JP5884197B2 - 転炉の精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、上吹きランスから転炉内の溶鉄表面に酸化性ガスを吹き付けて鋼を脱炭精錬する転炉の精錬方法に関し、具体的には、脱炭酸素効率を高く維持した上で、ダスト発生量を低く抑えることができる転炉の精錬方法に関するものである。
近年、転炉の生産性向上を図る観点から、単位時間当りの酸素ガス供給速度を高めた操業方法が拡大している。これに伴い、転炉の脱炭精錬において、ダストなどとして炉外に飛散する鉄分および炉壁や炉口付近に付着、堆積する鉄分が増加している。これらの鉄分は、最終的には回収されて、再度、鉄源として利用されることになるが、この量が多くなると、除去や回収に要するコストの増加や、転炉の稼働率の低下を招くことになるため、解決すべき重要な課題の一つとなっている。
転炉の脱炭精錬におけるダストの発生機構とその抑制方法に関しては、従来から多くの検討や研究がなされており、たとえば、ダストの発生機構については、大別して、バブルバースト(スピッティングまたは気泡の湯面離脱に伴う粒鉄の飛散等)によるとの説と、ヒューム(鉄原子の蒸発)によるとの説の2つがあり、吹錬の進行に伴って、各々の発生量、発生割合が変化することが知られている。
また、ダストの発生を抑制する手段についても、多くの提案がなされており、例えば、特許文献1には、上吹きランスノズルの絶対2次圧を適正膨張絶対2次圧の0.7〜2.5倍の範囲で維持しつつ、吹錬中の絶対2次圧の最大値が最小値の1.1倍以上となるように酸素ガス流量を変化させる方法が提案されている。
また、特許文献2には、上吹きランスの先端部に設けた噴射ノズルの少なくとも一つの噴射ノズルの出口径Dとスロート径Dとの比(D/D)を、ノズル出口部雰囲気圧Pとノズル適正膨張圧Pとの間で下記関係式;
/D=0.509×(P/P−5/14×[1−(P/P2/7−1/4
を満たす溶鉄精錬用ランスを、前記適正膨張圧Pを、ノズルの入側圧Pとの間で、
P/2.0≦P≦P/1.2 あるいは P/0.8≦P
の範囲として用いる溶鉄の精錬方法が提案されている。
これらの技術は、ラバールノズルから噴射される酸素ガスの状態を適正膨張範囲から外れた範囲とすることによって、酸素ガスの運動エネルギーを減少させ、それによって、バブルバーストに起因するダストの発生を抑制しようとするものである。しかし、この技術では、ダストの発生量は抑制できるものの、浴面での酸素ガス流速が減速してしまい超音速噴流を得るというラバールノズル本来の効果が減少するため、脱炭酸素効率の低下を招き、脱炭精錬時間が長くなるという問題がある。
また、特許文献3には、上底吹き機能を有する転炉を用いた脱炭精錬において、鉄浴面に上吹き酸素ガスとともにCaCO含有率が20mass%以下の生石灰粉を吹き付けることによってダスト発生量を低減する技術が提案されている。この技術は、CaCOの分解熱を利用して鉄浴表面、特に火点(酸素ガス噴流の浴面衝突位置)の温度を低下させることによって、ヒュームに起因するダストの発生を抑制する技術である。しかし、CaCOの分解熱(潜熱)分だけ別途熱源が必要となるため、製造コストを増加させるという問題がある。
特開平08−283820号公報 特開平09−209021号公報 特開2006−342370号公報
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化性ガスを上吹きして溶鉄の脱炭精錬を実施するにあたり、高い脱炭酸素効率を維持したままでダスト発生量を抑制することができる転炉の精錬方法を提案することにある。
