JP6848437B2 - 溶鋼の脱硫方法および脱硫装置 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼の脱硫方法および脱硫装置に関する。
鋼材中の不純物元素が鋼材の品質に与える影響は大きく、近年の鋼材の高級化の需要の高まりから、不純物元素を低減する技術の開発が必要とされている。不純物元素の中でも溶鋼中の硫黄(以下、「S」と記載する)は、溶鋼中の溶質元素と硫化物系介在物(鋼材中に残留した酸化物や硫化物等の非金属粒子を介在物という)を生成する。
鋼材中の介在物は、母材と異なる性質を有するため、鋼材の破壊の起点になり、あるいは鋼材の耐食性の低下を招く原因になる。このため、溶鋼中のS濃度を低下させることにより硫化物系介在物の生成を抑制する。例えば、油井管やラインパイプをはじめとする耐サワー性や耐HIC性を要求される管材では、S濃度が40ppm以下である低S濃度の溶鋼が要求される。
低S濃度の溶鋼の溶製方法は、脱炭炉で脱炭処理した溶鋼を取鍋に出鋼し、次工程の二次精錬設備で脱硫処理を行う。
二次精錬は、(a)炭素、水素、窒素等の濃度の低減あるいは制御を目的として、溶鋼の脱ガス処理が可能になる減圧雰囲気下での脱ガスと、(b)溶鋼中の不純物元素や介在物の除去を目的としてフラックスや媒溶剤の添加による精錬(フラックス−溶鋼間の反応)の2種類に大別される。
従来、上記a,b項の処理は、機能分化のためにそれぞれ別工程で行われていたが、製造コストの削減、製造設備の集約、生産の高効率化といった観点から、単一の精錬設備を用いた多機能精錬方法の開発が求められている。これに対応して、RH真空脱ガス装置における脱硫方法が開発されている。
図9は、RH真空脱ガス装置(以下、「RH装置」ともいう)1により溶鋼2の精錬を行う状況を示す説明図である。
図9に示すように、RH装置1は、溶鋼2を収容する取鍋3の上方に設置された真空槽4と、真空槽4の下部に設けられた上昇管5および下降管6と、上昇管5に設けられた還流ガス吹込み羽口7とを備える精錬設備であり、還流ガス吹込み羽口7から還流ガス8を上方へ吹き込むことにより溶鋼2を、上昇管5、真空槽4、下降管6および取鍋3の順に還流させることにより、主に、脱ガス処理を必要とする鋼種を溶製するために用いられ、生産性の高さから二次精錬設備として国内外で広く用いられている。
そして、RH装置1で脱硫を行うため、RH装置1の真空槽4内を還流する溶鋼2の湯面に、真空槽4の内部に配置される粉体上吹きランス9から、CaOを主体とする粉状の脱硫フラックス10を吹込んで、CaOと溶鋼中のSとを反応させることにより、脱硫フラックス10の粒子(CaO粒子)の界面にCaSを固溶、析出させて粒子を除去する。以下、この脱硫方法を「RH−PB法」ともいう。
しかし、RH装置1における脱硫の反応効率は、他の反応装置を用いた脱硫方法の反応効率よりも、低いことが知られている。その理由として、真空槽4内で吹き込まれたCaO粒子が真空槽4の排気系11に吸引されて散逸すること、CaO粒子が溶鋼2に濡れ難いために溶鋼2内に巻込まれ難いこと、さらには、CaO粒子の溶鋼2との反応性が低いこと等が知られている。
また、脱硫フラックス10の吹込み量が多いと、溶製コストが増加するだけでなく、溶鋼2の温度の低下を補うために合金添加孔12から添加されるAl量も増加し、この点からも溶製コストが増加する。このため、脱硫フラックス10の単位使用量当たりの脱硫反応効率が高いことも要求される。
従来、この問題を解決するために、脱硫フラックス10としてホタル石CaFを用いることにより、高塩基度でCs(サルファイドキャパシティーといい、スラグおよび溶鋼間のSの分配関係を示す)が高く、低融点化によって液相になり反応界面積を増やし易いといった性質を有するスラグを生成し、フラックス−溶鋼2間の脱S反応を飛躍的に効率化させていた。
しかしながら、ホタル石に含まれるフッ素は環境汚染の原因となることが知られており、近年の環境規制の観点から、製鋼工程のフッ素レス化が求められている。したがって、フッ素を用いずに、低脱S能であるRH装置1等の真空脱ガス装置における脱硫フラックス10の反応効率を向上させ、極低S鋼を溶製する技術が求められている。
しかし、脱硫フラックス10にホタル石を用いないと、脱硫剤の凝集や反応界面積の低下により脱S反応効率が低下し易くなることは避けられない。
特許文献1には、上吹きランス9から真空槽4内の溶鋼2の浴面に、酸素もしくは酸化性ガスを吹き付けるとともに、アルミニウムまたはアルミニウム含有還元剤を添加し、その後その上吹きランス9からCaOを主成分とする脱硫フラックス10の粉末を少なくとも1kg/ton吹き付け、あるいはまた、上記の処理に加えて真空槽4内に滞留する溶鋼2の浴深さを低下させることにより、吹込んだ脱硫フラックス10の粉末を溶鋼とともに真空槽4と取鍋3との間で循環させることにより、溶鋼2の汚染を招くことなく、効率よく短時間で脱硫し、S濃度が3〜5質量%の低硫鋼を溶製する発明が開示されている。
