JP2018016843A - 極低硫低窒素鋼の溶製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶鋼2にCaO系フラックスを添加する工程1、取鍋1の上方開口部を覆う取鍋蓋6を設置し、溶鋼2中に攪拌ガスを吹き込むことにより、取鍋蓋6の内部6bへの大気の侵入を抑制しながら溶鋼2およびCaO系フラックスを攪拌するとともに、溶鋼2に酸素ガスを上吹き供給しつつ、酸素ガスと溶鋼2との反応により生成した酸化物をCaO系フラックスと混合してカバースラグ3を形成する工程2、および、酸素ガスの供給を停止し、溶鋼2に攪拌ガスを吹き込むことにより脱硫および介在物除去を行う工程3の順序で、Alを含有する溶鋼2を処理して極低硫低窒素鋼を溶製する。工程2,3において取鍋蓋6の内部6bに液体の水を供給する。
【選択図】図1
Description
工程1:大気圧下において、取鍋内溶鋼にCaO系フラックスを添加する工程、
工程2:大気圧下において、酸素ガス上吹きランス挿入孔と溶鋼攪拌用のランス挿入孔と溶鋼への合金添加孔とのうちの少なくとも一つを備えるとともに取鍋の上方開口部を覆う取鍋蓋を設置し、前記取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより、前記取鍋蓋の内部への大気の侵入を抑制しながら、前記取鍋内溶鋼および前記CaO系フラックスを攪拌するとともに、前記取鍋内溶鋼に酸素ガスを上吹き供給しながら、該酸素ガスと前記取鍋内溶鋼との反応により生成した酸化物を前記CaO系フラックスと混合してカバースラグを形成する工程、および
工程3:前記酸素ガスの供給を停止し、大気圧下の前記取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより脱硫および介在物除去を行う工程
により示される順序で処理する極低硫低窒素鋼の溶製方法において、
前記工程2,3のいずれか一方もしくは双方の工程において前記取鍋蓋の内部に液体の水を供給する、極低硫低窒素鋼の溶製方法。
該取鍋蓋を設置した後に、前記取鍋蓋の開口部、および前記取鍋と前記取鍋蓋との間の隙間を、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスにより下記(1)式および(2)式を満たすように調整してパージすることにより、抑制する、1項に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
0.3≦Q2/V・・・・・・・(2)
V :前記取鍋蓋の内部の体積とフリーボードの体積の合計(m3)
Q1:前記取鍋と前記取鍋蓋との間の隙間のパージガス流量(Nm3/min)
Q2:前記取鍋蓋の開口部のパージガス流量(Nm3/min)
図1は、水供給孔7cに水供給用ランス15を挿入し、水を供給する場合を例にとったが、水の供給方法は特に限定されない。例えば酸素上吹きランスに水供給孔を併設してもよい。
予め、上底吹き転炉等を用いて溶鋼2を製造した後、溶鋼2を取鍋1に出鋼し、出鋼時に各種脱酸剤および合金を添加して取鍋1内の溶鋼2の化学成分を、例えば、質量割合で、C:0.03〜0.2%、Si:0.001〜1.0%、Mn:0.05〜2.5%、P:0.003〜0.05%、S:20〜30ppm、sol.Al:0.005〜2.0%、N:22〜35ppm等に調整する。この出鋼時には、脱酸用であるとともに、工程2において上吹きする酸素ガスとの反応に要するAlを添加して、溶鋼2を脱酸するとともに、出鋼流の攪拌によりスラグの脱酸も行うことが好ましい。
工程1では、後に脱硫を進行させるため、大気圧下において溶鋼2にCaO系フラックスを添加する。CaO系フラックスの添加量は、目標温度,目標Al濃度,目標S濃度に応じてAl添加量および酸素供給量が決定されるため、それに応じた量とする。ただし、CaO系フラックスの全量を、酸素ガスの供給完了前に添加することが、酸素ガス供給により形成される高温領域によってCaO系フラックスの滓化が促進されるために、好ましい。
