JP6686837B2 - 高清浄鋼の製造方法 - Google Patents
高清浄鋼の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6686837B2 JP6686837B2 JP2016203435A JP2016203435A JP6686837B2 JP 6686837 B2 JP6686837 B2 JP 6686837B2 JP 2016203435 A JP2016203435 A JP 2016203435A JP 2016203435 A JP2016203435 A JP 2016203435A JP 6686837 B2 JP6686837 B2 JP 6686837B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- molten steel
- hot water
- slag
- inclusions
- ladle
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Description
脱酸には、酸素と結合して酸化物を生成する元素の添加が一般に行われており、Al(アルミニウム)の他、Si(珪素)、C(炭素)、Ti(チタン)、Ca(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)、REM(希土類金属)等を、脱酸材として用いることが知られている。
このうち、脱酸材として用いるAlは、安価で、かつ、強い脱酸効果があり、これを用いて製造した鋼材は、汎用性が高い。
更に、溶鋼中にアルミナが多量に存在すると、鋳造時において、浸漬ノズル内面へのアルミナの付着や凝集が促進され、鋳型(モールド)内での偏流発生やノズル閉塞が生じることに起因して、湯面の変動量が大きくなり、モールドパウダーの混入(パウダー系介在物)による品質劣化の原因となる。
なお、脱酸材としてAl以外の金属を用いた場合でも、生成した金属酸化物(介在物)は製品品質を損なう可能性があり、この点ではAlと同様である。
例えば、特許文献1には、スラグ改質後にガス吹込み用ランスにより、不活性ガスと共にCaO(生石灰)とAl2O3からなる粒状フラックスを吹付け、溶鋼中に浮遊しているスラグ系介在物と合体させ、更に取鍋底部よりArガス(アルゴンガス)を吹込み、スラグとの接触を避けながら不活性ガス下で脱酸を行うことにより、溶鋼中の介在物の浮上を促進して、溶鋼中の介在物を低減させる方法が開示されている。
詳細には、転炉内にCaOを投入し、スラグを固化させて取鍋へ出鋼し、取鍋上スラグに均一にAlを散布して、スラグ中の酸化鉄濃度を3質量%以下に改質する。更に、脱酸材として金属Alを添加し、生成する介在物の改質剤としてCaOを活用し、溶鋼の撹拌により介在物を浮上させる。
詳細には、精錬炉からの出鋼時に、出鋼流に向けて所定量のCaOを投入し、次いで出鋼後の取鍋スラグにスラグ改質剤として、金属Alを単体又は金属Alを含むフラックスの形態で添加する。更に、RH脱ガス設備で脱ガス処理を実施し、脱ガス処理中及び/又は脱ガス処理後に、CaO又はAl2O3を取鍋内スラグに添加し、スラグの(wt%CaO)/(wt%Al2O3)の値を0.4〜0.7の範囲内、SiO2濃度を2〜15wt%の範囲内に調整し、かつ、T.Fe濃度を3.0wt%以下に維持することにより、スラグ中の酸素による再酸化を防止する。
詳細には、出鋼時にスラグ改質剤を添加してスラグ中の低級酸化物の濃度を調整し、溶鋼環流式の脱ガス装置を用いて脱炭処理した後、Al脱酸処理の前及び/又は後で、スラグ改質剤を添加する。
前記出鋼工程での溶鋼の出鋼から前記取鍋精錬工程で溶鋼の撹拌処理を行う前までの間に、溶鋼及びスラグのいずれか一方又は双方に生石灰を投入すると共に、金属アルミニウム及び金属アルミニウムを含むフラックスのいずれか一方又は双方を添加して、スラグを改質処理し、スラグのT.Fe濃度とMnO濃度の合計を5質量%以下、かつ、溶鋼の溶存酸素濃度を10ppm以上50ppm以下の範囲とした後、
前記取鍋精錬工程で溶鋼の前記撹拌処理を行い、前記真空脱ガス工程で溶鋼を環流させて脱ガス処理し、該脱ガス処理から前記連続鋳造工程で連続鋳造を開始するまでに10分以上静置して、