特許文献2には、脱酸を終了した溶鋼2をRH装置1により真空脱ガス処理を行う際に、真空槽4の上部より鉛直に挿設したランス9からキャリアガスとともに、CaO(生石灰)の他にCaOにCaFなどを混合して低融点化した脱硫フラックス10を上吹きして脱硫処理を行った後、溶鋼2の環流を止めない範囲の圧力レベルに高め、カルシウム合金粒を合金添加孔12から真空槽4内の溶鋼2に添加することにより効率的に高清浄鋼を溶製する発明が開示されている。
特開平5−287359号公報 特開平7−70628号公報
しかし、特許文献1,2により開示された発明では、RH装置1を用いて環境負荷の大きいホタル石を用いずに、S濃度が40ppm以下の極低S鋼を、脱硫フラックス10のより少ない単位使用量で効率的に安定して溶製することはできない。
本発明は以下に列記の通りである。
(1)溶鋼を収容する取鍋の上方に配置された真空槽の下部に設けられた上昇管に設けられた還流ガス吹込み羽口から還流ガスを上方へ吹き込むことにより前記溶鋼を、前記上昇管、前記真空槽、該真空槽の下部に設けられた下降管および前記取鍋の順に還流させながら、前記真空槽の内部(具体的には、真空槽の水平面内の中心部)に配置された粉体上吹きランスから、還流する溶鋼の湯面に粉状の脱硫フラックスを吹込むことにより前記溶鋼を脱硫する方法において、
前記粉体上吹きランスとして、粉体吹き込み方向の中心方向がランス中心軸の方向に対してランス噴霧角度傾斜した偏心ランスを用い、
前記粉体上吹きランスのランス孔から、該粉体吹きランスの中心軸の延長と前記還流する溶鋼との交点までの距離を1.5〜3.5mとし、さらに、
前記粉状の脱硫フラックスを、前記環流ガス吹込み羽口の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する前記湯面へ向けて、吹込む、溶鋼の脱硫方法。
(2)前記ランス噴霧角度θは、式(1)および式(2)を満足する、1項に記載の溶鋼の脱硫方法。
tanθ≦R/(Hlance-Y) ・・・(1)
{Rn+LH-(αn+Y)×tanθ’}/(Hlance-Y)≦tanθ ・・・(2)
ただし、
浴深Y=Hs+Ls-α(m)
溶鋼高さHs=(Pa-Pr)/ρg(m)
θ:粉体上吹きランスの噴霧角度(deg)
R:真空槽の中心部の湯面高さにおける真空槽の内径(m)
Hlance:粉体上吹きランスの先端〜真空槽の中心部の鉛直方向距離であるランス高さ(m)
Y:真空槽の底部中心における浴深(m)
Rn:真空槽の底部中心から還流ガス吹込み羽口までの水平方向距離(m)
LH:水平方向への気泡到達距離(m)
αn:真空槽の底部中心〜上昇管の還流ガス吹込み羽口までの鉛直方向距離(m)
θ’:気泡塔広がり角度であり12〜15(deg)
Hs:真空槽の中心部の溶鋼と取鍋内の溶鋼の鉛直方向距離である溶鋼高さ(m)
Ls:上昇管の溶鋼への浸漬深さ(m)
α:真空槽の底部中心槽〜上昇管の先端までの鉛直方向距離(m)
Pa:大気圧(kPa)
Pr:真空槽の槽内圧力(kPa)
ρ:溶鋼の比重(g/cm3)
g:重力加速度(g/sec2)
である。
(3)前記粉状の脱硫フラックスの吹込み時に、前記偏心ランスを、前記ランス中心軸を回転中心として往復回転させる、1または2項に記載の溶鋼の脱硫方法。
(4)前記粉状の脱硫フラックスは、CaOを主体として含有し、10〜30質量%のCa系合金を含有する、1〜3項のいずれかに記載の溶鋼の脱硫方法。
(5)前記粉状の脱硫フラックスは、ホタル石を含まない、1〜4項のいずれかに記載の溶鋼の脱硫方法。
(6)溶鋼を収容する取鍋と、
前記取鍋の上方に配置される真空槽と、
該真空槽の下部に設けられて前記溶鋼に浸漬される上昇管および下降管と、
前記上昇管に設けられる還流ガス吹込み羽口とを備え、
前記還流ガス吹込み羽口から還流ガスを上方へ吹き込むことにより前記溶鋼を、前記上昇管、前記真空槽、前記下降管および前記取鍋の順に還流させながら、前記真空槽の内部に配置された粉体上吹きランスから、還流する溶鋼の湯面に粉状の脱硫フラックスを吹込むことにより前記溶鋼を脱硫する装置において、
前記粉体上吹きランスは、粉体吹き込み方向の中心方向がランス中心軸の方向に対してランス噴霧角度傾斜した偏心ランスであるとともに、前記粉状の脱硫フラックスを、前記環流ガス吹込み羽口の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する前記湯面へ向けて、吹込み、かつ
前記粉体上吹きランスのランス孔から、該粉体吹きランスの中心軸の延長と前記還流する溶鋼との交点までの距離は1.5〜3.5mである、溶鋼の脱硫装置。
(7)前記ランス噴霧角度θは、式(1)および式(2)を満足する、6項に記載の溶鋼の脱硫装置。
tanθ≦R/(Hlance-Y) ・・・(1)
{Rn+LH-(αn+Y)×tanθ’}/(Hlance-Y)≦tanθ ・・・(2)
ただし、
浴深Y=Hs+Ls-α(m)
溶鋼高さHs=(Pa-Pr)/ρg(m)
θ:粉体上吹きランスの噴霧角度(deg)
R:真空槽の中心部の湯面高さにおける真空槽の内径(m)
Hlance:粉体上吹きランスの先端〜真空槽の中心部の鉛直方向距離であるランス高さ(m)
Y:真空槽の底部中心における浴深(m)
Rn:真空槽の底部中心から還流ガス吹込み羽口までの水平方向距離(m)
LH:水平方向への気泡到達距離(m)
αn:真空槽の底部中心〜上昇管の還流ガス吹込み羽口までの鉛直方向距離(m)
