JPH08283826A - 高清浄極低硫耐hic鋼の製造方法 - Google Patents

高清浄極低硫耐hic鋼の製造方法

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JPH08283826A
JPH08283826A JP8418995A JP8418995A JPH08283826A JP H08283826 A JPH08283826 A JP H08283826A JP 8418995 A JP8418995 A JP 8418995A JP 8418995 A JP8418995 A JP 8418995A JP H08283826 A JPH08283826 A JP H08283826A
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molten steel
inclusions
steel
gas
flow rate
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JP8418995A
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Mitsuhiro Numata
光裕 沼田
Yoshihiko Higuchi
善彦 樋口
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高清浄極低硫耐HIC鋼の製造方法の提供。 【構成】脱酸溶鋼を0.01〜0.02Nm3/(min・溶鋼T)のAr
ガスで6分間以上撹拌後、下記(1) 式の溶鋼環流量Qを
100〜150 溶鋼 T/min としたRH真空脱ガス装置で7
分間以上の環流処理を行い、その後Caを 0.1〜0.3 kg/
溶鋼T 添加してCa処理する高清浄極低硫耐HIC鋼の製
造方法。 Q=11.4G1/3 4/3 {ln(P1 /P0 )}1/3
・・・(1) ただし、G:環流ガス流量(Nリットル/min)、D:浸
漬管内径(m) 、P0 :真空槽内溶鋼表面でのガス圧力
(Pa)、P1 :Arガス吹込点での環流ガス圧力 (Pa) 【効果】効果的に脱硫、介在物除去、鋼材の極低硫高清
浄化を図ることが可能であり、耐HIC性に極めて優れ
た鋼材を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼の極低硫化と高清浄
化とを効果的に行うことにより、耐HIC(耐水素誘起
割れ)性に極めて優れた鋼材の製造を可能ならしめる方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】HICは、圧延時に伸延されたMnS 介在
物や線状に破砕された介在物を起点として発生する。Mn
S は凝固時に偏析し高濃度化した鋼中SとMnとの反応に
より生成する。このためMnS 生成抑止には、溶鋼段階で
十分脱硫して鋼中S濃度を低下させ、さらにCaを溶鋼に
添加し、CaO-Al2O3-CaS としてSを固定する方法が有効
である。
【0003】圧延時に線状に破砕される介在物には、大
型Al2O3 クラスターの他に、CaO 、Al2O3 、CaS 、SiO2
およびMgO などを成分とする大型球状介在物がある。こ
れらの大型球状介在物は、転炉出鋼以降のAl脱酸時に生
成した大型介在物、あるいはスラグ巻き込みで生成した
外来介在物であり、通常は鋳造後も鋼中に残留し、圧延
時に線状に破砕される。
【0004】したがって、耐HIC性に優れた鋼材を製
造するには、極低硫化、Ca添加によるMnS 生成抑止およ
び大型介在物個数低減を図ることが極めて重要である。
【0005】一般に溶鋼処理において、低硫化、Ca添加
は以下の方法で行われている。転炉出鋼後、Al等で脱酸
した後、RH、DHなどの真空脱ガス装置で脱ガス処理
を行う。次いで取鍋内で脱硫を行い、その後Caを添加す
る。一般的な脱硫方法としては、Arガスで溶鋼を撹拌し
てスラグ−溶鋼間反応を促進させ、スラグで脱硫する方
法と、CaO-CaF2系フラックスをArガスで溶鋼に吹き込
み、フラックスで脱硫する方法とがある。Caの添加方法
としては、CaSiなどのCa含有物質を溶鋼に吹き込むイン
ジェクション法や、鉄被覆したワイヤー内にCaSi粉を充
填し、ワイヤーで溶鋼に添加するワイヤーフィーダー法
がよく用いられる。
【0006】しかし、上記溶鋼処理方法では、処理条件
が不適正であるとMnS やCaS が生成してしまうため、こ
