JP6515284B2 - 酸化鉄含有鉄原料の還元・溶解方法及び酸素吹き込みランス - Google Patents
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[1]鉄を主成分とし、酸化鉄、CaO、SiO2を含む酸化物、並びに、炭素含有物質を含有した粒及び/又は粉状の酸化鉄を含有する鉄原料を、予備還元炉により加熱還元処理した後、当該鉄原料を溶解精錬炉の溶融鉄浴に投入し、炭素含有燃料を添加しつつ酸素の吹き込みを行うことにより還元及び溶解する方法において、酸素の吹き込みを行う酸素吹き込みランスに、相対的に前記酸素吹き込みランスの中心軸側に位置する内側ノズル吐出孔と、当該内側ノズル吐出孔の外側に位置する外側ノズル吐出孔と、を同心円上に設け、外側ノズル吐出孔数n1と、内側ノズル吐出孔数n2とが、以下の関係式(1)を全て満足し、前記外側ノズル吐出孔が、ストレートノズルである、酸化鉄含有鉄原料の還元・溶解方法。
n1≧3、n2≧1、n1+n2≧5 ・・・(1)
[2]外側に同心円上に配置される前記外側ノズル吐出孔のスロート径D1tと、内側に同心円上に配置される前記内側ノズル吐出孔のスロート径D2tと、の間に、以下の関係式(2)が成立する、[1]に記載の酸化鉄含有鉄原料の還元・溶解方法。
1.1≦D1t/D2t≦2.0 ・・・(2)
[3]外側に同心円上に配置される前記外側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ1と、内側に同心円上に配置される前記内側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ2と、の間に、以下の関係式(3)が成立する、[1]又は[2]に記載の酸化鉄含有鉄原料の還元・溶解方法。
15°≦θ1−θ2≦25° ・・・(3)
[4]鉄を主成分とし、酸化鉄、CaO、SiO2を含む酸化物、並びに、炭素含有物質を含有した粒及び/又は粉状の酸化鉄を含有する鉄原料を、予備還元炉により加熱還元処理した後、当該鉄原料を溶解精錬炉の溶融鉄浴に投入し、炭素含有燃料を添加しつつ酸素の吹き込みを行うことにより還元及び溶解する方法で用いられる、酸素の吹き込みを行うための酸素吹き込みランスであって、前記酸素吹き込みランスの端部では、相対的に前記酸素吹き込みランスの中心軸側に位置する内側ノズル吐出孔と、当該内側ノズル吐出孔の外側に位置する外側ノズル吐出孔と、が、それぞれ同心円上に配設されており、外側ノズル吐出孔数n1と、内側ノズル吐出孔数n2とが、以下の関係式(1)を全て満足し、前記外側ノズル吐出孔が、ストレートノズルである、酸素吹き込みランス。
n1≧3、n2≧1、n1+n2≧5 ・・・(1)
[5]外側に同心円上に配置される前記外側ノズル吐出孔のスロート径D1tと、内側に同心円上に配置される前記内側ノズル吐出孔のスロート径D2tと、の間に、以下の関係式(2)が成立する、[4]に記載の酸素吹き込みランス。
1.1≦D1t/D2t≦2.0 ・・・(2)
[6]外側に同心円上に配置される前記外側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ1と、内側に同心円上に配置される前記内側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ2と、の間に、以下の関係式(3)が成立する、[4]又は[5]に記載の酸素吹き込みランス。
15°≦θ1−θ2≦25° ・・・(3)