溶鋼2の脱硫反応は、還元雰囲気下で進行し易いことから、溶鋼2中,スラグ3中の酸素ポテンシャルを低減することが有効である。添加するAl量は、出鋼中に溶鋼2を脱硫する観点からは、出鋼後のsol.Al濃度を0.050質量%以上とすることが好ましい。また、本発明では酸素ガスによるAl燃焼を実施するため、酸化されるAl予定量を出鋼段階で添加してもよい。
工程2において溶鋼2に酸素ガスを供給するのは、溶鋼2の化学成分と酸素ガスとの反応による酸化熱を利用して溶鋼2の加熱を行うとともに、Al2O3を生成させてスラグ3の化学成分の制御を行うためである。酸素ガスの供給方法は、スラグ3の滓化性の向上の観点から上吹きランス5から溶鋼2の表面に吹き付ける方法を用いることが好ましい。
工程2,3において、溶鋼撹拌用ガスや下記パージガスによって取鍋蓋6の内部6bの窒素濃度は低下するものの完全に零になるわけではない。このため、この状態で酸素ガスを上吹きしたり、あるいは撹拌用ガスを吹き込んだりすると、上吹き酸素ガスが取鍋蓋6の内部6bに残存する窒素を巻き込んだり、あるいは溶鋼面が揺動することによって、窒素が溶鋼2に侵入して窒素吸収が発生する。
工程2における撹拌方法は、溶鋼2に浸漬した浸漬ランス4を通して溶鋼2中に撹拌ガスを吹き込む方法を用いることが好ましい。この理由は、取鍋2の底部に設置されたポーラスプラグから撹拌ガスを導入する方法などでは十分な撹拌ガス流量を確保できないからである。
工程2において取鍋1に取鍋蓋6を設置した後、溶鋼2の撹拌の開始とほぼ同時にパージガスを流し始めることにより、吸窒抑制効果をさらに高めることができる。
工程2において、スラグ3の化学成分の制御とその溶融が進行するとともに、脱硫反応が進行する。しかし、この酸素ガスの供給時間では、脱硫反応が十分には進行せず、工程3において、酸素ガスの供給を停止し、大気圧下で溶鋼2中に攪拌ガスを吹き込むことにより、脱硫および介在物の除去処理を行う。この処理により、脱硫力を有するスラグ3によるさらなる脱硫と、不要な残留介在物の除去とが図られる。
2 溶鋼
3 スラグ
4 浸漬ランス
5 酸素ランス
6 取鍋蓋
7a ランス挿入孔
7b ランス挿入孔
7c ランス挿入孔
10 隙間
14 取鍋精錬装置
15 水供給ランス
Claims (2)
- Alを含有する溶鋼を、
工程1:大気圧下において、取鍋内溶鋼にCaO系フラックスを添加する工程、
工程2:大気圧下において、酸素ガス上吹きランス挿入孔と溶鋼攪拌用のランス挿入孔と溶鋼への合金添加孔とのうちの少なくとも一つを備えるとともに取鍋の上方開口部を覆う取鍋蓋を設置し、前記取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより、前記取鍋蓋の内部への大気の侵入を抑制しながら、前記取鍋内溶鋼および前記CaO系フラックスを攪拌するとともに、前記取鍋内溶鋼に酸素ガスを上吹き供給しながら、該酸素ガスと前記取鍋内溶鋼との反応により生成した酸化物を前記CaO系フラックスと混合してカバースラグを形成する工程、および
工程3:前記酸素ガスの供給を停止し、大気圧下の前記取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより脱硫および介在物除去を行う工程
により示される順序で処理する極低硫低窒素鋼の溶製方法において、
前記工程2,3のいずれか一方もしくは双方の工程において前記取鍋蓋の内部に液体の水を供給する、極低硫低窒素鋼の溶製方法。 - 工程2における前記取鍋蓋の内部への大気の侵入を、
該取鍋蓋を設置した後に、前記取鍋蓋の開口部、および前記取鍋と前記取鍋蓋との間の隙間を、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスにより下記(1)式および(2)式を満たすように調整してパージすることにより、抑制する、請求項1に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
0.3≦Q1/V・・・・・・・(1)
0.3≦Q2/V・・・・・・・(2)
V :前記取鍋蓋の内部の体積とフリーボードの体積の合計(m3)
Q1:前記取鍋と前記取鍋蓋との間の隙間のパージガス流量(Nm3/min)
Q2:前記取鍋蓋の開口部のパージガス流量(Nm3/min)
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