JP2005068506A - 溶銑の脱硫方法及び脱硫装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶銑脱硫を行う際に、インペラーによる回転攪拌の利点と、脱硫剤粉末の吹き込み添加による利点を兼ね備え、しかも、インペラー寿命は脱硫剤粉末を上置き添加する場合と変わらない脱硫方法及びその実施に適した脱硫装置を提供する。
【解決手段】 溶銑鍋1に溶銑を装入し、回転軸3の下端に開口する吐出口5を備えたインペラー2を用いて溶銑を攪拌しながら、前記吐出口から脱硫剤粉末11を溶銑中に吹き込む。
【選択図】 図2

Description

本発明は、容器へ装入した溶銑にインペラーを浸漬・回転して脱硫する方法及び装置に関する。
高炉から出銑された溶銑にはC、Si、P、S等の不純物が含まれており、これらの不純物を精錬除去することによって溶鋼が製造される。一般的には、不純物のうちCは転炉精錬により、Si及びPは転炉精錬或いは転炉精錬前の溶銑精錬により、そしてSは主に溶銑精錬により除去されている。
ここで溶銑中の脱硫反応は、CaO系脱硫剤を用いる場合には下記反応式(3)に従って進行する。なお、式中の[S]及び[O]は、それぞれ溶銑中のS、Oであり、(CaO)及び(CaS)は、それぞれスラグ中のCaO、CaSである。
反応式(3):[S]+(CaO)=(CaS)+[O]
溶銑を脱硫処理する方法の一つとして、溶銑を溶銑鍋等の容器に装入し、脱硫剤の粉末を溶銑の湯面に上方から添加(上置き添加)してから又は上置き添加しながらインペラーで回転撹拌して脱硫を行うKR法がある。このようなインペラー撹拌による溶銑脱硫法を行う場合には、表層の脱硫スラグがインペラー羽根間の隙間から溶銑中へ侵入し、羽根の間から押し出される攪拌流によって溶銑中へ分散される。溶銑中に分散した脱硫剤粉末は、溶銑よりも比重が軽いため湯面に浮上するが、回転するインペラーにより繰返し溶銑中に巻き込むことによって、脱硫剤の利用効率ηを向上させることができる。
特許文献1には、湯面に存在する脱硫剤を溶銑内に巻き込み、かつ無駄なく拡散させることで溶銑中への脱硫剤の混合を促進し、脱硫率を向上することができる、特定形状のインペラーが記載されている。
しかしながら、脱硫剤の粉末を上置き添加する場合には、湯面近傍に設置した集塵機により脱硫剤が吸引されやすいという問題がある。集塵機の吸引による脱硫剤の浪費を減らすためには、粉末を構成する脱硫剤粒子の粒径を数ミリメートル程度以上の大きさとすることが有効である。
しかしながら、脱硫剤粒子の粒径が大きいほど未反応の脱硫剤が多量に残りやすい。例えば、脱硫剤として代表的な生石灰(CaO)粉末の場合、脱硫反応は、先ずCaO粒子の表層部で進行し、その後、粒子内部でも進行するようになるが、CaO粒子中でのS拡散速度は遅いため、CaO粒子径が大きくなるほど、限られた脱硫処理時間内では粒子内部のCaOを無駄なく消費することが困難となる。その結果、CaOの脱硫への利用効率η(=(CaS生成量(mol)/CaO添加量(mol))×100(%))が低下してしまう。従って、反応率の点では、脱硫剤粒子の粒径はできるだけ小さくすることが望まれる。
脱硫剤を溶剤に溶解して用いる場合には、上置き添加の際の集塵機による脱硫剤の吸引を回避することができるが、脱硫剤の溶液を調製する作業が必要になるので、手間がかかる。
また、脱硫剤粉末の比重が溶銑よりも小さいために溶銑内を浮上することを考慮しインジェクション脱硫法、すなわち、ランスを用いて脱硫剤粉末を窒素ガス等の気体と共に溶銑内の一定の深さに吹き込むことにより、脱硫剤粉末が吹き込まれてから浮上するまでの間の溶銑中での滞留と、浮上した脱硫剤粉末のガス攪拌力による巻き込みを利用して脱硫剤粉末と溶銑との接触効率を高め、脱硫を行う方法も知られている。ランスにより脱硫剤粉末を吹き込み添加する場合には、上置き添加の場合と異なり集塵機により脱硫剤が吸引される問題は起きないが、ランスによるガス攪拌では、湯面まで浮上してしまった脱硫剤粉末を再び溶銑内に巻き込む能力がインペラーによる機械攪拌よりも弱いため、脱硫剤の巻き込みによる利用効率ηの向上を、あまり期待することができない。
特許文献2には、インペラーを上下二段とし、さらにインペラーの羽根に設けた噴出口から脱硫剤粉末を溶銑中へ吹き込む方法が開示されている。この方法によれば、単に溶銑中へ浸漬したランスから脱硫剤を吹き込む方法よりも脱硫剤を溶銑中へ長時間滞留させることができ、脱硫率を向上できるとされる。
しかしながら、羽根の部分は、インペラーの回転時に溶銑と高速で摩擦するので、この部分に脱硫剤粉末の噴出口を設けると、該噴出口の磨耗・損耗が急激に進行してしまい、インペラーの寿命を短くしてしまう。上記特許文献2では、インペラーの回転方向を頻繁に逆転させることで偏摩耗を回避し、インペラー寿命の短縮防止を図っているが、このような方法では、設備そのものに相当な負担がかかるため、設備寿命が短くなってしまう。
