JP2013220975A - 改質灰およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カルシウムアルミネートを含有する高品質な改質灰、および、アルミニウムドロスから生じる残灰から、カルシウムアルミネートを含有する改質灰を、効率よく簡便に製造するとともに、高品質な改質灰を得ることができる改質灰の製造方法を提供する。
【解決手段】改質灰は、窒化アルミニウムが10質量%以下、スピネルを含めた酸化マグネシウムが10質量%以下、カルシウムアルミネートが70質量%以上であることを特徴とする。改質灰の製造方法は、アルミニウムドロスを回転式アーク炉Aに装入して850℃以上に加熱するアルミニウムメタル回収工程と、前記アルミニウムメタルを回収した後の残灰(アーク炉灰4)を回転式アーク炉Aで950℃以上に加熱する安定化処理工程と、安定化処理を施した残灰にカルシウム源を加えて回転式アーク炉Aで1360℃以上に加熱して改質灰とする改質工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】改質灰は、窒化アルミニウムが10質量%以下、スピネルを含めた酸化マグネシウムが10質量%以下、カルシウムアルミネートが70質量%以上であることを特徴とする。改質灰の製造方法は、アルミニウムドロスを回転式アーク炉Aに装入して850℃以上に加熱するアルミニウムメタル回収工程と、前記アルミニウムメタルを回収した後の残灰(アーク炉灰4)を回転式アーク炉Aで950℃以上に加熱する安定化処理工程と、安定化処理を施した残灰にカルシウム源を加えて回転式アーク炉Aで1360℃以上に加熱して改質灰とする改質工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウムドロスから生じる残灰を改質した改質灰、および、この改質灰を得るための改質灰の製造方法に関する。
アルミニウム製品の製造過程において、アルミニウムの地金やスクラップ等を溶解する際には、アルミニウムドロスと呼ばれる残渣が生成する。このアルミニウムドロスは、相当量のアルミニウムメタル(金属アルミニウム)を含んでいるため、アルミニウムドロスを加熱してアルミニウムメタルを回収することが行われている。
そして、アルミニウムドロスからアルミニウムメタルを回収した後には、残灰が生じる。この残灰については、大部分は鉄鋼用副資材として再資源化されているが、一部は埋め立て処分がなされている。したがって、資源リサイクルと経済性の観点から、アルミニウムメタルの回収率向上と、残灰の再資源化が可能となるアルミニウムドロスの処理技術の開発が望まれている。
ここで、例えば特許文献1には、アルミニウムドロスからアルミニウムメタルを回収した後の残灰に石灰質原料を混合し、残灰に含有されているアルミニウムメタルの発熱酸化反応を生起させることでカルシウムアルミネートを製造する技術が開示されている。
特許文献1に記載されたカルシウムアルミネートの製造方法は、予め残灰と石灰質原料とを攪拌混合してから焼成炉に装入し、オイルバーナーで装入物を加熱するものである。したがって、予め残灰と石灰質原料とを攪拌混合するため、時間や手間がかかるという問題や、オイルバーナーで装入物を加熱するため、加熱に時間がかかるという問題がある。
さらには、通常、残灰は、他社においてアルミニウムドロスを処理して生じたものを、適宜購入して使用することが一般的である。したがって、残灰を準備するために手間やコストがかかる。また、購入した残灰では、成分組成もバラツキが生じる可能性があることから、製造されたカルシウムアルミネートを含む最終産物の品質が低下する恐れがある。
さらには、通常、残灰は、他社においてアルミニウムドロスを処理して生じたものを、適宜購入して使用することが一般的である。したがって、残灰を準備するために手間やコストがかかる。また、購入した残灰では、成分組成もバラツキが生じる可能性があることから、製造されたカルシウムアルミネートを含む最終産物の品質が低下する恐れがある。
