JP6645374B2 - 極低硫低窒素鋼の溶製方法 - Google Patents

極低硫低窒素鋼の溶製方法 Download PDF

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Description

本発明は、取鍋精錬を用いる極低硫低窒素鋼の溶製方法に関する。
鋼材中の窒素は、様々な製品性能の低下や必要な合金鉄使用量の増加を招き、窒化物系介在物の増加による鋼の清浄度悪化などを引き起こす。このため、鋼中の窒素含有率の低減が望まれている。特に、近年では従来以上の特性を有する鋼材が要求されているため、鋼中の窒素含有率をさらに低減することが重要な課題になっている。
一般に、鋼中の窒素は製鋼処理中に増加することが多い。鋼中の窒素含有率は、転炉出鋼後から鋳造完了までの間における大気との接触によって、徐々に増加する。低窒素鋼を製造する技術として、溶鋼から窒素を除去する脱窒処理と、溶鋼への窒素の吸収を抑制する吸窒防止技術とが知られる。溶鋼からの脱窒反応速度はあまり高くないことが知られており、通常の方法により脱窒を図ることは経済的に困難であることが多い。このため、処理時間を含めて経済性に優れた吸窒防止技術を確立することが重要である。
溶鋼の吸窒反応は、取鍋精錬処理において最も顕著に進行する。取鍋精錬処理では、真空脱ガス装置を用いて行う操作の他に、大気圧下での溶鋼中への不活性ガスの吹き込みによるスラグ−メタル間反応の促進や、溶鋼の表面への酸素ガスの吹き付けによる溶鋼温度の上昇などの各種処理が行われる。
これらの大気圧下での処理は、取鍋が大気中に開放された状態で行われる場合の他に、取鍋に蓋を設置したり、あるいは大径の浸漬管を用いるなどのように、大気との遮断処置がなされて、行われる場合もある。しかし、遮断処置がなされている場合であっても、通常は大気との遮断が完全ではなく、Ar雰囲気化等が図られているものの、空気が残存する条件下で行われることが多い。特に、大気圧下で酸素ガスを吹き付けて溶鋼温度を上昇させる昇温処理において吸窒反応が進行し易い。
大気圧下で酸素ガスを吹き付けて溶鋼温度を上昇させる昇温処理に関しては、これまでにも多数の技術開発が行われてきた。例えば特許文献1には、取鍋内の溶鋼に円錐状の浸漬管を浸漬させ、その浸漬管の内部でAl昇熱を行う昇熱方法が開示されている。しかし、この方法では取鍋スラグと溶鋼との反応を排除しているため、取鍋スラグを利用して溶鋼を十分に低硫化することができない。
一方、特許文献2には、大気圧下で取鍋スラグを利用して溶鋼を極低硫低窒素化する取鍋精錬方法が開示されており、製品中の硫黄含有率が10ppm以下であるとともに窒素含有率が50ppm以下である極低硫低窒素鋼が効率よく溶製されている。
さらに、本発明者らは、特許文献3により、酸素ガス上吹き時に、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスを上吹き酸素ガスの周囲の少なくとも一部に随伴させ、上吹き酸素ガスを溶鋼に吹き付けることにより精錬中の吸窒反応を抑制する方法を開示した。
特許文献3により開示された方法によれば、特許文献2により開示された方法がさらに改善され、製品中の硫黄含有率が10ppm以下であるとともに窒素含有率が40ppm以下である極低硫低窒素鋼を効率よく溶製することができる。
特開昭63−69909号公報 特開2008−144224号公報 特開2014−148737号公報
特許文献3により開示された方法によれば、酸素ガス上吹き時の吸窒反応は確かに抑制することができるものの、さらなる低窒素化を図るためには、酸素上吹き時以外の吸窒反応も抑制することが有効である。
また、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスを上吹き酸素ガスの周囲の少なくとも一部に随伴させることは、ガス使用量の増加、ひいては製造コストの増加につながる。そのため、より安価に鋼の窒素含有率を40ppm以下に低減することが求められる。
略述すると、本発明は、安価に窒素吸収を抑制することを目的とする。すなわち、特許文献3により開示された取鍋精錬方法には、(i)随伴ガスとして大量の不活性ガスまたは二酸化炭素ガスを必要とするために製造コストが増加するとともに、(ii)酸素ガス上吹き時以外の吸窒反応を抑制できないために鋼中の窒素含有率が僅かながら上昇するという2つの課題がある。