θ’:気泡塔広がり角度であり12〜15(deg)
Hs:真空槽の中心部の溶鋼と取鍋内の溶鋼の鉛直方向距離である溶鋼高さ(m)
Ls:上昇管の溶鋼への浸漬深さ(m)
α:真空槽の底部中心槽〜上昇管の先端までの鉛直方向距離(m)
Pa:大気圧(kPa)
Pr:真空槽の槽内圧力(kPa)
ρ:溶鋼の比重(g/cm3)
g:重力加速度(g/sec2)
である。
(8)前記粉体上吹きランスは、前記粉状の脱硫フラックスの吹込み時に、前記ランス中心軸を回転中心として往復回転自在である、6または7項に記載の溶鋼の脱硫装置。
本発明は、上吹きランスから粉体の脱硫フラックスを溶鋼に吹き込む点は特許文献2により開示された発明と同じではあるが、
(a)偏心ランスから上昇管側の溶鋼へ向けて脱硫フラックスを吹きこむことにより粉体の巻き込みを促進する点、
(b)偏心ランスを上昇管側へ向けて往復回転(スイング)することにより、脱硫剤の凝集を抑制し、噴霧範囲を拡大する点、および
(c)ホタル石CaFを含まない脱硫フラックスを用い、Ca合金の配合比率を5〜30%に調整することにより、脱S反応効率を制御する点
の3点で特許文献2に記載された発明とは相違する。
本発明により、二次精錬設備であるRH真空脱ガス装置での粉体吹込みを利用して、環境負荷の大きいホタル石を用いずに、よりS濃度が40ppm以下の低S鋼を、より少ない脱硫フラックスの使用量で効率的に安定して製造できる。
図1は、本発明に係るRH装置を用いて溶鋼を脱硫する状況を示す説明図である。 図2は、環流ガスにより形成されるプルームアイを示す説明図である。与する粉状の脱硫フラックス14の粒子の割合を増加することができる。 図3は、ランス噴霧角度θを示すための説明図であり、図3(a)はランス噴霧角度θの上限の好適値を示し、図3(b)はランス噴霧角度θの下限の好適値を示す。 図4は、水平方向への気泡到達距離LH(m)を示すための説明図である。 図5は、気泡塔広がり角度θ’を示すための説明図である。 図6(a)は、偏心ランスを回転せずに脱硫フラックスを吹き込む場合における脱硫フラックスの噴霧範囲を示す上面図であり、図6(b)は、ランスを回転しながら脱硫フラックスを吹き込む場合における脱硫フラックスの噴霧範囲を示す上面図である。 図7は、PB原単位と脱硫率の変化(ln[S]PB前/[S]PB後)の関係を示すグラフである。 図8は、フラックス中Ca合金濃度の変更による脱硫率の変化を示すグラフである。 図9は、RH装置により溶鋼の精錬を行う状況を示す説明図である。
図1は、本発明に係るRH装置20を用いて溶鋼2を脱硫する状況を示す説明図であり、図2は、環流ガス8により形成されるプルームアイを示す説明図である。なお、以降の説明では、図9に示すRH装置1の各部と同じ部分には同一の符号を付けることにより、重複する説明を適宜省略する。
図1に示すように、本発明では、RH−PB法により溶鋼2を脱硫する。
すなわち、溶鋼2を収容する取鍋3の上方には真空槽4が配置され、真空槽4の下部に設けられた上昇管5に設けられた還流ガス吹込み羽口7から、還流ガス8を上方へ吹き込む。
これにより、溶鋼2を、上昇管5、真空槽4、下降管6および取鍋3の順に還流させながら、真空槽4の内部に配置される粉体上吹きランス13から、還流する溶鋼2の湯面に粉状の脱硫フラックス14を、例えばArガスやNガス等の不活性ガスをキャリアガスとして吹込むことにより溶鋼2を脱硫する。
このように、本発明では、RH−PB法(粉体上吹きランス13を用いた粉体吹込み方式)により、合金添加孔12を介して脱硫フラックスを溶鋼2に上置きする上置き添加方式よりも粒度の細かい粉状の脱硫フラックス14を吹き込むことにより、脱硫フラックス14の粒子と溶鋼2との間の反応界面積を増加させ、反応速度を高めることができる。
本発明では、粉体上吹きランス13として、粉体吹き込み方向の中心方向がランス中心軸の方向に対して所定のランス噴霧角度θ傾斜した偏心ランス13を用いる。すなわち、偏心ランス13を用いて脱硫フラックス14の吹込み方向を上昇管5側の湯面の方向へ偏心させて、粉状の脱硫フラックス14を吹き込むことによって、図2に示すように、上昇管5側の環流ガス8によって生じるプルームアイ(スラグ16を排除した自由表面の裸湯17の面)15の溶鋼2の湯面に生成したスパウトアイにより生じた攪拌力や、溶鋼2の湯面における還流ガス8の破泡に起因する溶鋼2の流動を利用して、還流する溶鋼2に脱硫フラックス14を効率的に巻き込ませ、脱S反応へ寄与する粉状の脱硫フラックス14の粒子の割合を増加することができる。
図3は、ランス噴霧角度θを示すための説明図であり、図3(a)はランス噴霧角度θの上限の好適値を示し、図3(b)はランス噴霧角度θの下限の好適値を示す。図4は、水平方向への気泡到達距離LH(m)を示すための説明図であり、図5は、気泡塔広がり角度θ’を示すための説明図である。図3〜5を参照しながらランス噴霧角度θの好適な範囲を説明する。
ランス噴霧角度θは、式(1)および式(2)を満足することが望ましい。
tanθ≦R/(Hlance-Y) ・・・(1)
{Rn+LH-(αn+Y)×tanθ’}/(Hlance-Y)≦tanθ ・・・(2)
ただし、
浴深Y=Hs+Ls-α(m)
溶鋼高さHs=(Pa-Pr)/ρg(m)
