JP2020094243A - 上吹きランス - Google Patents

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Abstract

【課題】設備費用を低減し、かつ、RH装置の寿命の延長を可能とする。【解決手段】RH装置において真空槽内の溶鋼の湯面に対して噴射体を噴射する上吹きランスであって、噴射体を噴射するノズルを下端に有するランス本体と、ノズルの上方にノズルと接続して設けられることによりノズルのノズル孔と連通してノズル孔に噴射体を供給する供給流路を画成する画成部材と、を備え、供給流路におけるノズルとの接続部分の開口である供給口の中心は、ノズル孔の中心軸から水平方向にずれた位置に存在し、画成部材は、ノズル孔の中心軸を中心としてランス本体に対して回動可能である、上吹きランス。【選択図】図4

Description

本発明は、上吹きランスに関する。
製鋼プロセスの二次精錬において、RH真空脱ガス装置(以下、RH装置とも呼称する)が広く用いられている。RH装置では、取鍋内の溶鋼に対して、真空槽の下部から延伸される2本の浸漬管(上昇側浸漬管及び下降側浸漬管)が浸漬された状態で、当該真空槽が減圧されることにより、当該浸漬管を介して当該真空槽内に溶鋼が吸い上げられる。
この状態で、上昇側浸漬管に設けられているガスの吹き込み口から、当該上昇側浸漬管内の溶鋼に対して不活性ガスが吹き込まれる。当該不活性ガスの吹き込みにより、上昇側浸漬管内の溶鋼に上昇流が生まれ、取鍋内の溶鋼が当該上昇側浸漬管内を通って真空槽内に上昇し、更に真空槽内の溶鋼が下降側浸漬管を通って取鍋内に移動する。このように、RH装置では、取鍋と真空槽との間で溶鋼を還流させながら、当該真空槽内で、溶鋼に対する二次精錬が行われる。
具体的には、RH装置を用いた二次精練では、溶鋼を還流させながら、上吹きランスのノズルから真空槽内の溶鋼に対して上方から酸素や粉体などの噴射体を吹き込むこと(上吹き)によって、溶鋼に対する、脱炭、脱硫、昇温等の処理が行われる。そこで、これらの処理の効率向上や、溶鋼の飛散(スプラッシュ)による真空槽の内壁の溶損の抑制等を目的として、上吹きランスによる酸素や粉体の噴射について、様々な技術が提案されている。特に、そのような技術として、RH装置の寿命を延長するための上吹きランスによる酸素や粉体の噴射について技術開発が進められている。
例えば、特許文献1には、上吹きランスの中心軸と噴射体の噴射方向とが所定の角度だけずれて構成される上吹きランスを、上吹きランスの中心軸を回動軸として回動させながら、当該上吹きランスから溶鋼に対して酸素含有ガスを噴射する技術が開示されている。当該技術によれば、水平面内における所定の円周上で、溶鋼に対する酸素含有ガスの衝突位置を時間経過とともに変化させることができるため、溶鋼のスプラッシュによる真空槽の内壁の溶損を均一化することができる。
特開2009−91612号公報
従来、上記特許文献1に記載された技術のように、上吹きランスを回動して溶鋼に対する噴射体の衝突位置を変更してRH装置の寿命を延長する方法が行われている。
ここで、RH装置に用いられる上吹きランスは、一般的に大型であり質量が大きい。故に、上吹きランス全体を回動させるためには設備が大規模になる。例えば、上吹きランス全体を回動させる動力を出力するモータとして高出力のものが必要となる。そのため、設備費用が上昇することが懸念される。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、設備費用を低減し、かつ、RH装置の寿命を延長可能な上吹きランスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、RH装置において真空槽内の溶鋼の湯面に対して噴射体を噴射する上吹きランスであって、前記噴射体を噴射するノズルを下端に有するランス本体と、前記ノズルの上方に前記ノズルと接続して設けられることにより前記ノズルのノズル孔と連通して前記ノズル孔に前記噴射体を供給する供給流路を画成する画成部材と、を備え、前記供給流路における前記ノズルとの接続部分の開口である供給口の中心は、前記ノズル孔の中心軸から水平方向にずれた位置に存在し、前記画成部材は、前記ノズル孔の中心軸を中心として前記ランス本体に対して回動可能である、上吹きランスが提供される。
前記ランス本体は、下端に開口を有する円筒形であり、前記画成部材は、前記ノズルの上方において前記ランス本体の内周面と嵌合され、前記ノズル孔の中心軸から水平方向にずれた位置に上下方向に貫通する貫通孔が前記供給流路として形成される円柱部と、前記円柱部の上面から前記ランス本体の上端を貫通して前記ノズル孔の中心軸上に延設され、上端に前記画成部材を回動させる動力が入力される軸部と、を有することが好ましい。