本発明は、特許文献3により開示された発明と同様に、特許文献2により開示された方法、すなわち大気圧下で取鍋スラグを利用して溶鋼を極低硫低窒素化する取鍋精錬方法を利用して上記課題を解決するものであり、大気圧下で溶鋼を取鍋精錬処理することにより、製品中の硫黄含有率が10ppm以下であるとともに窒素含有率が40ppm以下、好ましくは35ppm以下である極低硫低窒素鋼を、効率よく安定して安価に溶製する方法を提供することを目的とする。
本発明は、基本的に、特許文献2により開示された方法を利用し、溶鋼の昇熱処理と併せて低硫化および低窒素化を同時に実現し、極低硫低窒素鋼を効率よく安定して安価に製造できる精錬方法である。
図1は、本発明に係る溶製方法を実施する状況を模式的に示す説明図である。本発明では、図1に基本構成を例示する取鍋精錬装置14を用い、溶鋼2を以下の工程1〜3で示される順序により処理する極低硫低窒素鋼の溶製方法を、基本的に利用する。
工程1:大気圧下において、取鍋1内の溶鋼2にCaO系フラックスを添加する工程。
工程2:大気圧下において、取鍋1の上方開口部1aを覆い、かつ、酸素上吹き用のランス挿入孔7bと溶鋼攪拌用のランス挿入孔7aと溶鋼2への合金添加孔(図示しない)とのうちの少なくとも一つを備える取鍋蓋6を設置し、取鍋1内の溶鋼2中に攪拌ガスを吹き込むことにより取鍋蓋6に設けられたランス挿入孔7a,7bまたは合金添加孔のうちの少なくとも一つから不活性ガスまたは二酸化炭素ガスを供給することによりパージを実施して、取鍋蓋6の内側6bへの大気の侵入を抑制しながら、溶鋼2およびCaO系フラックスを攪拌するとともに、溶鋼2に酸素ガスを上吹き供給し、酸素ガスと溶鋼2との反応により生成した酸化物をCaO系フラックスと混合してカバースラグ3を形成する工程。
工程3:酸素ガスの供給を停止し、大気圧下の取鍋1内の溶鋼2中に攪拌ガスを吹き込むことにより脱硫および介在物除去を行う工程。
ここで「CaO系フラックス」とは、CaO含有率が45質量%以上のフラックスを意味し、例えば、生石灰単味、および、生石灰を主体としてAlやMgOなどの成分を含有するフラックスが該当する。
本発明では、工程2において、取鍋1内の溶鋼2と大気との接触防止を強化するために、取鍋1の上部開口部1aを覆う取鍋蓋(カバー)6を取鍋1に設置する。この段階では、溶鋼2の表面はCaO系フラックスなどによって既に覆われているものの、溶鋼2とフラックスとのガス攪拌が開始されると、その攪拌によって溶鋼2が大きく揺動するため、溶鋼2の表面の上方に大気中の窒素が存在すると、溶鋼2中への窒素の吸収が起こり易くなるからである。
取鍋1に取鍋蓋6を設置すること、すなわち被せておくことによって、Arガスなどの溶鋼攪拌用不活性ガスが溶鋼2に吹き込まれると同時に、溶鋼2の表面と取鍋蓋6との間の空間に不活性ガスが充満し、溶鋼2中の窒素含有率の上昇が抑制される。
さらに、取鍋蓋6の開口部、および、取鍋蓋6と取鍋1との隙間10を不活性ガスまたは二酸化炭素ガスによりパージすることにより、取鍋蓋6の設置による溶鋼2中の窒素含有率の上昇がさらに抑制される。
ここで、「取鍋蓋6の開口部を不活性ガスまたは二酸化炭素ガスによりパージする」とは、取鍋1上に設置した取鍋蓋6と溶鋼2の表面との間の空間に不活性ガスまたは二酸化炭素ガスを吹き込むか、あるいは取鍋蓋6に設けられたランス挿入孔および/または合金添加孔の開口部分に不活性ガスまたは二酸化炭素ガスを吹き付けることを意味する。
また、「取鍋蓋6と取鍋1との隙間10を不活性ガスまたは二酸化炭素ガスによりパージする」とは、取鍋蓋6と取鍋1との隙間10を取り囲むように不活性ガスまたは二酸化炭素ガスを供給することを意味する。
図2には、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスの供給方法を例示する。
図2(a)に示すように、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスの供給配管9は、取鍋蓋6の下部6cの外周面6dに取り付けられた支持具11を介して、外周面6dの全周に固定されており、小さな穴またはスリット9aが穿設されている。これにより、供給配管9の小さな穴またはスリット9aから、不活性ガスまたは二酸化炭素ガス12が隙間10を取り囲むように供給される。
このガスパージは、図2(b)に示すように、上部に小さな穴またはスリット9aを穿設された供給配管9から不活性ガスまたは二酸化炭素ガス12を噴出させることによって、溶鋼2への窒素吸収抑制効果をさらに高めることができる。