θ:粉体上吹きランス13の噴霧角度(deg)
R:真空槽4の中心部の湯面高さにおける真空槽4の内径(m)
Hlance:粉体上吹きランス13の先端〜真空槽4の中心部の鉛直方向距離であるランス高さ(m)
Y:真空槽4の底部中心における浴深(m)
Rn:真空槽4の底部中心から還流ガス吹込み羽口7までの水平方向距離(m)
LH:水平方向への気泡到達距離(m)
αn:真空槽4の底部中心〜上昇管5の還流ガス吹込み羽口7までの鉛直方向距離(m)
θ’:気泡塔広がり角度であり12〜15(deg)
Hs:真空槽4の中心部の溶鋼2と取鍋3の溶鋼2の鉛直方向距離である溶鋼高さ(m)
Ls:上昇管5の溶鋼2への浸漬深さ(m)
α:真空槽4の底部中心槽〜上昇管5の先端までの鉛直方向距離(m)
Pa:大気圧(kPa)
Pr:真空槽4の槽内圧力(kPa)
ρ:溶鋼2の比重(g/cm3)
g:重力加速度(g/sec2)
である。
図3(a)に示すように、ランス噴霧角度θの上限は、噴霧方向の中心軸の延長線上に真空槽4の耐火物の側壁が会合する部分となるように(溶鋼2の着地の限界点)、R/(Hlance-Y)と設定することが望ましい。
一方、図3(b)に示すように、ランス噴霧角度θの下限は、気泡塔の上昇領域の推定域に粉体噴霧範囲が重なるように、{Rn+LH-(αn+Y)×tanθ’}/(Hlance-Y)と設定することが望ましい。
なお、水平方向への気泡到達距離LH(m)は、図4に示すように、修正フルード数Fr,Hとノズル径dN(mm)および還流ガス吹込み羽口7でのガス流速VH(m/sec)より、LH(m)=3.7Fr,H 1/3dN=3.7{(ρg/ρL)×(VH 2/dNg)}1/3dNとして求めることが例示される。
また、気泡塔広がり角度θ’は、図5に示すように、気泡到達距離LH(m)の位置から垂直に気泡塔が形成されるとし、領域は気泡塔広がり角度θ’=12〜15°として設定することが例示される。
本発明では、粉体上吹きランス13の先端のランス孔18から、還流する溶鋼2の湯面19までの間の距離(すなわち、粉体上吹きランス13の先端のランス孔18から、粉体吹きランス13の中心軸の延長と還流する溶鋼2の湯面19との交点までの距離)Lを1.5〜3.5mとする。距離Lが、1.5m未満であると粉体上吹きランス13が溶損し、一方、3.5mを超えると真空槽4内で吹き込まれた脱硫フラックス14のCaO粒子が真空槽4の排気系11に吸引されて散逸し、脱S効率を高めることができないからである。
ここで、変動する湯面19の高さHsteelは、真空槽4外雰囲気の圧力をPaとし、真空槽4内圧力をPとし、溶鋼2の密度をρとし、重力加速度をgとした場合に、Hsteel=(Pa−P)/ρgとして求められるため、距離L=粉体吹きランス13の設定高さ−Hsteel=粉体吹きランス13の設定高さ−(Pa−P)/ρgとして求める。
本発明では、さらに、粉状の脱硫フラックス14を、環流ガス吹込み羽口7の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する、溶鋼2の湯面へ向けて、吹込む。これにより、脱S効率を高めることができる。
なお、脱硫フラックス14の粒度は10−5〜10−2mであることが好ましい。脱硫フラックス14の粒度が、10−5m未満であると真空槽3内で吹き込まれた脱硫フラックス14のCaO粒子が真空槽3の排気系11に吸引されて散逸し、脱S効率を高めることができず、一方、10−2m超であると、反応効率が低下してS濃度が50ppm以下の低S鋼を安定して溶製することができない。
このようにして、本発明によれば、RH−PB法における脱S反応効率を高めることができ、環境負荷の大きいホタル石を用いずにS濃度が50ppm以下の低S鋼1を、より少ない脱硫フラックス14の使用量で効率的に安定して溶製できる。
図6(a)は、偏心ランス13を回転せずに脱硫フラックス14を吹き込む場合における脱硫フラックス14の噴霧範囲を示す上面図であり、図6(b)は、偏心ランス13を回転しながら脱硫フラックス14を吹き込む場合における脱硫フラックス14の噴霧範囲を示す上面図である。
図6(a)および図6(b)に脱硫フラックス14の噴霧範囲の違いを示すように、本発明では、粉状の脱硫フラックス14の吹込み時に、偏心ランス13を、そのランス中心軸を回転中心として往復回転させることが望ましい。すなわち、RH―PB法による粉体吹込み中に、図6(a)に示すように偏心ランス13により脱硫フラックス14の吹込み方向を上昇管5側の湯面の方向へ偏心させた状態で、図6(b)に示すように、偏心ランス13をその中心軸を回転中心として往復回転(スイング)することによって、脱硫フラックス14の溶鋼2への着地点(溶鋼2への脱硫フラックス14の吹き込み位置)を変化させる。
これにより、吹き込まれた脱硫フラックス14の凝集抑制、および、脱硫フラックス14の噴霧範囲の拡大を図ることができ、プルームアイ15の周辺に脱硫フラックス14が吹き込まれ、脱硫フラックス14の巻き込み性を向上できるとともに、溶鋼2と脱硫フラックス14との間の脱S反応界面積を拡大することができる。本発明では、これらが相まって、脱硫フラックス14の反応が促進され、脱S率を向上できる。
