JP2005082826A - 溶鋼昇熱方法及び溶鋼昇熱装置 - Google Patents

溶鋼昇熱方法及び溶鋼昇熱装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005082826A
JP2005082826A JP2003313495A JP2003313495A JP2005082826A JP 2005082826 A JP2005082826 A JP 2005082826A JP 2003313495 A JP2003313495 A JP 2003313495A JP 2003313495 A JP2003313495 A JP 2003313495A JP 2005082826 A JP2005082826 A JP 2005082826A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lance
molten steel
oxygen
vacuum chamber
vacuum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003313495A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4036167B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Ueki
俊行 植木
Kiyoto Fujiwara
清人 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2003313495A priority Critical patent/JP4036167B2/ja
Publication of JP2005082826A publication Critical patent/JP2005082826A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4036167B2 publication Critical patent/JP4036167B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】RH真空脱ガス装置の真空槽内で酸素ガスを上吹き吹錬する真空精錬において、真空槽の側壁煉瓦の溶損を抑制することが可能な溶鋼昇熱方法を提供する。
【解決手段】上吹きランスから酸素ガスを上吹き吹錬する際、酸素火点の中心位置を真空槽内の上昇管側に位置させる。前記酸素火点の中心位置は、真空槽の上昇管側の側壁からの距離rと真空槽の内半径r0 との比(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置とするのがよい。また、上吹きランスとして、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに3〜10゜の角度を設けたランスを用いるのがよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、減圧下において上吹き酸素吹錬して溶鋼を昇熱する方法及びその装置に関し、より詳しくは、RH真空脱ガス装置を使用した溶鋼昇熱方法及び溶鋼昇熱装置に関するものである。
鋼の脱ガス及び二次精錬の主要な方法として、現在では、RH真空脱ガス装置を使用した真空精錬法が広く普及している。この真空精錬法の主要技術は以下の(イ)〜(ニ)である。
(イ)「ベース技術」:真空で溶鋼を処理し、脱炭処理や脱酸、脱水素等の脱ガス処理を行う。
(ロ)「酸素吹き昇熱技術」:Al、Si等を溶鋼に添加し、酸素を供給して溶鋼の昇熱を行う。
(ハ)「酸素吹き脱炭技術」:溶鋼の脱C中に酸素を吹込み、脱炭の促進を行う。
(ニ)「フラックス添加技術」:RH真空槽内に脱硫剤を添加して溶鋼の脱硫を行う。
なお、RH真空脱ガス装置とは、図1に概略を示すように、真空槽1の下部に2本の浸漬管、すなわち上昇管4(溶鋼が上向きに流れている浸漬管で、「吸上管」とも称される)と下降管5(溶鋼が下向きに流れている浸漬管で、「排出管」とも称される)を有し、上昇管4にArガス等の不活性ガスを環流ガス6として流し、上昇管4から溶鋼3を逐次吸上げ、下降管5を経由して溶鋼3を取鍋2へ戻す方式で連続的に脱ガス処理を行う装置である。
真空精錬処理に関連する技術としては、特許文献1に、Alと酸素との発熱反応を利用して溶鋼を昇熱する技術、具体的には、脱炭処理の末期に発熱剤(Al)を添加することによって昇熱しつつ脱炭を行う方法が開示されている。また、特許文献2には、真空槽内における耐火物の溶損抑制の観点から、ランス高さと真空槽内溶鋼の浴深との比を規定することによって、真空槽の槽底耐火物の損傷を招くことなく効率のよい溶鋼昇熱が実現できる技術が開示されている。更に、特許文献3には、上吹きランス装置のランスの先端部に20〜50゜の角度を有するランス孔を設け、酸素の吹き付け方向を調節することで2次燃焼ゾーンを任意に調整して、溶鋼の温度降下の防止及び耐火物の溶損を抑制する技術が開示されている。
しかし、上記の各特許文献で開示された技術のうち、特許文献1及び2で提案された技術の場合には、上吹きランスから酸素を溶鋼面に吹き付けた際に生じる真空槽内の側壁煉瓦の溶損については何ら考慮がなされていない。このため、ランニングコストに多大な影響を与える側壁煉瓦の大きな溶損が生じることを避け難い。
また、特許文献3で提案された技術は、脱炭中に発生するCOガスを溶鋼の上方で燃焼させることを前提とするものである。このため、昇熱効率のよいAl昇熱を前提とする場合には「20〜50゜」というランス孔の角度が過大であり、酸素を側壁に到達させることなく溶鋼へ到達させるためには、ランスと溶鋼面との距離(以下、「ランス−溶鋼面間距離」という)を著しく低下させる必要があるが、この場合には、スプラッシュによるランスへの地金の付着が多くなり、ランスの損傷を招いて実質上操業に支障をきたすことがあった。更に、ランス−溶鋼面間距離を著しく低下させた場合には、酸素が真空槽槽底にまで到達して、真空槽槽底の耐火物の溶損が生じることもあった。