図2(b)では、供給配管9の上部に小さな穴またはスリット9aが穿設されるとともに、その供給配管9の上方および側方を取り囲むようにカバー8が設置されている。このようにカバー8により上方および側方を取り囲まれた空間内で不活性ガスまたは二酸化炭素ガス12を上向きに噴出させることにより、カバー8の下方に位置する隙間10の周囲に、不活性ガスまたは二酸化炭素ガス12の濃度が高く、かつ空気濃度が低い領域13を形成することができる。これにより、取鍋蓋6の内部6bへ吸い込まれる大気が希釈されるため、取鍋蓋6の内側の窒素濃度が低下して溶鋼2への窒素吸収が抑制される。
また、酸素ガスを供給することにより、溶鋼2の酸化反応に伴ってスプラッシュが飛散し、また発煙および発塵が起こるため、取鍋1の上方に設けられた取鍋蓋6を集塵設備に接続しておくことは、系外へのスプラッシュの飛散、発煙および発塵を防止する観点から、好ましい。
取鍋蓋6には、続いて行われる精錬処理操作用として、溶鋼昇熱用の酸素ランス5の挿入孔7bと、溶鋼攪拌用の浸漬ランス4の挿入孔7aと、合金添加孔(図示しない)とのうちの少なくとも一つが設けられている。溶鋼昇熱用の酸素ランス5は、一般には金属製の水冷構造を有しており、取鍋蓋6に設けられたランス挿入孔7bを通して、酸素ランス5の先端が取鍋内の溶鋼2の上部表面(湯面)から0.5〜3mの高さ位置となるように、挿設される。
そして、酸素ランス5を介して酸素ガスが溶鋼2の上部表面に向けて吹き付けられる。
溶鋼攪拌用の浸漬ランス4を用いる場合には、取鍋蓋6に設けられたランス挿入孔7aから、耐火物製の浸漬ランス4を取鍋1内へ挿入し、浸漬ランス4の中心管を通して不活性ガスを浸漬ランス4の先端から噴出させながら、溶鋼2中へ浸漬させる。
酸素ランス5,浸漬ランス4のいずれも、外径は100〜300mmであって、取鍋蓋6に設けられたランス挿入孔7a,7bの内壁と酸素ランス5,浸漬ランス4の外面との間隔は20〜50mmである。また、工程2,3において溶鋼2中の成分含有率を調整することがあるため、取鍋蓋6にはフェロマンガンなどの合金鉄やアルミニウムを添加するための合金鉄添加口(図示しない)を設けておいてもよい。
本発明者らは、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスの供給方法,取鍋蓋6の内部の雰囲気の置換等を検討した結果、以下に列記の知見A〜Hが得られた。なお、以降の説明において「水」と記載した場合は液体状態の水を意味する。
(A)特許文献2により開示された方法における窒素吸収は、主に工程2において発生するが、工程3においても僅かながら発生する。
(B)工程2における窒素吸収は、酸素ランス5から上吹きされた上吹き酸素ガスが残留窒素を巻き込むことによって発生する。
(C)工程3における窒素吸収は、湯面揺動により取鍋蓋6の内部に雰囲気中の窒素を巻き込むことによって発生する。
(D)特許文献3により開示された方法で用いる不活性ガスまたは二酸化炭素ガスの代わりに水蒸気を用いても、窒素吸収を抑制することができる。
(E)工程2,3において取鍋蓋6の内部に水を供給すると、主として溶鋼2の輻射熱により水が熱せられて水蒸気となるため、比較的少量の水の供給でも、大量の蒸気を発生させることができる。
(F)水を供給して蒸発気化させることにより大量の蒸気を取鍋蓋6の内部に導入することができ、非常に効率よく取鍋蓋6の内部の雰囲気の窒素濃度を大幅に低下させることができ、工程2,3のいずれにおいても窒素吸収を抑制することができる。
(G)工程2,3において取鍋蓋6の内部に水を供給して蒸発気化させても、窒素巻き込み以外の精錬反応には、特に影響しない。
(H)水の供給と特許文献3により開示された随伴ガス供給とを組み合わせても、窒素の吸収抑制効果は増大しない。
本発明は、これらの知見A〜Hに基づいてなされたものであり、以下に列記の通りである。
(1)Alを含有する溶鋼を、
工程1:大気圧下において、取鍋内溶鋼にCaO系フラックスを添加する工程、
工程2:大気圧下において、酸素ガス上吹きランス挿入孔と溶鋼攪拌用のランス挿入孔と溶鋼への合金添加孔とのうちの少なくとも一つを備えるとともに取鍋の上方開口部を覆う取鍋蓋を設置し、前記取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより、前記取鍋蓋の内部への大気の侵入を抑制しながら、前記取鍋内溶鋼および前記CaO系フラックスを攪拌するとともに、前記取鍋内溶鋼に酸素ガスを上吹き供給しながら、該酸素ガスと前記取鍋内溶鋼との反応により生成した酸化物を前記CaO系フラックスと混合してカバースラグを形成する工程、および