前記画成部材は、前記ランス本体に対して前記ノズルを通じて着脱可能に設けられることが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、設備費用を低減し、かつ、RH装置の寿命の延長が可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るRH装置の概略構成を示す側断面図である。 従来の上吹きランスの構成の一例を示す模式側断面図である。 従来の上吹きランスの構成の一例を示す底面図である。 同実施形態に係る上吹きランスの構成を示す模式側断面図である。 同実施形態に係る上吹きランスの構成を示す底面図である。 同実施形態に係る上吹きランスにおいて噴射体の噴射方向を制御することが可能になる原理について説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る上吹きランスの構成を示す模式側断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る上吹きランスの構成を示す模式側断面図である。 実施例における数値解析シミュレーションの結果である、噴射体の衝突圧力分布を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
[1.1.RH装置1の構成]
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るRH装置1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るRH装置1の概略構成を示す側断面図である。
図1を参照すると、本実施形態に係るRH装置1は、溶鋼13が貯留される取鍋11と、取鍋11の上方に設けられる真空槽12と、から構成される。RH装置1を用いた二次精練では、減圧された真空槽12内に溶鋼13が吸い上げられ、真空槽12内において、上吹きランス3から噴射体が溶鋼13の湯面に対して噴射され、溶鋼13の、脱炭、脱硫、昇温等の処理が行われる。
具体的には、取鍋11内には、転炉での一次精錬が完了した後の溶鋼13が貯留されている。真空槽12の下部には、2本の浸漬管121及び浸漬管122が下方に向かって延伸するように設けられており、浸漬管121及び浸漬管122の下端は取鍋11内の溶鋼13に浸漬されている。
真空槽12の上部には、排気ダクト124が設けられている。排気ダクト124から真空槽12内のガスが排気されることにより、真空槽12内が減圧され、浸漬管121及び浸漬管122を通って、真空槽12内に溶鋼13が吸い上げられる。
浸漬管121には、不活性ガス(例えばArガス等)を浸漬管121内に吹き込むための羽口123が設けられている。真空槽12内に溶鋼13が吸い上げられている状態で、羽口123から不活性ガスが吹き込まれることにより、浸漬管121内の溶鋼13に上昇流が生まれ、取鍋11内の溶鋼13が浸漬管121を通って真空槽12内に上昇する。それに伴い、真空槽12内の溶鋼13は、他方の浸漬管122を通って取鍋11内に移動する。このように、RH装置1では、取鍋11と真空槽12との間で溶鋼を還流させながら、溶鋼13に対する二次精錬処理が行われる。
ここで、図示する例では、簡単のため、一方の浸漬管121にのみ羽口123が設けられているが、実際には、他方の浸漬管122にも同様に、羽口123が設けられ得る。浸漬管121、122のうち、いずれか一方に対して不活性ガスが吹き込まれることにより、当該不活性ガスが吹き込まれた方の浸漬管が、溶鋼13を上昇させ真空槽12内に導く浸漬管として機能し得る。溶鋼13による真空槽12の内壁の溶損を均一にするために、RH装置1においては、浸漬管121及び浸漬管122における溶鋼の上昇及び下降の機能が、一定期間ごとに交替され得る。
以下では、一例として、一方の浸漬管121が上昇側の浸漬管とし、他方の浸漬管122が下降側の浸漬管として機能する場合について説明する。また、浸漬管121のことを、上昇側浸漬管121とも呼称し、浸漬管122のことを、下降側浸漬管122とも呼称する。
また、以下の説明では、RH装置1における上下方向を、Z軸方向又は鉛直方向とも呼称する。このとき、Z軸方向において、取鍋11に対して真空槽12が設けられる方向(すなわち上方向)をZ軸の正方向とする。更に、当該Z軸方向と垂直な平面(水平面)内において互いに直交する2方向を、それぞれ、X軸方向及びY軸方向と呼称する。また、Z軸方向に延伸する各構成について、Z軸の正方向側を上端側とも呼称し、Z軸の負方向側を下端側とも呼称する。
真空槽12内には上吹きランス3が挿入される。上吹きランス3の下端からは、真空槽12内の溶鋼13の湯面に対して、溶鋼13の成分を調整するための各種のガスや粉体等の噴射体が吹き付けられる。このように、RH装置1では、溶鋼13を還流させながら、上吹きランス2から溶鋼13に対して各種の噴射体を噴射することにより、二次精錬が行われる。例えば、上吹きランス2から溶鋼13に対して酸素含有ガスが吹き付けられることにより、溶鋼13の脱炭処理が行われる。また、例えば、上吹きランス2から溶鋼13に対して脱硫剤が吹き付けられることにより、溶鋼13の脱硫処理が行われる。
RH装置1には、RH装置1及び上吹きランス2の動作を制御する制御部(図示せず)が設けられる。例えば、制御部は、上述した、真空槽12の減圧や、羽口123からの不活性ガスの吹き込み、上吹きランス2からの噴射体の噴射等を制御する機能を有する。