本発明は、前記課題を解決するためのものであり、カルシウムアルミネートを含有する高品質な改質灰、および、アルミニウムドロスから生じる残灰から、カルシウムアルミネートを含有する改質灰を、効率よく簡便に製造するとともに、高品質な改質灰を得ることができる改質灰の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る改質灰は、窒化アルミニウムが10質量%以下、スピネルを含めた酸化マグネシウムが10質量%以下、カルシウムアルミネートが70質量%以上であることを特徴とする。
このような構成によれば、改質灰が高品質なものとなり、製鋼用脱硫剤として好適なものとなる。
このような構成によれば、改質灰が高品質なものとなり、製鋼用脱硫剤として好適なものとなる。
本発明に係る改質灰の製造方法は、前記記載の改質灰の製造方法であって、アルミニウムドロスを回転式アーク炉に装入して850℃以上に加熱した後、アルミニウムメタルを回収するアルミニウムメタル回収工程と、前記アルミニウムメタルを回収した後の残灰を回転式アーク炉で950℃以上に加熱して、前記残灰に安定化処理を施す安定化処理工程と、前記安定化処理を施した残灰にカルシウム源を加えて回転式アーク炉で1360℃以上に加熱して、カルシウムアルミネートを含有する改質灰とする改質工程と、を含むことを特徴とする。
このような手順によれば、改質灰の製造方法は、アルミニウムメタル回収工程においてアルミニウムドロスからアルミニウムメタルが回収される。また、改質灰の製造方法は、安定化処理工程においてアルミニウムメタル回収工程で生じた残灰に安定化処理を施すことで、残灰中の塩化物やフッ化物が分解され、残灰が安定なアルミナやスピネルに改質される。さらに、改質灰の製造方法は、改質工程においてカルシウムアルミネートが生成する。そして、改質灰の製造方法は、回転式アーク炉を用いることで、効率よく簡便にアルミニウムメタルの回収ができるとともに、効率よく簡便に高品質な改質灰を得ることができる。
本発明に係る改質灰の製造方法は、前記カルシウム源として、酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化カルシウムから選択される一種以上を用いることができる。
このような手順によれば、改質灰の製造方法は、カルシウム源として前記物質を用いることで、効率よく簡便にカルシウム源を供給することができる。
このような手順によれば、改質灰の製造方法は、カルシウム源として前記物質を用いることで、効率よく簡便にカルシウム源を供給することができる。
本発明に係る改質灰の製造方法は、前記安定化処理を施した残灰中のアルミニウムメタルが10質量%以下であり、当該残灰の質量に対して、前記カルシウム源におけるCaOの質量が、0.5〜2.0倍であることが好ましい。
このような手順によれば、改質灰の製造方法は、安定化処理を施した残灰中のアルミニウムメタルが10質量%以下であることで、カルシウムアルミネートが効率よく生成する。また、改質灰の製造方法は、カルシウム源におけるCaOの質量が、0.5〜2.0倍であることで、カルシウムアルミネートの融点が高くなりすぎず、回転式アーク炉でのカルシウムアルミネートの生成が容易となる。
このような手順によれば、改質灰の製造方法は、安定化処理を施した残灰中のアルミニウムメタルが10質量%以下であることで、カルシウムアルミネートが効率よく生成する。また、改質灰の製造方法は、カルシウム源におけるCaOの質量が、0.5〜2.0倍であることで、カルシウムアルミネートの融点が高くなりすぎず、回転式アーク炉でのカルシウムアルミネートの生成が容易となる。
本発明の改質灰によれば、所定の成分含有量が規定された高品質な改質灰であるため、製鋼用脱硫剤として好適なものとなる。
本発明の改質灰の製造方法によれば、回転式アーク炉を用いることで、アルミニウムドロスからアルミニウムメタルを効率よく簡便に回収することができるとともに、アルミニウムドロスから生じる残灰から、カルシウムアルミネートを含有する改質灰を、効率よく簡便に得ることができる。そのため、生産性が向上する。さらに、高品質な改質灰を得ることができる。
