JP6111838B2 - 転炉吹錬方法 - Google Patents

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本発明は、上吹きランスから溶銑浴面に酸素ガスを吹き付けて溶銑を脱炭精錬する転炉吹錬方法に関し、詳しくは吹錬中のダスト発生量を低減することのできる転炉吹錬方法に関する。
溶銑を脱炭精錬して溶銑から溶鋼を溶製する転炉では、上吹きランスから高速噴流の酸素ガス(工業用純酸素)を溶銑表面に吹き付けて脱炭精錬している。酸素ガスが吹き付けられた溶銑浴面には、衝突する酸素ガスの圧力によって凹み部(「火点」或いは「キャビティー」と呼ぶ)が形成される。この火点では、高速噴流の酸素ガスが衝突することから、溶銑表面から溶銑及び溶融スラグの液滴が飛散する現象が発生し、飛散した溶銑及びスラグの一部は、転炉炉口や炉内側壁に地金として付着する。この溶銑表面から溶銑及び溶融スラグの液滴が飛散する現象を「スピッティング」と呼んでいる。スピッティングによって飛散した溶銑及び溶融スラグの一部は排ガスとともに炉外に流出し、ダストとして回収される。
スピッティングが激しくなると、ダストの発生量が増加して鉄歩留りが悪化したり、転炉炉口での付着地金が増大して溶銑や冷鉄源の炉内への装入を阻害したりするなど操業に悪影響を及ぼすので、スピッティングを抑制する手段が多数提案されている。
例えば、上吹きランスの先端に配置される複数のノズルによって形成される火点の重なりを少なくする方法が提案されている(特許文献1を参照)。また、火点の重なりをより効果的に少なくさせるために、傾角(ランスの長手方向とノズルの噴射方向とでなす角度)の異なる2種類のノズルを交互に配置した上吹きランスを使用する方法も提案されている(特許文献2を参照)。
また、ノズルを多孔化することによって酸素ガス噴流のエネルギーを低下させ、溶銑浴面でのスプラッシュの発生を制御する方法が提案されている(特許文献3、4)。また更に、脱炭精錬の初期から中期の脱炭反応最盛期には、上吹きランスのラバールノズルから噴射される酸素ガス噴流を過膨張または不足膨張させることで酸素ガス噴流のエネルギーを低下させ、これによってスピッティングを抑制し、吹錬中期から末期の脱炭反応が低下する時期には、酸素ガス供給量を減少させ、且つこの酸素ガス噴流を最適膨張させて脱炭反応を促進させる方法も提案されている(特許文献5〜8を参照)。
特開昭60−165313号公報 特開2009−52090号公報 特開平10−102122号公報 特開平9−256022号公報 特開平9−209021号公報 特開2002−212623号公報 特開2002−212624号公報 特開2003−105425号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1に提案される火点の重なりを小さくする方法では、傾角を広げる必要があることから火点面積が大きくなり、スラグ中にCOガスが溜まることによってスラグが転炉から噴出してしまう現象(「スロッピング」と呼ぶ)が発生したり、鉄浴の裸面が広くなってヒュームダストが増加したりするという問題点がある。
また、特許文献2に提案される方法では、ノズルの傾角が異なるために、それぞれの酸素ガス噴流の線速度に差が生じ、線速度の遅いノズル孔内にスプラッシュによって飛散した粒鉄が入り込み、ノズル孔詰りやランス焼損を招くといった問題点がある。
また、特許文献3、4に提案される方法では、多孔化することによって火点面積が増大し、これによってヒュームダストが増加するという問題点がある。
また、特許文献5〜8に提案される噴流の膨張状態を不適正化する技術は、特に、高炭素域での酸素ガス供給量の多い時点で、適正膨張の範囲から外れてしまうので、最適な送酸パターンを決定することができないという問題点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転炉内の溶銑浴面に上吹きランスから酸素ガスを吹き付けて溶銑を脱炭精錬するにあたり、スピッティング及びスロッピングの発生を抑制することができ、その結果、ダストの発生量を大幅に低減することのできる転炉吹錬方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]上吹きランス先端に傾角をθとして複数のラバールノズルが同心円上に等間隔で配置された上吹きランスを用い、該上吹きランスから転炉内の溶銑浴面に酸素ガスを吹き付けて溶銑を脱炭精錬する転炉吹錬方法において、上吹きランスから斜め下向きに噴射される酸素ガス噴流によって溶銑浴面に形成される火点の凹みの体積を下記の(1)式で定義したとき、(1)式で定義される火点の凹みの体積が0.5〜3.0m3になるように予定される吹錬条件に基づいて設計された上吹きランスを用い、且つ、(1)式で定義される火点の凹みの体積が0.5〜3.0m3になるように酸素ガス供給量及びランス高さを調整して酸素ガスを前記上吹きランスから吹き付けることを特徴とする転炉吹錬方法。
Figure 0006111838
但し、(1)式において、Vは火点の凹みの体積(m3)、nはラバールノズルの孔数(−)、Lはラバールノズル1孔あたりの火点深さ(m)、Aはラバールノズル1孔あたりの火点面積(m2)であり、ラバールノズル1孔あたりの火点深さLは、下記の(2)式によって定義され、ラバールノズル1孔あたりの火点面積Aは、下記の(3)式〜(6)式によって定義される。
Figure 0006111838
但し、(2)式〜(6)式において、FO2は上吹きランスからの酸素ガス供給量(Nm3/hr)、nはラバールノズルの孔数(−)、dtはラバールノズルのスロート径(mm)、Hは上吹きランスのランス高さ(m)、πは円周率、Dは火点の直径(m)、γは火点の干渉率(−)、φは酸素ガス噴流の自由広がり角度(deg)、deはラバールノズルの出口径(m)、Pは隣り合う火点の中心間距離(m)、θはラバールノズルの傾角(deg)である。
[2]前記ラバールノズルは5個以上配置され、且つ、前記傾角θは14°以下であることを特徴とする、上記[1]に記載の転炉吹錬方法。
[3]前記ラバールノズルのスロート径dtが50mm以上であることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の転炉吹錬方法。
本発明によれば、上吹きランスからの酸素ガス噴流によって溶銑浴面に形成される火点の凹みの体積を0.5〜3.0m3の範囲に制御するので、スピッティングの発生とスロッピングの発生とを同時に抑制することが実現され、酸素ガス供給量を増加した場合であっても、スピッティングによるスプラッシュに起因するダスト及び火点面積の増大に伴うヒュームダストの発生量を削減することができ、鉄歩留りの向上や転炉炉口の付着地金の除去作業の低減化などによって、転炉の生産性を従来に比較して格段に向上させることが達成される。
上吹きランスから転炉内の溶銑浴面に向けて酸素ガスを噴射し、溶銑に脱炭精錬を施している状態を示す概略図である。 火点の凹みの体積とダスト発生速度との関係の調査結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、ランス高さをHとして、上吹きランス1から転炉内の溶銑浴面に向けて酸素ガスを噴射し、溶銑11に脱炭精錬を施している状態を示す概略図である。ここで、ランス高さHとは、上吹きランス1の下端から、転炉内の静止した状態の溶銑11の平均浴面位置までの距離である。
図1に示すように、上吹きランス1は、円筒状のランス本体2と、このランス本体2の下端に溶接によって接続されたランスチップ3とで構成されており、ランス本体2は、外管4、中管5、内管6からなる同心円形状の3種の鋼管、つまり三重管で構成され、銅製のランスチップ3には、鉛直斜め下向き方向を向いた複数個のラバールノズル7が設置されている。ラバールノズル7は、上吹きランス1の長手方向(軸心方向)とラバールノズル7の噴射方向とでなす角度をθとし(角度θを「傾角」という)、ランスチップ3の底面中心位置を中心として同心円上に等間隔で複数個配置されている。
外管4と中管5との間隙、及び、中管5と内管6との間隙は、上吹きランス1を冷却するための冷却水の流路となっており、上吹きランス1の上部に設けられた給水継手(図示せず)から供給された冷却水は中管5と内管6との間隙を通ってランスチップ3の部位まで至り、ランスチップ3の部位で反転して外管4と中管5との間隙を通って上吹きランス1の上部に設けられた排水継手(図示せず)から排出される。給排水の経路を逆としても構わない。また、内管6の内部はラバールノズル7への酸素ガスの供給流路となっており、上吹きランス1の上部から内管6の内部に供給された酸素ガスは、内管6を通り、ラバールノズル7から転炉(図示せず)内に噴出されるように構成されている。
ラバールノズル7は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成され、縮小部分は絞り部8、拡大部分はスカート部10、絞り部8からスカート部10に遷移する部位である、最も狭くなった部位はスロート9と呼ばれており、内管6の内部を通ってきた酸素ガスは、絞り部8、スロート9、スカート部10を順に通って、超音速または亜音速のジェットとして転炉内に供給される。スロート9の内径をスロート径dtと呼び、スカート部10の先端出口内径を出口径deと呼んでいる。スカート部10の広がり角度は通常10°以下である。尚、図1に示すラバールノズル7では絞り部8及びスカート部10が円錐体であるが、ラバールノズル7としては絞り部8及びスカート部10は円錐体である必要はなく、内径が曲線的に変化する曲面で構成してもよく、また、絞り部8はスロート9と同一の内径であるストレート状の円筒形としても構わない。
各々のラバールノズル7から斜め下向き方向に噴射された酸素ガス噴流(「酸素ジェット」とも呼ぶ)は、自由広がり角度をφとする角度で広がり、転炉(図示せず)に収容された溶銑11に衝突して溶銑浴面に火点12が形成される。火点12は、酸素ガス噴流の衝突エネルギーにより、周囲の溶銑11の浴面よりも凹んだ形状となる。自由広がり角度φは、スカート部10の広がり角度と同等である。
尚、火点12は、傾角θを大きくする或いはラバールノズル7の設置数を制限するなどして、隣り合うラバールノズル7からの酸素ガス噴流が溶銑浴面に到達するまでに重ならないようにすれば、ほぼ円形の形状となるが、酸素ガス噴流が溶銑浴面に到達するまでに重なり合った場合には、隣り合う円が重なり合った形状の火点となる。本発明では、この火点12の重なりの程度を干渉率と定義する。干渉率は0〜1.0の範囲であり、酸素ガス噴流が重ならない場合が干渉率=0であり、全て干渉して1つの円形の火点となる場合が干渉率=1.0である。この干渉率は、ランス高さH、傾角θ、自由広がり角度φ、出口径de、ラバールノズル7の設置数に基づいて酸素ガス噴流の軌跡を幾何学的に計算で求め、求めた酸素ガス噴流の軌跡の重なりから求めることができる。
火点12において、溶銑中の炭素と酸素ガスとの反応(C+O→CO)が起こり、脱炭反応が進行する。溶銑中に存在する燐も酸化され、脱燐反応(5P+2O→P25)も進行する。これらは発熱反応であり、従って、火点12の温度は1800℃以上の高温となる。
本発明者らは、このようにして行う溶銑の脱炭精錬において、ダスト発生量を低減することを検討した。この検討において、ダスト発生の主原因であるスピッティングは、酸素ガス噴流の溶銑浴面での運動エネルギーによって生じることから、同様に、酸素ガス噴流の溶銑浴面での運動エネルギーによって生じる火点12の凹みの体積は、ダスト発生量に何らかの影響を及ぼしているとの考えに至った。
そこで、種々の上吹きランスを試作し、操業条件を変更して、火点12の凹みの体積とダスト発生速度との関係を調査する試験を行った。調査結果を図2に示す。図2に示すように、火点12の凹みの体積が小さいほど、ダスト発生が少なくなることが分った。火点12の凹みの体積が3.0m3を超えると、ダストの発生は増加し、従来と大差ないことも分った。また、火点12の凹みの体積が0.5m3未満の場合には、酸素ガス噴流の流速が小さくなり過ぎて、ラバールノズル7の内部にスプラッシュで飛散した粒鉄が入り込み、ラバールノズル7の詰りや上吹きランス1の焼損を招くことが起こる虞があることも分った。これらの結果から、ダスト発生量を少なくするためには、火点12の凹みの体積を0.5〜3.0m3の範囲内に限定する必要のあることを確認した。
尚、図2におけるダスト発生速度は、転炉で発生する排ガスを回収するための排ガス回収設備の集塵機で回収されたダストを、溶鋼トンあたり及び単位吹錬時間あたりで求めたものであり、このダストには、スピッティングによるスプラッシュによって発生したダストと、火点12の面積拡大によって発生するヒュームダストとが含まれている。ヒュームダストが減少するということは火点12の面積が大きくならないことを意味しており、従って、本発明を適用することで、スピッティングの抑制とスロッピングの抑制の双方を抑制できることが分った。
従来、ラバールノズル7の傾角θが小さいと、酸素ガス噴流が溶銑浴面に強く衝突する状態、所謂ハードブローの状態となり、ダスト発生が多いと考えられており、従って、ダスト発生量低減のためには傾角θを大きくすることが行われていたが、本発明により、傾角θを小さくしても、火点12の凹みの体積を適正に管理すれば、ダスト発生は抑止できることが明らかになった。
本発明を適用するにあたり、火点12の凹みの体積は、以下に記すように幾何学的な手法に基づく計算によって求める。
各ラバールノズル7によって形成される火点12の凹みの体積は、各ラバールノズル1孔あたりの火点12の面積と各ラバールノズル1孔あたりの火点12の凹み深さLとの積で求められ、従って、全ての火点12の凹みの体積は、下記の(1)式で示すように、ラバールノズル7の孔数(=設置数)と、各ラバールノズル1孔あたりの凹みの体積との積で求められる。
Figure 0006111838
但し、(1)式において、Vは全ての火点の凹みの体積(m3)、nはラバールノズルの孔数(−)、Lはラバールノズル1孔あたりの火点深さ(m)、Aはラバールノズル1孔あたりの火点面積(m2)である。
ここで、ラバールノズル1孔あたりの火点深さLは、下記の(2)式に示すように、酸素ガス供給量、ラバールノズル7の孔数、ラバールノズル7のスロート径dt、及びランス高さHによって決定される。
Figure 0006111838
但し、(2)式において、FO2は上吹きランスからの酸素ガス供給量(Nm3/hr)、nはラバールノズルの孔数(−)、dtはラバールノズルのスロート径(mm)、Hは上吹きランスのランス高さ(m)である。
また、ラバールノズル1孔あたりの火点面積Aは、下記の(3)式に示すように、火点12の直径と火点12の干渉率との積で求められる。火点12の直径は下記の(4)式で定義され、干渉率は下記の(5)式で定義される。尚、(5)式におけるP(隣り合う火点12の中心間距離)は下記の(6)式で定義される。
Figure 0006111838
但し、(3)式〜(6)式において、πは円周率、Dは火点の直径(m)、γは火点の干渉率(−)、Hは上吹きランスのランス高さ(m)、θはラバールノズルの傾角(deg)、φは酸素ガス噴流の自由広がり角度(deg)、deはラバールノズルの出口径(m)、Pは隣り合う火点の中心間距離(m)、nはラバールノズルの孔数(−)である。
本発明は上記検討結果に基づきなされたものであり、本発明に係る転炉吹錬方法は、複数のラバールノズル7が同心円上に等間隔で配置された上吹きランス1を用い、該上吹きランス1から転炉内の溶銑浴面に酸素ガスを吹き付けて溶銑11を脱炭精錬する転炉吹錬方法において、上記の(1)式で定義される火点12の凹みの体積が0.5〜3.0m3になるように予定される吹錬条件(酸素ガス供給量FO2、ランス高さH)に基づいて、上吹きランス1に設置するラバールノズル7の孔数n、スロート径dt、出口径de、傾角θ、自由広がり角度φを定め、このようにして設計されたラバールノズル7を有する上吹きランス1を用い、且つ、(1)式で定義される火点12の凹みの体積が0.5〜3.0m3になるように酸素ガス供給量及びランス高さHを調整し、酸素ガスを上吹きランス1から吹き付ける。
この場合、上記の試験から、代表的な操業条件におけるラバールノズル7の形状として、ラバールノズル7の孔数nは5以上とし、傾角θは14°以下、スロート径dtは50mm以上であることが好ましいことが分った。これは、孔数nが4以下ではハードブローとなってダストの発生が増加する傾向であり、傾角θが大きくなるほど火点面積が増大してスロッピングが発生しやすくなり、スロート径dtが大きくなるほど浴面動圧が小さくなり、ソフトブローとなってダスト発生が減少する傾向となったことによる。
以上説明したように、本発明によれば、上吹きランス1からの酸素ガス噴流によって溶銑浴面に形成される全ての火点12の凹みの体積Vを0.5〜3.0m3に制御するので、スピッティングの発生とスロッピングの発生とを同時に抑制することが実現され、酸素ガス供給量を増加した場合であっても吹錬中のダストの発生量を削減することが実現される。
炉容量が240トンの上底吹き転炉を用い、上吹きランスから酸素ガスを供給し、底吹き羽口からArガスまたは窒素ガスを攪拌用ガスとして吹き込んで溶銑を脱炭精錬する際に、表1に示すランスA、B、Cの3種類の上吹きランスを使用する試験を行って、ダスト発生量を比較した。
Figure 0006111838
代表的な操業条件である、酸素ガス供給量が650Nm3/min、ランス高さが2.1mのときの火点の凹み体積は、ランスAでは1.77m3、ランスBでは2.53m3、ランスCでは3.34m3であった。
この3種類の上吹きランスを使用したときのダストの発生量を表2に示す。表2では、ランスA及びランスBを使用した試験を本発明例、ランスCを使用した試験を比較例と表示している。
Figure 0006111838
表2に示すように、ランスA及びランスBを使用した本発明例では、酸素ガス噴流によって形成される火点の凹み深さ及び火点面積が低減することで、火点の凹み体積が減少し、ダストの発生量を10kg/t以上低減させることが確認できた。
一方、孔数は同じだがスロート径dtを45mm、傾角θを20°としたランスCでは、火点の凹み体積が3.0m3を超え、ダスト発生量は23.70kg/tと従来並みであった。
1 上吹きランス
2 ランス本体
3 ランスチップ
4 外管
5 中管
6 内管
7 ラバールノズル
8 絞り部
9 スロート
10 スカート部
11 溶銑
12 火点
H ランス高さ
θ 傾角
φ 酸素ガス噴流の自由広がり角度

Claims (3)

  1. 上吹きランス先端に複数の同一形状のラバールノズルが全て同じ傾角θで同心円上に等間隔で配置された上吹きランスを用い、該上吹きランスから転炉内の溶銑浴面に酸素ガスを吹き付けて溶銑を脱炭精錬する転炉吹錬方法において、上吹きランスから斜め下向きに噴射される酸素ガス噴流によって溶銑浴面に形成される火点の凹みの体積を下記の(1)式を用いて求め、(1)式で求められる火点の凹みの体積が0.5〜3.0m3(但し、1.0〜2.0m3の範囲を除く)になるように予定される吹錬条件に基づいて設計された上吹きランスを用い、且つ、(1)式で求められる火点の凹みの体積が0.5〜3.0m3(但し、1.0〜2.0m3の範囲を除く)になるように予定された吹錬条件のうちの酸素ガス供給量及びランス高さ酸素ガスを前記上吹きランスから吹き付けることを特徴とする転炉吹錬方法。
    Figure 0006111838
    但し、(1)式において、Vは火点の凹みの体積(m3)、nはラバールノズルの孔数(−)、Lはラバールノズル1孔あたりの火点深さ(m)、Aはラバールノズル1孔あたりの火点面積(m2)であり、ラバールノズル1孔あたりの火点深さLは、下記の(2)式によって定義され、ラバールノズル1孔あたりの火点面積Aは、下記の(3)式〜(6)式によって定義される。
    Figure 0006111838
    但し、(2)式〜(6)式において、FO2は上吹きランスからの酸素ガス供給量(Nm3/hr)、nはラバールノズルの孔数(−)、dtはラバールノズルのスロート径(mm)、Hは上吹きランスのランス高さ(m)、πは円周率、Dは火点の直径(m)、γは火点の干渉率(−)、φは酸素ガス噴流の自由広がり角度(deg)、deはラバールノズルの出口径(m)、Pは隣り合う火点の中心間距離(m)、θはラバールノズルの傾角(deg)である。
  2. 前記ラバールノズルは5個以上配置され、且つ、前記傾角θは14°以下であることを特徴とする、請求項1に記載の転炉吹錬方法。
  3. 前記ラバールノズルのスロート径dtが50mm以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の転炉吹錬方法。
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