以上、図1を参照して、本実施形態に係るRH装置1の構成について説明した。なお、RH装置1の構成は図示する例に限定されない。本実施形態では、一般的に用いられている各種の公知のRH装置に対して、本実施形態に係る上吹きランスが適用されてよい。従って、RH装置1の構成は、各種の公知のRH装置の構成に倣って、任意に変更可能である。
[1.2.従来の上吹きランス2の構成]
続いて、図2及び図3を参照して、従来の上吹きランス2の構成について説明する。図2は、従来の上吹きランス2の構成の一例を示す模式図である。図3は、従来の上吹きランス2の構成の一例を示す底面図である。
上吹きランス2は、図2に示すように、略円筒形のランス本体210と、ランス本体210を回動させる回動部250とを備える。
(1.2.1.ランス本体210)
ランス本体210の下端には、ノズル220が形成されている。ノズル220は、略円筒形状を有しており、噴射体を噴射する機能を有する。ノズル220は、ランス本体210の中心軸C1と所定の角度だけずれた方向に延びた中心軸C2を有するノズル孔221を備える。
ノズル220の上方には、ランス本体210の内部に形成された空間である導入室230がノズル孔221と連通されるように設けられており、導入室230の上部は、ランス本体210の側部に貫通して形成される導入孔211を介してランス本体210の外部と連通されている。導入孔211は、ランス本体210の外部に設置される噴射体の供給源と接続されている。故に、供給源から供給される噴射体は、導入孔211を介して導入室230に導入され、導入室230からノズル220に供給される。
(1.2.2.回動部250)
回動部250は、モータ251と、ギヤ252と、ギヤ253とを備える。
モータ251の出力軸にはギヤ252が取り付けられている。また、ランス本体210の上端部にはギヤ253が取り付けられている。このようなギヤ252とギヤ253とが互いに咬合している。故に、モータ251から出力される動力は、ギヤ252及びギヤ253を介してランス本体210に伝達される。それにより、ランス本体210が回動する。
[1.3.上吹きランス2の動作]
続いて、従来の上吹きランス2の動作について説明する。上述したように、供給源から供給される噴射体は、導入孔211及び導入室230を介してノズル220に供給された後、ノズル220から噴射される。ここで、ノズル孔221の中心軸C2がランス本体210の中心軸C1と所定の角度だけずれているため、ノズル220から噴射される噴射体は、鉛直方向の軸に対して傾斜する方向に噴射される。このようにノズル220から噴射体が噴射されている際に、ランス本体210を回動部250により回動させることによって、水平面内における所定の円周上で、噴射体が溶鋼に衝突する衝突位置を時間経過とともに変化させることができる。その結果、溶鋼のスプラッシュによる真空槽の内壁の溶損を均一化することができる。
ここで、上吹きランス2は、大量の噴射体を高い衝突圧力で溶鋼に噴射する巨大な装置であり、ランス本体210は大きな体積を有する。また、ランス本体210は、一般的に鋼製であるため、非常に大きな質量を有している。このようなランス本体210を回動させるためには、モータ251としては高出力のものが必要となる。さらに、上吹きランス2の周囲において、追加的な部品が必要となる。例えば、ランス本体210を支持する装置をランス本体210に対して回動させるための部品が必要となる。そのため、上吹きランス全体を回動させるために設備が大規模になる結果、上吹きランス2をRH装置に導入するための設備費用は高額となる。一方で、本実施形態に係る上吹きランス3では、設備費用を低減し、かつ、RH装置の寿命の延長が可能となる。
[1.4.第1の実施形態に係る上吹きランス3の構成]
続いて、図4及び図5を参照して、第1の実施形態に係る上吹きランス3を詳細に説明する。図4は、第1の実施形態に係る上吹きランス3の構成を示す模式図である。図5は、同実施形態に係る上吹きランス3の構成を示す底面図である。図4では、上吹きランス3のランス本体の中心軸を通る側断面図を示し、図5では、上吹きランス3の底面図(Z軸の負方向から見た図)を示している。
本実施形態に係る上吹きランス3は、RH装置において真空槽12内で還流する溶鋼13の湯面に対して噴射体を噴射する機能を有する。上吹きランス3は、図4に示すように、ランス本体310と、画成部材330と、回動部360と、を備える。
(1.4.1.ランス本体310)
ランス本体310は、噴射体を噴射するノズル320を下端に有しており、具体的には、下端に開口を有する円筒形状である。ノズル320は、略円筒形状を有しており、RH装置1の真空槽12内で還流する溶鋼に対して噴射体を噴射する機能を有する。ノズル孔321の中心軸C3は、ランス本体310の中心軸と一致し、鉛直方向に延在している。
ランス本体310の内周面には、ノズル320の上端位置において、下側(ノズル320側)の内径よりも上側の内径が大きくなるように段差部312が形成されている。ランス本体310の内部に形成された空間において、ノズル320の上方には、後述する画成部材330の円柱部331がノズル320と接続して設けられる。