本発明の改質灰の製造方法によれば、回転式アーク炉を用いることで、アルミニウムドロスからアルミニウムメタルを効率よく簡便に回収することができるとともに、アルミニウムドロスから生じる残灰から、カルシウムアルミネートを含有する改質灰を、効率よく簡便に得ることができる。そのため、生産性が向上する。さらに、高品質な改質灰を得ることができる。
以下、本発明に係る改質灰およびその製造方法について説明する。
≪改質灰≫
本発明の改質灰は、窒化アルミニウムが10質量%以下、スピネルを含めた酸化マグネシウムが10質量%以下、カルシウムアルミネートが70質量%以上である。
≪改質灰≫
本発明の改質灰は、窒化アルミニウムが10質量%以下、スピネルを含めた酸化マグネシウムが10質量%以下、カルシウムアルミネートが70質量%以上である。
改質灰は、例えば、製鋼用脱硫剤として用いることができる。製鋼用脱硫剤として改質灰を用いることで、下記式(1)の反応により、溶銑の脱硫が行われる。
12CaO・7Al2O3+12S+12Fe→12CaS+7Al2O3+12FeO
・・・・・・・・・・(1)
・・・・・・・・・・(1)
本発明の改質灰において、窒化アルミニウムの含有量が10質量%以下に規制されていることで、AlNがCaO・Al2O3となり、改質灰の融点を低下させる。好ましくは、5質量%以下である。なお、下限値は特に限定されるものではないが、実質的に1質量%は含有される。また、酸化マグネシウムの含有量が10質量%以下に規制されていることで、CaO・Al2O3の反応性が上がる。好ましくは、5質量%以下である。なお、下限値は特に限定されるものではないが、実質的に2質量%は含有される。そして、カルシウムアルミネートが70質量%以上含有されていることで、脱硫の反応性が高まる。好ましくは、80質量%以上である。なお、上限値は特に限定されるものではないが、実質的に90質量%の含有が上限であるといえる。
また、改質灰は、その他の成分として、後記する安定化処理を施した残灰中に含まれる成分であるアルミニウムメタルが含まれるが、後記するとおり、その含有量は10質量%以下が好ましい。
このように本発明の改質灰は、所定の成分が規定され、SiO2を含まないため高品質なものとなり、製鋼用脱硫剤として好適なものである。なお、本発明の改質灰の用途としては、製鋼用脱硫剤の他、セメントの原料が挙げられる。
次に、本発明の改質灰の製造方法について説明する。まず、本発明の改質灰の製造方法に用いる回転式アーク炉について説明する。
≪回転式アーク炉≫
本発明で用いる回転式アーク炉としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いればよい。一例として、図1に示す構造の回転式アーク炉(以下、適宜、アーク炉ともいう)Aが挙げられる。
本発明で用いる回転式アーク炉としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いればよい。一例として、図1に示す構造の回転式アーク炉(以下、適宜、アーク炉ともいう)Aが挙げられる。
図1に示すように、アーク炉Aは、炉体1の内部に貫入された炭素電極(陰極2a及び陽極2b)間に通電してアークを発生させ、この熱でアーク炉A内部の原料を、炉体1を回転させながら加熱する炉である。炉体1は、アーク炉A内部に供給ガスを供給するためのガス供給口3aと、アーク炉A内部からの排ガスを排出するためのガス排出口3bと、アーク炉A内部に溜まった溶湯5を抜き出すためのタップホール3cとを有している。図1では、炭素電極を軸に炉体1を回転あるいは回動させられるアーク炉Aを示したが、本発明に係る改質灰の製造方法において用いられるアーク炉はこの構造に限定されない。
以下、このアーク炉Aを用いた改質灰の製造方法について、適宜、図1〜3を参照して説明する。
≪改質灰の製造方法≫
本発明の改質灰の製造方法は、前記記載の改質灰の製造方法であって、アルミニウムメタル回収工程と、安定化処理工程と、改質工程と、を含むものである。以下、各工程について説明する。