特開2000−212621号公報 特開平4−99212号公報
上記問題点に鑑み、本発明は、溶銑脱硫を行う際に、脱硫剤を巻き込む性能の高い強攪拌を行えるインペラーを用いながらも、脱硫剤粉末を溶銑中に吹き込み添加することができ、しかも、インペラー寿命が脱硫剤粉末を上置き添加する場合と変わらない脱硫方法及び、該方法の実施に適した脱硫装置を提供することにある。
本発明に係る溶銑の脱硫方法は、容器に溶銑を装入し、回転軸の下端部に開口する脱硫剤の噴出口を備えたインペラーを浸漬、回転させて溶銑を攪拌しながら、前記噴出口から脱硫剤粉末を溶銑中に吹き込んで脱硫を行うことを特徴とする。
また、本発明に係る溶銑の脱硫装置は、溶銑を装入する容器、及び、溶銑を攪拌するために前記容器内に出入り自由に設置したインペラーを備え、該インペラーは、回転軸の下端部に開口する脱硫剤の噴出口を備えることを特徴とし、上記脱硫方法を実施するのに好適に用いられる。
本発明の脱硫方法は、強い攪拌動力が得られ、かつ脱硫スラグの巻き込み能力が高いため脱硫剤の分散効果が高く、脱硫剤の溶銑中での滞留時間も長いというKR脱硫法の利点と、集塵機の吸引による損失の心配なく粒径の小さい脱硫剤粉末を用いることができるという吹き込み脱硫法の利点を兼ね備えているので、溶銑と脱硫剤の接触面積増加、及び接触時間増加が図られ、脱硫速度及び脱硫剤の利用効率ηが向上する。
その結果、現状と比べて溶銑脱硫処理時間の短縮、及び、脱硫剤原単位の減量を実現することができ、経済的メリットが非常に大きい。
しかも、本発明においては、脱硫剤を供給する噴出口をインペラーの回転軸の下端部に設ける。この位置は、溶銑の回転中心に極めて近い位置なので溶銑抵抗が極めて小さい。従って、噴出口部位の摩耗・損耗を少なくすることができ、インペラー寿命は脱硫剤粉末を上置き添加する場合と変わらない。
また、脱硫剤は、回転軸の下端部に設けられた噴出口から溶銑中の深い場所に吹き込まれるので、湯面に浮上するまでの時間が長くなり、脱硫剤と溶銑の接触効率が高くなる。従って、脱硫剤の利用効率ηを向上させる効果もある。
本発明によれば、溶銑脱硫を行う際に、強い攪拌動力が得られ、かつ脱硫スラグの巻き込み能力の高いため脱硫剤の分散効果が高く、脱硫剤の溶銑中での滞留時間も長いというKR脱硫法の利点と、集塵機の吸引による損失の心配なく粒径の小さい脱硫剤粉末を用いることができるという吹き込み脱硫法の利点を兼ね備えているので、溶銑と脱硫剤の接触面積増加、及び接触時間増加が図られ、脱硫速度及び脱硫剤の利用効率ηが向上する。
その結果、現状と比べて溶銑脱硫処理時間の短縮、及び、脱硫剤原単位の減量を実現することができ、経済的メリットが非常に大きい。本発明により溶銑脱硫の操業条件を最適化した場合には、以下の脱硫性能を同時に達成することも可能である。
(1)CaO系脱硫剤原単位:5kg/t以下
(2)処理時間:10min以内
(3)脱硫率:90%以上
しかも、本発明においては、脱硫剤を供給する噴出口をインペラーの回転軸下端部に設ける。この位置は、溶銑の回転中心に極めて近い位置なので溶銑抵抗が極めて小さい。従って、噴出口部位の摩耗・損耗を少なくすることができ、インペラー寿命は、現状の脱硫剤粉末を上置き添加する場合と同等のレベルを維持することが可能である。
本発明者は、脱硫速度を高め、しかも脱硫剤の利用効率を高めるためには、基本的に以下の攪拌方法及び添加方法が有効であると考えた。
(1)攪拌方法としては、溶銑浴上へ浮いている脱硫剤を何度も繰返し溶銑中へ分散させることができるインペラー回転による機械攪拌が有効である。
(2)脱硫剤の添加方法としては、溶液に調製する手間がなく、かつ、集塵機による吸引を回避するために、脱硫剤を粉として溶銑中へ吹き込む方法が有効である。
そこで、KR法を模擬した水モデル実験を行い、水よりも比重の軽い粉がインペラーから水中へ吹き込まれた時に、どのように分散されるかを調査したところ、以下の様ないくつかの知見が得られた。
(1)先ずは、図7に示すような水モデル201において、KRインペラー2’の回転軸の下端部に羽根4’を設け、さらに回転軸の底面に粉末の噴出口5’を設け、インペラーを水浴に浸漬し回転攪拌しながら、空気をキャリアガスとして用い粉末11’を前記噴出口から水中に吹き込んだところ、水の渦中心がへこんで羽根4’の下部に空気溜りが形成され、脱硫剤粉末は空気溜りに一旦滞留した後、徐々に水浴中へ分散された(矢印A’)。また、分散された粉はやがて水面へ浮上したが(矢印B’)、インペラーによって再度水中へ分散される様子が確認された(矢印C’)。
(2)そこで図8に示すような水モデル202において、インペラー2’の回転軸を空気溜りより下方まで伸長し、その伸長部の下端部底面に噴出口5’を設け、該インペラーで水を攪拌しながら空気をキャリアガスとして用い前記噴出口から粉末を吹き込んだ。すると、軸先端から吹き込まれた粉11’はインペラー下部に滞留することなく、軸に沿って回転しながら上昇し(矢印A’)、羽根4’によって水中に分散された(矢印B’)。また、分散された粉はやがて水面へ浮上したが(矢印C’)、インペラーによって再度水中へ分散される様子が確認された(矢印D’)。