特開平7−138633号公報
特開2001−158910号公報 特開平7−41825号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、RH真空脱ガス装置の真空槽内で酸素ガスを上吹き吹錬する真空精錬において、真空槽の側壁煉瓦の溶損を抑制することが可能な溶鋼昇熱方法及びそのための装置を提供することであり、また、第2の目的は、真空槽の側壁煉瓦の溶損を抑制しつつ効率よく溶鋼を昇熱する方法及びそのための装置を提供することである。
本発明の要旨は、下記(1)〜(3)に示す溶鋼昇熱方法及び(4)〜(6)に示す溶鋼昇熱装置にある。
(1)RH真空脱ガス装置の真空槽内で上吹きランスから酸素ガスを吹き付ける溶鋼昇熱方法であって、酸素火点の中心位置を真空槽内の上昇管側に位置させることを特徴とする溶鋼昇熱方法。
(2)酸素火点の中心位置を、真空槽の上昇管側の側壁からの距離rと真空槽の内半径r0 との比(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置とする上記(1)に記載の溶鋼昇熱方法。
(3)上吹きランスとして、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに3〜10゜の角度を設けたランスを用いる上記(1)又は(2)に記載の溶鋼昇熱方法。
(4)RH真空脱ガス装置の真空槽内で上吹きランスから酸素ガスを吹き付ける溶鋼昇熱装置であって、酸素火点の中心位置が真空槽内の上昇管側に位置することを特徴とする溶鋼昇熱装置。
(5)酸素火点の中心位置が、真空槽の上昇管側の側壁からの距離rと真空槽の内半径r0 との比である(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置にある上記(4)に記載の溶鋼昇熱装置。
(6)上吹きランスが、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに3〜10゜の角度を有するランスである上記(4)又は(5)に記載の溶鋼昇熱装置。
本発明における「酸素火点の中心位置」とは、上吹き酸素ガスジェットが溶融金属浴面に到達する領域の中心をいう。
「真空槽内の上昇管側」とは、真空槽内における上昇管との距離が下降管との距離よりも小さい位置であることを指す。
また、酸素火点の中心位置の「上昇管側の側壁からの距離r」とは、「上昇管側側壁の内表面からの距離r」、つまり、酸素火点の中心位置を含む水平面上で真空槽の内壁が構成する円を想定した場合、酸素火点の中心位置を通る前記円の直径上での酸素火点の中心位置と上昇管側に対応する円周部との距離rを指す。したがって、前記上昇管側の側壁からの距離rと真空槽の内半径r0 との関係は、酸素火点の中心位置が上昇管側にある場合には「r<r0 」、酸素火点の中心位置が下降管側にある場合には「r>r0 」、更に、酸素火点の中心位置が前記円の中心に一致する場合、つまり、酸素火点の中心位置が上昇管と下降管から等距離にある場合には「r=r0 」となる。
ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに設ける角度とは、図1の「A部拡大」図に示す2点鎖線で示す鉛直方向とランス孔の中心軸とがなす角度θをいう。
以下、上記(1)〜(3)の溶鋼昇熱方法に係る発明及び(4)〜(6)の溶鋼昇熱装置に係る発明をそれぞれ(1)〜(6)の発明という。
本発明の方法によれば、RH真空脱ガス装置の真空槽内で酸素ガスを上吹き吹錬する真空精錬において、真空槽の側壁煉瓦を構成する耐火物の溶損を抑制することができる。更に、効率よく溶鋼を昇熱することも可能である。このため、ランニングコストを大幅に低減することができる。また、本発明の溶鋼昇熱装置を用いれば本発明の方法を容易に実施することができる。
本発明者らは、前記した課題を解決するために、RH真空脱ガス装置の真空槽内で酸素ガスを上吹き吹錬した場合の側壁煉瓦の溶損状況について調査し、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)側壁煉瓦の溶損量はチャージ当たりの平均供給酸素量が多いほど大きい。
(b)真空槽の上部中心位置から真っ直ぐ下に挿入され、且つ、通常の真っ直ぐ下に酸素ガスを噴射するランスノズルを備えた上吹きランスを用いて、真空槽内で酸素ガスを上吹き吹錬した場合には、下降管側の側壁煉瓦の溶損が著しくなる。これは、真空槽内で溶鋼は上昇管側から下降管側へと流れるため、たとえ真っ直ぐ下に酸素ガスを吹き付けた場合でも、その時に発生するスプラッシュは下降管側に多く飛び散り、このスプラッシュにより煉瓦が溶損するからである。
(c)溶鋼にAl、Si等を添加し、酸素ガスを供給して溶鋼の昇熱を行う場合、下降管側に酸素ガスを供給すると下降管側の側壁煉瓦の溶損が極めて大きくなる。これは、上述の昇熱処理が真空槽内にAl、Si等を添加して酸素ガスを供給する処理であるため、下降管側に酸素ガスが供給されると、昇熱した溶鋼が、十分に混合して温度が平均化するための時間的な余裕がないまま高温状態で下降管付近を通過することとなり、このために下降管側の側壁煉瓦の溶損が極めて大きくなるものである。
(d)下降管側の側壁煉瓦の溶損を抑制するためには、下降管側に発生するスプラッシュを低減するとともに、十分に混合されて温度が平均化した状態の溶鋼が下降管を通過するようにすればよい。
前記(1)〜(6)の本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明の各要件について図1を参照しながら説明する。