円柱部331の上方には、ランス本体310の内部に形成された空間である導入室340が設けられており、導入室340の上部は、ランス本体310の側部に貫通して形成される導入孔311を介してランス本体310の外部と連通されている。導入孔311は、ランス本体310の外部に設置される噴射体の供給源と接続されている。
なお、ランス本体310としては、例えば、金属製であり一般的な水冷構造を有するものが挙げられるが、素材や水冷構造の有無について特段制限されるものではない。
(1.4.2.画成部材330)
画成部材330は、ランス本体310の内部に形成された空間において、ノズル320の上方にノズル320と接続して設けられることによりノズル孔321及び導入室340と連通し、導入室340から供給される噴射体をノズル孔321に供給する供給流路を画成する部材である。具体的には、画成部材330は、円柱部331と、軸部332とを有する。
円柱部331は、円柱形状を有し、ノズル320の上方においてランス本体310の内周面と嵌合される。円柱部331の下面は段差部312に接している。円柱部331には、ノズル孔321及び導入室340と連通された、上下方向に貫通する円柱形状の貫通孔341が供給流路として形成されている。貫通孔341は、ノズル孔321の中心軸C3から水平方向にずれた位置に形成される。貫通孔341は、ノズル320との接続部分の開口である供給口350を有する。ノズル320の上端位置での水平断面において、供給口350の面積は、ノズル孔321の面積よりも小さい。供給口350の中心C4は、ノズル孔321の中心軸C3から水平方向にずれた位置に存在する。
また、円柱部331は、ランス本体310との接触部から噴射体が漏れ出ることを防ぐために、ランス本体310との接触面にシール部材(図示せず)を装着していることが好ましい。シール部材としては、例えば、耐熱性の高いメタルシールを用いることができ、具体的には、メタルOリングを用いることができる。また、メタルシールの素材としては特段制限されないが、噴射体に酸素ガスを使用する場合は、耐酸化性を有する素材を用いることが好ましい。メタルシールの素材としては、例えば、オーステナイト系ステンレス、耐熱ステンレス及びインコネル等を用いることが好ましい。
貫通孔341は、ノズル孔321及び導入室340と連通されており、導入室340の上部は、ランス本体310の側部に貫通して形成される導入孔311を介してランス本体310の外部と連通されている。導入孔311は、ランス本体310の外部に設置される噴射体の供給源と接続されている。故に、供給源から供給される噴射体は、導入孔311を介して導入室340に導入され、導入室340から供給流路としての貫通孔341を介してノズル孔321に供給される。
軸部332は、円柱部331の上面からランス本体310の上端を貫通してノズル孔321の中心軸C3上に延設される。軸部332の上端には、後述するように、画成部材330を回動させる動力が入力される。
なお、画成部材330の素材としては、特段制限されないが、噴射体に酸素ガスを使用する場合は、耐酸化性を有する素材を用いることが好ましく、例えば、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレス等が挙げられる。
(1.4.3.回動部360)
回動部360は、モータ361と、ギヤ362と、ギヤ363とを備える。モータ361の出力軸にはギヤ362が取り付けられている。また、軸部332の上端にはギヤ363が取り付けられている。このようなギヤ362とギヤ363とが互いに咬合している。故に、モータ361から出力される動力は、ギヤ362及びギヤ363を介して軸部332に伝達される。それにより、画成部材330が回動する。
[1.5.第1の実施形態に係る上吹きランス3の動作]
続いて、本実施形態に係る上吹きランス3の動作について説明する。上述したように、供給源から供給される噴射体は、導入孔311、導入室340及び供給流路としての貫通孔341を介してノズル320に供給される。ノズル320に供給された噴射体は、鉛直方向の軸に対して傾斜する方向にノズル320の下端から噴射される。
ここで、本実施形態に係る上吹きランス3において噴射体の噴射方向を制御することが可能になる原理について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る上吹きランス3において噴射体の噴射方向を制御することが可能になる原理について説明するための図である。
図6では、図4と同様に上吹きランス3の側断面図を示すとともに、貫通孔341から供給された噴射体14の挙動を、概念的にハッチングを付して示している。
図6に示すように、貫通孔341から供給された噴射体14は、真空槽12内が減圧されているため、より流路の広いノズル孔321内において膨張する。このとき、噴射体14は、貫通孔341の供給口350から等方的に膨張するため、供給口350に近いノズル320の内側壁では、当該側壁によって噴射体14の膨張が妨げられることとなり、当該側壁近傍の空間322において、他の空間よりも相対的に当該噴射体14が高圧になる。従って、ノズル孔321において、当該空間322から当該空間322以外の空間に向かって、優先的に噴射体14が膨張する。つまり、水平面内においては、噴射体14を供給している貫通孔341の供給口350に近いノズル320の内側壁が存在する方向とは逆方向(図示する例であればX軸の負方向)に向かって、優先的に噴射体14が膨張することとなる。貫通孔341からは、元々鉛直下向きに噴射体14が供給されるため、ノズル320の下端、すなわち上吹きランス3の下端において、噴射体14は、鉛直下向き、かつ、ノズル320の当該側壁が存在する方向とは逆方向に向かって(図示する例では、矢印に示すように、Z軸の負方向とX軸の負方向とが合成された方向に向かって)、噴射されることとなる。
ところで、画成部材330は、回動部360によってノズル孔321の中心軸C3を中心として、ランス本体310に対して回動可能である。さらに、供給口350の中心C4がノズル孔321の中心軸C3と水平方向にずれた位置に配置されている。そのため、上吹きランス3では、画成部材330を回動させることで供給口350の位置を変化させることができるため、水平面内における所定の円周上で、噴射体が溶鋼に衝突する衝突位置を時間経過とともに変化させることができる。よって、浸漬管121及び浸漬管122における溶鋼の上昇及び下降の機能を一定期間ごとに交替した場合にも、上記機能の交換に応じて噴射体の噴射方向を変更した操業をすることができる。よって、溶鋼13のスプラッシュによって発生する真空槽12の内壁の溶損を均一化することができる。その結果、RH装置の寿命の延長が可能となる。
ここで、本実施形態に係る上吹きランス3では、上記のように、ランス本体310を回動させることなく画成部材330を回動させることによって、噴射体の噴射方向を制御することができる。このため、本実施形態に係るモータ361を、例えば、従来の上吹きランス2が備えるモータ251と比較して、より低出力なものとすることができる。さらに、上吹きランス3の周囲において、例えば、上吹きランス3を支持する装置に追加的な部品を設けることを省くことができる。よって、設備が大規模になることが抑制され、その結果、本実施形態に係る上吹きランス3は、例えば、従来の上吹きランス2と比較して、設備費用を低減することが可能となる。
本実施形態に係る上吹きランス3では、ノズル孔321の中心軸C3を中心として回動する画成部材330は、ノズル320の上方に備えられている。そのため、溶鋼13の熱による画成部材330の変形が抑制される。その結果、上吹きランス3は、安定して画成部材330を回動させて供給口350の位置を変化させることができる。一方で、上記の従来の上吹きランス2では、上吹きランス2の下端が溶鋼13の熱により変形し、噴射体の噴射方向を制御することが困難になる場合がある。従って、上吹きランス3は、従来の上吹きランス2と比較して、水平面内における所定の円周上で噴射体が溶鋼に衝突する衝突位置を時間経過とともに安定的に変化させることができる。
<2.第2の実施形態>
[2.1.RH装置1の構成]
続いて、本発明の第2の実施形態に係る上吹きランス4について説明する。本実施形態に係るRH装置において、上吹きランス4以外の部分の構成は、第1の実施形態に係るRH装置1の上吹きランス3以外の部分の構成と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
[2.2.第2の実施形態に係る上吹きランス4の構成]
図7は、第2の実施形態に係る上吹きランス4の構成を示す模式図である。図7では、上吹きランス4のランス本体の中心軸を通る側断面図を示している。
図7に示すように、上吹きランス4は、第1の実施形態に係る上吹きランス3において、段差部312を有していないものに対応する。上記の点以外の上吹きランス4の構成は、第1の実施形態に係る上吹きランス3の構成と同様であるため、ランス本体410以外の構成については、ここでは詳細な説明は省略する。
(2.2.1.ランス本体410)
ここで、ランス本体410の内周面には、ノズル420の上端位置において、段差部が形成されておらず、ランス本体410の中心軸C3とノズル孔421の中心軸とは一致し、ランス本体410の内部に形成された空間は、ノズル420のノズル孔と同径である。本実施形態に係る上吹きランス4では、ランス本体410に対して、画成部材330がノズル420を通じて着脱可能となる。そのため、真空槽12の内壁の溶損の状況に応じて、供給口350の位置や面積を変更するなどのために、画成部材330を他の画成部材と容易に交換することができる。よって、溶鋼13のスプラッシュによって発生する真空槽12の内壁の溶損を更に均一化することができる。その結果、本実施形態に係る上吹きランス4は、第1の実施形態に係る上吹きランス3と比較して、更にRH装置の寿命の延長が可能となる。
なお、ランス本体310としては、例えば、金属製であり一般的な水冷構造を有するものが挙げられるが、素材や水冷構造の有無について特段制限されるものではない。
