JP6428307B2 - 高清浄鋼の製造方法 - Google Patents

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本発明は、高清浄鋼の製造方法に係り、更に詳細には、Al脱酸による高清浄鋼の製造方法に関する。
転炉等で大気圧下で吹酸脱炭して製造した一次精錬終了後の溶鋼は、鋼中の溶存酸素濃度が高いため、脱酸処理が施された後に鋳造され、製品としての特性を得ている。
脱酸には、酸素と結合して酸化物を生成する元素の添加が一般に行われており、Al(アルミニウム)の他、Si(珪素)、C(炭素)、Ti(チタン)、Ca(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)、REM(希土類金属)等を、脱酸材として用いることが知られている。
このうち、脱酸材として用いるAlは、安価で、かつ、強い脱酸効果があり、これを用いて製造した鋼材は、飲料缶の用途を含めて使用実績があるため、汎用性が高い。
しかし、Alによる脱酸反応後に生成するアルミナ(Al)は、凝固後の鋼材(連続鋳造して得た鋳片)中に介在物として残存し、製品品質を損なう原因となる場合がある。例えば、飲料缶の素材として用いる際の製缶加工時の割れの原因となるため、品質の向上を図る上で、アルミナ介在物の悪影響を排除する必要がある。
更に、溶鋼中にアルミナが多量に存在すると、鋳造時において、浸漬ノズル内面へのアルミナの付着や凝集が促進され、鋳型(モールド)内での偏流発生やノズル閉塞が生じることに起因して、湯面の変動量が大きくなり、モールドパウダーの混入(パウダー系介在物)による品質劣化の原因となる。
なお、脱酸材としてAl以外の金属を用いた場合でも、生成した金属酸化物(介在物)は製品品質を損なう可能性があり、この点ではAlと同様である。
そこで、以下の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、脱酸材として金属アルミニウムを添加し、生成する介在物の改質剤としてCaOを活用して、溶鋼の撹拌により介在物を浮上させ、溶鋼中の介在物を低減させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、上記した特許文献1に記載のアルミナ介在物の生成を抑制するため、溶鋼を加炭して脱酸する技術が開示されている。詳細には、真空脱ガス処理時に添加した炭素を活用することで、脱酸材としての金属アルミニウムの使用量を抑制し、真空脱ガス前に炭素を添加することで、真空脱ガス処理時の突沸を防止することが記載されている。また、一次精錬後の出鋼時に、金属アルミニウムを添加することも記載している。
特開平7−300612号公報 特許第3674422号公報
しかしながら、前記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1の技術では、相応のアルミナ介在物の低減効果は望めるが、品質の向上を図る上で、更なる介在物個数の低減が必要である。また、本発明者らの知見では、粒径が大きなアルミナ介在物(例えば、70μm以上)を減少させる効果は望めるものの、粒径が小さなアルミナ介在物(10〜50μm程度)を減少させる効果は少ない。
特許文献2の技術は、介在物の抑制効果を記載した図4に示す通り、相応のアルミナ介在物の低減効果は望めるが、粒径が70μmクラスのアルミナ介在物の低減効果に比べ、50μmや30μm、特に20μm以下クラスのアルミナ介在物の低減効果は小さく、品質の向上を図る上で、粒径が小さなアルミナ介在物の低減効果の向上が望まれる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来よりもアルミナ介在物の個数を低減でき、特に粒径が20μm以下クラスのアルミナ介在物の個数を低減可能な高清浄鋼の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る高清浄鋼の製造方法は、大気圧下で吹酸脱炭する一次精錬を行った溶鋼を、少なくとも出鋼工程と真空脱ガス工程で順次処理して溶製した後、連続鋳造工程でタンディッシュに注湯して連続鋳造するに際し、前記真空脱ガス工程による脱炭処理前ではなく該脱炭処理後の溶鋼に金属アルミニウムを添加する高清浄鋼の製造方法であって、
