JP2006283083A - アルミニウム灰、製鋼用脱硫剤及びアルミニウム灰の製造方法 - Google Patents

アルミニウム灰、製鋼用脱硫剤及びアルミニウム灰の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 脱硫効率が高く、また、脱硫時に設備の腐食を生じさせない脱硫剤、この脱硫剤に添加されるアルミニウム灰、及び、このアルミニウム灰の製造方法を提供する。
【解決手段】 アルミニウム灰は、酸化アルミニウム及び金属アルミニウムを含み、かつ、硫黄の含有量が0.05質量%以下、塩素の含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする。また、製鋼用脱硫剤は、石灰質と、このアルミニウム灰とを含有することを特徴とする。更に、このアルミニウム灰の製造方法は、アルミドロスをアーク炉内において不活性雰囲気下で950℃以上に加熱して、アルミドロスに含有される金属アルミニウムを溶融する溶融工程と、アルミドロスから、溶融した金属アルミニウムを含む溶湯を分離除去する除去工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルミニウム灰、製鋼用脱硫剤及びアルミニウム灰の製造方法に係り、特に、アルミドロスを原料とするアルミニウム灰、製鋼用脱硫剤及びアルミニウム灰の製造方法に関する。
従来、溶銑の脱硫剤として、蛍石が用いられていた。蛍石による脱硫においては、以下の式(1)に示す反応が進行する。そして、CaSが溶銑から浮上分離するため、硫黄分を除去することができる。
S+CaF2 → CaS+2F …(1)
この式(1)に示すように、この脱硫剤は、脱硫時にフッ素が遊離するが、フッ素は腐食性を有し、また、環境面からもフッ素の使用の低減が求められている。
そのため、この蛍石に代わる脱硫剤として、酸化カルシウムに、この酸化カルシウムによる溶銑の脱硫反応を促進する脱硫促進剤となる金属アルミニウムと酸化アルミニウムとを含むアルミニウム灰や、炭素質を配合した脱硫剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。酸化カルシウムは融点が高いため、単体では蛍石と同等の脱硫反応は得られないが、この脱硫剤では、酸化アルミニウムが酸化カルシウムと化合物(12CaO・7Al23)を形成して融点を下げるとともに、金属アルミニウムが酸化カルシウムを還元することで活性の高いカルシウムが生成され、このカルシウムと硫黄が化合することで脱硫反応が進行する。また、炭素質も、酸化カルシウムを還元して脱硫を促進する機能を有する。
なお、アルミニウム灰は、アルミニウム製品を製造する際に、アルミニウムを溶解する工程において発生するアルミドロスを加熱して有価な金属アルミニウムを分離回収した後の残渣(以下、残灰という)を含み、酸化アルミニウムと、金属アルミニウムを主成分とする。そして、アルミドロスから金属アルミニウムを回収し、残灰を生成する方法として、例えば、アルミドロスをアーク炉内において不活性雰囲気下で加熱する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、アルミドロスを加熱してアルミドロス中の金属アルミニウムを溶融した後、金属アルミニウムの湯滴を合一化して分離回収する。そして、金属アルミニウムの大半が分離除去されて、アーク炉内部に残灰(アーク炉灰)が得られる。そして、この残灰は、通常、セメント原料などに活用されている。
特開平3−274217号公報(第2頁右上欄第1行目〜第2頁左下欄第10行目) 特開平10−195554号公報(段落番号0011〜0037)