前記連続鋳造工程では、溶鋼を受け入れる受湯部と該溶鋼を連続鋳造する鋳型に注入する排湯部とに区切る堰が内部に設けられ、前記受湯部と前記排湯部を連通する1又は複数の溶鋼流路が前記堰に形成され、しかも、前記溶鋼流路の受湯部側に位置する開口部の前記受湯部の底面からの高さ位置を、前記受湯部の溶鋼深さの0.2倍以下とした前記タンディッシュに、前記脱ガス処理後に静置した溶鋼を注湯し、前記溶鋼流路を流れる溶鋼を誘導加熱する。
また、生石灰等の添加は、溶鋼及びスラグの一方又は双方に対して行われる。
そして、生石灰と金属アルミニウムやこれを含むフラックス(以下、金属Al等ともいう)の添加は、同時に行ってもよく、また、別々に行ってもよい。この生石灰と金属Al等の添加方法は、操業状況によって種々変更できるが、例えば、出鋼時と、出鋼後かつ取鍋精錬工程前の取鍋のいずれか一方のみで、生石灰と金属Al等の双方を添加してもよく、また、出鋼時に、生石灰と金属Al等の双方を添加し、更に出鋼後かつ取鍋精錬工程前の取鍋に、生石灰と金属Al等のいずれか一方のみを添加することもできる。
このとき、溶鋼には小さなアルミナ介在物(例えば、50μm以下の大きさ)が生成するが、その生成量が抑制されているため、この溶鋼を、取鍋精錬工程で撹拌処理し、更に、真空脱ガス工程で環流させることで、生成した小さなアルミナ介在物(例えば、20μm以下の大きさ)を凝集させ合体させる(凝集合体)効果を促進できるものと考えられる(凝集合体後は、例えば、大きさが30〜50μm)。また、真空脱ガス工程での脱ガス処理後の溶鋼を所定時間静置することで、粒径が大きなアルミナ介在物(例えば、70μm超の大きさ)の浮上除去を促進でき、粒径が小さなアルミナ介在物(例えば、大きさが20μm以下)の凝集合体の促進に伴う個数減少を促進できるものと考えられる(凝集合体後は、例えば、大きさが30〜50μm)。
そして、この溶鋼を、受湯部と排湯部とに区切る堰が内部に設けられ、この堰の所定高さ位置に受湯部と排湯部を連通する溶鋼流路が形成されたタンディッシュに注湯し、溶鋼流路で誘導加熱しながら連続鋳造するので、このタンディッシュにおいて、凝集合体させたアルミナ介在物(例えば、大きさが30〜50μm)の浮上除去効果が得られる。これは、排湯部の表層(湯面近傍)の溶鋼温度がタンディッシュ内で低下し、受湯部の溶鋼温度に比べて排湯部の表層の溶鋼温度が低くなり、排湯部の深さ方向で温度差が生じるため、この温度差に起因した溶鋼の対流(上昇流)により、溶鋼流路から排湯部へ流れる溶鋼中の介在物が浮上除去されることによる。
従って、従来よりもアルミナ介在物の個数を低減でき、特に粒径が20μm以下クラスのアルミナ介在物の個数を低減できる。
まず、本発明の高清浄鋼の製造方法に想到した経緯について説明する。
アルミナ介在物(以下、単に介在物ともいう)は、スラグ中のFeO、MnOや、溶鋼の溶存酸素などと、脱酸材であるAlとが反応することで生成する。
このため、転炉からの出鋼時及び/又は出鋼後のスラグ及び/又は溶鋼に、金属アルミニウム等を含むフラックス(スラグ改質剤)を添加するスラグ改質処理(一次脱酸処理又は一次脱酸ともいう)を行い、その後に行う取鍋精錬工程の撹拌処理(即ち、取鍋精錬処理)前にスラグのFeOやMnOの濃度を低下させる、即ちスラグの酸化度を下げることは、Al2O3の生成量を抑制するために有効である。
しかしながら、上記したスラグ改質を実施しても、溶鋼中に溶存酸素(フリー酸素)が残存するため、Al2O3の生成を完全に抑制することは不可能である。なお、生成当初のアルミナ介在物は、その粒径が小さく(20μm以下)、時間の経過によらずそのまま溶鋼内に残留する場合と、生成した介在物が時間経過と共に緩やかに凝集する場合とがある。
これを防止するために、上記した改質処理時にスラグ改質剤としての生石灰を投入し、スラグ中のAl2O3成分の活量を下げることで、スラグへのAl2O3の吸収能を確保することができるため、生石灰の添加は有効である。なお、介在物が微小になるほど(例えば、50μm以下)、溶鋼への再度の混入が発生する可能性が高くなることから、生石灰の添加は、本発明のように微小な介在物の低減を課題とする発明にとって有効である。
本発明者らは、全酸素濃度が低位に抑制され(T.[O]≦10ppm)、かつ、粒径20μm以下の微細介在物の含有が少ない、極めて清浄度の高い鋼材を製造するには、取鍋での撹拌処理を行った後に真空脱ガス処理を行い、更に10分以上の静置を組合せたことによる、介在物の凝集合体の促進と、凝集粗大化した介在物粒子のタンディッシュでの浮上促進が有効であることを、数々の実験等から知見した。