工程3:前記酸素ガスの供給を停止し、大気圧下の前記取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより脱硫および介在物除去を行う工程
により示される順序で処理する極低硫低窒素鋼の溶製方法において、
前記工程2,3のいずれか一方もしくは双方の工程において前記取鍋蓋の内部に液体の水を供給する、極低硫低窒素鋼の溶製方法。
(2)工程2における前記取鍋蓋の内部への大気の侵入を、
該取鍋蓋を設置した後に、前記取鍋蓋の開口部、および前記取鍋と前記取鍋蓋との間の隙間を、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスにより下記(1)式および(2)式を満たすように調整してパージすることにより、抑制する、1項に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
0.3≦Q/V・・・・・・・(1)
0.3≦Q/V・・・・・・・(2)
V :前記取鍋蓋の内部の体積とフリーボードの体積の合計(m
:前記取鍋と前記取鍋蓋との間の隙間のパージガス流量(Nm/min)
:前記取鍋蓋の開口部のパージガス流量(Nm/min)
図1は、水供給孔7cに水供給用ランス15を挿入し、水を供給する場合を例にとったが、水の供給方法は特に限定されない。例えば酸素上吹きランスに水供給孔を併設してもよい。
本発明により、特許文献3により開示された方法において、不活性ガスや二酸化炭素ガスの使用量の増加を抑制しながら、溶鋼への窒素吸収をさらに抑制することができる。これにより、特に製品中の硫黄含有率が10ppm以下であるとともに窒素含有率が40ppm以下、好ましくは35ppm以下である極低硫低窒素鋼を、安定して溶製できるようになる。
図1は、本発明に係る溶製方法を実施する状況を模式的に示す説明図である。 図2は、取鍋蓋と取鍋との間の隙間のパージ方法の一例を示す説明図である。
図1,2を参照しながら本発明を説明する。
1.処理対象とする溶鋼2の化学成分等
予め、上底吹き転炉等を用いて溶鋼2を製造した後、溶鋼2を取鍋1に出鋼し、出鋼時に各種脱酸剤および合金を添加して取鍋1内の溶鋼2の化学成分を、例えば、質量割合で、C:0.03〜0.2%、Si:0.001〜1.0%、Mn:0.05〜2.5%、P:0.003〜0.05%、S:20〜30ppm、sol.Al:0.005〜2.0%、N:22〜35ppm等に調整する。この出鋼時には、脱酸用であるとともに、工程2において上吹きする酸素ガスとの反応に要するAlを添加して、溶鋼2を脱酸するとともに、出鋼流の攪拌によりスラグの脱酸も行うことが好ましい。
2.CaO系フラックスの添加
工程1では、後に脱硫を進行させるため、大気圧下において溶鋼2にCaO系フラックスを添加する。CaO系フラックスの添加量は、目標温度,目標Al濃度,目標S濃度に応じてAl添加量および酸素供給量が決定されるため、それに応じた量とする。ただし、CaO系フラックスの全量を、酸素ガスの供給完了前に添加することが、酸素ガス供給により形成される高温領域によってCaO系フラックスの滓化が促進されるために、好ましい。
CaO系フラックスの添加量が、8kg/ton未満では脱硫不足となる場合があり、一方、16kg/tonを超えて増加すると、生成するスラグ量が増大して溶鋼2とスラグ3との撹拌が難しくなる。このため、CaO系フラックスの添加量は8kg/ton以上16kg/ton以下であることが好ましい。
CaO系フラックスの添加時期は、転炉出鋼中、または出鋼完了後であって取鍋精錬開始前のいずれでもよいが、出鋼流による攪拌力を有効に活用でき、次工程でのフラックスの添加時間を短縮できることから、CaO系フラックスは転炉出鋼中に添加することが好ましい。
また、CaO系フラックスを添加すると、取鍋1中の溶鋼2の上部の表面をそのフラックス3が覆うため、取鍋1中の溶鋼2を大気から遮断して溶鋼2の吸窒を抑制する効果がある。この吸窒抑制効果を十分に活用するために、出鋼中のCaO系フラックスの添加時期は、出鋼時間の前期50%までの時期であることが好ましく、出鋼期間の前期20%までの時期であることがさらに好ましい。
3.Alの添加
溶鋼2の脱硫反応は、還元雰囲気下で進行し易いことから、溶鋼2中,スラグ3中の酸素ポテンシャルを低減することが有効である。添加するAl量は、出鋼中に溶鋼2を脱硫する観点からは、出鋼後のsol.Al濃度を0.050質量%以上とすることが好ましい。また、本発明では酸素ガスによるAl燃焼を実施するため、酸化されるAl予定量を出鋼段階で添加してもよい。
