JP6098572B2 - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents

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本発明は、トピードカー内で溶銑を脱燐処理する際の上吹きランスおよび溶銑の予備処理方法に関する。
溶銑の脱燐(溶銑中の燐濃度を低減すること)を目的とした溶銑の予備処理方法の一つとして、溶銑の搬送容器であるトピードカー内での酸化精錬による脱燐処理がある。トピードカー内での脱燐処理では、トピードカーに収容された溶銑に、インジェクションランスを浸漬させ、インジェクションランスから酸素源を含む脱燐フラックスや酸素ガスを吹き込むことで酸化精錬が行われる。このような脱燐処理は、脱燐フラックスや酸素ガスを直接溶銑中に吹き込むため反応効率等の点において種々の利点がある一方で、多量の脱燐フラックスを使用するため、処理中の溶銑温度の低下が大きいという問題点がある。
一方、トピードカー内での脱燐処理では、インジェクションランスから溶銑中に吹き込まれた酸素ガス及び脱燐フラックス中の酸素と溶銑中の炭素とが反応することで、COガスが多量に発生する。このようにCOガスが多量に発生した状況で、溶銑の上方に配した上吹きランスから酸素ガスが吹き付けられることで、フリーボード(溶銑湯面より上方のトピードカー内の空間)に存在するCOガスと、吹き付けた酸素ガスとが反応し、二次燃焼が起きる。
つまり、トピードカー内での脱燐処理で生じる脱炭反応としては、下記(1)式で示す1次燃焼と、下記(2)式で示す2次燃焼とがある。
C+(1/2)・O→CO ・・・(1)
CO+(1/2)・O→CO ・・・(2)
ここで、(2)式による二次燃焼の反応熱は、(1)式の一次燃焼の反応熱に比べて2.5倍の熱量を持つ。このため、(2)式の反応を促進させ、生じる反応熱を有効に利用することにより、脱燐処理に伴う溶銑温度の低下を抑止することができる。
例えば、特許文献1には、混銑車(トピードカー)等に収容された溶銑に上吹きランスを用いて酸素ガスを吹き込むことが開示されている。特許文献1では、上吹きランスの高さ、ランス直径およびランス出口部における酸素吹出し速度の各要素のうち少なくとも1つの要素を変えることにより二次燃焼効率を制御する。なお、上記の各要素は、二次燃焼と相関がある酸素流速度を算出する際に用いられる。
また、特許文献2には、上底吹き転炉において、二次燃焼効率を制御して転炉の炉口部付近に付着した地金を溶解させる方法として、急拡大ノズルを備えた上吹きランスを用いて酸素ガスを吹き込む方法が開示されている。急拡大ノズルは、ランス内の酸素通路に連通する絞り部と、絞り部の直径に対して急拡大した直径を有する拡大孔とを有するノズルである。急拡大ノズルでは、酸素ガスが絞り部で圧縮された後、急拡大孔で体積が膨張し、ガス流の内部に乱流が発生することで流速が急低下する。この結果、急拡大ノズルから噴射された酸素ガスは、溶湯浴面まで到達し難くなり、フリーボード内で巻き込むCOガス量が増えることで、二次燃焼の比率が向上する。特許文献2では、二次燃焼の比率を向上させることにより、生じた燃焼熱で炉内に付着した地金を溶解させる。
特開平3−24214号公報 特開2011−202236号公報
ここで、本発明者らの知見によると、トピードカー内での脱燐処理において、上吹きランスから噴射される酸素ガスの二次燃焼により生じる燃焼熱は、フリーボードの特に炉口付近の耐火物の損耗を早めてしまうという欠点がある。トピードカーの耐火物の損耗が早まった場合、耐火物の補修のために稼働できない状態(修理落ち)となるトピードカーの台数が多くなり、トピードカーの稼働台数が減少する。
通常、トピードカーで溶銑を脱燐処理し、その後、脱硫設備や転炉にて脱硫および脱炭処理する精錬工程は、非脱燐溶銑を脱硫設備や転炉にて脱硫および脱炭処理する工程に比べ、処理全体に掛かる時間が長くなる。このため、トピードカーの稼働台数が少ない状態で、高炉から出銑された溶銑を出銑量に合わせて精錬処理しようとすると、トピードカーで運搬する溶銑のうち、非脱燐溶銑の割合が増え、精錬工程全体でみた場合に精錬コストの増加を招く。したがって、二次燃焼の燃焼熱によるトピードカーの耐火物の損耗は、精錬コスト増加の原因となる。
