JP2001020010A - 真空脱ガス処理中の溶鋼への添加剤の添加方法 - Google Patents

真空脱ガス処理中の溶鋼への添加剤の添加方法

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JP2001020010A
JP2001020010A JP11189398A JP18939899A JP2001020010A JP 2001020010 A JP2001020010 A JP 2001020010A JP 11189398 A JP11189398 A JP 11189398A JP 18939899 A JP18939899 A JP 18939899A JP 2001020010 A JP2001020010 A JP 2001020010A
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Hiroyoshi Okano
博義 岡野
Yuzo Tajiri
裕造 田尻
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環流速度を低下させず、浸漬管寿命の低下を
抑制し、Ca分などの添加剤歩留を飛躍的に向上させるR
H真空脱ガス処理方法を提供する。 【解決手段】 RH真空脱ガス装置を用いて真空脱ガス
処理中の溶鋼にCaを添加するに際し、2本の浸漬管の鉛
直投影領域以外の取鍋内溶鋼中にCa含有物質を供給す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、RH真空脱ガス装
置を用いて溶鋼の真空脱ガス処理を行うに際し、Ca分な
どの溶鋼添加剤を安定した高歩留りで溶鋼に添加する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、さらなる鋼の品質・性能向上の要
求から脱酸・脱硫あるいは非金属介在物の形態制御のた
めに、溶鋼処理に際して、Ca分およびAl分等の溶鋼添加
剤の添加が行われるようになってきた。例えば、RH処
理等の真空脱ガス処理を行ってから、あるいは行ってい
る期間中に、そのような溶鋼添加剤の添加処理が行われ
ることが多くなってきている。
【0003】特に、現在、多くの鋼種を対象に、硫化物
(MnS)の形態制御のために、Ca含有物質を溶鋼に添加す
る処理 (Ca処理と呼ばれる) が施されている。したがっ
て、以下においてこのCa処理を例にとって本発明を説明
する。
【0004】従来は、一般にCa処理はRH処理等の真空
脱ガス処理を行った後に、別の処理設備を用いて、大気
圧下で取鍋内溶鋼にCaSi等の物質を添加することで行わ
れる。しかし、この方法では真空脱ガス処理後に取鍋を
別位置に移動してCa処理を施すため、処理時間が延長さ
れてしまう。この結果、処理が一時中断することから、
溶鋼の温度低下をもたらすばかりでなく、大量生産の大
きな障害となっていた。また、Ca処理施設の維持などに
も大きなコスト負担を余儀なくされていた。
【0005】そこで、真空脱ガス処理後に別設備でCa処
理を施すのではなく、真空脱ガス処理中に真空脱ガス装
置でCa処理を行うことが指向されてきた。しかしなが
ら、真空脱ガス装置でCa処理を行うには以下の問題があ
った。
【0006】すなわち、Caはその特性として、溶融点、
沸点が低いうえ溶鋼への溶解度が小さいため、Caを含有
する物質を溶鋼に添加する場合、真空下でCaを添加して
も、Caの大部分は蒸発してしまう。さらに、Caの密度は
1.5 g/cm3 に過ぎず、密度約7g/cm3 の溶鋼に投入すれ
ばすぐに浮上してしまう。従って、真空下でCaを添加す
る場合、高い歩留まりを安定して得ることは非常に困難
であった。
【0007】また、Caは化学反応性も非常に高いため、
溶鋼に溶解したCaはアルミナ耐火物と反応する。従っ
て、処理方法あるいは処理条件が不適切であると、アル
ミナ耐火物で構成された浸漬管の寿命を著しく低下させ
てしまう。これはコスト上ならびに操業安定上極めて大
きな問題であった。
【0008】したがって、従来にあっても、以上のよう