の対策として以下のような技術が知られている。
【0007】特開昭56−98415号公報には、溶鋼
に石灰を、スラグにAlをそれぞれ添加した後、脱ガス処
理を施し、次いで上吹きランスを用いてArガスを溶鋼T
(トン) 当たり0.006〜0.009Nm3/min の流
量で10分間以上撹拌して脱硫した後、Caを溶鋼T(ト
ン) 当たり0.125〜0.5kgを添加する方法が提案
されている。
【0008】特開昭58−3913号公報には、溶鋼に
CaO 含有フラックスをキャリアーガスとともに吹き込ん
で脱硫した後、真空脱ガス処理を施し、その後Ca合金を
吹き込む方法が提案されている。この方法は、Arガスで
溶鋼を撹拌し、スラグ−溶鋼間反応を促進させて脱硫を
図るものであるが、CaO 含有フラックス吹き込みでは脱
硫、真空脱酸では鋼中水素の除去、Ca添加では硫化物系
介在物制御をそれぞれ目的としている。
【0009】特開平4−259352号公報では、脱硫
処理してS濃度を8ppm 未満とした後、脱ガスして水素
濃度を1.5ppm 未満とし、次いでCaを添加してCaS 系
介在物生成を抑止する方法が提案されている。これは、
特開昭58−39313号公報と同様の方法である。
【0010】このように、従来の技術は、脱ガス、脱
硫、Ca添加の三処理の順序、あるいはそれぞれの処理条
件を適正化することにより、MnS 、CaS の生成を抑止す
るものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来、Ca添加によりH
ICの起点となるMnS あるいはAl2O3 クラスターを耐H
IC性に無害とされるCaO-Al2O3-CaS 系球状介在物に改
質し、かつCa添加時に生成するCaS を抑止すれば、実用
上十分な鋼材の耐HIC性が得られると考えられてき
た。
【0012】しかし、Ca添加によりHICの起点となる
有害介在物を球状CaO-Al2O3-CaS 系介在物に無害化改質
し、かつCaS 介在物を抑止してもHIC発生を十分に抑
えることはできない。
【0013】本発明者らがCa添加を施した鋼材を耐HI
C試験で評価し、HICが発生した鋼材中の介在物形態
の観察、組成分析を行った結果、以下が明らかとなっ
た。スラブ中には伸延されたMnS 、破砕されたAl2O3
ラスタ−やCaS はみられず、介在物は直径1〜30μm
のCaO-Al2O3-CaS 系球状介在物が主体であった。しか
し、同一鋼材を圧延した圧延板中には、直径1〜14μ
m の球状介在物と線状に破砕されて長さ100μm 以上
となった介在物とが認められた。さらにHIC発生部の
介在物を調査した結果、割れの起点となっている介在物
は球状介在物ではなく、線状に破砕されて長さ100μ
m 以上となった介在物であることを確認した。
【0014】長さ100μm 以上となった介在物は(CaO
+Al2O3)>80Wt%、 CaS<10Wt%なる組成であるこ
と、直径15μm 以上の球状介在物はスラブ中に存在し
圧延板中に存在しなかったことから、直径15μm 以上
の球状CaO-Al2O3-CaS 介在物が圧延時に線状に破砕され
たものであると考えられる。
【0015】以上の結果から、Ca添加により改質生成し
たCaO-Al2O3-CaS 系球状介在物でもその直径が15μm
以上と大きければ、圧延時に破砕されてしまい、HIC
の起点になることが明らかとなった。
【0016】したがって、鋼材の耐HIC性を著しく向
上させるには、溶鋼の極低硫化を図ってMnS 生成を抑止
し、適正量のCaを添加して有害介在物をCaO-Al2O3-CaS
に無害化改質するのみならず、直径15μm 以上の介在
物を溶鋼から除去しなければならない。
【0017】介在物は脱酸とスラグの溶鋼への巻き込み
により生じる。したがって、介在物を溶鋼から除去する
には、脱酸生成物を溶鋼から効率よく浮上させ、スラグ
に吸収させることができ、かつスラグを溶鋼中へ巻き込
まない適正条件で操業を行えばよい。
【0018】さらに、溶鋼中S濃度が5ppm 以上となる
と、どのような操業条件であろうとCa添加時にCaS 介在
物が生成するため、溶鋼中S濃度を4ppm 以下に低減し
なければならない。
【0019】しかし、従来技術では上記条件を満足させ
ることができず、下述のように特に介在物除去の面で問
題が多く、HICを十分抑制することができない。
【0020】特開昭56−98415号公報の方法で
は、Arガスで溶鋼を撹拌し、スラグ−溶鋼間反応を促進
し脱硫を図る方法を提案しているが、Arガス流量が0.