≪改質灰の製造方法≫
本発明の改質灰の製造方法は、前記記載の改質灰の製造方法であって、アルミニウムメタル回収工程と、安定化処理工程と、改質工程と、を含むものである。以下、各工程について説明する。
<アルミニウムメタル回収工程>
アルミニウムメタル回収工程は、アルミニウムドロスを回転式アーク炉に装入して850℃以上に加熱した後、アルミニウムメタルを回収する工程である。
アルミニウムメタル回収工程は、アルミニウムドロスを回転式アーク炉に装入して850℃以上に加熱した後、アルミニウムメタルを回収する工程である。
アルミニウムドロスとは、アルミニウム製品を製造する際に、アルミニウムを溶解する工程において発生する残渣であり、アルミニウムを溶解した溶液表面に発生するアルミニウムの酸化皮膜とアルミニウムメタルとが主成分となる。また、アルミニウムドロスには、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、スピネル等の酸化物やナトリウム、カリウム、炭素、硫黄等も含まれている。更に、アルミニウムの溶解時に除滓性向上を目的としてフラックスが添加されるが、このフラックスに塩素が含有されている場合には、塩素も含有される。
図1に示すように、この工程では、まず、アルミニウムドロスをアーク炉Aに装入し、炉体1を回転させながら、アーク炉A内部において、850℃以上に加熱する(溶融工程)。これにより、アルミニウムドロスに含有されるアルミニウムメタル(金属アルミニウム)を溶融する。
加熱温度が850℃未満では、アルミニウムメタルが十分に溶融しない。また、改質灰中のカルシウムアルミネートの含有量が少なくなる。さらに、加熱温度が850℃未満では、アルミニウムドロスに含有される硫黄及び塩素の除去が十分に行われず、残灰であるアーク炉灰4に硫黄及び塩素が濃縮する。その結果、このアーク炉灰4から製造される改質灰にも硫黄及び塩素が濃縮する。したがって、アルミニウムドロスを加熱する温度は、850℃以上とする。なお、この温度以上で加熱すれば、アルミニウムドロスに含有される硫黄は硫黄酸化物、塩素は塩化水素や金属塩化物になって揮発し、アーク炉灰4から分離される。加熱温度の上限は特に規定されるものではなく、高温ほどよいが、炉体1の耐熱性等の観点から、加熱温度は1550℃以下が好ましい。また、加熱時間は、特に限定されるものではないが、作用の促進や経済的な観点から、20〜60分が好ましい。
加熱温度が850℃未満では、アルミニウムメタルが十分に溶融しない。また、改質灰中のカルシウムアルミネートの含有量が少なくなる。さらに、加熱温度が850℃未満では、アルミニウムドロスに含有される硫黄及び塩素の除去が十分に行われず、残灰であるアーク炉灰4に硫黄及び塩素が濃縮する。その結果、このアーク炉灰4から製造される改質灰にも硫黄及び塩素が濃縮する。したがって、アルミニウムドロスを加熱する温度は、850℃以上とする。なお、この温度以上で加熱すれば、アルミニウムドロスに含有される硫黄は硫黄酸化物、塩素は塩化水素や金属塩化物になって揮発し、アーク炉灰4から分離される。加熱温度の上限は特に規定されるものではなく、高温ほどよいが、炉体1の耐熱性等の観点から、加熱温度は1550℃以下が好ましい。また、加熱時間は、特に限定されるものではないが、作用の促進や経済的な観点から、20〜60分が好ましい。
アルミニウムドロスの加熱においては、アーク炉A内部において不活性雰囲気で加熱することが好ましい。不活性雰囲気ではない場合、アルミニウムドロスに含有されるアルミニウムメタルがアーク炉A内部のガスと反応して化合物を形成し、有価なアルミニウムメタルの回収量が減少する。したがって、アーク炉A内部を不活性雰囲気とすることが好ましい。なお、例えば、ガス供給口3aからアルゴンのような不活性ガスをアーク炉A内部に導入して充填することで、アーク炉A内部を不活性雰囲気とすることができる。
