JP7003947B2 - 上吹きランスおよび溶鉄の精錬方法 - Google Patents

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本発明は、反応容器に装入した溶鉄に酸素含有ガスを吹き付けて溶鉄に送酸精錬を施すための上吹きランスおよびその上吹きランスを用いた溶鉄の精錬方法に関する。
溶鉄の酸化精錬において、反応効率向上の観点から、上吹きランスから噴射される酸素含有ガスの溶鉄浴面での噴流流速とガス流量とを同時に制御できる実用的な送酸手段が求められている。
例えば、鉄鋼精錬における製鋼プロセスでは、溶鋼への酸素上吹きによる脱炭処理が行われる。この脱炭処理は精錬中の溶鋼の成分変化によって初期、最盛期、末期と分けられる。
脱炭最盛期では炭素濃度が高い状態であることから、上吹き酸素噴流が溶鋼界面に衝突した際に炭素と反応しやすいため、酸素流量を増やせば増やすほど脱炭速度が上昇する酸素供給律速である。そのため、脱炭最盛期では精錬の処理時間を短縮するために、可能な限り酸素流量を増やすべきであるが、酸素流量を増加させると、溶湯面での噴流の流速が高くなるとともに浴面動圧が上昇するために、ダストなどとして炉外に飛散する鉄分が増加したり、溶鋼やスラグをはねあげるスプラッシュが増大し炉壁や炉口付近に付着・堆積したりことになる。この量が多くなると、鉄歩留低下によるコストの増加を招き、スプラッシュがランスや転炉内壁に大量に付着すると、地金を除去する作業が発生するため、操業を阻害してしまう。つまり、酸素流量の増加と、ダスト量およびスプラッシュ量はトレードオフの関係にある。つまり脱炭最盛期においては、酸素流量を増加しても湯面流速(動圧)が上昇しないような操業が望ましいといえる。
一方で、脱炭末期には炭素濃度がある程度低下しており、上吹き酸素が火点で炭素と結びつく確率が低下するため、上吹き酸素量を増加しても脱炭速度が上昇しにくい。酸素を増加した場合は、炭素の代わりに鉄が酸素と結びつき、酸化鉄が生成しやすくなる。酸化鉄は溶鋼中の炭素と反応して脱炭反応を生じる物質であるが、単に浴面近傍に蓄積するだけでは脱炭に寄与しないため、溶鋼を撹拌して酸化鉄と溶鋼中の炭素が反応する確率を上げる必要がある。すなわち、脱炭末期においては、酸化鉄の生成量が増えすぎないようにした上で、溶湯の撹拌力を強化するような操業が求められる。そのための対策として、脱炭末期においては、流量を増加することなく上吹きガスの流速を上昇させて撹拌を強化するような操業が望ましい。
一般に、酸素流量の調整とは独立して浴面での流速を調整する方法として、ランス高さを調整する方法が用いられている。しかし、ランス高さを低くし過ぎると、飛散した溶鉄による溶損を受けてランス寿命が著しく低下する問題があり、また、ランス高さを高くし過ぎると、2次燃焼率の増大や2次燃焼着熱効率の低下によって炉内ガス温度が上昇し、耐火物寿命の低下を招く問題があるため、ランス高さによる流速の調整範囲には限界がある。このため、酸素流量に拠らずに噴射速度を調整可能な上吹きランスの実現が期待されていた。
また、製鋼工程では、転炉での製鋼スラグ発生量の低減や製鋼トータルコストの削減を図るために、転炉で脱炭吹錬する前に、溶銑中に含有するSiやPを予め酸化剤を用いて除去する方法がとられているが、その方法のひとつに、処理容器として転炉を用いた脱りん吹錬がある。
この転炉を用いた脱りん吹錬は、一般的には、脱炭吹錬と同様に、溶銑の湯面上方から上吹きランスを用いて酸素含有ガスを吹きつけながら、石灰等の精錬剤(以下、フラックスと称する)を溶銑に添加するものである。このときも、上吹きランスから供給される酸素含有ガス噴流の流速を調節することによって、脱りん吹錬時に生成するスラグ中のT.Fe濃度(トータル鉄分濃度)を制御する手法がとられる。