Alの添加により、溶鋼2の昇熱のための発熱源およびAl源が供給される。Alは、溶鋼2中の酸素やスラグ3中の酸化鉄を還元して、最終的にはスラグ3中のAlとなり、スラグ3の融点を低下させて、溶鋼2の脱硫および清浄化に有効に作用する。
極低硫鋼を溶製するためには、工程3以降において溶鋼2上のスラグ3の化学成分を適正な範囲に制御することが有効である。このため、工程1および工程2を通算して酸素ガスの供給が完了するまでに金属Al換算で1.5kg/ton以上のAlを添加することが好ましく、2kg/ton以上のAlを添加することがより好ましい。Al添加量が1.5kg/ton未満であると、生成するAl量が少な過ぎ、スラグ3の化学成分をAlの添加により有効に制御する効果が小さくなるのに加えて、CaO系フラックスの添加量の調整も必要となるとともに、スラグ3中の低級酸化物の十分な低減効果も低下するため、効果のばらつきが若干大きくなるためである。
しかし、Alは高価な金属であり、溶鋼2の目標温度および目標Al含有率、および目標S含有率に応じて、Al添加量および酸素ガス供給量が決定されるため、工程2において酸素ガスの供給が完了するまでのAl添加量を7.0kg/ton以下とすることが好ましい。
また、転炉で吹錬された溶鋼2を取鍋1に出鋼する際に、Alの添加に先立ち総出鋼時間の前期50%以内の時期に、CaO換算で溶鋼1ton当たり6kg以上10kg以下のCaO系フラックスを添加してカバースラグ3を形成した後、出鋼完了までに、または工程2における酸素ガスの供給完了までに、金属Al換算で溶鋼1ton当たり1.5kg以上7.0kg以下のAlを取鍋1内へ添加することが、溶鋼2への窒素吸収を抑制するためにはいっそう好ましい。
4.酸素の供給
工程2において溶鋼2に酸素ガスを供給するのは、溶鋼2の化学成分と酸素ガスとの反応による酸化熱を利用して溶鋼2の加熱を行うとともに、Alを生成させてスラグ3の化学成分の制御を行うためである。酸素ガスの供給方法は、スラグ3の滓化性の向上の観点から上吹きランス5から溶鋼2の表面に吹き付ける方法を用いることが好ましい。
溶鋼2の表面からの上吹きランス5またはノズルの高さは、0.5m以上3.0m以下であることが好ましい。この高さが0.5m未満であると、スピッティングが激しくなるとともに上吹きランス5の寿命が低下する。一方、この高さが3.0mを超えて高くなると、酸素ガスが溶鋼2の表面に到達しなくなり、Alの燃焼効率が低下するおそれがある。
酸素ガスの供給量は、0.4Nm/ton以上であることが好ましく、1.2Nm/ton以上であることがさらに好ましい。酸素ガスの供給量は、CaO源の滓化促進のために必要な供給量である。ただし、実際上、上述した添加Al量を酸化するために必要な酸素量との兼ね合いで、酸素ガスの供給量は8.7Nm/ton以下で十分である。
酸素ガスの供給流速は、酸素ガスの供給時間が5分間以上15分間以下であることが適当であることから、0.04Nm/min/ton以上0.8Nm/min/ton以下程度とすることが好ましい。酸素ガスの供給時間が5分間未満であると、酸素ガスの上吹きによるCaO系フラックスの滓化時間が不十分になり、一方、酸素ガスの供給時間が15分間を超えるような処理は、「処理時間も含めて経済的に優れた吸窒防止技術の提供」という本発明の目的に照らして適当でないからである。
5.水の供給
工程2,3において、溶鋼撹拌用ガスや下記パージガスによって取鍋蓋6の内部6bの窒素濃度は低下するものの完全に零になるわけではない。このため、この状態で酸素ガスを上吹きしたり、あるいは撹拌用ガスを吹き込んだりすると、上吹き酸素ガスが取鍋蓋6の内部6bに残存する窒素を巻き込んだり、あるいは溶鋼面が揺動することによって、窒素が溶鋼2に侵入して窒素吸収が発生する。
もしくは、工程2の酸素ガスの上吹き時に、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスである随伴ガスを酸素ガスの周囲の少なくとも一部、好ましくは全周に随伴させることにより、随伴ガスによって、上吹き酸素ガスによる窒素の巻き込みが防止または抑制される。しかしこの方法では、ガスコストが増大したり、あるいは工程3で溶鋼面の揺動により窒素吸収が発生するという課題がある。
