JP5446300B2 - 溶銑の脱硫処理方法 - Google Patents

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本発明は、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を脱硫処理する方法に関し、詳しくは、添加した脱硫剤を少ないエネルギーで効果的に溶銑中に分散させ、高い脱硫率で脱硫することのできる脱硫処理方法に関するものである。
高炉で溶製される溶銑から鋼を製造するにあたり、高炉から出銑された溶銑には、鋼の品質に悪影響を及ぼす硫黄(S)が0.04〜0.05質量%程度の高濃度で含まれており、しかも、次工程の転炉精錬工程では、酸化精錬による不純物の除去を目的としていることから、主として還元反応により除去される硫黄の除去は期待できず、そこで、他の含有成分などの影響から脱硫しやすい溶銑の段階において、要求される品質に応じて、種々の方法によって溶銑の予備脱硫処理が行われている。
この予備脱硫処理は、Arガスなどの不活性ガスを溶銑中へ吹き込んで溶銑を攪拌しながら脱硫剤を搬送用ガスとともに溶銑中に吹込み添加する方法(脱硫剤吹込み式脱硫法)や、溶銑中に浸漬させたインペラー(「回転羽根」または「回転翼」とも呼ぶ)を回転させて溶銑を攪拌しながら脱硫剤を添加し、添加した脱硫剤を溶銑中に巻き込ませて行う方法(機械攪拌式脱硫法)が一般的であり、特に、安価なCaO系脱硫剤を使用した場合でも高い脱硫率が得られることから、近年では、機械攪拌式脱硫法が主流になっている。この場合、CaO系脱硫剤としては、生石灰単独、或いは、生石灰に蛍石(CaF2)またはアルミナ(Al23)を加えたものが使用されている。このCaO系脱硫剤による脱硫反応は、「CaO+S→CaS+O」に示される反応式に基づいて進行する。尚、機械攪拌方式による脱硫装置を機械攪拌式脱硫装置と呼んでいる。
しかしながら、CaOの融点は2000℃を超える高温であることから溶銑中では溶融せず、溶銑中硫黄との反応は、CaO系脱硫剤の表面のみで起こり、CaO系脱硫剤の内部は脱硫反応に寄与しない。また、CaO系脱硫剤は、溶銑との濡れ性が悪く、溶銑中へ巻き込まれにくく、反応界面積はより一層低下する。このため、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫処理においては、CaO系脱硫剤をいかに効率良く溶銑中に分散させるかが非常に重要となってくる。
そこで、CaO系脱硫剤を溶銑中に分散させる技術が多数提案されている。例えば、特許文献1には、処理容器の内径の1/10〜1/3の代表径を有するインペラーを用いて150〜300rpmの回転速度で溶銑を回転攪拌し、溶銑に添加した脱硫剤を溶銑中に巻き込ませて脱硫することが提案されている。しかしながら、現在の機械攪拌式脱硫法においては、特許文献1に記載される条件で操業することもあるが、それ以外の条件で行われることも多く、特許文献1に提案される方法は未だ改善すべき点を有している。
また、特許文献2には、複数の攪拌翼を有するインペラーにおいて、前記攪拌翼の回転方向前壁面を凸型曲面及び/または回転方向後壁面を凹型曲面としたインペラーが提案されている。しかしながら、インペラーの形状を複雑にすると、インペラーの製作が煩雑になり、得られる効果に比較してインペラー製作のコストが上昇するという問題がある。
また更に、特許文献3には、インペラーを低速回転させながら上方から溶銑面に近づけ、インペラーが溶銑中に浸漬したときからインペラーの回転速度を上げて溶銑上のスラグを処理容器の外周寄りに振り分け、その状態で容器中央部付近に露出する溶銑面上にCaO系脱硫剤を投入し、投入したCaO系脱硫剤と溶銑とを、高速回転させるインペラーによって撹拌する脱硫方法が提案されている。特許文献3によれば、CaO系脱硫剤は露出した溶銑浴面上に添加されるので、CaO系脱硫剤の全量が直ちに溶銑と接触して反応するので、短時間で十分に脱硫できるとしている。しかしながら、脱硫処理する際には、取鍋内のスラグを除去してから行うことが一般的であり、特許文献3の方法は、特段の技術とはいえず、CaO系脱硫剤を溶銑中に分散させることに関しては、特許文献3以外の従来の方法と大差ないと言わざるを得ない。