LF等に代表される取鍋を用いた溶鋼の精錬処理(溶鋼の撹拌処理)は、一般に取鍋底部よりArガスを溶鋼中に吹込み、ガス気泡の浮上効果を用いることで行われ、取鍋内の溶鋼の成分や温度の均一化、また、介在物の浮上除去に用いられている。
取鍋で溶鋼の撹拌処理を行うことにより、溶鋼内には上昇流と下降流が生じるため、比較的大きな粒子(50μm超)の一部は上昇流に伴って浮上除去され得るが、同時にスラグの巻き込み等が起こるため、スラグ系介在物粒子(概ね30〜50μm)の個数が増加し、取鍋精錬処理による実質的なT.[O]の低下は僅かである。
しかしながら、撹拌流動による微細な(≦20μm)Al2O3粒子の衝突頻度が増加するため、介在物同士の凝集合体が促進され、取鍋精錬処理後の介在物粒径分布は増大傾向となる。具体的には、粒径20μm以下の微小介在物の個数が減少し、粒径30〜50μmの介在物の個数が増加することとなる。
従って、取鍋精錬処理後のT.[O]値の低下代は、さほど顕著ではないものの、溶鋼内の介在物粒子径分布(個数分布)のピークは、小径側から粗大径側に変動することとなる。
代表的な真空脱ガス処理装置としては、取鍋内の溶鋼を2本の浸漬管を通じて真空槽に吸い上げ、減圧雰囲気下で脱ガス処理を行い、上昇側と下降側の浸漬管を通じて取鍋と真空槽との間を循環させる、RH法が一般的に知られている。また、RH法以外の真空脱ガス法としては、取鍋底部からの不活性ガスの吹込みと、一本足大径浸漬管との組合せによる、溶鋼の減圧処理方法(REDA)が実用化されている。
RH法とREDAによる清浄化(介在物除去)は、真空槽内に吸い上げられた介在物の凝集合体と、凝集物の槽外排出(取鍋内浮上)とのバランスにより決まるものと考えられる。この真空脱ガス処理による介在物の凝集合体に関しては、介在物粒子が耐火物壁へ衝突することにより、壁面で介在物の凝集が促進されることや、溶鋼流動における乱流成分中での介在物粒子同士の衝突による凝集合体促進など、その現象について諸説唱えられている。
しかしながら、真空脱ガス処理では、凝集合体が進んで介在物粒径がある程度まで粗大化(30〜50μm)すると、取鍋内の上昇流に巻き込まれて再度真空槽内に流入するという現象が生じるため、取鍋内と真空槽内を循環し続ける介在物粒子の存在が不可避となる。この取鍋内と真空槽内を循環し続ける30〜50μm径に粗大化した介在物粒子は、凝集し合体した直後では不安定であるため(崩壊して微粒化し易い傾向にあるため)、真空脱ガス処理を行った直後に連続鋳造を行った場合、タンディッシュ内で生じる溶鋼流動に起因して再分解し、浮上除去が困難になるなどの問題があった。
上記した真空脱ガス処理によって得られる凝集合体による浮上効果を更に高めるためには、真空脱ガス処理後の静置が有効である。
本発明者らは、前記した取鍋精錬処理(Arガス吹込みによる撹拌処理)に引き続いて真空脱ガス処理を施すことで、取鍋精錬時とは異なる介在物の衝突機会(頻度)の増加により、取鍋精錬処理のみでは合体機会が得られなかった微細粒子(≦20μm)の凝集合体が更に促進されることを知見した。
この真空脱ガス処理での凝集合体による粗大化により、介在物自体の浮力は大きくなるが、上記したように、凝集合体直後の介在物粒子自体は不安定な傾向にある。
この静置処理により、粒径70μm以上の介在物は浮上除去を見込めるが、粒径30〜50μm程度の介在物では、顕著な浮上除去効果は認められにくいものの、凝集合体の促進効果は認められ、20μm以下の介在物の個数減少には効果がある。
ここで、静置とは、例えば、溶鋼へガス吹込みや合金材投入を行うことなく、取鍋内の溶鋼に何らかの処理を施さない状態を指す。なお、取鍋へ保温材を投入することは、溶鋼の処理ではないため、静置中に保温材を投入しても差し支えない。
連続鋳造においては、連続鋳造速度に対応する量で溶鋼がタンディッシュに注湯されるため(例えば、8トン/分以下程度の量)、タンディッシュ内での溶鋼の流動速度が、取鍋のガス撹拌における溶鋼の撹拌流速よりも小さく、介在物の凝集合体の効果が望みにくい。
また、タンディッシュ内で溶鋼温度が低下すると、溶解度積の低下によって新たな微細アルミナの生成(2Al+3O→Al2O3)を招き、成品中のアルミナ介在物の増加が顕著になる場合がある。