な問題を解決すべく、RH真空脱ガス装置で、より高い
Ca歩留まりを得ることを目的に、いくつかのCa処理方法
が提案されている。
【0009】特開平3−71483 号公報には、合金比重≧
4g/cm3 としたCa合金 (例えば、Ca:5〜10%、Si:3
〜50%、残りFe) を真空槽内に大量添加する方法が提案
されている。
【0010】特開平4−157112号公報では、金属薄板で
CaSi合金粒を被覆してワイヤー状にし、RH真空脱ガス
装置で溶鋼を環流させながら、下降流に、かつ、浸漬管
下端より低い位置で溶解するようにワイヤとしてCaSi合
金粒を溶鋼に添加することが提案されており、それによ
れば28〜42%という高歩留が得られるといわれている。
このようにRH真空脱ガス装置の下降流に溶鋼添加剤を
添加することは、特開平6−2028号公報にも開示されて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
3−71483 号公報の開示する方法では、溶鋼添加剤は大
部分が鋼浴中に溶解することなく真空槽内鋼浴表面で蒸
発してしまうという問題は十分に解消されておらず、歩
留は約9%にとどまっている。
【0012】一方、特開平4−157112号公報、特開平6
−2028号公報の開示する方法では、下降流にCa合金を添
加するため、下降管下部で発生したCa蒸気が下降流と激
しく衝突する。このため、溶鋼環流速度が著しく減速さ
れ、同時に環流速度が不安定になってしまう。この結
果、溶鋼の混合特性が低下し、溶鋼の成分を均一化させ
るのに必要な時間、つまり「均一混合時間」が大幅に増
大してしまうため、処理時間の大幅な延長となってしま
う。
【0013】また、環流速度が低減されかつ不安定にな
るため、Caの歩留まりも不安定となり、安定して高いCa
歩留まりを得ることができなかった。さらに、浸漬管下
部付近にCa添加を施すため、下降管付近のCa濃度が著し
く高くなる。この結果、溶解したCaがアルミナ(Al2O3)
を主成分とする浸漬管の耐火物と反応し、CaO-Al2O3
る低融点複合酸化物を形成し、浸漬管の溶損が激しく、
その寿命を著しく低下させてしまう。
【0014】以上のように、従来の技術でも真空脱ガス
処理中、特にRH真空脱ガス装置による脱ガス処理中に
Caを添加することは提案されていたが、安定した高い
Ca歩留まりの確保、耐火物寿命の確保が困難であり、
実操業で大量生産を実現することは困難であった。
【0015】ここに、本発明の課題は、環流速度を低下
させることなく、浸漬管寿命の低下を抑制し、Ca分など
の溶鋼添加剤の歩留を飛躍的に向上させ、かつ安定化す
ることのできるRH真空脱ガス装置による真空脱ガス処
理中の溶鋼への溶鋼添加剤の効果的な添加方法を提供す
ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決し、安定して高い歩留まりが得られる溶鋼添加剤
の効果的な添加方法を求めて鋭意検討した。
【0017】まず、RH真空脱ガス装置内の溶鋼にCaを
添加する方法を検討したが、Ca歩留まりは2.3 〜28%と
安定性を著しく欠くことが確認されたため、取鍋内溶鋼
にCaを添加する方法を検討した。
【0018】上昇管の下方位置にCaを添加した場合、Ca
蒸気による溶鋼環流への悪影響は確認されなかった。し
かし、添加されたCaが上昇流と共に真空槽内ヘ速やかに
移動し蒸発してしまうため、Ca歩留まりが著しく低下
し、Ca歩留まりは1.9 〜7%であった。
【0019】そこで、より安定的にCaを溶解させるには
大気圧下での添加が適当で、環流を悪化させないために
は浸漬管近傍でのCa添加は不適当と考え、2本の浸漬管
の上昇管または下降管以外の領域から溶鋼中にCaを添加
する方法を検討した。
【0020】さらに、Ca添加により、Ca蒸気が溶鋼から
浮上する際の攪拌力により、本来のRH真空脱ガス装置
による真空脱ガス処理以上に攪拌力を向上させうる添加
位置を検討した。
【0021】その結果、図1(a) において、領域Aで示
す部分からのCa添加が効果的であるとの結論を得た。こ