しかしながら、アルミドロスは、酸化アルミニウム及び金属アルミニウム以外にも様々な成分を含有する。例えば、アルミドロスは、酸化ケイ素や酸化マグネシウム、硫黄や塩素等を含有する。そして、このアルミドロスから金属アルミニウムを分離すると、残灰には硫黄や塩素が濃縮する。そのため、このような残灰を含む脱硫剤には硫黄や塩素が含まれる。そして、脱硫剤に硫黄が含まれると脱硫効率が低下し、また、脱硫剤に塩素が含まれると塩素により塩化水素ガスが発生して設備が腐食され、更には、ダイオキシンの発生の恐れも生じるという問題があった。
一方で、残灰は、主にセメント原料として活用されているが、セメント原料は他の廃棄物(汚泥、焼却灰、鉄鋼スラグ等)からの供給もあり過剰の傾向がある。一方で、残灰を原料とすれば、原料コストを低減することができるとともに、セメントへの一極依存体制も回避できるため、この残灰を脱硫剤に活用することが望まれていた。
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、アルミドロスから金属アルミニウムを分離した後の残灰を含み、脱硫効率が高く、また、脱硫時に設備の腐食を生じさせない製鋼用脱硫剤、この脱硫剤に添加されるアルミニウム灰、及び、このアルミニウム灰の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究実験した結果、アルミニウム灰を適切な製造方法によって製造し、成分(硫黄、塩素)を適切な範囲に制御することで前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を創作するに至った。
すなわち、前記問題点を解決するため、請求項1に記載のアルミニウム灰は、溶銑の脱硫剤に添加されるアルミニウム灰であって、酸化アルミニウム及び金属アルミニウムを含み、かつ、硫黄の含有量が0.05質量%以下、塩素の含有量が0.5質量%以下である構成とした。なお、ここでアルミニウム灰とは、アルミドロスを加熱して金属アルミニウムを分離した後の残灰、又は、この残灰とアルミドロスとの混合物を示すこととする。
このように構成すれば、硫黄の含有量を前記のように規定することにより、硫黄の活量を低減できるため、当該アルミニウム灰が脱硫促進剤として添加された脱硫剤の脱硫効率を向上させることができる。また、塩素の含有量を前記のように規制することにより、当該アルミニウム灰が脱硫促進剤として添加された脱硫剤を溶銑に添加した際に、腐食性を有する塩化水素ガスの発生が抑えられる。
また、請求項2に記載の製鋼用脱硫剤は、石灰質と、請求項1に記載のアルミニウム灰とを含有する構成とした。
このように構成すれば、アルミニウム灰に含まれる酸化アルミニウムによって、酸化カルシウムの融点を低下させるとともに、金属アルミニウムによって、温度を上昇させて脱硫反応を活性化させ、かつ、酸化カルシウムを還元することで、活性の高いカルシウムが生成され、効率よく脱硫を行うことができる。なお、石灰質とは、酸化カルシウム、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムを示す。そして、水酸化カルシウムや炭酸カルシウムは、溶銑に投入されると熱によって分解して酸化カルシウムになる。
また、アルミニウム灰の硫黄及び塩素の含有量が規定されているため、脱硫効率がより高く、かつ、脱硫時に腐食性を有する塩化水素ガスが発生しない脱硫剤となる。
更に、請求項3に記載のアルミニウム灰の製造方法は、請求項1に記載のアルミニウム灰の製造方法であって、アルミドロスをアーク炉内において不活性雰囲気下で950℃以上に加熱して、前記アルミドロスに含有される金属アルミニウムを溶融する溶融工程と、前記アルミドロスから、溶融した前記金属アルミニウムを含む溶湯を分離除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
このように構成すれば、アーク炉内においてアルミドロスに含有される硫黄と塩素とが揮発して、残灰となるアーク炉灰から除去される。そのため、アルミニウム灰には硫黄及び塩素が濃縮されず、溶銑に添加した際に、硫黄の活量を低減できるため、脱硫効率が高く、また、脱硫時に腐食性を有する塩化水素を発生しない脱硫剤とすることができるアルミニウム灰の製造方法が具現される。