また、アルミニウムドロスの加熱により、アルミニウムドロスに含有される成分は、アーク炉A内部において気相、固相(アーク炉灰4)及び液相(溶湯5)に分離する。気相には、前記したように、硫黄、塩素等が含有され、固相には、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、スピネルのような融点の高い酸化物等が含有される。また、液相には主にアルミニウムメタルが含有される。
次に、アルミニウムドロスから、溶融したアルミニウムメタルを含む溶湯を分離除去する(除去工程)。図1に示すように、溶湯5はアーク炉A内部で下部に溜まるため、溶湯5をタップホール3cから抜き出すことで分離除去できる。
<安定化処理工程>
安定化処理工程は、アルミニウムメタルを回収した後の残灰を回転式アーク炉で950℃以上に加熱して、残灰に安定化処理を施す工程である。
アルミニウムメタル回収後の残灰であるアーク炉灰4には、塩化物やフッ化物が含まれている。そこで、アーク炉灰4を焼成することにより、塩化物やフッ化物を分解し、安定なアルミナやスピネルだけに改質する。
安定化処理工程は、アルミニウムメタルを回収した後の残灰を回転式アーク炉で950℃以上に加熱して、残灰に安定化処理を施す工程である。
アルミニウムメタル回収後の残灰であるアーク炉灰4には、塩化物やフッ化物が含まれている。そこで、アーク炉灰4を焼成することにより、塩化物やフッ化物を分解し、安定なアルミナやスピネルだけに改質する。
図2に示すように、この工程では、まず、炉体1を回転させながら、アーク炉A内部においてアーク炉灰4を950℃以上に加熱する。この際、ガス供給口3a及びガス排出口3bを開放し、アーク炉A内を酸化性雰囲気にする。
加熱温度が950℃未満では、塩化物及びフッ化物の分解が十分に行われない。その結果、このアーク炉灰4から製造される改質灰にも塩化物及びフッ化物が高濃度で残存する。また、改質灰中のカルシウムアルミネートの含有量が少なくなる。したがって、アーク炉灰4を加熱する温度は、950℃以上とする。好ましくは、1000℃以上である。加熱温度の上限は特に規定されるものではないが、炉体1の耐熱性等の観点から、加熱温度は1550℃以下が好ましい。また、加熱時間は、特に限定されるものではないが、作用の促進や経済的な観点から、10〜30分が好ましい。
加熱温度が950℃未満では、塩化物及びフッ化物の分解が十分に行われない。その結果、このアーク炉灰4から製造される改質灰にも塩化物及びフッ化物が高濃度で残存する。また、改質灰中のカルシウムアルミネートの含有量が少なくなる。したがって、アーク炉灰4を加熱する温度は、950℃以上とする。好ましくは、1000℃以上である。加熱温度の上限は特に規定されるものではないが、炉体1の耐熱性等の観点から、加熱温度は1550℃以下が好ましい。また、加熱時間は、特に限定されるものではないが、作用の促進や経済的な観点から、10〜30分が好ましい。
本発明においては、アルミニウムメタル回収工程、安定化処理工程のいずれにおいても、供給する物質としては、雰囲気の保持および反応に必要なガスだけであるため、排ガス量を極めて少なく抑えることができる。
<改質工程>
改質工程は、安定化処理を施した残灰にカルシウム源を加えて回転式アーク炉で1360℃以上に加熱して、カルシウムアルミネートを含有する改質灰とする工程である。
この工程により、安定化処理を施した残灰中のアルミナと、カルシウム源のカルシウムとが反応し、カルシウムアルミネート(7Al2O3・12CaO)が生成する。このカルシウムアルミネートの融点は、1360℃程度である。
改質工程は、安定化処理を施した残灰にカルシウム源を加えて回転式アーク炉で1360℃以上に加熱して、カルシウムアルミネートを含有する改質灰とする工程である。
この工程により、安定化処理を施した残灰中のアルミナと、カルシウム源のカルシウムとが反応し、カルシウムアルミネート(7Al2O3・12CaO)が生成する。このカルシウムアルミネートの融点は、1360℃程度である。