006〜0.009Nm3/(min・溶鋼T)と低流量である
ため、介在物の浮上除去が効果的に行えず、介在物を十
分に除去できない。したがって、鋼材の耐HIC性を十
分に向上させることができない。さらに、上記Arガス流
量では脱硫速度も遅く、処理に10分間以上も要してし
まう。さらに、Ca添加後にArガスを吹き込んで溶鋼を撹
拌するとCaの蒸発が促進されるため、Ca歩留が低下し、
介在物組成の制御性が悪化し、MnS が生成する。
【0021】特開昭58−3913号公報の方法には、
以下の三つの問題がある。第1に、CaO 含有フラックス
を吹き込むと溶鋼の撹拌効果が大きくなるために、ガス
撹拌のみの場合と比較して、スラグの巻き込みが促進さ
れてしまう。第2は脱硫処理後のスラグからの復硫であ
る。CaO 含有フラックスは、溶鋼上のスラグよりもCaO
濃度が高いため脱硫能が高く、高S濃度となる。このCa
O 含有フラックスが、溶鋼中Sを吸収しつつ浮上してス
ラグと合体するが、スラグの脱硫能はCaO 含有フラック
スのそれより低いため、CaO 含有フラックスがスラグに
持ち込んだSの一部は溶鋼にもどってしまう。この現象
は復硫とよばれ、一般にゆっくり進行する。したがっ
て、CaO 含有フラックス吹き込みで脱硫を行っても、次
工程のCa添加時には溶鋼中S濃度が上昇する。
【0022】第3に介在物組成の制御性の悪化がある。
CaO 含有フラックスを溶鋼に吹き込むと、脱酸生成物と
して前工程から存在していたAl2O3 介在物の一部がCaO-
Al2O3 系介在物に変化してしまう。溶鋼中にAl2O3 とCa
O-Al2O3 系介在物とが混在すると、次工程でCaを添加し
た際、添加されたCa量はAl2O3 改質を行うのに適正であ
るため、CaO-Al2O3 系介在物の改質には過剰となり、Ca
O-Al2O3 系介在物はCaO 、CaS に変化する。このよう
に、CaO 含有フラックス吹き込みによる脱硫処理は耐H
IC鋼製造には不適当である。また、脱硫処理後に真空
脱ガス装置で処理するのは脱水素を目的としたものであ
り、効果的に介在物除去を図ることはできない。
【0023】特開平4−259352号公報の方法で
は、脱硫、脱水素、Ca添加の手段を提案しているにすぎ
ず、介在物除去による高清浄化などの方法、その操業条
件を提案するものではなく、多数の介在物が鋼中に残留
するため、HIC発生を防ぐことができない。
【0024】以上のように、従来技術は脱硫とCaS 生成
抑制には或る程度効果がある方法である。しかし、清浄
度を向上させることができず、直径15μm 以上の介在
物が多数鋼中に残留し、十分な耐HIC性を得ることは
できないものである。
【0025】本発明の目的は、極低硫化とともに溶鋼中
の直径15μm 以上の介在物の存在をなくすことによ
り、圧延後の鋼材中で長さ100μm 以上の介在物のな
い、耐HIC性に優れた鋼の製造方法を提供することに
ある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の高清
浄極低硫耐HIC鋼の製造方法にある。
【0027】予め脱酸処理された溶鋼を0.01〜0.
02Nm3/(min・溶鋼T)に流量制御したArガスで6分間
以上撹拌した後、下記(1) 式で定義される溶鋼環流量Q
を100〜150溶鋼 T/min に制御したRH真空脱ガ
ス装置で7分間以上の環流処理を行い、その後Caを0.