しかし、特許文献1では、二次燃焼による溶銑への着熱効率を所望の値に制御することのみを課題としており、上記の二次燃焼の燃焼熱による耐火物の損耗についての問題については言及されていない。
また、特許文献2に記載の上吹きランスは、上底吹き転炉での酸化精錬(主に脱炭反応)に用いられるものであり、トピードカーに用いられる上吹きランスに比べ、ランス自体やノズルの大きさ、酸素流量やランス高さ等の用いられる条件が全く異なる。さらに、特許文献2に記載の上吹きランスは、転炉の炉口部の近くに付着した地金を溶解することを目的としているため、二次燃焼帯を炉口部の近くに移動させる必要がある。このため、特許文献に記載の上吹きランスを、トピードカーを用いた脱燐処理に適用しても、溶銑温度を向上させるための効果や、トピードカーの炉口付近の耐火物の損耗を抑制する効果を得ることはできない。
そこで、本発明は、上記のような点に着目してなされたものであり、上吹きランスを用いたトピードカー内での脱燐処理において、上吹きランスから吐出される酸素ガスの流量を低下させることなく、トピードカーの耐火物の溶損を低減することが可能な溶銑の予備処理方法を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る溶銑の予備処理方法は、トピードカーに収容された溶銑を脱燐処理する際に、上記溶銑の上方に配置した上吹きランスのノズルから上記溶銑に酸素ガスを吹き付ける二次燃焼工程を備え、上記二次燃焼工程において、上記溶銑の上面から上記ノズルの先端までの高さを500mm以上1000mm未満とし、上記ノズルは、円形断面の縮径部と、上記縮径部よりも先端側に連続して設けられ上記縮径部よりも大きな直径の円形断面からなる拡径部とを含み、上記縮径部の直径は、上記拡径部の直径の50%以上70%以下であることを特徴とする。
本発明に係る上吹きランスおよび溶銑の予備処理方法によれば、噴射される酸素ガスの流量が高い場合でも酸素ガスをソフトブロー(酸素ガスの湯面に対する動圧が低い状態)化させることができ、溶銑から上吹きランスの先端までの距離であるランス高さを低くすることができる。このため、上吹きランスから吐出される酸素ガスの流量を低下させることなく、トピードカーの耐火物の溶損を低減することが可能な溶銑の予備処理方法を提供することを目的としている。
本発明の一実施形態に係る溶銑の予備処理方法を示す模式図である。 同実施形態の上吹きランスを示す平面図である。 図1のI−I線断面図である。 従来の上吹きランスを示す平面図である。 図4のII−II線断面図である。 実施例および比較例の脱珪外酸素と脱燐酸素効率との関係を示すグラフである。 実施例および比較例の上吹き酸素流量とΔT/ΔPとの関係を示すグラフである。 実施例および比較例の上吹き酸素原単位と耐火物損耗速度との関係を示すグラフである。 実施例および比較例の上吹きランス寿命を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<溶銑の予備処理方法>
本発明の一実施形態に係る溶銑の予備処理方法は、図1に示すように、トピードカー1に収容された溶銑3を脱燐処理する際に、溶銑3の上方に設けられた上吹きランス4から、溶銑3に酸素ガスを吹き付ける二次燃焼工程を備える。
[上吹きランスの構成]
本実施形態に係る溶銑の予備処理方法の説明に先立ち、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態に係る溶銑の予備処理方法で用いられる上吹きランス4について説明する。上吹きランス4は、図2および図3に示すように、金属製の円筒状のランスであり、2つの急拡大ノズル41と、酸素ガス供給路42と、冷却水供給路43とを備える。