以上説明した構成を有する上吹きランス4においても、上吹きランス3と同様に、画成部材330は、回動部360によってノズル孔421の中心軸C3を中心として、ランス本体410に対して回動可能である。さらに、供給口350の中心C4がノズル孔421の中心軸C3と水平方向にずれた位置に配置されている。よって、上述したように、溶鋼13のスプラッシュによって発生する真空槽12の内壁の溶損を均一化することができる。その結果、RH装置の寿命の延長が可能となる。
また、本実施形態に係る上吹きランス4においても、上吹きランス3と同様に、ランス本体410を回動させることなくノズル孔421の中心軸C3を中心として画成部材330を回動させることによって、噴射体の噴射方向を制御することができる。その結果、上述したように、本実施形態に係る上吹きランス4は、例えば、従来の上吹きランス2と比較して、設備費用を低減することが可能となる。
さらに、本実施形態に係る上吹きランス4では、ノズル孔421の中心軸C3を中心として回動する画成部材330は、ノズル420の上方に備えられている。その結果、上述したように、本実施形態に係る上吹きランス4は、従来の上吹きランス2と比較して、水平面内における所定の円周上で噴射体が溶鋼に衝突する衝突位置を時間経過とともに安定的に変化させることができる。
<3.第3の実施形態>
[3.1.RH装置1の構成]
続いて、本発明の第3の実施形態に係る上吹きランス5について説明する。本実施形態に係るRH装置1において、上吹きランス5以外の部分の構成は、第1の実施形態に係るRH装置1の上吹きランス3以外の部分の構成と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
[3.2.第3の実施形態に係る上吹きランス5の構成]
図8は、本実施形態に係る上吹きランス5の構成を示す模式図である。図8では、上吹きランス5のランス本体の中心軸を通る側断面図を示している。上吹きランス5は、第1の実施形態に係る上吹きランス3において、段差部312と導入孔311とを有しておらず、軸部332の形状が変更されたものに対応する。本実施形態に係るノズル520、円柱部531、モータ561及びギヤ562は、第1の実施形態に係るノズル320、円柱部331、モータ361及びギヤ362と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
(3.2.1.ランス本体510)
ランス本体510の内周面には、第2の実施例に係るランス本体410と同様に、ノズル520の上端位置において、段差部が形成されておらず、ランス本体510の中心軸C3とノズル孔521の中心軸とは一致し、ランス本体510の内部に形成された空間は、ノズル520のノズル孔と同径である。そのため、本実施形態に係る上吹きランス5では、ランス本体510に対して、画成部材530がノズル520を通じて着脱可能となる。
なお、ランス本体310としては、例えば、金属製であり一般的な水冷構造を有するものが挙げられるが、素材や水冷構造の有無について特段制限されるものではない。
(3.2.2.画成部材530)
本実施形態に係る画成部材530は、円柱部531と、第1円筒部532と、第2円筒部533と、を有する。第1円筒部532は、円柱部531の上面の周縁部から上方に延設され、上面を有し、ランス本体510の内周面に嵌合される。第1円筒部532は、上面に上面と同心円状の開口部を有し、第2円筒部533は、第1円筒部532の上面における開口部からランス本体510の上端を貫通して上方に延設される。第1円筒部532の内部の空間である導入室540は、円柱部531を上下方向に貫通する円柱形の貫通孔541と連通される。また、導入室540は、第1円筒部532の上面の開口部及び第2円筒部533の内部の空間である導入孔534を介してランス本体510の外部と連通されている。導入孔534は、ランス本体510の外部に設置される噴射体の供給源と接続されている。故に、供給源から供給される噴射体は、導入孔534を介して導入室540に導入され、導入室540から供給流路としての貫通孔541を介してノズル520に供給される。本実施形態に係る上吹きランス5では、供給源から供給される噴射体は、完全に密閉された空間である導入室540を経由して供給口550からノズル520に供給される。一方、第1の実施形態に係る上吹きランス3や、第2の実施形態に係る上吹きランス4では、ランス本体と画成部材との接触部におけるシール性が不十分である場合、上吹きランス3及び上吹きランス4が有する導入室340は密閉された空間にはならなくなる可能性がある。密閉性が十分でない上吹きランス3及び上吹きランス4では、そのシール性が不十分である部分からノズルへ噴射体が漏れ出ることにより、ノズルから噴射される噴射体の速度が不足する恐れがある。これに対し、本実施形態に係る上吹きランス5では、導入室540が完全に密閉された空間であるため、上記のようなノズルから噴射される噴射体の速度が不足する恐れはない。
