JPH0741825A - 真空脱ガス設備の上吹ランス装置 - Google Patents

真空脱ガス設備の上吹ランス装置

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JPH0741825A
JPH0741825A JP17384193A JP17384193A JPH0741825A JP H0741825 A JPH0741825 A JP H0741825A JP 17384193 A JP17384193 A JP 17384193A JP 17384193 A JP17384193 A JP 17384193A JP H0741825 A JPH0741825 A JP H0741825A
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JP
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lance
vacuum degassing
top blowing
blowing lance
molten steel
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Application number
JP17384193A
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English (en)
Inventor
Yoichi Nimura
洋一 丹村
Hirohisa Nakajima
廣久 中島
Manabu Arai
学 新井
Kyoji Watanabe
恭二 渡辺
Junichi Shoda
順一 庄田
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は真空脱ガス設備の上吹ランス装置に
関する。 【構成】 上吹ランス装置21は真空脱ガス槽3の上蓋
3aの中心部を貫通挿入して、上下動可能に設け、ラン
ス22の先端部22aに2点鎖線で示す軸芯に対して下
向きに20〜50度の角度を有するランス孔22bと、
上吹ランス22の軸芯中心の回転機構23と、任意の位
置での回転停止機構24を設けている。 【効果】 上記構造により、酸化性のガス、又は粉体の
吹き付け方向を任意の方向に調整して、溶鋼温度低下を
防止し、脱炭処理、脱硫処理、更には付着地金除去を効
率良く行うことが出来る。2次燃焼ゾーンを調整出来る
ので、真空脱ガス槽内壁の耐火物の溶損防止が可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は真空脱ガス設備の上吹ラ
ンス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高級鋼、低合金鋼、特殊鋼等を生産する
ための優れた方法として真空精錬方法が脚光を浴び、そ
れを行うための真空脱ガス設備が普及してきている。上
記真空精錬方法の主流を成しているのが、DH法、RH
法等の吸上式真空精錬方法であり、それを実施するため
の設備としてDH式又はRH式真空脱ガス設備が用いら
れている。
【0003】しかし、上記吸上式真空精錬方法では下記
の(1)、(2)、(3)項に示すような問題があり、
それを解決するために、DH式又はRH式真空脱ガス設
備の真空脱ガス槽内にランスを挿入する上吹きランス装
置を付加した改良設備が多く取上げられている。
【0004】(1)脱ガス処理中に溶鋼の温度降下を伴
い、脱ガス・脱炭反応の進行が遅れること。 (2)脱硫反応等が遅いこと。 (3)真空脱ガス槽内壁に地金が付着すること。
【0005】特開平2−77518号公報(先行文献1
と云う)には、溶鋼の温度降下を防止して、真空脱ガス
・脱炭処理を行うためのRH式真空脱ガス装置が開示さ
れている。図7はそのRH式真空脱ガス装置の模式図で
ある。図7において、1は取鍋、3は真空脱ガス槽であ
る。転炉等の精錬炉で溶製された未脱酸溶鋼、弱脱酸溶
鋼もしくは既存脱酸溶鋼2は取鍋1に受湯され、取鍋1
の移動で、真空脱ガス槽3の下部に運ばれ、そこで、R
H式真空脱ガス設備によって、溶鋼の真空脱ガス・脱炭
処理を行う。
【0006】真空脱ガス槽3は真空排気系にダクト4を
