JP5506789B2 - 溶鉄の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鉄の製造方法に関する。また、本発明の製造方法は、溶鉄製造方法におけるLD転炉操業方法の改善方法に関するものでもある。
現在の鉄鋼業の主流としては高炉−転炉法が広く使用されている。高炉法では、鉄鉱石を主原料とし、コークスを還元剤として、加熱された高温度の空気を吹き込むことで鉄鉱石を還元し、溶銑と呼ばれる炭素飽和状態の溶鉄が製造される。
その他に、溶銑製造方法としては、DIOSやFINEXやSMP(冷鉄原溶解)法が知られている。鉄鉱石を天然ガスや石炭で還元して得られる還元鉄は、通常は固体状態で得られるために、転炉法や電気炉法の補助的な鉄原料として利用されている。
ところで、通常溶銑中には鋼材にとって有害な量の硫黄、炭素、リンが含まれている。特にSMP法では、屑鉄中に含まれるCuを除去できないために種々の不都合が生じている。
この内、硫黄については、脱硫反応は温度が高いほど、また還元雰囲気下で反応が進みやすいために、転炉精錬の前処理として脱硫処理が施される。その後、脱硫処理が施された溶銑は転炉に装入されて、外部を水冷した金属製のランスを用いて上部から超音速の純酸素ガスを吹き付けるか、あるいは炉底部に設けられた酸素ガス吹き込み孔から純酸素ガスを吹き込むか、あるいはこの両方を併用する方法によって脱炭反応を起こさせ、所望の炭素含有量と所望の温度に調整される。また、リンについては、近年転炉精錬の前段として脱リン処理が行われるようになったが、転炉精錬において焼石灰を使用することで比較的容易に除去できる。
転炉精錬における必須の使命は、脱炭反応による所望する炭素含有量への制御と、次工程での円滑な操業を保証するための温度制御である。純酸素ガスによる脱炭反応は発熱反応であり、脱炭反応の進行に伴って溶鉄温度が上昇し、所望の温度よりも高くなり過ぎる場合がある。このような場合、通常は屑鉄等を併用し、屑鉄の融解熱を利用して温度が上がり過ぎることを抑制する。このような温度上昇抑制のために用いられる材料、いわゆる冷却材としては、屑鉄以外に、例えば鉄鉱石や石灰石等が用いられている。
このような従来の転炉プロセスにおいては、多量の転炉ダストが発生する、という問題点が知られている。この転炉ダストの発生は、転炉精錬における鉄分歩留りを約3%低下させるという損失に加えて、ダストが炉外に持ち出す顕熱ロス、さらにダスト処理費用が掛かる、等の経済的損失があり、ダスト発生量の低減は転炉プロセスにおける課題であった。
この転炉ダストは、主として以下の三つの現象によって生じることが知られている。
1)転炉において、溶銑中に純酸素ガスを吹き込むことで、溶銑中に吹き込まれた純酸素ガスは、その温度が約300Kから約1770Kに急加熱されるためにその体積は約6倍弱に膨張し、溶銑中を浮上しつつ該溶銑中の炭素と反応して2倍の体積のCOガスへと変化する。約1770Kの雰囲気温度における純酸素ガスと溶鉄中炭素との反応熱で、該COガス気泡の温度はさらに温度上昇をしながら溶銑中を浮上し溶鉄表面から離脱する際に破裂する。このCO気泡は、膨張しながら浮上して破裂するために、多量の溶鉄飛沫を雰囲気中へ跳ね飛ばす。それが排ガスと共に炉外へ持ち出され、転炉ダストとして集塵装置で捕集される。この溶鉄の飛沫は、一部は雰囲気中の酸素で酸化されるが、粒子の大きいものは表面が酸化されるだけで、内部は鉄のままで存在し、粗粒ダストと呼ばれて回収される。この転炉ダストはバブルバーストダストと呼ばれ、バブルバーストダスト発生量は純酸素ガスによる脱炭量に比例して増加する。
2)純酸素ガスが溶鉄と接触した際に、純酸素ガスと炭素や鉄が反応して火点と称する極めて温度の高い領域を形成する。火点の温度は鉄の沸点である2750℃を超えるほどの高温度と言われ、この火点領域において鉄の蒸気が発生し、排ガスと共に炉外に持ち出される。該鉄蒸気は、雰囲気中の酸素によって酸化され、ヒュームダストと呼ばれる微粉酸化鉄となる。このヒュームダストも集塵装置で捕集されて再度原料として使用される。
3)純酸素ガスジェットと溶銑が衝突する際に、衝突条件によって溶銑表面には凹面が形成され、この凹面に沿って流れるガス噴流によって吹き飛ばされる溶鉄粒が発生する。この現象をスピッチングと呼んでおり、この現象で発生するダストをスピッチングダストと称する。スピッチングダストは殆ど粗粒であり、粗粒ダストとして回収される。