なお、回転軸を伸長する前、インペラー下部に形成されていた空気溜りは軸に沿った薄い空気層になり、粉が軸に沿って上昇するのには、ほとんど影響していない様子だった。
また、回転軸の下端部底面に噴出口を設けたインペラーを水浴中で回転させても、軸の噴出口を設けた部分の水に対する抵抗は、噴出口を設けない場合とほとんど変わらなかった。
(3)次に、回転軸の伸長部に第二の羽根を設置した。なお、以下において、回転軸の伸長部に第二の羽根を設けた場合には、伸長部に設けた第二の羽根を下段羽根と称し、伸長部より上側の回転軸に設けた羽根を上段羽根と称する。
先ず、図9に示すような水モデル203において、下段羽根12’をインペラー回転により水が下方へ流れる向きに傾けてみた。該インペラーで水を攪拌しながら、回転軸の下端部底面に設けた噴出口5’から空気をキャリアガスとして用い、粉末11’を吹き込んだ。すると、下段羽根の下部にキャリアガスのガス溜りが形成され、そのガス溜りに粉が一部滞留したが、残りは水中へ分散された(矢印A’)。また、分散された粉はやがて水面へ浮上したが(矢印B’)、インペラーによって再度水中へ分散される様子が確認された(矢印C’)。
(4)一方、図10に示すような水モデル204において、下段羽根12’をインペラー回転により水が上方へ流れる向きに羽根を傾けてみたところ、伸長部の下端部底面に設けられた噴出口5’から吹き込まれた粉11’の一部は下段羽根12’から水中へ速やかに分散され(矢印A’)、残りの粉は軸周りを回転しながら上昇し(矢印B’)、上段羽根4’によって浴中へ分散された(矢印C’)。そして、浴中へ分散された粉はやがて水面に浮上したが(矢印D’)、上段羽根4’によって再度水中へ分散される様子が確認された(矢印E’)。
上記知見から本発明者は、KR脱硫法と吹き込み脱硫法の利点を兼ね備えた方法により、脱硫剤と溶銑との接触面積及び接触時間を増加して脱硫速度及び脱硫剤の利用効率の向上を実現できる可能性を見出し、本発明を完成させた。
本発明に係る溶銑の脱硫方法は、容器に溶銑を装入し、回転軸の下端部に開口する脱硫剤の噴出口を備えたインペラーを浸漬、回転させて溶銑を攪拌しながら、前記噴出口から脱硫剤粉末を溶銑中に吹き込んで脱硫を行うことを特徴とする。
また、本発明に係る溶銑の脱硫装置は、溶銑を装入する容器、及び、溶銑を攪拌するために前記容器内に出入り自由に設置したインペラーを備え、該インペラーは、回転軸の下端部に開口する脱硫剤の噴出口を備えることを特徴とし、上記脱硫方法を実施するのに好適に用いられる。
本発明の脱硫方法によれば、インペラーを用いる機械攪拌を行うので、強く攪拌することができ、しかも回転するインペラーで湯面上に浮いた脱硫剤を効率良く何度も繰り返し溶銑中へ巻き込むことができるので、脱硫剤は溶銑中の広範囲にわたり分散させることができ、且つ、溶銑中での滞留時間を長くすることができる。
また、本発明の脱硫方法によれば、脱硫剤粉末を溶銑中に吹き込み添加するので、粒径の小さい脱硫剤粉末を用いても、集塵機による吸引による脱硫剤の浪費がない。粉末を用いるので、脱硫剤の溶液を調製する手間も不要である。また、脱硫剤粉末が吹き込まれてから浮上するまでの間の溶銑中での滞留と、ガス攪拌による脱硫剤粉末の巻き込み及び再分散とによる接触効率の向上が、上記インペラー攪拌の効果に加わるので、溶銑中での脱硫剤の分散性及び滞留時間は、さらに改善される。
さらに、吹き込み添加によりもたらされる最大の利点としては、集塵機による脱硫剤粉末吸引の問題がないため、粒径の小さい脱硫剤粉末を用いて溶銑と脱硫剤との接触面積を増加させ、それによって脱硫剤の反応性を高めることが可能となる。
これらの結果、溶銑と脱硫剤の接触面積増加、及び接触時間増加が図られ、脱硫速度及び脱硫剤の利用効率ηが向上する。
しかも、本発明においては、脱硫剤を供給する噴出口を回転軸の下端部に設ける。回転軸の下端部は溶銑の回転中心に極めて近い位置なので、ここに噴出口を設ける場合には、噴出口を羽根に設ける場合と比べて、インペラー回転中における噴出口部位の溶銑抵抗が極めて小さい。従って、該噴出口の摩耗・損耗を少なくすることができ、インペラー寿命は脱硫剤粉末を上置き添加する場合と変わらない
また、脱硫剤の噴出口を回転軸の下端部に設けることにより、脱硫剤は溶銑中の深い場所に吹き込まれるので、湯面に浮上するまでの時間が長くなり、脱硫剤と溶銑の接触効率が高くなる。従って、脱硫剤の利用効率ηを向上させる効果もある。
以下、本発明の脱硫方法及び脱硫装置を、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の脱硫方法を実施するのに好適な装置の一構成例(脱硫装置101)の概略を示す。また図2は、脱硫装置101を利用して本発明の脱硫方法を実施した状況を概略的に示した図である。