図3に示すように、この工程では、まず、安定化処理を施した残灰であるアーク炉灰40にカルシウム源6を加える。カルシウム源6としては、酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化カルシウムから選択される一種以上を用いることができる。具体的には、生石灰、石灰石、消石灰、ドロマイト、珪灰石等を用いることができる。これらの物質を用いることで、効率よく簡便に、アーク炉灰40にカルシウム源6を供給することができる。
次に、炉体1を回転させながら、アーク炉A内部においてアーク炉灰40を1360℃以上に加熱する。この際、ガス供給口3a及びガス排出口3bを開放し、アーク炉A内を酸化性雰囲気にする。
加熱温度が1360℃未満では、カルシウムアルミネートの生成が少なくなる。したがって、加熱温度は1360℃以上とする。好ましくは、1450℃以上である。加熱温度の上限は特に規定されるものではないが、炉体1の耐熱性等の観点から、加熱温度は1550℃以下が好ましい。また、加熱時間は、特に限定されるものではないが、作用の促進や経済的な観点から、5〜30分が好ましい。
加熱温度が1360℃未満では、カルシウムアルミネートの生成が少なくなる。したがって、加熱温度は1360℃以上とする。好ましくは、1450℃以上である。加熱温度の上限は特に規定されるものではないが、炉体1の耐熱性等の観点から、加熱温度は1550℃以下が好ましい。また、加熱時間は、特に限定されるものではないが、作用の促進や経済的な観点から、5〜30分が好ましい。
改質工程での反応は、以下の(2)式のとおりであり、複合酸化物化の反応(結合反応)である。
xAl2O3+yCaO→xAl2O3・yCaO・・・・・(2)
xAl2O3+yCaO→xAl2O3・yCaO・・・・・(2)
また、安定化処理を施したアーク炉灰40中のアルミニウムメタルが10質量%以下であり、アーク炉灰40の質量に対して、カルシウム源6におけるCaOの質量が、0.5〜2.0倍であることが好ましい。
ここで、カルシウム源6におけるCaOの質量とは、カルシウム源6における成分のCaOへの換算量ということである。例えば、炭酸カルシウムであれば、CaO・CO2、水酸化カルシウムであれば、CaO・H2OとしたときのCaOの量(質量)である。
ここで、カルシウム源6におけるCaOの質量とは、カルシウム源6における成分のCaOへの換算量ということである。例えば、炭酸カルシウムであれば、CaO・CO2、水酸化カルシウムであれば、CaO・H2OとしたときのCaOの量(質量)である。
アーク炉灰40中のアルミニウムメタルが10質量%を超えて含まれていると、アーク炉灰40中に含まれるアルミナが少なく、カルシウムアルミネートが効率よく生成しない。したがって、安定化処理を施したアーク炉灰40中のアルミニウムメタルが10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、5質量%以下である。なお、下限値は0質量%でもよいが、実質的に1質量%の含有が下限とされる。
また、カルシウム源におけるCaOの質量が、アーク炉灰40の質量に対して0.5倍未満、または、2.0倍を超えると、カルシウムアルミネートの融点が高くなり(例えば1650℃を超える)、アーク炉Aでの生成が困難となる。したがって、アーク炉灰40の質量に対して、カルシウム源6におけるCaOの質量が、0.5〜2.0倍であることが好ましい。より好ましくは、0.8〜2.0倍である。
そして、改質灰の製造後は、炉体1を傾動させて改質灰をアーク炉Aから排出する。
そして、改質灰の製造後は、炉体1を傾動させて改質灰をアーク炉Aから排出する。
以上説明したとおり、本発明の改質灰の製造方法は、アルミニウムメタル回収工程、安定化処理工程、改質工程をこの順に、アーク炉Aを用いて一連として行うため、非常に効率よく簡便に改質灰を製造することができる。そのため、生産性を向上させることができる。
しかしながら、安定化処理工程における加熱は、アルミニウムメタルを回収した後のアーク炉灰4を、別のアーク炉に移してから行ってもよい。
しかしながら、安定化処理工程における加熱は、アルミニウムメタルを回収した後のアーク炉灰4を、別のアーク炉に移してから行ってもよい。
また、改質工程におけるカルシウム源6の供給および加熱は、安定化処理を行った後のアーク炉灰40を、別のアーク炉に移してから行ってもよい。この場合、アルミニウムメタル回収後のアーク炉灰4および安定化処理後のアーク炉灰40を粉砕や分級して用いることができる。さらには、改質工程におけるカルシウム源6の供給および加熱を、安定化処理を施したアーク炉Aとは別のアーク炉を用いることで、アルミニウムメタルの回収や安定化処理を行うアーク炉について、改質灰の製造後におけるカルシウム源6の洗浄などを行う必要がない。
なお、このように別のアーク炉に移して処理を行う場合でも、アーク炉灰4,40を加熱による高温の状態で一旦取り出し、高温の状態で別のアーク炉に移すだけなので、効率よく簡便に改質灰を製造することが可能である。
このように、本発明の改質灰の製造方法においては、アルミニウムメタル回収工程、安定化処理工程、改質工程の各工程において、同じアーク炉を用いてもよいし、異なるアーク炉を用いてもよい。
このように、本発明の改質灰の製造方法においては、アルミニウムメタル回収工程、安定化処理工程、改質工程の各工程において、同じアーク炉を用いてもよいし、異なるアーク炉を用いてもよい。
改質灰の製造方法は、以上説明したとおりであるが、改質灰の製造を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、前記したとおり、アルミニウムメタル回収工程と安定化処理工程との間や、安定化処理工程と改質工程との間に、アーク炉灰4,40を粉砕する粉砕工程や、アーク炉灰4,40を分級する分級工程等を含むこととしてもよい。その他、例えばアーク炉灰4,40や改質灰の異物を除去する異物除去工程等を含めてもよい。さらには、アルミニウムドロスからのアルミニウムメタルの回収率を向上させるために、アーク炉Aで加熱した後に得られたアーク炉灰4について、さらにアルミニウムメタル回収工程における溶融工程と除去工程とを行ってもよい。
次に、本発明の改質灰およびその製造方法について、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例と、を対比させて具体的に説明する。
まず、表1に示すような成分のアルミニウムドロス3kgを回転式アーク式炉に投入し、炉内にアルゴンガスを封入した後、表2のアルミニウムメタル回収工程に示す条件で加熱した。加熱時には、アーク炉を回転速度30回/分で回転させてアルミニウムドロスを撹拌した。そして、アーク炉の回転を停止し、炉内雰囲気温度を維持したまま、下部に溜まった溶湯を抜き出してアーク炉灰を得た。
次に、このアーク炉灰を、同じアーク炉内で、表2の安定化処理工程に示す条件で加熱して安定化処理を施した。加熱時には、アーク炉を回転速度30回/分で回転させてアーク炉灰を撹拌した。更に、アーク炉のガス供給口及びガス排出口を開放し、炉内を酸化性雰囲気に維持した。
次に、安定化処理を施したアーク炉灰に、表2の改質工程に示す混合比でカルシウム源を混合し、同じアーク炉内で、表2の改質工程に示す条件で加熱した。加熱時には、アーク炉を回転速度30回/分で回転させてアーク炉灰とカルシウム源との混合物を撹拌した。更に、アーク炉のガス供給口及びガス排出口を開放し、炉内を酸化性雰囲気に維持した。
安定化処理後のアーク炉灰の組成を表3に、改質灰の組成を表4に示す。なお、表中、「M−Al」は、アルミニウムメタル(金属メタル)である。また、本発明の範囲を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
安定化処理後のアーク炉灰の組成を表3に、改質灰の組成を表4に示す。なお、表中、「M−Al」は、アルミニウムメタル(金属メタル)である。また、本発明の範囲を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
表4に示すように、実施例であるNo.1〜4の改質灰は、窒化アルミニウムが10質量%以下、スピネルを含めた酸化マグネシウムが10質量%以下、カルシウムアルミネートが70質量%以上であった。
また、回転式アーク炉を用いて一連の工程で処理することができたため、効率よく簡便に改質灰を得ることができた。
また、回転式アーク炉を用いて一連の工程で処理することができたため、効率よく簡便に改質灰を得ることができた。
一方、比較例であるNo.5〜7の改質灰は、以下の結果となった。
No.5は、アルミニウムメタル回収工程での加熱温度が下限値未満のため、カルシウムアルミネートが少なかった。No.6は、安定化処理工程での加熱温度が下限値未満のため、カルシウムアルミネートが少なかった。No.7は、改質工程での加熱温度が下限値未満のため、カルシウムアルミネートが少なかった。
No.5は、アルミニウムメタル回収工程での加熱温度が下限値未満のため、カルシウムアルミネートが少なかった。No.6は、安定化処理工程での加熱温度が下限値未満のため、カルシウムアルミネートが少なかった。No.7は、改質工程での加熱温度が下限値未満のため、カルシウムアルミネートが少なかった。
以上、本発明に係る改質灰およびその製造方法について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
A アーク炉(回転式アーク炉)
1 炉体
2a 炭素電極(陰極)
2b 炭素電極(陽極)
3a ガス供給口
3b ガス排出口
3c タップホール
4,40 アーク炉灰
5 溶湯
6 カルシウム源
1 炉体
2a 炭素電極(陰極)
2b 炭素電極(陽極)
3a ガス供給口
3b ガス排出口
3c タップホール
4,40 アーク炉灰
5 溶湯
6 カルシウム源
Claims (4)
- 窒化アルミニウムが10質量%以下、スピネルを含めた酸化マグネシウムが10質量%以下、カルシウムアルミネートが70質量%以上であることを特徴とする改質灰。
- 請求項1に記載の改質灰の製造方法であって、
アルミニウムドロスを回転式アーク炉に装入して850℃以上に加熱した後、アルミニウムメタルを回収するアルミニウムメタル回収工程と、
前記アルミニウムメタルを回収した後の残灰を回転式アーク炉で950℃以上に加熱して、前記残灰に安定化処理を施す安定化処理工程と、
前記安定化処理を施した残灰にカルシウム源を加えて回転式アーク炉で1360℃以上に加熱して、カルシウムアルミネートを含有する改質灰とする改質工程と、
を含むことを特徴とする改質灰の製造方法。 - 前記カルシウム源として、酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化カルシウムから選択される一種以上を用いることを特徴とする請求項2に記載の改質灰の製造方法。
- 前記安定化処理を施した残灰中のアルミニウムメタルが10質量%以下であり、当該残灰の質量に対して、前記カルシウム源におけるCaOの質量が、0.5〜2.0倍であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の改質灰の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012093808A JP2013220975A (ja) | 2012-04-17 | 2012-04-17 | 改質灰およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105960472A (zh) * | 2014-02-06 | 2016-09-21 | 株式会社神户制钢所 | 钢铁精炼用辅助材料 |
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2012
- 2012-04-17 JP JP2012093808A patent/JP2013220975A/ja active Pending
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