JP5195737B2 - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法に関し、詳しくは、脱硫反応を促進して効率良く溶銑を脱硫する方法に関する。
高炉から出銑された溶銑には、鋼の品質に悪影響を及ぼす燐(元素記号:P)、硫黄(元素記号:S)が高濃度に含有されており、これらを除去する種々の技術が開発されている。今日の鉄鋼精錬プロセスにおいては、転炉での脱炭精錬に先立って溶銑に含有される燐及び硫黄を予め除去する方法、所謂、「溶銑の予備処理」が一般的に行われている。このうち、溶銑の脱硫処理は、水平断面がほぼ円形を有する精錬容器に溶銑を保持し、脱硫剤を溶銑上に添加し、インペラー(「攪拌羽根」、「攪拌翼」とも呼ぶ)と称する、羽根を有する回転子を溶銑内に浸漬して回転させ、溶銑及び脱硫剤を攪拌して脱硫する方法(以下、「機械攪拌式脱硫法」という)が広く行われている。この機械攪拌式脱硫法においては安価なCaO(石灰)を主成分とする脱硫剤が用いられている。
CaOによる溶鉄の脱硫反応は、一般的に下記の(1)式で表される。
[S]+(CaO)=(CaS)+[O] …(1)
(1)式において、[S]は溶鉄中の硫黄、(CaO)はスラグ中の酸化カルシウム、(CaS)はスラグ中の硫化カルシウム、[O]は溶鉄中の酸素を示す。
この脱硫処理においては、従来、蛍石(CaF2)などのフッ素化合物がCaOの滓化促進剤として使用されており、例えば、CaO源である生石灰に5質量%程度の蛍石を混合したCaO−CaF2系脱硫剤が広く使用されていた。しかしながら、近年、地球環境保全の観点からフッ素(F)の環境への流出が懸念されており、CaOの滓化促進剤としてフッ素化合物を使用しないで効率的に脱硫することが望まれている。
蛍石などのフッ素化合物を用いない脱硫剤の一例として、カルシウムカーバイト系の脱硫剤及びソーダ系の脱硫剤が実用化されているが、何れも長所と短所がある。カルシウムカーバイト系の脱硫剤は、強力な脱硫能力を有しているが、脱硫処理後の脱硫スラグの後処理において、アセチレンガスが発生するなどの安全上の問題点がある。また、高価であり、且つ、危険物でもあるため、取り扱いが極めて困難である。ソーダ系の脱硫剤は比較的安価であるが、強アルカリ性であるため、処理炉及び処理容器の耐火物への影響が大きい。また、排ガス中にはNaが含まれるため、その除去処理が必要である。更に、スラグ中のNa2O含有量が高くなるために、セメントなどへの再利用に制約があり、環境への影響からも望ましくない。
これらを考慮すると、CaOを主成分とする脱硫剤は安価で且つ取り扱いも容易であり、そこで、CaOを主成分とする脱硫剤であっても、滓化促進剤としてフッ素化合物を使用しない脱硫剤が提案されている。
例えば、特許文献1には、粒径150μm以下の微粉が90質量%以上であるCaO粉体100質量部に対して、アルミナを50質量%以下含有するアルミナ―金属Al混合体を5〜20質量部添加したことを特徴とする溶銑の脱硫剤が提案されている。特許文献1によれば、CaOは同時に添加されるアルミナ―金属Al混合体中のアルミナにより滓化が促進されるのみならず、アルミナ―金属Al混合体によってCaOの凝集が防止され、蛍石などのフッ素化合物を滓化促進剤として使用することなく、効率良く脱硫することができるとしている。
特開2008−50659号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、本発明者らの詳細な調査結果から、特許文献1に開示されるような、CaO粉体とアルミナ−金属Al混合体との混合物を脱硫剤として使用する場合には、脱硫処理の対象となる溶銑の温度に応じた、アルミナ−金属Al混合体の最適配合比率が存在することが分かった。具体的には、溶銑温度が低い場合は、アルミナ−金属Al混合体によってCaOの滓化を促進させるには、アルミナ−金属Al混合体の配合比率を多くする必要があり、一方、溶銑温度が高い場合は、アルミナ−金属Al混合体の配合比率を低くする必要がある。