JP2000073116A - 高清浄極低硫鋼の製造方法 - Google Patents

高清浄極低硫鋼の製造方法

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JP2000073116A
JP2000073116A JP10245166A JP24516698A JP2000073116A JP 2000073116 A JP2000073116 A JP 2000073116A JP 10245166 A JP10245166 A JP 10245166A JP 24516698 A JP24516698 A JP 24516698A JP 2000073116 A JP2000073116 A JP 2000073116A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱硫処理を高速に行い、かつ、高清浄度の鋼
を製造する方法を提供する。 【解決手段】 真空脱ガス装置の真空槽内の溶鋼表面に
CaOを含有するフラックスを吹き付けつつ、取鍋内の
溶鋼にCaおよび/またはCa合金を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高清浄極低硫鋼の
溶製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】S(硫黄)は鋼材、特に厚板材の機械的
特性、耐腐食性を低下させる不純物であり、特にライン
パイプ用鋼では水素誘起割れの原因となる。近年の製品
要求性能はますます向上しており、一層のS低減が要求
されている。また、介在物も水素誘起割れの起点となる
ため、介在物低減、すなわち清浄度の向上が同時に要求
される。
【0003】一方、製鋼工程においてSを低減する処理
は脱硫処理と呼ばれるが、脱硫処理ではSを低減するこ
とに加え、短時間でかつ簡便な方法で処理を完了するこ
とも重要である。これは、溶鋼温度の低下や脱硫剤の大
量消費等によるコスト悪化を抑制するためである。
【0004】製鋼工程での脱硫処理は大きく分けて2種
類の方法がある。一つは脱硫能力の高いスラグを溶鋼表
面に形成させ、溶鋼をガスバブリング等の手法により撹
拌する方法である。攪拌によって、溶鋼とスラグ間の反
応を促進させ、溶鋼中Sをスラグ中へ移行させる方法で
ある。この場合のスラグ組成はCaOを40〜60重量
%含有したCaO−Al2 3 −SiO2 系スラグが一
般的に用いられる。このスラグにMgOやCaF2 が含
有させる場合もある。
【0005】もう一つの方法は、脱硫能力の高いフラッ
クスをガスとともに溶鋼中に吹き込む方法(インジェク
ション法)である。この方法では、溶鋼に吹き込まれた
脱硫フラックスが溶鋼中を浮上していく過程で溶鋼中S
と反応し、反応後のSは溶鋼表面のスラグに吸収される
ことによって、脱硫が進行する。
【0006】いずれの方法においても、下記(1) 式に示
す化学反応で脱硫が進行する。
【0007】 (CaO)+S=(CaS)+O (1) ただし、(CaO)はスラグまたは脱硫フラックス中の
CaO、(CaS)はスラグまたは脱硫フラックス中の
CaS、SおよびOは溶鋼中のSおよびOである。
【0008】(1) 式から明らかなように、脱硫をより進
行させるには、(ア) CaO量を増大させる、(イ) 溶鋼中
O濃度を低くする、(ウ) スラグまたはフラックス中のC
aS飽和溶解度を増加させる、ことが有効である。具体
的には(ア) に対してはスラグ量または脱硫フラックス量
の増量、(イ) に対してはAl、Ca等での脱酸強化、
(ウ) に対してはスラグや脱硫フラックスへのCaF2
アルミナの所定量配合、がある。また、CaF2 やアル
ミナの配合はスラグや脱硫フラックスの融点を低下させ
る効果もあるため、溶鋼中Sとの反応速度を早める効果
もある。
