JP6048379B2 - 溶融金属の精錬方法及び精錬設備 - Google Patents

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本発明は、上吹き転炉、上底吹き転炉などの上吹きランスが備えられた精錬容器に収容される溶銑などの溶融金属の浴面に上吹きランスから酸素ガスなどの精錬用気体を吹き付けて溶融金属を精錬する精錬方法並びに精錬設備に関し、詳しくは、精錬用気体の吹き付けに起因する溶融金属の飛散(「スピッティング」という)を抑える精錬方法並びに精錬設備に関する。
溶銑を収容する転炉(精錬容器)に、上吹きランスを挿入して、該上吹きランスの先端面に形成される噴射孔から精錬用酸素ガスを上吹きすることで、また、必要に応じて炉底からも精錬用酸素ガスを底吹きすることで、主として脱炭を目的とした精錬(以下、「転炉脱炭精錬」という)が行われている。この転炉脱炭精錬では、溶銑予備処理の発達により、転炉において脱燐反応を行う必要性が少なくなっており、転炉脱炭精錬におけるスラグの生成量が急激に低減している。これにより、転炉に収容されている溶銑上にはスラグ層が形成されにくくなっており、精錬用気体として使用される酸素ガスを溶銑に接触させるために、スラグ層を貫通させるような高圧で酸素ガスを噴射する必要性がなくなっている。
溶銑を覆うスラグ層は、従来、噴射された酸素ガスの噴流が溶銑に衝突することによって生じる溶銑の飛散(以下、「スピッティング」という)を抑えていたが、上述の通り、溶銑予備処理の発達に伴ってスラグ層が形成されにくくなったことから、近年、スピッティングが顕著に生じるようになった。スピッティングによって、転炉々口、上吹きランス、更には転炉排ガス設備への地金付きが増加し、転炉脱炭精錬の操業に悪影響が生じるとともに、スピッティングに伴う鉄ダストの発生も増加し、発生する鉄ダストにより、転炉脱炭精錬における溶鋼の歩留まりも低下している。
このスピッティングを抑制するために、近年、噴射孔を上吹きランスの先端面に複数形成し、一つの噴射孔あたりの精錬用酸素ガスの噴出流量を下げ、溶銑浴面に対する衝突エネルギーを分散させることが行われている。但し、複数の噴射孔が先端面に形成された上吹きランスでは、噴射孔の個数が多くなり過ぎると、噴射孔からの精錬用気体の噴流同士が干渉し合い、合体してしまう可能性がある。合体した噴流のエネルギーは増加し、噴流が合体することによってスピッティングは増加する。
そこで、噴流の合体によるスピッティングの発生を防止するために、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、溶銑湯面に形成される各噴射孔に対応するキャビティー(「火点」ともいう)の重なりを、上吹きランスの寸法や操業条件に基づいて幾何学的な計算によって求め、重なり率が或る閾値以下となるように、各噴射孔の傾角(ランス軸心に対する傾斜角度)を定めることが提案されている。また、特許文献1は、ランス先端中央にスピッティングを払い落とすことを目的とした、キャビティ形状に影響を及ぼさない程度の小口径噴射孔を設けることも提案している。
特許文献2には、中心噴射孔と、その周囲の6個の周囲噴射孔とを有する7孔ランスを用い、火点面積のオーバーラップ率を下げ且つソフトブロー化を目的として、火点のオーバーラップ率を総火点面積の30%以下とし、火点の総面積が火点の最外周を囲む円の面積の75%以上とする精錬方法が提案されている。
特開昭60−165313号公報 特開2002−285224号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1では、火点の重なり率を計算する際、酸素ガス噴流が直進することを前提として火点面積を算出しているが、本発明者らは、各噴流は互いに干渉して寄り合うように偏向することを確認している。従って、特許文献1で計算された火点面積の重なり率は、実際よりも小さく見積もられるので、重なり率が小さくなるように設計した上吹きランスにおいても、実際には、重なり率が想定よりも大きくなってしまい、スピッティングを抑えにくくなるという問題がある。