特許文献1はこの点について何ら開示していない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、機械攪拌式脱硫装置において溶銑を脱硫処理するにあたり、CaOの滓化促進剤である、蛍石などのフッ素化合物を含有しないCaO系脱硫剤を使用しても、従来のCaO−CaF2系脱硫剤を用いて脱硫処理したと同等の脱硫率で効率的に脱硫処理することのできる溶銑の脱硫方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱硫方法は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、CaO粉体に対して、金属Alを10〜50質量%含有するアルミナ−金属Al混合体を脱硫処理対象の溶銑の脱硫処理前温度に応じて下記の(2)式、(3)式及び(4)式で求められるX質量%以上、X+15質量%以下の範囲で添加した脱硫剤を、攪拌羽根によって攪拌されている溶銑の浴面に添加し、溶銑を脱硫処理することを特徴とする。
溶銑温度:1250℃以下の場合 X(質量%)=20 …(2)
溶銑温度:1250℃超え1340℃未満の場合 X(質量%)=295-0.22×T …(3)
溶銑温度:1340℃以上の場合 X(質量%)=0.2 …(4)
但し、(3)式において、Tは脱硫処理前の溶銑温度(℃)である。
第2の発明に係る溶銑の脱硫方法は、第1の発明において、前記脱硫剤を、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに溶銑の浴面に上吹き添加することを特徴とする。
第3の発明に係る溶銑の脱硫方法は、第2の発明において、前記上吹きランスは鉛直方向下方を向いて配置され、溶銑を収容する処理容器の内壁半径をD(m)、処理容器の中心から前記上吹きランス中心までの水平距離をA(m)としたときに、該水平距離(A)が、前記内壁半径(D)に対して下記の(5)式の関係を満足する範囲内であることを特徴とする。
0≦A≦(2/3)×D …(5)
本発明によれば、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑の脱硫処理を実施するにあたり、CaO粉体に対して、処理前の溶銑温度に応じた所定の配合比率でアルミナ−金属Al混合体を添加した脱硫剤を使用して脱硫処理するので、CaOは同時に添加されるアルミナ−金属Al混合体中のアルミナによって滓化が促進されて脱硫反応が促進するのみならず、アルミナ−金属Al混合体の添加量が過剰にならないために、脱硫剤コストを抑制することができる。これにより、蛍石などのフッ素化合物を滓化促進剤として使用することなく、効率良く脱硫することができると同時に、少ない脱硫剤で所望する脱硫処理が実施可能となり、脱硫剤原単位の削減、これに伴う発生スラグ量の削減などが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
機械攪拌式脱硫装置を模擬した実験装置の概略図である。 溶銑温度が1300℃のときの脱硫率と脱硫剤のアルミナ−金属Al混合体の配合比率との関係を示す図である。 水モデル実験装置において、浴内の鉛直方向の流れとその流速値とを計測した結果を示す図である。 本発明を実施した機械攪拌式脱硫装置の側面概略図である。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫処理において、CaOの滓化を促進させるとともに酸素ポテンシャルを低下させ、溶銑を効率良く脱硫する手段を検討・研究した。
その結果、特許文献1に開示されたような、CaO粉体とアルミナ−金属Al混合体との混合物からなる脱硫剤を使用して脱硫処理することで、格段に脱硫率が向上することを確認した。これは、微粉のCaOによる脱硫反応界面積の増大効果と、アルミナ−金属Al混合体による微粉のCaOの凝集防止効果と、アルミナ−金属Al混合体中の金属Alによる溶銑の酸素ポテンシャルの低下効果によるものである。