【0009】上記に基づき、これまでに様々な脱硫方法
が提案されてきた。また、近年では、脱硫に加え清浄度
向上も目的とした技術が提案されている。
【0010】例えば、特開平4−99811号公報に
は、脱酸した溶鋼にCaOを吹き込み、その後Ca合金
を添加する介在物微細化方法が示されている。
【0011】特開昭56−98415号公報には、溶鋼
に浸漬させたランスからArガスを吹き込み、脱硫し、
その後Ca合金を添加する方法が提案されている。
【0012】以上のように、従来技術では、製品性能確
保のため、脱硫とCa添加の両方が行われる場合が多
い。近年のCa添加方法としては、清浄度向上や工程省
略の観点からRH式などの真空脱ガス装置を用いる技術
がある。
【0013】例えば、特開平5−239538号公報に
は、真空槽内溶鋼下降管付近にCa添加剤を添加する方
法が開示されており、蒸発性の高いCaを高歩留まりと
することができるとしている。
【0014】特開平6−2028号公報には、RH真空
脱ガス装置において、溶鋼下降流にAlなどの脱酸剤と
CaO−Al2 3 などのフラックスを同時に同一箇所
に添加する方法が示されており、これにより、清浄度を
極めて高くできるとしている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来技
術には下記に示す問題があり、実操業において適用する
のは困難であることが多い。
【0016】第1に清浄度悪化の問題があった。前記特
開昭56−98415号公報に開示された技術のよう
に、溶鋼にArガスでバブリングし、スラグとの反応を
促進させることにより脱硫を施す場合、ガスバブリング
の影響によりスラグが溶鋼に巻き込まれ、そのスラグ滴
が溶鋼中に残留し、これが介在物となってしまう。前記
特開平4−99811号公報に開示された技術のよう
に、脱硫フラックスを溶鋼に吹き込む場合でも、吹き込
みガスによるスラグ巻き込みが発生する他、脱硫フラッ
クスの一部が溶鋼に残留してしまう。
【0017】前記特開平5−239538号公報に開示
された技術のように、RH真空脱ガス装置の真空槽内の
溶鋼表面に脱硫フラックスを吹き付ける場合でも、溶鋼
に残留する脱硫フラックス量が増加してしまうという問
題があった。
【0018】第2に処理時間の問題があった。脱硫反応
を促進するためにはスラグを完全に溶融することが必要
である。しかし、Arガスでバブリングする方法は攪拌
力が不十分でバブリングを開始してもスラグの溶融に時
間を要し、脱硫反応は速やかには進行しない。
【0019】これに比べて、脱硫フラックスを溶鋼に吹
き込む場合は、脱硫フラックスが溶鋼中Sと速やかに反
応し、かつ、フラックスと溶鋼との接触界面積が大きい
ため、フラックスとSとの反応による脱硫効率は極めて
高い。
【0020】脱硫反応後、フラックスは溶鋼表面のスラ
グに吸収されるが、スラグ組成が脱硫に適したものでな
ければ、フラックスに伴ってスラグに吸収されたSが再
び、溶鋼に戻る反応が起きる。この現象は、前記(1) 式
に示す反応が左へ進行することであるが、溶鋼が脱硫フ
ラックス吹き込みのキャリアガスに撹拌されるため、
(1) 式の左側への反応が加速されてしまう。この溶鋼へ
Sの戻る反応を抑制するにはスラグ組成も脱硫に適した
組成に制御する必要がある。従って、スラグ組成制御処
理実施に伴い、処理時間の大幅な延長となる。
【0021】RH真空脱ガス装置の真空槽内に脱硫フラ
ックスを吹き付けるときの脱硫速度は脱硫フラックスの
吹き付け速度に依存する。しかし、減圧下であることや
設備上の制約から、吹き付け速度に限界があるために、
必ずしも脱硫速度を十分にあげることができない。
【0022】すなわち、従来の技術では(a) 十分な清浄
度向上が得られない、(b) 極低S濃度まで脱硫するのに
時間がかかりすぎる、という二つの大きな課題があっ
た。