図1に示す還元溶解炉1においては、炉上から還元鉄が装入され、炉底から炭材が吹込まれる。酸素吹き込みランス2から吹き込まれた酸素ジェットが溶鉄面に衝突することで、溶鉄面では火点3を形成するとともに、下記の表1に示すように、(1)スラグ層4中では炭材の燃焼(COガス生成)、酸化鉄の還元(COガス生成)及びCOガスの燃焼(CO2生成)が行われ、(2)酸素吹き込みランス2の周囲の炉内空間では、火点3中やスラグ層4中で生成したCOガスが酸素ジェットに巻き込まれることによるCOガスの燃焼(CO2の生成)や、炉内に飛散した炭材によるCO2ガスの還元(ソリューションロス)が起きる。
そこで、酸素吹き込みランスに設けられるノズル吐出孔数をできるだけ多くし、かつ、酸素吹き込みランスからみた立体角を有効に利用するために、本発明では、酸素吹き込みランスの中心軸を含み、同心円上に外側ノズル吐出孔と内側ノズル吐出孔とを配置する場合の条件について、以下のように検討した。ここで、内側ノズル吐出孔とは、酸素吹き込みランスの端部において、相対的に酸素吹き込みランスの中心軸側に位置するノズル吐出孔をいい、外側ノズル吐出孔とは、酸素吹き込みランスの端部において、上記内側ノズル吐出孔の外側(中心軸に向かう方向とは逆の方向)に位置するノズル吐出孔をいう。
「内側に配置するノズル吐出孔(すなわち、内側ノズル吐出孔)の数n2を0として外側に配置するノズル吐出孔(すなわち、外側ノズル吐出孔)の数n1を変化させる」条件1と、「内側ノズル吐出孔の数n2を1以上として外側ノズル吐出孔の数n1を変化させる」条件2の2つの条件において、内側ノズル吐出孔から吐出される酸素ジェットと外側ノズル吐出孔から吐出される酸素ジェットとが合体することなく酸素ジェットを形成できる条件について、検討した。
n1≧3、n2≧1、n1+n2≧5 ・・・(1)
還元溶解炉の上吹きランスノズルは、ガス圧を有効に流速へと変換して溶鉄に酸素を供給するために、ラバールノズルという形状をとる。図3にその形状を示すように、断面積が最小の部分をスロート部と呼び、その径をスロート径と呼ぶ。また、ノズル出口の最大径を出口径と呼ぶ。ノズルの最小断面積の部分での流れの速度が音速に等しくなったスロート部(マッハ数=1)で、質量流量は最大となる。更に流量を増加させたい場合は、スロート部から出口に向かうにつれて断面積を拡大することで、超音速(マッハ数>1)となり、最大の質量流量を供給することができる。この超音速ジェットのノズル出口での圧力と、超音速ジェットが噴出していく場の雰囲気圧と、が等しい場合の膨張挙動のことを、適正膨張という。適正膨張の場合、超音速ジェットはそのまま雰囲気場にスムーズに流れていき、衝撃波の発生といった大きな変化は生じない。
次に、図3(a)に示すように、「外側ノズル吐出孔の数n1(白丸)が4で、内側ノズル吐出孔の数n2(斜線)が1(中心軸上に配置)である」条件3と、図3(b)に示すように、「外側ノズル吐出孔の数n1(白丸)が3で、内側ノズル吐出孔の数n2(斜線)が3である」条件4の2つの条件において、ノズル吐出孔スロート径と吐出角度とを変化させて、酸素ジェットを合体させることなく、酸素ジェットを形成できる条件について検討した。
酸化鉄含有鉄原料の溶解に必要なエネルギーを高効率で得るためには、鉄浴湯面及びスラグ面に対して、均一に酸素ジェットを衝突させることが好ましい。そのためには、ノズル吐出孔スロート径の比「D1t/D2t」を適切に制御することが重要である。そこで、汎用熱流体解析ソフトウェアであるアンシス・ジャパン(株)製のFLUENT(登録商標)を使用して数値流体解析を行い、鉄浴湯面高さでの酸素ジェットの広がった距離(半径)を鉄浴湯面高さにおける半径で除した値(以下、酸素ジェットの到達距離比という。)と、ノズル吐出孔スロート径比(D1t/D2t)との関係を調査した。
1.1≦D1t/D2t≦2.0 ・・・(2)