特公昭42−12343号公報 実開平5−27044号公報 特開2000−1710号公報
上述したように、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫処理方法において、基準となるような提案はなく、脱硫処理は様々な処理条件で行われている。そのなかでも、インペラーの回転数は、溶銑の攪拌動力を確保するという観点から極めて重要な要因であるが、従来、詳細には検討されておらず、特許文献1のように、少なくとも攪拌動力を確保するという目的から、高速回転が一般的であった。しかし、インペラーの回転数を過剰に高くすることは、エネルギー使用量を増大することにもなり、得策とはいえない。
このように、従来、攪拌動力を得るために、特許文献1のように、インペラーの回転数を高くすることは提案されているが、少ないエネルギー使用量で脱硫剤を効率的に溶銑中に分散させることに関しては提案されておらず、この点に関して未だ改善を要するのが現状である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を脱硫処理するにあたり、添加した脱硫剤を少ないエネルギーで溶銑中に効率良く分散することができ、溶銑を従来に比べて高い脱硫率で脱硫処理することのできる、溶銑の脱硫処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る溶銑の脱硫処理方法は、機械攪拌式脱硫装置を用いて処理容器に収容された溶銑を脱硫処理するにあたり、前記処理容器に収容される溶銑の浴深さをHとし、処理容器の内径をDとしたときに、内径(D)に対する浴深さ(H)の比(H/D)が1.0以上で2.0未満の範囲内となる処理容器を用いて脱硫処理することを特徴とするものである。
本発明によれば、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑の脱硫処理を行う場合に、処理容器の形状を最適化するので、少ないエネルギー使用量で脱硫剤の溶銑中への分散が可能となり、高い脱硫率での脱硫処理が実現される。その結果、脱硫剤の削減などにより製造コストが低減されるのみならず、脱硫スラグ発生量の減少に伴う廃棄物削減により環境への影響が緩和されるなど、顕著な効果がもたらされる。
本発明が適用される機械攪拌式脱硫装置の1例を示す概略断面図である。 比(H/D)と、脱硫剤が溶銑中に巻き込まれるのに必要なインペラー回転数との関係を示す図である。 比(H/D)と、計算で求められる攪拌動力との関係を示す図である。 比(H/D)と脱硫率との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明者らは、機械攪拌式脱硫装置を用いて処理容器に収容された溶銑を脱硫処理するにあたり、添加した脱硫剤を少ないエネルギーで溶銑中に効率良く分散させることについて研究・検討を行った。その過程で、上記の問題解決の糸口として、機械攪拌式脱硫装置における脱硫処理において特徴的な、攪拌時の湯面の形状と処理容器の形状との関係に着目した。
機械攪拌式脱硫法は、処理容器のほぼ中央部位置でインペラーを溶銑中に浸漬させ、このインペラーを回転させて溶銑を旋回攪拌し、脱硫剤を溶銑中に分散させて脱硫する方法である。インペラーの回転数増加に伴い、溶銑中央部の凹み深さが深くなり、反対に、処理容器壁付近の溶銑は盛り上がっていき、インペラーの軸を中心とする渦流を形成する。この渦流の凹み深さや壁付近の盛り上がり高さは、処理容器の寸法、収容される溶銑量、インペラー形状及びインペラーの回転数などの因子によって変化する。
攪拌動力を高くするためには、インペラーの直径を大きくすることが望ましいが、インペラーの直径を大きくすると、回転に必要なトルクが大きくなるのみならず、回転による容器壁付近での湯面の盛り上がりが大きくなり、溶銑の飛散などの対策を採らなければならないなどの問題が発生し、単純にインペラーの直径を大きくすることは好ましくない。また、脱硫処理を必要とする溶銑の量は、脱硫処理前後の工程とのマッチングによって自ずと決定される因子である。
そこで、収容される溶銑量及びインペラーの形状は一定であるとする条件下で、少ないエネルギー使用量で効率的に攪拌する方法を検討するべく試験操業を実施した。試験は、インペラーの直径を所定の値に定め、処理容器に収容する溶銑量を一定として、処理容器の形状を様々に変化させ、脱硫剤が溶銑中に巻き込まれるのに必要なインペラー回転数を調査した。この場合、インペラーの浸漬深さは一定とした。
試験では、処理容器として基本的に円柱型の溶銑鍋を用い、溶銑鍋の内径を変化させることによって、溶銑鍋内に収容される溶銑の浴深さを変化させた。溶銑鍋内に収容される溶銑量が一定であることから、溶銑鍋の内径が大きくなるに伴って溶銑の浴深さは浅くなる。ここで、溶銑鍋の内径をD(m)、溶銑鍋に収容される溶銑の浴深さをH(m)とし、溶銑の浴深さ(H)の溶銑鍋の内径(D)に対する比(H/D)を、容器形状の定量的な評価のための指標として用いた。
溶銑量一定のもと、インペラー径及びインペラー浸漬深さを一定の条件で、溶銑鍋の内径を様々に変化させ、脱硫剤が溶銑中に巻き込まれるのに必要なインペラー回転数を調査した。その結果、溶銑鍋の内径(D)を小さくするにつれて、つまり、浴深さ(H)が深くなって比(H/D)が大きくなるに伴って、低いインペラーの回転数で脱硫剤が溶銑中に巻き込まれることが分かった。また、脱硫剤が溶銑中に巻き込まれる条件下で生成する渦流の凹み深さを計算で求めたところ、脱硫剤が溶銑中に巻き込まれる時点での凹み深さは、全ての条件でほぼ同等であることが分かった。
つまり、溶銑鍋の内径(D)を小さくすることにより、低い回転数で凹みの深い渦流を形成できることが分かった。また、このときの攪拌動力を計算にて求めたところ、比(H/D)が増加するにつれて攪拌動力が大きくなっていること、つまり、少ない回転数で大きな攪拌動力が得られることが分かった。
また、この条件下で溶銑の脱硫処理を行った結果、比(H/D)の増加に伴い、脱硫率が増加することが分かった。これは、攪拌動力の増加によるものと推定される。特に、比(H/D)が1.0以上の場合には、90%以上の高い脱硫率が得られた。しかしながら、比(H/D)を更に増加した場合、比(H/D)が2.0以上では逆に脱硫率が低下した。この原因は、溶銑の浴深さ(H)が深くなり過ぎて、インペラーの下部に脱硫剤が分散しない領域が形成されるためであると考えられる。
これらの試験結果から、所定量の溶銑を収容したときに、比(H/D)が1.0以上で2.0未満の範囲となる溶銑鍋を使用することで、少ないエネルギー使用量で効率的に脱硫剤を溶銑中に分散でき、高い脱硫率を得られることが確認された。尚、脱硫率とは、脱硫処理前後の溶銑中硫黄濃度(質量%)の差を、処理前の溶銑中硫黄濃度(質量%)に対して百分率で表示したものである。
本発明は、上記試験結果に基づきなされたもので、機械攪拌式脱硫装置を用いて処理容器に収容された溶銑を脱硫処理するにあたり、前記処理容器に収容される溶銑の浴深さをHとし、処理容器の内径をDとしたときに、内径(D)に対する浴深さ(H)の比(H/D)が1.0以上で2.0未満の範囲内となる処理容器を用いて脱硫処理することを特徴とする。
次に、本発明の具体的な実施方法を、添付図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明が適用される機械攪拌式脱硫装置の1例を示す概略断面図である。
図1に示すように、機械攪拌式脱硫裝置は、処理容器である溶銑鍋2に収容された溶銑3に浸漬・埋没し、旋回して溶銑3を攪拌するための耐火物製のインペラー4を備えており、このインペラー4は、昇降装置(図示せず)によってほぼ鉛直方向に昇降し、且つ、回転装置(図示せず)によって軸4aを回転軸として旋回するようになっている。また、機械攪拌式脱硫裝置には、粒状または粉体状の脱硫剤7を、脱硫剤として溶銑鍋2に収容された溶銑3の浴面に上置き添加するための投入シュート6、並びに、粉体状の脱硫剤7Aを脱硫剤として溶銑鍋2に収容された溶銑3に向けて搬送用ガスとともに上吹きして添加するための上吹きランス5が設置されている。更に、溶銑鍋2の上方位置には、集塵機(図示せず)に接続する排気ダクト口(図示せず)が備えられ、脱硫処理中に発生するガスやダストが排出されるようになっている。
投入シュート6は、粒状または粉体状の脱硫剤7を収容するホッパー10と、ホッパー10から定量切り出すためのロータリーフィーダー11とからなる供給装置と接続しており、投入シュート6から、粒状または粉体状の脱硫剤7を任意のタイミングで供給できる構造になっている。また、上吹きランス5は、粉体状の脱硫剤7Aを収容するホッパー8と、ホッパー8から定量切り出すための切出装置9とからなる供給装置と接続しており、上吹きランス5から、窒素ガスやArガスなどの搬送用ガスとともに、粉体状の脱硫剤7Aを任意のタイミングで供給できる構造になっている。尚、脱硫剤を上吹きランス5から吹き込むか、投入シュート6から添加するかは、使用する脱硫剤の大きさなどから、適宜選択すればよい。
ここで、本発明においては、溶銑鍋2の内径(D)に対する、溶銑鍋2に収容される溶銑3の浴深さ(H)の比(H/D)が、1.0以上で2.0未満の範囲内となる寸法の溶銑鍋2を使用する。また、インペラー4の直径(d)は特に規定する必要はないが、溶銑鍋2の内径(D)に対するインペラー4の直径(d)の比(d/D)が1/6〜2/5程度であるならば、問題なく脱硫することができる。尚、図1中の符号bは、インペラー4の高さである。
このように構成される機械攪拌式脱硫裝置において、先ず、インペラー4の位置が溶銑鍋2のほぼ中心になるように、溶銑鍋2を搭載した台車1の位置を調整し、次いで、インペラー4を下降させて溶銑3に浸漬させる。インペラー4が溶銑3に浸漬したならば、インペラー4の旋回を開始し、インペラー4の回転数が、脱硫剤7,7Aの巻き込み回転数を超えた所定の値となるように調整する。ここで、脱硫剤7,7Aの巻き込み回転数は、実操業において予め求めておくものとする。
因みに、インペラー4の直径(d)が1.2mで、溶銑鍋2の内径(D)が4.0m、溶銑3の浴深さ(H)が4.0mの場合には、後述する実施例に示すように、脱硫剤7,7Aの巻き込み回転数は109rpmであるので、この場合には、インペラー4の回転数を、巻き込み回転数よりも10rpm程度高い範囲までに調整すること、つまり110〜119rpm程度に調整することが好ましい。この範囲を過ぎて高くすることは、回転のためのエネルギー使用量が増加するので、好ましくない。尚、インペラー4の直径(d)と溶銑鍋2の内径(D)との比(d/D)が変われば、比(H/D)が同一であっても、脱硫剤の巻き込み回転数は変化するので、その点に注意を払う必要がある。また、前述したように、インペラー4の直径(d)を一定とした場合、比(H/D)が大きくなるほど、脱硫剤の巻き込み回転数は減少する。
インペラー4の回転数が、巻き込み回転数以上の所定の回転数に達したならば、脱硫剤7または脱硫剤7Aを連続的または断続的に添加する。この場合、脱硫剤7,7Aの添加と並行して、または、脱硫剤7、7Aの添加の前後に、脱硫反応を促進させるために、金属Alなどの脱酸剤(図示せず)を溶銑鍋2に供給することが好ましい。脱硫反応は還元反応であるので、脱酸剤の添加により酸素ポテンシャルを低下させることで、脱硫反応が促進される。
所定量の脱硫剤7,7Aの供給終了後も更にインペラー4により溶銑3を攪拌し、所定時間の攪拌が行われたなら、インペラー4の回転数を減少させて停止させる。インペラー4の旋回が停止したなら、インペラー4を上昇させ、溶銑鍋2の上方に待機させる。生成したスラグが浮上して溶銑表面を覆い、静止した状態で溶銑3の脱硫処理が終了する。脱硫処理後に生成したスラグ(「脱硫スラグ」という)を溶銑鍋2から排出し、次の精錬工程に溶銑鍋2を搬送する。
使用する脱硫剤7,7Aとしては、CaO系の脱硫剤のみならず、カルシウムカーバイド系の脱硫剤、ソーダ系の脱硫剤、及び金属Mgなど種々の脱硫剤を用いることができるが、安価であることから、CaO系の脱硫剤を使用することが好ましい。CaO系の脱硫剤としては、生石灰(CaO)、ドロマイト(MgCO3・CaCO3)、消石灰(Ca(OH)2)、石灰石(CaCO3)などを単独または混合し、更に、これらに3〜10質量%のCaF2或いはAl23を混合したものを使用することができる。