【0023】本発明の課題は、より短時間で溶鋼を脱硫
して、S濃度を極めて低い濃度まで低減すると同時に、
介在物のない高い清浄度を持った鋼を製造する方法を提
供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】発明者らは前述した課題
を解決するために、以下の検討をした。脱硫を効率よく
進行させるには、前述したように脱硫フラックスを用い
ることが適当である。しかし、通常の吹き込みでは、結
果的にスラグからSが溶鋼に戻る復硫反応が起きる。そ
こで、スラグと溶鋼との復硫反応を抑制した状態で、脱
硫フラックスを添加する方法が必要である。
【0025】上記の観点からすると、スラグと溶鋼との
反応が極めて遅いRH真空脱ガス装置を用いて、溶鋼表
面に脱硫フラックスを吹き付ける方法が最も適してい
る。しかし、単に真空槽内の溶鋼表面に脱硫フラックス
を吹き付けるのみでは、前述した課題、すなわち脱硫時
間が長いこと、清浄度が悪化することなどの問題点は解
決されない。
【0026】次に、真空槽内の溶鋼表面に脱硫フラック
スを吹き付けた場合、脱硫速度を向上させる方法を検討
した。脱硫を進行させるには前記(1) 式で述べたよう
に、脱酸を強化すればよい。
【0027】脱酸用のAl添加量を増すと、(ア) アルミ
ナ介在物が多数生成すること、(イ)脱酸を強化するには
Al濃度をかなり上昇させなければならず、この場合、
Alが製品成分で許される上限を越えてしまうこと、か
らAlによる脱酸は不適当である。そこで、微量でも十
分に脱酸を強化できるCaを用いて脱酸を強化すれば良
いという着想に至った。
【0028】脱酸にCaを用いた場合、溶鋼中のアルミ
ナ介在物を低融点・低比重の液体CaO−Al2 3
介在物に形態を変化させられる。この液体介在物は、ア
ルミナ介在物に比較して、溶鋼から浮上分離しやすいた
め、清浄度向上にも有利である。また、介在物をCaO
−Al2 3 系の液体介在物に制御すると、吹き付け添
加された脱硫フラックスと溶鋼中でより合体・巨大化
し、介在物除去促進と脱硫フラックス残留防止の両方に
効果がある。
【0029】従って、高効率で脱硫すると同時に清浄度
を向上させるには、Ca脱酸された溶鋼に対し、RH真
空脱ガス装置の真空槽内の溶鋼表面に脱硫フラックスを
吹き付ければ良いと考えた。脱硫フラックスは脱硫能の
高いCaO含有フラックスが適当である。
【0030】しかし、この方法にはCaが容易に蒸発し
てしまうという問題がある。Ca脱酸を行った後に、真
空脱ガス処理を行うと、蒸発により急速にCa濃度が低
下するため、脱硫フラックス吹き付け中にCa添加効果
が低下してしまう。
【0031】真空槽内の溶鋼に脱硫フラックスとCa含
有物質を吹き付けたり、溶鋼上から添加したりする場
合、Caは真空槽内で速やかに蒸発してしまうため、C
a濃度を十分に上げることができず、脱硫効率、清浄度
共に向上しない。
【0032】脱硫フラックスを取鍋内溶鋼に吹き込み、
Ca含有物質を真空槽内溶鋼に添加した場合も同様の問
題がある。
【0033】本発明者らは、RH真空脱ガス装置におけ
る処理中もCa濃度を維持する方法を検討した結果、真
空槽内の溶鋼表面に脱硫フラックスを吹き付けつつ、取
鍋内溶鋼中に連続的にCa含有物質を添加する方法が最
も効果的であることを見いだした。
【0034】この方法によれば、Caは大気圧下での添
加となるためCaは十分取鍋内の溶鋼に溶解し、脱酸に
寄与すると同時に、アルミナ介在物をCaO−Al2
3 系の液体介在物へ形態を変化させる。次に取鍋の溶鋼
は真空槽内へ移動するが、ここで、Caの一部が蒸発し
ても、溶鋼は十分に脱酸されているために、脱硫フラッ
クスの脱硫効果は極めて大きくなる。さらに、真空槽内
で吹き付け添加された脱硫フラックスは溶鋼流に乗っ
て、取鍋に還流移動するが、取鍋内ではCa添加が行わ
れているため、その効果により、さらに脱硫が進行す