たとえば、脱炭の最盛期と末期では、求められる操業条件が異なるため、上吹きランスは脱炭最盛期では流速増加を抑えられるストレートノズルを使用し、脱炭末期では流速上昇が可能なラバールノズルを使用するべきである。しかし、精錬中にランスの取り換えを行うことは困難であるために、一本のランスで操業を行う必要がある。吹錬中にノズル形状を制御する技術としては、例えば、特許文献1には、機械的にノズル形状を変える真空脱ガス槽内の上吹きランスの技術が開示されている。
また、噴流制御のひとつにランスノズルの主噴流とは別の制御流の利用があげられる。例えば特許文献2には、流体噴出流路の側壁に制御ガス用の一対の開口部を設け、噴流方向を制御する方法が開示されている。また、特許文献3には、上吹きランスのラバールノズルに別のラバールノズルを延長するように重ねることによって、噴流流速を変える技術が開示されている。
特開平8-260029号公報 特開2005-113200号公報 特開2000-234115号公報
しかしながら、機械的にノズル形状を変える方法である特許文献1に開示の方法は、高温かつダストが発生する雰囲気下で機械的可動部を持つなどの点で実用的でない上、噴出孔が多数あるランスへの応用が困難という問題があった。また、ノズル内面の可動部によって断面積を縮小する場合、この段差部分において段差が生じるが、この段差の形状がガス流速に及ぼす影響も必ずしも明らかではなかった。
また、特許文献2に開示の方法は、噴流方向の制御は達成できるものの、噴流の流速を増減させる制御には適用できない課題がある。また、特許文献3に開示の技術では、ランス内部の構造物を移動させるための駆動装置が必要となるほか機械的可動部を持つなどの点で実用的でない問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、反応容器に装入した溶鉄に酸素含有ガスを吹き付けて行う精錬、例えば、溶鋼の脱炭精錬や溶銑の脱りん吹錬を行う際に1本の上吹きランスを用いて、ランスノズルチップやランス高さ、酸素含有ガス流量を変更することなく、ランスノズルに機械的可動部を用いることなく、酸素含有ガス噴流の流速を制御し、歩留向上や高速吹錬を達成することができる上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法を提供することを目的とする。
上記課題を有利に解決する本発明の上吹きランスは、反応容器に収容された溶鉄に酸素含有ガスを吹き付けるための上吹きランスであって、上記上吹きランスの外殻を貫通して、上記酸素含有ガスを噴射させる、1個以上の吹錬用主孔と、該吹錬用主孔の軸心に向けて制御用ガスを噴出させるために上記吹錬用主孔の内壁面に配置された開口部を有する制御用ガス供給路と、上記吹錬用主孔の入口から上記酸素含有ガスを供給するメイン酸素供給手段と、上記制御用ガス供給路に上記制御用ガスを供給する制御用ガス供給手段とを有し、上記制御用ガス供給路の上記開口部近傍に絞り部を有することを特徴とする。
なお、本発明にかかる上吹きランスは、
a.上記開口部が上記吹錬用主孔の内壁面の周方向に略等間隔に2個以上配置されること、
b.上記開口部の円周方向長さの合計が上記吹錬用主孔の内壁面の全周の25%以上100%以下を占める1個以上のスリット形状を有すること、
c.上記制御用ガス供給路の上記開口部の開口断面積Asと上記絞り部の断面積Amの比が1.02≦As/Am≦1.40であることがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
上記課題を有利に解決する溶鉄の精錬方法は、上記上吹きランスを用いた溶鉄の精錬方法であって、上記制御用ガス供給路の上記開口部から供給されるガス流量Qs(Nm/min)と、上記吹錬用主孔の入口から供給されるガス流量Qm(Nm/min)および上記制御用ガス供給路の上記開口部から供給されるガス流量Qsの合計流量との比が、0.02≦Qs/(Qm+Qs)≦0.40であることを特徴とする。
本発明によれば、上吹きランスの吹錬用主孔の側壁から制御ガスを導入することで、機械的可動部を用いることなく、主流の流路断面積を変更することが可能になり、主流の噴出流速を変更することが可能となる。また、地金付着で操業が阻害されやすい機械的なノズル形状変更方式によらずに流速変更が可能となる。その結果、この上吹きランスを用いて溶鉄の精錬を効率化でき、たとえば、脱炭精錬における脱炭速度が向上し、生産効率を改善することができる。
本発明の実施形態における上吹きランス先端の縦断面を示す模式図である。 本発明の一実施形態を示す主流の縮流とよどみ領域を示すランス縦断面の模式図である。 本発明の一実施形態を示す絞り部を設けた制御用ガス供給路を有するランスの縦断面を示す模式図である。 本発明の一実施形態を示す絞り部を設けた制御用ガス供給路を有するランスのA-A’視断面を示す拡大模式図であり、制御用ガス供給路の開口部が(a)丸孔の場合、(b)スリット形状の場合である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態における転炉用上吹きランス1の先端の縦断面を示す模式図である。なお、図1では、上吹きランス1の下端部を示している。上吹きランス1は、酸素含有ガスを反応容器内湯面に向かって噴射する吹錬用主孔3を1個以上(ここでは、複数個)備えており、吹錬用主孔3内に制御用ガスを噴出させるためにそれぞれの吹錬用主孔3の内壁面に配置された開口部41を有する制御用ガス供給路4を備えている。この制御用ガスは、吹錬用主孔3の軸心に向かって噴出させるように開口部41が構成されている。上吹きランス1は、冷却水循環路2を有している。
本発明では、図1に示すような上吹きランスのノズル(吹錬用主孔3)内において、主流の進行方向に対して、別方向から制御ガスを主流に衝突させることにより、主流の流路を変更し、流速を制御するものである。この上吹きランスには、吹錬用主孔3の入口から酸素含有ガスを供給するメイン酸素供給手段(図示しない)および制御用ガス供給路4に制御用ガスを供給する制御用ガス供給手段(図示しない)を有している。本来主流が流れる流路はノズルの断面全体であるが、制御ガスを導入した場合は主流が制御ガス流を避けて流れるために、主流の流路断面積が制限されることとなる。また、図2のように制御用ガス供給路4の開口部41の近傍に流速の遅いよどみ領域5が形成されるため、この領域も主流が通過しない。その結果、ノズル内部に絞り部(スロート)が形成されて、あたかもラバールノズルであるかのような挙動をふるまう。このため、ノズル出口にて適正膨張となり、流速が向上する。
本発明の原理は、流体現象を利用した素子のひとつである流体素子利用したものである。流体素子とは、噴流と側壁との干渉効果、噴流と噴流との衝突効果、渦により生じる流体現象、噴流自体の流速変動による効果によって得られる機能を利用する素子の総称であり、流体力学の分野で研究されている。例えば、噴流の流路の出口付近に、噴流と直角方向に制御用流体の供給口を配した形をとる。制御用流体の供給口から噴流へ流体を導入すると、制御用流体により噴流が縮流されて、噴流の一部の断面積が小さくなり、直線状の流路であってもラバールノズルの流路であるような挙動を示す。これにより、吹錬用主孔3の出口31で、吹錬用主孔3からの噴射ガス(酸素含有ガスと制御用ガスの混合ガス)の流速が上昇する。流体素子は機械的可動部を必要としないところに利点がある。
本発明の上吹きランスの吹錬用主孔3内では、主流に対する制御ガスの貫入深さが深く、なおかつよどみ領域が広いほど主流の流路断面積が縮小され、主流の流速がより上昇する。制御ガスの貫入深さを深くすれば、自然とよどみ領域も広くなるため、貫入深さのみに着目すれば良い。貫入深さを深くするためには制御ガスの噴出流速を上昇させることが有効である。このとき、制御ガス流速を上げるために制御ガス流量を増やした場合、脱炭末期に酸素流量を低減したいというニーズにそぐわないものとなってしまう。そこで、本発明では、図3のように制御用ガス供給路4の開口部41の直前の流路内に絞り部(スロート)6を設けてラバール形状とする。このような構成とすることで、制御ガス流量を増やすことなく制御ガスの流速を向上させることができる。
制御用ガス供給路4の開口部41の形状は、丸孔や多角形、部分スリット、全周スリット等、どのような形状でも構わない。制御ガスを軸心に向けて噴出させることが主流を絞るうえで重要である。また、制御用ガス供給路4の開口部41を2個以上配置する場合は吹錬用主孔3の内壁面の円周方向に略等間隔に配置する。そのような配置とすることで、円周方向でバランスよくよどみ部が構成され、主流の縮流効果が高まるという効果が得られる。スリット形状の場合、吹錬用主孔3の内壁面の周長に対するスリット部の割合が25%以上100%以下である必要がある。スリット部の割合が25%未満では、主流の縮流効果が小さくなるおそれがある。吹錬用主孔3の内壁面の周長に対するスリット部の割合が、50~100%の範囲にあることが好ましい。一方、開口部41の形状がスリット形状以外の丸孔や多角形孔の場合、吹錬用主孔3の内壁面の周長に対する開口部の円周方向長さの合計が25%以上90%以下の範囲にあることが好ましく、50%以上90%以下の範囲にあることがさらに好ましい。なお、上記の「円周方向に略等間隔」とは、それぞれの隣接する開口部41同士の円周方向中心位置の距離Sが、全ての隣接する開口部41同士の円周方向中心位置の距離Sの平均値に対して±20%以内に収まっているという意味である。
制御用ガス供給路4の絞り部6の最適な形状は、制御用ガス供給路4の開口部41の形状、設備の制御ガスの供給圧等の設定値によって変わってくるため、一概に規定することは難しいが、ラバールノズルにおいて、一般的な適正膨張条件となる開口断面積比の前後とするべきと考えられる。図3の吹錬用主孔3のA-A’視断面を拡大した模式図で図4に示す。図4(a)は制御用ガス供給路4の開口部41の形状が丸孔の場合、図4(b)は制御用ガス供給路4の開口部41の形状が部分スリット形状の場合を表す。丸孔(図4(a))の場合には、制御用ガス供給路4の円形断面のうち最も断面積の小さな部分である絞り部6での制御用ガス供給路4の断面積が絞り部6の断面積Amであり、丸孔の中心軸が開口部41と交わる位置の制御用ガス供給路4の断面積が開口部断面積Asとなる。スリット形状(図4(b))の場合には、制御用ガス供給路のスリット幅の最も小さな位置が絞り部6であり、円周方向の絞り部6長さと絞り部6のスリット幅との積が絞り部6の断面積Amとなり、開口部41の円周方向長さと開口部41のスリット幅との積が開口断面積Asとなる。制御用ガス供給路4の開口部41の開口断面積Asと絞り部6の断面積Amの比、つまり、開口断面積比As/Amを1.02≦As/Am≦1.40の範囲とすることが望ましい。ここで、開口断面積比As/Amが1.02未満では、ストレートノズルと変わらず、制御ガスの増速効果が得られないおそれがある。一方、開口断面積比が1.40を超えると、適正開口比から遠ざかり、制御ガス噴流の流速が低下して貫入深さが浅くなるため、縮流効果が得られなくなるおそれがある。より好ましい開口断面積比は1.05≦As/Am≦1.30の範囲である。
本発明の上吹きランス1を用いて、溶鉄の精錬に適用する場合には、吹錬用主孔3の入口から供給されるガス流量Qm(Nm/min)に対する制御用ガス供給路4の開口部41から供給されるガス流量Qs(Nm/min)の比は最適なバランスが存在する。設備のスペックによって最適な制御ガス流量比Qs/(Qm+Qs)は変わってくるため一概に規定することは難しいが、制御ガスが少なすぎると主流の縮流効果が小さくなり、制御ガスが多すぎると主流に対する貫入が深くなり、主流の流れを大きく乱す傾向にあるため、おおまかには0.02≦Qs/(Qm+Qs)≦0.40となる条件の範囲で、溶鉄を精錬処理することが好ましい。より好ましくは、0.15≦Qs/(Qm+Qs)≦0.25の範囲である。
本発明で用いる酸素含有ガスとしては、主流および制御ガスともに、純酸素としてもよいし、火点温度制御等を目的として、酸素ガスに、不活性ガスや窒素ガス、COガスを混合してもよい。また、主流と制御ガスのガス種を変えてもよい。ガス種を変える場合は、主流に酸素ガスを用いることが好ましい。
本発明の上吹きランスを用いた制御ガスによる上吹きランスから吹き付ける酸素ガス噴流の制御は、脱炭末期において撹拌能力向上を達成することを主目的としたものであるが、本発明は制御ガスの流量に応じてソフトブローからハードブローまで幅広く、主流の流速を変更できるものであり、他の用途への応用範囲が広い。すなわち、ソフトブローは、制御用ガス供給路4の開口部41から制御用ガスを供給しないことによって実現することができ、一方、ハードブローは、制御用ガス供給路4の開口部41から制御用ガスを適切に供給することによって実現することができる。例えば、ソフトブロー化による2次燃焼量増大による着熱向上、およびスラグ中のT.Feも制御することができるため、溶銑の脱りん処理に適用することもできる。すなわち、本発明は、転炉脱炭処理に限らず、転炉脱Si、脱P、電気炉、真空脱ガス等、上吹きで精錬を行う方式であればどのようなプロセスにも適用可能である。
本発明の効果を確認するため、容量250トン規模の転炉を模擬した熱流体シミュレーションを実施した。シミュレーションには汎用熱流体ソフトウェアであるSTAR-CCM+(Ver. 11.02)を用いた。吹錬用主孔3はストレート形とし、その管径Dmは70mmとした。吹錬用主孔内での制御用ガスの開口部の位置は、管径Dmと開口部から吹錬用主孔出口までの距離Laとの比で、La/Dm=1.5とした。制御用ガス供給路4の開口部41は4つの丸孔、部分スリットおよび全周スリットとし、主流に対し、垂直に噴出する方向とした。制御用ガス供給路4が丸孔(図4(a))の場合、絞り部6は丸孔と同軸の円形断面となるように形成させ、開口部41までの末拡がり部は円錐台の側面の一部をなすようにテーパー状に形成させた。このとき、制御用ガス供給路4の開口断面積Asおよび絞り部6の断面積Amは、丸孔のそれぞれの軸方向位置で、丸孔の中心軸に垂直な平面において制御用ガス供給路4の壁面で囲まれる、それぞれ最大の円の面積および最小の円の面積である。また、制御用ガス供給路4が部分スリットまたは全周スリット(図4(b))の場合、絞り部6及び開口部41までの末拡がり部は、吹錬用主孔の軸心に向けて放射状に形成させたスリット状の制御用ガス供給路4の対向する壁面の間隔を、制御用ガスの流れる方向7である吹錬用主孔の径方向に変更し、かつ吹錬用主孔の周方向には一定となるように形成させた。このとき、制御用ガス供給路4の開口断面積Asおよび絞り部6の断面積Amは、それぞれの径方向位置での主孔の軸心から周方向に等距離の曲面を横切る制御用ガス供給路4の断面積である。各々制御用ガス供給路で開口断面積比As/Amを変更して比較を行った。表1に示した条件にて上吹きランスから酸素を供給し、吹錬用主孔出口31から2m下に位置する溶鋼相当面での最大流速Vmaxを比較した。
Figure 0007003947000001