介して接続されている。溶鋼2は供給羽口6から吹込ま
れた不活性ガス等によって、真空脱ガス槽3内に吸上げ
られ、溶鋼の真空脱ガス・脱炭処理が行われる。ここで
は上吹ランス5によって真空脱ガス槽内に酸素を吹き込
み、脱ガス処理中に発生するCOガス16を燃焼させ、
溶鋼2の温度降下を伴うことなしに脱ガス・脱炭反応を
進行させる。7は上昇管、8は下降管である。
【0007】上吹ランス装置は真空脱ガス槽3内で上吹
ランス5の先端位置を溶鋼の静止面から一定の距離をお
いて配置するために、図示されていない上下動機構を設
けて、上吹ランスを上下方向に移動する。
【0008】また、日本鉄鋼協会講演論文集「材料とプ
ロセス,5(1992),p1238)」、「材料とプ
ロセス,5(1992),p1240」(先行文献2と
云う)には、RH式真空脱ガス設備の真空脱ガス槽内
に、真空処理中に、粉体を溶鋼表面に向けて吹き付けて
脱硫反応等を促進させるために、ランスが上下方向に移
動可能な上吹ランス装置を用いることが開示されてい
る。
【0009】一方、日本鉄鋼協会講演論文集「材料とプ
ロセス,5(1990),p239」(先行文献3と云
う)には、RH式及びDH式等の真空脱ガス設備の真空
脱ガス槽内に付着した地金を溶解するために、非処理中
に酸化性のガスを吹込むためにランスが上下方向に移動
可能な上吹ランス装置を用いることが開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た技術は次のような問題がある。先行文献1に開示され
た技術は、槽内圧力1Torr以上で溶鋼面に於ける到
達圧力がある一定範囲内の値となるよう酸素或いは酸素
含有ガスを吹き込んでCOガスを燃焼させるものであ
る。即ち、槽内圧力を1〜200Torrとし、ランス
下端を溶鋼面から1.6〜4.5m離し、又は、CO燃
焼用ランス、脱炭用ランスを個別に設けてCO燃焼用ラ
ンスは鋼浴から1.6〜4.5mの高さとし、脱炭用ラ
ンスは1.6m以下とするものである。
【0011】しかし、図7に示すように、このランス装
置を用いた方法では上吹ランス5の挿入位置が真空脱ガ
ス槽6の径方向では固定されており、真空脱ガス槽3の
中心或いはその近傍に位置するようになっている為、点
線で囲んだ二次燃焼ゾーン9が形成され、二次燃焼によ
り発生した熱の一部は溶鋼に着熱せず、高温ガス体とし
てダクト4に引かれてしまい、温度降下を防止すること
が充分でないという問題がある。
【0012】先行文献2に開示された技術は、RH式真
空脱ガス槽上部から垂直に挿入した水冷ランスより脱硫
剤である粉体をArガス等の気送ガスとともに上吹きす
るものである。
【0013】しかし、図8に示すように、このランス装
置を用いた方法においても粉体吹込みランス10の挿入
位置は真空脱ガス槽3の径方向では固定されており、真
空脱ガス槽3の中心或いはその近傍に位置するようにな
っており、真空脱ガス槽3内に溶鋼を入れる上昇管(浸
漬管)7が槽の中心からずれている為に、点線で囲んだ
粉体分散ゾーン11が形成され、粉体12の溶鋼内滞在
距離が短く、滞在中に粉体12と溶鋼2との間に起こる
反応、即ちトランジトリー反応の時間を充分に確保する
ことは不可能である。その結果、脱硫効率が悪化し溶鋼
の低硫化が図れなく、又は溶鋼の低硫化に長時間を要す
るために、処理コストが増加するという問題がある。
【0014】先行文献3に開示された技術は、真空脱ガ
ス槽内に挿入された酸化性ガスの吹込みランスの高さ及
び送酸速度を変化させることによって、真空槽内に付着
した地金を溶解するものである。
【0015】しかし、図9に示すように、このランス装
置を用いた方法においても酸化性ガス(酸素ガス)を吹
込むための上吹ランス5の挿入位置は真空脱ガス槽3の
径方向では固定されており、槽の中心或いはその近傍に
位置するようになっており、かつ、ランスから吹き出さ
れる酸化性ガスの広がり角度には一定の限度がある為、
点線で囲んだ酸化性ガスの広がりゾーン14又は一点鎖
線で囲んだ酸化性ガスの広がりゾーン15となり、酸化
性のガスを直接に地金13に吹き付けることは困難であ
る。その結果、地金の効率的な溶解が実施出来ないとい
う問題がある。
【0016】この発明は、上述したような従来技術の問
