた未反応の精錬剤を溶銑に巻き込ませるという邪魔板効果も期待できる。
さて、両者による攪拌を最大限に生かすには、段差部8とインペラ10との位置関係が重要となる。図4、式(2)に示すように、段差部8とインペラ10との位置関係は、溶銑流路の最大幅Dに対する段差部8の立ち上がりとインペラ10までの距離との割合(L/D)で示すことができる。L/Dの値が大きくなればなるほど、段差部8とインペラ10とが離れていることを意味する。
L/Dの値が1.5を超えると、段差部8とインペラ10とが離れ過ぎているため、殆どの精錬剤がインペラ10の攪拌によって段差部8に戻ってくることが無く、その結果、
脱珪酸素効率ηO2が低下したと考えられる。即ち、L/Dの値が1.5より大きい場合は、段差部8による溶銑の攪拌では精錬剤を溶銑に巻き込ませるという巻き込み効果は非常に小さく、実質的に、インペラ10の攪拌のみで精錬剤を溶銑に巻き込ませているのと同じである。
また、図7に示すように、脱珪酸素効率ηO2が60%以上となる条件、即ち、
0<L/D≦1.0 ・・・(2a)
を高炉鋳床の連続精錬方法の条件として採用することは非常に好ましい。
[段差部の高さについて]
段差部8の高さHが大きくなればなるほど、溶銑の落下する落下エネルギーは大きくなる。落下エネルギーが大きいと、溶銑の乱れを大きくすることができ、溶銑に対する精錬剤の巻き込み効果が大になって、反応効率が向上する。
なお、H/Zの値の上限値、即ち、段差部8の高さHは、設備制約により決定することが好ましい。例えば、図8に示すように、H/Zの値が4.0であっても、脱珪酸素効率ηO2は50%以上であり、設備制約も問題はなかった。
H/Z≧2.2 ・・・(3a)
を高炉鋳床の連続精錬方法の条件として採用することは非常に好ましい。
[段差部の勾配について]
段差部8の勾配θが大きくなればなるほど、溶銑に対する精錬剤の巻き込み効果が大になる(反応効率が向上する)。表2,図9に示すように、段差部8の勾配θが30degを
超えると、脱珪酸素効率ηO2が50%以上となった(実施例1〜44)。表3,図9に示すように、逆に、段差部の勾配θが30deg未満であると、脱珪酸素効率ηO2が50%未満となった(比較例51,52)。なお、段差部8の勾配θを90degの最大値にしても脱珪酸素効率ηO2が50%以上であった。
θ≧45 ・・・(4a)
を高炉鋳床の連続精錬方法の条件として採用することは非常に好ましい。
[添加装置の位置について]
添加位置12の位置、即ち、添加装置の剤投入ランス17の位置については、溶銑を機械的に攪拌するインペラ10の位置に対して上側と下流側との2パターン考えることができる。添加装置12の剤投入ランス17をインペラ10よりも上流側に配置した場合、溶銑にほとんど巻き込まれずに下流側へと流れる精錬剤の量が多かった。
表2,図10に示すように、インペラ10の位置に対する剤投入ランス17の位置を示すM/Dにおいて、M/D≦0.8であれば、脱珪酸素効率ηO2は50%以上を確保することができる(実施例1〜44)。
表3,図10に示すように、M/Dの値が0.8を超えると、インペラ10と剤投入ランス17とが非常に離れてしまうため、攪拌によって精錬剤を溶銑に巻き込ませることができず、脱珪酸素効率ηO2が50%未満になったと考えられる(比較例58〜60)。
図10に示すように、脱珪酸素効率ηO2が60%以上となる条件、即ち、
0<M/D≦0.66 ・・・(5a)
を高炉鋳床の連続精錬方法の条件として採用することは非常に好ましい。
[第2排滓樋の位置について]
インペラ10を配置した場所の近くに、第2排滓樋13を設けてしまうと、攪拌処理後のスラグ14中に溶銑が混入し、スラグ14と溶銑とが分離されないまま、スラグ14に溶銑が混ざった状態で当該スラグ14が第2排滓樋13へと流れてしまう虞がある。その結果、鉄ロスとなるばかりか、スラグ14に溶銑が混入したことでスラグ14の特性が変化する。
一方で、インペラ10を配置した場所から遠く離れた場所に第2排滓樋13を設けてしまうと、スラグ14が第2排滓樋13へ排滓される前にスラグ14が固まってしまう。その結果、インペラ10の近傍に初期に添加した精錬剤によって生成するスラグ14が堆積し、操業に支障をきたす虞がある。
また、R/D<1.2のときは、インペラ10と第2排滓樋13とが近すぎるため、スラグ14に溶銑が混入し、脱珪酸素効率ηO2が50%以上であるものの、スラグ14に含まれる鉄成分が増加してしまう(比較例61,62)。
図11に示すように、脱珪酸素効率ηO2が60%以上となる条件、即ち、