なお、転炉の精錬では、脱炭反応の進行に伴って溶銑中の炭素が減少して最終的には溶鋼となるが、溶銑と溶鋼とを明確に区別することはできないので、本発明では、溶銑および溶鋼をまとめて「溶鉄」ということとする。
発明者らは、上記課題の解決に向けて、特許文献1および特許文献2に開示の技術をさらに発展させるべく、酸化性ガスの吹き付けに用いるランス先端に設けられたラバールノズルおよびストレートノズルに着目して鋭意検討を重ねた。その結果、高い脱炭酸素効率を維持したままでダスト発生量を抑制するには、転炉内の溶鉄に酸化性ガスを吹き付ける上吹きランスの先端に配設するラバールノズルまたはストレートノズルの孔数を適正化することが有効であること、さらに、上記ラバールノズルまたはストレートノズルの中心軸と上吹きランスの中心軸とのなす角度(以降、「傾角」ともいう)を適正化することがより有効であることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、ノズルの出口径D(mm)およびスロート径D(mm)が、D≧Dの関係にあり、最小酸化性ガス流量時におけるノズル出口部雰囲気圧力P (kPa)およびノズル適正膨張圧力P (kPa)との間で下記式;
(D /D =0.259×(P /P −5/7 ×[1−(P /P 2/7 −1/2
の関係を満たすラバールノズルまたはストレートノズルを先端に配設した上吹きランスから転炉内の溶鉄表面に酸化性ガスを吹き付けて溶鉄中の炭素を酸化除去するに当たり、
前記上吹きランスの中心軸に対するノズルの中心軸の傾角を19°としたラバールノズルまたはストレートノズルを、前記上吹きランスの中心軸の周囲に4孔配設してなる上吹きランスを用い、前記ラバールノズルまたはストレートノズルへの酸化性ガスの供給圧力P(kPa)を、精錬前半においてはノズル適正膨張圧力P (kPa)よりも大とする一方、溶鉄中の炭素濃度が所定値以下となった精錬後半においてはノズル適正膨張圧力P (kPa)と等しくなるように変化させると共に、ランス高さを高位側から低位側に変化させることを特徴とする転炉の精錬方法を提案する。
また、本発明の転炉の精錬方法は、ランス先端の中心部に粉体吹き込み用ノズルを配設した上吹きランスを用いることを特徴とする。
また、本発明の転炉の精錬方法は、前記転炉に、上底吹き転炉を用いることを特徴とする。
本発明によれば、上吹きランスの先端に設けられた酸化性ガスを噴出するラバールノズルまたはストレートノズルの孔数を適正化し、かつ、上記ラバールノズルまたはストレートノズルの傾角を適正化することによって、脱炭酸素効率を低下させることなく、ダスト発生量を抑制することができるので、鉄歩留りの向上を図ることができる。
本発明の上吹きランスと酸化性ガスを噴出するラバールノズルおよびストレートノズルの構造を説明する図である。 ダスト発生速度に及ぼす上吹きランス高さの影響を示すグラフである。 脱炭酸素効率に及ぼす上吹きランス高さの影響を示すグラフである。 ダスト発生速度と耐火物溶損指数に及ぼすラバールノズルおよびストレートノズルの傾角の影響を示すグラフである。
先ず、本発明を開発するに至った実験について説明する。
発明者らは、図1に示す上吹きランス1から酸化性ガスを吹き付けると同時に、炉底部から撹拌用ガスを吹き込む形式の容量5t規模の転炉を用いて、転炉内の溶鉄に酸化性ガスを上吹きし、溶鉄の脱炭精錬を行う際における、炉壁や上吹きランスへの地金付着量に及ぼす上吹きランス高さの影響を調査する実験を行った。ここで、上記実験で使用する図1に示した精錬用の上吹きランス1は、外筒2(外管2)、中管3および内管4の三重管で構成され、上吹きランス1の先端部には、鉛直斜め下向き方向を向いた、酸化性ガスを噴出する複数の噴射ノズル5が、上吹きランスの中心軸の周囲に等間隔で配置されている。なお、噴射ノズル5は、必ずしも同一円周上に配置する必要はなく、また、必ずしも等間隔に配置する必要もない。また、上記実験では、酸化性ガスとしては酸素ガスを、底吹きの撹拌用ガスとしてはアルゴンガスを用いた。また、上記実験における酸素ガスの供給は、溶銑中の炭素濃度が4.0mass%の時点から開始し、0.05mass%となる時点まで継続した。
上記実験は、具体的には、表1に示したように、酸素ガスを噴出する噴射ノズルとして、スロート径Dが8.3〜11.7mmで出口径Dが9.7〜13.8mmのラバールノズルを、上吹きランス先端に、上記上吹きランスの中心軸に対する噴射ノズルの中心軸の相対角度(以降、単に「ノズル傾角」ともいう)を19°とし、上吹きランスの中心軸の周囲に3孔、4孔、5孔または6孔配設した4種類の上吹きランスと、同じく酸素ガスを噴出する噴射ノズルとして、ノズル径が10.1mmのストレートノズル(Dt=De)を上吹きランスの中心軸の周囲に4孔配設した1種類の上吹きランス(合計5種類)を使用し、上吹きする酸素の流量を18m(Normal)/minで一定とし、ランス高さx(静止溶鉄面からランス先端までの距離)を200〜1000mmの間で種々に変えて脱炭精錬し、排ガスダスト中のダスト濃度および脱炭酸素効率に及ぼす噴射ノズル孔数ならびにランス高さの影響を調査した。
なお、本発明においては、以降、ラバールノズルとストレートノズルを総称して「噴射ノズル」ともいう。
ここで、上記実験に使用した上吹きランスに配設したラバールノズルは、適正膨張圧力Pを0.54MPaとして設計されたものであり、上吹きガスの圧力エネルギーを速度エネルギーに効率良く変換するというラバールノズル本来の機能を発揮させる理由から、酸化性ガスの供給圧力Pを、上記適正膨張圧力Pと等しくなるように制御したものである。
また、上記実験に使用した上吹きランスに配設したストレートノズルは、末広がり部分を持たないノズル構造のため、超音速噴流を形成することはできないが、酸化性ガスの供給圧力を増加させることで音速まで噴流速度を高めることができる。なお、上記ストレートノズルは、上吹きする酸素の流量が6.2m(Normal)/min以上の条件で音速となるものであり、上吹きする酸素の流量が18m(Normal)/min時の酸化性ガス供給圧力Pは0.54MPaとなるように設計されたものである。
Figure 0005884197
図2は、上記実験における排ガス中のダスト濃度から求めた溶鉄t(トン)当たりのダスト発生速度と、上吹きランス高さとの関係を示したものである。なお、上記図2の横軸には、ランス高さの指標として、ランス高さxと噴射ノズルの出口径Dとの比(x/D)を用いた。これは、噴射ノズルから噴射したガスの流速の減衰特性は噴射ノズル径の絶対値に左右されるからである。また、上記ダスト発生速度は、下記の(2)式で定義した値である。
ダスト発生速度(kg/min・t)=(排ガス中のダスト濃度(kg/m(Normal)))×(排ガス流量(m(Normal)/min))/溶鉄量(t))
・・・(2)
図2から、ダスト発生速度は、ランス高さ(x/D)が上昇するのに伴い増加するが、同一ランス高さでは、噴射ノズル孔数が少ない方が、ダスト発生速度が低下することがわかる。また、同じ4孔の噴射ノズルでも、ストレートノズルの方が、ラバールノズルよりもダスト発生速度が低下することがわかる。
また、図3は、脱炭酸素効率と上吹きランス高さ(x/D)との関係を示したものである。なお、上記脱炭酸素効率とは、上吹きランスから供給した酸素ガスの内、脱炭反応に費やされた酸素ガスの比率(%)のことであり、下記の(3)式から得られる。