脱硫装置101は、溶銑鍋1、インペラー2、投入シュート7を備え、さらに図示されていないが、インペラー回転手段、インペラー引上げ手段、脱硫剤/キャリアガス供給手段、除滓手段等の手段又は部材を備えたKR法の脱硫装置である。脱硫装置を構成する手段や部材のうち、溶銑鍋1、インペラー2のように溶銑の高熱に曝される部分は、耐火物で形成又は被覆される。
インペラー2は、その上部においてモーター等のインペラー回転手段に接続され、溶銑を回転攪拌することができる。またインペラー2は、インペラー引上げ手段にも接続されており溶銑鍋内へ自由に出し入れ可能であり、攪拌時に溶銑鍋内に設置される。インペラーの羽根4は、回転攪拌時に溶銑を下方に流れるように適度な角度に傾けておくことが好ましい。回転軸上の羽根は、設置高さを変えて2段以上設けても良い。インペラー2の回転軸3の下端部底面には、脱硫剤の粉末をキャリアガスと共に溶銑中へ吹き込む噴出口5が設けられている。回転軸3の上部には図示していない供給口が設けられており、この供給口は、回転軸内を軸方向に貫通するガス孔6により前記噴出口5と連通している。供給口の上流側には、脱硫剤粉末とキャリアガスを供給するポンプ等の脱硫剤/キャリアガス供給手段が接続される。
脱硫装置101は脱硫剤を吹き込み添加するが、攪拌開始前に予め脱硫剤を上置き添加する場合などの補助的な添加手段として、投入シュート7又はその他の脱硫剤投入手段が設置される。さらに、脱硫スラグを除去するためにスラグドラッガー等の適当な除滓手段も設置される。
主要部材又は主要部分の寸法は、例えば、溶銑鍋の容量が200〜300t程度の場合には、インペラー羽根の直径(水平長さ)を1300〜1500mm、軸直径を500〜700mm、インペラー羽根高さを700〜900mm、ガス噴出口径を15〜30mmの範囲とすることが適当であるが、特に制限されない。
この脱硫装置101を利用して脱硫処理を行う手順を、図2を参照しながら説明する。先ず、溶銑鍋1内に溶銑8を装入し、噴出口5からガスだけを出しながら、インペラー2を溶銑中に浸漬する。次に、インペラー2を回転させて攪拌を開始すると共に、回転軸下端の噴出口5から脱硫剤粉末11の吹込み添加を開始する。
吹込み添加及び後述の上置き添加に用いる脱硫剤は、従来から溶銑脱硫に用いられているものであれば特に限定されないが、安価で脱硫能が高い点から生石灰(CaO)を主原料とし、必要に応じて蛍石及びソーダ灰等を副原料として併用することが好ましい。
吹込み添加により供給される脱硫剤粉末は、集塵機による吸入の問題がないので、上置き添加する場合よりも粒径の小さいものを用いて脱硫反応の効率を高めることができる。かかる観点から、回転軸下端の噴出口から吹込み添加される脱硫剤粉末の粒度分布は、0.001〜3mm、特に0.01〜1mmとすることが好ましい。吹込み添加される脱硫剤粉末の粒径が0.001より小さい場合には、粉末が気泡にトラップされる割合が急増し、溶銑と接触して脱硫反応に寄与する粉末の割合が減少してしまう。一方、この粒径が3mmより大きい場合には、輸送中に配管内で閉塞する可能性が高まる。
攪拌開始に先立ち、又は、攪拌開始後間もなく、投入シュート7から脱硫剤粉末9を上置き添加し、スラグ10を形成させてもよい。吹き込み添加された脱硫剤粉末が湯面まで浮上し再び羽根によって浴中へ巻き込まれ、分散されるまでに多少の時間がかかる。このため、吹き込み添加だけでは、攪拌初期における脱硫効率はそれほど高くはなく、ある時間をかけて徐々に高くなることが一般的である。これに対し、攪拌開始初期において予め適量の脱硫剤を上置き添加することにより、スラグ10が湯面に形成された状態で吹き込み添加を行う場合には、攪拌開始初期から脱硫効率を高くすることが出来るので、脱硫剤粉末を吹込み添加するだけの場合よりも脱硫処理時間を短縮することができる。
インペラー攪拌中は、脱硫剤粉末を基本的には吹込み添加するが、同時に投入シュート7から脱硫剤粉末9を上置き添加により補充してもよい。攪拌開始前及び攪拌中に上置き添加される脱硫剤粉末の粒径は、従来の上置き添加で用いる場合と同様であり、集塵機による吸引を回避するために、通常は0.1〜3mm程度の粒状のものを用いる。攪拌開始前等において限定的に集塵機の運転を一時停止して上置き添加する場合には吸入による損失が生じないので、吹込み添加で用いるものと同じ粒径範囲のものを用いてもよい。
脱硫剤の添加量は、溶銑中の硫黄含有量等を考慮して、吹込み添加及び上置き添加の合計が原単位1〜7kg/t程度とする。
このうち、吹込み添加する脱硫剤の量は、0.05〜6.3kg/t、特に0.1〜3.5kg/t程度とすることが好ましい。0.05kg/t未満では、脱硫剤粉末の吹込み添加による脱硫速度促進の効果がほとんど得られない。6.3kg/tを超える場合には、攪拌処理初期における上置き添加による脱硫速度促進の効果がほとんど得られず、全脱硫剤を吹込み添加する場合とほぼ同じとなってしまう。