1.2≦R/D≦4.4 ・・・(6a)
を高炉鋳床の連続精錬方法の条件として採用することは非常に好ましい。
本発明の高炉鋳床設備は、上記の実施の形態に限定されない。精錬剤が粉末状であれば
、切り出し部46は不要である。また、ホッパー45から剤投入ランス17まで精錬剤を搬送する搬送部は、スクリューコンベア47でなくてよく、例えば、空気の圧力で精錬剤を搬送するものであってもよい。
つまり、インペラの幅、段差の位置、段差の高さ及び勾配、添加装置の位置、第2排滓樋が式(1)〜式(6)や式(1a)〜式(6a)を満たすようにすれば、脱硫処理や脱珪処理等の精錬処理の効率を向上させることができる。
2 高炉
4 出銑樋
5 第1排滓樋
8 段差部
10 インペラ
11 攪拌装置
12 添加装置
13 第2排滓樋
17 剤投入ランス
Claims (2)
- 高炉から出銑された溶銑が流れる溶銑流路と、この溶銑流路内を流れる溶銑に精錬剤を添加する添加装置と、溶銑を攪拌する1基のインペラを有する攪拌装置と、前記攪拌装置で攪拌された後に生じた溶銑上のスラグを外部へ排出する排滓樋とを備えた高炉鋳床設備において、
前記溶銑流路の上流側には溶銑を落下させるための段差部が設けられ、この段差部の下流側に前記インペラが位置するように攪拌装置が設けられ、このインペラの下流側に添加装置が設けられ、この添加装置の下流側に前記排滓樋が設けられており、
前記インペラの幅が式(1)を満たすように設定され、
前記段差部が式(2)〜式(4)を満たすように設定され、
前記添加装置の位置が式(5)を満たすように設定され、
前記排滓樋の位置が式(6)を満たすように設定されていることを特徴とする高炉鋳床設備。
0.3≦d/D<1 ・・・(1)
0<L/D≦1.5 ・・・(2)
H/Z≧1 ・・・(3)
θ≧30 ・・・(4)
0<M/D≦0.8 ・・・(5)
1.2≦R/D≦5 ・・・(6)
ただし、
d:インペラの幅(m)
D:溶銑流路の最大幅(m)
L:段差部からインペラまでの距離(m)
H:段差部の高さ(m)
Z:溶銑の深さ(m)
θ:段差部の勾配(deg)
M:インペラの回転軸中心から添加装置までの距離(m)
R:インペラの回転軸中心から排滓樋までの距離(m) - 高炉から出銑された溶銑が流れる溶銑流路と、この溶銑流路内を流れる溶銑に精錬剤を添加する添加装置と、溶銑を攪拌する1基のインペラを有する攪拌装置と、前記攪拌装置で攪拌された後に生じた溶銑上のスラグを外部へ排出する排滓樋とを備えた高炉鋳床設備において、
前記溶銑流路の上流側には溶銑を落下させるための段差部が設けられ、この段差部の下流側に前記インペラが位置するように攪拌装置が設けられ、このインペラの下流側に添加装置が設けられ、この添加装置の下流側に前記排滓樋が設けられており、
前記インペラの幅が式(1a)を満たすように設定され、
前記段差部が式(2a)〜式(4a)を満たすように設定され、
前記添加装置の位置が式(5a)を満たすように設定され、
前記排滓樋の位置が式(6a)を満たすように設定されていることを特徴とする高炉鋳床設備。
0.55≦d/D<1 ・・・(1a)
0<L/D≦1.0 ・・・(2a)
H/Z≧2.2 ・・・(3a)
θ≧45 ・・・(4a)
0<M/D≦0.66 ・・・(5a)
1.2≦R/D≦4.4 ・・・(6a)
ただし、
d:インペラの幅(m)
D:溶銑流路の最大幅(m)
L:段差部からインペラまでの距離(m)
H:段差部の高さ(m)
Z:溶銑の深さ(m)
θ:段差部の勾配(deg)
M:インペラの回転軸中心から添加装置までの距離(m)
R:インペラの回転軸中心から排滓樋までの距離(m)
Priority Applications (9)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006300639A JP5085095B2 (ja) | 2006-11-06 | 2006-11-06 | 高炉鋳床設備 |
AU2006323664A AU2006323664B2 (en) | 2005-12-08 | 2006-12-08 | Continuous refining method and continuous refining equipment |
PCT/JP2006/324512 WO2007066748A1 (ja) | 2005-12-08 | 2006-12-08 | 連続精錬方法および連続精錬設備 |
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