偏心ランス13を、水平面内の中心角θで、5〜180deg往復回転させることが望ましい。偏心ランス1の回転角度が5deg未満であると吹き込まれた脱硫フラックス9の凝集抑制、および、脱硫フラックス9の噴霧範囲の拡大を図ることができず、一方、偏心ランス1の回転角度が180deg超であると、溶鋼流速の早い領域を逸脱するからである。
また、偏心ランス13の往復回転の回転速度は、1〜20(deg/sec)が望ましい。回転速度が1(deg/sec)未満であると粉体噴射方向の変化が小さくなり、吹き込まれた脱硫フラックス9の凝集抑制を図ることができず、20(deg/sec)超で回転させた場合は、回転による噴霧範囲拡大効果の影響が小さくなるからである。ただし、20(deg/sec)超の回転速度で吹き込んだ場合であっても、ランスの回転による脱硫促進効果を得ることは可能である。
図7は、PB原単位と脱硫率の変化(ln[S]PB前/[S]PB後)の関係を示すグラフである。図7のグラフにおいて、「通常PB」とは、偏心ランスではなく通常のランスを用いる従来法を示し、「上昇管向きPB」とは、偏心ランスを用いる本発明法を示し、「上昇管スイングPB」とは、偏心ランスを往復回転する本発明法を示す。
図7のグラフに示すように、偏心ランス13を用いて、脱硫フラックス14を上昇管5側の湯面の方向へ向けて吹込むことにより脱硫フラックス14の吹込み量を約10%削減できる。また、偏心ランス13を、ランス中心軸を回転中心として往復回転させながら、脱硫フラックス14を吹込むことにより脱硫フラックス14の吹込み量を約20%削減できる。
脱硫フラックス14の吹込み量のこのような削減によって、製鋼スラグの発生量の削減により環境負荷を軽減でき、脱硫フラックス14に要するコストを削減できるとともに、溶鋼2の温度低下の低減による昇熱コスト(Al添加量)を削減できる。
さらに、本発明では、粉状の脱硫フラックス14は、CaOを主体として含有し、10〜30質量%のCa系合金を含有することが望ましい。CaOを主体とする脱硫フラックス14にCa系合金を混合し、脱硫フラックス14中のCa合金の濃度を10質量%以上に制御することにより、吹込み時の溶鋼中Ca濃度を調整できる。これにより、吹込み時の溶鋼2に供給される[Ca]濃度を高めて平衡S濃度を減少させることができ、脱S反応が進行し易い条件として脱S速度を向上でき、脱S反応を効率的に進行させることができる。
Ca系合金としては、Ca−Si,Ca−Al,CaCが例示される。脱硫フラックス14におけるCaOの質量割合は例えば90%以上である。
図8は、フラックス中Ca合金濃度の変更による脱硫率の変化を示すグラフである。図8のグラフにおいて、「上昇管向きPB」とは、偏心ランスを用いる本発明法を示し、「フラックス中Ca合金濃度変更」とは、含有するCa合金の濃度を変更した脱硫フラックスを偏心ランスから吹き込む本発明法を示す。
図8のグラフに示すように、Ca合金の濃度を変更した脱硫フラックスを偏心ランスから吹き込むことにより、脱S効率をさらに高めることができる。
このように、本発明で用いる脱硫フラックス14は、ホタル石を含まなくてもRH装置20での粉体吹込みを利用してS濃度が40ppm以下の低S鋼を、より少ない脱硫フラックス14の使用量で効率的に安定して溶製できるが、環境負荷が小さく実質的に問題を生じない少量であれば、脱硫フラックス14がホタル石を含んでいてもよい。
このようにして本発明によれば、二次精錬設備であるRH装置20での粉体吹込みを利用して、すなわちRH−PB法により、環境負荷の大きいホタル石を用いずに、S濃度が40ppm以下の低S鋼を、より少ない脱硫フラックス14の使用量で効率的に安定して溶製できる。
出鋼温度:1600〜1700℃、出鋼C濃度:0.01〜0.20質量%、脱炭後S濃度:0.0010〜0.0050質量%の条件下で出鋼された溶鋼に、図1〜3に示すRH装置20を用いて、合金添加孔12よりCaOを上置き添加してスラグの塩基度調整を行った後、CaO系の脱硫フラックス14の粉体を偏心ランス13より溶鋼2に吹込むことにより、RH−PB法による脱硫処理を行った。
また、従来例として、上記の溶鋼に、図9に示すRH装置1を用いて、合金添加孔12よりCaOを上置き添加してスラグの塩基度調整を行った後、CaO系の脱硫フラックス10の粉体を偏心ランス13より溶鋼2に吹込むことにより、RH−PB法による脱硫処理を行った。
この脱硫処理の条件(溶鋼処理量、還流量、フラックス吹き込み原単位、ランスの粉体吹込み方向、試験条件、ランス偏心角度)、および判定結果(初期S濃度、終点S濃度、脱S率/フラックス吹込み原単位、Ca系合金配合比率)を表1に示す。
Figure 0006848437
表1における試験No.1〜4では、Ca系合金の配合比率を30質量%とした脱硫フラックス14を、先端のランス孔18からランス中心軸の延長と還流する溶鋼2との交点までの距離を2mに設定した偏心ランス13から、ランス中心軸を回転中心とする中心角40°で偏心ランス13を往復回転させながら、噴霧角度θ5°で吹込み、脱硫フラックス14を、環流ガス吹込み羽口7の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する湯面へ向けて、吹き込んだ。