なお、画成部材530の素材としては、特段制限されないが、噴射体に酸素ガスを使用する場合は、耐酸化性を有する素材を用いることが好ましく、例えば、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレス等が挙げられる。
(3.2.3.回動部560)
回動部560は、モータ561と、ギヤ562と、ギヤ563とを備える。モータ561の出力軸にはギヤ562が取り付けられている。また、第2円筒部533にはギヤ563が取り付けられている。このようなギヤ562とギヤ563とが互いに咬合している。故に、モータ561から出力される動力は、ギヤ562及びギヤ563を介して第2円筒部533に伝達される。それにより、画成部材530が回動する。
以上説明した構成を有する上吹きランス5においても、上吹きランス3と同様に、画成部材530は、回動部560によってノズル孔521の中心軸C3を中心として、ランス本体510に対して回動可能である。さらに、供給口550の中心C4がノズル孔521の中心軸C3と水平方向にずれた位置に配置されている。よって、上述したように、溶鋼13のスプラッシュによって発生する真空槽12の内壁の溶損を均一化することができる。その結果、RH装置の寿命の延長が可能となる。
また、本実施形態に係る上吹きランス5においても、上吹きランス3と同様に、ランス本体510を回動させることなくノズル孔521の中心軸C3を中心として画成部材530を回動させることによって、噴射体の噴射方向を制御することができる。その結果、上述したように、本実施形態に係る上吹きランス5は、例えば、従来の上吹きランス2と比較して、設備費用を低減することが可能となる。但し、第1の実施形態に係る上吹きランス3や、第2の実施形態に係る上吹きランス4と比較すると、画成部材の軽量化が困難であり、設備費の低減効果においては劣る。
さらに、本実施形態に係る上吹きランス5では、ノズル孔521の中心軸C3を中心として回動する画成部材530は、ノズル520の上方に備えられている。その結果、上述したように、本実施形態に係る上吹きランス5は、従来の上吹きランス2と比較して、水平面内における所定の円周上で噴射体が溶鋼に衝突する衝突位置を時間経過とともに安定的に変化させることができる。
ここで、本願発明に係る上吹きランスの画成部材は、図4、図7及び図8に示したような形状に限られず、種々の形状の画成部材を本願発明に用いることが可能である。画成部材には、ノズルの上方においてランス本体の内周面と嵌合され、ノズルの中心軸から水平方向にずれた位置に上下方向に貫通する貫通孔が供給流路として形成される円柱部と、円柱部の上面からランス本体の上端を貫通してノズルの中心軸上に延設され、上端に回転動力が入力される軸部を備えるものであることが、設備の軽量化の観点から好ましい。
<4.変形例>
第1の実施形態及び第2の実施形態では、導入孔は、ランス本体の側面に設けられているが、導入孔の位置は、導入室に噴射体が送入されればよく、例えば、ランス本体の上面から導入室に貫通するように設けられてもよい。
また、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態では、導入室の形状を略円柱形状としたが、導入室の形状は略円柱形状でなくてもよい。導入室の形状は、噴射体をノズルへ供給する流れを妨げなければ(極端な圧力損失を招かなければ)特段制限されず、例えば、上吹きランスに本発明とは異なる機能を付与するために、部分的に変形するなどしてもよい。
また、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態では、貫通孔の形状を円柱形であるとしたが、供給口の中心(供給口の形状が円形でなければ供給口の重心)がノズル孔の中心軸と水平方向にずれるように配設されていればよく、貫通孔の形状は円柱形状でなくてもよい。但し、貫通孔が円柱形状であると、噴射体が気体である場合は圧力損失を低減することができ、噴射体が粉体である場合は噴射体による貫通孔の閉塞を抑制することができるので好ましい。
また、第1の実施形態1、第2の実施形態及び第3の実施形態では、ノズルの形状を円筒形状としたが、ノズルの形状は円筒形状でなくてもよい。ノズルの形状は、ノズル孔が上端から下端に向かうにつれて径が大きくなるラバール形状であってもよい。
また、第1の実施形態1、第2の実施形態及び第3の実施形態では、回動部をモータとギヤを有する構成としたが、回動部はモータとギヤを有する構成でなくてもよい。回動部は、画成部材を回動可能であれば特段制限されず、モータとギヤに替えて、種々の公知の技術を採用することができる。
本発明に係る上吹きランスについて数値解析シミュレーションを行い、ノズル孔の中心軸と水平方向にずれた位置に配設された貫通孔を有する上吹きランスによって噴射される噴射体の衝突圧力分布への影響を調査した。
当該数値解析シミュレーションでは、図1に示す真空槽12を模擬した円筒形状の模擬容器の内部に本発明の実施形態に係る上吹きランス3を配置した数値解析モデルを作成した。供給流路としての貫通孔341からこの真空槽12を模擬した円筒形状の模擬容器の内部に酸素ガスを供給し、当該酸素ガスの挙動を計算によって求め、上吹きランス3からの酸素ガスの衝突圧力分布を調べた。