の領域AからCaを添加した場合、Ca歩留まりは24〜45%
と極めて高い歩留まりが得られ、かつそのバラツキが極
めて小さい。これは大気圧下でCaを添加することにより
Caが安定的に溶鋼中に溶解し、かつ、添加位置の適正化
により溶鋼環流の悪化防止と攪拌力向上とが図れる結
果、取鍋内溶鋼に均一にCaが溶解できるためである。
【0022】また、このCaの均一溶解により浸漬管寿命
も悪化することがないことを確認した。さらに、図1
(b) の領域Bのように、2本の浸漬管の中心を結んだ直
線と取鍋端点との中央部分からCa添加を行うと浸漬管寿
命がさらに向上することも確認した。
【0023】図1(b) の場合、2本の浸漬管の鉛直投影
領域の各中心を結ぶ中心線と、この中心線の中央で交わ
る垂直線の前記中心線との交点から左右への距離x=
[(b+r)2-a2]/2(b+r)を中心とした半径R<[b2-r2+a2]/2
(b+r) の円内がB領域である。
【0024】より好ましくは、半径R<[(b2-r2+a2)/2
(b+r)] −200 mmである。 ここに、 a:2本の浸漬管鉛直投影領域の中心を結ぶ
中心線の1/2 の距離 b:2本の浸漬管鉛直投影領域の中心を結ぶ中心線の中
央で交わる垂直線のその交点から取鍋内壁までの距離 r:2本の浸漬管鉛直投影領域の半径、つまり浸漬管外
面までの半径 x( 中心) の位置は、取鍋内面と浸漬管外面との等距離
の地点であって、これらの間には次の関係が成り立つ。
【0025】
【数1】
【0026】すなわち、真空脱ガス装置にて高いCa歩留
まりを安定して得るには、RH真空脱ガス装置による真
空脱ガス処理中の溶鋼にCa分を添加するに際し、溶鋼を
環流させるために設けられた2本の浸漬管の鉛直投影領
域以外の取鍋内溶鋼中にCa含有物質を供給することが極
めて重要である。
【0027】よって、本発明の要旨とするところは、次
の通りである。 (1) RH真空脱ガス装置を用いて真空脱ガス処理中の溶
鋼に溶鋼添加剤を添加するに際し、溶鋼を環流させるた
めに設けられた2本の浸漬管の鉛直投影領域以外の取鍋
内溶鋼中に前記溶鋼添加剤を供給することを特徴とす
る、真空脱ガス処理中の溶鋼への溶鋼添加剤の添加方
法。
【0028】(2) RH真空脱ガス装置を用いて真空脱ガ
ス処理中の取鍋内溶鋼に溶鋼添加剤を添加するに際し、
溶鋼を環流させるために設けられた2本の浸漬管の鉛直
投影領域の各中心を結ぶ中心線と、該中心線の中央で交
わる垂直線の前記中心線との交点から左右への距離x=
[(b+r)2-a2]/2(b+r)を中心とした半径R<[b2-r2+a2]2
(b+r)の円内の溶鋼にCa含有物質を供給することを特徴
とする、真空脱ガス処理中の溶鋼への溶鋼添加剤の添加
方法。
【0029】 より好ましくは、半径R<[b2-r2+a2/2(b+r)] −200 mm a:2本の浸漬管鉛直投影領域の中心を結ぶ中心線の1/
2 の距離 b:2本の浸漬管鉛直投影領域の中心を結ぶ中心線の中
央で交わる垂直線のその交点から取鍋内壁までの距離 r:2本の浸漬管鉛直投影領域の半径 本発明の好適態様によれば、上記溶鋼添加剤は、Ca分、
Mg分、Se分、Al分の少なくとも1種が挙げられるが、よ
り好ましくは、Ca分、Al分、あるいはそれらの混合物で
ある。
【0030】かかる溶鋼添加剤は、弾丸として溶鋼に打
ち込んだり、鋼板によって被覆しワイヤ状にして溶鋼に
押し込んだり、粉状、粒状のまま搬送ガスとともに吹き
込んだりしてもよいが、好ましくは、ワイヤ状で供給す
る。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を、転炉とRH
真空脱ガス装置を用いてCa処理を行う場合を例に説明す
る。
【0032】まず、転炉で溶鋼中C濃度を0.007 〜0.3
%まで低減する。対象とする溶鋼はかなり広範囲のもの
であってもよい。転炉処理終了後、溶鋼を取鍋へ出鋼す
る。出鋼の終了後、取鍋をRH真空脱ガス装置へ移動
し、次に、本発明にしたがって、真空脱ガス処理を開始
する。
【0033】本発明の効果はスラグ組成に依存しないの
で、スラグ組成を抑制する必要はないが、製品の清浄度