一方、タンディッシュ内で溶鋼を加熱することにより、新たなアルミナ介在物の生成を抑制する効果が期待できる。また、タンディッシュの内部に堰(仕切り壁)を立設し、タンディッシュ内の溶鋼に上昇流を発生(加熱後の溶鋼に発生)させると、タンディッシュ内の湯面に存在するスラグの撹拌効果を抑制した状態で、30〜50μm程度の粒子径を有する溶鋼中の介在物を浮上させ、これをスラグに捕捉させる効果が期待できる。
なお、タンディッシュ内の溶鋼流による剪断力で、30〜50μm程度の粒子径を有する介在物は崩壊し浮上除去が困難となる可能性があるが、上記した静置処理によって30〜50μm程度の介在物は安定化されているため、タンディッシュ内での浮上除去が促進される。
本実施の形態に係る高清浄鋼の製造方法は、大気圧下で吹酸脱炭する一次精錬を行った(転炉で処理した)溶鋼を、少なくとも出鋼工程、取鍋精錬工程、及び、真空脱ガス工程で順次処理して溶製した後、静置処理し、連続鋳造工程でタンディッシュ10に注湯して連続鋳造する方法である。
転炉吹錬等の一次精錬終了直後の転炉内のスラグ酸化度と溶鋼の溶存酸素濃度は、高い状態(スラグ酸化度:10質量%以上、溶鋼中溶存酸素濃度:200〜800ppm)である。
そこで、出鋼工程での出鋼から取鍋精錬工程での撹拌処理を行う前までの間に、スラグ改質処理を行う。
具体的には、転炉内の溶鋼の出鋼時、あるいは、出鋼後であって取鍋精錬工程前の取鍋(溶鋼の出鋼の際)に、溶鋼及びスラグのいずれか一方又は双方に生石灰を投入すると共に、金属アルミニウム(単体)及び金属アルミニウムを含むフラックスのいずれか一方又は双方を添加する。
なお、スラグのT.Fe濃度とMnO濃度の合計は、前記した知見から5質量%以下(好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下)であればよく、その下限値については特に規定していないが、現実的には、例えば、0.5質量%程度である。
更に、取鍋精錬工程後に引き続いて、真空脱ガス工程でRHやREDAなどの脱ガス処理を行うことにより、溶鋼の環流(循環)に伴って、微細介在物の凝集合体が促進される。
この凝集粗大化した介在物は不安定であり、タンディッシュ10で溶鋼流の剪断力により崩壊する可能性もある。このため、真空脱ガス処理後の静置処理により安定化させ、崩壊を抑制することにより、その後のタンディッシュ10での浮上を助長させる効果が大きくなる。
なお、溶鋼の静置時間は、前記した知見から10分以上(好ましくは20分以上)であればよく、その上限値については特に規定していないが、静置時間が長くなるに伴い、溶鋼の温度低下が大きくなり、新たなアルミナ介在物粒子が生成し易くなることから、現実的には、例えば、60分程度である。
これにより、上記した真空脱ガス処理による凝集合体による浮上効果を更に高めることができる。
タンディッシュ10は、その内部が堰13により、溶鋼鍋11からロングノズル12を介して溶鋼を受け入れる受湯部14と、この溶鋼を連続鋳造する鋳型(図示しない)に注入する排湯部15とに分割されている。なお、排湯部15の底部には浸漬ノズル16が設けられ、排湯部15内の溶鋼を浸漬ノズル16を介して鋳型に注入する構成となっている。
受湯部14と排湯部15を分割する堰13には、この受湯部14と排湯部15を連通する溶鋼流路17を形成する中空耐火物18が設けられている。この中空耐火物18は、受湯部14側の開口部19から溶鋼を受け、この溶鋼を排湯部15側の開口部20から排湯部15へ排出するものである。この中空耐火物18内(溶鋼流路17)を流れる溶鋼は、誘導加熱装置(ここでは、誘導加熱コイル21)によって誘導加熱される。
また、開口部19の高さ位置を溶鋼深さHの0.2倍以下にしたのは、0.2倍を超えた場合、開口部の高さ位置が高くなり過ぎ、排湯部における溶鋼中の介在物の浮上時間を十分に確保できず、浮上不足を招いて除去できなくなることにもよる。
そして、中空耐火物18と、この中空耐火物18を除いた堰13(堰本体)は、いずれも耐火物で構成されているが、使用用途に応じて、同一材質で構成してもよく、また、異なる材質で構成してもよい。
更に、中空耐火物18(溶鋼流路17)は、受湯部14から排湯部15へかけて、下方に向けて傾斜させているが、水平でもよい。また、排湯部15の底面23の深さ位置は、受湯部14の底面22の深さ位置よりも深くしているが、同一の深さでもよい。
なお、溶鋼流路は、中空耐火物によって形成することに限定されるものではなく、例えば、堰に孔を貫通(貫通孔)させることで形成することもできる。
一般に、排湯部15の表層の溶鋼温度はタンディッシュ10内で低下するため、受湯部14の溶鋼温度に比べて排湯部15の表層の溶鋼温度は低くなり、排湯部15の深さ方向で溶鋼に温度差が生じる。このため、中空耐火物18から排湯部15へ排出される溶鋼は、中空耐火物18内で誘導加熱されない場合であっても、上記した温度差によって溶鋼の対流(上昇流)が生じ、この対流によって、中空耐火物18から排湯部15へ排出される溶鋼中の介在物が浮上除去される。
また、鋳造時間が長くなってタンディッシュ10内で溶鋼温度が低下すると、溶鋼粘性の上昇に起因して介在物の浮力が弱まり、介在物の浮上効率の悪化を招くと共に、アルミナ生成反応(2Al+3O→Al2O3)の溶解度積が低下し、20μm未満の微細なAl2O3が新たに生成(二次生成)することが懸念される。
更に、前記した介在物の浮上を促進し、新たな微細Al2O3の生成を抑制するため、タンディッシュ内に受湯部14と排湯部15に区切る堰13を設け、この受湯部14と排湯部15を、堰13に設けられた中空耐火物18で連通させ、この中空耐火物18内の溶鋼を誘導加熱する。
従って、得られた溶鋼を連続鋳造することで、従来よりもアルミナ介在物の個数を低減でき、特に粒径が20μm以下クラスのアルミナ介在物の個数を低減した鋼材(成品)を製造できる。特に、この鋼材は、介在物の含有量規制に対して最も要求の厳しい高炭素系の高清浄鋼を用いた製品においても、介在物に起因する製品不合(製品不良)を著しく低減できることが可能となる。なお、高炭素系の高清浄鋼とは、例えば、炭素含有量が0.1質量%以上の鋼材であり、上限については、高炭素系の高清浄鋼であれば特に限定されるものではないが、常用される鋼材であれば1.5質量%程度である。
ここでは、以下の方法を基本として各条件を変更し、成品の清浄性の評価を行った。
350トンの転炉にて一次精錬を行い、出鋼後かつ取鍋精錬処理前の取鍋内の溶鋼及びスラグの双方に、生石灰を投入すると共に、金属アルミニウムを含むフラックスを添加することでスラグ改質処理を行い、溶鋼中の溶存酸素濃度とスラグ酸化度(T.Fe濃度とMnO濃度の合計値)を調整し、LFによる取鍋精錬処理を行った。なお、転炉から出鋼される溶鋼は、炭素濃度[%C]:0.2質量%、溶鋼中溶存酸素濃度[%O]:250ppm、であった。
更にその後、REDAによる真空脱ガス処理を実施した後、鋳造開始まで所定の時間静置し、この取鍋内の溶鋼をタンディッシュに注湯して、連続鋳造を実施した。このタンディッシュは、受湯部と排湯部が堰によって区切られ、この受湯部と排湯部が堰に設けられた中空耐火物によって連通(受湯部内の溶鋼は中空耐火物からのみ排湯部へ供給)され、この中空耐火物内の溶鋼を誘導加熱可能な構造となっている。なお、中空耐火物の受湯部側の開口部の下端の、受湯部の底面からの高さ位置は、受湯部の浴深Hの0.2倍(0.2×H)、及び、一部の条件では0.4倍(0.4×H)の位置とした。
試験条件とその結果及び評価を、表1に示す。
また、「取鍋精錬(LF)前」の欄には、取鍋精錬(LF)処理前のスラグ酸化度((%T.Fe)+(%MnO))と溶鋼の溶存酸素濃度([O](ppm))を記載している。
そして、「真空脱ガス処理」の欄には、真空脱ガス処理の実施の有無を、「静置時間」は真空脱ガス処理後の取鍋での静置時間を記載している。なお、「静置後T.[O]」の欄には、静置した後の溶鋼のトータル酸素濃度(T.[O](ppm))を記載している。
更に、「成品」の欄のうち、「T.[O](ppm)」の欄には、連続鋳造を行った後の成品のトータル酸素濃度を記載し、「介在物個数」の欄には、代表位置から切り出したサンプル(25〜30mm角)を光学顕微鏡で調査した結果(20μm以下の塊状アルミナ介在物の検出個数)を記載している。
なお、「評価」は、代表的な清浄性の指標である成品のT.[O]値が10ppm以下、かつ、「介在物個数」の結果が0.5(個/cm2)以下の場合を清浄性が良好(○)と判断し、この2つの条件を満たさない場合を清浄性が悪い(×)と判断した。
この場合、スラグ改質によるアルミナ系介在物(カルシウムアルミネート)の浮上除去効果、取鍋精錬工程及び真空脱ガス工程の各処理による小さなアルミナ介在物の凝集合体効果、更には溶鋼の静置による大きなアルミナ介在物の形状安定化効果、及び、タンディッシュによる凝集合体したアルミナ介在物の浮上除去効果が得られた。
その結果、表1に示すように、成品のトータル酸素濃度を低減できると共に、成品中に存在する20μm以下の塊状アルミナ介在物の個数を低減でき、成品の清浄性を良好にできた(評価:○)。
この場合、スラグ改質を施さなかったため、取鍋精錬処理以降(取鍋精錬処理と真空脱ガス処理)で溶鋼に添加する金属アルミニウム量を多くしなければならず、取鍋精錬処理の実施以降でアルミナ介在物が多く生成し、取鍋精錬処理と真空脱ガス処理による小さなアルミナ介在物の凝集合体効果が十分に得られなかった。
その結果、表1に示すように、成品中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、成品の清浄性が悪くなった(評価:×)。
比較例8、9はともに、取鍋精錬処理前の酸素ポテンシャルを十分に低下させることができなかったため、取鍋精錬処理以降において多量のAl2O3が生成し、微小介在物の凝集合体の効果が不十分となり、成品内に多くのアルミナ介在物が残存する結果となった。
その結果、表1に示すように、成品中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、成品の清浄性が悪くなった(評価:×)。
この場合、静置時間が不足して、真空脱ガス処理中に凝集合体し粗大化した30〜50μm径の粒子が、不安定なままの状態でタンディッシュに流入した。これにより、タンディッシュ内の溶鋼流の剪断力によって当該粒径の粒子が崩壊し、再度20μm以下の微細粒子の個数が増加したため、表1に示すように、T.[O]>10ppmとなり、成品中に存在する微小アルミナ介在物の個数が多くなって、成品の清浄性が悪くなった(評価:×)。
この場合、真空脱ガス処理による粗大介在物(30〜50μm)の凝集合体粒子を得ることができなくなるため、20μm以下の微小Al2O3の残存量が多くなり、成品の清浄性が悪くなった(評価:×)。
この場合、溶鋼流路の高さ位置が高過ぎて、排湯部における介在物の浮上時間が不足したため、30〜50μm程度の粒子径を有する介在物の浮上不足を招いた。このため、成品中に存在するアルミナ介在物の全個数が多くなり、表1に示すように、T.[O]>10ppmとなって、成品の清浄性が悪くなった(評価:×)。
この場合、スラグ改質を施さなかったため、取鍋精錬処理以降にアルミナ介在物が多く生成し、また、溶鋼の撹拌処理や静置による効果も得られなかった。
その結果、表1に示すように、成品中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、成品の清浄性が悪くなった(評価:×)。
即ち、20μm以下の個数割合の、実施例1の従来法に対する減少分が、30μm超50μm以下の個数割合の、実施例1の従来法に対する増加分に相当する。これは、実施例1が、スラグ改質を取鍋精錬処理前の実施とすることで、取鍋精錬処理以降の微細なアルミナの生成を抑制したこと、及び、取鍋精錬処理と真空脱ガス処理による20μm以下の微小介在物の凝集合体による粒径の粗大化(30〜50μm)が促進されためと考えられる。
なお、ここでは、出鋼後かつ取鍋精錬処理前の取鍋内の溶鋼及びスラグに、生石灰とフラックスを同時に添加した場合について説明したが、出鋼工程での溶鋼の出鋼から、取鍋精錬工程で溶鋼の撹拌処理を行う前までの間(具体的には、出鋼時、及び/又は、出鋼後かつ取鍋精錬工程前)に生石灰及びフラックス(金属アルミニウム単体でもよい)を添加すれば、添加の形態に影響されることなく、略同様の傾向が得られた。
従って、本発明の高清浄鋼の製造方法を用いることで、従来よりもアルミナ介在物の個数を低減でき、特に粒径が20μm以下クラスのアルミナ介在物の個数を低減できることを確認できた。
また、前記実施の形態においては、一次精錬を行った溶鋼を、出鋼工程(スラグの改質処理)、取鍋精錬工程、及び、真空脱ガス工程で順次処理して、10分以上の静置を行った後、連続鋳造工程で連続鋳造した場合について説明したが、連続鋳造工程前に、必要に応じて、上記各工程以外の工程を行ってもよい。
Claims (1)
- 大気圧下で吹酸脱炭する一次精錬を行った溶鋼を、少なくとも出鋼工程、取鍋精錬工程、及び、真空脱ガス工程で順次処理して溶製した後、連続鋳造工程でタンディッシュに注湯して連続鋳造する高清浄鋼の製造方法において、