特許文献2では、中心噴射孔及び周囲噴射孔のスロート径や出口径は可変としているが、火点の総面積が火点の最外周を囲む円の面積の75%以上となるようにすることで、必然的に中心噴射孔の径が周囲噴射孔の径と同じか、或いはそれ以上となるので、周囲噴射孔からの噴流と中心噴射孔からの噴流とが接近し、噴流が相互に干渉して、ひいては合体する可能性があり、スピッティングの増加に繋がるという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑などの溶融金属を収容する精錬容器の上方に上吹きランスを設置し、該上吹きランスの先端面に設けた複数の周囲噴射孔から、溶融金属の浴面に酸素ガスなどの精錬用気体を吹き付けて、溶融金属を精錬するにあたり、各周囲噴射孔から噴射される噴流の合体を確実に抑制することが可能であり、これによってスピッティングを抑えることを可能とする精錬方法並びに精錬設備を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]ランス先端面のランス軸心を中心とし、ピッチ円の直径をPとする同一円周上に、精錬用気体を噴射するための複数の周囲噴射孔が設置された上吹きランスを、隣り合う前記周囲噴射孔からの噴流の間に生じる隙間面積Sが前記ピッチ円の直径P及びランス高さHに対して下記の(1)式の関係を満足するように精錬容器内に収容された溶融金属の浴面上に設置し、前記周囲噴射孔から精錬用気体を前記溶融金属の浴面に吹き付けて前記溶融金属を精錬することを特徴とする、溶融金属の精錬方法。
S/(P×H)>0.3・・・(1)
但し、(1)式において、Sは、周囲噴射孔から噴射される噴流の形状を周囲噴射孔の形状に基づく幾何学的な円錐台と近似したときの隣り合う噴流の間に生じる隙間面積(m2)、Pは、周囲噴射孔のピッチ円の直径(m)、Hは、ランス高さであって上吹きランスの先端面から静止時の溶融金属浴面までの距離(m)である。
[2]溶融金属を収容した精錬容器と、ランス先端面のランス軸心を中心とし、ピッチ円の直径をPとする同一円周上に、精錬用気体を噴射するための複数の周囲噴射孔が設置された上吹きランスであって、隣り合う前記周囲噴射孔からの噴流の間に生じる隙間面積Sが前記ピッチ円の直径P及びランス高さHに対して下記の(1)式の関係を満足するように精錬容器内に収容された溶融金属の浴面上に設置された上吹きランスと、を有することを特徴とする、溶融金属の精錬設備。
S/(P×H)>0.3・・・(1)
但し、(1)式において、Sは、周囲噴射孔から噴射される噴流の形状を周囲噴射孔の形状に基づく幾何学的な円錐台と近似したときの隣り合う噴流の間に生じる隙間面積(m2)、Pは、周囲噴射孔のピッチ円の直径(m)、Hは、ランス高さであって上吹きランスの先端面から静止時の溶融金属浴面までの距離(m)である。
本発明によれば、ランス中央領域への雰囲気ガスの流入口となる隣り合う噴流間の隙間面積Sと、ピッチ円の直径Pとランス高さHとの積(P×H)との比を0.3超えの値とするので、ランス中央領域への雰囲気ガスの流入口となる隙間面積Sが確保され、つまり、ランス中央領域への雰囲気ガスの流入量が確保され、ランス中央領域での負圧が軽減されて周囲噴射孔からの噴流のランス中央への偏向が抑制されると同時に、噴流の干渉・合体に影響するランス高さが過剰に高くなることはなく、これらにより、円周方向に隣り合う周囲噴射孔からの噴流の干渉・合体を抑えることができ、その結果、周囲噴射孔の多孔化によるソフトブロー化を達成すると同時に、噴流の干渉・合体に起因するスピッティングを抑制することが達成される。
ランス軸心を中心とする同一円周上に複数の周囲噴射孔が設置された上吹きランスから噴射される噴流の軌跡を模式的に示す図である。 周囲噴射孔から噴射される噴流の形状を模式的に示す図である。 上吹きランスの先端面の概略平面図である。 S/(P×H)と、周囲噴射孔から噴射される酸素ガス噴流の噴流直進度γとの関係について、数値流体解析によって検討した結果を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
図1に、ランス軸心を中心とする同一円周上に複数の周囲噴射孔が設置された上吹きランスから噴射される酸素ガスなどの精錬用気体の噴流の軌跡を模式的に示す。この上吹きランスは、ランス軸心に設置される中心噴射孔は備えていない。
図1において、符号Oは、上吹きランスの先端面中心位置、xは、水平方向、zは、鉛直方向を示しており、Pは、複数の周囲噴射孔のピッチ円の直径、αは、周囲噴射孔の傾角、Hは、ランス高さである。ここで、ピッチ円とは、同一円周上に設置された複数の周囲噴射孔の中心位置を結ぶ、ランス軸心を中心とする円であり、傾角とは、周囲噴射孔の噴出方向とランス軸心方向との角度であり、ランス高さとは、上吹きランス先端位置と精錬容器内の溶融金属静止面との距離である。傾角がゼロ度とは、周囲噴射孔の噴出方向とランス軸心方向とが一致することであり、精錬用気体は鉛直方向に吹き込まれることを示す。
周囲噴射孔から噴射される精錬用気体の噴流は、周囲の雰囲気ガスを自身の流れに取り込むことで成長し拡散する。即ち、周囲を噴流で囲まれたランス中央領域(図1のO−z軸を中心とする空間)では、雰囲気ガスが周囲の噴流に吸い寄せられて下方へと流れ、噴流の発達に用いられる。これにより、ランス中央領域は負圧となる。周囲の噴流は、この負圧領域によって、図1に示すように、ランス中央へと湾曲し、最終的に隣り合う噴流同士が干渉・合体を引き起こす。
本発明者らは、この噴流の干渉・合体を防止することを検討した。その結果、複数の周囲噴射孔からの噴流が相互に干渉して合体する現象は、隣り合う噴流間の隙間面積に影響することを見出した。
この現象を図2で詳しく説明する。図2において、Wは、円周方向に隣り合う周囲噴射孔の周縁間の最短距離、Dは、周囲噴射孔の出口径、Lは、ランス先端面から隣り合う噴流同士が最初に接触する位置までの距離、βは、噴流の拡がり角度(周囲噴射孔の拡がり角度)、P、α及びHは図1と同一である。図2は、周囲噴射孔から噴射される噴流の形状を模式的に示す図であり、図2(A)は、周囲噴射孔から噴射される噴流が合体する様子を模式的に示す図、図2(B)は、噴流の傾斜角度及び拡がり角度を模式的に示す図である。尚、ピッチ円の直径P、円周方向に隣り合う周囲噴射孔の周縁間の最短距離W、周囲噴射孔の出口径Dを明示するために、図3に、上吹きランスの先端面の概略平面図を示す。図3における符号1はランス先端面、2は周囲噴射孔であり、図3は4つの周囲噴射孔を有する上吹きランスの例である。
図2に示すように、それぞれの周囲噴射孔からの噴流の形状は、周囲噴射孔の出口径Dを上面とし、噴流の拡がり角度βを傾きとした幾何学的な円錐台として近似することができ、従って、隣り合う噴流同士の隙間面積は、隣り合う周囲噴射孔の周縁間の最短距離Wを底辺とし、ランス先端面から隣り合う噴流同士が最初に接触する位置までの距離Lを頂点とする三角形で近似することができる。ここでは、この三角形の面積をSとする。隙間面積Sは、前記最短距離W及び前記距離Lにより、下記の(2)式で算出される。
S=(W×L)/2・・・(2)
この隣り合う噴流同士の隙間は、ランス中央領域への雰囲気ガスの流入口となり、ランス中央部の負圧を軽減させる役割を果たしている。従って、隣り合う周囲噴射孔噴流の間に生じる隙間面積Sが大きいほど、噴流同士の干渉及び合体が緩和され、スピッティングが低減される。
つまり、酸素ガス噴流が相互に干渉して合体する現象は、隙間面積Sに強く相関しており、隙間面積Sが大きいほど、噴流同士の干渉及び合体が緩和され、スピッティングを抑えることができることを見出した。
また、噴流同士の干渉及び合体は、ランス高さHの影響も受ける。即ち、ランス高さHが大きいと、溶融金属に衝突するまでの噴流長さが増大するので噴流同士の干渉が促進される。つまり、ランス高さHが大きいと、複数の噴流が完全に合体した後に溶融金属に衝突する可能性があり、スピッティング増加につながる虞がある。
一方、ランス高さが小さいと、噴流同士の干渉が進行する前に噴流が溶融金属に衝突するのでスピッティングが低減できる。但し、ランス高さを小さくしすぎると、1つの周囲噴射孔あたりの噴流の動圧が増加し、ソフトブローの効果が低下するので、ランス高さは1600mm以上とすることが望ましい。
以上の事象から、噴流同士の干渉及び合体は、噴流間の隙間面積Sとランス高さHとに影響することがわかったので、これらの比S/Hと噴流同士の干渉・合体との関係を検討した。その際に、上吹きランスの形状の代表長さとして、上記のピッチ円の直径Pを用いて無次元化し、S/(P×H)と噴流同士の干渉・合体との関係を、数値流体解析によって検討した。
その結果、下記の(1)式を満足するように、上吹きランスを設置すれば、周囲噴射孔からの噴流同士の干渉・合体が緩和され、スピッティングが低減できることがわかった。
S/(P×H)>0.3・・・(1)
但し、(1)式において、Sは、周囲噴射孔から噴射される噴流の形状を周囲噴射孔の形状に基づく幾何学的な円錐台と近似したときの隣り合う噴流の間に生じる隙間面積(m2)、Pは、周囲噴射孔のピッチ円の直径(m)、Hは、ランス高さ(m)である。
本発明は、上記検討結果に基づくものであり、本発明に係る溶融金属の精錬方法は、ランス先端面のランス軸心を中心とし、ピッチ円の直径をPとする同一円周上に、精錬用気体を噴射するための複数の周囲噴射孔が設置された上吹きランスを、隣り合う前記周囲噴射孔からの噴流の間に生じる隙間面積Sが前記ピッチ円の直径P及びランス高さHに対して上記の(1)式の関係を満足するように精錬容器内に収容された溶融金属の浴面上に設置し、前記周囲噴射孔から精錬用気体を前記溶融金属の浴面に吹き付けて前記溶融金属を精錬することを必須とする。
上吹きランスに設置される周囲噴射孔の孔数及び形状が決まれば、噴流間の隙間面積Sが算出できるので、上記の(1)式を満足する範囲でランス高さHを設定することで、本発明を実施することができる。一方、ランス高さHを或る所定値に確保したい場合には、このランス高さHに対して上記の(1)式を満足する範囲で周囲噴射孔を設計・配置し、この上吹きランスを用いることで、本発明を実施することができる。
本発明において、精錬容器としては、転炉や取鍋を使用し、精錬用気体としては、酸素ガス、酸素ガスと希ガス(アルゴンガスなど)との混合ガス、空気、酸素富化空気などを使用し、溶融金属としては、溶銑や5質量%以上のクロムを含有するクロム含有溶銑、或いは、炭素鋼の溶鋼やステンレス鋼の溶鋼などを使用する。施す精錬としては、主として脱珪または脱燐を目的とする溶銑予備処理、或いは、主として脱炭を目的とする所謂脱炭精錬などである。
尚、周囲噴射孔の孔数が多すぎると、隣り合う周囲噴射孔からの噴流同士の干渉・合体が促進されるので、周囲噴射孔は3〜8個とすることが好ましい。また、操業の初期や末期などでは、噴流による動圧を理論値に近い値まで増大させる必要の生じることがあるので、周囲噴射孔は、絞り部、スロート(最も狭い位置)、スカート部(拡がり部)からなるラバールノズルであることが望ましい。また更に、ランス先端の中央部には、スピッティングを払い落とすことを目的とした、火点の形状に影響を及ぼさない程度の小口径中心噴射孔を設けることが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、隣り合う噴流間の隙間面積Sと、ピッチ円の直径Pとランス高さHとの積(P×H)との比を0.3超えの値とするので、ランス中央領域への雰囲気ガスの流入量が確保され、ランス中央領域での負圧が軽減されて周囲噴射孔からの噴流のランス中央への偏向が抑制されると同時に、噴流の干渉・合体に影響するランス高さが過剰に高くなることはなく、これらにより、円周方向に隣り合う周囲噴射孔からの噴流の干渉・合体を抑えることができ、その結果、周囲噴射孔の多孔化によるソフトブロー化を達成すると同時に、噴流の干渉・合体に起因するスピッティングを抑制することが達成される。
周囲噴射孔の数が3〜12個、周囲噴射孔の傾角αが0〜30度、周囲噴射孔のノズル出口径Dが48〜99mm、ピッチ円の直径Pが214〜291mmの周囲噴射孔が設置された上吹きランスを対象とし、精錬用気体として酸素ガスを用い、転炉内の溶銑に脱炭精錬を施す条件で、S/(P×H)と、周囲噴射孔から噴射される酸素ガス噴流の干渉・合体との関係を、数値流体解析によって検討した。酸素ガスの供給流量は、65000Nm3/hr、50000Nm3/hr、40000Nm3/hrの3段階とし、ランス高さHは、1.6m、2.0m、2.5mの3段階とした。尚、過去の研究から、転炉内における上吹きランスからの噴流の挙動は数値流体解析により正確に表現できることがわかっているので、噴流の合体程度を数値解析結果から得られる噴流挙動によって判別した。
酸素ガス噴流の合体程度は、図1に示すように、噴流軌跡の直進度として定量的に評価した。即ち、上吹きランスから0.8×ランス高さHだけ離れた下方の水平面において、ランス中心を通る軸心方向の直線から、周囲噴射孔から傾角αの向きに延長した直線までの距離を距離xlinearとし、また、ランス中心を通る軸心方向の直線から、数値流体解析で算出した噴流の中心軸までの距離を距離xjetとし、両者の比xjet/xlinearを噴流直進度γとして算出した。噴流直進度γが1.0に近いほど、酸素ガス噴流が直進すること、つまり、噴流の合体が抑制されることを示す。噴流の軌跡を算出する数値流体解析は、ANSYS FLUENTを用いた。
ここで、噴流間の隙間面積Sは、(2)式を用いて算出した。尚、(2)式での隣り合う周囲噴射孔の周縁間の最短距離W、及び、ランス先端面から隣り合う噴流同士が最初に接触する位置までの距離Lは、下記の(3)式及び(4)式を用いて算出した。
Figure 0006048379
但し、(3)式及び(4)式において、nは周囲噴射孔の孔数、Pは周囲噴射孔のピッチ円の直径(m)、Dは周囲噴射孔の出口径(m)、αは周囲噴射孔の傾角(度)、βは噴流の拡がり角度(度)、πは円周率である。
図4に、S/(P×H)と、周囲噴射孔から噴射される酸素ガス噴流の噴流直進度γとの関係について、数値流体解析によって検討した結果を示す。図4に示すように、S/(P×H)の値が0.3を超えるように制御することで、周囲噴射孔からの噴流同士の合体を抑制できることがわかった。
また、本発明者らは、実機転炉においても、S/(P×H)が0.3を超えるように、上吹きランスを設置することで、スピッティングが低減されることを確認している。
1 ランス先端面
2 周囲噴射孔

Claims (2)

  1. ランス先端面のランス軸心を中心とし、ピッチ円の直径をPとする同一円周上に、精錬用気体を噴射するための複数の周囲噴射孔が設置された上吹きランスを、隣り合う前記周囲噴射孔からの噴流の間に生じる隙間面積Sが前記ピッチ円の直径P及びランス高さHに対して下記の(1)式の関係を満足するように精錬容器内に収容された溶融金属の浴面上に設置し、前記周囲噴射孔から精錬用気体を前記溶融金属の浴面に吹き付けて前記溶融金属を精錬することを特徴とする、溶融金属の精錬方法。
    S/(P×H)>0.3・・・(1)
    但し、(1)式において、Sは、周囲噴射孔から噴射される噴流の形状を、周囲噴射孔の出口径を上面とし、噴流の拡がり角度を傾きとした円錐台と近似したときの隣り合う噴流の間に生じる隙間面積(m2であって、隣り合う周囲噴射孔の周縁間の最短距離を底辺とし、ランス先端面から隣り合う噴流同士が最初に接触する位置までの距離を頂点とする三角形で近似される面積、Pは、周囲噴射孔のピッチ円の直径(m)、Hは、ランス高さであって上吹きランスの先端面から静止時の溶融金属浴面までの距離(m)である。
  2. 溶融金属を収容した精錬容器と、
    ランス先端面のランス軸心を中心とし、ピッチ円の直径をPとする同一円周上に、精錬用気体を噴射するための複数の周囲噴射孔が設置された上吹きランスであって、隣り合う前記周囲噴射孔からの噴流の間に生じる隙間面積Sが前記ピッチ円の直径P及びランス高さHに対して下記の(1)式の関係を満足するように精錬容器内に収容された溶融金属の浴面上に設置された上吹きランスと、
    を有することを特徴とする、溶融金属の精錬設備。
    S/(P×H)>0.3・・・(1)
    但し、(1)式において、Sは、周囲噴射孔から噴射される噴流の形状を、周囲噴射孔の出口径を上面とし、噴流の拡がり角度を傾きとした円錐台と近似したときの隣り合う噴流の間に生じる隙間面積(m2であって、隣り合う周囲噴射孔の周縁間の最短距離を底辺とし、ランス先端面から隣り合う噴流同士が最初に接触する位置までの距離を頂点とする三角形で近似される面積、Pは、周囲噴射孔のピッチ円の直径(m)、Hは、ランス高さであって上吹きランスの先端面から静止時の溶融金属浴面までの距離(m)である。
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