題点を解決し、真空脱炭中に於ける溶鋼の温度低下を防
止し、真空処理中に於ける粉体吹付けによる脱硫反応等
を促進し、又は、非処理中に於ける真空脱ガス槽内壁の
付着地金を除去することの可能な真空脱ガス設備の上吹
ランス装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明は真空脱ガス槽の上蓋を貫通して挿入さ
れ、上下動可能に設けられた上吹ランス装置であって、
前記上吹ランス装置のランスの先端部に軸芯に対して下
向きに20〜50度の角度を有するランス孔を設けると
ともに、前記ランスを軸芯中心に回転させる機構と、任
意の位置でその回転を停止させる機構を設けたことを特
徴とする真空脱ガス設備の上吹ランス装置とするもので
ある。
【0018】第2の発明は真空脱ガス槽の上蓋を貫通し
て挿入し、上下動可能に設けられた上吹ランス装置であ
って、前記ランス装置のランスを鉛直方向に対して5〜
50度の角度で旋回させる機構と、任意の位置でその旋
回を停止させる機構を設けたことを特徴とする真空脱ガ
ス設備の上吹ランス装置とするものである。
【0019】そして第3の発明は真空脱ガス槽の上蓋を
貫通して挿入し、上下動可能に設けられた上吹ランス装
置であって、前記上吹ランス装置のランスの先端部に軸
芯に対して下向きに20〜50度の角度を有するランス
孔を設けるとともに、前記ランスを軸芯中心に回転させ
る機構と、そのランスを鉛直方向に対して5〜50度の
角度で旋回させる機構と、任意の位置でその回転、旋回
を停止させる機構を設けたことを特徴とする真空脱ガス
設備の上吹ランス装置とするものである。
【0020】
【作用】上記したように第1の発明では、ランスの先端
部に軸芯に対して下向きに20〜50度の角度を有する
ランス孔を設ける。20度未満の場合では二次燃焼ゾー
ンの範囲、粉体分散ゾーンの範囲の移動距離が短く、さ
らには酸化性ガスを地金位置に直接吹き付けることが困
難で、本発明の目的を達成出来ない。又、50度を超え
た場合では、二次燃焼ゾーンと槽壁の煉瓦の接触面積が
広くなり過ぎ、槽壁の煉瓦を損傷する。
【0021】第1の発明によれば、上吹ランス装置のラ
ンスの先端部に軸芯に対して下向きに20〜50度の角
度を有するランス孔を設けるとともに、前記ランスを軸
芯中心に回転させる機構と、任意の位置でその回転を停
止させる機構を設けて、真空脱ガス装置に特有な2次燃
焼ゾーンの排気孔に近ずき過ぎることを防止し、2次燃
焼ゾーンを排気孔より極力離れた位置に存在させて、排
気に引かれる高温ガス体の量を減少させる。それによっ
て、COガスの二次燃焼によって発生した熱の溶鋼への
着熱を効率良く行わせることが出来る。その場合、回転
させる機構と、任意の位置で回転を停止させる機構とを
組合わせることによって、初めて、二次燃焼ゾーンの調
整が可能となる。
【0022】DH式、RH式等の吸上式真空脱ガス装置
に特有な上昇管、下降管等を局部的な位置に設けた真空
脱ガス槽の場合には、本発明の上吹ランス装置のランス
により、粉体分散ゾーンを上昇管(両浸漬管の内、溶鋼
が上向きに流れている浸漬管)直上まで広げることが出
来るので、トランジトリー反応長さ即ち反応時間を極力
延長せしめて、脱硫反応等を促進させることが出来る。
その場合、回転させる機構と、任意の位置で回転を停止
させる機構とを組合わせることによって、初めて、粉体
分散ゾーンの調整が可能となる。
【0023】一方、RH式又はDH式真空脱ガス設備の
真空脱ガス槽内に付着した地金を本発明の上吹きランス
装置で行う場合は、地金が付着、成長した部位に酸化性
ガスを正確に吹き付けることが出来るので、付着した地
金の除去が容易である。その場合、回転させる機構と、
任意の位置で回転を停止させる機構とを組合わせること
によって、初めて、地金が付着、成長した部位に酸化性
ガスを正確に吹き付けることの調整が可能となる。
【0024】第2の発明では、ランスを鉛直方向に対し
て5〜50度の角度で旋回させる機構を設ける。5度未
満の場合では二次燃焼ゾーンの範囲、粉体分散ゾーンの
範囲が狭く、さらには酸化性ガスを地金位置に直接吹き
付けることが困難で、本発明の目的を達成出来ない。
又、50度を超えた場合では、二次燃焼ゾーンが広くな