真空槽1の下部に上昇管4と下降管5を有し、上昇管4に不活性ガスを環流ガス6として流し、上昇管4から溶鋼3を逐次吸上げ、下降管5を経由して溶鋼3を取鍋2へ戻す方式で連続的に脱ガス処理を行うRH真空脱ガス装置の真空槽1の中に、真空槽1の上部中心位置から挿入された上吹きランス7から酸素ガス8を上吹き吹錬する際、酸素ガス8が中心部、つまり上昇管4と下降管5から等距離にある部位に供給されると、下降管5側の側壁煉瓦の溶損が著しくなる。
また、上吹きランス7から酸素ガス8を上吹き吹錬する際、酸素ガス8が下降管5側に供給されると、下降管5側の側壁煉瓦の溶損が極めて大きくなる。
一方、上吹きランス7から酸素ガス8を上吹き吹錬する際、酸素ガス8が上昇管4側に供給されると、酸素ジェットは真空槽1内の溶鋼3の流れに逆らう方向で溶鋼3へ到達するため、酸素ジェットによって下降管5側へ跳ね上がるスプラッシュが著しく減少する。更に、スプラッシュの飛び上がる方向も分散して、下降管5側の側壁煉瓦の溶損が抑制される。つまり、下降管5側の側壁煉瓦の溶損を抑えるためには、真空槽1の上部中心位置から挿入された上吹きランス7から酸素ガス8を上吹き吹錬する際の酸素ガス8の供給を上昇管4側とすればよい。
したがって、前記(1)の発明においては、RH真空脱ガス装置の真空槽1内の下降管5側の側壁煉瓦の溶損を抑制するために、酸素火点の中心位置9をRH真空脱ガス装置の真空槽1内の上昇管4側に位置させることとした。
また、前記(4)の発明に係る装置においては、酸素火点の中心位置9が真空槽1内の上昇管4側に位置することと規定した。
なお、「酸素火点の中心位置」が上吹き酸素ガスジェットが溶融金属浴面に到達する領域の中心を指し、「真空槽内の上昇管側」が、真空槽内における上昇管との距離が下降管との距離よりも小さい位置をいうことは既に述べたとおりである。
上吹きランス7から酸素ガス8を上吹き吹錬する際、酸素ガス8が上昇管4側に供給される場合であっても、酸素火点の中心位置9が上昇管4側の側壁煉瓦に近づきすぎると、上昇管4側へのスプラッシュが多くなって上昇管4側の側壁煉瓦の溶損が大きくなることがある。この場合、酸素火点の中心位置9を、真空槽1の上昇管4側の側壁からの距離rと真空槽1の内半径r0 との比(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置とすることで、安定、且つ確実に上昇管4側においても側壁煉瓦の溶損を抑制することが可能になる。
したがって、前記(2)の発明においては、酸素火点の中心位置9を、真空槽1の上昇管4側の側壁からの距離rと真空槽1の内半径r0 との比(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置とした。
また、前記(5)の発明に係る装置においては、酸素火点の中心位置9が、真空槽1の上昇管4側の側壁からの距離rと真空槽1の内半径r0 との比である(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置にあることと規定した。
なお、既に述べたように、酸素火点の中心位置の「上昇管側の側壁からの距離r」とは、「上昇管側側壁の内壁表面からの距離r」、つまり、酸素火点の中心位置を含む水平面上で真空槽の内壁が構成する円を想定した場合、酸素火点の中心位置を通る前記円の直径上での酸素火点の中心位置と上昇管側に対応する円周部との距離rを指す。
上吹きランス7から酸素ガス8を上吹き吹錬する際、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに角度を設けたランスを用いれば、たとえそのランスが真空槽1の上部中心位置から真っ直ぐ下に挿入された場合であっても、酸素ガス8を上昇管4側に供給することができる。そして、前記ランス孔に設ける鉛直方向に対して下向きの角度及び酸素ガス8を吹き付ける際の上吹きランス7の溶鋼3からの距離(つまり、ランス−溶鋼面間距離)や上吹きランス7の真空槽槽底10からの距離(以下、ランスの高さという)を制御することにより、任意の位置に酸素ガス8を吹き付けることが可能になる。この場合、前記のランスノズル先端のランス孔に設ける角度が鉛直方向に対して下向きに3゜未満であると、酸素ガス8を上昇管4側に供給する、なかでも前述の酸素火点の中心位置9を、真空槽1の上昇管4側の側壁からの距離rと真空槽1の内半径r0 との比(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置にするためには、ランス−溶鋼面間距離やランスの高さを大きくする必要が生じ、Alとの反応効率が低下して溶鋼の昇熱効率が低下することがある。一方、前記のランスノズル先端のランス孔に設ける角度が鉛直方向に対して下向きに10゜を超えると、酸素ガス8を上昇管4側に供給する、なかでも前述の酸素火点の中心位置9を、真空槽1の上昇管4側の側壁からの距離rと真空槽1の内半径r0 との比(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置にするためには、ランス−溶鋼面間距離やランスの高さを小さくする必要が生じ、ランスへの地金の付着や真空槽槽底の耐火物の損傷をきたすことがある。
したがって、前記(3)の発明においては、上吹きランスとして、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに3〜10゜の角度を設けたランスを用いることとした。
また、前記(5)の発明に係る装置においては、上吹きランスが、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに3〜10゜の角度を有するランスであることと規定した。
既に述べたとおり、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに設ける角度とは、図1の「A部拡大」図に示す2点鎖線で示す鉛直方向とランス孔の中心軸とがなす角度θを指す。