試験No.5〜9では、Ca系合金の配合比率を10質量%とした脱硫フラックス14を、先端のランス孔18からランス中心軸の延長と還流する溶鋼2との交点までの距離を2mに設定した偏心ランス13から、ランス中心軸を回転中心とする中心角40°で偏心ランス13を往復回転させながら、噴霧角度θ5°で吹込み、脱硫フラックス14を、環流ガス吹込み羽口7の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する湯面へ向けて、吹き込んだ。
試験No.10〜14では、Ca系合金の配合比率を10質量%とした脱硫フラックス14を、先端のランス孔18からランス中心軸の延長と還流する溶鋼2との交点までの距離を2mに設定した偏心ランス13から噴霧角度θ7°で吹込み、脱硫フラックス14を、環流ガス吹込み羽口7の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する湯面へ向けて、吹き込んだ。
試験No.15〜19では、Ca系合金の配合比率を10質量%とした脱硫フラックス14を、先端のランス孔18からランス中心軸の延長と還流する溶鋼2との交点までの距離を2mに設定した偏心ランス13から噴霧角度θ5°で吹込み、脱硫フラックス14を、環流ガス吹込み羽口7の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する湯面へ向けて、吹き込んだ。
試験No.20〜24では、Ca系合金の配合比率を10質量%とした脱硫フラックス14を、先端のランス孔18からランス中心軸の延長と還流する溶鋼2との交点までの距離を2mに設定した偏心ランス13から噴霧角度θ3°で吹込み、脱硫フラックス14を、環流ガス吹込み羽口7の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する湯面へ向けて、吹き込んだ。
なお、試験No.1〜24では、
真空槽4の中心部の湯面高さにおける真空槽4の内径R:1.574(m)、
粉体上吹きランス13の先端〜真空槽4の中心部の鉛直方向距離であるランス高さHlance:2.5(m)、
真空槽4の底部中心から羽口7までの水平方向距離Rn:0.44(m)、
水平方向への気泡到達距離LH:0.06m)、
真空槽4の底部中心〜上昇管5の還流ガス吹込み羽口7までの鉛直方向距離αn:1.22(m)、
気泡塔広がり角度θ’:15(deg)、
上昇管5の溶鋼2への浸漬深さLs:0.5(m)、
大気圧Pa:101.325(kPa)、
真空槽4の槽内圧力Pr:5(kPa)、
真空槽4の中心部の溶鋼2と取鍋3の溶鋼2の鉛直方向距離である溶鋼高さ:1.40(m)、(槽内圧力Prが5(kPa)の場合)
真空槽4の底部中心槽〜上昇管5の先端までの鉛直方向距離α:1.62(m)、
溶鋼2の比重ρ:7(g/cm3)、
重力加速度g:9.80665(g/sec2)である。このため、真空槽4の底部中心における浴深Y:0.28(m)であった。したがって、例えば噴霧角度θ:3°および気泡塔広がり角度θ’:12°の場合には、(1)式は満足するものの(2)式は満足しない。
一方、試験No.25〜28では、Ca系合金の配合比率を10質量%とした脱硫フラックス10を、先端のランス孔からランス中心軸の延長と還流する溶鋼2との交点までの距離を2mに設定したランス9から、ランス中心軸の方向(鉛直下方向)へ向けて吹き込んだ。
表1に示すように、本発明例である試験No.1〜24は、終点S濃度:6〜18ppm,脱S率/フラックス吹込み原単位:7.6〜20.6%・ton/kgであり、RH−PB法により、環境負荷の大きいホタル石を用いずに、S濃度が40ppm以下の低S鋼を、より少ない脱硫フラックス14の使用量で効率的に安定して製造できたことが分かる。
特に、試験No.15〜19と試験No.5〜9とを対比することにより、ランス中心軸を回転中心として偏心ランス13を往復回転させることにより脱硫フラックス14の使用量をいっそう削減でき、また、試験No.5〜9と試験No.1〜4とを対比することにより、ランス中心軸を回転中心として偏心ランス13を往復回転させるとともに脱硫フラックス14中のCa合金配合比率を高めることにより、脱硫フラックス14の使用量をさらにいっそう削減できることがわかる。
このため、本発明によれば、例えば、油井管やラインパイプをはじめとする耐サワー性や耐HIC性を要求される管材用の溶鋼を低コストで提供できる。
これに対し、従来例である試験No.25〜28では、終点S濃度が11〜14ppmであり、S濃度が40ppm以下の低S鋼を製造できたものの、脱S率/フラックス吹込み原単位が3.7〜5.5%・ton/kgと低く、脱硫フラックス10の使用量を削減できず、製造コストが嵩んだ。
1 従来のRH装置
2 溶鋼
3 取鍋
4 真空槽
5 上昇管
6 下降管
7 還流ガス吹込み羽口
8 環流ガス
9 粉体上吹きランス
10,14 脱硫フラックス
11 排気系
12 合金添加孔
13 粉体上吹きランス(偏心ランス)
15 プルームアイ
16 スラグ
17 裸湯
18 ランス孔
19 湯面
20 本発明に係るRH装置

Claims (7)