このような転炉ダストの発生を抑制する方法として種々の方法が検討されており、例えば、特許文献1では、上吹ランスに同心状に設置した複数個の環状ガスノズルの軸心面が互いになす角度、径、および配置を適正化して、ランスから噴出するガスジェットを円周方向及び半径方向に平滑化することによって、スピッチングに起因するダストの低減ができることが開示されている。
また、特許文献2〜6には、スピッチングダストやヒュームダストの防止方法が開示されている。これらの方法では、純酸素ガスによる脱炭量は減少していないので、バブルバーストダストの減少は期待できない。スピッチングダストの減少方法としては、酸素ジェットのソフトブロー化が有効で、前記特許文献に記載されているようにジェットの形状を変えたり、ランスと溶銑上面の距離を多くして酸素ジェットの衝突力を適正に維持したり、酸素ジェットの噴出口を複数個に分散し、かつ噴射角度を適正に選択したり、粘性の低いスラグを早期に形成せしめてスピッチングダストをスラグによって捕捉せしめたりする、等の様々な方法が知られている。また、ヒュームダストの防止方法としては、原理的に火点温度を下げることで防止可能ではあるが、火点を冷却するためだけの物質を使用することはエネルギーロスにつながることであり、一般的には採用されていない。
このように転炉ダスト防止については、転炉精錬の本質に関わっているために、今日まで解決されないままに残された課題である。
特開平9−256022号公報 特開平6−256832号公報 特開2005−15891号公報 特開2005−290515号公報 特開昭58−193309号公報 特開2006−342370号公報
本発明の第一の課題は、転炉ダストの発生を最少に抑制することである。本発明は、この転炉プロセスにおけるダスト発生量を最少にして、省エネルギー効果を享受すると同時に、併せて鉄分歩留りの改善やダスト処理費削減の経済効果を享受することを実現するものである。
本発明の第二の課題は、転炉プロセスの熱的な自由度を拡大することにより、市況によって使用する鉄源の選択肢を拡大することである。「市況によって使用する鉄源の選択肢を拡大する」とは下記のような意味である。
転炉精錬における熱源は、溶銑の顕熱と溶銑中の燃焼物質の反応熱のみである。特殊な事例として、転炉精錬途中において溶銑中に炭素源を新に添加することによって熱源を付加することが行われている。このように、転炉精錬においては、主原料の持つ熱源に限りがあるために、その熱源の範囲内での副次的な鉄源選択の自由度しか無かった。
ところで、副次的な鉄源としては屑鉄や鉄鉱石や還元鉄などがあるが、これらの価格は市況によって大幅に変化する。屑鉄価格が暴落した場合は、高炉法によって得られる溶銑よりも屑鉄を多く使用した方が経済的に有利であるが、熱源制約からその使用量が制限される。また逆に、屑鉄価格が暴騰した場合は、鉄鉱石などを多く使用した方が有利であるが、鉄鉱石は屑鉄に比べて3倍以上の熱を消費するために、益々その使用量を制限される。この課題を解決して、副次的な鉄源の選択の自由度を拡大することが本発明の第二の課題である。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、炭素を含有する溶銑を転炉に供給する第一工程、酸化鉄を該転炉内に連続的に投入する第二工程、該溶銑に対して燃料ガス及び助燃ガスからなる混合ガスを音速以上の速度で吹き付けて燃焼反応を起こさせることにより該燃焼反応熱を利用して該溶銑を加熱し蓄熱する第三工程、を含む溶鉄の製造方法とすることで、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。
即ち、本発明は、下記態様の発明を提供する。
項1.炭素を含有する溶銑を転炉に供給する第一工程、
酸化鉄を該転炉内に連続的に投入する第二工程、
該溶銑に対して燃料ガス及び助燃ガスからなる混合ガスを音速以上の速度で吹き付けて燃焼反応を起こさせ、該燃焼反応熱によって該溶銑を加熱する第三工程、
を含む溶鉄の製造方法。
項2.酸化鉄の添加量が、第一工程で供給した溶銑に含まれる炭素分及びその他の酸素と結合可能な化学成分を所望の含有量にまで低下するために必要な量の酸素分を含む酸化鉄量以上である上記項1に記載の溶鉄の製造方法。
項3.燃料ガス及び助燃ガスを、外部を水冷した金属管の内部で混合し、該水冷金属管の出口にラバルノズルを設置して音速以上の速度で噴射し、溶銑及び酸化鉄の上部から吹き付ける上記項1又は2に記載の溶鉄の製造方法。
項4.燃料ガス及び助燃ガスの混合ガスを、転炉底部から溶銑中に吹き込み、該溶銑中で燃焼反応を起こさせることにより加熱する上記項1〜3のいずれかに記載の溶鉄の製造方法。
本発明の製造方法により、転炉ダストの発生量を最少にして、省エネルギー効果を享受すると同時に、併せて鉄分歩留りの改善やダスト処理費削減の経済効果を享受することができる。また、本発明の製造方法は、燃料ガスと助燃ガスによる燃焼反応熱を使用することによって、転炉プロセスの熱的な自由度を拡大することができ、その結果、市況によって使用する鉄源の選択肢を拡大することができる。つまり、本発明の製造方法は、鉄鋼製造方法における転炉操業方法の改善方法を提供するものでもある。
本発明の溶鉄の製造方法は、
炭素を含有する溶銑を転炉に供給する第一工程、
酸化鉄を該転炉内に連続的に投入する第二工程、
該溶銑に対して燃料ガス及び助燃ガスからなる混合ガスを音速以上の速度で吹き付けて燃焼反応を起こさせ、該燃焼反応熱によって該溶銑を加熱する第三工程、
を含むものである。
以下、本発明の製造方法の各工程について詳細に説明する。
1.第一工程
第一工程では、炭素を含有する溶銑を転炉に供給する。
溶銑の炭素含有量は、特に限定されるものではないが、溶鉄中1〜5重量%であることが可能であり、3〜5重量%であることが好ましい。第一工程で用いる炭素を含有する溶銑としては、例えば、高炉から出銑された溶銑であってもよい。また、予め脱硫反応、脱リン反応等を施した溶銑も用いることができる。
また、本発明においては、炭素を含有する溶銑とともに屑鉄を転炉に供給してもよい。屑鉄としては、特に限定されるものではなく、本分野において通常用いられる屑鉄を適宜用いることができる。また、屑鉄の形状や大きさは特に限定されるものではなく、適宜決定することができる。
溶銑や屑鉄の供給量は、特に限定されるものではなく、用いる転炉の容量等によって適宜決定すればよいものである。例えば、炭素を含有する溶銑100重量部に対して、屑鉄を30重量部以下であることが好ましい。屑鉄が前記範囲を超えると、必要な熱量補給が増大するために、精錬時間が延長されて、全体の工程の時間的なバランスを崩してしまう傾向がある。従って、鉄鋼製造工程全体の経済性や屑鉄の市況などを総合的に勘案して屑鉄の使用量を選択すれば良い。
また、転炉において、第三工程で用いる燃料ガス及び助燃ガスからなる混合ガスの導入孔は、容器の上部、底部及び/又は側壁部のいずれに設けてもよい。混合ガスを底部及び/又は側壁部から導入する場合は、音速以上の速度である必要はない。
2.第二工程
第二工程は、転炉精錬の第一の目的である脱炭反応を行って所望する炭素含有量の溶鉄を得ること、併せて、次工程との関連で所望する温度の溶鉄を得ること、さらに、所望する鋼材の材質から求められるリン含有量の溶鉄を得ること、を目的に操業が行われる。
第二工程では、主として脱炭反応の酸素源としての酸化鉄を該転炉内に連続的に投入する。ここで、連続的にとは、溶銑中の炭素含有量が所望の値に到達するまで、酸化鉄を継続的に転炉内に添加する態様である。溶鉄中の炭素含有量が多い状態で酸化鉄の添加が途絶えると、溶鉄中の炭素と燃焼反応で発生したCO及び/又はHOが反応して、それぞれCOガス及び/又はHガスを発生し、燃焼反応で発生する熱量を低下させてしまう。つまり、吸熱反応が起こって燃料ガスの熱効率が低下する。
一般的に転炉精錬時間は10〜30分程度であることから、酸化鉄の供給速度は、特に限定されないが、0.1〜10トン/分程度であることが好ましく、2〜7トン/分程度がより好ましい。
また、供給時間は、第一工程で装入した溶銑の量によって決定される酸化鉄の供給量及び前述の供給速度によって適宜決定されるものであるが、例えば、1〜30分(好ましくは10〜30分、より好ましくは10〜20分)継続的に転炉内に酸化鉄を添加することが好ましい。
酸化鉄としては、例えば、鉄鉱石、粉鉱石ペレット、焼結鉱、鉄ダストペレット、鉄ダストブリケット等を挙げることができる。
本発明においては、脱炭反応に必要な酸素供給源として鉄鉱石に代表される酸化鉄を主として使用する、という点に特徴がある。従来の転炉法においては、純酸素ガスを溶鉄中に吹き込んで脱炭反応を行う方法が主流であった。従って、酸化鉄の保有する酸素を主な酸素供給源として脱炭反応をする本発明は全く新しい技術である。
この酸化鉄の酸素による脱炭反応とは、酸化鉄の還元反応のことである。該還元反応は吸熱反応であるため、反応にあたっては外部から大量の熱を供給する必要がある。従来、このような熱源を供給することは困難であったため、酸化鉄の保有する酸素を主な酸素供給源とする脱炭反応は行われなかった、という背景がある。本発明においては、後述する燃料ガスと助燃ガスの混合ガスを溶鉄へ吹き込み燃焼反応を起こさせて、その燃焼反応熱により溶鉄を加熱し蓄熱することで、脱炭反応の主体を酸化鉄の還元反応(吸熱反応)に転換することを可能としたものである。
本発明においては、このような酸化鉄の保有する酸素による脱炭反応を採用することによって、転炉ダストの発生を極めて少量に抑制することが出来る。以下に、酸素源として鉄鉱石を用いた場合を例にして、このメカニズムを説明する。
鉄鉱石は溶鉄と溶け合う事は無く、かつ、比重が溶鉄より小さいため、転炉内に添加された鉄鉱石は、燃料ガスと助燃ガスの混合ガスジェットと共に溶鉄中へ巻き込まれた後に浮上して溶鉄上面に浮かんでいる。該鉄鉱石と溶鉄中に溶解している炭素が接触すると、該炭素は極めて活性度が高いために直ちに鉄鉱石の保有する酸素と結合してCOガスを発生し、鉄鉱石の保有する鉄分は還元されて鉄となる。この還元反応は鉄鉱石表面で起こる。また、この反応は吸熱反応なので、反応が進むほどCOガス気泡の温度は低下する傾向にあり、従って急激な体積膨張をしながら気泡が成長する純酸素ガスによる脱炭反応におけるCOガス気泡の挙動とは著しく異なることになる。
比重が溶鉄よりも小さい鉄鉱石は、一時的に溶鉄中に巻き込まれる事があっても、常に溶鉄上面近傍に浮上するため、鉄鉱石表面において起こる還元反応により発生するCOガス気泡は、常に該溶鉄上面近傍から雰囲気中へ離脱することになり、純酸素ガスによる脱炭反応で発生するCOガス気泡によるバブルバースト現象は起こらない。
また、鉄鉱石と溶銑の接触面は、常温の鉄鉱石により冷却される事に加えて、脱炭反応が吸熱反応であるので、火点と呼ばれる高温度の領域(鉄の沸点である2750℃を超える領域)を形成することはない。従って、鉄が蒸発するヒュームダストの発生も防止できる。
つまり、本発明の製造方法においては、バブルバーストとヒュームダストの発生を防止できるために、転炉ダストの発生を極めて少量に抑制することが出来るものである。さらに、従来より知られているスピッチングダスト防止方法を併用することで、転炉ダストの発生をほぼ完全に防止することを可能とした。
酸化鉄の添加量としては、第一工程で供給した溶銑に溶解している炭素分及びその他の酸素と結合可能な化学成分(例えば、リン、ケイ素等)を所望の含有量にまで低下するために必要な酸素分を含む酸化鉄量以上であることが好ましい。
第一工程で転炉に供給した溶銑には、炭素分の他に、リン、ケイ素等の酸素と結合可能な化学成分を含有する。例えば、炭素は酸素と結合してCO又はCOを形成し(脱炭反応)、リンは酸素と結合して、リン酸イオン(PO 3−)を形成し(脱リン反応)、ケイ素は酸素と結合して、二酸化ケイ素(SiO)を形成して焼失する(脱ケイ素反応)。従って、溶鉄中の各成分の含有量を測定し、その含有量から所望の含有量にまで減少するために必要な酸素量を決定し、該酸素量に応じた酸化鉄量を決定することができる。本発明においては、このように決定された酸化鉄量以上の酸化鉄を添加することが好ましい。
ここで、所望の含有量とは、得られる溶鉄の使用用途に応じて適宜決定することができるものであるが、例えば、溶鉄中の炭素含有量は、約0.40重量%以下であることが好ましく、リン含有量は、約0.030重量%以下であることが好ましい。
また、本発明の製造方法によって生成されるスラグ中にも酸化鉄が含有されたり、酸化鉄の添加時に添加ロス等が発生したりするため、それらの量を考慮して、酸化鉄を添加することが好ましい。つまり、本発明において酸化鉄の添加最大量は、各成分を所望の含有量にまで低下するために必要な酸素分を含む酸化鉄量に、前記スラグ中に含まれる酸化鉄量と添加ロス分の酸化鉄量を足し合わせた量とする。
具体的には、鉄鉱石を用いる場合、用いた溶銑の総重量に対して24〜30重量%の鉄鉱石を用いることが好ましい。従来の転炉操業においては、溶銑重量に対して10%程度が限界とされており、本発明においては、従来の操業と比較して約2〜3倍の鉄鉱石を使用することができる。
本発明における鉄鉱石の使用量の限界値は、主として溶銑中の炭素、珪素、マンガン、リン等の含有量を全て除く酸素量から決定される。これらの中でも、リン、マンガンは、その含有量も少ないため、鉄鉱石の使用量を決定する際に大きな影響を及ぼすものではない。つまり、鉄鉱石の使用量を決定するにあたり考慮が必要となるのは、溶銑中の炭素、珪素の含有量である。一方、従来の転炉操業では、鉄鉱石の使用量の限界値は、熱源によって決まるものであり、通常の溶銑であれば屑鉄量にして約30重量%、鉄鉱石にして約10重量%がその上限である。
3.第三工程
本発明の第三工程においては、溶銑に対して燃料ガス及び助燃ガスからなる混合ガスを音速以上の速度で吹き付けて燃焼反応を起こさせてその燃焼反応熱によって該溶銑を加熱する。
前述したように、本発明においては、燃料ガスと助燃ガスの混合ガスを溶銑中へ吹き込むことにより、酸化鉄の保有する酸素を主な酸素供給源とする脱炭反応を促進するために必要な熱量を供給することができるものである。
混合ガスの吹き付け速度は、音速以上であり、マッハ数1〜3程度が好ましい。本発明においては、混合ガスの吹き付け速度が音速以上であることにより、高い機械的エネルギーを保有することから該混合ガスが溶鉄中へ深く侵入し燃焼反応熱を溶鉄へ伝達することから、高い熱効率で溶鉄を所望の温度まで加熱することができるものである。
燃料ガスとしては、助燃ガスにより燃焼してCO及び/又はHOを発生するガスであり、例えば、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)、ブタンガス、コークス炉ガス、重油や軽油を噴霧状態にしたもの等を挙げることができる。
助燃ガスとしては、純酸素、空気等を挙げることができる。
燃料ガスと助燃ガスの混合比としては、例えば、完全燃焼する混合比を挙げることができる。完全燃焼混合比は、用いるガスの種類によって変動するため、用いる燃料ガスと助燃ガスの種類によって適宜決定することができる。具体的には、例えば、燃料ガスがLNGであり、助燃ガスが純酸素ガスである場合、完全燃焼比率(体積比)は、燃料ガス:助燃ガス=1:2.30であり、燃料ガスがLPGであり、助燃ガスが純酸素ガスである場合、燃料ガス:助燃ガス=1:5.12である。
また、本発明においては、該混合ガスの燃料ガスと助燃ガスの混合割合によって転炉内の反応を制御できる。つまり、該混合ガス中の燃料ガス比率を前記完全燃焼混合比より高くすれば燃焼反応によって生成する発生ガス中に未反応の燃料ガスを含むために還元性雰囲気を形成し、逆に助燃ガスの比率を高くすれば酸化性雰囲気を形成する。この雰囲気制御機能を活用することによって脱炭反応や脱リン反応を制御することが容易になる。
この時に、燃料ガスと助燃ガスの比率は、許される精錬時間によって決定する。つまり、吹き込みガス中の助燃ガス量の比率を高めるほど(つまり、酸化性雰囲気)、溶鉄内部での脱炭反応が促進されるが、それに伴って純酸素ガスによる脱炭反応比率が高くなるためバブルバースト現象が発生し、また火点が形成され易くなるのでダスト発生量が多くなる。従って、時間的な裕度の範囲内で、酸化鉄による脱炭反応を優先することが好ましい。
前述のような理由により、燃料ガスと助燃ガスの混合比は一概に決定できるものではないが、例えば、体積比で、燃料ガス:助燃ガス=1:1〜10程度を挙げることができる。
溶鉄の加熱温度は、次工程との関係により適宜決定されるものであるが、通常は、1600〜1700℃程度であり、1620〜1680℃程度である。
本発明においては、前記燃焼反応熱により溶鉄を加熱することができるが、それと同時に、高温の燃焼反応熱によって発生する排ガス(COガス及び/又はHOガス)によって溶鉄を強力に攪拌することができる。
また、溶鉄の攪拌を強化するために、転炉の底部又は側壁部の溶鉄上面より下部の位置から、酸素ガス、窒素ガス、空気、炭酸ガス、燃料ガス等のガスを吹き込むことができる。
本発明においては、燃料ガス及び助燃ガスを、外部を水冷した金属管の内部で混合し、該混合ガスを該水冷金属管の出口に設置されたラバルノズルによって音速以上の速度で噴射し、溶鉄上面近傍あるいは溶鉄内部で燃焼反応を発生せしめるように、溶鉄及び酸化鉄の上部から吹き付けることが好ましい。また、燃料ガス及び助燃ガスの混合ガスを、転炉炉底部から溶鉄中に吹き込み、該溶鉄中で燃焼反応を起こさせることもでき、前記上部からとの吹きつけと併用することもできる。
また、金属管の混合ガス吹き出し口は、溶鉄上面に近い方が好ましく、ガスジェットによって発生する溶鉄のスプラッシュによるランス先端の損耗が激しくない範囲であることが好ましい。この範囲にすることで、該混合ガスを極力溶鉄中に深く吹き込むことができるため、好ましい。また、具体的数値としては、炉の形状やサイズ等に依存するため一概に決定できないが、例えば、溶鉄上面から0.5〜2.5m程度を挙げることができ、特に好ましくは、1〜2m程度である。
金属管としては、先端にラバルノズルを設置し、該ラバルノズル内部で該混合ガスを形成せしめることが、ノズル出口において音速以上を得られる点から好ましい。このような音速以上のガスジェットの形成方法は、ラバルノズルの技法によって広く知られており、例えば、特開平6−73431号公報、特開平6−73433号公報に記載されている。
溶鉄温度は、その炭素含有量に対応する融点よりも約100℃以上高めに維持されているために、溶鉄中に突入した燃料ガスと助燃ガスの混合ガスは、約1253℃以上の高温反応室に閉じ込められた状態になって、例え未燃焼部分が存在していても速やかに燃焼反応が起こり完全燃焼する。こうして形成された燃焼反応による排ガスの気泡は、溶鉄中を熱交換しながら浮上する。この過程で燃焼反応による排ガスの気泡の一部が溶鉄中の炭素と結合してCO+C⇒2CO、及び/又はHO+C⇒H+COという吸熱反応を起こし、その結果総合的な熱効率は約80%程度となる。
また、溶銑中の炭素によって還元された酸化鉄の鉄分を効率よく回収するためには、溶鉄と酸化鉄とが強力に攪拌されることが好ましい。このような観点から、溶鉄中に吹き込まれた該混合ガスから発生する排ガスの気泡浮上位置は、溶鉄に添加され、溶鉄上面に浮遊している酸化鉄の下部に位置するように制御することが好ましい。制御方法としては、例えば、燃料ガスと助燃ガスの供給場所(例えば、炉底から供給する等)や、上部からの吹き込み圧力や吹き込み角度等で制御する方法が挙げられる。
また、該音速以上の混合ガスの噴出孔は、垂直方向のみならず、垂直に対して45度以内の傾斜角度を有する複数個(好ましくは2〜6個、より好ましくは6個)で構成される事も可能である。
燃料ガス及び助燃ガスの供給量は、加熱温度、供給した溶鉄の量等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。
また、通常溶銑中には有害なリン分を含むため、本発明においては、該リン分を除去する脱リン反応を行うことが好ましい。脱リン方法としては、焼石灰を添加する方法が知られている。従来の転炉操業においては溶鉄中の炭素分が低下するにつれて純酸素ガスによって鉄分が酸化されて酸化鉄を生じるが、これが副原料として添加された焼石灰と共存することによってリンを酸化してリン酸とし焼石灰と反応させて脱リン反応を進行させる。しかし本発明では、予め該リンの酸化に見合う量の鉄鉱石を余分に添加しておく。焼石灰の添加量は、特に限定されるものではなく、溶鉄中のリン含有量によって適宜決定することができる。
本発明の製造方法においては、焼石灰の総添加量のうち約半量程度を最初に転炉内に添加して、燃料ガスと助燃ガスの混合ガスを吹き込むことによって該焼石灰を炉壁部に押し付ける。その後で酸化鉄を転炉中心領域に投入して脱炭反応を起こさせる。
残りの焼石灰は、極力溶鉄中の炭素含有量が低下した時点で溶鉄へ添加することが好ましい。該焼石灰の添加時期としては、溶鉄中炭素含有量が0.4%程度になってから以後が好ましいが、精錬時間の制約から焼石灰の溶解と脱リン反応が完了するに十分な時間が取れない場合は、それ以前に添加しても良い。
また、本発明において、溶鉄中の炭素含有量が約0.4%程度まで低下すると、溶鉄中炭素の活性度が低下し、酸化鉄中の酸素との反応が遅くなってくる。従って、特に脱炭反応速度を上げたい場合は、溶鉄中に吹き込む混合ガスの燃料ガスを減少するか、あるいは燃料ガスをゼロにして純酸素ガスのみとするか、等の方法によって酸化力の強いガスによって脱炭反応を促進させることができる。この場合は、添加する鉄鉱石量を炭素含有量0.4%から所望の炭素量に脱炭するに見合う量だけ減じる必要がある。また、純酸素ガス脱炭を行えば、その脱炭量に比例してバブルバーストダストが増える。
本発明においては、このような燃料ガスと助燃ガスによる燃焼反応熱を使用することによって、転炉プロセスの熱的な自由度を拡大することができる。熱的自由度の拡大は、例えば鉄鉱石と屑鉄との市況によって有利な方を選択することを可能にする。鉄鉱石を使用する場合は屑鉄を使用する場合に比較して約3倍以上の熱量を必要とするため、所望する鋼材生産量と入手可能な溶銑量とのバランスから鉄鉱石の使用量が厳しい制限を受ける。転炉プロセスの熱的な自由度を拡大することは、この制限を著しく緩和することを可能にする。
また特殊な事例であるが、高炉の不調時には、溶銑の供給が止まる、あるいは極度に減少する事態となる。高炉不調に陥ると、最上流工程から供給される溶銑の供給量が減少するため、製鉄所全体の稼働率が低下し、莫大な損失を被ることになる。従来は、高炉不調に陥ると、被害を最小限に食い止めるために屑鉄使用量を増やし、そのために不足する熱源を無煙炭や土壌黒鉛などの炭素源を添加してそれを純酸素ガスで燃焼させて熱を補う手法が採られていた。しかしそれにも限界があり、高炉不調に陥ると著しい減産に追い込まれるのが通例であった。転炉プロセスの熱的な自由度を拡大することは、このような異常事態に際しても、被害度を大幅に減少することを可能にする。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
比較例(従来の転炉操業方法)
転炉の最大装入量が130トンである転炉設備を使用した。脱硫処理された後の溶銑温度が1450℃、炭素含有量が約4.5重量%、リン含有量が0.125重量%、珪素含有量が0.30%の溶銑100トンと屑鉄15トンを転炉へ装入した。その後、転炉上部から外部を水冷した金属製のランスの先端に設けられたラバルノズルを通して純酸素ガスを吹き付け、溶鉄の攪拌強化の目的で炉底部から炭酸ガスを吹き込んだ。そして純酸素ガスと溶銑が反応して着火すると、直ちに焼石灰5トンを転炉上部から炉内部へ投入した。
純酸素ガスは、マッハ数約2.0の速度で、流量速度約20,000Nm3/時間で吹き付け、約16分掛けて5,340Nm3を流し、途中で溶鉄温度を測定し、鉄鉱石700kg(鉄分含有量:約63重量%)を添加して精錬を終了した。
精錬終了時の溶鉄の温度は1650℃、炭素含有量は0.08重量%、リン含有量は0.015重量%であった。また溶鉄生産量は105.2トンであり、これから算出される鉄分歩留りは、
Figure 0005506789
であった。転炉精錬中に炉外へ飛散した鉄分が約1トン、転炉ダスト発生量が3.4トン、スラグと共に排出された鉄分0.8トンであった。
実施例1
比較例と同じ転炉である最大装入量が130トンである転炉設備を使用した。脱硫処理された後の溶銑温度が1450℃、炭素含有量が約4.5重量%、リン含有量が0.125重量%、珪素が0.30重量%の溶銑100トンを転炉へ装入した。その後、該転炉上部から転炉内に外部を水冷した金属製のランスの先端に設けられたラバルノズルを通して、LNGと純酸素ガスの混合比率を1:2.3とした混合ガスを、マッハ数約2.0の速度、約51,000Nm3/hの流量速度で該溶鉄の上部から吹き付け、該転炉の炉底部からは溶鉄の攪拌強化の目的で炭酸ガスを吹き込んだ。その後直ちに焼石灰3.5トンを該転炉上部から炉内部へ投入した。焼石灰を投入終了後、直ちに別の炉で乾燥された鉄鉱石(鉄分含有量:約63重量%)の投入を開始した。使用された該鉄鉱石量の総量は25トンで、約2トン/分の速度で約13分間連続投入された。精錬終了の約5分前に焼石灰2トンを転炉内に投入した。
精錬中に使用された該混合ガス量は約12,750Nmで、約15分間供給された。この時に、燃料ガスであるLNGの溶鉄原単位は約35.7Nm/トン・溶鉄であった。このLNGの燃焼によって得られる発熱量から計算される溶鉄への着熱効率は約75%であった。
精錬終了時の溶鉄温度は1650℃、炭素含有量は0.08重量%、リン含有量は0.017重量%であった。また溶鉄生産量は108.8トンであり、これから算出される鉄分歩留りは、
Figure 0005506789
であった。転炉精錬中に炉外へ飛散した鉄分が約1トン、転炉ダスト発生量が0.2トン、スラグと共に排出された鉄分0.8トンであった。
従来の転炉精錬方法である上記比較例の操業結果と比べると、同じ量の主原料の溶銑を使用して得られる溶鉄生産量が3.6トン多く、転炉ダスト発生量が3.2トン減少したことが確認できた。また、比較例と実施例1の比較により、屑鉄と鉄鉱石を比較して、市況価格によって経済的に有利な方を選択して使用しても、ほぼ同量の溶鉄を生産することが可能であることが確認され、主原料の選択肢が増えたことが確認された。
実施例2(水分20%含有鉄鉱石使用)
比較例と同じ転炉である最大装入量が130トンである転炉設備を使用した。脱硫処理された後の溶銑温度が1450℃、炭素含有量が約4.5重量%、リン含有量が0.125重量%、珪素含有量が0.3重量%の溶銑100トンを転炉へ装入した。その後、該転炉上部から転炉内に外部を水冷した金属製のランスを挿入して、LNGと純酸素ガスの混合比率を1:2.3とした混合ガスを、マッハ数約2.0の速度、約51,000Nm3/hの流量速度で該溶鉄の上部から吹き付け、該転炉の炉底部からは溶鉄の攪拌強化の目的で炭酸ガスを吹き込んだ。その後直ちに焼石灰3.5トンを該転炉上部から炉内部へ投入した。焼石灰を投入終了後、直ちに水分を約20%含有する鉄鉱石(乾燥時の鉄分含有量:約63重量%)の投入を開始した。使用された該鉄鉱石量の水分を含む総量は約30トンで、2トン/分の速度で約15分間連続投入された。精錬終了の5分前に焼石灰2トンを転炉内に投入した。
精錬中に使用された該混合ガス量は約17,000Nm3で、約20分間供給された。この時に、燃料ガスであるLNGの溶鉄原単位は約47.1Nm/トン・溶鉄であった。このLNGの燃焼によって得られる発熱量から計算される溶鉄への着熱効率は約57%であった。
精錬終了時の溶鉄温度は1650℃、炭素含有量は0.08重量%、リン含有量は0.017重量%であった。また溶鉄生産量は108.6トンであり、これから算出される鉄分歩留りは、
Figure 0005506789
であった。転炉精錬中に炉外へ飛散した鉄分が約1トン、転炉ダスト発生量が0.4トン、スラグと共に排出された鉄分0.8トンであった。
使用する鉄鉱石の水分含有量は、燃料の溶鉄への着熱効率を約18%悪化させていることが判明した。さらに水分の気化によるバブルの発生により転炉ダスト量が増加したと推定される。鉄鉱石は何らかの排ガスの顕熱利用で乾燥して使用することが好ましい。
実施例3
比較例と同じ転炉である最大装入量が130トンである転炉設備を使用した。脱硫処理された後の溶銑温度が1450℃、炭素含有量が約4.5重量%、リン含有量が0.125重量%、珪素含有量が0.30重量%の溶銑100トンを転炉へ装入した。その後、該転炉上部から転炉内に外部を水冷した金属製のランスの先端に設けられたラバルノズルを通して、LNGと純酸素ガスの混合比率を1:2.3とした混合ガスを、マッハ数約2.0の速度、約51,000Nm3/hの流量速度で該溶鉄の上部から吹き付け、該転炉の炉底部からは溶鉄の攪拌強化の目的で炭酸ガスを吹き込んだ。その後直ちに焼石灰3.5トンを該転炉上部から炉内部へ投入した。焼石灰を投入終了後、直ちに別の炉で乾燥された鉄鉱石(鉄分含有量:約63重量%)の投入を開始した。精錬を開始して約10分後に、炉底に設けられた微粉炭添加孔から窒素ガスをキャリヤーガスとして微粉炭を添加速度約0.6トン/分で約8分間、添加量として約4.5トンを吹き込んで終了した。この間も鉄鉱石は連続添加される。
鉄鉱石は約19分かけて該鉄鉱石量の総量約38トンが添加された(供給速度:約2トン/分)。鉄鉱石添加終了後に残りの焼石灰約3トンが添加され約24分で精錬を終了した。
精錬中に使用された該混合ガス量は約20,330Nmで、約24分間供給された。この時に、燃料ガスであるLNGの溶鉄原単位は約53.3Nm/トン・溶鉄であった。このLNGの燃焼によって得られる発熱量から計算される溶鉄への着熱効率は約75%であった。
精錬終了時の溶鉄温度は1650℃、炭素含有量は0.08重量%、リン含有量は0.017重量%であった。また溶鉄生産量は116.94トンであり、これから算出される鉄分歩留りは、
Figure 0005506789
であった。転炉精錬中に炉外へ飛散した鉄分が約1トン、転炉ダスト発生量が0.2トン、スラグと共に排出された鉄分0.8トンであった。
従来の転炉精錬方法である上記比較例の操業結果と比べると、同じ量の主原料の溶銑を使用して得られる溶鉄生産量が11.74トン多く、転炉ダスト発生量が3.2トン減少したことが確認できた。限られた溶銑量に対して鋼材を増産したい場合には有効な手段であることが判る。実施例3では、設備上限から使用する鉄鉱石量に限界があったが、例えば溶銑量を減らして鉄鉱石を増量することも可能である。また、実施例3では、鉄鉱石の還元に見合う石炭を微粉炭として炉底から添加したが、予め粉鉄鉱石と微粉炭を混合して固めたブリケットを使用することも可能である。この場合は、粉率が高くなるので多少鉄分歩留りが下がることが予想される。
以下の表1に、比較例、実施例1及び2の結果をまとめた。
Figure 0005506789

Claims (4)

  1. 炭素を含有する溶銑を転炉に供給する第一工程、
    酸化鉄を該転炉内に、溶銑中の炭素含有量が所望の値に到達するまで、酸化鉄を継続的に投入する第二工程、
    該溶銑に対して燃料ガス及び助燃ガスからなる混合ガスを音速以上の速度で吹き付けて燃焼反応を起こさせ、該燃焼反応熱によって該溶銑を加熱する第三工程、
    を含む溶鉄の製造方法。
  2. 酸化鉄の添加量が、第一工程で供給した溶銑に含まれる炭素分及びその他の酸素と結合可能な化学成分を所望の含有量にまで低下するために必要な量の酸素分を含む酸化鉄量以上である請求項1に記載の溶鉄の製造方法。
  3. 燃料ガス及び助燃ガスを、外部を水冷した金属管の内部で混合し、該水冷金属管の出口にラバルノズルを設置して音速以上の速度で噴射し、溶銑及び酸化鉄の上部から吹き付ける請求項1又は2に記載の溶鉄の製造方法。
  4. 燃料ガス及び助燃ガスの混合ガスを、転炉底部から溶銑中に吹き込み、該溶銑中で燃焼反応を起こさせることにより加熱する請求項1〜3のいずれかに記載の溶鉄の製造方法。
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