なお、酸素火点の中心位置の真空槽内での位置は、例えば、上吹きランスを真空槽の上部中心位置から真っ直ぐ下に挿入する場合には、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに角度を設けたランスを用いることで調整できるし、ランスノズル先端のランス孔に上記のような角度を設けない上吹きランスを用いる場合には、真空槽の上部中心位置から外れる部位から上吹きランスを真っ直ぐ下に挿入したり、真空槽の上部から上吹きランスを挿入する場合に鉛直方向(つまり、真っ直ぐ下の方向)ではなく、角度を付けて挿入することで調整できる。
そして、前記(1)〜(3)の発明の方法は、例えば、それぞれ前記(4)〜(6)の発明に係る装置を用いて容易に実施することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
210トン転炉で1次精錬された溶鋼を、毎分の循環量が150トンであるRH真空脱ガス装置を用いて、脱ガス処理を繰り返した。なお、Alと酸素との発熱反応を利用して溶鋼を昇熱するために、溶鋼1トン当たり0.17m3 (Normal)/分の酸素ガスを真空槽内に上吹きランスから供給して吹錬し、約100チャージを1サイクルとした。
1サイクル中は、上吹きランスから酸素ガスを吹き付けた際の酸素火点の中心位置を固定した状態で吹錬した。なお、酸素火点の中心位置は真空槽内中心、下降管側及び上昇管側の3種類とした。酸素火点の中心位置を上昇管側及び下降管側に調整するときは、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに5゜の角度を有する上吹きランスを使用した。
上述の各条件で酸素ガスを上吹き吹錬したときの真空槽内の側壁煉瓦の最大溶損量を調査した。なお、既に知見(a)として述べたように、溶損量は供給酸素量に比例することから、1チャージ当たりの平均供給酸素量が約200m3 (Normal)であるものについて比較した。
表1に、酸素ガスの上吹き吹錬条件と側壁煉瓦の最大溶損量の調査結果を示す。また、図2に酸素火点の中心位置と側壁煉瓦の最大溶損量との関係を整理して示す。なお、表1及び図2においては、「酸素火点の中心位置」を「火点位置」、側壁煉瓦の「最大溶損量」を「溶損量」と表記した。
Figure 2005082826
表1及び図2から、酸素火点の中心位置を上昇管側に位置させることによって、真空槽内の側壁煉瓦の最大溶損量を低減できることが明らかである。
実施例1の場合と同様に、210トン転炉で1次精錬された溶鋼を、毎分の循環量が150トンであるRH真空脱ガス装置を用いて、脱ガス処理を繰り返した。なお、本実施例の場合にも、Alと酸素との発熱反応を利用して溶鋼を昇熱するために、溶鋼1トン当たり0.17m3 (Normal)/分の酸素ガスを真空槽内に上吹きランスから供給して吹錬し、約100チャージを1サイクルとした。
1サイクル中は、上吹きランスから酸素ガスを吹き付けた際の酸素火点の中心位置を固定した状態で吹錬した。なお、酸素火点の中心位置は、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに1〜10゜の角度を有する上吹きランスを使用し、ランス−溶鋼面間距離を2.0〜3.9mとして、真空槽の上昇管側の側壁からの距離rと真空槽の内半径r0 との比(r/r0 )の値で0.20〜0.94の範囲で任意に調整した。
上述の各条件で酸素ガスを上吹き吹錬したときの真空槽内の側壁煉瓦の最大溶損量を調査した。なお、溶損量は供給酸素量に比例することから、1チャージ当たりの平均供給酸素量が約200m3 (Normal)であるものについて比較した。また、酸素吹き開始前と終了時の溶鋼の温度を測定して、昇温量を調査した。
表2に、酸素ガスの上吹き吹錬条件と側壁煉瓦の最大溶損量の調査結果、及び酸素ガスの上吹き吹錬条件と酸素量100m3 (Normal)当たりの昇温量の調査結果を示す。また、図3に前記(r/r0 )の値と側壁煉瓦の最大溶損量との関係を整理して示す。なお、表2及び図3においても側壁煉瓦の「最大溶損量」を「溶損量」と表記した。表2における「ランス孔角度」は、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに設けた角度を意味する。
Figure 2005082826
表2及び図3から、酸素火点の中心位置を上昇管側に位置させた場合であっても、前記(r/r0 )の値が0.5〜0.9の範囲にある試験番号11〜26及び試験番号32の場合に真空槽内の側壁煉瓦の最大溶損量が小さくなることが明らかである。なお、試験番号32の場合には、ランス孔角度が1゜と小さいため「r/r0」の値を0.88にするとランス−溶鋼面間距離が大きくなるので、酸素量100m3 (Normal)当たりの昇温量で表される溶鋼の昇熱効率が劣っている。
本発明の方法によれば、RH真空脱ガス装置の真空槽内で酸素ガスを上吹き吹錬する真空精錬において、真空槽の側壁煉瓦を構成する耐火物の溶損を抑制することができるし、効率よく溶鋼を昇熱することも可能であるため、ランニングコストを大幅に低減することができる。また、本発明の溶鋼昇熱装置を用いれば本発明の方法を容易に実施することができる。
RH真空脱ガス装置の真空槽の上部中心位置から挿入した上吹きランスを用いて真空槽内で酸素ガスを上吹き吹錬する本発明の方法を説明する模式図である。 実施例1で調査した酸素火点の中心位置と側壁煉瓦の最大溶損量との関係を示す図である。 実施例2で調査した上昇管側領域における酸素火点の中心位置と側壁煉瓦の最大溶損量との関係を示す図である。
符号の説明
1:真空槽、
2:取鍋、
3:溶鋼、
4:上昇管、
5:下降管、
6:環流ガス、
7:上吹きランス、
8:酸素ガス、
9:酸素火点の中心位置、
10:真空槽槽底。