ここで、アルミナ−金属Al混合体としては、アルミドロス(「Al灰」ともいう)が最適である。アルミドロスとは、飲料用缶や自動車用アルミホイールなどとして使用されたアルミニウム金属を再資源化するにあたり、再資源化循環経路の中のアルミニウム金属を溶解する段階で、溶融したアルミニウム金属上に浮遊して形成されるものであり、金属Alを10〜50質量%含有し、アルミナと金属Alとの混合物を主成分としている。高温下で長時間空気中に曝されるので、窒化アルミニウムなどの他の成分も含有している。尚、微粉のCaOの凝集が、アルミナ―金属Al混合体の添加によって防止される理由は、アルミナ―金属Al混合体に含まれるアルミナ以外の成分により、CaO−Al23系の低融点化合物の形成が抑制されるからである。
しかしながら、本発明者らは、実機における脱硫試験結果から、脱硫率を高めて効率良く脱硫するためには、CaO粉体とアルミナ−金属Al混合体との混合物からなる脱硫剤における両者の最適混合比率は、溶銑温度に応じて変化することを知見した。また、近年、脱硫スラグ(脱硫処理後の脱硫剤)はセメント材料や路盤材料としてリサイクルされており、これらの用途ではスラグ中のアルミナ分は少ない方が望ましい。これらの事象から、溶銑温度に応じた必要最低限のアルミナ−金属Al混合体の添加量で効率的な脱硫処理を行う必要があるとの結論に至った。
そこで、本発明者らは、この課題を解決するべく、更なる検討・研究を行った。この課題を解決する要素として、CaO粉体に対するアルミナ−金属Al混合体の最適な配合比率と溶銑温度との関係を定量化することを試験・検討した。
試験は、機械撹拌式脱硫装置を模擬した実験装置を用い、上吹きランスから窒素ガスを搬送用ガスとして脱硫剤を溶銑浴面に吹き付けて添加し、そのときの脱硫挙動を調査した。脱硫剤としては、粒径150μm以下の微粉が90質量%以上であるCaO粉体に、金属Alを約30質量%含有するアルミナ−金属Al混合体を0〜50質量%の配合比率で配合させたものを使用した。また、溶銑温度は1150〜1400℃の範囲で試験した。図1に、機械攪拌式脱硫装置を模擬した実験装置の概略図を示す。
実験装置は高周波加熱コイル14を備えており、内壁半径(D)が150mmの坩堝容器10に保持され、高周波加熱コイル14によって加熱され溶融した溶銑3に、インペラー12を浸漬させ、電動機13によってインペラー12を回転させて溶銑3を攪拌した。溶銑3の攪拌が定常状態になった後、溶銑3の浴面上方に設置した上吹きランス11から、窒素ガスを搬送用ガスとして、予めアルミナ−金属Al混合体の配合比率を調整した脱硫剤を溶銑浴面に上吹き添加した。上吹きランス11の設置位置は、坩堝容器10の中心位置からの水平距離が80mmの位置に固定した。
その結果、図2に、溶銑温度が1300℃のときの脱硫率とアルミナ−金属Al混合体の配合比率との関係を示すように、或る試験温度において、所定量以上のアルミナ−金属Al混合体を配合した場合には、脱硫率が飽和して変化しない、或いは脱硫率が低下することが分かった。また、アルミナ−金属Al混合体の配合量が少ない場合も、脱硫率が低下することが分かった。即ち、脱硫処理時の溶銑温度に応じて、脱硫剤中のアルミナ−金属Al混合体の配合比率に適正値が存在することが分かった。尚、脱硫率は下記の(6)式で定義される値である。
Figure 0005195737
これは、アルミナ−金属Al混合体による液相生成効果と関係があり、最適な配合比率の場合には均一に液相が生成され、脱硫率が向上するのに対し、配合比率が小さい場合には液相生成効果が少なく、脱硫率は向上せず、一方、配合比率が高すぎる場合には大量に生成した液相により、CaO粒子同士が凝集してしまい、反応界面積が小さくなって脱硫率が低下するからである。一般的に、アルミナとCaOとの反応生成物である低融点のCaO−Al23は粘度の高いことが知られており、大量に生成されるCaO−Al23によりCaOの凝集が進むからである。
また、アルミナ−金属Al混合体の配合比率が同一の場合は、一般的には溶銑温度が高いほど脱硫率が高くなることも分かった。