これらの課題を解決するため、取鍋蓋6に水の供給孔を適宜配置しておき、工程2,3において取鍋蓋6の内部6bに液体状態にある水を供給することにより、水が蒸発して水蒸気となり体積が増大して窒素の巻き込みが防止または抑制される。
水の供給方法としては、図1に示すように取鍋蓋6に水供給孔7cを設けて水供給用ランス15を挿入して水を供給してもよいし、あるいは、酸素上吹きランス5に水供給孔を併設してもよい。つまり、水の供給方法は特に限定されない。また、水は、酸素ガスの供給開始と同時に供給を開始すればよい。
水の供給量は、0.01kg/ton/min〜0.2kg/ton/minであることが好ましい。水の供給量が、0.01kg/ton/min未満であると窒素の巻き込み抑制効果を十分に得られず、0.2kg/ton/minより高めても窒素の巻き込み抑制効果が増加しないためである。
6.撹拌ガスの供給
工程2における撹拌方法は、溶鋼2に浸漬した浸漬ランス4を通して溶鋼2中に撹拌ガスを吹き込む方法を用いることが好ましい。この理由は、取鍋2の底部に設置されたポーラスプラグから撹拌ガスを導入する方法などでは十分な撹拌ガス流量を確保できないからである。
工程2における撹拌ガスの吹き込み流量は、0.004Nm/min/ton以上0.02Nm/min/ton以下であることが望ましい。撹拌ガスの吹き込み流量が、0.004Nm/min/ton未満では撹拌力が不足し、一方、0.02Nm/min/tonを超えるとスプラッシュの発生が多くなるからである。
7.パージガスの供給
工程2において取鍋1に取鍋蓋6を設置した後、溶鋼2の撹拌の開始とほぼ同時にパージガスを流し始めることにより、吸窒抑制効果をさらに高めることができる。
したがって、本発明ではパージガスを供給することが好ましい。ただし、窒素吸収抑制効果を高めるためには、(Q/V)=0.3Nm/min/m以上0.6Nm/min/m以下、(Q/V)=0.3Nm/min/m以上0.6Nm/min/m以下のパージガスを併用することが好ましい。このパージガスは、溶鋼2の撹拌の開始より30秒間程度前から流し始めることが、取鍋蓋6の内側6bおよび取鍋蓋6の周囲の窒素濃度が予め低下するために、さらに好ましい。
8.工程3
工程2において、スラグ3の化学成分の制御とその溶融が進行するとともに、脱硫反応が進行する。しかし、この酸素ガスの供給時間では、脱硫反応が十分には進行せず、工程3において、酸素ガスの供給を停止し、大気圧下で溶鋼2中に攪拌ガスを吹き込むことにより、脱硫および介在物の除去処理を行う。この処理により、脱硫力を有するスラグ3によるさらなる脱硫と、不要な残留介在物の除去とが図られる。
工程2では、酸素ガスの供給により、不可避的に低級酸化物が生成する。このため、工程2の後の工程3において、不活性ガスを溶鋼2中に吹き込み、これらの低級酸化物の濃度を低減させることによりさらに脱硫を促進させることができる。
工程3では、酸素ガスの供給を停止するとともに、大気圧下にて溶鋼2に浸漬した浸漬ランス4を通して撹拌ガスを導入することにより溶鋼2とスラグ3の撹拌を継続し、脱硫を行う。
このときの撹拌ガスの吹き込み流量も上述の0.004Nm/min/ton以上0.02Nm/min/ton以下とすることが好ましい。撹拌ガスの吹き込み流量が、0.004Nm/min/ton未満であると、撹拌力が不足して脱硫が促進されず、一方、0.02Nm/min/tonを超えるとスプラッシュの発生が増加するからである。
また、撹拌ガスの吹き込み時間は、4分間以上20分間以下であることが好ましい。撹拌ガスの吹き込み時間が4分間未満であると、脱硫時間を確保できず極低硫鋼の溶製は困難であり、一方、撹拌ガスの吹き込み時間が20分間を超えて長くなると溶鋼2の温度の低下と生産性の低下が発生する。
工程3による処理の終了後におけるスラグ3中のCaOとAlとの質量含有率の比を0.9以上2.5以下とし、そのスラグ中のFeOおよびMnOの質量含有率の合計を8%以下とすると、脱硫不足やスラグの滓化性の悪化を防止することができるため、好ましい。
なお、工程3の終了後におけるスラグ量は、13kg/ton以上32kg/ton以下であることが好ましい。スラグ量が13kg/ton未満であると、スラグ量が少なく、安定した脱硫率を得られ難い。転炉から取鍋1へのスラグ流出量のバラツキを考慮すると、工程3の終了後における取鍋中スラグ量は、16kg/ton以上であることがいっそう好ましい。