をより高めるために、出鋼時にスラグ改質剤を添加して
スラグ改質を実施したり、あるいはバブリング等でスラ
グ改質を実施してもよい。その際のスラグ組成は、CaO-
Al2O3 系スラグが望ましく、より好ましくは、重量比で
CaO/Al2O3 =0.9 〜2.5 であり、FeO+MnO は重量濃度2
%以下としておくことが望ましい。
【0034】さらに、この後、取鍋に脱硫剤をインジェ
クションする方法、あるいはバブリングを行う方法にて
脱硫処理を施してもよい。処理の対象とする溶鋼に応じ
てさらに、本発明を実施するに先立って、RH真空脱ガ
ス装置にてAlと酸素ガスを用いる昇温処理あるいは真空
脱炭処理を実施してもよい。また、真空脱ガス処理装置
内の溶鋼にCaO 系のフラックスを添加する方法あるいは
脱硫剤を真空脱ガス処理装置内溶鋼に吹き付ける方法な
どにより、真空脱ガス装置で脱硫処理を施してもよい。
【0035】このように、昇温処理、脱硫処理あるいは
成分予備調整等の必要処理完了後、本発明に従い、真空
脱ガス処理中に溶鋼へのCa添加を行う。図2は、RH脱
ガス処理中に本発明によって鉄被覆Ca含有物質をワイヤ
ー状にして供給する方法の説明図である。
【0036】図2において、取鍋1の上方には上昇管2a
と下降管2bとを備えたRH真空脱ガス装置2が設けられ
ている。取鍋2内に収容された溶鋼3には、上昇管2aと
下降管2bとが浸漬されており、上昇管2aの下部から吹き
込まれる環流用ガス4によるガスリフト作用で、それぞ
れに溶鋼の上昇流、下降流が形成されている。そのた
め、溶鋼は、まず、上昇管2aを通って減圧下に維持され
ている真空槽2c内に至った後、下降管2bを介して取鍋1
に流下するという溶鋼循環を繰り返す。なお、符号5は
スラグを示す。
【0037】本発明の添加方法は、例えば上記のような
RH真空脱ガス装置2を用いた真空脱ガス処理中に、溶
鋼に対して効率よくCaを添加する方法であり、例えば、
ワイヤリール6に予め巻き取られたCa含有物質を鉄被覆
したワイヤー7が、変速装置( 図示せず) を具備した供
給装置8によってガイドパイプ9を通って溶鋼中に送り
だされる。
【0038】本発明にかかる真空脱ガス処理中の溶鋼へ
のCa添加方法は、例えば上記したような供給装置8を用
いて、鉄被覆Ca含有ワイヤー7を取鍋溶鋼表面の浸漬管
以外の部分から溶鋼中に供給する。
【0039】ここで、Ca含有物質は金属Caの他、Fe−C
a、Ca−Si、Ca−Al、Ca−Al−Si合金等のCa合金やこれ
らとフラックスの混合物、あるいはプリメルトフラック
ス (事前溶融処理フラックス) など、どのような形態で
も構わない。
【0040】Ca供給速度については、0.12〜0.18 kg/to
n/分の範囲が望ましい。Ca供給速度>0.18 kg/ton/分の
場合にはCa蒸気発生によりワイヤー打込み中に溶鋼飛散
が見られた。Ca供給速度<0.12kg/ton/ 分の場合には、
打込み時間が延長され処理中の熱ロスが大きくなるとと
もにCaの歩留が低下する。
【0041】本発明におけるCa含有物質の添加方法は、
前述の領域Aあるいは領域Bに添加される限り、Ca含有
物質を不活性ガスとともに溶鋼に吹き込むインジェクシ
ョン法、あるいはCa含有物質を鉄被覆しワイヤーとした
ものを溶鋼中に送り込むワイヤ供給法など、いかなる方
法でもよいが、ワイヤ供給法が望ましい。インジェクシ
ョン法では不活性ガスのバブリングにより、取鍋上面の
スラグを溶鋼に巻き込む場合があり、この場合、この巻
き込まれたスラグが介在物として溶鋼に残留してしまう
ためである。
【0042】Ca添加中の真空槽内の真空度は150 Torr以
下が望ましく、清浄度向上あるいは処理時間短縮を図る
場合には5Torr未満が望ましい。150 Torr以上の真空度
では、溶鋼の環流速度が低下し、溶鋼に均一にCaを添加
することが困難となる。また、真空度が5Torr未満とす
ると、環流速度が大幅に向上するため、介在物除去速度
ならびに溶鋼攪拌能力が高まるためである。
【0043】本発明によれば、Ca分などの溶鋼添加剤の
単位体積当たりの供給量が大幅に増加するため溶鋼中の
Al2O3 とそれらが容易に反応し、固定される。一部はガ
ス化して蒸発するが、大部分は、溶鋼に溶け込む。
【0044】Ca分としてCaO を添加する場合には、CaO/
Al2O3 ≦1.5 のときにAl2O3 の吸収能が大幅に改善さ
れ、Al2O3 の吸収量が増大する。したがって、清浄鋼を
製造する場合には好ましい。
【0045】本発明による溶鋼添加剤の添加処理を行っ
ている場合、その溶鋼上のスラグ組成は、前述したよう
に、特に規定されるものではない。次に、実施例によっ
て本発明の作用効果をさらに具体的に説明する。
【0046】
【実施例】本例では、溶鋼160 トンを転炉で脱炭したの
ち取鍋内へ出鋼した。出鋼時、CaO を添加してスラグ改
質を行い、スラグ中鉄酸化物濃度とMnO 濃度を合計で5
%以下とした。
【0047】その後、取鍋をRH真空脱ガス処理装置へ
移動し、図2に示すようにして、真空脱ガス処理を開始
した。真空脱ガス処理では、まず、金属Alと酸素ガスを
用いて溶鋼温度を約35℃上昇させた後、成分調整を実施
した。成分調整後、本発明に従い、ワイヤ方式でCa添加
を実施した。
【0048】すなわち、取鍋1内の溶鋼3に、図2に示
す装置を用いて鉄被覆CaSi合金ワイヤー (30%Ca−60%
Si) を2本の浸漬管と取鍋端部の中央に供給した。その
他の条件は真空度60〜150 Torr、環流用ガス流量5.0 〜
15.0 Nl/分/ton、Ca供給速度0.10〜0.25 kg/ton/分、
[S]:0.0005〜0.0250%、[Al]:0.002〜0.080%、[C]:0.0
3〜0.08%であった。
【0049】鉄被覆CaSi合金ワイヤーの溶鋼中への添加
位置は図1中の領域AまたはBとした。図中、符号で示
す位置がそれぞれの例に相当する。これらの結果を図3
ないし図6ならびに表1にまとめて示す。
【0050】図3は、従来のように浸漬管直下に供給し
た場合と本発明にしたがってA領域およびB領域にワイ
ヤを供給したときのCa歩留りを示すグラフである。な
お、ここに、Ca歩留は、次のようにして求められる。
【0051】
【数2】
【0052】図示結果からも分かるように、本発明例で
は、Ca歩留を大幅に改善することができる。図4はスラ
グ中鉄酸化物濃度とMnO 濃度との和T(%) とCa歩留まり
との関係を示したグラフであるが、これによれば、Tが
0.1 〜18%の範囲ではスラグ中鉄酸化物濃度、MnO 濃度
によらず高いCa歩留まりを得ることができることが分か
る。
【0053】従って、本発明に従えば、中低炭素鋼ある
いは極低炭素鋼においてもCa処理が安定して行える。た
だし、真空脱ガス処理後、スラグによる再酸化に伴う清
浄度悪化をより低減するためには、スラグ中鉄酸化物濃
度とMnO との和Tは7%以下が好ましく、さらに高い清
浄度が要求される場合には2%以下がより好ましい。
【0054】図5は、ワイヤの打ち込み速度と均一混合
時間との関連を示すグラフである。図5に示す結果から
も分かるように、本発明によれば、Ca蒸気による環流速
度低下を招くこともなく、逆に取鍋内の攪拌力がアップ
することにより、均一混合時間の短縮が図れる。
【0055】図6は、ワイヤ供給位置の浸漬管 (下降
管、上昇管の総称を言う) の溶損に対する影響を示すグ
ラフである。図中、「下降管ワイヤ打ち込み」とあるの
は比較例として、下降管からワイヤ打ち込みを行った場
合である。図6の示す結果によれば、本発明にしたがっ
て、添加位置を取鍋、浸漬管から距離を保つことによ
り、浸漬管の耐火物溶損の低減が図れることが分かる。
【0056】これらの結果はさらに、比較例として、真
空槽内にCa添加した場合、下降管下方にCaSiワイヤーを
添加した場合を含めて、表1に併せて示すが、比較例の
場合はいずれもCa歩留まりは低位不安定となった。
【0057】しかし、本発明によれば、Ca歩留りは改善
され (24〜45%) 、浸漬管の溶損も大幅に減少した。表
1においてB領域におけるCa歩留りとの関連は表2にさ
らに詳細に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】本例では、溶鋼添加剤としてCaSi合金を使
用したが、Al、Mgその他の溶鋼添加剤であっても同様の
効果が期待できることは以上の説明からも当業者には明
らかである。
【0061】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明にかかる
真空脱ガス処理中の溶鋼へのCa等の溶鋼添加剤の添加方
法によれば、高価な設備投資を行うことなく、容易に安
価なランニングコストで溶鋼中への溶鋼添加剤の添加が
可能となるとともに、環流速度の低下の抑制、浸漬管溶
損抑制および均一混合時間の短縮が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) 、(b) は、それぞれ溶鋼添加剤の供給
位置の詳細図である。
【図2】本発明にかかるRH脱ガス処理中に鉄被覆Ca含
有物質をワイヤー状にして取鍋内溶鋼中に供給する方法
の説明図である。
【図3】Ca歩留を比較して示すグラフである。
【図4】スラグ酸化度とCa歩留まりとの関係を示すグラ
フである。
【図5】ワイヤー供給速度と均一混合時間との関係を示
すグラフである。
【図6】浸漬管寿命を示すグラフである。
【符号の説明】
1:取鍋 2:RH真空脱ガス装
置 2a:浸漬管 (上昇管) 2b:浸漬管 (下降管) 2c:真空槽 3:溶鋼 4:環流用ガス 5:取鍋内スラグ 6:ワイヤーリール 7:鉄被覆Ca含有ワイ
ヤー 8:ワイヤー供給装置 9:ガイドパイプ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RH真空脱ガス装置を用いて真空脱ガス
    処理中の溶鋼に溶鋼添加剤を添加するに際し、溶鋼を環
    流させるために設けられた2本の浸漬管の鉛直投影領域
    以外の取鍋内溶鋼中に前記溶鋼添加剤を供給することを
    特徴とする、真空脱ガス処理中の溶鋼への溶鋼添加剤の
    添加方法。
  2. 【請求項2】 RH真空脱ガス装置を用いて真空脱ガス
    処理中の取鍋内溶鋼に溶鋼添加剤を添加するに際し、溶
    鋼を環流させるために設けられた2本の浸漬管の鉛直投
    影領域の各中心を結ぶ中心線と、該中心線の中央で交わ
    る垂直線の前記中心線との交点から左右への距離x=
    [(b+r)2-a2]/2(b+r)を中心とした半径R<(b2-r2+a2)/2
    (b+r) の円内の溶鋼に前記溶鋼添加剤を供給することを
    特徴とする、真空脱ガス処理中の溶鋼への溶鋼添加剤の
    添加方法。 a:2本の浸漬管鉛直投影領域の中心を結ぶ中心線の1/
    2 の距離 b:2本の浸漬管鉛直投影領域の中心を結ぶ中心線の中
    央で交わる垂直線のその交点から取鍋内壁までの距離 r:2本の浸漬管鉛直投影領域の半径
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7220695B2 (en) 2004-01-07 2007-05-22 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Supported activator
US7741417B2 (en) 2004-01-07 2010-06-22 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Preparation of polymerization catalyst activators utilizing indole-modified silica supports

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US7220695B2 (en) 2004-01-07 2007-05-22 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Supported activator
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