JP5481899B2 - 溶銑の脱硫剤及び脱硫処理方法 - Google Patents

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本発明は、溶銑の脱硫処理に使用する脱硫剤及びそれを用いた溶銑の脱硫処理方法に関し、詳しくは、フッ素を含有していないにも拘わらず滓化性に優れ、高い脱硫率で脱硫処理することの可能なCaO系脱硫剤、並びに、それを用いた溶銑の脱硫処理方法に関するものである。
高炉で溶製される溶銑から鋼を製造するにあたり、高炉から出銑された溶銑には、鋼の品質に悪影響を及ぼす硫黄(S)が0.04〜0.05質量%程度の高濃度で含まれており、しかも、次工程の転炉精錬工程では、酸化精錬による不純物の除去を目的としていることから、主として還元反応により除去される硫黄の除去は期待できず、そこで、他の含有成分などの影響から脱硫しやすい溶銑の段階において、要求される品質に応じて、種々の方法によって溶銑の予備脱硫処理が行われている。
この溶銑の予備脱硫処理では、CaO系脱硫剤、カルシウム・カーバイド系脱硫剤、ソーダ灰系脱硫剤、金属Mg系脱硫剤など種々の脱硫剤を用いた脱硫処理が行われているが、安価であることから、近年では、CaO系脱硫剤が広く用いられている。CaO系脱硫剤としては、生石灰単独、或いは、生石灰に蛍石(CaF2)またはアルミナ(Al23)を加えたものが使用されている。このCaO系脱硫剤による溶銑の脱硫反応は、一般的に下記の(1)式で示される。
[S]+(CaO)=(CaS)+[O]…(1)
但し、(1)式において、[S]は溶銑中の硫黄、(CaO)はスラグ中のCaO、(CaS)はスラグ中のCaS、[O]は溶銑中の酸素を示す。
上記(1)式の反応を進めて脱硫を促進させるには、反応温度の上昇、溶銑の酸素ポテンシャルの低下、脱硫剤が滓化して形成されるスラグの塩基度(CaO/SiO2)の増加などが挙げられる。また、脱硫剤の滓化を促進することも有効である。
しかしながら、CaOの融点は2000℃を超える高温であり、一方、溶銑の温度は1300〜1400℃と低く、熱力学的に脱硫反応速度は遅く、脱硫処理時間が延長したり、脱硫剤原単位が増加したりするのが現状である。また近年、フッ素の環境への影響を避けるべく、CaOの造滓剤として長年使用してきた蛍石を含有しない脱硫剤へと変換しており、これも効率的な脱硫処理を阻害する要因となっている。
そこで、フッ素を配合しなくても効率的な脱硫処理を可能とするCaO系脱硫剤が提案されている。例えば、特許文献1には、CaO:30〜60質量%、MgO:3〜10質量%、Al23:25〜50質量%、SiO2:5〜15質量%の成分からなり、融点を1300〜1600℃とする、流動性に優れたカルシウム・アルミネート系脱硫剤が開示されている。
また、特許文献2には、CaO、SiO2及びAlを含む溶銑の脱硫剤であって、CaO及びSiO2のCaO/SiO2比が1.5〜3.5であり、且つAlはCaO及びSiO2の合計質量の3〜15質量%である脱硫剤が提案されている。特許文献2においては、SiO2はCaOの滓化促進剤であり、Alは、溶銑の酸素ポテンシャルを低下させるための溶銑の脱酸剤として機能している。
また更に、特許文献3には、CaOを主成分とする脱硫剤中に、酸化鉄(FeO)及びAl源を含有させ、溶銑中の珪素をFeOで酸化させてSiO2を生成させ、且つAlをFeOと反応させることによってAl23を生成させ、このようにして生成するCaO−SiO2−Al23系の半溶融状態のスラグにより溶銑を脱硫処理する方法が開示されている。
特開2002−60832号公報 特開2000−313911号公報 特開2006−161086号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1の脱硫剤は、脱硫剤の添加成分が多岐にわたっており、各種鉱物を所定の組成になるように混合し、これをアーク電気炉などの溶解炉で溶解して製造する必要があることから、製造コストが増大するという問題点がある。また、添加成分を酸化物の形態で添加しているので、発熱の効果はなく、発熱による脱硫剤の滓化は期待できない。
特許文献2の脱硫剤は、SiO2を滓化促進剤として使用しており、CaOの滓化は促進されるが、SiO2は脱硫反応を阻害する方向に働き、脱硫反応が遅延する恐れがある。また、CaO/SiO2比が1.5〜3.5となるように相当量のSiO2を加えるので、脱硫剤のボリュームが増加し、発生する脱硫スラグが増加する恐れもある。