1〜0.3kg/溶鋼T 添加してCa処理することを特徴と
する高清浄極低硫耐HIC鋼の製造方法。
【0028】 Q=11.4G1/3 4/3 {ln(P1 /P0 )}1/3 ・・・(1) ただし、Q:溶鋼環流量(溶鋼 T/min ) G:環流ガス流量(Nリットル/min ) D:浸漬管内径 ( m ) P0 :真空槽内溶鋼表面におけるガス圧力(Pa ) P1 :Arガス吹込み点における環流ガス圧力(Pa )
【0029】
【作用】本発明者らは、脱硫処理、Ca添加処理を施し、
MnS 、CaS 、Al2O3 クラスタ−介在物を全てCaO-Al2O3
系介在物に改質した鋼材をHIC評価試験に供した。そ
の結果得られた知見は、前述のように下記 (1)〜(4) で
ある。 (1)有害介在物の改質を十分に行った鋼材でもHICが
多数発生した。
【0030】(2)HIC発生部の介在物の形態、組成を
調査した結果、HICの起点となる介在物は長さ100
μm 以上の線状に破砕されたCaO-Al2O3 系介在物である
こと。
【0031】(3)上記の破砕された介在物は、溶鋼中で
直径15μm 以上の球状介在物であったものと考えられ
ること。
【0032】(4)つまり、鋼材に十分な耐HIC性を持
たせるには、有害介在物のCaO-Al2O3系介在物への改質
のみならず、直径15μm 以上の大型介在物を低減しな
ければならないこと。
【0033】有害介在物改質と大型介在物低減を同時に
行うには、脱硫処理、Ca添加処理、介在物除去処理の各
処理条件を適正条件で行い、かつこれらの処理を効果的
に組み合わせなければならない。これらを満たすのが下
記の本発明処理方法である。
【0034】すなわち、予め脱酸処理された溶鋼を0.
01〜0.02Nm3/(min・溶鋼T)に流量制御したArガ
スで6分間以上撹拌した後、下記(1) 式で定義される溶
鋼環流量Qを100〜150溶鋼 T/min に制御したR
H真空脱ガス装置で7分間以上の環流処理を行い、その
後Caを溶鋼t当たり0.1〜0.3kg添加してCa処理す
る。
【0035】 Q=11.4G1/3 4/3 {ln(P1 /P0 )}1/3 ・・・(1) ただし、Q:溶鋼環流量(溶鋼 T/min ) G:環流ガス流量(Nリットル/min ) D:浸漬管内径 ( m ) P0 :真空槽内溶鋼表面におけるガス圧力(Pa ) P1 :Arガス吹込み点における環流ガス圧力(Pa ) はじめに、撹拌Arガス流量および撹拌時間を上記のよう
に限定した理由について図1および図2により説明す
る。
【0036】図1は溶鋼撹拌中の溶鋼中S濃度の推移
を、図2は同じく直径15μm 以上の溶鋼中介在物個数
の推移を、それぞれ示す図である。図1および図2にお
いて、曲線がArガス流量0.01Nm3/(min・溶鋼
T)、曲線がArガス流量0.02Nm3/(min・溶鋼T)と
したときの推移である。
【0037】図1で明らかなように、Arガス流量が0.
01Nm3/(min・溶鋼T)未満であると溶鋼の撹拌が不十
分となり、溶鋼−スラグ間反応が促進されず、S濃度を
4ppm 以下とすることができない。このS濃度4ppm 以
下は、前述のようにCa添加時にCaS 介在物を生成させな
いようにするための条件である。
【0038】図2から明らかなように、Arガス流量が
0.01Nm3/(min・溶鋼T)未満であると撹拌が不十分
となる上、介在物を吸着、浮上するArガス気泡の絶対量
が減少するため溶鋼からの介在物除去が不十分となる。
【0039】一方、図1に示すように、Arガス流量が
0.02Nm3/(min・溶鋼T)をこえると脱硫は短時間で
促進されるが、図2から明らかなようにスラグ巻き込み
が活発となるため、介在物個数は増加してしまう。この
ように、介在物個数低減および脱硫促進を同時に満足さ
せるには、Arガス流量の範囲を0.01〜0.02Nm3
/(min・溶鋼T)に制御し、6分間以上撹拌しなければな
らない。攪拌時間の望ましい上限は、溶鋼温度が低下し
すぎる理由から20分間程度である。
【0040】上記のArガス撹拌は、溶鋼に浸漬したラン
スを用いる方法、取鍋底に取り付けポーラス煉瓦を用い
る方法のいずれでもよいが、溶鋼に浸漬したランスを用
いる場合、ランス浸漬深さは(ランス浸漬深さ)/(溶
鋼深さ)が0.75〜0.91となる範囲が望ましい。
ランス浸漬深さが浅いと溶鋼の撹拌が不十分となり、浸
漬深さが深すぎると取鍋底の耐火物が著しく損耗するた
めである。
【0041】次に、RH真空脱ガス装置で環流させる理
由について説明する。
【0042】前述の溶鋼撹拌により脱硫は十分に行える
が、スラグ巻き込みが生じるためAr撹拌を強化すること
ができず、直径15μm 以上の介在物を完全に除去する