吹込み添加に用いるキャリアガスとしては、従来から脱硫剤の吹込み添加に用いられているものであれば特に制限なく、例えば窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)等を挙げることができる。
吹込み添加の条件は、従来の脱硫剤の吹込み添加と同様でよく、例えば、キャリアガス流量(Nガス)を8NL/min・t、脱硫剤粉末供給量を1kg/min・tとすればよい。
インペラーによる攪拌条件は、従来のKR法による溶銑脱硫と同様であり、例えば、インペラーを静止した状態の溶銑中へ浸漬する場合、羽根の上端は浴面より下まで浸漬し、インペラー回転数は90〜140rpmとすればよい。また、噴出口が溶銑の湯面下に没した状態で攪拌が行われるように、インペラーの回転速度を調節することが好ましい。
溶銑鍋内の溶銑8は、インペラーの回転攪拌により渦を生じ、渦中心の湯面が周囲よりも低くなる(図2)。そのため、スラグ10が羽根4に巻き込まれ、溶銑中に分散される(矢印A)。一方、インペラーの回転軸下端から溶銑中に吹込み添加された脱硫剤粉末は、羽根4の下部形成されたガス溜りに一旦滞留した後、徐々に水浴中へ分散される(矢印B)。溶銑中に分散された脱硫剤粉末は溶銑中に一定時間滞留後、湯面まで上昇しスラグに合一するが(矢印C)、インペラーの回転攪拌により引き続き何度も溶銑中に分散される(矢印D)。
本発明においては、インペラー回転軸3の下端部に噴出口を設けることにより、インペラー攪拌を行いながら、脱硫剤を溶銑中の深い場所に吹き込むので、脱硫剤と溶銑の接触効率が高くなり、脱硫剤の利用効率ηを向上させることができる。噴出口は、回転軸の下端部であればどこに設けてもよく、例えば、回転軸下端部の側面、すなわち、羽根と羽根の間の側面部に設けることができる。特に、脱硫装置101のインペラー2のように、回転軸の下端部底面に設けることが最も好ましい。回転軸の下端部底面は、回転軸表面のうちで最も溶銑に対する抵抗が小さいので、噴出口の摩耗・損耗を極めて少なくすることができるためである。
インペラーによる回転攪拌、及び、脱硫剤粉末の吹込み添加は、脱硫反応が充分に進行した時点で停止し、以後、インペラー2をインペラー引上げ手段により溶銑から引き上げ、除滓を行う等の後処理を行うことにより脱硫処理を完了させることができる。
吹込み添加された脱硫剤の分散性を向上させるためには、回転軸を羽根の下端より下方へ伸長した伸長部を備えたインペラーを用いることが好ましい。図3において、その構成例(脱硫装置102)を示す。脱硫装置102は、基本的には前記図1に示した脱硫装置101と同様の構造を有するが、インペラー2は、回転軸3の一部として、当該回転軸を羽根4の下端4aよりも下方へ伸長した伸長部3aを有し、その下端部底面には、脱硫剤の粉末をキャリアガスと共に溶銑中へ吹き込む噴出口5が設けられている点に特徴がある。尚、伸長部よりも上方側の回転軸には、設置高さを変えて羽根を2段以上設けても良く、その場合には、最も下方の羽根の下端から下の部分を伸長部とする。伸長部3aは、伸長部よりも上方側の回転軸と同じ形状である必要はなく、直径等が異なるものであっても構わない。また、伸長部の下端部は、溶銑中に没した時に噴出口の周囲にガス溜まりが生じないように、その隅部3bを適度な曲率に丸めておくことが好ましい。
この脱硫装置102を前記脱硫装置101と同様の手順で運転すると、図4に示すように、溶銑鍋内の溶銑8は、インペラーの回転攪拌により渦を生じ、渦中心の湯面が周囲よりも低くなる。そのため、スラグ10が羽根4に巻き込まれ、溶銑中に分散される(矢印A)。一方、インペラーの伸長部下端から溶銑中に吹込み添加された脱硫剤粉末は、該伸長部の部分の回転軸に沿って回転しながら上昇し(矢印B)、羽根4に到達すると溶銑中に分散される(矢印C)。溶銑中に分散された脱硫剤粉末は溶銑よりも比重が小さいため、溶銑中に一定時間滞留後、湯面まで上昇しスラグに合一するが(矢印D)、インペラーの回転攪拌により引き続き何度も溶銑中に分散される(矢印E)。
インペラーにより回転攪拌を行う場合には、インペラー回転軸3の位置には渦中心が形成され、周囲よりも溶銑の湯面が低くなる。そのため、回転軸3の羽根4よりも上の高さに吹込み添加の噴出口を設けたのでは、噴出口は渦中心において湯面の上に露出してしまい、溶銑中に脱硫剤粉末を直接吹き込むことができない。
これに対し、インペラー回転軸3の下端部に噴出口を設ける場合には、溶銑に渦が生じた時でも渦中心において噴出口が溶銑中に没した状態となるので、インペラーにより溶銑を回転攪拌しながら、当該溶銑中に回転軸3の噴出口から脱硫剤粉末を直接吹込むことが可能となる。従って、吹込み添加された脱硫剤の浴中への分散性が、より向上する。