一方、工程3の終了後におけるスラグ量が32kg/tonを超えると、スラグ3の化学成分の制御に要する時間が長くなり、その結果、処理時間の延長につながる場合がある。取鍋1の容量(取鍋1内の溶鋼2の容積とスラグの容積との合計)や溶鋼2とスラグ3との攪拌度合いを考慮すると、このスラグ量は25kg/ton以下であることがいっそう好ましい。
また、工程1〜3においては、脱硫に有効に作用するスラグ量を確保する観点から、取鍋1内の溶鋼2にシュノーケルなどの浸漬管を浸漬せずに処理することが好ましい。脱ガス装置の浸漬管などを浸漬すると、浸漬管の内外でスラグ2が分断され、酸素ガスが供給される領域に存在するスラグ2の滓化は促進されるものの、それ以外の領域に存在するスラグ2の滓化が遅れ、浸漬管の外側に存在するスラグ2の攪拌も不十分になって、脱硫に有効に作用するスラグ量が減少するおそれがあるからである。
工程3の処理を終了することにより、溶鋼中S含有率が10ppm以下かつN含有率が35ppm以下である極低硫低窒素鋼、例えば、質量割合で、C:0.03〜0.2%、Si:0.001〜0.65%、Mn:0.05〜2.5%、P:0.005〜0.05%、S:10ppm以下、sol.Al:0.005〜2.0%、N:40ppm以下の化学成分を有する極低硫低窒素溶鋼が製造される。
工程3の終了時の溶鋼2の温度は、1590℃以上1665℃以下程度である。
本発明の効果を確認するため、図1に示す取鍋精錬装置14を用い、一部の例では取鍋蓋6に図2(a)または図2(b)に示したパージガス供給配管9を装着し、水供給用のランス挿入孔7cに水供給ランス15を挿入し、下記に示す鋼2の溶製試験を実施し、その評価を行った。
予め溶銑脱硫、溶銑脱りんを行った溶銑を上底吹き転炉に装入し、[C]含有量が0.03〜0.20質量%になるまで粗脱炭吹錬を行い、吹錬終点温度を1640℃〜1700℃として取鍋1に出鋼し、出鋼時に脱酸素剤および合金を添加して取鍋1内の溶鋼2の化学成分を、質量割合で、C:0.03〜0.20%、Si:0.001〜1.0%、Mn:0.10〜2.5%、P:0.002〜0.050%、S:20ppm〜30ppmとした。
出鋼量は250tonとなるようにし、出鋼時には、CaO換算で8kg/tonの生石灰と4.0kg/tonのAlを一括して投入した。
次に、取鍋1に取鍋蓋6を設置して、工程2として、取鍋1内の溶鋼2に浸漬ランス4を浸漬させ、撹拌用Arガスを0.012Nm/min/tonの供給速度で溶鋼2中に吹き込むとともに、水冷構造を有する酸素ランス5から酸素ガスを供給速度0.16Nm/min/tonの供給速度で、溶鋼2の表面に1.2Nm/ton以上2.0Nm/ton以下吹き付けた。この時、酸素ランス5の先端と溶鋼2の表面との距離は2.0mとした。
酸素ガスの吹き付けと同時に水供給ランス15から水(液体)を、一部を除き0.1kg/min/tonの供給速度で、取鍋蓋6の内部6bに供給した。
また、一部の例では、工程2において、溶鋼2の撹拌を開始する30秒間前から、取鍋1と取鍋蓋6との隙間10のガスパージ(Q)と、取鍋蓋6の開口部のガスパージ(Q)とを、それぞれ(Q/V)=0.35〜0.59Nm/min/m、(Q/V)=0.44〜0.59Nm/min/mのAr流量で、溶鋼2の撹拌終了時点まで供給し続けた。このとき、取鍋蓋6の内部6bとフリーボードの体積の合計Vは34mであった。
次いで、工程3として酸素ガスの供給停止後、撹拌用Arガスを、0.012Nm/min/tonの供給速度で溶鋼2中に10分間吹き込んで、溶鋼2およびスラグ3の撹拌を行った。この時、水の供給は継続した。
本発明である水供給の有無と、パージガス供給の有無、取鍋精錬の工程2の開始前および工程3の終了後の[S](溶鋼中硫黄濃度)と脱硫率、並びに、取鍋精錬の工程2の開始前および工程3の終了後の[N](溶鋼中窒素濃度)と窒素吸収濃度とを、表1にまとめて示す。ここで、脱硫率は、{(工程2前の[S]−工程3後の[S])/工程2前の[S]×100}により計算される値であり、窒素吸収濃度は、(工程3後の[N]−工程2前の[N]ppm)により計算される値である。
Figure 0006645374
表1において、取鍋精錬の工程3を終えた後の[S]は全て5ppm以下であり、脱硫率は80%以上と良好であった。
先ず、従来例(No.1,2)は、工程2において取鍋1に取鍋蓋6を設置したものの、取鍋1と取鍋蓋6との隙間10のガスパージ(Q/V)も、取鍋蓋6の開口部のガスパージ(Q/V)も行わず、かつ水も供給せずに、工程2と工程3を連続的に実施した例である。