り過ぎ、槽壁の煉瓦を損傷する。
【0025】第2の発明でも、第1の発明と同様に、二
次燃焼ゾーンの調整が可能で、COガスの二次燃焼によ
って発生した熱の溶鋼への着熱を効率良く行わせること
が出来る。又、粉体分散ゾーンの調整が可能で脱硫反応
等を促進させることが出来る。更には地金が付着、成長
した部位に酸化性ガスを正確に吹き付けることの調整が
可能である。
【0026】第3の発明では、ランスの先端部に軸芯に
対して下向きに20〜50度の角度を有するランス孔を
設け、そのランスを旋回する機構と、回転する機構と、
任意の位置で旋回、回転を停止する機構を設けたので、
よりきめ細かな調整が出来る。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を図によって説明す
る。図1は第1の発明の上吹ランス装置を真空脱ガス設
備に取付けた状態を示す図である。
【0028】この上吹ランス装置21は真空脱ガス槽3
の上蓋3aの中心部を貫通して挿入され、上下動可能に
設けられたものであって、上吹ランス装置21のランス
22の先端部22aに2点鎖線で示す軸芯に対して下向
きに20〜50度の角度を有するランス孔22bを設け
るとともに、前記上吹ランス22を軸芯中心に回転させ
る機構23と、任意の位置でその回転を停止させる機構
24を設けている。上吹ランス装置21は必要に応じ
て、真空脱ガス槽3の上蓋3aの中心部から偏芯した部
分を貫通して挿入することも出来る。
【0029】図2(a)、(b)、(c)は第1の発明
の上吹ランス装置の要部を示す図であり、(a)図はラ
ンスを上下動させる機構を示す図、(b)図は(a)図
のA−A線の断面図、(c)図はランス回転装置の制御
系統を示す図である。図において、ランス台車29には
上部フレーム30に軸受けボックス31を設け、軸受け
ボックス31に係合して回転する側面にラックを有する
回転体32を設けて、その回転体32の上にランス受台
33を設けている。
【0030】ランスはランス受台33に支持されてお
り、ランス台車29をガイド34に沿って上下動させる
ことによって、ランスが上下動する。ランスにはトラニ
オン47を取付け、ランス受台33のトラニオン受け4
8と係合させて、ランスの回転を円滑に行わせるように
している。ランスを軸芯を中心にして回転させる場合に
は、回転体32のラックをピニオン35と係合させて、
駆動装置25によって行われる。
【0031】任意の位置でその回転を停止させる機構2
4は減速機37に取付けた回転角度検出器38と制御装
置39で構成して、回転角度、回転速度等を制御して、
所定の位置でランスの停止を行うことが出来るようにし
ている。
【0032】図1、図2に示す上吹ランス装置を用いて
真空脱ガス処理を行う場合には、酸素吹込みランス22
のランス孔22bの位置を真空脱ガス槽3のダクト4と
反対側に向くように回転させて位置決めしてから停止さ
せ、酸素吹込みを行う。そのために、実線で囲んだ二次
燃焼ゾーン45が形成され、二次燃焼により発生した熱
の全部を溶鋼に着熱させることが出来、温度降下を防止
することが出来る。
【0033】図3は第2の発明の上吹ランス装置を真空
脱ガス設備に取付けた状態を示す図である。この上吹ラ
ンス装置21は真空脱ガス槽3の上蓋3a中心部を貫通
して挿入し、上下動可能に設けられたものであって、上
吹きランス装置21のランス22を旋回させる機構27
と、任意の位置でその旋回を停止させる機構28を設け
ている。上吹ランス装置21は必要に応じて、真空脱ガ
ス槽3の上蓋3aの中心部から偏芯した部分を貫通して
挿入することも出来る。
【0034】図4は第2の発明の上吹ランス装置の要部
を示す図である。図において、ランス台車29には下部
フレーム40の上に下部台車41、その上に上部台車4
2を互いに直交に往復動出来るように設け、更に上部台
車42の上にランス受台33を設けている。ランス22
は図1、図2の場合と同じようにランス受台33に支持
されており、ランス台車29をガイド34に沿って上下
動させることによって、ランスが上下動する。
【0035】ランスを旋回させる場合は、真空脱ガス槽
の上蓋3a上に設けた支点金物43を支点として、下部
台車41とその上の上部台車42を互いに直交に往復動