特許文献3の脱硫剤は、FeOが脱硫剤中に含有されるため、該脱硫剤を溶銑へ添加した際、溶銑の酸素ポテンシャルが増大し、脱硫反応の進行を阻害する恐れがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、フッ素を含有していないにも拘わらず滓化性に優れ、高い脱硫率で脱硫処理することの可能なCaO系脱硫剤、並びに、それを用いた溶銑の脱硫処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱硫剤は、生石灰と、金属アルミニウムの含有量が10質量%以上で残部が実質的にアルミナであるアルミニウム系脱酸剤と、の混合体からなる脱硫剤であり、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率がアルミナ換算で7質量%以上であることを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱硫処理方法は、処理容器内に保持された溶銑に、第1の発明に記載の脱硫剤を添加して、溶銑を脱硫処理することを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱硫処理方法は、第2の発明において、前記処理容器内の溶銑を、攪拌羽根によって攪拌しながら脱硫処理することを特徴とするものである。
本発明によれば、金属アルミニウムの含有量が10質量%以上のアルミニウム系脱酸剤と、生石灰と、からなる混合体を溶銑の脱硫剤とするので、金属アルミニウムの酸化反応によって生成するアルミナ、またはアルミニウム系脱酸剤に含有されているアルミナは、生石灰中のCaOの滓化促進剤として機能し、且つ、金属アルミニウムの酸化反応による発熱によって生石灰中のCaOの滓化が促進されるのみならず、金属アルミニウムによる溶銑の脱酸処理により溶銑の酸素ポテンシャルが低下し、その結果、フッ素を含有しないCaO系脱硫剤であるにも拘わらず、高い脱硫率で効率的に溶銑を脱硫処理することが実現される。これにより、脱硫処理時間の短縮、脱硫剤原単位の削減、スラグ発生量の削減などが可能となり、脱硫処理コストの大幅な低減が達成される。
脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率を7質量%とした条件でのアルミニウム系脱酸剤中金属アルミニウムの配合比率と脱硫率との関係を示す図である。 脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率を10質量%とした条件でのアルミニウム系脱酸剤中金属アルミニウムの配合比率と脱硫率との関係を示す図である。 脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率を20質量%とした条件でのアルミニウム系脱酸剤中金属アルミニウムの配合比率と脱硫率との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、フッ素を含有しないCaO系脱硫剤を用いて、溶銑を効率的に脱硫処理する手段を種々検討した。その結果、効率的な脱硫処理には、脱硫剤であるCaOの滓化を促進させることが極めて重要であるとの結論に至った。但し、滓化を促進させるための手段の1つとして、特許文献1に開示される多成分系のカルシウム・アルミネート系脱硫剤のように、CaO、MgO、Al23、SiO2などの各種原料をアーク電気炉などで一旦溶融した所謂「プリメルト」として脱硫剤の融点を下げる方法もあるが、このプリメルトの脱硫剤は、融点は低いものの、溶銑の熱のみを受けて滓化するので、滓化するまでに時間を費やし、必ずしも滓化時間は短くないことが分かった。つまり、脱硫処理初期の反応性が低いことが分かった。
この脱硫処理初期の反応性を高めることを検討した結果、発熱剤を添加し、この発熱によってCaOを加熱し、CaOの滓化を促進させることが有効であるとの知見を得た。そこで、この発熱剤として機能する物質を検討した。
アルミナ(Al23)は、CaOの滓化促進剤として機能することは特許文献1などから周知事項である。また、金属アルミニウムは、脱硫処理時の溶銑の酸素ポテンシャルを低下させるための脱酸剤として、特許文献2に例示するまでもなく、一般的に使用されている。また、金属アルミニウムは、下記の(2)式に示す酸化反応により莫大な熱を発生することも良く知られている。