急拡大ノズル41は、上吹きランス4の下端側の先端部に設けられる。急拡大ノズル41は、酸素ガス供給路42に連通する円筒状の縮径部41aと、縮径部41aの直径r1に対して急拡大した直径r2を有する円筒状の拡径部41bとを有する。縮径部41aの直径r1は、拡径部41bの直径r2の50%以上70%以下であることが好ましい。このような、急拡大ノズル41によれば、縮径部41aで圧縮された酸素ガスの吐出流速が、拡径部41bで低減することにより、噴射される酸素ガスのソフトブロー化が実現できる。直径r1が直径r2の50%未満である場合、縮径部41a入側における酸素ガスの流速によっては、縮径部41aで圧縮された酸素ガスの流速が拡径部41bで十分に低減されないため、噴射される酸素ガスがソフトブローとならないことがある。一方、直径r1が直径r2の70%より大きい場合、縮径部41a入側における酸素ガスの流速によっては、噴射される酸素ガスの流速が小さくなりすぎるため、二次燃焼帯を目標とする高さまで低くすることができなくなることがある。
また、急拡大ノズル41は、上吹きランス4の長手方向軸線と、急拡大ノズル41の長手方向軸線のなす角度である吐出角θが12°となるように設けられる。また、2つの急拡大ノズル41は、トピードカー1の長手方向に平行且つそれぞれ逆向きの方向に吐出角θをなすように設けられる。なお、本実施形態では、吐出角θを12°としたが、吐出角θはかかる値に限定されず、10°以上15°以下であることが好ましい。吐出角θが10°未満である場合、縮径部41a入側における酸素ガスの流速によっては、噴射された酸素ガスがフリーボードの長手方向端側まで十分行き渡らない場合があるため、十分な二次燃焼効果を得ることができないことがある。一方、吐出角θが15°より大きい場合、縮径部41a入側における酸素ガスの流速によっては、酸素ガスのランス高さH方向の流速が小さくなりすぎる場合があるため、二次燃焼帯を目標とする高さまで低くすることができなくなることがある。
ここで、上吹きランスのノズル形状としては、一般的に、急拡大ノズル41の他に、ストレート型やラバール型の形状がある。ストレート型のノズルは、噴射する酸素ガスの通路の断面が円形で直径が一定の形状のノズルであり、ラバール型のノズルは、噴射する酸素ガスの通路の上流側から下流側にかけて直径が長さ方向に増加する形状のノズルである。
ストレート型のノズルは、ランス背圧(噴射する酸素ガスの供給側の圧力)が他の形状に比べて低いため、ランス高さHを低くした場合に、スプラッシュ等により地金が上吹きランス内に混入する可能性がある。
また、ラバール型のノズルは、数百Nm/min程度の比較的高流量のガスを噴射する際に用いられる形状であり、流量が10〜30Nm/min程度と低いトピードカー1での脱燐処理には適していない。したがって、酸素ガスを低流量で噴射させながらも、地金の混入を防止できる程度の背圧を確保し、さらにソフトブローで酸素ガスを噴射できるノズル形状としては、本実施形態の急拡大ノズル41が好ましい。
酸素ガス供給路42は、上吹きランス4の長手方向軸線に沿って略円筒状に形成され、下端側の先端には急拡大ノズル41が連通して設けられる。また、上吹きランス4の上端側からは、酸素ガスが供給される。
冷却水供給路43は、酸素ガス供給路42の外周側に沿って、上吹きランス4の横断面において同心円状に2層設けられる。また、冷却水供給路43は、上吹きランス4の下端側の先端部において、急拡大ノズル41よりも上吹きランス4の径方向外方に少なくとも設けられる。冷却水は、上吹きランス4の上端側から供給され径方向内方の層を通じて上吹きランス4の下端側まで移動し、下端側で折り返した後、径方向外方の層を通じて上吹きランス4の上端側まで移動し、排出される。
さらに、上吹きランス4は、鋳造で製造される銅製のランスであり、図3に示すように、急拡大ノズル41の長手方向軸心を含む断面において、厚みdが鍛造製の上吹きランスよりも薄くなる。図3に示す厚みdは、冷却水供給路43と急拡大ノズル41との間の連続する銅の壁面部分を通る、冷却水供給路43の折り返し部から急拡大ノズル41の先端側表面に達する最短直線距離である。このように、上吹きランス4は、厚みdが薄いことにより高い冷却能を有する。なお、上吹きランス4の厚みdは、10mm以上25mm以下とすることが好ましい。厚みdが10mm未満である場合、冷却能が高くなり損耗速度が小さくなるものの、厚みdが薄すぎるために上吹きランス4の使用できなくなるまでの寿命が低下する。一方、厚みdが25mmよりも大きい場合、十分な冷却能が得られず、損耗速度が大きくなりすぎるため、上吹きランス4の寿命が低下する。
また、図3に示すように、上吹きランス4は、急拡大ノズル41よりも上吹きランス4の径方向外方に設けられた冷却水供給路43から拡径部41bまでの最短距離が、厚みdよりも短くなるように形成される。
[溶銑の予備処理方法]
次に、図1〜図3を参照して、本実施形態に係る溶銑の予備処理方法について詳細に説明する。本実施形態に係る溶銑の予備処理方法では、酸化精錬することにより、高炉から出銑された溶銑中の燐や珪素等の不純物元素を除去する。本実施形態に係る溶銑の予備処理方法では、図1に示すように、溶銑3にインジェクションランス2を浸漬させ、インジェクションランス2の先端から、脱燐フラックスや酸素ガスを吹き込むことで溶銑中の燐濃度を低下させる。脱燐フラックスとしては、FeやCaO等を含むフラックスが用いられる。
また、本実施形態に係る溶銑の予備処理方法では、インジェクションランス2からの吹き込みと同時に、所定のランス高さHとなるように溶銑3の上方に設けられた上吹きランス4から酸素ガスを噴射させる。このとき、インジェクションランス2から吹き込まれた脱燐フラックスや酸素ガス中の酸素と、溶銑中の炭素とが反応(一次燃焼)することにより、COガスが生成される。生成されたCOガスは、溶銑中を上昇し、フリーボードにて上吹きランス4から噴射される酸素ガスと反応(二次燃焼)することで、COガスとなる。この際、二次燃焼により生じた燃焼熱が、溶銑3に着熱することにより脱燐処理に伴う溶銑3の温度低下を抑制することができる。
所定のランス高さHとは、溶銑3から上吹きランス4の下端までのランス高さHが500mm以上1000mm未満のことをいう。ランス高さHが500mm未満の場合、ランス高さHが低すぎることにより、二次燃焼帯の領域を十分に確保できなくなる。一方、ランス高さHが1000mm以上の場合、二次燃焼帯が高くなることによりトピードカー1の炉口付近の耐火物の溶損が助長される。
ここで、本実施形態の上吹きランス4に対し、従来は図4および図5に示す上吹きランス5が用いられてきた。図4および図5に示すように、従来の上吹きランス5は、先端に設けられる一対のストレートノズル51と、上吹きランス5の中心に長手方向に延在して設けられる酸素ガス供給路52と、酸素ガス供給路52の周囲にわたって設けられる冷却水供給路53とを備える。ストレートノズル51は、上述のストレート型のノズルであり、上吹きランス5の一端側からの平面視で、上吹きランス5の中心から同一距離の点対称の位置に設けられる。また、従来の上吹きランス5は、鍛造で製造される銅製のランスであったため厚みdを薄くすることが難しく、図4に示すように、他の箇所よりも厚みdが極端に厚い肉厚部を有していた。
上述したように、トピードカー1に収容された溶銑3を脱燐処理する際に、溶銑3の上方に設けられた上吹きランス5から酸素ガスを吹き付け、二次燃焼反応を起こす従来の予備処理方法は、脱燐処理中の温度降下の抑制には効果的である。しかし、上吹きランス5から噴射される酸素ガスの二次燃焼により生じる燃焼熱は、フリーボードの特に炉口付近の耐火物の損耗を早めてしまうという欠点がある。
これに対して、二次燃焼により生じる二次燃焼帯を溶銑3側へと低下させることで、二次燃焼帯からトピードカー1の炉口付近から遠ざけ、炉口付近の耐火物の損耗を抑制させることが考えられる。二次燃焼帯を低下させるための方法としては、上吹きランス5の先端から湯面までの距離であるランス高さHを低下させる方法が有効である。しかし、ランス高さHを低下させることにより、ハードブロー(噴射された酸素ガスの湯面に対する動圧が高い状態)となり、さらに上吹きランス5への輻射熱が大きくなることから、発生するスプラッシュや発塵が増加する。
輻射熱やスプラッシュの増加は、上吹きランス5の損耗を助長させるため、上吹きランス5内部の冷却水の水漏れ等のトラブルの原因となる。さらに、従来の上吹きランス5は、厚みdが厚く冷却能が低いことから、先端部が損耗しやすく、使用できなくなるまでの寿命が短かった。また、発生するスプラッシュや発塵の増加は、環境や安全上の理由から処理が継続できなくなる原因となる。このようなハードブロー化に伴う問題に対して、酸素ガスの流量を低下させることで、ハードブロー化を抑えることができる。しかし、流量が低下することで燃焼熱の熱量が低下し、溶銑温度を向上させるための効果が十分に得られなくなることがある。
これに対して、本実施形態に係る溶銑の予備処理方法では、上吹きランス4に急拡大ノズル41を適用することにより、酸素ガスの流量が高い状態でランス高さHを低くしても、酸素ガスがソフトブローとなる。このため、発生するスプラッシュや発塵を抑制させながらも、耐火物の溶損を低減することができる。また、上吹きランス4は、ランス背圧を従来の上吹きランス5よりも高くすることができるため、ランス高さHを低くしても地金が混入する恐れがない。
また、本実施形態の上吹きランス4は、製造方法が従来の鍛造から鋳造に変更されたことにより、厚みdが大幅に薄くなる。これにより、本実施形態に係る溶銑の予備処理方法では、熱輻射の影響を受け易い上吹きランス4の先端部の冷却能が従来の上吹きランス5よりも大幅に向上し、溶銑3からの輻射熱の影響を小さくすることができる。このため、ランス高さHを低くした場合でも損耗を抑制することができ、上吹きランス4の水漏れ等のトラブルを抑制できる。さらには、上吹きランス4の冷却能が大幅に向上することから、従来の上吹きランス5を用いた予備処理方法に比べ、ランス高さHを低くした場合においても、ランスの寿命を向上させることができる。
さらに、上吹きランス5を用いた従来の予備処理方法は、耐火物の溶損が大きい場合やトピードカー1の稼働状況から耐火物の溶損を抑えたい場合には、上吹きランス5からの酸素ガスの流量を低減して脱燐処理する必要があった。これに対して、上吹きランス4を用いた本実施形態に係る溶銑の予備処理方法は、二次燃焼帯が低くなり、耐火物の溶損が抑制されることから、従来の予備処理方法に比べ、酸素ガスの流量を低減する状況が少なくなり、酸素ガスの平均流量を増加させることができる。このため、本実施形態に係る溶銑3の予備処理方法は、二次燃焼を促進させることができ、脱燐処理に伴う溶銑3の温度降下をさらに抑制することができる。
<変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、上吹きランス4には、一対の急拡大ノズル41が設けられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、トピードカー1の形状、上吹きランス4の吹き込み位置、上吹きランス4の角度等に応じて、一または複数の急拡大ノズル41が設けられてもよい。また、このような場合、上吹きランス4の先端部における急拡大ノズル41が設けられる位置や、急拡大ノズル41の吐出角等の条件は、トピードカー1の形状、上吹きランス4の吹き込み位置、上吹きランス4の角度等に応じて適宜設定される。
<本発明の実施形態の効果>
本実施形態の効果を以下に説明する。
(1)本実施形態に係る溶銑の予備処理方法は、溶銑3に酸素ガスを吹き付ける二次燃焼工程を備え、二次燃焼工程において、溶銑3上面から上吹きランス4の先端までの高さHを500mm以上1000mm未満とし、ノズル41は、円形断面の縮径部41aと、縮径部41aよりも先端側に連続して設けられ縮径部41aよりも大きな直径r2の円形断面からなる拡径部41bとを含む。
上記構成により、本実施形態に係る溶銑の予備処理方法は、酸素ガスの流量が高い場合でもノズル41から噴射される酸素ガスをソフトブロー化させることができ、ランス高さHを低くすることができる。このため、フリーボード内での二次燃焼帯を低くすることができることから、上吹きランスか4ら吐出される酸素ガスの流量を低下させることなく、トピードカー1の耐火物の溶損を低減することができる。
また、本実施形態に係る溶銑の予備処理方法は、耐火物の溶損を抑制しながらも二次燃焼を促進させることができるため、脱燐処理に伴う温度降下を抑制することができる。
上記構成により、溶銑の温度低下による種々のトラブルや精錬コストの増加が抑えられ、上記トピードカーを用いた溶銑予備処理比率の増加および生産性の向上を図ることができる。
(2)縮径部41aの直径r1は、拡径部41bの直径r2の50%以上70%以下である。
上記構成により、本実施形態に係る溶銑の予備処理方法は、噴射される酸素ガスの流速を目標とする流速まで確実に小さくすることができる。
(3)上吹きランス4は、冷却水が流れる冷却水供給路43を有し、ノズル41の先端から冷却水供給路43までの最短直線距離(厚みd)は、10mm以上25mm以下である。
上記構成により、本発明に係る溶銑の予備処理方法は、上吹きランス4の冷却能を高めることができる。このため、上吹きランス4のランス高さHを低くした場合でも、上吹きランス4の寿命を向上させることができる。
(4)上吹きランス4の長手方向軸線とノズル41の長手方向軸線とのなす角度である吐出角θは、10°以上15°以下とする。
上記構成により、本実施形態に係る溶銑の予備処理方法は、二次燃焼帯を低くすることができ、さらにフリーボードの広い範囲で二次燃焼を生じさせることができる。このため、二次燃焼による昇熱効果を十分に得ることができる。
(5)上吹きランス4は2つのノズル41を有し、2つのノズル41は、トピードカー1の長手方向に平行且つそれぞれ逆向きの方向に、上吹きランス4の長手方向軸線とノズル41の長手方向軸線とのなす角度である吐出角θを形成するように設けられる。
上記構成により、フリーボードの広い範囲で二次燃焼を生じさせることができるため、二次燃焼による昇熱w効果を十分に得ることができる。
次に、本発明者らが行った実施例を説明する。
実施例では、280tの溶銑3を収容したトピードカー1で、インジェクションランス2および上吹きランス4を用いて脱燐処理を含む酸化精錬による予備処理を行った。表1に、実施例および比較として行った従来の予備処理方法による比較例の条件をそれぞれ示す。
Figure 0006098572
実施例では、図2および図3に示す一対の急拡大ノズル41を備えた、外径が139.8mmφで、長さ785mmである鋳造製の上吹きランス4を用いて脱燐処理を行った。急拡大ノズル41の縮径部の内径は18.8mmφ、拡径部の内径は29mmφとした。また、急拡大ノズル41の先端から冷却水供給路43までの最短直線距離である厚みdは、12mmとした。さらに、実施例では、ランス高さHを800mmとし、上吹きランス4の送酸速度(噴射される酸素ガスの流量)を20Nm/minとした。
比較例では、図4および図5に示す一対のストレートノズル51を設けた、鍛造製の上吹きランス5を用いて脱燐処理を行った。ストレートノズル51の内径は16mmφとし、厚みdは60mmとした。さらに、比較例では、ランス高さHを1000mmとし、上吹きランス5の送酸速度を15Nm/minとした。
また、実施例および比較例ともに、インジェクションランス2から脱燐フラックスと酸素ガスを吹き込み、溶銑3の予備処理として脱珪処理および脱燐処理を行った。インジェクションランス2からの酸素ガスの送酸速度は、ともに15Nm/minとした。さらに、処理に用いた溶銑3は、予め高炉で鋳床脱珪(脱珪剤添加による脱珪処理)を施した、1350〜1400℃の溶銑とした。
さらに、実施例および比較例では、予備処理の開始前及び終了後に、溶銑3のサンプリング及び測温を行った。
図6および図7に、実施例および比較例での予備処理の結果を示す。図6の横軸の脱珪外酸素量(Nm/t)は、インジェクションランス2から吹き込んだ酸素源(気体体積換算)から、脱珪反応に使用された酸素量(気体体積換算)を減じた溶銑1tあたりの酸素量である。脱珪外酸素量が同じ値であれば、脱燐反応に使用された酸素量が同じであることを示す。図6の縦軸の脱燐酸素効率(%)は、脱珪外酸素量のうち脱燐反応に使用された酸素量(気体体積換算)の割合を示している。
また、図7の横軸の上吹き酸素量(Nm/t)は、溶銑1tあたりに、上吹きランス4,5から吹き込まれた酸素の総量を示す。図7の縦軸のΔT/ΔP(℃/0.001mass%)は、予備処理前後での溶銑3の温度変化量を、溶銑3の燐濃度変化量で除した値である。ΔT/ΔPは、低位であるほど熱補償がされていること(脱燐処理に伴う温度降下が抑制されていること)を示す。
なお、図6および図7は、以下の条件で予備処理を行ったときの結果である。
予備処理前の溶銑中珪素濃度 :0.20〜0.30mass%
溶銑中燐濃度 :0.120〜0.140mass%
溶銑温度 :1400℃以下
予備処理後の溶銑中燐濃度 :0.040〜0.080mass%
トピードカーへのスクラップ入れ置き:なし
図6および図7から明らかなように、脱燐性能および熱付与性能のいずれの結果についても、実施例は比較例と同等の性能を有することが確認できた。
さらに、本発明の効果を評価すべく、図8に耐火物への影響を評価した結果を示す。図8の横軸の上吹き起算原単位(Nm/t)は、個々のトピードカー1について稼動開始から修理落ちするまでの間に、上吹きランス4,5から吹き込まれた酸素ガスの1チャージ(1回の予備処理)あたりの平均総量を示す。図8の縦軸の耐火物損耗速度(mm/回)は、個々のトピードカー1の稼働開始から修理落ちまでの間の、耐火物の厚みの変化量を、高炉での受銑回数で除した値である。耐火物損耗速度は、大きいほど耐火物の損耗速度が大きいことを示す。なお、実施例1〜3は、ランス高さHが800mm,700mm,500mmにおける結果をそれぞれ示す。実施例1〜3のランス高さ以外の操業条件については、上述の実施例と同じである。
図8より、実施例では、比較例に対して上吹きランスからの送酸量が同一であっても、耐火物損耗速度が低位であることが確認できた。さらに、ランス高さHが低くなるに伴い、耐火物損耗速度が低下することが確認できた。
さらに、図9に上吹きランス4,5の寿命を比較した結果を示す。これより、実施例では、比較例に対して、ランス高さHを1000mmから800mmに低下させているにも関わらず、ランス寿命が向上することがわかった。これは、上吹きランス4を、鍛造製から鋳造製に変え、先端部の厚みdが比較例の60mmから12mmへと薄くなったことによる、冷却能向上効果の寄与であると推察される。
以上の結果から、実施例の上吹きランス4を用いた予備処理方法では、低いランス高さHで、且つ酸素ガスの流量を低下させることなく、噴射する酸素ガスをソフトブロー化させることにより、トピードカー1の耐火物の溶損を抑制しながらも、脱燐処理における熱余裕を増大することができることが確認できた。また、実施例の上吹きランス4を用いた予備処理方法において、上吹きランス4の寿命が向上することが確認できた。
1 :トピードカー
2 :インジェクションランス
3 :溶銑
4 :上吹きランス
41 :急拡大ノズル
41a :縮径部
41b :拡径部
42 :冷却水供給路
43 :酸素ガス供給路
51 :ストレートノズル
52 :冷却水供給路
53 :酸素ガス供給路

Claims (4)

  1. トピードカーに収容された溶銑を脱燐処理する際に、
    前記溶銑の上方に配置した上吹きランスのノズルから前記溶銑に酸素ガスを吹き付ける二次燃焼工程を備え、
    前記二次燃焼工程において、前記溶銑の上面から前記ノズルの先端までの高さを500mm以上1000mm未満とし、
    前記ノズルは、円形断面の縮径部と、前記縮径部よりも先端側に連続して設けられ前記縮径部よりも大きな直径の円形断面からなる拡径部とを含み、
    前記縮径部の直径は、前記拡径部の直径の50%以上70%以下であることを特徴とする溶銑の予備処理方法。
  2. 記上吹きランスは、冷却水が流れる冷却水供給路を、前記ノズルよりも前記上吹きランスの径方向外方に少なくとも有し、
    前記ノズルの先端から前記冷却水供給路までの最短直線距離は、10mm以上25mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  3. 前記上吹きランスの長手方向軸線と前記ノズルの長手方向軸線とのなす角度である吐出角は、10°以上15°以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑の予備処理方法。
  4. 前記上吹きランスは2つの前記ノズルを有し、
    2つの前記ノズルは、前記トピードカーの長手方向に平行且つそれぞれ逆向きの方向に、前記上吹きランスの長手方向軸線と前記ノズルの長手方向軸線とのなす角度である吐出角を形成するように設けられることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の溶銑の予備処理方法。
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