前記出鋼工程と前記真空脱ガス工程の間で炭素成分を溶鋼に添加し、該溶鋼を前記真空脱ガス工程で撹拌しながら脱炭処理し、該脱炭処理後に溶鋼1トンあたり0.1〜2.4kgの前記金属アルミニウムが添加された溶鋼を3分以上12分以下撹拌処理し、
溶鋼を受け入れる受湯部と、該溶鋼を連続鋳造する鋳型に注入する排湯部とに仕切る堰が内部に設けられ、該堰の高さを溶鋼深さの0.3倍以上0.8倍以下とした前記タンディッシュに、前記金属アルミニウムの添加後に撹拌処理した溶鋼を注湯する。
本発明に係る高清浄鋼の製造方法は、真空脱ガス工程による脱炭処理前ではなく脱炭処理後の溶鋼に、金属アルミニウムを添加することを前提条件としている。
ここで、真空脱ガス工程による脱炭処理後に金属アルミニウムを添加するので、溶鋼中の溶存酸素濃度を減少させた溶鋼に対して金属アルミニウムの添加が行われ、アルミナ介在物の生成を抑制できる。このとき、溶鋼には小さなアルミナ介在物が生成するが、その生成量が抑制されているため、この溶鋼を所定時間撹拌処理することで、生成した小さなアルミナ介在物を凝集させ合体させる(凝集合体)効果を促進できるものと考えられる。
そして、この溶鋼を、受湯部と排湯部とに仕切る所定高さの堰が設けられたタンディッシュに注湯して連続鋳造するので、このタンディッシュにおいて、凝集合体させたアルミナ介在物の浮上除去効果が得られる。
従って、従来よりもアルミナ介在物の個数を低減でき、特に粒径が20μm以下クラスのアルミナ介在物の個数を低減できる。
本発明の一実施の形態に係る高清浄鋼の製造方法を適用するタンディッシュの説明図である。 同タンディッシュの堰の正面図である。 取鍋での撹拌処理終了時における溶鋼中のアルミナ介在物の粒径頻度分布を示すグラフである。 連続鋳造した鋳片中のアルミナ介在物の粒径個数分布を示すグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明の高清浄鋼の製造方法に想到した経緯について説明する。
(1)アルミナ介在物の生成に関する知見
アルミナ介在物(以下、単に介在物ともいう)は、スラグ中のFeO、MnOや、溶鋼の溶存酸素などと、脱酸材であるAlとが反応することで生成する。
生成当初のアルミナ介在物は、その粒径が小さく(20μm以下)、時間の経過によらずそのまま溶鋼内に残留する場合と、生成した介在物が時間経過と共に緩やかに凝集する場合とがある。
前記した特許文献2に記載の加炭ならびに真空脱ガス処理では、脱酸にC元素を活用した結果、粗大介在物の生成を抑制できるものとみられる(特許文献2の図4において、粒径70μmの介在物が大幅に減少)。
しかし、粒径が小さな介在物(粒径20μm以下クラス)の減少効果は小さい。
これは、特許文献2では、一次精錬炉からの出鋼時又は出鋼後に、溶鋼に伴われているスラグ中に金属アルミニウムやアルミ滓などの還元滓を添加し、スラグ中のFeOやMnOなどの酸化性成分を低減させていることに起因している。
上記したように、スラグ中の酸化性成分を金属アルミニウムやアルミ滓などで還元することは、アルミナを生成させることを意味しており、その生成量が多量であれば、微細な状態(20μm以下)で生成したアルミナ介在物が凝集や浮上しきれず、溶鋼中、更には、鋳造後の鋳片内に残存することとなる。
更に、この5〜20μmクラスの微細なアルミナ介在物が、溶鋼中や鋳片内に多数残存する場合には、鋼材の極薄化などの加工時に、欠陥の起点となる頻度が高くなる。
従って、品質向上のためには、アルミナ介在物の生成量を抑制する必要がある。
(2)溶鋼の撹拌処理に関する知見
取鍋を用いた溶鋼の撹拌処理は、一般に取鍋底部よりArガスを溶鋼中に吹込み、ガス気泡の浮上効果を用いることで行われ、取鍋内の溶鋼の成分や温度の均一化、また、介在物の浮上除去に用いられている。
本発明者らは、溶鋼の撹拌処理を行うに際し、アルミナの生成量(脱酸直後の介在物の存在状況)によって撹拌の寄与形態が異なることを、数々の実験等から知見した。その状況は、以下の通りである。
溶鋼中のアルミナ介在物が比較的多い場合、撹拌処理による介在物個数の絶対値改善効果は小さい。なお、溶鋼中のアルミナ介在物の個数は、炭素成分を添加して行う脱炭処理(真空脱ガス処理)前の溶鋼(一次精錬直後の高溶存酸素濃度の溶鋼)に金属アルミニウムを添加する場合に、多量の金属アルミニウムを使用することに起因して多くなる。
この場合、取鍋でのガス撹拌(RH処理での環流撹拌も同様)によるエネルギーは、その大半が既生成の粗大介在物の浮上運動に費やされるため、微小介在物の顕著な個数減少効果が小さい。また、微細な(20μm以下の)アルミナ介在物の個数が多いため、撹拌を行わずとも粒子同士の衝突頻度が高くなり、脱炭処理前に生成したアルミナ介在物は時間の経過と共に凝集合体による浮上が進む。しかし、アルミナ介在物の個数が多過ぎるため、粒径が増加していない介在物は、依然として溶鋼中に残存する。
このように、アルミナ介在物が比較的多い場合、撹拌による介在物除去の効果が不明瞭であると共に、所定の撹拌処理を行っても凝集合体しきれない微細な介在物の除去が困難であるため、撹拌処理の有無による介在物の粒度分布の大幅な変化が認められない。
一方、溶鋼中のアルミナ介在物が比較的少ない場合、撹拌処理による微細な介在物粒子の衝突頻度が増加するため、介在物の粒径分布はやや増加する(粒径が大きくなる)傾向がみられた。なお、溶鋼中のアルミナ介在物の個数は、炭素成分を添加して行う脱炭処理前の溶鋼に金属アルミニウムを添加することなく、脱炭処理後の溶鋼に金属アルミニウムを添加する場合に少なくできる。
この場合、撹拌処理により、粒径が5〜20μmクラスの微小介在物の個数が減少し、30〜50μmクラスの介在物の個数が増加することを知見した。
これは、脱炭処理後の溶鋼に金属アルミニウムを添加し、この金属アルミニウムの添加直後にガス撹拌を施すことで、生成した、個数が少ない微細なアルミナ介在物のガス気泡による捕捉効果と、撹拌(流動)による介在物粒子の衝突に伴う凝集合体の効果が得られたことに起因するものと考えられる。
従って、脱炭処理後の溶存酸素濃度を低減させた溶鋼に対し、金属アルミニウムを添加することと、その直後に撹拌処理を行うことが重要である。
(3)タンディッシュに設ける堰に関する知見
連続鋳造においては、連続鋳造速度に対応する量で溶鋼がタンディッシュに注湯されるため(例えば、8トン/分以下程度の量)、タンディッシュ内での溶鋼の流動速度が、取鍋のガス撹拌における溶鋼の撹拌流速よりも小さく、介在物の凝集合体の効果が望みにくい。
しかし、タンディッシュの内部に堰を立設し、タンディッシュ内の溶鋼に上昇流を発生させると、タンディッシュ内の湯面に存在するスラグの撹拌効果を抑制した状態で、30〜50μm程度の粒子径を有する溶鋼中の介在物を浮上させ、これをスラグに捕捉させる効果が期待できる。
従って、タンディッシュの内部に堰を立設する必要がある。
以上のことから、本発明者らは、高清浄鋼の製造方法に想到した。
即ち、図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る高清浄鋼の製造方法は、大気圧下で吹酸脱炭する一次精錬を行った(転炉で処理した)溶鋼を、少なくとも出鋼工程と真空脱ガス工程で順次処理して溶製した後、連続鋳造工程でタンディッシュ10に注湯して連続鋳造するに際し、真空脱ガス工程による脱炭処理前ではなく脱炭処理後の溶鋼に金属アルミニウムを添加する方法である。
以下、詳しく説明する。
一次精錬を行った溶鋼を、出鋼工程で、取鍋へ供給する。
転炉吹錬等の一次精錬直後では、一般に溶鋼の溶存酸素濃度が600〜900ppm程度と高く、この状態で金属アルミニウムの添加による脱酸処理を行うと、極めて多量の微細なアルミナが生成することとなる。この生成した微細なアルミナの一部は、前記したように、時間経過と共に凝集合体して粗大化し、浮上除去されるものもあるが、鋳造までの限られた時間内に、全ての介在物、特に20μm以下クラスの介在物を、完全に浮上除去させることは事実上不可能である。
アルミナ生成量は、脱酸対象となる溶存酸素濃度と金属アルミニウムの添加量に支配される。即ち、脱酸処理前の溶存酸素濃度を下げた上で、金属アルミニウムの添加量を低減し、溶存酸素以外(スラグ中のFeOやMnO)の酸素によるアルミニウム酸化(スラグなど)を抑制することが、極めて重要である。
そこで、まず、一次精錬終了後の溶存酸素濃度が高い状態の溶鋼に対し、介在物生成の起こり得ない脱酸元素である炭素成分を溶鋼に(出鋼工程と真空脱ガス工程の間で)添加する(加炭処理)。次に、炭素成分が添加された取鍋内の溶鋼を、真空脱ガス(真空下での脱ガス処理)工程で撹拌しながら脱炭処理(脱酸処理)を行う。
これにより、溶鋼の溶存酸素濃度を、例えば、50〜200ppm程度まで減少できる。
そして、上記した溶存酸素濃度を低下させた脱炭処理後の溶鋼に金属アルミニウムを添加し、この金属アルミニウムが添加された溶鋼を3分以上12分以下(好ましくは、下限を4分、上限を10分)の範囲で撹拌処理する。
溶鋼への金属アルミニウムの添加量は、アルミナ生成量の減少につなげるため少なくすることが好ましく、溶鋼中の溶存酸素量に応じて、例えば、溶鋼1トンあたり0.1〜2.4kg程度添加するのがよい。
また、溶鋼の撹拌処理には、取鍋の底部からAr(アルゴン)などの不活性ガスを吹込むガス撹拌(バブリング)や、RHを用いた環流撹拌を使用できる。なお、RHを用いて環流撹拌する場合は、真空度が133〜400×10Pa(1〜300Torr)、好ましくは133×10〜400×10Pa(100〜300Torr)の低真空度で撹拌するとよい。また、取鍋での操業条件(ガス撹拌の撹拌力)は、上記した脱炭処理を行う場合と同様、あるいは、脱炭処理時より低流量(例えば、脱炭処理時のガス流量の0.3倍以上1.0倍未満)でよい。
ここで、撹拌処理の時間(撹拌時間)が3分未満の場合、前記した撹拌の作用効果が顕著に得られない。一方、撹拌時間の上限である12分は、上記した撹拌処理の方法の1つである取鍋でのガス撹拌に基づいて決定した。
RHでの環流撹拌では、12分を超えて撹拌処理を行ってもよいが、取鍋でのガス撹拌では、撹拌時間を長くすることで溶鋼の温度低下が大きくなり、新たなアルミナ介在物粒子が生成し易くなる。これは、溶鋼の温度低下に伴い、「2Al+3→Al」の反応の溶解度積が低下することに起因する。
そこで、上記した撹拌処理の方法のうち、温度低下による影響を受ける取鍋でのガス撹拌を考慮して、撹拌時間の上限を決定した。
これにより、溶鋼中に生成した小さなアルミナ介在物の凝集合体の効果を促進できる。
続いて、金属アルミニウムの添加後に撹拌処理した溶鋼を、溶鋼鍋11を用い、ロングノズル12を介してタンディッシュ10に注湯する。
タンディッシュ10には、その内部を、溶鋼鍋11からロングノズル12を介して溶鋼を受け入れる受湯部13と、溶鋼を連続鋳造する鋳型14に注入する排湯部15とに仕切る堰(下堰)16が設けられている。なお、排湯部15の底部には浸漬ノズル17が設けられ、排湯部15内の溶鋼を浸漬ノズル17を介して鋳型14に注入している。
堰16は、タンディッシュ10の底面18から湯面(浴面)に向かうように立設されたものであり、その高さを、溶鋼深さ(浴深)H(m)の0.3倍(0.3×H)以上0.8倍(0.8×H)以下にしたものである。なお、溶鋼深さH(m)とは、堰16を配置した部分のタンディッシュ10の底面18から湯面までの距離を意味する。
前記したように、タンディッシュ内で溶鋼の上昇流を有効に作用させるには、堰の高さを、溶鋼深さの0.3倍以上にする必要がある。一方、堰の高さが溶鋼深さの0.8倍を超える場合、上昇流がタンディッシュ内の湯面スラグを撹拌する可能性があり好ましくない。
従って、堰16の高さを、溶鋼深さH(m)の0.3倍(好ましくは、0.4倍)以上0.8倍(好ましくは、0.7倍)以下にした。
なお、堰は、タンディッシュ内の溶鋼の流れ方向に、間隔を有して複数設置することもできる。この場合、溶鋼の流れ方向に隣り合う堰の間に、溶鋼に下降流を形成するための上堰を設置して、溶鋼の流れを側面視して上下方向にジグザグ状にし、タンディッシュ内での溶鋼の滞留時間を長くすることもできる。
また、堰16の底部近傍には、使用後のタンディッシュ10内の残湯の排出を容易にするため、一般に貫通孔19を設けている。この貫通孔19の形状は、正面視して四角形であり、湯面の幅をWとすると、高さ方向の内幅W1が1/5×W、幅方向の内幅W2が1/5×Wである。なお、貫通孔の構成は、残湯の排出を容易にできる構成であれば、特に限定されるものではなく、例えば、高さ方向の内幅W1を1/5×W以下の範囲で、また、幅方向の内幅W2を1/5×W以下の範囲で、それぞれ調整できる。
この貫通孔19は、堰16に2個(1個又は複数個でもよい)形成されているが、この程度の貫通孔19であれば、前記した溶鋼に上昇流を発生させる作用効果は得られる。また、上記した貫通孔と開口面積が同等の貫通孔であれば、タンディッシュ内の溶鋼に上昇流を発生させることが可能であり、本発明の作用効果は得られるものと考えられる。
これにより、タンディッシュ10内の溶鋼に上昇流を発生させ、凝集合体した30〜50μm程度の粒子径を有するアルミナ介在物を浮上させて、これを湯面上のスラグに捕捉させる効果が得られる。
従って、得られた溶鋼を連続鋳造することで、従来よりもアルミナ介在物の個数を低減でき、特に粒径が20μm以下クラスのアルミナ介在物の個数を低減した鋼材(鋳片)を製造できる。特に、この鋼材は、介在物の含有量規制に対して最も要求の厳しい飲料缶用鋼板などの製造時においても、介在物に起因する製品不合(製品不良)を著しく低減できることが可能となる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、以下の方法を基本として各条件を変更し、鋳片の清浄性の評価を行った。
350トンの転炉にて一次精錬を行った後、取鍋内に出鋼した溶鋼(炭素濃度:0.037質量%、溶存酸素濃度:700ppm)に、ピッチコークス(炭素成分)添加による加炭処理を施した。その後、一本足の大径管の浸漬と取鍋での底吹きのガス撹拌による脱ガス処理(脱炭処理)を行った。
そして、取鍋内の溶鋼に金属アルミニウムを、溶鋼1トンあたり0.1〜2.4kg添加し、更に3〜14分間のガス撹拌(撹拌処理)を施した後、この溶鋼を、浴深H(m)に対して0.2×H〜0.9×Hの高さの下堰を有するタンディッシュに注湯し、連続鋳造を実施した。
試験条件とその結果及び評価を、表1に示す。
Figure 0006428307
表1において、「加炭後」の欄には、ピッチコークスを添加した後の溶鋼の炭素濃度([%C])と溶存酸素濃度([O](ppm))を記載し、「減圧C脱酸後」の欄には、脱炭処理を行った後の溶鋼の炭素濃度([%C])と溶存酸素濃度([O](ppm))を記載している。
また、「取鍋処理後」の欄には、「取鍋撹拌時間」の欄の時間でガス撹拌した後の溶鋼のトータル酸素濃度(T.[O](ppm))を記載している。
そして、「鋳片」の欄には、連続鋳造を行った後の鋳片のトータル酸素濃度(T.[O](ppm))を記載し、「鋳片介在物個数」の欄には、代表位置から切り出したサンプル(25mm角)を光学顕微鏡で調査した結果(アルミナ介在物の個数)を記載している。
なお、「評価」は、「鋳片介在物個数」の結果が1.00(個/cm)以下の場合を清浄性が良好(○)と判断し、1.00(個/cm)超の場合を清浄性が悪い(×)と判断した。
表1中の実施例1〜7は、脱炭処理前ではなく脱炭処理後に金属アルミニウムを添加した溶鋼を適正範囲内の時間(3〜12分の範囲)で撹拌処理し、この溶鋼を、適正範囲内の高さ(0.3×H〜0.8×Hの範囲)の下堰を有するタンディッシュへ注湯して、連続鋳造した結果である。即ち、脱炭処理前の金属アルミニウムの添加量は0kgである。
この場合、金属アルミニウムの添加時期によるアルミナ介在物の生成抑制効果、溶鋼の撹拌処理による小さなアルミナ介在物の凝集合体効果、及び、タンディッシュの下堰による溶鋼への上昇流付与効果が得られた。
その結果、表1に示すように、鋳片のトータル酸素濃度を低減できると共に、鋳片中に存在するアルミナ介在物の個数を低減でき、鋳片の清浄性を良好にできた(評価:○)。
一方、比較例8は、実施例1の条件において、一次精錬後の溶鋼に、加炭処理を施すことなく脱ガス処理を行った場合の結果である。
この場合、加炭処理を施さなかったため、脱ガス処理後の溶鋼に添加する金属アルミニウム量を多くしなければならず、アルミナ介在物が多く生成し、溶鋼の撹拌処理による小さなアルミナ介在物の凝集合体効果が十分に得られなかった。
その結果、表1に示すように、鋳片中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、鋳片の清浄性が悪くなった(評価:×)。
比較例9、10は、実施例1の条件において、金属アルミニウムを添加した溶鋼の撹拌時間を、適正範囲外の時間(比較例9:2分、比較例10:14分)とした場合の結果である。
この場合、比較例9においては、撹拌時間が不足して撹拌処理による小さなアルミナ介在物の凝集合体効果が十分に得られず、また、比較例10においては、撹拌時間の長期化に伴い溶鋼温度が低下して多くのアルミナ介在物が生成した。
その結果、表1に示すように、鋳片中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、鋳片の清浄性が悪くなった(評価:×)。
比較例11、12は、実施例1の条件において、タンディッシュに設けられた下堰を、適正範囲外の高さ(比較例11:0.2×H、比較例12:0.9×H)とした場合の結果である。
この場合、比較例11においては、下堰の高さが低過ぎてタンディッシュ内で溶鋼の上昇流を有効に作用させることができず、また、比較例12においては、下堰の高さが高過ぎて上昇流がタンディッシュ内の湯面スラグを撹拌した。
その結果、表1に示すように、鋳片中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、鋳片の清浄性が悪くなった(評価:×)。
比較例13は、実施例1の条件において、金属アルミニウムの添加を、脱炭処理後ではなく脱炭処理前の溶鋼に行った場合の結果である(特許文献2と同様の方法)。
この場合、前記したように、スラグ中の酸化性成分が金属アルミニウムで還元され、アルミナが多く生成したため、溶鋼の撹拌処理によるアルミナ介在物の凝集合体効果が十分に得られなかった。
その結果、表1に示すように、鋳片中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、鋳片の清浄性が悪くなった(評価:×)。
比較例14は、実施例1の条件において、金属アルミニウムを添加した溶鋼を撹拌処理しなかった場合の結果である。
この場合、撹拌処理による小さなアルミナ介在物の凝集合体効果が得られず、表1に示すように、鋳片中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、鋳片の清浄性が悪くなった(評価:×)。
従来法は、実施例1の条件において、一次精錬後の溶鋼に、加炭処理を施すことなく、また、脱ガス処理を行うことなく、金属アルミニウムを添加した場合の結果である(即ち、金属アルミニウムによる脱酸のみ)。
この場合、加炭処理と脱ガス処理を施さなかったため、溶鋼に添加する金属アルミニウム量が多くなり、アルミナ介在物が多く生成し、溶鋼の撹拌処理による小さなアルミナ介在物の凝集合体効果が十分に得られなかった。
その結果、表1に示すように、鋳片中に存在するアルミナ介在物の個数が多くなり、鋳片の清浄性が悪くなった(評価:×)。
ここで、上記した従来法と実施例1について、取鍋での撹拌処理終了時における溶鋼中のアルミナ介在物の粒径頻度分布を調査した結果を図3に、連続鋳造した鋳片中のアルミナ介在物の粒径個数分布を調査した結果を図4に、それぞれ示す。なお、図3の縦軸は、全てのアルミナ介在物(粒径範囲が5μm以上20μm以下、20μm超30μm以下、30μm超50μm以下、及び、50μm超)の合計個数を100%としたときの各粒径範囲のアルミナ介在物の個数割合を示している。
図3に示すように、アルミナ介在物の粒径範囲が、5μm以上20μm以下と20μm超30μm以下の個数割合はともに、実施例1が従来例より低くなっているが、30μm超50μm以下の個数割合は、実施例1が従来例より高くなっている。
即ち、5μm以上20μm以下と20μm超30μm以下の個数割合の、実施例1の従来例に対する減少分が、30μm超50μm以下の個数割合の、実施例1の従来例に対する増加分に相当する。これは、実施例1が、金属アルミニウムの添加前に加炭処理と脱ガス処理を行っているため、溶鋼中のアルミナ介在物量を少なくでき、その結果、溶鋼の撹拌処理による小さなアルミナ介在物の凝集合体効果が得られたことに起因するものと考えられる。
そして、上記した溶鋼を、下堰が設けられたタンディッシュに注湯し、連続鋳造することで、実施例1については、タンディッシュの下堰による溶鋼への上昇流付与効果が得られ、図4に示すように、アルミナ介在物の粒径範囲が30μm超50μm以下の検出個数を、従来例よりも低くできた。
従って、本発明の高清浄鋼の製造方法を用いることで、従来よりもアルミナ介在物の個数を低減でき、特に粒径が20μm以下クラスのアルミナ介在物の個数を低減できることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の高清浄鋼の製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、一次精錬を行った溶鋼を、出鋼工程と真空脱ガス工程で順次処理して溶製した後、連続鋳造工程で連続鋳造した場合について説明したが、連続鋳造工程前に、必要に応じて、出鋼工程と真空脱ガス工程以外の工程を行ってもよい。
10:タンディッシュ、11:溶鋼鍋、12:ロングノズル、13:受湯部、14:鋳型、15:排湯部、16:堰、17:浸漬ノズル、18:底面、19:貫通孔

Claims (1)

  1. 大気圧下で吹酸脱炭する一次精錬を行った溶鋼を、少なくとも出鋼工程と真空脱ガス工程で順次処理して溶製した後、連続鋳造工程でタンディッシュに注湯して連続鋳造するに際し、前記真空脱ガス工程による脱炭処理前ではなく該脱炭処理後の溶鋼に金属アルミニウムを添加する高清浄鋼の製造方法であって、
    前記出鋼工程と前記真空脱ガス工程の間で炭素成分を溶鋼に添加し、該溶鋼を前記真空脱ガス工程で撹拌しながら脱炭処理し、該脱炭処理後に溶鋼1トンあたり0.1〜2.4kgの前記金属アルミニウムが添加された溶鋼を3分以上12分以下撹拌処理し、
    溶鋼を受け入れる受湯部と、該溶鋼を連続鋳造する鋳型に注入する排湯部とに仕切る堰が内部に設けられ、該堰の高さを溶鋼深さの0.3倍以上0.8倍以下とした前記タンディッシュに、前記金属アルミニウムの添加後に撹拌処理した溶鋼を注湯することを特徴とする高清浄鋼の製造方法。
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