る。
【0035】上記知見に基づいて、完成した本発明の要
旨は、「RH真空脱ガス装置の真空槽内の溶鋼表面にC
aOを含有するフラックスを吹き付けつつ、取鍋内の溶
鋼にCaおよび/またはCa合金を添加することを特徴
とする高清浄極低硫鋼の製造方法」にある。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を、転炉とRH
真空脱ガス装置を用いて実施する場合を例に説明する。
転炉処理終了後、溶鋼を取鍋へ出鋼する。取鍋をRH真
空脱ガス装置へ移動し真空脱ガス処理を開始する。
【0037】本発明はスラグを活用しないので、特にそ
の組成を制御する必要はないが、より脱硫効率を高める
ために、出鋼時スラグ改質を実施したり、バブリング等
でスラグ改質を実施してもよい。また、スラグ組成はC
aO−Al2 3 系スラグが望ましく、より好ましく
は、重量比でCaO/Al2 3 =0.9〜2.5、F
eO+MnO濃度2重量%以下としておくことが望まし
い。
【0038】真空脱ガス処理開始後、本発明の処理を開
始する。ただし、本発明の処理の前に、RH真空脱ガス
装置にてAlと酸素ガスを用いた昇温処理を施しても良
い。また、Ca脱酸をより強化するために、製品規格上
許される範囲でAl濃度を高めておいてもよい。
【0039】図1はRH真空脱ガス装置における本発明
の処理概要を示す縦断面図である。同図において符号1
は真空槽、2は取鍋、3は溶鋼、4は上昇管、5は下降
管、6は真空槽の排気管、7はCaOを含むフラックス
を吹き付ける上吹きランス、8はフラックス、9はCa
および/またはCa合金を内包するワイヤ、10はワイ
ヤ供給装置である。
【0040】同図に示すように、上吹きランス7からフ
ラックス8を真空槽1内の溶鋼3の表面に吹き付け、同
時に取鍋2内の溶鋼3にCaおよび/またはCa合金を
添加する。同図においてはCaおよび/またはCa合金
はこれを内包するワイヤとして、ワイヤ供給装置10か
ら供給される例を示している。
【0041】フラックス8は脱硫能の高いCaOを含有
していればよいが、CaOの含有濃度は40重量%以上
が望ましい。この濃度未満であると、脱硫効率低下やフ
ラックス量増大に伴う処理時間延長となってしまうから
である。また、より効率を高めるためにフラックス8に
CaF2 を含有させたり、MgOを含有させてもよい。
【0042】フラックスの吹き付け速度VF (kg/
(溶鋼トン・分))は0.5≦VF ≦1.3が望まし
い。VF が0.5未満となると、脱硫に要する時間が長
くなり、1.3を超えて高くなると、フラックス吹き付
け時の溶鋼からのスプラッシュ発生量が大きくなってし
まう。
【0043】取鍋へ添加するCaおよび/またはCa合
金は、金属Caや、CaSi、CaAlなどのCa合金
またはこれらの混合物でもよい。また、脱硫をさらに促
進させるために、Caおよび/またはCa合金にCaO
を含有するフラックスを混合してもよい。以下では、C
aおよび/またはCa合金を単にCaともいう。
【0044】Caの添加速度Vc (kg/(溶鋼トン・
分))はCa純分換算で、0.01≦Vc ≦0.1が望
ましい。Vc が0.01未満となると、Ca濃度を脱硫
に効果を与えるに十分な濃度に上げるのに、時間がかか
りすぎてしまう。Vc が0.1を越えて高くなると、C
a添加中に一部気化したCa蒸気による撹拌効果が強く
なりすぎ、スラグの巻き込み、スラグ−溶鋼間の反応の
進行等の問題が生じてしまう。さらに、Vc が0.1を
越えて高くなると、Ca濃度が高くなりすぎてCaS介
在物が新たに生成し、清浄度を悪化させてしまう。
【0045】図2は取鍋の溶鋼面位置でのRH真空脱ガ
ス装置との位置関係を示す水平断面図である。同図にお
いて図1と同一部品は同一符号で表す。
【0046】Caの添加位置は取鍋内で安定的に添加で