以上説明したように、本発明によれば、処理容器の形状を最適化するので、少ないエネルギー使用量で脱硫剤7,7Aの溶銑中への分散が促進されて、高い脱硫率で溶銑3を脱硫処理することが実現される。その結果、脱硫剤の削減などにより製造コストが低減されるのみならず、発生する脱硫スラグが減少することにより廃棄物の削減による環境への影響も低下するという顕著な効果がもたらされる。
図1に示す機械攪拌式脱硫裝置を用い、脱硫剤として、5質量%のCaF2を含有するCaO−CaF2脱硫剤を用い、溶銑鍋の内径(D)を変化させて溶銑の脱硫処理試験を実施した。CaO−CaF2脱硫剤は上吹きランスを介して溶銑に吹き付け添加した。
使用したインペラーは、4枚の耐火物製の攪拌翼を有し、直径(d)が1.2m、高さ(b)が0.7mである。尚、攪拌翼には傾斜角度がなく、攪拌翼は全て鉛直方向を向いている。脱硫処理時のインペラーの浸漬深さは、インペラー浸漬時の静止湯面とインペラー上面との距離で定義し、1.0mの一定とした。
溶銑の化学成分は、C:3.5〜5.0質量%、Si:0.1〜0.3質量%、S:0.02〜0.04質量%、P:0.10〜0.15質量%であり、この組成の300トンの溶銑に脱硫処理を施した。脱硫処理前の溶銑温度は1300〜1450℃であった。
溶銑鍋の内径(D)を3.0〜5.5mの範囲で変化させ、それに伴い、溶銑浴深さ(H)と溶銑鍋の内径(D)との比(H/D)を0.4〜2.4の範囲で変化させ、比(H/D)と、脱硫剤が溶銑中に巻き込まれるのに必要なインペラー回転数との関係を調査するとともに、そのときの脱硫率も調査した。表1に、操業条件及び調査結果を示す。尚、表1には、計算で求められる攪拌動力も併せて示している。
Figure 0005446300
また、図2に、比(H/D)と、脱硫剤が溶銑中に巻き込まれるのに必要なインペラー回転数との関係を示し、図3に、比(H/D)と、計算で求められる攪拌動力との関係を示し、図4に、比(H/D)と脱硫率との関係を示す。
表1及び図2〜4に示すように、溶銑鍋の内径(D)を大きくするに伴って、つまり、比(H/D)が小さくなるに伴って、脱硫剤を溶銑中に巻き込ませるようにするためには高い回転数が必要であることが分かった。また、比(H/D)の減少に伴い、攪拌動力も減少することが分かった。即ち、比(H/D)が小さくなるにつれ、脱硫剤を溶銑中に巻き込ませるには高い回転数が必要であるにも拘わらず、小さな攪拌動力しか得られないことが分かった。逆に、比(H/D)を大きくするにつれて、少ない回転数で大きな攪拌動力が得られることが分かった。
また、比(H/D)の増加に伴って、脱硫率が増加することが分かった。特に、比(H/D)が1.0以上の場合には、90%以上の高い脱硫率が得られた。しかし、試験No.1に示すように、比(H/D)が2.0以上になると、急激に脱硫率が低下した。これは、溶銑の浴深さ(H)が深くなり過ぎて、インペラーの下部に脱硫剤が分散しない領域が形成されるためであると考えられた。
これらの試験結果から、比(H/D)が1.0以上で2.0未満の範囲となる溶銑鍋を使用することで、少ないエネルギー使用量で効率的に脱硫剤を溶銑中に分散でき、高い脱硫率を得られることが確認された。
1 台車
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 インペラー
5 上吹きランス
6 投入シュート
7 脱硫剤
8 ホッパー
9 切出装置
10 ホッパー
11 ロータリーフィーダー

Claims (1)

  1. 機械攪拌式脱硫装置を用いて処理容器に収容された溶銑を脱硫処理するにあたり、前記処理容器に収容される溶銑の浴深さをHとし、処理容器の内径をDとしたときに、内径(D)に対する浴深さ(H)の比(H/D)が1.2以上で2.0未満の範囲内となる処理容器を用いて脱硫処理することを特徴とする、溶銑の脱硫処理方法。
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