させて、ランス先端を旋回させる。49はシール機構で
ある。下部台車41とその上の上部台車42は台車内に
駆動装置25を内蔵させており、任意の位置でその旋回
を停止させる機構28と連結させている。任意の位置で
その旋回を停止させる機構28は台車内に内蔵させた減
速機37に回転角度検出器38と制御装置39で構成し
て、旋回角度、旋回速度等を制御して、所定の位置でラ
ンスの停止を行うことが出来るようにしている。
【0036】又、ランス台車29の上フレーム30と下
フレーム40の外側には上クランプ43と下クランプ4
4を設けて、ランスを真空脱ガス槽3に挿入する時、引
き抜く時に、あらかじめセンターリングを行ない、その
操作を容易にしている。このランス装置を用いて、粉体
吹込み方法を行う場合には、ランス22の先端が、真空
脱ガス槽内に溶鋼を入れる上昇管7側に向くように、旋
回して位置決めし、停止して、粉体吹込みを行う。
【0037】そのために、実線で囲んだ粉体分散ゾーン
45が形成され、粉体12の溶鋼内滞在距離が長く、滞
在中に粉体12と溶鋼2との間に起こる反応、即ちトラ
ンジトリー反応の時間を充分に確保することが出来る。
その結果、脱硫効率が向上し溶鋼の低硫化が図れ、又は
溶鋼の低硫化を短時間で処理出来るために、処理コスト
が低下する。
【0038】図5は第3の発明の上吹ランス装置を真空
脱ガス設備に取付けた状態を示す図である。この上吹ラ
ンス装置21は真空脱ガス槽3の上蓋3a中心部を貫通
して挿入し、上下動可能に設けられたものであって、上
吹ランス装置21のランス22の先端部22aに軸芯に
対して下向きに20〜50度の角度を有するランス孔2
2bを設けるとともに、前記ランスを軸芯を中心に回転
させる機構23と、そのランスを鉛直方向に5〜50度
の角度で旋回させる機構27と、任意の位置でその回転
を停止させる機構24、旋回を停止させる機構28を設
けている。
【0039】上吹ランス装置21は必要に応じて、真空
脱ガス槽3の上蓋3aの中心部から偏芯した部分を貫通
して挿入することも出来る。ここでは上吹ランス装置2
1により、真空脱ガス槽3の内壁に付着した地金を除去
する状態を示しており、取鍋の代わりに地金のための専
用鍋1aを用いている。
【0040】図6は図3の実施例の要部を示す図であ
る。上述した回転装置と旋回装置の組合わせによるもの
であり、図において、ランス台車29には下部フレーム
40の上に下部台車41、その上に上部台車42を互い
に直交に往復動出来るように設け、更に上部台車42の
上に、軸受けボックス31を設け、軸受けボックス31
に係合して回転する側面にラックを有する回転体32を
設けて、その回転体32の上にランス受台33を設けて
いる。
【0041】ランス22は図1、図2の場合と同じよう
にランス受台33に支持されており、ランス台車29を
ガイド34に沿って上下動させることによって、ランス
が上下動する。ランスを旋回させる場合は、真空脱ガス
槽の上蓋3a上に設けた支点金物43を支点として、下
部台車41とその上の上部台車42を互いに直交に往復
動させて、ランス先端を旋回させる。
【0042】下部台車41とその上の上部台車42は台
車内に駆動装置25を内蔵させており、任意の位置でそ
の旋回を停止させる機構28と連結させている。任意の
位置でその旋回を停止させる機構28は台車内に内蔵さ
せた減速機37に回転角度検出器38と制御装置39で
構成して、旋回角度、旋回速度等を制御して、所定の位
置でランスの停止を行うことが出来るようにしている。
又、更に、ランスを軸芯を中心にして回転させる場合に
は、回転体32のラックをピニオン35と係合させて、
駆動装置25によって行われる。
【0043】任意の位置でその回転を停止させる機構2
4は減速機37に取付けた回転角度検出器38と制御装
置39で構成して、回転角度、回転速度等を制御して、
所定の位置でランスの停止を行うことが出来るようにし
ている。このランス装置を用いて酸化性ガス(酸素ガ
ス)を吹込み、地金13を除去する場合に、槽内の地金
の付着している箇所に酸化性ガスを吹付けが出来る位置
に、ランス先端のランス孔を向けるように、旋回し、回
転して位置決めし、停止して、酸化性ガスを吹付けを行
う。