前記出鋼工程での溶鋼の出鋼から前記取鍋精錬工程で溶鋼の撹拌処理を行う前までの間に、溶鋼及びスラグのいずれか一方又は双方に生石灰を投入すると共に、金属アルミニウム及び金属アルミニウムを含むフラックスのいずれか一方又は双方を添加して、スラグを改質処理し、スラグのT.Fe濃度とMnO濃度の合計を5質量%以下、かつ、溶鋼の溶存酸素濃度を10ppm以上50ppm以下の範囲とした後、
前記取鍋精錬工程で溶鋼の前記撹拌処理を行い、前記真空脱ガス工程で溶鋼を環流させて脱ガス処理し、該脱ガス処理から前記連続鋳造工程で連続鋳造を開始するまでに10分以上静置して、
前記連続鋳造工程では、溶鋼を受け入れる受湯部と該溶鋼を連続鋳造する鋳型に注入する排湯部とに区切る堰が内部に設けられ、前記受湯部と前記排湯部を連通する1又は複数の溶鋼流路が前記堰に形成され、しかも、前記溶鋼流路の受湯部側に位置する開口部の前記受湯部の底面からの高さ位置を、前記受湯部の溶鋼深さの0.2倍以下とした前記タンディッシュに、前記脱ガス処理後に静置した溶鋼を注湯し、前記溶鋼流路を流れる溶鋼を誘導加熱することを特徴とする高清浄鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016203435A JP6686837B2 (ja) | 2016-10-17 | 2016-10-17 | 高清浄鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016203435A JP6686837B2 (ja) | 2016-10-17 | 2016-10-17 | 高清浄鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018066030A JP2018066030A (ja) | 2018-04-26 |
JP6686837B2 true JP6686837B2 (ja) | 2020-04-22 |
Family
ID=62086065
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016203435A Active JP6686837B2 (ja) | 2016-10-17 | 2016-10-17 | 高清浄鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6686837B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7238275B2 (ja) * | 2018-06-11 | 2023-03-14 | 日本製鉄株式会社 | 連続鋳造方法 |
JP7035870B2 (ja) * | 2018-07-17 | 2022-03-15 | 日本製鉄株式会社 | 高清浄鋼の溶製方法 |
JP7035871B2 (ja) * | 2018-07-17 | 2022-03-15 | 日本製鉄株式会社 | 高清浄鋼の溶製方法 |
CN108907103B (zh) * | 2018-08-17 | 2020-11-10 | 共享装备股份有限公司 | 一种阶梯浇注系统用浇口盆 |
WO2021112267A1 (ko) * | 2019-12-02 | 2021-06-10 | 주식회사 포스코 | 용융물 교반 장치 및 방법 |
CN115138832B (zh) * | 2021-03-29 | 2024-01-09 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种基于钢液重量信息的延长纯净钢浇注炉数的方法 |
CN113337677A (zh) * | 2021-05-12 | 2021-09-03 | 安阳钢铁股份有限公司 | 一种转炉钢水在出钢后及lf工序进一步脱碳的方法 |
CN114101650A (zh) * | 2021-11-26 | 2022-03-01 | 东北大学 | 一种通道式感应加热装置及中间包 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04224060A (ja) * | 1990-12-26 | 1992-08-13 | Nippon Steel Corp | 連続鋳造用誘導加熱タンディッシュ |