Claims (6)

  1. RH真空脱ガス装置の真空槽内で上吹きランスから酸素ガスを吹き付ける溶鋼昇熱方法であって、酸素火点の中心位置を真空槽内の上昇管側に位置させることを特徴とする溶鋼昇熱方法。
  2. 酸素火点の中心位置を、真空槽の上昇管側の側壁からの距離rと真空槽の内半径r0 との比(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置とする請求項1に記載の溶鋼昇熱方法。
  3. 上吹きランスとして、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに3〜10゜の角度を設けたランスを用いる請求項1又は2に記載の溶鋼昇熱方法。
  4. RH真空脱ガス装置の真空槽内で上吹きランスから酸素ガスを吹き付ける溶鋼昇熱装置であって、酸素火点の中心位置が真空槽内の上昇管側に位置することを特徴とする溶鋼昇熱装置。
  5. 酸素火点の中心位置が、真空槽の上昇管側の側壁からの距離rと真空槽の内半径r0 との比である(r/r0 )の値で0.5〜0.9の位置にある請求項4に記載の溶鋼昇熱装置。
  6. 上吹きランスが、ランスノズル先端のランス孔に鉛直方向に対して下向きに3〜10゜の角度を有するランスである請求項4又は5に記載の溶鋼昇熱装置。
JP2003313495A 2003-09-05 2003-09-05 溶鋼昇熱方法及び溶鋼昇熱装置 Expired - Fee Related JP4036167B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003313495A JP4036167B2 (ja) 2003-09-05 2003-09-05 溶鋼昇熱方法及び溶鋼昇熱装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003313495A JP4036167B2 (ja) 2003-09-05 2003-09-05 溶鋼昇熱方法及び溶鋼昇熱装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005082826A true JP2005082826A (ja) 2005-03-31
JP4036167B2 JP4036167B2 (ja) 2008-01-23