次に、上記流体解析手法により、外側に同心円上に配置する外側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ1、及び、内側に同心円上に配置する内側ノズルの吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ2と、酸素ジェットが半径方向にどこまで広がって鉄浴湯面に衝突したかを示す指標である酸素ジェットの到達距離比と、の関係について調査した。
15°≦θ1−θ2≦25° ・・・(3)
2 酸素吹き込みランス
3 火点
4 スラグ層
Claims (6)
- 鉄を主成分とし、酸化鉄、CaO、SiO2を含む酸化物、並びに、炭素含有物質を含有した粒及び/又は粉状の酸化鉄を含有する鉄原料を、予備還元炉により加熱還元処理した後、当該鉄原料を溶解精錬炉の溶融鉄浴に投入し、炭素含有燃料を添加しつつ酸素の吹き込みを行うことにより還元及び溶解する方法において、
酸素の吹き込みを行う酸素吹き込みランスに、相対的に前記酸素吹き込みランスの中心軸側に位置する内側ノズル吐出孔と、当該内側ノズル吐出孔の外側に位置する外側ノズル吐出孔と、を同心円上に設け、
外側ノズル吐出孔数n1と、内側ノズル吐出孔数n2とが、以下の関係式(1)を全て満足し、
前記外側ノズル吐出孔が、ストレートノズルである、酸化鉄含有鉄原料の還元・溶解方法。
n1≧3、n2≧1、n1+n2≧5 ・・・(1) - 外側に同心円上に配置される前記外側ノズル吐出孔のスロート径D1tと、内側に同心円上に配置される前記内側ノズル吐出孔のスロート径D2tと、の間に、以下の関係式(2)が成立する、請求項1に記載の酸化鉄含有鉄原料の還元・溶解方法。
1.1≦D1t/D2t≦2.0 ・・・(2) - 外側に同心円上に配置される前記外側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ1と、内側に同心円上に配置される前記内側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ2と、の間に、以下の関係式(3)が成立する、請求項1又は2に記載の酸化鉄含有鉄原料の還元・溶解方法。
15°≦θ1−θ2≦25° ・・・(3) - 鉄を主成分とし、酸化鉄、CaO、SiO2を含む酸化物、並びに、炭素含有物質を含有した粒及び/又は粉状の酸化鉄を含有する鉄原料を、予備還元炉により加熱還元処理した後、当該鉄原料を溶解精錬炉の溶融鉄浴に投入し、炭素含有燃料を添加しつつ酸素の吹き込みを行うことにより還元及び溶解する方法で用いられる、酸素の吹き込みを行うための酸素吹き込みランスであって、
前記酸素吹き込みランスの端部では、相対的に前記酸素吹き込みランスの中心軸側に位置する内側ノズル吐出孔と、当該内側ノズル吐出孔の外側に位置する外側ノズル吐出孔と、が、それぞれ同心円上に配設されており、
外側ノズル吐出孔数n1と、内側ノズル吐出孔数n2とが、以下の関係式(1)を全て満足し、
前記外側ノズル吐出孔が、ストレートノズルである、酸素吹き込みランス。
n1≧3、n2≧1、n1+n2≧5 ・・・(1) - 外側に同心円上に配置される前記外側ノズル吐出孔のスロート径D1tと、内側に同心円上に配置される前記内側ノズル吐出孔のスロート径D2tと、の間に、以下の関係式(2)が成立する、請求項4に記載の酸素吹き込みランス。
1.1≦D1t/D2t≦2.0 ・・・(2) - 外側に同心円上に配置される前記外側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ1と、内側に同心円上に配置される前記内側ノズル吐出孔の中心線と酸素吹き込みランスの中心線とがなす角度θ2と、の間に、以下の関係式(3)が成立する、請求項4又は5に記載の酸素吹き込みランス。
15°≦θ1−θ2≦25° ・・・(3)
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