これらの結果を総合的に解析した結果、CaO粉体とアルミナ−金属Al混合体との混合物からなる脱硫剤において、脱硫率を高めて効率的に脱硫処理するためには、アルミナ−金属Al混合体の配合比率を、脱硫処理前の溶銑温度に応じて下記の(2)式、(3)式及び(4)式で求められるX質量%以上、「X+15」質量%以下の範囲とする必要があることが分かった。
溶銑温度:1250℃以下の場合 X(質量%)=20 …(2)
溶銑温度:1250℃超え1340℃未満の場合 X(質量%)=295-0.22×T …(3)
溶銑温度:1340℃以上の場合 X(質量%)=0.2 …(4)
但し、(3)式において、Tは脱硫処理前の溶銑温度(℃)である。
溶銑温度が低い場合にはCaO粉体が滓化しにくいためにアルミナ−金属Al混合体の配合比率を多くする必要があり、一方、溶銑温度が高い場合にはCaOが滓化しやすいのでアルミナ−金属Al混合体の配合比率を少なくする。また、溶銑温度が高い場合には、アルミナ−金属Al混合体の添加によって低融点のCaO−Al23の生成量が多くなり、これによりCaO粒子の凝集が起こり、反応界面積が減少して脱硫率の低下の原因となるので、これを防止するために、溶銑温度が高温になるほどアルミナ−金属Al混合体の配合比率を低下させている。
脱硫剤として使用するCaO粉体は、粒径150μm以下の微粉が90質量%以上であれば十分であり、脱硫剤として使用するアルミナ−金属Al混合体は、アルミドロスと同様に、金属Alを10〜50質量%含有していれば問題ない。
また、粉体の脱硫剤を歩留り良く添加するための添加方法として、上置き添加法などに比較して、脱硫剤を搬送用ガスとともに上吹きランスから上吹き添加する方法が格段に添加歩留りが向上し、脱硫率が向上することを確認した。
また更に、実機における試験結果から、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加する場合には、脱硫剤の吹き付け位置に応じて脱硫率が大きく変化することを知見した。この原因を種々追究した結果、機械攪拌浴内の流動が大きく影響していることを確認した。
そこで、容器内径が150mmの機械攪拌式脱硫装置の水モデル実験装置を用いて、機械攪拌時の浴内流動を定量的に求めた。水モデル実験装置において、機械攪拌時の鉛直方向の流れとその流速値とを計測した結果、図3に示すように、容器中心から水平距離が100mmの位置、つまり容器半径の2/3の位置より内側では、浴面及び浴内での流れが下向きになっているのに対し、それより外側では流れが上向きになっていることが分かった。
浴内流れが下向きの場合、つまり容器半径の2/3以内の位置で脱硫剤を上吹き添加する場合には、上吹きランスから吹き付けた脱硫剤は浴中に侵入した後に下向き流れに乗って浴内へ巻込まれて脱硫反応が進むのに対し、浴内流れが上向きの場合、つまり容器半径の2/3より外側の位置で脱硫剤を上吹き添加する場合には、吹き付けた脱硫剤は一度は浴内へ侵入するものの上向き流れに乗って浴面上へ浮上することとなり、脱硫反応が抑制される。
つまり、上吹きランスを鉛直下向き方向に配置したときには、上吹きランスの設置位置を、下記の(5)式の関係を満足する範囲とするときに、高い脱硫率が得られることが分かった。
0≦A≦(2/3)×D …(5)
但し、(5)式において、Aは、処理容器の中心から上吹きランスの中心位置までの水平距離(m)、Dは、処理容器の内壁半径(m)である。
本発明は、これらの試験結果に基づくものであり、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、CaO粉体に対して、金属Alを10〜50質量%含有するアルミナ−金属Al混合体を脱硫処理対象の溶銑の脱硫処理前温度に応じて上記の(2)式、(3)式及び(4)式で求められるX質量%以上、X+15質量%以下の範囲で添加した脱硫剤を、攪拌羽根によって攪拌されている溶銑の浴面に添加し、溶銑を脱硫処理することを特徴とする。
次に、図面を参照して本発明に係る溶銑の脱硫方法を説明する。
図4は、本発明を実施した機械攪拌式脱硫装置の側面概略図であり、図4は、溶銑を収容する処理容器として水平断面が円形である鍋型の溶銑鍋を使用した例を示している。処理容器の形状については、機械攪拌式脱硫装置で脱硫処理を行うことから、図4に示すように水平断面が円形である処理容器が最適である。
図4において、高炉から出銑された溶銑3を収容する溶銑鍋2が、台車1に搭載されて機械攪拌式脱硫装置に搬入されている。機械攪拌式脱硫装置は、溶銑鍋2に収容された溶銑3に浸漬・埋没し、旋回して溶銑3を攪拌するための耐火物製のインペラー4を備えており、このインペラー4は、昇降装置(図示せず)によってほぼ鉛直方向に昇降し、且つ、回転装置(図示せず)によって軸4aを回転軸として旋回するようになっている。また、機械攪拌式脱硫装置には、溶銑3の上方に、脱硫剤6を溶銑鍋2に収容された溶銑3に向けて上吹きして添加するための上吹きランス5がほぼ鉛直方向下方を向いて設置されている。
上吹きランス5は、粉体状の脱硫剤6を収容するディスペンサー7とディスペンサー7から定量切り出すための切り出し装置8とからなる供給装置と接続しており、上吹きランス5の先端部から、搬送用ガスとともに、粉体状の脱硫剤6を任意のタイミングで供給できる構造になっている。脱硫剤6の搬送用ガスとしては、炭化水素ガス、水素ガス、COガスなどの還元性ガス、Arガスなどの不活性ガス、または窒素ガスなどの非酸化性ガスを使用する。
本発明においては、脱硫処理前の溶銑3の温度に応じて、使用する脱硫剤6はアルミナ−金属Al混合体の配合比率が異なることから、複数基のディスペンサー7を設け、例えば、アルミナ−金属Al混合体の配合比率が30質量%の脱硫剤、20質量%の脱硫剤、10質量%の脱硫剤、5質量%の脱硫剤などの、アルミナ−金属Al混合体の配合比率が異なる脱硫剤6をそれぞれのディスペンサー7に装入しておくことが好ましい。また、ディスペンサー7を2基設け、一方のディスペンサーにCaO粉体を収納し、他方のディスペンサーにアルミナ−金属Al混合体を収納し、双方の切り出し装置8の切り出し量を調整することで、アルミナ−金属Al混合体の配合比率を制御するようにしてもよい。
また、溶銑鍋2の上方位置には、溶銑鍋2を覆う集塵フード9が備えられ、集塵フード9に取り付けられた排気ダクト(図示せず)を介して処理中の排ガスやダストが集塵機(図示せず)に吸引されるようになっている。この場合、インペラー4の軸4a、上吹きランス5は、集塵フード9を貫通し且つ上下移動が可能なように設置されている。
インペラー4の位置が溶銑鍋2のほぼ中心になるように、溶銑鍋2を搭載した台車1の位置を調整し、溶銑温度を熱電対などの測温機器(図示せず)により測定し、次いで、インペラー4を下降させて溶銑3に浸漬させる。インペラー4が溶銑3に浸漬したならば、インペラー4の旋回を開始し、所定の回転数まで昇速する。インペラー4の回転数が所定の回転数に達したならば、上記(2)〜(4)式で定まる、測温された溶銑温度に応じたアルミナ−金属Al混合体の配合比率である脱硫剤6を、切り出し装置8を起動させて搬送用ガスとともに溶銑3の浴面に向けて上吹きランス5から吹き付けて添加する。この場合に、上吹きランス5の位置は上記の(5)式を満足することが好ましい。
所定量の脱硫剤6を添加完了し、そして、所定時間の攪拌が行われたなら、インペラー4の回転数を減少させ停止させる。インペラー4の旋回が停止したなら、インペラー4を上昇させ、溶銑鍋2の上方に待機させる。生成した脱硫スラグが浮上して溶銑表面を覆い、静止した状態で溶銑3の脱硫処理が終了する。脱硫処理後、生成した脱硫スラグを溶銑鍋2から排出し、次の精錬工程に溶銑鍋2を搬送する。
このようにして溶銑3を脱硫処理することで、脱硫剤中のCaO粉体は、同時に添加されるアルミナ−金属Al混合体中のアルミナにより滓化が促進されて、効率的な脱硫処理が推進されるのみならず、アルミナ−金属Al混合体の添加量が過剰にならないために、脱硫剤コストを抑制することができる。これにより、蛍石などのフッ素化合物を滓化促進剤として使用することなく、効率良く脱硫することができると同時に、少ない脱硫剤6で所望する脱硫処理が実施可能となる。