Family

ID=34414401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003313495A Expired - Fee Related JP4036167B2 (ja) 2003-09-05 2003-09-05 溶鋼昇熱方法及び溶鋼昇熱装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4036167B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008255421A (ja) * 2007-04-05 2008-10-23 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶鋼の加熱方法
JP2009091612A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Sumitomo Metal Ind Ltd Alを含有する溶鋼の昇温方法及び装置
JP2020094243A (ja) * 2018-12-13 2020-06-18 日本製鉄株式会社 上吹きランス
WO2022252472A1 (zh) * 2021-06-02 2022-12-08 中冶南方工程技术有限公司 一种缩短rh真空室更换时间的方法及rh真空室更换装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008255421A (ja) * 2007-04-05 2008-10-23 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶鋼の加熱方法
JP2009091612A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Sumitomo Metal Ind Ltd Alを含有する溶鋼の昇温方法及び装置
JP2020094243A (ja) * 2018-12-13 2020-06-18 日本製鉄株式会社 上吹きランス
JP7192465B2 (ja) 2018-12-13 2022-12-20 日本製鉄株式会社 上吹きランス
WO2022252472A1 (zh) * 2021-06-02 2022-12-08 中冶南方工程技术有限公司 一种缩短rh真空室更换时间的方法及rh真空室更换装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4036167B2 (ja) 2008-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0785284B1 (en) Process for vacuum refining of molten steel
JP2003172584A (ja) 粉体吹込み装置および精錬方法
JP4036167B2 (ja) 溶鋼昇熱方法及び溶鋼昇熱装置
JP2018016843A (ja) 極低硫低窒素鋼の溶製方法
JP6358454B2 (ja) 上底吹き転炉の操業方法
JP4207820B2 (ja) 真空脱ガス装置の利用方法
JP6372540B2 (ja) 真空脱ガス装置および真空脱ガス処理方法
TWI515301B (zh) 使用真空除氣系統製造超低碳鋼的方法
JP6323688B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP4360270B2 (ja) 溶鋼の精錬方法
JP2573876B2 (ja) Rh真空脱ガス方法及びその装置
JP2011202236A (ja) 転炉の上吹きランス及び転炉の操業方法
JP6372541B2 (ja) 真空脱ガス装置および真空脱ガス処理方法
JP2582316B2 (ja) 真空精錬炉を用いた低炭素鋼の溶製法
JP2009057613A (ja) ステンレス鋼のrh脱ガス槽における脱炭方法
JP5061535B2 (ja) Rh真空脱ガス装置における溶鋼の精錬方法
JPS61235506A (ja) 取鍋内溶鋼の昇熱法
JP2018003132A (ja) 溶銑の精錬方法
JPH0254714A (ja) Rh真空精錬における酸素付加方法
JP2018024911A (ja) 溶銑予備処理における鍋内付着地金溶解方法
JPH08337811A (ja) Rh真空槽の地金付着防止方法
JP2009091612A (ja) Alを含有する溶鋼の昇温方法及び装置
JP5488025B2 (ja) 転炉炉口付着地金の溶解方法
JP4470673B2 (ja) 溶鋼の真空脱炭精錬方法
JP2021147669A (ja) 溶解炉の精錬方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051021

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071009

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071022

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4036167

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131109

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131109

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131109

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees