JP2010189668A - 転炉の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 その目的とするところは、酸化性ガスを上吹きして溶銑の脱炭精錬を実施するにあたり、高い脱炭酸素効率を維持した状態で、ダスト発生量を削減する。
【解決手段】 上吹きランス先端に設けたガス噴射ノズルの出口径(De)及びスロート径(Dt)が、ノズル出口部雰囲気圧(Pe)及び1000kPa以上とするノズル適正膨張圧(Po)に対して下記の(1)式の関係を満足する上吹きランスを用い、酸化性ガスを吹き付けて溶鉄中の炭素を酸化除去するにあたり、上吹きランスのランス高さ(H;(mm))と前記出口径(De)との比(H/De)が45以上75以下の範囲となるように上吹きランスの設置位置を調整するとともに、ガス噴射ノズルへの酸化性ガスの供給圧力(P)が前記適正膨張圧(Po)と同等になるように、酸化性ガスの供給圧力(P)を調整する。 (De/Dt)2=0.259×(Pe/Po)-5/7×[1-(Pe/Po)2/7]-1/2 …(1)
【選択図】 図4

Description

本発明は、上吹きランスから酸化性ガスを溶銑に吹き付けて、溶銑から溶鋼を溶製する転炉の操業方法に関し、詳しくは、脱炭酸素効率を高く維持しつつ、ダスト発生量を少なくすることのできる転炉操業方法に関するものである。
転炉での酸素吹錬における溶銑の脱炭精錬において、転炉の生産性向上の観点から、単位時間あたりの酸素ガス供給流量を高めた操業が採用されるに伴い、ダストなどとして炉外に飛散する鉄分や、炉口付近に付着・堆積する鉄分が増加している。これらの鉄分は、最終的には回収され、再度鉄源として利用されるが、この量が多くなると、回収に要するコストの増加、及び、転炉稼働率の低下を招くことから、転炉脱炭精錬における解決すべき重要な課題の1つとなっている。
従って、転炉での脱炭精錬におけるダストの発生及び抑制に関して、多くの検討・研究がなされており、ダストの発生機構については、バブルバースト(スピッティングまたは気泡の湯面離脱に伴い粒鉄が飛散する現象)による説と、ヒューム(鉄の蒸発)による説との2つの機構が提唱され、吹錬の進行に伴って各々の発生量及び発生比率が変化することが知られている。
また、ダストの発生を抑制する手段も多数提案されており、例えば、特許文献1には、上吹きランスの先端部に設けた噴射ノズルの少なくとも一つの噴射ノズルの出口径(De;(cm))とスロート径(Dt;(cm))との比De/Dtを、ノズルの出口部雰囲気圧(Pe;(kPa))とノズルの適正膨張圧(Po;(kPa))との関係式、つまり、「De/Dt=0.509×(Pe/Po)-5/14×[1-(Pe/Po)2/7]-1/4」からなる関係式から決定した溶鉄精錬用ランスを用いて、且つ、該ノズルの入り側圧Pと前記適正膨張圧Poとの比を、「1.2×Po≦P≦2.0×Po」或いは「P≦0.8×Po」の範囲として用いることを特徴とする溶鉄精錬方法が提案されている。
この技術は、ラバールノズル型の噴射ノズルから噴射される酸素ガスの噴流を適正膨張範囲から外れた範囲とすることにより、酸素ガス噴流のエネルギーを減少させ、それにより、バブルバーストに起因するダストの発生を抑制する技術である。しかしながら、ダストの発生量は抑制されるものの、噴射ノズルからの酸素ガス噴流は減速して浴面での酸素ガス噴流のエネルギーは減少し、超音速の噴流を得るという、ラバールノズル本来の効果が削減され、脱炭酸素効率が低下して、酸素吹錬の時間が長くなるという問題がある。
また、特許文献2には、上底吹き機能を有する転炉を用いた脱炭吹錬において、鉄浴面に上吹き酸素ガスとともにCaCO3含有率が20質量%以下の生石灰粉を吹き付けることによりダスト発生量を低減することが提案されている。
この技術は、CaCO3の分解熱を利用して鉄浴表面、特に火点(酸素ガス噴流の浴面への衝突位置)の温度を低下させ、ヒュームに起因するダストの発生を抑制する技術であるが、通常は塊状で添加する生石灰を粉砕する必要があり、また、生石灰粉を吹き付け添加するための設備が必要であり、製造コストを増加させるという問題がある。
特開平9−209021号公報 特開2006−342370号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、酸化性ガスを上吹きして溶銑の脱炭精錬を実施するにあたり、高い脱炭酸素効率を維持した状態で、ダスト発生量を削減することのできる転炉操業方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る転炉の操業方法は、上吹きランス先端に設けた噴射ノズルのうちの少なくとも1つの噴射ノズルの出口径(De;(mm))及びスロート径(Dt;(mm))が、ノズル出口部雰囲気圧(Pe;(kPa))及び1000kPa以上とするノズル適正膨張圧(Po;(kPa))に対して下記の(1)式の関係を満足する上吹きランスを用い、鉄浴表面に向けて酸化性ガスを吹き付けて溶鉄中の炭素を酸化除去するにあたり、上吹きランスのランス高さ(H;(mm))と前記出口径(De)との比(H/De)が45以上75以下の範囲となるように上吹きランスの設置位置を調整するとともに、前記噴射ノズルへの酸化性ガスの供給圧力(P)が前記適正膨張圧(Po)と同等になるように、酸化性ガスの供給圧力(P)を調整することを特徴とするものである。
(De/Dt)2=0.259×(Pe/Po)-5/7×[1-(Pe/Po)2/7]-1/2 …(1)
本発明によれば、1000kPa以上のノズル適正膨張圧(Po)により設計されたラバールノズル型の噴射ノズルを有する上吹きランスを用い、上吹きランスのランス高さを噴射ノズルの出口径に見合った最適な高さに調整するとともに、上吹きランスから噴射される酸化性ガスの供給圧力(P)を前記ノズル適正膨張圧(Po)と同等に調整するので、脱炭酸素効率を低下させることなく、ダスト発生量を抑制することが実現される。
ダスト発生速度と比(H/De)との関係を示す図である。 脱炭酸素効率と比(H/De)との関係を示す図である。 ノズル適正膨張圧(Po)と比(H/De)との関係を示す図である。 ノズル適正膨張圧(Po)を変更したノズルにおける各境界点でのダスト発生速度を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、転炉内の溶銑に酸素ガスを上吹きして溶銑の脱炭精錬を行う際のダスト発生速度に及ぼす上吹きランスの「ランス高さ」の影響について、上方から酸化性ガスを吹き付けると同時に、炉底部から攪拌用ガスを吹き込むことの可能な容量150kg規模の高周波誘導溶解炉を用いて試験・検討を進めた。上吹きの酸化性ガスとしては酸素ガスを使用し、底吹きの攪拌用ガスとしてはアルゴンガスを使用した。尚、ランス高さとは、上吹きランスの先端と炉内の静止した状態の溶銑表面との距離である。
実験方法としては、上吹きの酸素ガス流量を430NL/分の一定の条件とし、ランス高さを50〜300mmの範囲で変化させ、そのときのダスト発生速度及び脱炭酸素効率に及ぼすランス高さの影響を調査した。ここで、酸素ガスの供給は溶銑中の炭素濃度が4.0質量%の時点から開始し、炭素濃度が0.05質量%となる時点まで継続した。尚、溶銑の脱炭精錬では脱炭反応の進行に伴って溶銑中の炭素が減少して最終的には溶鋼となるが、溶銑と溶鋼とを区別することは煩雑であり、また、どの時点で変わるかも明確ではないので、本発明では溶銑及び溶鋼をまとめて溶鉄と表示する。
使用した上吹きランスは、その先端部の中心位置に、所謂ラバールノズル型の1つの噴射ノズルが設けられものであり、噴射ノズルのスロート径(Dt)が2.0mmである上吹きランスと、噴射ノズルのスロート径(Dt)が2.8mmである上吹きランスの2種類の上吹きランスを使用した。この場合、スロート径(Dt)が2.0mmの噴射ノズルは、1387kPaのノズル適正膨張圧(Po)で設計されたノズルであり、噴射ノズルの出口径(De)は3.0mmである。一方、スロート径(Dt)が2.8mmの噴射ノズルは708kPaのノズル適正膨張圧(Po)で設計されたノズルであり、噴射ノズルの出口径(De)は3.5mmである。
これらの2種類の噴射ノズルの酸素ガス供給圧力(P)は、スロート径が2.0mmの噴射ノズルでは約1380kPa、スロート径が2.8mmの噴射ノズルでは約710kPaとした。つまり、それぞれ酸素ガス供給圧力(P)をノズル適正膨張圧(Po)に一致させた。
尚、ラバールノズル型の噴射ノズルの場合には、スロート径(Dt:(mm))と、出口径(De;(mm))と、ノズル出口部雰囲気圧(Pe;(kPa))と、ノズル適正膨張圧(Po;(kPa))とが、下記の(1)式の関係で設計されており、スロート径(Dt)とノズル出口部雰囲気圧(Pe)とノズル適正膨張圧(Po)とが決まれば、出口径(De)は自ずと決定される。ここで、ノズル出口部雰囲気圧(Pe)とは、噴射ノズルの外部の雰囲気圧であり、転炉での脱炭精錬の場合には、転炉内の雰囲気圧力であって、通常は大気圧(101.3kPa)である。
(De/Dt)2=0.259×(Pe/Po)-5/7×[1-(Pe/Po)2/7]-1/2 …(1)
また、上吹きランスからの酸素ガス供給流量(「送酸速度」ともいう)から定まる噴射ノズル1孔あたりの酸素ガス供給流量をFh(Nm3/hr)とすると、ラバールノズル型のノズルの場合には、スロート径(Dt:(mm))とノズル適正膨張圧(Po;(kPa))と酸素ガス供給流量(Fh)とは、下記の(2)式の関係で示される。
Po=Fh/(0.00465×Dt2)…(2)
通常、転炉吹錬における噴射ノズルの設計は、脱炭精錬に要する酸素ガス供給流量(F)から噴射ノズル1孔あたりの酸素ガス供給流量(Fh)を求め、求めた酸素ガス供給流量(Fh)とスロート径(Dt)とから、上記の(2)式によりノズル適正膨張圧(Po)を定め、このノズル適正膨張圧(Po)とノズル出口部雰囲気圧(Pe)とスロート径(Dt)とを用いて、上記の(1)式によって出口径(De)を定めることによりなされている。ここで、噴射ノズル1孔当たりの送酸速度(Fh)は、各噴射ノズルのスロート径(Dt)の合計断面積に対する個々の噴射ノズルのスロート径(Dt)の断面積の比と、酸素ガス供給流量(F)と、を乗算することにより求めることができ、通常、複数個の噴射ノズルを設置する場合には、各噴射ノズルのスロート径(Dt)を実質的に同一とするので、酸素ガス供給流量(F)を噴射ノズルの設置個数で除算することにより求めることができる。
そして、操業時には、通常、酸化性ガスの供給圧力(P)をノズル適正膨張圧(Po)と同一または±10kPaの範囲内で制御している。これは、酸化性ガスの供給圧力(P)がノズル適正膨張圧(Po)と実質的に同一の場合には、ガスが適正に膨張して超音速の噴流が得られるに対し、酸化性ガスの供給圧力(P)がノズル適正膨張圧(Po)と異なる(大きすぎてもまた小さすぎても)と、噴射ノズルにおいて適正なガス膨張が得られず、噴射される噴流が減速して、脱炭酸素効率が低下するからである。
図1に、ダスト発生速度と、出口径(De)で規定したランス高さ、つまりランス高さ(H:(mm))を出口径(De:(mm))で除算した値である比(H/De)との関係を示す。図1から明らかなように、上吹きランスからの酸素ガス供給流量が同一の条件下では、噴射ノズルの種類によらず、ダスト発生速度は、ランス高さ(H)と出口径(De)との比(H/De)に対して、同一傾向であることが分かった。つまり、比(H/De)の増加に伴ってダスト発生速度が低下することが分かった。
図2は、脱炭酸素効率と、ランス高さ(H)と出口径(De)との比(H/De)との関係を示す図である。尚、脱炭酸素効率とは、下記の(3)式で定義されるものであり、上吹きランスから供給した酸素ガスのうちで脱炭反応に費やされた酸素ガスの比率(百分率)である。
脱炭酸素効率=(溶鉄中炭素の除去に費やされた酸素量)×100/(供給した酸素量) …(3)
図2に示すように、脱炭酸素効率は、比(H/De)が或る値までの範囲では95%程度の高い値を示すが、比(H/De)がそれ以上になると、比(H/De)の増加に伴って低下する。
ここで、注目すべき事項は、脱炭酸素効率が低下し始める時点の比(H/De)は、噴射ノズルの形状によって異なり、小径ノズルで且つ酸化性ガスの供給圧力(P)の高い噴射ノズルの方が、つまり、この場合にはスロート径(Dt)が2.0mmの噴射ノズルの方が、スロート径(Dt)が2.8mmの噴射ノズルよりも、比(H/De)の大きい範囲まで脱炭酸素効率を高く維持できるということである。
図1及び図2の結果から、スロート径(Dt)が2.0mmの噴射ノズルの場合には、比(H/De)を約55(ランス高さH=165mm)まで上昇させても、脱炭酸素効率の低下が認められず、しかも、ダスト発生速度は0.33kg/分・tと低位であることが分かる。一方、スロート径(Dt)が2.8mmの噴射ノズルの場合には、ダスト発生速度を0.33kg/分・tと低位にしようとすると、スロート径(Dt)が2.0mmの噴射ノズルと同様に、比(H/De)を約55(ランス高さH=193mm)にする必要があり、この場合には、脱炭酸素効率は約80%まで低下し、約2.5分の酸素吹錬時間の延長を招くことが分かった。
これらの結果から、ノズル適正膨張圧(Po)、つまり酸化性ガスの供給圧力(P)を高圧化すればするほど、脱炭酸素効率の高い領域が拡大し、脱炭酸素効率を低下させることなくダスト発生速度を抑えるためには、ノズル適正膨張圧(Po)を1000kPa以上とすることが必要であることが分かった。尚、酸素ガス設備の圧力設計は、1000kPa、1600kPa、2000kPa、3200kPaとなっていることや、製鉄所の酸素ガス設備の設計は最大で2000kPa程度であるので、ノズル適正膨張圧(Po)、つまり酸化性ガスの供給圧力(P)の上限は2000kPa以下とすることが現実的である。
また、脱炭酸素効率は、比(H/De)が或る値までは約95%程度の一定であるが、比(H/De)がそれ以上になると減少し、この減少を開始する点(「境界点」と定義する)は、図2に示すように、噴射ノズルのノズル適正膨張圧(Po)によって変化する。因みに、ノズル適正膨張圧(Po)が1387kPaの噴射ノズルでは、境界点は比(H/De)が約53の位置であり、ノズル適正膨張圧(Po)が708kPaの噴射ノズルでは、境界点は比(H/De)が約33の位置である。
そこで、この境界点となる比(H/De)の位置を、種々のノズル適正膨張圧(Po)で設計した噴射ノズル用いて調査した。調査結果を図3に示す。図3に示すように、ノズル適正膨張圧(Po)が1000kPaの場合には、境界点は比(H/De)が約45の位置であり、ノズル適正膨張圧(Po)が2000kPaの場合には、境界点は比(H/De)が約75の位置となる。
また、図4には、この境界点となる位置でのダスト発生速度を示す。図4に示す数値がノズル適正膨張圧(Po)である。図4に示すように、ノズル適正膨張圧(Po)が大きい噴射ノズルでは、境界点となる比(H/De)が大きくなり、ダスト発生速度が小さくなることが分かる。
即ち、ノズル適正膨張圧(Po)が1000kPaの噴射ノズルの場合には、比(H/De)が約45となるように、出口径(De)に応じてランス高さ(H)を調整することで、脱炭酸素効率を約95%に保ったまま、ダスト発生速度を約0.4kg/分・tに抑えることができ、また、ノズル適正膨張圧(Po)が2000kPaの噴射ノズルの場合には、比(H/De)が約75となるように、出口径(De)に応じてランス高さ(H)を調整することで、脱炭酸素効率を約95%に保ったまま、ダスト発生速度を約0.27kg/分・tに抑えられることが分かった。つまり、ノズル適正膨張圧(Po)を1000kPa以上とし、且つ、比(H/De)を45〜75の範囲とすることで、脱炭酸素効率を過剰に低下させることなく、ダスト発生量を低減できることが分かった。
本発明は、上記試験結果に基づきなされたものであり、上吹きランス先端に設けた噴射ノズルのうちの少なくとも1つの噴射ノズルの出口径(De)及びスロート径(Dt)が、ノズル出口部雰囲気圧(Pe)及び1000kPa以上とするノズル適正膨張圧(Po)に対して上記の(1)式の関係を満足する上吹きランスを用い、鉄浴表面に向けて酸化性ガスを吹き付けて溶鉄中の炭素を酸化除去するにあたり、上吹きランスのランス高さ(H;(mm))と前記出口径(De)との比(H/De)が45以上75以下の範囲となるように上吹きランスの設置位置を調整するとともに、噴射ノズルへの酸化性ガスの供給圧力(P)が前記適正膨張圧(Po)と同等になるように、酸化性ガスの供給圧力(P)を調整することを特徴とする。
本発明においては、前述した境界点となる比(H/De)の条件下で酸素吹錬を行うことにより、脱炭酸素効率を約95%程度の高い状態に維持したまま、ダスト発生速度を少なくすることができる。境界点となる比(H/De)よりも大きくなる比(H/De)の条件下では、ダスト発生速度は更に低下するものの脱炭酸素効率が低下する。一方、境界点となる比(H/De)よりも小さい比(H/De)の条件下では、脱炭酸素効率は変わらずにダスト発生速度が増加する。従って、上記境界点となる比(H/De)の条件下で酸素吹錬を行うことが最も好ましいが、適正膨張圧(Po)が1000kPa以上で、且つ(H/De)が45以上75以下の範囲内である限り、最良ではないものの、脱炭酸素効率の低下を抑えつつダスト発生速度を低減することができることから、本発明は、境界点となる比(H/De)の条件下で酸素吹錬を行うことを必須とするものではない。
上吹きランスが複数の噴射ノズルを有する場合、複数の噴射ノズルのうちの1つの噴射ノズルだけが上記条件を満足するだけでも、脱炭酸素効率の高位維持及びダスト発生速度の低下を或る程度得ることができるが、本発明の効果を享受するためには、全ての噴射ノズルが上記条件を満たすことが望ましい。この場合に、全ての噴射ノズルの形状を一致させる必要はなく、適正膨張圧(Po)が同一であり且つ比(H/De)が45以上75以下の範囲となるならば、それぞれの噴射ノズルの形状を変化させても構わない。つまり、適正膨張圧(Po)及びランス高さ(H)が同一であり、比(H/De)が45以上75以下となる出口径(De)を有するラバールノズル型の噴射ノズルとする限り、個々の噴射ノズルの形状を変えることができる。
また、酸素ガス吹錬の全ての期間で上記条件を満足する必要はなく、鉄浴中の炭素濃度に応じて上吹きランスからの酸素ガス供給流量を変化させる場合には、その何れかの場合に上記条件を満足するようにしても構わない。但し、一般的に、溶鉄の炭素濃度が高い領域(C≧0.4質量%程度)では酸素ガス供給流量を多くし、且つ、この領域は酸素ガス吹錬全体の期間に対する比率が大きいので、溶鉄の炭素濃度が高い領域での吹錬条件を上記条件の範囲内とすることが望ましい。
上吹きランスから供給する酸化性ガスとしては、一般的には酸素ガスが使用されるが、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスや酸素富化空気なども酸化性ガスとして使用可能である。
このような構成の本発明によれば、脱炭酸素効率を低下させることなく、ダスト発生量を抑制することが実現され、ダスト回収に要する費用が削減されるのみならず、ダスト回収の頻度が減少し、その分、転炉の稼働率を高めることができ、効率良く脱炭精錬を行うことが可能となる。
尚、本発明において使用する噴射ノズルは、末広がりのラバールノズル型であるので、供給する酸化性ガスは噴射ノズル内でノズル出口部雰囲気圧(Pe)まで膨張され、超音速の噴流が噴射される。この超音速の噴流により、酸化性ガスの浴面到達率が高まり、脱炭酸素効率の向上や溶鉄の攪拌が促進される。ラバールノズルの末広がり部の広がり角度は、通常、片側で10°以下である。
容量が300トンの上底吹き転炉を用いて溶銑の脱炭精錬を行った(本発明例)。使用した上吹きランスは、先端部に同一形状の5個の噴射ノズルが、ノズル傾角を15°として上吹きランスの軸心に対して同心円上に等間隔で配置されたものであり、噴射ノズルのスロート径(Dt)は43.1mm、出口径(De)は69.2mmである。これらの噴射ノズルは、ノズル適正膨張圧(Po)を1.67MPaとして設計されたものである。
予め脱燐処理を施した、温度が1265〜1280℃の溶銑を上底吹き転炉に装入した後、上吹きランスから酸素ガスを溶銑浴面に向けて吹き付けながら、底吹き羽口からアルゴンガスを攪拌用ガスとして溶銑中に吹き込んだ。使用した溶銑の組成を表1に示す。その際に、炉上ホッパーから造滓剤として生石灰を投入し、溶鉄の炭素濃度が0.05質量%となるまで酸素吹錬を行った。生石灰は、炉内スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が2.5となるように添加量を調整した。
Figure 2010189668
また、上吹きランスからの酸素ガス供給流量及び底吹きのアルゴンガス流量は、溶鉄中の炭素濃度に応じて、表2に示すように設定した。つまり、酸素ガス供給流量は変化させず、溶鉄中炭素濃度が0.4質量%を境としてアルゴンガス流量を変更した。表2に示す酸素ガス供給流量を、約1.67MPaの供給圧力(P)で供給した。
Figure 2010189668
また、比較のために、操業方法は上記の本発明例の方法と同一であるが、噴射ノズルの形状を変更した上吹きランスを使用した吹錬も実施した(比較例)。比較例で使用した上吹きランスの噴射ノズルは、スロート径(Dt)が62.6mm、出口径(De)が81.3mmであり、設置数及びノズル傾角は本発明例と同一とした。これらの噴射ノズルは、ノズル適正膨張圧(Po)を0.79MPaとして設計されたものであり、表2に示す酸素ガス供給流量を、約0.79MPaの供給圧力(P)で供給した。
操業条件および操業結果を表3に示す。
Figure 2010189668
表3から明らかなように、本発明例と比較例とで吹錬時間や冶金特性はほぼ同等の成績であったが、本発明例ではダスト発生速度は大幅に低減された。つまり、本発明を適用することにより、転炉脱炭精錬における鉄歩留りは大幅に向上されることが確認できた。

Claims (1)

  1. 上吹きランス先端に設けた噴射ノズルのうちの少なくとも1つの噴射ノズルの出口径(De;(mm))及びスロート径(Dt;(mm))が、ノズル出口部雰囲気圧(Pe;(kPa))及び1000kPa以上とするノズル適正膨張圧(Po;(kPa))に対して下記の(1)式の関係を満足する上吹きランスを用い、鉄浴表面に向けて酸化性ガスを吹き付けて溶鉄中の炭素を酸化除去するにあたり、上吹きランスのランス高さ(H;(mm))と前記出口径(De)との比(H/De)が45以上75以下の範囲となるように上吹きランスの設置位置を調整するとともに、前記噴射ノズルへの酸化性ガスの供給圧力(P)が前記適正膨張圧(Po)と同等になるように、酸化性ガスの供給圧力(P)を調整することを特徴とする、転炉の操業方法。
    (De/Dt)2=0.259×(Pe/Po)-5/7×[1-(Pe/Po)2/7]-1/2 …(1)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011074411A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Jfe Steel Corp 精錬用上吹きランス及び転炉精錬方法

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