図4に示す機械攪拌式脱硫装置を用い、脱硫剤として、粒径150μm以下の微粉が90質量%以上であるCaO粉体と、アルミナ−金属Al混合体との混合物を使用して溶銑の脱硫処理を行った結果(本発明例1〜8及び比較例1〜9)を示す。
本発明例及び比較例ともに、アルミナ−金属Al混合体としては金属Alを10〜30質量%含有するAlドロスを使用し、脱硫剤の搬送用ガスとしては窒素ガスを使用し、インペラーは4枚の羽根を有し、羽根に傾斜のないものを使用した。用いた溶銑の化学成分は、C:3.5〜5.0質量%、Si:0.1〜0.3質量%、P:0.05〜0.15質量%、S:0.04〜0.05質量%で、溶銑温度は1200〜1350℃の範囲であった。脱硫処理は200〜500トンの溶銑が処理可能な、内壁半径が2000mmの溶銑鍋を処理容器として用いた。上吹きランスは、距離A=(1/3)×Dの位置に設置し、脱硫剤中のCaO純分の溶銑トンあたりの添加量は本発明例及び比較例ともに一定とした。
本発明例及び比較例ともに、脱硫処理前後の溶銑から試料を採取し、脱硫率を調査した。本発明例及び比較例の実施結果を表1に示す。
Figure 0005195737
表1に示すように、本発明例1〜8では、脱硫率は87%以上と高位にあるのに対し、比較例1〜7及び比較例9では脱硫率は80%以下と低位であった。また、比較例8に示すように、所定量以上のアルミナ−金属Al混合体を添加しても脱硫率は実施例8と比較して殆ど変わらず、アルミナ−金属Al混合体が無駄になることが確認できた。尚、比較例9は、アルミナ−金属Al混合体の配合比率が過剰であり、低融点のCaO−Al23の生成量が多くなり、これによりCaO粒子の凝集が起こり、反応界面積が減少して脱硫率が低下した。
1 台車
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 インペラー
5 上吹きランス
6 脱硫剤
7 ディスペンサー
8 切り出し装置
9 集塵フード
10 坩堝容器
11 上吹きランス
12 インペラー
13 電動機
14 高周波加熱コイル

Claims (3)

  1. 機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、脱硫処理前の溶銑温度が1150〜1400℃の範囲内の溶銑を脱硫処理する際に、脱硫処理前に脱硫処理対象の溶銑の温度を測定し、CaO粉体に対して、金属Alを10〜50質量%含有するアルミナ−金属Al混合体を脱硫処理対象の前記溶銑の脱硫処理前温度に応じて下記の(2)式、(3)式及び(4)式で求められるX質量%以上、X+15質量%以下の範囲で添加した脱硫剤を、攪拌羽根によって攪拌されている溶銑の浴面に添加し、溶銑を脱硫処理することを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
    溶銑温度:1250℃以下の場合 X(質量%)=20 …(2)
    溶銑温度:1250℃超え1340℃未満の場合 X(質量%)=295-0.22×T …(3)
    溶銑温度:1340℃以上の場合 X(質量%)=0.2 …(4)
    但し、(3)式において、Tは脱硫処理前の溶銑温度(℃)である。
  2. 前記脱硫剤を、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに溶銑の浴面に上吹き添加することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
  3. 前記上吹きランスは鉛直方向下方を向いて配置され、溶銑を収容する処理容器の内壁半径をD(m)、処理容器の中心から前記上吹きランス中心までの水平距離をA(m)としたときに、該水平距離(A)が、前記内壁半径(D)に対して下記の(5)式の関係を満足する範囲内であることを特徴とする、請求項2に記載の溶銑の脱硫方法。
    0<A≦(2/3)×D …(5)
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