本発明に係るアルミニウム灰、製鋼用脱硫剤及びアルミニウム灰の製造方法では、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、脱硫効率が高く、かつ、脱硫時に設備の腐食を生じさせない脱硫剤の脱硫促進剤となるアルミニウム灰を提供することができる。また、脱硫時におけるダイオキシンの発生も抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、脱硫効率が高く、かつ、脱硫時に設備の腐食を生じさせない脱硫剤を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、脱硫効率が高く、設備の腐食を生じさせない脱硫剤の脱硫促進剤となるアルミニウム灰を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明に係るアルミニウム灰について説明する。
[アルミニウム灰]
本発明に係るアルミニウム灰は、酸化アルミニウム及び金属アルミニウムを含有し、かつ、硫黄の含有量を0.05質量%以下に規制することで、当該アルミニウム灰が添加された脱硫剤の脱硫効率を向上させることができる。更に、本発明に係るアルミニウム灰は、塩素の含有量を0.5質量%以下に規制することで、当該アルミニウム灰が添加された脱硫剤による脱硫時における塩化水素ガスの発生を抑えることができる。
次に、本発明に係るアルミニウム灰に含まれる各成分を数値限定した理由について説明する。
(硫黄を0.05質量%以下)
本発明に係るアルミニウム灰に含まれる硫黄は、当該アルミニウム灰が添加された脱硫剤による溶銑の脱硫効率に寄与する元素である。すなわち、この硫黄の含有量が0.05質量%を超えると、溶銑中の硫黄の活量が高くなるために十分な脱硫効率が得られない。従って、本発明では硫黄の含有量を0.05質量%以下とする。
(塩素を0.5質量%以下)
本発明に係るアルミニウム灰に含まれる塩素は、当該アルミニウム灰が添加された脱硫剤による溶銑の脱硫の際に、腐食性の塩化水素ガスを形成する元素である。すなわち、この塩素の含有量が0.5質量%を超えると、溶銑の脱硫の際に排ガス中の塩化水素ガスの濃度が高まり、設備の腐食が生じるとともにダイオキシンが発生する恐れが生じる。従って、本発明では塩素の含有量を0.5質量%以下とする。
なお、本発明に係るアルミニウム灰は、酸化アルミニウム及び金属アルミニウムを主成分として含む。この酸化アルミニウムは、脱硫時に、酸化カルシウムの融点を下げる機能を有する。この酸化アルミニウムの含有量は、20質量%以上であることが好ましく、含有量が20質量%未満であると酸化カルシウムの融点の低下が十分に生じず、その結果、溶銑の脱硫反応が十分に進行しない。
また、アルミニウム灰に含有される金属アルミニウムは、金属アルミニウムの酸化反応による温度上昇をもたらすため、脱硫反応を活性化させる効果があるとともに、融解した酸化カルシウムを還元して、カルシウムを活性化する機能を有する。この金属アルミニウムの含有量は、20質量%以上であることが好ましく、含有量が20質量%未満であると、温度低下により脱硫反応が起こりにくくなり、更に酸化カルシウムの還元が十分に起きず、活性の高いカルシウムが生成されない。その結果、溶銑の脱硫反応が十分に進行しない。
このようにして、アルミニウム灰は、石灰質による溶銑の脱硫反応を促進する脱硫促進剤として機能する。本発明のアルミニウム灰は、不可避的不純物として、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、スピネル、ナトリウム、カリウム等が含有されても、本発明の効果が妨げられるものではない。なお、脱硫反応に寄与しない不可避的不純物の含有量は少ないほど好ましい。そして、不可避的不純物の含有量が多く、酸化アルミニウム及び金属アルミニウムの含有量の合計が少ないと、脱硫反応を促進するために、脱硫剤にアルミニウム灰をより多く添加しなければならず、その結果、不可避的不純物を多く含有するアルミニウム灰が溶銑に多量に投入され、溶銑に不純物が混入し、あるいは、鉱滓の量が増加する。そして、酸化アルミニウム及び金属アルミニウムの含有量の合計は多いほどよく、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
[アルミニウム灰の製造方法]
また、本発明に係るアルミニウム灰の製造方法は、アルミドロスをアーク炉内において不活性雰囲気下で950℃以上に加熱して、アルミドロスに含有される金属アルミニウムを溶融する溶融工程と、アルミドロスから、溶融した金属アルミニウムを含む溶湯を分離除去する除去工程とを含む。このような製造方法とすることにより、本発明に係るアルミニウム灰を製造することができる。
本発明に係るアルミニウム灰は、アルミドロスを用いて製造される。なお、アルミドロスは、アルミニウム製品を製造する際に、アルミニウムを溶解する工程において発生する残渣であり、アルミニウムを溶解した溶液表面に発生するアルミニウムの酸化皮膜と金属アルミニウムとが主成分となる。また、アルミドロスには、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、スピネル等の酸化物やナトリウム、カリウム、炭素、硫黄等も含まれている。更に、アルミニウムの溶解時に除滓性向上を目的としてフラックスが添加されるが、このフラックスに塩素が含有されている場合には、塩素も含有される。
以下、図1を参照して、本発明に係るアルミニウム灰の製造方法の各工程について説明する。図1は、本発明に係るアルミニウム灰の製造方法において、アーク炉の内部を示す断面を模式的に示す模式図である。なお、アーク炉Aは、炉体1の内部に貫入された炭素電極(陰極2a及び陽極2b)間に通電してアークを発生させ、この熱でアーク炉A内部の原料を加熱する炉である。炉体1は、アーク炉A内部にガスを供給するためのガス供給口3aと、アーク炉A内部からの排ガスを排出するためのガス排出口3bと、アーク炉A内部に溜まった溶湯5を抜き出すためのタップホール3cとを有している。図1では、炭素電極を軸に炉体1を回転あるいは回動させられるアーク炉Aを示したが、本発明に係るアルミニウム灰の製造方法において用いられるアーク炉はこの構造に限定されない。
(溶融工程)
溶融工程では、アルミドロスをアーク炉A内部において不活性雰囲気下で950℃以上に加熱して、アルミドロスに含有される金属アルミニウムを溶融する。ここで、この溶融工程において規定した条件について説明する。
(炉内雰囲気温度:950℃以上)
本発明に係るアルミニウム灰の製造方法では、アーク炉A内部においてアルミドロスを加熱する炉内雰囲気温度が、950℃より低い温度であると、アルミドロスに含有される硫黄及び塩素の除去が充分に行われず、アーク炉灰4(残灰)に硫黄及び塩素が濃縮し、その結果、この残灰を含むアルミニウム灰にも硫黄及び塩素が濃縮する。従って、本発明ではアーク炉A内部においてアルミドロスを加熱する炉内雰囲気温度を、950℃以上とする。なお、この温度以上で加熱すれば、アルミドロスに含有される硫黄は硫黄酸化物、塩素は塩化水素や金属塩化物になって揮発し、アーク炉灰4から分離される。
(不活性雰囲気)
本発明に係るアルミニウム灰の製造方法では、アーク炉A内部においてアルミドロスを不活性雰囲気で加熱することとした。不活性雰囲気でないと、アルミドロスに含有される金属アルミニウムがアーク炉A内部のガスと反応して化合物を形成し、有価な金属アルミニウムの回収量が減少する。従って、本発明ではアーク炉A内部を不活性雰囲気とする。なお、例えば、ガス供給口3aからアルゴンのような不活性ガスをアーク炉A内部に導入して充填することで、アーク炉A内部を不活性雰囲気とすることができる。
この溶融工程により、アルミドロスに含有される成分は、アーク炉A内部において気相、固相(アーク炉灰4)及び液相(溶湯5)に分離する。気相には、前記したように、硫黄、塩素等が含有され、固相には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、スピネルのような融点の高い酸化物等が含有される。また、液相には主に金属アルミニウムが含有される。
(除去工程)
除去工程では、アルミドロスから、溶融した金属アルミニウムを含む溶湯を分離除去する。図1に示すように、溶湯5はアーク炉A内部で下部に溜まるため、溶湯5をタップホール3cから抜き出すことで分離除去できる。
このようにして製造された、アーク炉A内部の残灰であるアーク炉灰4を、本発明のアルミニウム灰とすることができる。また、硫黄及び塩素の含有量が本発明のアルミニウム灰について規制した条件を満たす範囲内において、アーク炉灰4にアルミドロスを混合し(混合工程)、混合物を本発明のアルミニウム灰としてもよい。なお、酸化アルミニウムと金属アルミニウムとの含有量のバランスをとるために、本発明のアルミニウム灰は、アーク炉灰4に、酸化アルミニウムあるいは金属アルミニウムを添加したものとしてもよい。更に、アルミニウム灰の製造方法は、除去工程の後に、アルミニウム灰(アーク炉灰4、又は、アーク炉灰4とアルミドロスとの混合物)を粉砕する粉砕工程や、分級する分級工程等を含むこととしてもよい。
また、アルミドロスからの金属アルミニウムの回収率を向上させるために、アーク炉Aで加熱した後に得られたアーク炉灰4について更に溶融工程と除去工程とを行い、最終的に得られたアーク炉灰4、あるいは、このアーク炉灰4とアルミドロスとの混合物を、本発明のアルミニウム灰としてもよい。
以上説明した本発明に係るアルミニウム灰は、溶銑を脱硫する製鋼用脱硫剤に添加される脱硫促進剤に好適である。以下、本発明に係る製鋼用脱硫剤について説明する。
[製鋼用脱硫剤]
本発明に係る製鋼用脱硫剤は、石灰質と、アルミニウム灰とを含有する。ここで、石灰質とは、酸化カルシウム、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムである。水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムは、製鋼用脱硫剤に配合されて溶銑に投入されると熱によって分解し、酸化カルシウムとなる。そして、アルミニウム灰に含まれる酸化アルミニウムは、酸化カルシウムの融点を低下させ、更に、金属アルミニウムは、昇温効果をもたらすとともに、酸化カルシウムを還元することで、カルシウムへの反応を活性化する。そのため、製鋼用脱硫剤を溶銑に添加すると、活性化されたカルシウムが溶銑内の硫黄と化合して、効率よく脱硫を行うことができる。なお、製鋼用脱硫剤は、石灰質を45〜80質量%、アルミニウム灰を5〜20質量%含有することが好ましい。
更に、製鋼用脱硫剤に添加されるアルミニウム灰は、前記のように硫黄含有量を規定したので、製鋼用脱硫剤は、脱硫効率の高い脱硫剤となる。また、アルミニウム灰は、塩素の含有量を規定したので、製鋼用脱硫剤は、設備の腐食を生じない脱硫剤となる。
なお、本発明の製鋼用脱硫剤は、脱硫効率を高めるため、単体で脱硫剤となる蛍石を更に含有することとしてもよい。これによって、蛍石のみで脱硫する場合に比べて、蛍石の使用量を減少させ、フッ素の使用量を低減することができる。また、製鋼用脱硫剤は、脱硫効率を高めるために、金属マグネシウムを更に含有することとしてもよい。更に、酸化カルシウムの還元を促進するために、例えば、炭化珪素(SiC)や炭化カルシウム(CaC2)等の炭素質や、金属マグネシウム等を更に含有することとしてもよい。
以下、本発明に係る実施例について具体的に説明する。まず、実施例1〜3については、表1に示すような成分のアルミドロス2000kgを、アーク炉(アーク式回転炉)に投入し、炉内にアルゴンガスを封入した後、2MWのアーク電力にて1000℃で60分間加熱した。加熱時には、アーク炉を回転速度2回/分で回転させてアルミドロスを撹拌した。更に、アルゴンガスを80Nm3/時間でアーク炉内に供給し、炉内を不活性雰囲気に維持した。そして、アーク炉の回転を停止し、炉内雰囲気温度を維持したまま、下部に溜まった溶湯を抜き出した後、残灰のアーク炉灰を回収した。
また、比較例1については、表1に示すような成分のアルミドロス1000kgを、電気炉(傾動式電気炉)に投入し、大気中において850℃で20分間加熱した。そして、電気炉内の温度を維持したまま、下部に溜まった溶湯を傾動して取り出した後、残灰(電気炉灰)を回収した。
Figure 2006283083
Figure 2006283083
このようにしてアーク炉から回収されたアーク炉灰に、実施例1〜3では、表2に示すような混合比でアルミドロスを混合しアルミニウム灰とした。そして、アルミニウム灰を10質量%、酸化カルシウムを70質量%、蛍石を20質量%配合して、脱硫剤を製造した。一方、電気炉から回収された電気炉灰を10質量%、酸化カルシウムを70質量%、蛍石を20質量%配合して、比較例1の脱硫剤を製造した。また、アルミニウム灰及び電気炉灰の成分は表2に示すとおりである。
実施例1〜3は、いずれも本発明で規制した条件を満足するものである。一方、比較例1はアルミドロスを加熱する炉内雰囲気温度が本発明で数値限定した範囲の下限値未満であり、かつ、硫黄及び塩素の含有量が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えたものである。
以下、本発明に係る実施例1〜3及び本発明で規制した条件を満足しない比較例1の脱硫剤について行った評価方法について説明する。
(脱硫率)
脱硫剤を、硫黄を20×10-3質量%含有する溶銑に、溶銑1トン当たり8kgの割合で投入し、脱硫後の溶銑中の硫黄の濃度を測定して、脱硫率Eを以下の式(2)によって算出した。ここで、CS1は脱硫剤投入前の溶銑の硫黄濃度、CS2は投入後の硫黄濃度である。
E=Ln(CS1/CS2) …(2)
(腐食性)
脱硫反応後に、設備の腐食が生じているかを目視で確認し、腐食箇所が確認されなかったものを「○(良好)」とし、1箇所以上確認されたものを「×(不良)」とした。以上の評価結果を表3に示す。
Figure 2006283083
表3に示すように、本発明に係る実施例(実施例1〜3)については、脱硫率Eは、硫黄の含有量が本発明で数値限定した範囲の上限値を超えている比較例1に比べて、いずれも高い結果が得られた。また、腐食性の評価では、いずれも設備の腐食は確認されなかった。一方、本発明で規制した条件を満足しない比較例1は、硫黄及び塩素の含有量が高いため、脱硫率Eが低く、また、設備にわずかな腐食箇所が確認された。
本発明に係るアルミニウム灰の製造方法において、アーク炉の内部を示す断面を模式的に示す模式図である。
符号の説明
A アーク炉
1 炉体
2a 炭素電極(陰極)
2b 炭素電極(陽極)
3a ガス供給口
3b ガス排出口
3c タップホール
4 アーク炉灰
5 溶湯

Claims (3)

  1. 溶銑の脱硫剤に添加されるアルミニウム灰であって、
    酸化アルミニウム及び金属アルミニウムを含み、かつ、硫黄の含有量が0.05質量%以下、塩素の含有量が0.5質量%以下であることを特徴とするアルミニウム灰。
  2. 石灰質と、請求項1に記載のアルミニウム灰とを含有することを特徴とする製鋼用脱硫剤。
  3. 請求項1に記載のアルミニウム灰の製造方法であって、
    アルミドロスをアーク炉内において不活性雰囲気下で950℃以上に加熱して、前記アルミドロスに含有される金属アルミニウムを溶融する溶融工程と、
    前記アルミドロスから、溶融した前記金属アルミニウムを含む溶湯を分離除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とするアルミニウム灰の製造方法。
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