  1. 溶鋼を収容する取鍋の上方に配置された真空槽の下部に設けられた上昇管に設けられた還流ガス吹込み羽口から還流ガスを上方へ吹き込むことにより前記溶鋼を、前記上昇管、前記真空槽、該真空槽の下部に設けられた下降管および前記取鍋の順に還流させながら、前記真空槽の内部に配置された粉体上吹きランスから、還流する溶鋼の湯面に、ホタル石を含まない粉状の脱硫フラックスを吹込むことにより前記溶鋼を脱硫する方法において、
    前記粉体上吹きランスとして、粉体吹き込み方向の中心方向がランス中心軸の方向に対してランス噴霧角度傾斜した偏心ランスを用い、
    前記粉体上吹きランスのランス孔から、該粉体吹きランスの中心軸の延長と前記還流する溶鋼との交点までの距離を1.5〜3.5mとし、さらに、
    前記粉状の脱硫フラックスを、前記環流ガス吹込み羽口の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する前記湯面へ向けて、吹込
    前記粉状の脱硫フラックスの吹込み時に、前記偏心ランスを、前記ランス中心軸を回転中心として往復回転させる、溶鋼の脱硫方法。
  2. 前記ランス噴霧角度θは、式(1)および式(2)を満足する、請求項1に記載の溶鋼の脱硫方法。
    tanθ≦R/(Hlance-Y) ・・・(1)
    {Rn+LH-(αn+Y)×tanθ’}/(Hlance-Y)≦tanθ ・・・(2)
    ただし、
    浴深Y=Hs+Ls-α(m)
    溶鋼高さHs=(Pa-Pr)/ρg(m)
    θ:粉体上吹きランスの噴霧角度(deg)
    R:真空槽の中心部の湯面高さにおける真空槽の内径(m)
    Hlance:粉体上吹きランスの先端〜真空槽の中心部の鉛直方向距離であるランス高さ(m)
    Y:真空槽の底部中心における浴深(m)
    Rn:真空槽の底部中心から還流ガス吹込み羽口までの水平方向距離(m)
    LH:水平方向への気泡到達距離(m)
    αn:真空槽の底部中心〜上昇管の還流ガス吹込み羽口までの鉛直方向距離(m)
    θ’:気泡塔広がり角度であり12〜15(deg)
    Hs:真空槽の中心部の溶鋼と取鍋内の溶鋼の鉛直方向距離である溶鋼高さ(m)
    Ls:上昇管の溶鋼への浸漬深さ(m)
    α:真空槽の底部中心槽〜上昇管の先端までの鉛直方向距離(m)
    Pa:大気圧(kPa)
    Pr:真空槽の槽内圧力(kPa)
    ρ:溶鋼の比重(g/cm3)
    g:重力加速度(g/sec2)
    である。
  3. 前記粉状の脱硫フラックスは、10〜30質量%のCa系合金を含有し、質量割合で残部の90%以上がCaOである、請求項1または2に記載の溶鋼の脱硫方法。
  4. 溶鋼を収容する取鍋の上方に配置された真空槽の下部に設けられた上昇管に設けられた還流ガス吹込み羽口から還流ガスを上方へ吹き込むことにより前記溶鋼を、前記上昇管、前記真空槽、該真空槽の下部に設けられた下降管および前記取鍋の順に還流させながら、前記真空槽の内部に配置された粉体上吹きランスから、還流する溶鋼の湯面に、ホタル石を含まない粉状の脱硫フラックスを吹込むことにより前記溶鋼を脱硫する方法において、
    前記粉体上吹きランスとして、粉体吹き込み方向の中心方向がランス中心軸の方向に対してランス噴霧角度傾斜した偏心ランスを用い、
    前記粉体上吹きランスのランス孔から、該粉体上吹きランスの中心軸の延長と前記還流する溶鋼との交点までの距離を1.5〜3.5mとし、さらに、
    前記粉状の脱硫フラックスを、前記環流ガス吹込み羽口の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する前記湯面へ向けて、吹込み、
    前記ランス噴霧角度θは、式(1)および式(2)を満足する、溶鋼の脱硫方法。
    tanθ≦R/(Hlance-Y) ・・・(1)
    {Rn+LH-(αn+Y)×tanθ’}/(Hlance-Y)≦tanθ ・・・(2)
    ただし、
    浴深Y=Hs+Ls-α(m)
    溶鋼高さHs=(Pa-Pr)/ρg(m)
    θ:粉体上吹きランスの噴霧角度(deg)
    R:真空槽の中心部の湯面高さにおける真空槽の内径(m)
    Hlance:粉体上吹きランスの先端〜真空槽の中心部の鉛直方向距離であるランス高さ(m)
    Y:真空槽の底部中心における浴深(m)
    Rn:真空槽の底部中心から還流ガス吹込み羽口までの水平方向距離(m)
    L H :水平方向への気泡到達距離(m)
    αn:真空槽の底部中心〜上昇管の還流ガス吹込み羽口までの鉛直方向距離(m)
    θ’:気泡塔広がり角度であり12〜15(deg)
    Hs:真空槽の中心部の溶鋼と取鍋内の溶鋼の鉛直方向距離である溶鋼高さ(m)
    Ls:上昇管の溶鋼への浸漬深さ(m)
    α:真空槽の底部中心槽〜上昇管の先端までの鉛直方向距離(m)
    Pa:大気圧(kPa)
    Pr:真空槽の槽内圧力(kPa)
    ρ:溶鋼の比重(g/cm 3 )
    g:重力加速度(g/sec 2 )
    である。
  5. 溶鋼を収容する取鍋と、
    前記取鍋の上方に配置される真空槽と、