インペラーによる回転攪拌時に十分な攪拌動力を得ると同時に、回転軸の噴出口5が湯面から露出することを防止するためには、インペラーの回転速度を調節することが基本であるが、伸長部3aの長さ(H)と羽根上端の直径(L)の比(H/L)が下記式(1):
0.2≦H/L
の関係を満たすインペラー形状とすることが好ましく、さらに下記式(1s):
H/L<1.4
の関係を満たすインペラー形状とすることが特に好ましい(図3参照)。
H/L<0.2の場合には、羽根の位置よりも下方へ伸長した回転軸の先端が、羽根の下側に形成されるガス溜りの中に入ってしまい、軸先端から吹き込んだ脱硫剤粉末が一旦ガス溜りに滞留してから溶銑中へ分散されるので、速やかに脱硫に寄与する割合が少なくなってしまう。一方、H/L≧1.4の場合には、回転軸が若干でも変形するとインペラー回転時に軸が偏心してしまい、溶銑の揺動が激しくなって操業が困難になる可能性がある。また、溶銑鍋の形状によっては、この条件を実現しようとすると回転軸が鍋底に接触してしまうので、おのずと羽根直径を小さくしなければならず、結果的に脱硫率が悪化してしまう。
脱硫剤粉末を吹込み添加するための噴出口は、インペラー回転軸の伸長部下端のどこに設けても良く、例えば伸長部の下端部側面に設けることも可能であるが、脱硫装置102のインペラー2のように、伸長部3aの下端部底面に設けることが最も好ましい。伸長部3aの下端部底面は、伸長部表面のうちで最も溶銑に対する抵抗が小さいので、噴出口の摩耗・損耗を極めて少なくすることができるためである。
本発明の方法を実施するのに適した装置は、前記の脱硫装置101及び102に限定されない。図5に、別の構成例(脱硫装置103)を示す。脱硫装置103は、基本的には前記図3に示した脱硫装置102と同様の構造を有するが、インペラー2の伸長部下端に、第二の羽根として、インペラー回転時に溶銑を上方へ流す方向に傾いた下段羽根12が設けられている点に特徴がある。なお、伸長部よりも上方側の回転軸には、上段羽根4を設置高さを変えて2段以上に設けても良い。
この脱硫装置103を前記脱硫装置102と同様の手順で運転すると、図6に示すように、伸長部の下端部底面に設けられた噴出口から吹き込まれた脱硫剤粉末11の一部は、下段羽根12から溶銑中へ速やかに分散され(矢印A)、残りの脱硫剤粉末は下段羽根により生じた上昇流に運ばれて伸長部の周囲を回転しながら上昇し(矢印B)、上段羽根4に到達し、そこで上段羽根の攪拌により溶銑中へ分散される(矢印C)。溶銑中へ分散された脱硫剤粉末は、やがて湯面に浮上しスラグ10と合一するが(矢印D)、上段羽根に再度巻き込まれるので、繰り返し何度でも溶銑中へ分散される(矢印E)。
下段羽根12の寸法は脱硫装置の規模により変わるが、上記脱硫装置101で例示した範囲内の規模であれば直径を上段羽根の1/2〜1/1倍、高さを上段羽根の1/4〜1/2程度とするのが適当である。また下段羽根の傾き(θ)は、下記式(2):
20°≦θ≦85°
とすることが好ましい。
θ<20°の場合には、下段羽根により溶銑を上方へ流す力が弱くなることに伴い、下段羽根により脱硫剤粉末を溶銑中へ分散させられる量が少なくなってしまう。一方、θ>85°の場合には、下段羽根の下部に形成されるガス溜りへの脱硫剤粉末の滞留量が多くなり、脱硫率が低下してしまう。
(比較例1)
インペラーとしては、直径600mmの回転軸の下端に、高さ850mm、直径1400mmの羽根を設けた4枚羽根インペラーを使用した。但し、このインペラーは伸長部及び噴出口をもたない。
溶銑鍋に、1350〜1400℃の溶銑(溶銑中S濃度[S]≒0.032wt%)250tを装入し、上記4枚羽根インペラーを浸漬し、回転速度100rpmで攪拌を開始した。この状態で、鍋内の溶銑中に生石灰を主成分とする脱硫剤粒(≦3mm径)を6kg/t上置き添加した後、インペラー攪拌を12分間行った。なお、インペラー浸漬深さは、羽根の上端と溶銑の静止湯面との距離が溶銑深さの1/4となるようした。
その結果、処理後[S]は0.0040wt%(脱硫率88%)であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例1)
インペラーとしては、直径600mmの回転軸の下端に、高さ850mm、直径1400mmの4枚羽根を設け、さらに、回転軸の下端底面に開口する噴出口を設けた4枚羽根インペラーを使用した(図1及び2参照)。
溶銑鍋に1350〜1400℃の溶銑([S]≒0.032wt%)250tを装入し、上記2段羽根インペラーを浸漬し、回転速度100rpmでインペラー攪拌を開始した。この状態で、鍋内の溶銑中に生石灰を主成分とする脱硫剤粒(≦3mm径)を4kg/t上置き添加した後に、インペラー攪拌を10分間行った。また、インペラー攪拌中に、回転軸下端からNガス(8NL/min・t)と共に脱硫剤粉末(≦0.15mm径)1kg/tを吹き込んだ、なお、インペラー浸漬深さは、羽根の上端と溶銑の静止湯面との距離が溶銑深さの1/4となるようした。