【0044】ランスから吹き出される酸化性ガスの広が
り角度は自在に調節することが出来るので、実線で囲ん
だ酸化性ガスの広がりゾーン46を形成出来るので、酸
化性ガスを直接に地金13に吹き付けることが出来る。
その結果、地金の効率的な溶解が実施出来る。
【0045】次に本発明の装置を用いて、精錬した実施
例を詳述する。 (実施例1)第1の発明に対応した実施例である。25
0トン転炉で一次脱炭精錬されたC:0.02〜0.0
5%の溶鋼を図1、図2に示すような、ランス孔を軸芯
に対し20度の角度をもたせ、且つ回転する上吹ランス
で、2分で250トンの溶鋼が循環出来る循環流量の2
50トン用RH式真空脱ガス装置を用い、図1に示すよ
うに二次燃焼ゾーンを排気孔より極力離れた位置となる
ように、上吹ランスを設置し、15Nm3 /分の酸素流
量で酸素上吹き処理を行ないながら真空脱炭処理し、処
理中の着熱効率等について調査した。その結果を従来の
上吹きランスを使用した場合と比較して表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】実施例では発生COガスの二次燃焼の着熱
効率は80%と高いのに対して、従来例では60%とそ
の差が20%であり、この発明の有効であることが確認
された。尚、この実施例に於いては、RH式真空脱ガス
装置の真空処理について述べたがDH式の真空脱ガス装
置の真空処理に適用することも出来る。
【0048】(実施例2)第2の発明に対応した実施例
である。溶銑予備処理設備で脱硫処理された溶銑を25
0トン転炉で一次脱炭精錬することによって得たS:3
0ppmの溶鋼を図3、図4に示すような、ランスを鉛
直方向に対し5度の角度をもたせ、旋回する上吹きラン
スで、2分で250トンの溶鋼が循環出来る循環流量の
250トン用RH式真空脱ガス装置を用い、粉体吹き付
け位置を上昇管の直上とし、100kg/分の粉体吹き
込み速度で粉体上吹き処理を行ないながら真空処理し、
処理後の到達S等について調査した。その結果を従来の
上吹きランスを使用した場合の結果と比較して表2に示
す。
【0049】
【表2】
【0050】実施例では処理後の到達Sは10ppmと
低いのに対して、従来例では20ppmと、その差は1
0ppmであり、この発明が有効であることが確認され
た。 (実施例3)第3の発明に対応した実施例である。
【0051】図5、図6に示すような上吹きランスを有
する250トン用RH式真空脱ガス装置を用いて、ラン
ス孔を軸芯に対して下向きに20度の角度を有し、ラン
スの旋回角度を鉛直方向に対して20度とし、非処理中
に15Nm3 /分の酸素流量で酸素上吹きを実施するこ
とによって、RH式真空脱ガス槽内に付着した地金の溶
解作業を行ない、地金溶解速度等について調査した。そ
の結果を従来の上吹きランスを使用した場合の結果と比
較し表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】実施例では、地金溶解速度は20トン/時
間と大きいのに対して、従来例では10トン/時間と、
その差は10トン/時間てあり、この発明が有効である
ことが確認された。この実施例に於いては、RH式真空
脱ガス装置の真空処理について述べたがDH式の真空脱
ガス装置の真空処理に適用することも出来る。
【0054】上記実施例に述べたように、以下の効果が
ある。 (1)温度降下防止のみならず、二次燃焼ゾーンの位置
を調整して、真空脱ガス槽の耐火物の溶損防止が可能で
ある。 (2)脱硫反応等を効率良くできるので、処理時間の短
縮、フラックス原単位の低減が可能である。 (3)地金溶解効率の促進が出来るので、地金溶解作業
時間の短縮、酸素原単位の低減が可能である。 また、本発明のランス装置は必要に応じてVOD等の真
空脱ガス設備にも適用することが出来る。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明はランス装置のラン
スに所定の角度を持たせ、ランスの回転機構、旋回機
構、それらの組合わせ機構、そして任意の位置での停止
機構を設けるという構造によって、以下の効果をもたら
し、大幅なコストダウンが可能である。
【0056】(1)ランスをその中心軸を中心として回
転させる機構と、任意の位置で回転を停止する機構を設
けているので、酸化性のガス、又は粉体の吹き付け方向
を任意の方向に調整して、脱炭処理、脱硫処理、更には
付着地金除去を効率良く行うことが出来る。
【0057】(2)ランスに鉛直方向に対して角度を持
たせた状態で旋回させる機構を設けて、更にはそれにラ
ンスをその中心軸を中心として回転させる機構を設け
て、真空槽の大きさに関係なく、酸化性のガス、又は粉
体の吹き付け方向を任意の方向に調整して、脱炭処理、
脱硫処理、更には付着地金除去を効率良く行うことが出
来る。 (3)2次燃焼ゾーンを調整出来るので、真空脱ガス槽
内壁の耐火物の溶損防止が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の上吹ランス装置を真空脱ガス設備
に取付けた状態を示す図である。
【図2】第1の発明の上吹ランス装置の要部を示す図で
ある。
【図3】第2の発明の上吹ランス装置を真空脱ガス設備
に取付けた状態を示す図である。
【図4】第2の発明の上吹ランス装置の要部を示す図で
ある。
【図5】第3の発明の上吹ランス装置を真空脱ガス設備
に取付けた状態を示す図である。
【図6】第3の発明の上吹ランス装置の要部を示す図で
ある。
【図7】従来のランス装置を用いた真空脱ガス装置の二
次燃焼ゾーンの状態を示す図である。
【図8】従来のランス装置を用いた真空脱ガス装置の粉
体分散ゾーンの状態を示す図である。
【図9】従来のランス装置を用いた真空脱ガス装置の酸
化性ガスの広がりゾーンの状態を示す図である。
【符号の説明】
21 上吹ランス装置 22 ランス 22a ランス先端部 22b ランス孔 23 回転機構 24 回転停止機構 27 ランス旋回機構 28 旋回停止機構 29 ランス台車 30 上部フレーム 31 軸受けボックス 32 回転体32 33 ランス受台 34 ガイド 35 ピニオン 36 上部フレーム 37 減速機 38 回転角度検出器 39 制御装置 40 下部フレーム 41 下部台車 42 上部台車 43 支点金物 44 下クランプ 45 粉体分散ゾーン 46 酸化性ガスの広がりゾーン 47 トラニオン 48 トラニオン受け 49 シール機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 恭二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 庄田 順一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空脱ガス槽の上蓋を貫通して挿入さ
    れ、上下動可能に設けられた上吹ランス装置であって、
    前記上吹ランス装置のランスの先端部に軸芯に対して下
    向きに20〜50度の角度を有するランス孔を設けると
    ともに、前記ランスを軸芯中心に回転させる機構と、任
    意の位置でその回転を停止させる機構を設けたことを特
    徴とする真空脱ガス設備の上吹ランス装置。
  2. 【請求項2】 真空脱ガス槽の上蓋を貫通して挿入し、
    上下動可能に設けられた上吹ランス装置であって、前記
    ランス装置のランスを鉛直方向に対して5〜50度の角
    度で旋回させる機構と、任意の位置でその旋回を停止さ
    せる機構を設けたことを特徴とする真空脱ガス設備の上
    吹ランス装置。
  3. 【請求項3】 真空脱ガス槽の上蓋を貫通して挿入し、
    上下動可能に設けられた上吹ランス装置であって、前記
    上吹ランス装置のランスの先端部に軸芯に対して下向き
    に20〜50度の角度を有するランス孔を設けるととも
    に、前記ランスを軸芯中心に回転させる機構と、そのラ
    ンスを鉛直方向に対して5〜50度の角度で旋回させる
    機構と、任意の位置でその回転、旋回を停止させる機構
    を設けたことを特徴とする真空脱ガス設備の上吹ランス
    装置。
JP17384193A 1993-07-14 1993-07-14 真空脱ガス設備の上吹ランス装置 Pending JPH0741825A (ja)

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