JPH06128620A (ja) * | 1992-10-19 | 1994-05-10 | Nippon Steel Corp | Ca添加方法 |
JP2001335824A (ja) * | 2000-05-29 | 2001-12-04 | Nippon Steel Corp | 高清浄度鋼の製造方法 |
JP2010116611A (ja) * | 2008-11-13 | 2010-05-27 | Kobe Steel Ltd | 大入熱時でのhaz靱性に優れた低硫厚板鋼板の製造方法 |
US9873150B2 (en) * | 2012-09-25 | 2018-01-23 | Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. | Method and device for continuous thin strip casting |
JP6428307B2 (ja) * | 2015-01-27 | 2018-11-28 | 新日鐵住金株式会社 | 高清浄鋼の製造方法 |
-
2016
- 2016-10-17 JP JP2016203435A patent/JP6686837B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018066030A (ja) | 2018-04-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6686837B2 (ja) | 高清浄鋼の製造方法 | |
JP6593233B2 (ja) | 高清浄鋼の製造方法 | |
JP5082417B2 (ja) | 極低硫低窒素高清浄度鋼の溶製方法 | |
JP6838419B2 (ja) | 高窒素低酸素鋼の溶製方法 | |
JP6428307B2 (ja) | 高清浄鋼の製造方法 | |
JP7035872B2 (ja) | 高清浄鋼の溶製方法 | |
JP6686838B2 (ja) | 高清浄鋼の製造方法 | |
JP5541310B2 (ja) | 清浄性の高い鋼材の製造方法 | |
JP6443200B2 (ja) | 高清浄鋼の製造方法 | |
JP6547638B2 (ja) | 高清浄鋼の製造方法 | |
JP7035873B2 (ja) | 高清浄鋼の溶製方法 | |
JP2019214057A (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP5590056B2 (ja) | 清浄性の高い鋼材の製造方法 | |
JP7035870B2 (ja) | 高清浄鋼の溶製方法 | |
JP6816501B2 (ja) | 溶鋼の精錬方法 | |
JP7035871B2 (ja) | 高清浄鋼の溶製方法 | |
JP5433941B2 (ja) | 高清浄度軸受鋼の溶製方法 | |
JP5096779B2 (ja) | 溶鋼への希土類元素の添加方法 | |
JP2007092159A (ja) | 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法 | |
JP6337681B2 (ja) | 溶鋼の減圧精錬方法 | |
CN113490755A (zh) | 含Ti超低碳钢的制造方法 | |
JP4882249B2 (ja) | 高清浄鋼の製造方法 | |
JP2019014944A (ja) | 鋼の溶製方法 | |
JP2018127683A (ja) | 溶鋼中の非金属介在物除去方法 | |
JP3640167B2 (ja) | 高清浄度鋼の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190605 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200221 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200303 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200316 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6686837 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |