JP6954246B2 - 溶銑の脱硫処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑の脱硫処理方法に関する。
高炉から出銑された溶銑には、通常、鋼の品質に悪影響を及ぼす硫黄が0.007質量%〜0.1質量%程度の高濃度で含まれている。そして、含有される硫黄は、脱硫剤との還元反応によって溶鉄から除去することができる(脱硫処理)。しかし、後に行われる転炉精錬工程では酸化精錬による不純物の除去を目的としている事から、酸化精錬が行われる前の脱硫しやすい溶銑の段階において、要求の品質に応じて溶銑の脱硫処理が行われている。
溶銑の脱硫処理方法としては、溶銑中に浸漬させたインペラと呼ばれる攪拌羽根を回転させ、溶銑を攪拌しながら脱硫剤を上置き添加して行う方法が一般的である。この場合、脱硫剤にはCaO系脱硫剤が使用され、このCaO系脱硫剤による脱硫反応は、「CaO+S→CaS+O」に示される反応式に基づいて進行する。
CaOの融点は2000℃を超える高温であり、溶銑中では溶解しないため、硫黄との反応は粒子状のCaO系脱硫剤の表面のみで起こり、CaO系脱硫剤の内部は脱硫反応に寄与しない。また、CaO系脱硫剤は溶銑との濡れ性が悪く、溶銑中へ巻き込まれにくいため、反応効率が低い。さらに、溶銑鍋に添加されたCaO系脱硫剤は強攪拌されている溶銑の表面または溶銑中で凝集することから、反応界面積が低くなるため、反応効率が低下する。
また、脱硫処理によって生成した硫黄含有量の高い脱硫スラグを処理容器内から排出し、次工程において脱燐処理や脱炭処理を行うにあたり、溶銑中に懸濁している微細な脱硫スラグや反応容器壁面に付着した脱硫スラグが、次工程に持ち越される事がある。脱硫反応の還元反応に対し、次工程の脱燐処理や脱炭処理は酸化反応である為、次工程に持ち越された脱硫スラグが酸化され、溶銑中もしくは溶鋼中の硫黄濃度が上昇する「復硫」と呼ばれる現象が起きる。
復硫によって溶銑中もしくは溶鋼中の硫黄濃度が高くなった場合、次工程で硫黄を除去することが必要となる。この場合における脱硫処理は、2次精錬で行う事ができるが、脱硫費用が高価であり、また精錬時間の延長による生産性の低下の原因となる。
溶銑の脱硫処理方法としては、インジェクション式の脱硫処理方法や機械攪拌式の脱硫処理方法等を用いることが一般的である。インジェクション式の脱硫処理方法では、Arガスなどの不活性ガスを溶銑中に吹き込み溶銑を攪拌させながら、脱硫剤を搬送用ガスと共に溶銑中に吹き込み添加することで脱硫処理を行ったり、CaO脱硫剤を溶銑中に添加することで脱硫処理を行ったりする。機械攪拌式の脱硫処理方法では、溶銑に浸漬させて回転させる攪拌羽根を有する機械攪拌式脱硫装置を用いて、投入した脱硫剤を攪拌・混合することで脱硫処理を行う。
上述のような溶銑の脱硫処理方法において脱硫効率を向上させる方法としては、CaO系の媒溶剤、もしくは脱酸剤としてアルミ系のフラックスを用いる方法が知られている。例えば、特許文献1には、CaOとAlとの混合比でAlの比率が33〜37.7重量%とした脱硫剤が開示されている。このAlの含有量は脱硫効率向上のために最適な脱硫剤中のAl量を定めたものである。
特開平09−3515号公報
脱硫剤の反応効率を向上するには、溶銑中への脱硫剤の分散が重要である。しかし、溶銑中への脱硫剤の分散が良好であると、分散した脱硫スラグは溶銑から除去できず、次工程で復硫が生じる懸念がある。また、復硫を抑制する方法として、脱硫処理後に溶銑鍋を長時間静置することにより、スラグを湯面に浮上させ除去する方法も考えられる。しかし、しかしこの方法は、生産性の低下及び溶銑温度の低下を招く事から工程的には行われない。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、復硫を抑制することができる、溶銑の脱硫処理方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、攪拌羽根で溶銑鍋内の溶銑を攪拌しながら脱硫処理を行う、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫処理方法であって、CaOを少なくとも含む脱硫剤を上記溶銑に投入し、上記溶銑を攪拌する脱硫工程と、上記脱硫工程の後、Alを少なくとも含む凝集剤を上記溶銑に投入し、上記溶銑を攪拌し、脱硫処理を終了する凝集工程と、を備える、溶銑の脱硫処理方法が提供される。
本発明の一態様によれば、復硫を抑制することができる、溶銑の脱硫処理方法が提供される。
本発明の一実施形態における機械攪拌式脱硫装置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る溶銑の脱硫処理方法を示す説明図である。 実施例における復硫の結果を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかである。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<溶銑の脱硫処理方法>
図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る溶銑の脱硫処理方法について説明する。本実施形態では、図1に示す機械攪拌式脱硫装置1を用いて、溶銑鍋2に収容された溶銑3の脱硫処理を行う。機械攪拌式脱硫装置1は、攪拌羽根11と、2個のホッパー12,13と、シュート14とを備える。
攪拌羽根11は、表面が耐火物製の攪拌子であり、鉛直方向(図1の紙面に対する上下方向)の上端が軸に接続され、この軸の軸心に直交する方向に突出する4枚の羽根を有する。また、軸の上端側は、不図示の回転装置や昇降装置に接続される。攪拌羽根11は、軸が回転装置からの回転駆動を受けることで、軸を中心として回転する。また、攪拌羽根11は、昇降装置の昇降動作によって鉛直方向に昇降可能に構成される。
2個のホッパー12,13は、脱硫処理に用いられる副原料を収容し、シュート14に接続される。また、2個のホッパー12,13は、シュート14に接続される側に、ロータリーフィーダや振動フィーダ等の切り出し機構が設けられ、この切り出し機構によって任意の量の副原料がシュート14に切り出される。本実施形態では、ホッパー12には、脱硫剤が収容され、ホッパー13には、Al滓が収容される。脱硫剤は、CaOを主に含む、CaO系の脱硫剤である。Al滓は、アルミを溶解する際に発生するスラグ(滓)であり、アルミドロスともよばれる。Al滓は、少なくとも、金属Alと、アルミナ(Al)とを含有する。なお、Al滓は、後述する脱硫処理にて、スラグを凝集させる凝集剤としても用いられる。
シュート14は、ホッパー12,13から切り出された副原料を、先端から溶銑鍋2内に落下させることで、溶銑鍋2中の溶銑3の浴面に投入する。
本実施形態に係る溶銑3の脱硫処理方法では、脱硫処理に先立ち、図1に示すように、溶銑3が収容された溶銑鍋2が台車4に載せられ、攪拌羽根11に対して溶銑鍋2が所定の処理位置となるまで台車4が移動する。溶銑3は、高炉から出銑されたものであり、脱硫処理を行う前に、溶銑3の浴面に浮遊しているスラグを除去する除滓処理が行われる。また、溶銑3は、脱硫処理の前に、脱珪反応や脱燐反応を伴う酸化精錬処理が溶銑予備処理として事前に施されてもよい。スラグは、高炉や脱硫処理に行われる溶銑予備処理等によって生じるものである。
そして、溶銑鍋2が処理位置となった後、脱硫処理が開始される(時刻T)。脱硫処理では、まず、昇降装置によって攪拌羽根11が下降することで、攪拌羽根11が溶銑3に浸漬する。そして、溶銑3に浸漬すると同時に、攪拌羽根11は、回転装置によって回転し、所定の回転速度となるまで回転速度が上げられる。攪拌羽根11の回転によって、溶銑3は攪拌される。この攪拌羽根11による攪拌は、脱硫処理が終了するまで継続して行われる。
攪拌羽根11が所定の回転速度となった後、溶銑3中の酸素濃度を低減する脱酸工程を行う。図2に示す例では、時刻T〜時刻Tの時間が脱酸工程となる。脱酸工程では、まず、脱酸剤であるAl滓を、ホッパー12から切り出し、シュート14を介して溶銑3に投入する。そして、所定の時間(図2に示す時刻Tまでの時間)、攪拌羽根11によって溶銑3を攪拌することで、脱酸反応を進行させる。脱酸工程では、投入されたAl滓により、溶銑3中の酸素とAl滓中のAlとが反応することで、溶銑3中の酸素濃度(フリー酸素の濃度)が低下する脱酸反応が進行する。脱硫反応は、溶銑3中の酸素ポテンシャルが低い方が促進される。このため、脱酸工程を経てから後述の脱硫工程を行うことで、より高い脱硫効率で脱硫処理を行うことができる。脱酸工程において投入されるAl滓の質量(投入量)は、目標とする脱硫処理後の溶銑3の硫黄濃度、脱硫処理前の溶銑3の温度、並びに溶銑3中のシリコン濃度及び燐濃度に応じて適宜設定されるものであり、機械攪拌式の脱硫処理方法において一般的に設定されるものと同等である。なお、Al滓の投入によって生じるアルミナ(金属Alが溶銑3の酸素と反応したもの及びAl滓に含まれるもの)は、多すぎる場合には、脱硫工程において投入される脱硫剤の凝集効果を促進させ、脱硫効率低下の原因となる。このため、Al滓の投入量の上限は、後述の脱硫工程において投入される脱硫剤の質量(投入量)のCaO純分の質量に対する、Al純分量(Alを含む、金属Al及びアルミナにおけるAl純分での質量の総量)の割合で、1mass%〜15mass%の間の値とすることが好ましい。なお、この上限は、必要な脱硫効率等の影響を受けるため、一義的に決まるものではないが、上記の範囲とすることで一般的に必要とされる脱硫効率の範囲で適用することができる。また、脱酸工程に要する時間は、投入されたAl滓中のAlが十分に反応する時間に設定されることが好ましく、溶銑3の成分組成や攪拌条件、Al滓の成分組成、Al滓の投入量等の各種条件に応じて決定される。なお、脱硫工程においても脱酸反応が進むため、脱酸工程に要する時間は、Al滓中のAlが完全に反応しきるまでの時間とする必要はなく、必要な脱硫効率に応じて適宜設定される。さらに、脱酸剤は、Al滓に限らず、溶銑を脱酸可能なものであれば他の副原料であってもよい。この場合、金属Alを含む副原料や、Al以外のSi等の他の元素を含む副原料であってもよい。なお、Al滓を用いることにより、脱硫処理に掛かるコストを低減することができる。また、Al滓には、アルミナが含まれる。アルミナは、後述する脱硫工程において、脱硫効率の向上に寄与するため、この観点からも脱酸剤としてAl滓を用いることが好ましい。
脱酸工程の後、溶銑3中の硫黄濃度を低減する脱硫工程を行う。図2に示す例では、時刻T〜時刻Tの時間が脱硫工程となる。脱硫工程では、まず、脱硫剤をホッパー12から切り出し、シュート14を介して溶銑3に投入する。そして、所定の時間(図2に示す時刻Tまでの時間)、攪拌羽根11によって溶銑3を攪拌することで、脱硫反応を進行させる。脱硫工程では、脱硫剤中のCaOと溶銑3中の硫黄との「CaO+S→CaS+O」の反応によって、脱硫反応が進行する。この際、脱酸工程において投入されたAl滓によって、溶銑3にはアルミナ(金属Alが溶銑3の酸素と反応したもの及びAl滓に含まれるもの)が含まれる。このアルミナは、投入された脱硫剤中のCaOと反応し、CaOの表面の融点を下げることで、脱硫効率を向上させる効果(上記の脱硫反応を促進させる効果)がある。脱硫工程における脱硫剤の投入量は、溶銑3の成分組成や溶銑3の温度、目標の脱硫処理後の溶銑3の硫黄濃度、想定される脱硫効率、脱硫工程に要する時間等に応じて適宜設定される。このうち、想定される脱硫効率については、同一の設備を用いて行われる脱硫処理の、複数回の試行や過去の操業実績等から設定される。脱硫工程に要する時間は、溶銑3の成分組成や溶銑3の温度、目標の脱硫処理後の溶銑3の硫黄濃度、想定される脱硫効率、脱硫剤の投入量等に応じて設定される。なお、脱硫処理の実際の操業では、処理に要する時間が他の工程との関係から、制限されることが一般的である。このため、脱硫処理に対して予め設定される時間から、脱硫工程に割り当てられる時間を設定し、設定された脱硫工程に要する時間から脱硫剤の投入量が設定されてもよい。また、後述の凝集工程においても、脱硫工程よりは低い効率であるが、脱硫反応が進行する可能性がある。このため、凝集工程における脱硫反応を考慮し、脱硫工程では目標の硫黄濃度まで脱硫が行われなくてもよい。一般的な機械攪拌式脱硫装置1である場合、例えば、脱硫工程に要する時間は、脱硫剤の添加から1分〜4分、溶銑3を攪拌させた時間とすることができる。
脱硫工程の後、脱酸剤や脱硫剤によって形成されるスラグを凝集させる、凝集工程を行う。図2に示す例では、時刻T〜時刻Tの時間が脱硫工程となる。なお、時刻Tは、脱硫処理が終了するタイミングである。凝集工程では、凝集剤であるAl滓をホッパー13から切り出し、シュート14を介して溶銑3に投入する。そして、所定の時間(図2に示す時刻Tまでの時間)、攪拌羽根11によって溶銑3を攪拌することで、スラグの凝集を促進させる。凝集工程では、溶銑3に混濁して含まれているスラグのCaOと反応することで、CaOの表面の融点が下がる。これにより、CaOの表面の少なくとも一部が溶融した状態となることから、CaO同士の凝集が促進される。溶銑3に投入する凝集剤の質量(投入量)は、脱硫剤のCaO純分での投入量に対する、凝集剤のアルミナ純分の質量の割合で、2mass%以上7mass%以下とすることが好ましい。この脱硫剤に対する凝集剤の投入量の割合が、2mass%未満となる場合、スラグが十分に凝集しない可能性がある。また、凝集剤の投入量が多すぎる場合、脱硫処理に係るコストや、溶銑3のAlの増加から次工程以降での酸化精錬処理に係るコストの増加が問題となる。このため、脱硫剤に対する凝集剤の投入量の割合の上限は、7mass%とすることが好ましい。凝集工程に要する時間は、機械攪拌式脱硫装置1の仕様や所望するスラグの凝集による効果(後述する復硫の抑制効果)の程度に応じて設定されるが、一般的な機械攪拌式脱硫装置であれば、アルミナの添加が完了してから攪拌させる時間を1分以上5分以下とすることが好ましい。凝集工程に要する時間が短い場合、スラグの凝集が進まず、復硫の抑制効果が十分に得られない可能性がある。一方、凝集工程に要する時間が長い場合、溶銑3の温度低下や、脱硫処理の処理時間が長くなるといった問題が生じる。
凝集工程が終了すると、溶銑3の脱硫処理が終了することとなる。脱硫処理の終了後は、攪拌羽根11の回転を停止し、攪拌羽根11を溶銑3から抜き出す。そして、溶銑3の浴面に浮遊しているスラグを除去する、除滓処理が行われる。本実施形態では、脱硫処理において凝集工程を行っているため、溶銑3に懸濁して含まれているスラグが凝集して、溶銑3中のスラグが大きくなる。このため、溶銑3に懸濁して含まれているスラグが浮上しやすくなり、結果的に、浴面に浮遊しているスラグを除いた溶銑3中に含まれるスラグの量を減少させることができる。つまり、本実施形態によれば、凝集工程を行わない従来の脱硫処理に比べて、除滓処理において除去されるスラグの量を増大させることができ、除滓後の溶銑3に含まれるスラグの量を減少させることができるようになる。これにより、次工程での復硫を抑制することができるようになる。特に、脱硫剤の分散による脱硫効率の向上を図って、脱硫剤の粒径を小さくする場合、脱硫工程後の溶銑3中にはCaOを含む小さな粒径のスラグが多く存在することとなる。しかし、本実施形態では、凝集工程を行うことで、このような溶銑3に対しても脱硫処理後の溶銑3中のスラグを復硫が問題とならない程度に除去することができるようになる。また、上記実施形態では、既存の機械攪拌式脱硫装置1を用いることができるため、スラグの凝集による復硫の抑制効果を得るために新たな設備を設ける必要がない。さらに、上記実施形態では、溶銑3中のスラグを浮上させるために、脱硫処理後に溶銑鍋2を長時間静置させる必要がないことから、生産性を向上及び溶銑温度の低下の抑制を図ることができる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、凝集剤としてAl滓を用いるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。凝集剤は、少なくともアルミナを含有するものであれば、他の副原料であってもよい。なお、上記実施形態のように、凝集剤をAl滓とすることで、脱酸剤と同じ副原料を凝集剤として用いることができるため、機械攪拌式脱硫装置1のホッパーに空きがないような場合においても、設備を追加することなく、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、機械攪拌式脱硫装置1がシュート13による上添加方式にて副原料を投入する構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、溶銑鍋2の上方に配されたランスから、キャリアガスとともに少なくとも脱硫剤を含む副原料を溶銑鍋2内の溶銑3に噴射させる投射方式にて副原料を投入する構成としてもよい。また、脱硫剤を、上添加方式と投射方式の2つの方式で添加するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、副原料である脱酸剤と脱硫剤とを用いて脱硫処理を行うこととしたが、本発明は係る例に限定されない。例えば、他の脱硫処理にて発生し、除滓処理によって回収されたスラグであるリサイクルスラグをさらに用いて脱硫処理を行ってもよい。この場合、脱硫処理では、例えば、除滓が行われた脱硫処理前の溶銑3に対して、重機等を用いてリサイクルスラグを添加し、その後、上記実施形態と同様な脱硫処理を行ってもよい。
さらに、上記実施形態では、脱酸工程、脱硫工程及び凝集工程を順に行う構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、脱硫処理の前後に行われる他の処理との関係から、脱硫処理では、脱酸工程を行わずに、上記実施形態における脱硫工程及び凝集工程を行う構成としてもよい。また、脱硫処理では、脱酸工程を行わずに、脱硫工程にて脱硫剤と同時に脱酸剤を添加する構成としてもよい。なお、脱硫処理の前に脱珪処理や脱燐処理といった溶銑予備処理を行う場合、脱酸工程を行うことで、脱硫剤を投入する前の溶銑の酸素ポテンシャルが低減されることから、脱硫効率を高めることができる。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る溶銑の脱硫処理方法は、攪拌羽根11で溶銑鍋2内の溶銑3を攪拌しながら脱硫処理を行う、機械攪拌式脱硫装置1を用いた溶銑3の脱硫処理方法であって、溶銑3中の酸素を除去する脱酸剤を溶銑3に投入し、溶銑3を攪拌する脱酸工程(T〜T)と、脱酸工程の後、CaOを少なくとも含む脱硫剤を溶銑3に投入し、溶銑3を攪拌する脱硫工程(T〜T)と、脱硫工程の後、Alを少なくとも含む凝集剤を溶銑3に投入し、溶銑3を攪拌し、脱硫処理を終了する凝集工程(T〜T)と、を備える。
(1)上記(1)の構成によれば、凝集工程において、溶銑3に懸濁して含まれているスラグが凝集するため、スラグが大きくなり浴面へと浮上しやすくなる。このため、除滓処理におけるスラグの除去率が向上することから、除滓処理後の溶銑3中に含まれるスラグの量を低減することができる。これにより、次工程以降に行われる酸化精錬処理において、復硫を抑制することができる。また、上記(1)の構成によれば、新たな設備や脱硫剤を用いる必要がないことから、従来の設備及び脱硫剤を用いた場合においても、適用することができる。さらに、脱硫工程では、溶銑3中に分散しやすく、脱硫工程のみでは凝集が難しい粒径の脱硫剤を用いることができるため、高い脱硫効率を得ることができる。
(2)上記(1)の構成において、凝集工程では、凝集剤を投入した後、1分以上5分以下の間、溶銑3を攪拌する。
(3)上記(1)または(2)の構成において、凝集工程では、脱硫工程で投入された脱硫剤のCaO純分の投入量に対して、2mass%以上7mass%以下のAl純分の投入量で凝集剤を投入する。
上記(2),(3)の構成によれば、溶銑3中のスラグの凝集がより十分に行われるため、復硫をより抑制することができる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一つの構成において、脱硫工程の前に、溶銑中の酸素を除去する脱酸剤を溶銑に投入し、溶銑を攪拌する脱酸工程をさらに備える。
上記(4)の構成によれば、凝集剤として脱酸剤と別の副原料を用いる必要がないため、ホッパーの数といった設備の制約によらず、本発明を適用することができる。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つの構成において、脱酸剤及び凝集剤としてAl滓を用いる。
上記(5)の構成によれば、脱硫効率をより高めることができる。
本発明者らが行った実施例について説明をする。実施例では、まず、高炉から出銑された340tの溶銑3をトピードから溶銑鍋2に払い出した。次いで、除滓処理することで溶銑3の浴面の高炉スラグを除去し、溶銑3の成分組成の分析を行った。さらに、除滓処理した溶銑3に対し、上記実施形態と同様に、機械攪拌式脱硫装置1を用いて脱硫処理を行った。
脱硫処理では、攪拌羽根11の回転数を120rpmとした。また、Al滓として、金属Alが25mass%以上、アルミナが50mass%以上含まれるものを用いた。脱硫処理の脱酸工程では、脱酸剤であるAl滓を溶銑1t当たりの投入量で0.1kg/t〜1.5kg/t投入した。脱硫処理の脱硫工程では、脱硫剤を溶銑1t当たりの投入量で3kg/t〜5kg/t投入し、脱硫剤の投入後、1.5分間、溶銑3の攪拌を行った。脱硫処理の凝集工程では、凝集剤であるAl滓を溶銑1t当たりの投入量で0.1kg/t〜0.5kg/t投入し、凝集剤の投入後、1.5分間、溶銑3の攪拌を行い、脱硫処理を終了した。
さらに、実施例では、脱硫処理終了後に、除滓処理を行い、溶銑3の成分組成の分析を行った。脱硫処理後の脱硫処理の後、さらに転炉で脱炭反応を伴う酸化精錬処理を行い、酸化精錬処理後の溶鋼の成分組成を分析した。そして、酸化精錬処理後の溶鋼における、脱硫処理後の溶銑からの復硫量(mass%)を算出した。
また、比較例として、凝集工程を行わない脱硫処理を行った。比較例における凝集工程の有無以外の他の条件は、実施例と同じとし、実施例と同様に転炉での復硫量を調査した。
実施例及び比較例の結果、表1及び図3に示す。表1には、実施例及び比較例における、脱硫処理前後での溶銑3中の硫黄濃度、凝集工程の有無、脱硫工程において脱硫剤を投入してから溶銑3を攪拌させた時間、凝集工程において凝集剤を投入してから溶銑3を攪拌させた時間及び転炉での酸化精錬処理後の復硫量をそれぞれ示す。なお、表1における数値は、実施例及び比較例において複数回行われた脱硫処理の平均値である。また、図3では、横軸にAl滓の投入比率、縦軸に転炉での酸化精錬処理後の復硫量をそれぞれ示す。Al滓の投入比率は、脱硫工程において投入された副原料(脱酸剤、脱硫剤及び凝集剤)の投入量の総量に対する、Al滓(脱酸剤及び凝集剤)の投入量の総量の比率である。なお、図3に示すプロットの処理条件は、表1の平均値に相当する。
Figure 0006954246
表1に示すように、比較例に対して、実施例では復硫量が33%程度低減できており、本発明により、復硫が抑制されることが確認できた。また、図3からも、同程度のAl滓の投入量で復硫量を比較すると、実施例の方が、復硫量が低減することが確認できた。さらに、図3に示すように、復硫量は、脱硫処理でのAl滓の投入量に相関があり、Al滓の投入量が増加するほど低減することが分かる。ここで、図3に示す結果について、実施例と比較例とでは、Al滓の投入量は同程度となっている。そして、図3に示すAl滓の投入量について、比較例では、Al滓が脱酸工程においてのみ投入されたもの、実施例では、Al滓が脱酸工程及び凝集工程において投入されたものとなっている。つまり、脱酸工程にのみに関すれば、比較例に比べて実施例の方がAl滓の投入量は低い状態となっている。図3に示す復硫量とAl滓の投入量との相関は、Al滓に含まれるアルミナや脱酸により生じたアルミナによって、スラグが凝集し、スラグの浮上が促進されたことが影響していると考えられる。しかし、脱酸工程において添加されるAl滓は、脱硫工程におけるスラグの凝集に寄与するため、投入量が多くなることによって脱硫効率の低下を招く。これは、表1に示すように、比較例に比べ実施例の方が、脱硫効率が高くなっていることからも確認できる。つまり、実施例によれば、Al滓の投入量を同程度とした場合においても、脱硫効率を高められ、さらに、復硫量が低減するという効果が得られることが確認できた。
1 機械攪拌式脱硫装置
11 攪拌羽根
12,13 ホッパー
14 シュート
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 台車

Claims (3)

  1. 攪拌羽根で溶銑鍋内の溶銑を攪拌しながら脱硫処理を行う、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫処理方法であって、
    CaOを少なくとも含む脱硫剤を前記溶銑に投入し、前記溶銑を攪拌する脱硫工程と、
    前記脱硫工程の後、Alを少なくとも含む凝集剤を前記溶銑に投入し、前記溶銑を攪拌し、脱硫処理を終了する凝集工程と、
    前記脱硫工程の前に、前記溶銑中の酸素を除去する脱酸剤を前記溶銑に投入し、前記溶銑を攪拌する脱酸工程と、を備え
    前記脱酸剤及び前記凝集剤としてAl滓を用いる、溶銑の脱硫処理方法。
  2. 前記凝集工程では、前記凝集剤を投入した後、1分以上5分以下の間、前記溶銑を攪拌する、請求項1に記載の溶銑の脱硫処理方法。
  3. 前記凝集工程では、前記脱硫工程で投入された前記脱硫剤のCaO純分の投入量に対して、2mass%以上7mass%以下のAl純分の投入量で前記凝集剤を投入する、請求項1または2に記載の溶銑の脱硫処理方法
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