ことは困難である。そこで、スラグを巻き込むことなく
溶鋼を十分に撹拌し、上記介在物を除去する処理工程が
必要となる。
【0043】RH真空脱ガス装置ではスラグが十分滓化
しないため、RH脱ガス法は脱硫には不適当であるが、
溶鋼を真空槽に吸い上げ循環させるため、スラグを巻き
込むおそれがなく、介在物除去には最適である。したが
って、直径15μm 以上の介在物を完全に除去するに
は、Arガス撹拌によりスラグを巻き込ませることなく脱
硫処理を行った後、さらにRH真空脱ガス装置で環流処
理を行うことが効果的である。
【0044】前記(1) 式は、RH真空脱ガス装置操業の
指標となる溶鋼環流量の算定方法として一般によく用い
られているものである。本発明方法では、式(1) で算定
される溶鋼環流量Qの範囲を100〜150溶鋼 T/mi
n に限定する。
【0045】図3に基づいて上記環流条件の限定理由を
説明する。図3は、環流処理時間に伴う直径15μm 以
上の溶鋼中介在物個数の推移を示す図である。図3中の
曲線が環流量100 T/min 、曲線が150 T/mi
n としたときの推移である。
【0046】図3に示すように環流量Qが100 T/mi
n 未満では、溶鋼撹拌が不十分となり直径15μm 以上
の介在物を除去することができない。一方、環流量Qが
150 T/min をこえると耐火物の損耗が激しくなり、
損耗した耐火物が溶鋼に浸入するため介在物個数は増加
する。したがって、直径15μm以上の介在物を完全に
除去するには、環流量Qを100 T/min 以上150 T
/min 以下に制御し、かつ7分間以上環流しなければな
らない。攪拌時間の望ましい上限は、溶鋼温度降下およ
び耐火物損耗を抑制する必要から20分間程度である。
【0047】望ましい環流ガス流量Gの範囲は1800
〜2400Nリットル/min 程度、同じくガス圧力の範
囲は、真空槽内溶鋼表面におけるガス圧力P0 で13.
3〜266Pa 程度、Arガス吹込み点における環流ガス
圧力P1 で70000〜90000Pa 程度、浸漬管内
径Dの範囲は0.4〜0.7m 程度である。
【0048】本発明方法では、その後、Caを溶鋼 T(ト
ン)当たり0.1〜0.3kg添加する。
【0049】上記までの処理工程のようにArガス撹拌お
よびRH真空脱ガス装置による環流処理を施すことによ
り、S濃度を4ppm 以下とし、直径15μm 以上の大型
介在物を完全に除去することができる。しかし、凝固時
の偏析によりMnS 生成を抑止することができない。
【0050】MnS 生成抑止方法としては、溶鋼中に残留
する直径15μm 未満のAl2O3 介在物をCaにより直径1
5μm 未満の球状CaO-Al2O3 系介在物に改質し、鋼中に
分散させて凝固時にSと反応させ、球状CaO-Al2O3-CaS
介在物としてSを固定する。
【0051】これにより凝固時のMnとSの反応を抑え、
MnS の生成を抑止することができる。
【0052】そのためには適正量のCaを添加する必要が
ある。
【0053】次に、Ca添加量の限定理由について説明す
る。本発明方法に従いArガス撹拌、RH真空脱ガス装置
環流処理を施すことで、溶鋼中S濃度は4ppm 以下とな
り、直径15μm 以上の介在物は完全に除去されている
ため、全酸素量は10 ppm以下となる。したがって、こ
れらの濃度値に対して適正量のCaを添加すれば介在物は
球状CaO-Al2O3 系介在物となる。Ca添加量が0.3kg/
溶鋼T をこえると溶鋼中S濃度に対しCa量が過剰となる
ため、CaS が生成しHICの起点となる。一方、0.1
kg/溶鋼T 未満となると既存Al2O3 介在物に対しCa量が
不足し、CaO-Al2O3 系介在物への改質が不十分となり、
凝固時にSを固定することができず、MnS が生成してし
まう。
【0054】Caは溶鋼温度で激しく反応するため、CaS
i、CaAlなどのCa合金を用いて添加するのが望ましい。
このときはCa純分換算とする。Ca合金の望ましいCa濃度
は5Wt%以上30Wt%以下である。30Wt%をこえると
反応が激しくなって溶鋼が飛散し、5Wt%未満ではCa歩
留が急激に低下する。
【0055】Ca添加方法は、Ca含有物質を溶鋼に浸漬し
たランスからキャリヤーガスとともに吹き込むインジェ
クション法、Ca含有物質を充填したワイヤーを溶鋼に送
り込むワイヤーフィーダー法などいかなる方法でもよ
い。しかし、インジェクション法ではスラグ巻き込みの
可能性が生じるため、ワイヤーフィーダー法を選択する
のが望ましい。
【0056】処理に用いるスラグは、(Al2O3+CaO)>8
0Wt%、スラグ中CaO/Al2O3 重量比が0.55以上1.