    該真空槽の下部に設けられて前記溶鋼に浸漬される上昇管および下降管と、
    前記上昇管に設けられる還流ガス吹込み羽口とを備え、
    前記還流ガス吹込み羽口から還流ガスを上方へ吹き込むことにより前記溶鋼を、前記上昇管、前記真空槽、前記下降管および前記取鍋の順に還流させながら、前記真空槽の内部に配置された粉体上吹きランスから、還流する溶鋼の湯面に、ホタル石を含まない粉状の脱硫フラックスを吹込むことにより前記溶鋼を脱硫する装置において、
    前記粉体上吹きランスは、粉体吹き込み方向の中心方向がランス中心軸の方向に対してランス噴霧角度傾斜した偏心ランスであるとともに、前記粉状の脱硫フラックスを、前記環流ガス吹込み羽口の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する前記湯面へ向けて、吹込み、かつ
    前記粉体上吹きランスのランス孔から、該粉体吹きランスの中心軸の延長と前記還流する溶鋼との交点までの距離は1.5〜3.5mであ
    前記粉体上吹きランスは、前記粉状の脱硫フラックスの吹込み時に、前記ランス中心軸を回転中心として往復回転自在である、溶鋼の脱硫装置。
  6. 前記ランス噴霧角度θは、式(1)および式(2)を満足する、請求項に記載の溶鋼の脱硫装置。
    tanθ≦R/(Hlance-Y) ・・・(1)
    {Rn+LH-(αn+Y)×tanθ’}/(Hlance-Y)≦tanθ ・・・(2)
    ただし、
    浴深Y=Hs+Ls-α(m)
    溶鋼高さHs=(Pa-Pr)/ρg(m)
    θ:粉体上吹きランスの噴霧角度(deg)
    R:真空槽の中心部の湯面高さにおける真空槽の内径(m)
    Hlance:粉体上吹きランスの先端〜真空槽の中心部の鉛直方向距離であるランス高さ(m)
    Y:真空槽の底部中心における浴深(m)
    Rn:真空槽の底部中心から還流ガス吹込み羽口までの水平方向距離(m)
    LH:水平方向への気泡到達距離(m)
    αn:真空槽の底部中心〜上昇管の還流ガス吹込み羽口までの鉛直方向距離(m)
    θ’:気泡塔広がり角度であり12〜15(deg)
    Hs:真空槽の中心部の溶鋼と取鍋内の溶鋼の鉛直方向距離である溶鋼高さ(m)
    Ls:上昇管の溶鋼への浸漬深さ(m)
    α:真空槽の底部中心槽〜上昇管の先端までの鉛直方向距離(m)
    Pa:大気圧(kPa)
    Pr:真空槽の槽内圧力(kPa)
    ρ:溶鋼の比重(g/cm3)
    g:重力加速度(g/sec2)
    である。
  7. 溶鋼を収容する取鍋と、
    前記取鍋の上方に配置される真空槽と、
    該真空槽の下部に設けられて前記溶鋼に浸漬される上昇管および下降管と、
    前記上昇管に設けられる還流ガス吹込み羽口とを備え、
    前記還流ガス吹込み羽口から還流ガスを上方へ吹き込むことにより前記溶鋼を、前記上昇管、前記真空槽、前記下降管および前記取鍋の順に還流させながら、前記真空槽の内部に配置された粉体上吹きランスから、還流する溶鋼の湯面に、ホタル石を含まない粉状の脱硫フラックスを吹込むことにより前記溶鋼を脱硫する装置において、
    前記粉体上吹きランスは、粉体吹き込み方向の中心方向がランス中心軸の方向に対してランス噴霧角度傾斜した偏心ランスであるとともに、前記粉状の脱硫フラックスを、前記環流ガス吹込み羽口の直上から水平方向へ1m以内離れた範囲に存在する前記湯面へ向けて、吹込み、かつ
    前記粉体上吹きランスのランス孔から、該粉体上吹きランスの中心軸の延長と前記還流する溶鋼との交点までの距離は1.5〜3.5mであり、
    前記ランス噴霧角度θは、式(1)および式(2)を満足する、溶鋼の脱硫装置。
    tanθ≦R/(Hlance-Y) ・・・(1)
    {Rn+L H -(αn+Y)×tanθ’}/(Hlance-Y)≦tanθ ・・・(2)
    ただし、
    浴深Y=Hs+Ls-α(m)
    溶鋼高さHs=(Pa-Pr)/ρg(m)
    θ:粉体上吹きランスの噴霧角度(deg)
    R:真空槽の中心部の湯面高さにおける真空槽の内径(m)
    Hlance:粉体上吹きランスの先端〜真空槽の中心部の鉛直方向距離であるランス高さ(m)
    Y:真空槽の底部中心における浴深(m)
    Rn:真空槽の底部中心から還流ガス吹込み羽口までの水平方向距離(m)
    L H :水平方向への気泡到達距離(m)
    αn:真空槽の底部中心〜上昇管の還流ガス吹込み羽口までの鉛直方向距離(m)
    θ’:気泡塔広がり角度であり12〜15(deg)
    Hs:真空槽の中心部の溶鋼と取鍋内の溶鋼の鉛直方向距離である溶鋼高さ(m)
    Ls:上昇管の溶鋼への浸漬深さ(m)
    α:真空槽の底部中心槽〜上昇管の先端までの鉛直方向距離(m)
    Pa:大気圧(kPa)
    Pr:真空槽の槽内圧力(kPa)
    ρ:溶鋼の比重(g/cm 3 )
    g:重力加速度(g/sec 2 )
    である。
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