その結果、処理後[S]濃度は0.0032wt%(脱硫率90%)であった。なお、回転軸下端の噴出口の損耗は少なく、インペラー寿命は従来と同程度であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
インペラーとしては、実施例1と同じ形状・寸法のインペラーを使用した(図1及び2参照)。
溶銑鍋に1350〜1400℃の溶銑([S]≒0.032wt%)250tを装入し、上記2段羽根インペラーを浸漬し、回転速度100rpmでインペラー攪拌を開始した。この状態で、鍋内の溶銑中に生石灰を主成分とする脱硫剤粒(≦3mm径)を4.75kg/t上置き添加した後に、インペラー攪拌を10分間行った。また、インペラー攪拌中に、回転軸下端の噴出口からNガス(8NL/min・t)と共に脱硫剤粉末(≦0.15mm径)0.25kg/tを吹き込んだ。なお、インペラー浸漬深さは、羽根の上端と溶銑の静止湯面との距離が溶銑深さの1/4となるようした。
その結果、処理後[S]濃度は0.0032wt%(脱硫率90%)であった。なお、伸長部下端に設けた噴出口の損耗は少なく、インペラー寿命は従来と同程度であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
インペラーとしては、実施例1と同じ形状・寸法のインペラーを使用した(図1及び2参照)。
溶銑鍋に1350〜1400℃の溶銑([S]≒0.032wt%)250tを装入し、上記2段羽根インペラーを浸漬し、回転速度100rpmでインペラー攪拌を開始した。この状態で、鍋内の溶銑中に生石灰を主成分とする脱硫剤粒(≦3mm径)を3kg/t上置き添加した後に、インペラー攪拌を10分間行った。また、インペラー攪拌中に、回転軸下端の噴出口からNガス(8NL/min・t)と共に脱硫剤粉末(≦0.15mm径)2kg/tを吹き込んだ。なお、インペラー浸漬深さは、羽根の上端と溶銑の静止湯面との距離が溶銑深さの1/4となるようした。
その結果、処理後[S]濃度は0.0029wt%(脱硫率91%)であった。なお、伸長部下端に設けた噴出口の損耗は少なく、インペラー寿命は従来と同程度であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
インペラーとしては、直径600mmの回転軸の下端に、高さ850mm、直径1400mmの4枚羽根を設け、この羽根の下端から850mm下方へ伸長した伸長部を設け、さらに、この伸長部の下端底面に噴出口を設けると共に、この下端部に適当に曲率をもたせてNガス溜りができないようにした4枚羽根インペラーを使用した(図3及び4参照)。
溶銑鍋に1350〜1400℃の溶銑([S]≒0.032wt%)250tを装入し、上記2段羽根インペラーを浸漬し、回転速度100rpmでインペラー攪拌を開始した。この状態で、鍋内の溶銑中に生石灰を主成分とする脱硫剤粒(≦3mm径)を4kg/t上置き添加した後に、インペラー攪拌を10分間行った。また、インペラー攪拌中に、伸長部下端の噴出口からNガス(8NL/min・t)と共に脱硫剤粉末(≦0.15mm径)1kg/tを吹き込んだ。なお、インペラー浸漬深さは、羽根の上端と溶銑の静止湯面との距離が溶銑深さの1/4となるようした。
その結果、処理後[S]濃度は0.0020wt%(脱硫率94%)であった。なお、伸長部下端に設けた噴出口の損耗は少なく、インペラー寿命は従来と同程度であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
インペラーとしては、直径600mmの回転軸の下端に、高さ850mm、直径1400mmの上段部4枚羽根を設け、この上段羽根の下端から850mm下方へ伸長した伸長部を設け、この伸長部の下端底面に噴出口を設け、さらに、この伸長部の下端に直径1300mm、高さ300mmで、かつインペラー回転時に溶銑が上方へ流れる向きに角度(θ)75°傾けた下段部4枚羽根(図5及び6参照)を設けた2段羽根インペラーを使用した。
溶銑鍋に1350〜1400℃の溶銑([S]≒0.032wt%)250tを装入し、上記2段羽根インペラーを浸漬し、回転速度100rpmでインペラー攪拌を開始した。この状態で、鍋内の溶銑中に生石灰を主成分とする脱硫剤粒(≦3mm径)を4kg/t上置き添加した後に、インペラー攪拌を10分間行った。また、インペラー攪拌中に、伸長部下端からNガス(8NL/min・t)と共に脱硫剤粉末(≦0.15mm径)1kg/tを吹き込んだ、なお、インペラー浸漬深さは、羽根の上端と溶銑の静止湯面との距離が溶銑深さの1/4となるようした。
その結果、処理後[S]濃度は0.0015wt%(脱硫率95%)であった。なお、伸長部下端に設けた噴出口の損耗は少なく、インペラー寿命は従来と同程度であった。得られた結果を表1に示す。
Figure 2005068506
(実施例6)
基本的に前記実施例1と同様の装置、手順、及び条件とするが、4枚羽根インペラーの回転軸を下方に伸長して伸長部を設け、さらに伸長部下端に噴出口を設けると共に、伸長部の下端に適当に曲率をもたせてNガス溜りができないようにした(図3及び4参照)。このような4枚羽根インペラーの伸長部長さ(H)と羽根上端直径(L)の一方又は両方を変えて、比(H/L)が異なるインペラー形状とし、脱硫処理を行った。
得られた結果を、実施例1の結果と共に表2に示す。
Figure 2005068506
(実施例7)
基本的に前記実施例5と同様の装置、手順、及び条件とするが、インペラー回転時に溶銑が上方へ流れる向きに傾けた下段部4枚羽根(図5及び6参照)の角度(θ)を変えて脱硫処理を行った。
得られた結果を、実施例5の結果と共に表3に示す。
Figure 2005068506
本発明に係る脱硫装置の一構成例を示す概略図である。 本発明に係る脱硫装置を利用した脱硫の実施状況を示す概略図である。 本発明に係る脱硫装置の一構成例を示す概略図である。 本発明に係る脱硫装置を利用した脱硫の実施状況を示す概略図である。 本発明に係る脱硫装置の一構成例を示す概略図である。 本発明に係る脱硫装置を利用した脱硫の実施状況を示す概略図である。 KR法インペラーを用いた水モデル実験の概略図である。 伸長部をもつKR法インペラーを用いた水モデル実験の概略図である。 下方流を生じる下段羽根をもつKR法インペラーを用いた水モデル実験の概略図である。 上方流を生じる下段羽根をもつKR法インペラーを用いた水モデル実験の概略図である。
符号の説明
1…溶銑鍋
2…インペラー
3…回転軸
3a…伸長部
3b…隅部
4…羽根(上段羽根)
4a…羽根下端
5…吐出孔
6…ガス孔
7…投入シュート
8…溶銑
9…脱硫剤粉末(上置き添加)
10…脱硫スラグ
11…脱硫剤粉末(吹込み添加)
12…下段羽根

Claims (13)

  1. 容器に溶銑を装入し、回転軸の下端部に開口する脱硫剤の噴出口を備えたインペラーを浸漬、回転させて溶銑を攪拌しながら、前記噴出口から脱硫剤粉末を溶銑中に吹き込んで脱硫を行うことを特徴とする溶銑の脱硫方法。
  2. 前記回転軸は、羽根の下端よりも下方へ伸長した伸長部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の脱硫方法。
  3. 前記インペラーは、伸長部の長さ(H)と羽根上端の直径(L)とが下記式(1)
    0.2≦H/L (1)
    の関係を満たすインペラー形状をもつことを特徴とする、請求項2に記載の脱硫方法。
  4. 前記インペラーは、伸長部の下端部に第二の羽根をさらに備え、該第二の羽根がインペラー回転時に溶銑を上方へ流す方向に傾き、その傾き(θ)が、
    下記式(2)
    20°≦θ≦85°
    の関係を満たすインペラー形状をもつことを特徴とする、請求項2又は3に記載の脱硫方法。
  5. 前記噴出口が、前記回転軸の下端部底面に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の脱硫方法。
  6. 前記脱硫剤粉末の粒径が0.001〜3mmであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の脱硫方法。
  7. 前記インペラーの回転速度を調節することにより、前記噴出口が溶銑の湯面下に没した状態で攪拌を行うことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の脱硫方法。
  8. さらに、脱硫剤を上置き添加することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の脱硫方法。
  9. 溶銑を装入する容器、及び、溶銑を攪拌するために前記容器内に出入り自由に設置したインペラーを備え、該インペラーは、回転軸の下端部に開口する脱硫剤の噴出口を備えることを特徴とする、溶銑の脱硫装置。
  10. 前記回転軸は、羽根の下端よりも下方へ伸長した伸長部を備えていることを特徴とする請求項9に記載の脱硫装置。
  11. 前記インペラーは、伸長部の長さ(H)と羽根上端の直径(L)とが下記式(1)
    0.2≦H/L (1)
    の関係を満たすインペラー形状をもつことを特徴とする、請求項10に記載の脱硫装置。
  12. 前記インペラーは、伸長部の下端部に第二の羽根をさらに備え、該第二の羽根がインペラー回転時に溶銑を上方へ流す方向に傾き、その傾き(θ)が、
    下記式(2)
    20°≦θ≦85°
    の関係を満たすインペラー形状をもつことを特徴とする、請求項10又は11に記載の脱硫装置。
  13. 前記噴出口が、前記回転軸の下端部底面に設けられていることを特徴とする、請求項9乃至12のいずれかに記載の脱硫装置。
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