2Al+3O→Al23 …(2)
そこで、溶銑の脱硫処理において、この金属アルミニウムを脱酸剤として機能させると同時に発熱剤として有効利用することを検討・確認するべく、実機試験を実施した。
アルミナと金属アルミニウムとの配合比率を変化させたアルミニウム系脱酸剤を準備し、このアルミニウム系脱酸剤を生石灰と混合してCaO系脱硫剤とし、このCaO系脱硫剤を溶銑に添加して機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を脱硫する試験を実施した。CaO系脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率は、アルミナ換算で7質量%、10質量%、20質量%の3水準とした。ここで「アルミナ換算で7質量%」という意味は、アルミニウム系脱酸剤中の金属アルミニウムはアルミナに換算して質量を求め、アルミナに換算した質量で配合比率が7質量%であるという意味である。具体的には、Al及びOの原子量から、質量が1gの金属アルミニウムは、質量が1.89gのアルミナに相当する。アルミナ換算で10質量%及び20質量%も同一の意味である。
試験において、アルミニウム系脱酸剤中の金属アルミニウムは最終的には全てアルミナになり、アルミニウム系脱酸剤中の金属アルミニウムの配合比率の如何に拘わらず、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合量を「アルミナ換算で7質量%の配合比率」とした場合には、最終的には脱硫剤中のCaOとアルミナとの比率は93:7の一定になり、同様に、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合量を「アルミナ換算で10質量%の配合比率」とした場合には90:10、「アルミナ換算で20質量%の配合比率」とした場合には80:20の一定になり、脱硫処理における金属アルミニウムの影響を把握することが可能となる。
溶銑の脱硫試験の結果を図1〜3に示す。図1は、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率をアルミナ換算で7質量%の一定とした条件下において、アルミニウム系脱酸剤中の金属アルミニウムの配合比率と脱硫率との関係を示す図であり、図2は、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率をアルミナ換算で10質量%の一定とした条件、図3は、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率をアルミナ換算で20質量%の一定とした条件における、アルミニウム系脱酸剤中の金属アルミニウムの配合比率と脱硫率との関係を示す図である。尚、脱硫率とは下記の(3)式で求められる値である。
脱硫率=[(処理前溶銑中[S])-(処理後溶銑中[S])]×100/(処理前溶銑中[S])…(3)
但し、(3)式において、[S]は溶銑中の硫黄濃度(質量%)である。
図1からも明らかなように、生石灰とアルミニウム系脱酸剤との混合体からなり、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率がアルミナ換算で7質量%であるCaO系脱硫剤を用いた脱硫処理において、金属アルミニウムの配合比率が10質量%以上であるアルミニウム系脱酸剤を脱硫剤に配合することで、脱硫率が70%以上になることが確認できた。また、アルミニウム系脱酸剤中の金属アルミニウムの配合比率が高くなるほど、脱硫率が高くなることも分かった。
また、図2及び図3に示すように、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率が10質量%及び20質量%の場合も、アルミニウム系脱酸剤の金属アルミニウムの配合比率が10質量%以上になると、脱硫率が安定して高位になることが分かった。また、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率が高くなるほど、脱硫率の絶対値が高くなることも分かった。
これは、金属アルミニウムが10質量%以上のアルミニウム系脱酸剤を添加することにより、(2)式に示す金属アルミニウムの酸化反応による発熱の効果が発現し、生石灰中のCaOの滓化が促進されたものと考えられる。この場合、生成する高温のアルミナと生石灰中のCaOとが直接反応し、低融点の化合物を形成することも滓化を促進させる要因と考えられる。また、金属アルミニウムは溶銑の脱酸にも寄与しており、溶銑の酸素ポテンシャルが低下することも脱硫反応を促進させる要因である。一方、金属アルミニウムが10質量%未満のアルミニウム系脱酸剤を添加した場合には、金属アルミニウムの酸化反応に基づく発熱が少なく、生石灰中のCaOの滓化促進は余り期待できない。尚、当然ながら、アルミナはCaOの滓化促進剤として機能するので、金属アルミニウムが10質量%未満のアルミニウム系脱酸剤を添加した場合も、アルミナによるCaOの滓化促進は発現するが、脱硫処理初期にはその効果は得られない。
即ち、金属アルミニウムの配合比率が10質量%以上のアルミニウム系脱酸剤を、アルミナ換算で7質量%の配合比率で生石灰に混合し、この混合体を脱硫剤として溶銑を脱硫処理することで、効率的な脱硫処理が実現できるとの知見が得られた。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、発明に係る溶銑の脱硫剤は、生石灰と、金属アルミニウムの含有量が10質量%以上で残部が実質的にアルミナであるアルミニウム系脱酸剤と、の混合体からなる脱硫剤であり、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率がアルミナ換算で7質量%以上であることを特徴とする。
ここで、発明に係る溶銑の脱硫剤を構成するアルミニウム系脱酸剤としては、金属アルミニウム粉とアルミナ粉とが、金属アルミニウムの含有量を10質量%以上の任意の値として配合された混合物を使用するものとし、金属アルミニウム粉としては、市販の所謂「針状アルミニウム」を使用可能であり、アルミナ原料としては、製錬及び精錬で生成するアルミナスラグを使用可能である。また、金属アルミニウムとアルミナとの混合物であるアルミニウムドロスもアルミニウム系脱酸剤として使用可能である。
アルミニウムドロスとは、アルミサッシ、フェンス、飲料用缶、自動車用アルミホイールなどとして使用されたアルミニウム金属をリサイクルするために溶解する過程において、溶融したアルミニウムが空気中の酸素と反応して浴表面に形成されるアルミナを主体とするものであり、通常、30〜40質量%の金属アルミニウムを含有したものである。また、アルミニウムが、空気中にて高温度で長時間加熱されることから、アルミニウム窒化物を含有することもある。
発明に係る脱硫剤を構成する生石灰は、石灰石(CaCO3)を高温加熱することにより得られるもので、通常、CaO純分が90〜96質量%程度のものである。
このように本発明に係るCaO脱硫剤は、CaO、金属アルミニウム、アルミナから構成されるものであるが、原料から不可避的に混入する成分はその混入を規制するものではない。つまり、他の成分が原料から不可避的に混入したとしても本発明を実施する上で何ら問題にならない。
発明に係るCaO系脱硫剤において、アルミニウム系脱酸剤の配合比率の上限は特に規定するものではないが、アルミニウム系脱酸剤の配合比率が高くなりすぎると、金属アルミニウム及びアルミナの効果が飽和するのみならず、脱硫剤のボリュームが増大するので、アルミナ換算で50質量%程度を上限とすればよい。
このようにして構成される本発明に係る溶銑の脱硫剤は、該脱硫剤を、処理容器内に保持された溶銑に添加し、溶銑中に含有する硫黄を除去するプロセスに適用できる。このとき、脱硫剤の添加方法としては、攪拌され回転している溶銑浴面の上方から上置き添加することで十分脱硫処理することができる。また、溶銑の浴面上に上吹きランスを介して搬送用ガスとともに上吹き添加する方法でも十分適用できる。更に、溶銑中に浸漬させたインジェクションランスから搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込んで添加する方法でもよい。尚、上吹きランスを用いた上吹き添加、及びインジェクションランスを介した吹き込み添加で使用する搬送用ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスやプロパンなどの還元性ガスなど、非酸化性ガスを用いるのが好ましい。
特に、使用する脱硫処理装置としては、インペラーとも称する昇降可能な攪拌羽根を溶銑内に浸漬・埋没させて回転させ、溶銑の攪拌を行う機械攪拌式脱硫装置が、攪拌力が大きく反応速度が大きいことから好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、金属アルミニウムの含有量が10質量%以上のアルミニウム系脱酸剤と、生石灰と、からなる混合体を溶銑の脱硫剤とするので、金属アルミニウムの酸化反応によって生成するアルミナ、またはアルミニウム系脱酸剤に含有されているアルミナは、生石灰中のCaOの滓化促進剤として機能し、且つ、金属アルミニウムの酸化反応による発熱によって生石灰中のCaOの滓化が促進されるのみならず、金属アルミニウムによる溶銑の脱酸処理により溶銑の酸素ポテンシャルが低下し、その結果、フッ素を含有しないCaO系脱硫剤であるにも拘わらず、高い脱硫率で効率的に溶銑を脱硫処理することが実現される。
本発明に係る脱硫剤を用いて、C:4.2〜4.4質量%、Si:0.1〜0.2質量%、P:0.10〜0.12質量%、S:0.025〜0.030質量%の溶銑に、脱硫処理を実施した例(本発明例)について説明する。
機械攪拌式脱硫装置において、溶銑搬送用の溶銑鍋に収容された約300トンの溶銑に攪拌羽根を浸漬させ、アルミニウム系脱酸剤のアルミナ換算の配合比率が7〜50質量%である本発明に係る脱硫剤を、溶銑トンあたり10kg添加し、攪拌羽根を140rpmの回転速度で回転させて溶銑と脱硫剤とを攪拌し、15分間脱硫処理した。また、比較のために、本発明に係る脱硫剤とは異なる脱硫剤を用いた脱硫処理(比較例)も実施した。
本発明例及び比較例ともに、アルミニウム系脱酸剤の金属アルミニウム源としては、市販の針状アルミニウムを用い、またアルミナ源としては、アルミニウムドロスを一旦大気中でバーナー加熱し、金属アルミニウムをアルミナに酸化させたものを使用し、これらを所定の配合で混合したものをアルミニウム系脱酸剤として使用した。但し、本発明例1は、アルミニウム系脱酸剤として針状アルミニウムのみを使用した。表1に、本発明例及び比較例における脱硫処理条件及び脱硫処理結果を示す。
Figure 0005481899
表1に示すように、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率が10質量%である本発明例1〜4は、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率が同様に10質量%ではあるが脱硫剤中に金属アルミニウムを配合しない比較例3に比べて、大幅に脱硫率が向上した。また、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率が7質量%で、アルミニウム系脱酸剤中の金属アルミニウムの配合比率が10質量%である本発明例5は、金属アルミニウムの配合比率が同様に10質量%ではあるが脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率が5質量%と低い比較例1に比べて、大幅に脱硫率が向上した。
金属アルミニウムの配合比率は10質量%の一定であるが、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率が15〜50質量%と高い本発明例6〜9では、アルミニウム系脱酸剤の配合比率が高くなるに伴って、本発明例4に対して更に脱硫率が向上した。このように、本発明例1〜9では、70%を超える高い脱硫率を得ることができた。
これに対し、金属アルミニウムを含有するものの、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率が5質量%と低い比較例1、及び、アルミニウム系脱酸剤中の金属アルミニウムの配合比率が5質量%である比較例2は、金属アルミニウムを配合しない比較例3と同等の脱硫率であり、50%の脱硫率であった。

Claims (3)

  1. 生石灰と、金属アルミニウムの含有量が50質量%以上100質量%以下で残部が実質的にアルミナであるアルミニウム系脱酸剤と、の混合体からなる脱硫剤であり、脱硫剤中のアルミニウム系脱酸剤の配合比率がアルミナ換算で10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、溶銑の脱硫剤。
  2. 処理容器内に保持された溶銑に、請求項1に記載の脱硫剤を添加して、溶銑を脱硫処理することを特徴とする、溶銑の脱硫処理方法。
  3. 前記処理容器内の溶銑を、攪拌羽根によって攪拌しながら脱硫処理することを特徴とする、請求項2に記載の溶銑の脱硫処理方法。
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