きる位置であればよく、図2の好ましい添加領域として
示す範囲がよい。すなわち、RH真空脱ガス装置の上昇
管および下降管の直下および周辺を避けた位置である。
上昇管の直近にCaを添加すると、Caが溶鋼と十分反
応するまえに、真空槽内にCaが移動してしまうため、
Caが活発に蒸発してしまい、溶鋼中のCa濃度をあげ
ることができない。一方、下降管の直近にCaを添加す
ると、Ca蒸気が下降流と衝突し、溶鋼流動が減衰し、
溶鋼の撹拌も失われるため、脱硫、脱酸、介在物形態制
御等、全ての反応が不安定になる恐れがある。また、上
昇管、下降管の外側(取鍋壁との間)も作業性、反応の
均一性等の点から好ましい位置ではない。
【0047】Caの添加方法としては、連続的に添加で
きる方法であればいかなる方法でもよいが、好ましくは
Caおよび/またはCa合金を内包した金属ワイヤを溶
鋼に送り込むワイヤ−フィ−ディング法が望ましい。こ
の方法は、吹き込み法と違いArガスを用いないため、
不要なガス撹拌によるスラグ巻き込みを回避できるから
である。
【0048】Caの添加は脱硫フラックス吹き付け開始
と同時に開始すればよいが、Caの効果をより高めるに
は、Ca添加を脱硫フラックス吹き付け2分前程度から
開始すればより望ましい。
【0049】処理時の真空度は150Torr以下が望
ましい。真空度が150Torrを超えて高くなると、
溶鋼の環流が遅くなり、処理時間が長くなってしまうか
らである。
【0050】本発明に従って、CaOを含有するフラッ
クスを真空槽内の溶鋼に吹き付けつつ、同時に取鍋内の
溶鋼にCa(同図の例ではワイヤ−フィ−ディング法に
よるCaSi合金)を連続的に添加した場合の溶鋼中S
濃度の推移と清浄度の推移を調査した。併せて、従来方
法による脱硫処理の溶鋼中S濃度、清浄度を調査した。
【0051】図3は本発明および従来方法による脱硫処
理の処理時間と溶鋼中Sの濃度の関係を示すグラフであ
る。
【0052】図4は本発明および従来方法による脱硫処
理の処理時間と溶鋼中の介在物個数の関係を示すグラフ
である。同図は処理前の介在物個数を1とし、各処理時
間経過後の採取サンプルの介在物個数を指数として示し
たものである。
【0053】図3および図4には、本発明の方法に従
い、真空槽内の溶鋼にフラックスのみを吹き付け、取鍋
溶鋼にはCaを添加した場合(●)、真空槽内の溶鋼に
脱硫フラックスとCaを吹き付け、取鍋には何も添加し
ない場合(▼)、大気圧下で取鍋中の溶鋼に脱硫フラッ
クスとCaを吹き込んだ場合(■)、および下降管付近
でフラックスとCa合金を混合したものをワイヤフィー
ディングで添加した場合(○)を示す。
【0054】図3および図4から明らかなように、本発
明のフラックスとCaとを全く別の位置から同時に添加
する方法は、他法に比較して、高速で脱硫が進行すると
ともに、溶鋼中介在物が急速に除去される。
【0055】
【実施例】転炉で脱炭後、取鍋中の溶鋼250トンにA
lを添加し、スラグにはAl含有炭酸カルシウムを添加
し、スラグ中のFeO、MnO濃度を合計で1.4重量
%とした。その後、取鍋をRH真空脱ガス装置に移動
し、真空脱ガス処理を開始した。
【0056】処理開始後、溶鋼にAlを添加し、真空槽
内の溶鋼表面に酸素ガスを吹き付けて溶鋼温度を上昇さ
せた。この昇温処理後、真空度を1Torrとした。本
発明開始前の溶鋼中Al濃度は0.045重量%、Mn
濃度1.3重量%、C濃度0.05重量%である。上記
の処理後、本発明例と比較例の試験を実施した。
【0057】本発明例は以下の処理を行った。真空槽内
で溶鋼に吹き付けた脱硫フラックスは、80重量%Ca
O、10重量%CaF2 、10重量%MgOであり、吹
き付け速度は0.5〜1.3kg/トン/分とした。取
鍋内の溶鋼に添加したCaとしては、30重量%Ca−
70重量%Siなる組成のCaSi合金で、ワイヤーフ
ィーディング法により添加した。添加速度はCa純分換