上吹きランス3は、模擬容器の水平面内における中心に、当該模擬容器の上面から所定の距離だけ下がった位置に当該上吹きランス3の先端が位置するように配置した。また、上吹きランス3は、その先端が鉛直下向きとなるように配置した。貫通孔341の供給口350の径は30mmとし、ノズル孔321の径は100mmとした。
上吹きランス3の先端から鉛直方向下向きに1.8m離れた位置に湯面に対応する水平な平面が存在すると仮定し、上吹きランス3から酸素ガスを吹き付けた際の当該平面内での衝突圧力の分布を求めた。当該数値解析シミュレーションでは、貫通孔341の供給口350を、その供給口350の中心がノズル孔321の中心軸からX軸の負方向に20mmだけ離れたところに位置するように配置した。
酸素ガスの総供給量は1800Nm/hとした。また、減圧された真空槽120内の雰囲気中に酸素ガスが噴射されることを模擬して、模擬容器の内部は4.7kPaとした。
数値解析シミュレーションの結果を図9に示す。図9は、噴射体の衝突圧力分布を示す図である。図9では、ノズル孔321の中心軸の位置を原点(X=0m)とした。図9に示すように、X=0.4mの位置で噴射体の衝突圧力が最も高くなり、本実施形態に係る上吹きランス3では、噴射体の衝突圧力が最も高い位置は、ノズルの中心軸からずれた位置となることが分かった。これは、模擬容器内が減圧されているため、例えば図6に示すように、噴射体が貫通孔341の供給口350から等方的に膨張し、供給口350に近いノズル320の内側壁で当該側壁によって噴射体の膨張が妨げられ、当該側壁近傍の空間において、他の空間よりも相対的に当該噴射体が高圧になった結果、水平面内において、X軸の正方向に向かって、優先的に噴射体が膨張したためである。その結果、当該数値解析シミュレーションでは、噴射体は、貫通孔341から、元々噴射体が供給される方向であるZ軸の負方向と、水平面内において噴射体が優先的に膨張する方向であるX軸の正方向とが合成された方向に向かって噴射され、衝突圧力が最大となる位置は、ノズルの中心軸からずれた位置となった。
上記のように、供給流路としての貫通孔の供給口の中心がノズル孔の中心軸と水平方向にずれた位置に配設されることで、噴射体をノズル孔の中心軸に対して角度を有する方向に噴射させることが可能である。本発明に係る上吹きランスが有する画成部材は、ノズル孔の中心軸を中心として、ランス本体に対して回動可能である。そのため、上吹きランスでは、画成部材を回動させることで供給口の位置を変化させることができ、水平面内における所定の円周上で、噴射体が溶鋼に衝突する衝突位置を時間経過とともに変化させることができる。
<5.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 RH装置
2、3、4、5 上吹きランス
11 取鍋
12 真空槽
13 溶鋼
121、122 浸漬管
123 羽口
124 排気ダクト
210、310、410、510 ランス本体
211、311、411、534 導入孔
220、320、420、520 ノズル
221、321、421、521 ノズル孔
330、430、530 画成部材
230、340、540 導入室
250、360、560 回動部
251、361、561 モータ
252、253、362、363、562、563 ギヤ
331、531 円柱部
332 軸部
341、541 貫通孔
350、550 供給口
532 第1円筒部
533 第2円筒部

Claims (3)

  1. RH装置において真空槽内の溶鋼の湯面に対して噴射体を噴射する上吹きランスであって、
    前記噴射体を噴射するノズルを下端に有するランス本体と、
    前記ノズルの上方に前記ノズルと接続して設けられることにより前記ノズルのノズル孔と連通して前記ノズル孔に前記噴射体を供給する供給流路を画成する画成部材と、
    を備え、
    前記供給流路における前記ノズルとの接続部分の開口である供給口の中心は、前記ノズル孔の中心軸から水平方向にずれた位置に存在し、
    前記画成部材は、前記ノズル孔の中心軸を中心として前記ランス本体に対して回動可能である、
    上吹きランス。
  2. 前記ランス本体は、下端に開口を有する円筒形であり、
    前記画成部材は、
    前記ノズルの上方において前記ランス本体の内周面と嵌合され、前記ノズル孔の中心軸から水平方向にずれた位置に上下方向に貫通する貫通孔が前記供給流路として形成される円柱部と、
    前記円柱部の上面から前記ランス本体の上端を貫通して前記ノズル孔の中心軸上に延設され、上端に前記画成部材を回動させる動力が入力される軸部と、
    を有する、
    請求項1に記載の上吹きランス。
  3. 前記画成部材は、前記ランス本体に対して前記ノズルを通じて着脱可能に設けられる、
    請求項1又は2に記載の上吹きランス。
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