この従来例(No.1,2)でも、取鍋蓋6の内部6bの空間は、溶鋼撹拌用のArガス(0.012Nm/min/ton)によりある程度充満されているものの、吸窒を抑制するためにはまだ不十分であり、窒素吸収濃度ΔNは、それぞれ23,20ppmと芳しくなかった。
次に、比較例1(No.3〜5)は、工程2において取鍋1に取鍋蓋6を設置し、取鍋1と取鍋蓋6との隙間10のガスパージ(Q/V)と、取鍋蓋6の開口部のガスパージ(Q/V)とをそれぞれ表1に示す流量で行ったものの、水は供給しなかった例である。
比較例1(No.3〜5)では、窒素吸収濃度ΔNを4〜6ppmと抑制することができたものの、パージガス流量を合計で0.11〜0.14Nm/min/tonと撹拌用ガスの約10倍用いることとなり、ガス使用量の増加、ひいては製造コストの増加につながった。
次に、比較例2(No.6,7)は、比較例1の条件に加え、随伴ガスを0.01〜0.02Nm/min/ton使用した例である。比較例2(No.6,7)は、窒素吸収濃度ΔNを1ppmとさらに抑制することができたものの、パージガス流量がさらに増加してしまった。
次に、本発明例1(No.8,9)は、取鍋1と取鍋蓋6との隙間10のガスパージ(Q/V)も、取鍋蓋6の開口部のガスパージ(Q/V)も行わなかったものの、水を0.05kg/min/tonまたは0.1kg/min/ton供給した例である。
本発明例1(No.8,9)によれば、パージガスを使用しなくとも、パージガス使用の比較例1(No.3〜5)と同程度の窒素吸収濃度ΔNに抑制できることが確認され、本発明により、ガス使用量を著しく削減しながら極低硫低窒素鋼を溶製できることがわかる。
さらに、本発明例2(No.10〜14)は、水を0.1kg/min/ton供給することに加えて、取鍋1と取鍋蓋6との隙間10のガスパージ(Q/V)と、取鍋蓋6の開口部のガスパージ(Q/V)とを行った例である。本発明例2(No.10〜14)では、水供給およびパージガスを併用することにより、随伴用ガスを削減しながら、工程2および工程3での吸窒をほぼ完全に防止できた。
このようにして本発明によれば、製品中の硫黄含有率が10ppm以下(実施例では4ppm以下)であるとともに、窒素含有率が35ppm以下(実施例では34ppm以下)である極低硫低窒素鋼を、従来技術と比較して不活性ガスの使用量を削減しながら、効率よく安定して溶製できる。
1 取鍋
2 溶鋼
3 スラグ
4 浸漬ランス
5 酸素ランス
6 取鍋蓋
7a ランス挿入孔
7b ランス挿入孔
7c ランス挿入孔
10 隙間
14 取鍋精錬装置
15 水供給ランス

Claims (2)

  1. Alを含有する溶鋼を、
    工程1:大気圧下において、取鍋内溶鋼にCaO系フラックスを添加する工程、
    工程2:大気圧下において、酸素ガス上吹きランス挿入孔と溶鋼攪拌用のランス挿入孔と溶鋼への合金添加孔とのうちの少なくとも一つを備えるとともに取鍋の上方開口部を覆う取鍋蓋を設置し、前記取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより、前記取鍋蓋の内部への大気の侵入を抑制しながら、前記取鍋内溶鋼および前記CaO系フラックスを攪拌するとともに、前記取鍋内溶鋼に酸素ガスを上吹き供給しながら、該酸素ガスと前記取鍋内溶鋼との反応により生成した酸化物を前記CaO系フラックスと混合してカバースラグを形成する工程、および
    工程3:前記酸素ガスの供給を停止し、大気圧下の前記取鍋内溶鋼中に攪拌ガスを吹き込むことにより脱硫および介在物除去を行う工程
    により示される順序で処理する極低硫低窒素鋼の溶製方法において、
    前記工程2,3のいずれか一方もしくは双方の工程において前記取鍋蓋の内部に液体の水を供給する、極低硫低窒素鋼の溶製方法。
  2. 工程2における前記取鍋蓋の内部への大気の侵入を、
    該取鍋蓋を設置した後に、前記取鍋蓋の開口部、および前記取鍋と前記取鍋蓋との間の隙間を、不活性ガスまたは二酸化炭素ガスにより下記(1)式および(2)式を満たすように調整してパージすることにより、抑制する、請求項1に記載の極低硫低窒素鋼の溶製方法。
    0.3≦Q/V・・・・・・・(1)
    0.3≦Q/V・・・・・・・(2)
    V :前記取鍋蓋の内部の体積とフリーボードの体積の合計(m
    :前記取鍋と前記取鍋蓋との間の隙間のパージガス流量(Nm/min)
    :前記取鍋蓋の開口部のパージガス流量(Nm/min)
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