脱炭酸素効率(%)=(溶鉄中炭素の除去に費やされた酸素量(m(Normal)/min))/(供給した酸素量(m(Normal)/min))×100
・・・(3)
図3から、脱炭酸素効率は、あるランス高さ(x/D)までは一定の値を示すが、それ以上にランスを上昇させると、脱炭酸素効率は急激に低下し、特に3孔の噴射ノズルではその現象が顕著に現れることがわかる。また、同じ4孔の噴射ノズルでも、ストレートノズルの方が、ラバールノズルより、脱炭酸素効率が低下することがわかる。
以上の結果から、上吹きランス先端の噴射ノズル孔数は、脱炭酸素効率から下限が、逆に、ダスト発生速度から上限が制限されるため、最適な孔数の範囲が存在することがわかった。
次いで、発明者らは、上記表1に示した、4孔のラバールノズルを設けた上吹きランスのランス高さxを300mm(x/D:25.2(一定))として、ラバールノズルの傾角を15°、18°、19°、20°、22°、24°および26°に変化させて、上記と同様にして溶鉄を脱炭精錬する実験を行い、ダスト発生速度と転炉耐火物の溶損量に及ぼすノズル傾角の影響を調査した。
図4は、ダスト発生速度と耐火物溶損指数に及ぼすノズル傾角の影響を示したものである。なお、転炉の耐火物にはMgO−Cレンガを使用したため、耐火物溶損指数は、下記(4)式で定義した。
耐火物溶損指数(−)=(各ノズル傾角における実験後のスラグ中MgO濃度(mass%))/(ノズル傾角15°における実験後のスラグ中MgO濃度(mass%))
・・・(4)
図4から、図中に□で示したダスト発生速度は、ノズル傾角を大きくしていくと、ある角度までは低下するが、それ以上になると逆に増加に転ずる、すなわち、ダスト発生速度が最小となる角度があることがわかる。これは、ノズル傾角が小さいときは、ノズル傾角の増大に伴い、浴面動圧の低下に起因してダスト発生速度は減少するが、ノズル傾角が大きくなり過ぎると、浴面振動が大きくなり、却ってダスト発生速度が増加するためであると考えられる。
一方、図中に△で示した耐火物溶損指数は、あるノズル傾角以上になると急激に増加するため、最適な傾角には上限があることがわかる。これは、ノズル傾角を大き過ぎると、上吹き酸素と溶鉄との衝突面に形成される2000℃を超える高温反応領域が炉壁耐火物に近づき耐火物の溶解を助長するためであると考えられる。
したがって、図4から、ダスト発生速度を抑制し、かつ、耐火物溶損指数を低減するためには、ノズル傾角を18〜22°の範囲とする必要があり、好ましくは19°であることがわかった。なお、上記ノズル傾角のダスト発生速度と耐火物溶損指数に及ぼす影響は、表1に示した4孔のストレートノズルを設けた上吹きランスについても上記と同様の実験を行ったが、同じであった。
本発明は、上記の実験結果に基き、開発したものである。すなわち、本発明の転炉の精錬方法は、ノズルの出口径D(mm)およびスロート径D(mm)が、最小酸化性ガス流量時におけるノズル出口部雰囲気圧力P(kPa)およびノズル適正膨張圧力P(kPa)との間で下記(1)式;
(D/D=0.259×(P/P−5/7×[1−(P/P2/7−1/2
・・・(1)
を満たす噴射ノズル(ラバールノズルまたはストレートノズル)を先端に配設した上吹きランスから、転炉内の溶鉄表面に酸化性ガスを吹き付けて溶鉄中の炭素を酸化除去する精錬方法であり、上記上吹きランスとして、ランス先端に上記(1)式を満たす酸化性ガス噴射ノズルを、ノズル傾角を19°の範囲とし、かつ、上記上吹きランスの中心軸の周囲に4孔配設したものを用いるところに特徴がある。
ここで、噴射ノズルの出口径D(mm)およびスロート径D(mm)が、最小酸化性ガス流量時におけるノズル出口部雰囲気圧力P(kPa)およびノズル適正膨張圧力P(kPa)との間で上記(1)式の関係を満たすことが必要である理由は、最小酸化性ガス流量時に酸化性ガス供給圧力P(kPa)がP<Pとなると、ラバールノズル内壁において噴流が剥離(噴流の流線が、ノズル壁面から離れた状態)して、ノズル内への溶鉄の侵入を招き易くなり、逆に、酸化性ガス供給圧力P(kPa)がP>Pとなると、圧力エネルギーの速度エネルギーへの変換効率が低下し、脱炭酸素効率の低下を招くためである。一方、ストレートノズルにおいては、酸化性ガス流量にかかわらず、前述の噴流の剥離現象は認められないものの、酸化性ガス供給圧力P(kPa)がP<Pとなるときには、噴流流速が音速未満となり、脱炭酸素効率が低下するからである。
また、上吹きランス先端に配設する噴射ノズルの数を4孔に限定する理由は、図2および図3からわかるように、脱炭酸素効率の向上とダスト発生速度を抑制する観点からは、噴射ノズルの数を4孔とするのが最適であるからである。なお、ダスト発生速度を重視した転炉操業を行う場合は噴射ノズルの数を3孔にしてもよく、また、脱炭酸素効率を重視した転炉操業を行う場合は噴射ノズルの数を5孔以上としてもよい。
また、本発明においては、上吹きランス先端に配設する噴射ノズルの傾角は18〜22°の範囲に設定する。これは、図4からわかるように、ノズル傾角が18〜22°の範囲でダスト発生速度の抑制と耐火物溶損の抑制を両立できるからである。
また、本発明の転炉の精錬方法は、最小酸化性ガス流量時における酸化性ガス供給圧力P(kPa)とノズル適正膨張圧力P(kPa)が同じとなるノズル出口径Dの噴射ノズルを設けた上吹きランスを用いる、すなわち、最小酸化性ガス流量時における上記噴射ノズルへの酸化性ガスの供給圧力Pを、ノズル適正膨張圧力Pと等しくして(P=P)、酸化性ガスを供給するのが好ましい。その理由は、最小酸化性ガス流量時にP=Pとすることによって、ラバールノズル内壁における噴流の剥離防止と、圧力エネルギーの速度エネルギーへの変換効率の最大化を実現できるので、ノズル内への溶鉄の侵入を防止しつつ、高い脱炭酸素効率での操業が可能となるからである。
また、本発明の転炉の精錬方法は、精錬前半は、酸化性ガス供給圧力Pを適正膨張圧力Pより大(P>P)とし、脱炭が進行して溶鉄中のC濃度が所定の値になった精錬後半において、酸化性ガス供給圧力Pを適正膨張圧力Pと等しくする(P=P)のが好ましい。これは、精錬前半では、脱炭反応が酸化性ガスの供給律速となるため、酸化性ガス供給圧力Pを適正膨張圧力Pよりも大(P>P:不足膨張)としても、酸化性ガス供給圧力Pを適正膨張圧力Pと等しくする(P=P:適正膨張)ことと同等の脱炭酸素効率を得られるからである。なお、上記酸化性ガス供給圧力Pを変化させるC濃度(精錬後半におけるC濃度)は、溶鉄の過酸化によるFeOの生成を抑制する観点から、0.4±0.2mass%の範囲内の値とするのが好ましい。
また、上記酸化性ガス供給圧力Pを変化させると同時に、ランス高さxも高位側から低位側となるように変えることが好ましい。その理由は、脱炭酸素効率の低下を最小限とするためである。
また、本発明の転炉の精錬方法は、ランス先端の中心部に粉体吹き込み用ノズルを配設した上吹きランスを用いることが好ましい。これは、生石灰等の造滓剤は、粉体吹き込み用ノズルの方が、炉上ホッパーよりも、細かい粒径のものを使用できるので、上吹きランスから投入した方が、造滓剤の溶解が促進されて、スラグとして作用するまでの時間を短縮でき、少ない造滓剤の使用量で溶鉄中のP濃度を低減できるからである。
また、本発明の転炉の精錬方法は、上底吹き転炉を用いた精錬に適用するのが好ましい。これは、脱炭や脱燐といった精錬反応を効率良く行う上で、底吹きガスの攪拌によるスラグとメタルの混合が極めて有効であるからである。ただし、上底吹き転炉以外の転炉に適用してもよいことは勿論である。
容量が300トンの上底吹き転炉で、下記A〜M(13種類)の上吹きランスを用いて脱炭精錬を行った。
・ランスA:酸化性ガス吹き込み用噴射ノズルとして、スロート径Dが82.2mm、出口径Dが87.2mmで、ノズル傾角が19°のラバールノズルをランス先端の中心軸の周囲に等間隔で4孔配設した4孔の上吹きランス(発明例1)
・ランスB:上記ランスAの先端部中央に、ノズル径が25mmの粉体吹き込み用ノズルを1孔配設した5孔の上吹きランス(発明例2)
・ランスC:酸化性ガス吹き込み用噴射ノズルとして、スロート径Dと出口径Dが同じ88.0mmで、ノズル傾角が19°のストレートノズルをランス先端の中心軸の周囲に等間隔で4孔、かつ、ランス先端部中央にノズル径25mmの粉体吹き込み用ノズルを1孔配設した5孔の上吹きランス(発明例3)
・ランスD〜H:上記ランスBのラバールノズルのノズル傾角を18°、19.5°、20°、21°および22°に変化させた5孔の上吹きランス(発明例4〜8)
・ランスI:酸化性ガス吹き込み用噴射ノズルとして、スロート径Dが73.6mm、出口径Dが78.0mmで、ノズル傾角が15°のラバールノズルをランス先端の中心軸の周囲に等間隔で4孔配設し、かつ、ランス先端部中央にノズル径が25mmの粉体吹き込み用ノズルを1孔配設した5孔の上吹きランス(比較例1)
・ランスJ:上記ランスIのラバールノズルのノズル傾角を23°とした5孔の上吹きランス(比較例2)
・ランスK:上記ランスIのラバールノズルを、スロート径Dと出口径Dが同じ95.0mmで、ノズル傾角が15°のストレートノズルとした5孔の上吹きランス(比較例3)
・ランスL:上記ランスIのラバールノズルを5孔、ノズル傾角を19°とし、ランス先端部中央の粉体吹き込み用ノズルを無くした5孔の上吹きランス(比較例4)
・ランスM:酸化性ガス吹き込み用噴射ノズルとして、スロート径Dが73.6mm、出口径Dが81.4mmで、ノズル傾角が19°のラバールノズルをランス先端の中心軸の周囲に等間隔で5孔配設し、かつ、ランス先端中心部にノズル径が25mmの粉体吹き込み用ノズルを1孔配設した6孔の上吹きランス(比較例5)
なお、上記酸化性ガス吹き込み用のラバールノズルとストレートノズルの適正膨張圧力Pは表3に示す通りであり、ランスK,Mを除き、最小酸化性ガス(酸素)流量時には適正膨張となるように設計されたものである。
上記脱炭吹錬は、先ず、鉄スクラップを上底吹き転炉に装入し、次いで、予め脱りん処理を施した表2に示す成分組成を有する1265〜1280℃の温度の溶鉄を上底吹き転炉に装入した後、上吹きランスのラバールノズルあるいはストレートノズルから酸素ガスを溶鉄面に向けて吹き付けながら、撹拌用ガスとして底吹き羽口からアルゴンガスを溶鉄中に吹き込み、さらに、造滓材として炉内スラグの塩基度(CaO/SiO)が2.5となる量の生石灰を投入し、溶鉄中の炭素濃度が0.05mass%となるまで行った。
なお、上記鉄スクラップの装入量は、吹き止め温度が1650℃となるよう調節した。また、生石灰の投入方法は、粉体吹き込み用ノズルを有するランスB〜KおよびMは、該粉体吹き込み用ノズルから、粉体吹き込み用ノズルを有しないランスAおよびLは、炉上ホッパーから投入した。
また、酸化性ガス(酸素)の流量および底吹きガス(アルゴンガス)の流量は、表3に示したように変化させた。なお、酸化性ガス(酸素)供給圧力は、ラバールノズルの場合(ただし、ランスMは除く)は、精錬前半(C>0.4mass%)は0.49MPa(不足膨張)、精錬後半(C≦0.4mass%)は0.33MPa(適正膨張)となるようにし、ストレートノズルの場合(ただし、ランスKは除く)は、精錬前半(C>0.4mass%)は0.48MPa(不足膨張)、精錬後半(C≦0.4mass%)は0.20MPa(適正膨張)となるようにした。また、ランスKおよびMは、精錬前半(C>0.4mass%)は不足膨張とし、精錬後半(C≦0.4mass%)は過膨張となるようにした。また、上吹きランス高さ(x/D)も、上記溶鉄中の炭素濃度0.4mass%を境として、表3に示したように変化させた。
Figure 0005884197
Figure 0005884197
Figure 0005884197
上記のようにして、A〜Mの各ランスを用いて脱炭精錬し、吹錬時間、吹き止めT.Feおよびダスト発生速度を調査し、その結果を、ランス仕様、脱炭吹錬条件とともに表3に併記した。なお、上記表3の結果は、各ランスでそれぞれ3チャージの脱炭吹錬を行ったときの平均値である。また、表中のダスト発生速度指数は、ランスI(比較例1)のダスト発生速度をベース(1.00)としたときの相対値である。
表3から、本発明の条件を満たすランスA〜Hを用いて脱炭精錬した発明例1〜8は、本発明の条件を満たさないランスI〜Mを用いて脱炭吹錬した比較例1〜5と比較して、吹錬時間や冶金特性(吹き止め時のT.Fe濃度)はほぼ同等であるが、ダスト発生速度を大幅に低減できていることがわかる。中でも、酸化性ガス吹き込み用噴射ノズルとして4孔のストレートノズルを配設しかつランス先端中心部に生石灰を吹き込む粉体吹き込み用ノズルを配設したランスCを用いて脱炭精錬した場合には、ダストの発生速度を一段と低減できていることがわかる。
上記の結果から、本発明を適用することにより、鉄歩留まりを高めた転炉操業が可能であることが確認された。
1:上吹きランス
2:外管
3:中管
4:内管
5:酸化性ガス吹き込み用の噴射ノズル(主孔)
6:スロート
θ:ノズル傾角

Claims (3)

  1. ノズルの出口径D(mm)およびスロート径D(mm)が、D≧Dの関係にあり、最小酸化性ガス流量時におけるノズル出口部雰囲気圧力P (kPa)およびノズル適正膨張圧力P (kPa)との間で下記式;
    (D /D =0.259×(P /P −5/7 ×[1−(P /P 2/7 −1/2
    の関係を満たすラバールノズルまたはストレートノズルを先端に配設した上吹きランスから転炉内の溶鉄表面に酸化性ガスを吹き付けて溶鉄中の炭素を酸化除去するに当たり、
    前記上吹きランスの中心軸に対するノズルの中心軸の傾角を19°としたラバールノズルまたはストレートノズルを、前記上吹きランスの中心軸の周囲に4孔配設してなる上吹きランスを用い、
    前記ラバールノズルまたはストレートノズルへの酸化性ガスの供給圧力P(kPa)を、精錬前半においてはノズル適正膨張圧力P (kPa)よりも大とする一方、溶鉄中の炭素濃度が所定値以下となった精錬後半においてはノズル適正膨張圧力P (kPa)と等しくなるように変化させると共に、ランス高さを高位側から低位側に変化させることを特徴とする転炉の精錬方法。
  2. ランス先端の中心部に粉体吹き込み用ノズルを配設した上吹きランスを用いることを特徴とする請求項1に記載の転炉の精錬方法。
  3. 前記転炉に、上底吹き転炉を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の転炉の精錬方法。
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