5以下のCaO-Al2O3 系スラグが望ましい。CaO-Al2O3
スラグは、Al2O3 介在物とCaO-Al2O3 系介在物との吸収
速度および脱硫能に優れるからである。スラグ中CaO/Al
2O3 重量比を上記範囲とするのは、溶鋼温度でスラグを
十分滓化させるためである。
【0057】スラグ量の望ましい範囲は溶鋼T 当たり1
0〜50kgである。スラグ量が10kg/溶鋼T 未満では
脱硫が不十分となり、一方50kg/溶鋼T をこえるとス
ラグ滓化が不十分となる。
【0058】
【実施例】
(実施例1)転炉出鋼後、取鍋に収容したした溶鋼25
0T に脱酸を施し、表1に示す成分に調整した。
【0059】
【表1】
【0060】取鍋内溶鋼に浸漬したランスを用いてArガ
スで溶鋼を撹拌した後、RH真空脱ガス装置にて環流処
理を施し、その後Caを添加した。各処理条件を表2に示
す。
【0061】
【表2】
【0062】その他の条件は次のとおりとした。
【0063】 環流ガス流量G:2000Nリットル/min 真空槽内溶鋼表面におけるガス圧力P0 :260Pa Arガス吹込み点における環流ガス圧力P1 :80000
Pa 浸漬管内径D:0.66 m Ca添加:30Wt%−70Wt%のCa−Si合金 ワイヤ−フィ−ダ−法 添加速度はCa純分換算で0.1kg/(min・溶鋼T) Arガス撹拌時間:9分 RH真空脱ガス装置環流処理時間:9分 処理後の溶鋼中Sは3ppm となった。
【0064】以上のように処理した溶鋼を用いて、連続
鋳造機により厚さ235mmのスラブとし、これを圧延し
て厚さ26.5mmの板とした。厚板からサンプルを切り
出し、検鏡法により介在物形態を観察するとともに、N
ACE条件による耐HIC評価試験に供した。
【0065】表2に、線状に破砕されて長さ100μm
以上となった厚板中の介在物個数およびHIC評価試験
結果を併せて示す。表中○印はHICが全く発生しなか
ったこと、×はHICが発生したことを示す。
【0066】表2に示すように、本発明で定める条件を
全て満たして処理した場合、HICは全く発生しない。
しかし、処理条件中に本発明で定める条件を満たさない
ものがあるとHICが発生した。
【0067】
【発明の効果】本発明方法によれば、効果的に4ppm 以
下までの脱硫、直径15μm 以上の大型介在物除去を行
うことができ、圧延後鋼材中には長さ100μm 以上の
介在物は存在しなくなり、鋼材の極低硫高清浄化を達成
することが可能である。これにより、耐HIC性に極め
て優れた鋼材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶鋼撹拌中の溶鋼中S濃度の推移を示す図であ
る。
【図2】溶鋼撹拌中の直径15μm 以上の介在物個数の
推移を示す図である。
【図3】環流処理時間に伴う直径15μm 以上の介在物
個数の推移を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め脱酸処理された溶鋼を0.01〜0.
    02Nm3/(min・溶鋼T)に流量制御したArガスで6分間
    以上撹拌した後、下記(1) 式で定義される溶鋼環流量Q
    を100〜150溶鋼 T/min に制御したRH真空脱ガ
    ス装置で7分間以上の環流処理を行い、その後Caを0.
    1〜0.3kg/溶鋼T 添加してCa処理することを特徴と
    する高清浄極低硫耐HIC鋼の製造方法。 Q=11.4G1/3 4/3 {ln(P1 /P0 )}1/3 ・・・(1) ただし、Q:溶鋼環流量(溶鋼 T/min ) G:環流ガス流量(Nリットル/min ) D:浸漬管内径 ( m ) P0 :真空槽内溶鋼表面におけるガス圧力(Pa ) P1 :Arガス吹込み点における環流ガス圧力(Pa )
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