表1にシミュレーションの結果を併せて示す。制御ガスを導入しない条件No.1の最大湯面到達流速V=110m/secに対し、条件No.2、4、6および8の比較例は最大湯面到達流速Vmaxが向上し、条件No.1に対する増速比Vmax/Vが1.00を超えていることから、制御ガス導入による湯面到達流速の向上効果が確認できた。さらに条件No.2、4、6および8の比較例に対し、それぞれラバール型の制御用ガス供給路をもつ条件No.3、5、7および9の発明例では湯面到達流速Vmaxがさらに向上している。つまり、制御用ガス供給路4の開口部41の開口断面積比As/Amが1.00の場合に比べて、開口断面積比As/Am=1.10にラバールノズル化した例では全て主流の流速が向上していることがわかる。したがって、制御ガスの流量を増やすことなく湯面到達流速が向上していることが示された。また、4分割の部分スリットで開口断面積比As/Amを1.05、1.4と変更した条件No.9および10においても、開口断面積比As/Amが1.00の場合(条件No.3)よりも主流の流速が向上した。
撹拌力の指標となる湯面動圧は、湯面到達流速Vの2乗で計算できることから、5%の流速上昇による攪拌力増加効果は、1.05=1.10と10%の撹拌力の向上となることが分かる。これは、脱炭末期において、単に酸素流量を上げてしまうと鉄酸化を促進して歩留まりが悪化してしまうのに対し、本発明に基づき、主孔内への制御ガス導入により、流量を上げずに動圧を上げることができたことに意味がある。以上の結果から、制御用ガス供給流路4に絞り部6を設けることによって、主流の流速をより向上させることが可能であると示された。
上記実施例は、溶鋼の脱炭精錬における脱炭末期への適用例を示したが、本発明の上吹きランスは、主流の流速制御を必要とする上吹き精錬のいずれに適用しても好適である。
1:上吹きランス
2:冷却水循環路
3:吹錬用主孔
31:吹錬用主孔出口
4:制御用ガス供給路
41:開口部
5:よどみ領域
6:絞り部(スロート)
7:制御用ガスの噴出方向

Claims (5)

  1. 反応容器に収容された溶鉄に酸素含有ガスを吹き付けるための上吹きランスであって、
    ストレート形状を有し、前記上吹きランスの外殻を貫通して、前記酸素含有ガスを噴射させる、1個以上の吹錬用主孔3と、
    該吹錬用主孔3の軸心に向けて制御用ガスを噴出させるために前記吹錬用主孔3の内壁面に配置された開口部41を有する制御用ガス供給路4と、
    前記吹錬用主孔3の入口から前記酸素含有ガスを供給するメイン酸素供給手段と、
    前記制御用ガス供給路4に前記制御用ガスを供給する制御用ガス供給手段とを有し、
    前記制御用ガス供給路4の前記開口部41近傍に絞り部6を有することを特徴とする上吹きランス。
  2. 前記開口部41が前記吹錬用主孔3の内壁面の周方向に略等間隔に2個以上配置されることを特徴とする請求項1に記載の上吹きランス。
  3. 前記開口部41の円周方向長さの合計が前記吹錬用主孔3の内壁面の全周の25%以上100%以下を占める1個以上のスリット形状を有することを特徴とする請求項1に記載の上吹きランス。
  4. 前記制御用ガス供給路4の前記開口部41の開口断面積Asと前記絞り部6の断面積Amの比が1.02≦As/Am≦1.40であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の上吹きランス。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の上吹きランスを用いた溶鉄の精錬方法であって、
    前記制御用ガス供給路4の前記開口部41から供給されるガス流量Qs(Nm/min)と、前記吹錬用主孔3の入口から供給されるガス流量Qm(Nm/min)および前記制御用ガス供給路4の前記開口部41から供給されるガス流量Qsの合計流量との比が、
    0.02≦Qs/(Qm+Qs)≦0.40
    であることを特徴とする溶鉄の精錬方法。
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