算で0.05〜0.1kg/(トン・分)とした。処理
時間は10分とした。
【0058】脱硫処理後、最終合金調整を行った後、真
空脱ガス処理を終了し、連続鋳造機によって鋳造した。
鋳造されたスラブを圧延し、ラインパイプに加工し、N
ACE条件の耐サワーガス性能評価試験によって性能を
確認した。なお製品はAPI規格X70である。
【0059】表1は、処理前、処理後、製品におけるS
濃度、清浄度指数、N濃度、NACE試験の結果を示
す。NACE試験結果は、○が合格、×は不合格を示す
(本発明例:試験No.1〜4)。
【0060】比較例として、Caを取鍋溶鋼に添加せず
に、真空槽内溶鋼表面に脱硫フラックスを10分間吹き
付けた場合(比較例(1) 試験No.5〜8)と、真空脱
ガス処理中の取鍋のスラグ中にCaO/Al2 3
1.5なる組成のスラグを上から添加し、取鍋の溶鋼に
同様の脱硫フラックスを10分間吹き込んだ場合(比較
例(2) 試験No.9〜12)の結果を表1に併せて示
す。
【0061】表1に示すように、本発明例(No.1〜
4)では、S濃度は1〜2ppmまで低下したのに比
べ、同じ10分間の処理をした比較例(1) 、(2) とも、
S濃度は6ppm以上にとどまった。
【0062】介在物については、本発明例が、0.1〜
0.2の介在物指数であったのに対し、比較例(1) (2)
とも介在物指数は0.5以上で清浄度は不十分であっ
た。すなわち、比較例(1) ではCaをせず、十分な清浄
度向上の効果がないため、介在物指数が高くなったと考
えられる。比較例(2) では、取鍋内にフラックスを投入
するためのキャリアガスによって、上層スラグと溶鋼と
が攪拌され、取鍋スラグから介在物を巻き込んだため、
比較例(1) よりも介在物指数が高くなり、キャリアガス
攪拌による大気の巻き込みもあって、窒素濃度も比較例
(1) より高くなったと考えられる。
【0063】これに対して、本発明方法では溶鋼中のS
濃度、酸素濃度を著しく低減できるため、処理中に脱窒
反応が進行し窒素濃度も低減できることがわかった。
【0064】本発明の方法ではそのほか、介在物の形態
制御も同時に行われるため、脱硫後にCa処理を施さな
くてもよいという利点がある。
【0065】以上のように、本発明方法による鋼を用い
れば、ラインパイプ等に加工したときにも耐サワーガス
性能が確保できることがわかった。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、高能率で脱硫と介在物
の低減を行うことができ、介在物の形態制御も同時に行
われるため、後工程でCa処理を施さなくても高清浄極
低硫の耐サワーガス鋼の製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理概要を示す縦断面図である。
【図2】取鍋の溶鋼面位置でのRH真空脱ガス装置との
位置関係を示す水平断面図である。
【図3】本発明および従来方法による脱硫処理の処理時
間と溶鋼中Sの濃度の関係を示すグラフである。
【図4】本発明および従来方法による脱硫処理の処理時
間と溶鋼中の介在物個数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 真空槽 2 取鍋 3 溶鋼 4 上昇管 5 下降管 6 排気管 7 上吹きランス 8 フラックス 9 ワイヤ 10 ワイヤ供給装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RH真空脱ガス装置の真空槽内の溶鋼表
    面にCaOを含有するフラックスを吹き付けつつ、取鍋
    内の溶鋼にCaおよび/またはCa合金を添加すること
    を特徴とする高清浄極低硫鋼の製造方法。
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