JP5297173B2 - フェロモリブデンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の前照灯用等に使用するタングステンフィラメントの製造等の際に発生する廃酸から、フェロモリブデンを製造するフェロモリブデンの製造方法に関する。
自動車の前照灯用等に使用するタングステンフィラメントは、主としてモリブデンを芯材として、この芯材にタングステン線を巻線加工し、高温で熱処理した後、高濃度の混酸(硝酸+硫酸)により芯材を溶解することで製造される。なお、芯材としては、モリブデンの単独使用の場合もあれば、真鍮あるいは鉄線が補助的に使用されることもある。この芯材は、前記したとおり、高濃度の混酸によって溶解されるものであるため、溶解処理後には、モリブデンを高濃度に含有する混合廃酸が生ずることになる。そして、資源の有効利用、環境保全等の観点から、このような廃酸中のモリブデンを除去・回収して再利用することが望まれている。
このような廃酸の処理としては、例えば、廃酸であるモリブデン含有排水に、第二鉄イオンを添加し、次いで、酸またはアルカリ剤で排水のpHを4〜8として水酸化第二鉄を生成させ、生成した懸濁物質を固液分離すると共に、得られる汚泥の一部を反応槽へ返送して汚泥循環することでモリブデンを除去する処理方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、廃酸を処理するのみに留まり、回収されたモリブデンを利用する方法まで提示するものではない。
そこで、この廃酸からモリブデンを回収して再利用する方法として、例えば、モリブデン酸塩を含む水溶液を酸性にし、陽イオン交換型キレート樹脂と接触させてキレート樹脂にモリブデン酸イオンを吸着させた後、キレート樹脂をアルカリ水溶液と接触させてモリブデン酸イオンを溶離させ、溶離したモリブデン酸イオンの形でモリブデン酸塩を回収する方法が開示されている(特許文献2参照)。また、モリブデンを溶存し、硝酸および硫酸を含有する廃酸を加熱蒸発して硝酸を分離し、硝酸分離後の残留濃縮液からモリブデン化合物を析出させて固液分離する方法(特許文献3参照)や、前記分離後のモリブデン化合物を300℃以上の温度で加熱処理し、MoOを主成分とした粉末として回収する方法が開示されている(特許文献4参照)。
特開2000−117265号公報 特開2003−48716号公報 特開2003−12325号公報 特開2006−327870号公報
しかしながら、前記した技術においては、以下に示す問題がある。
特許文献2に記載の技術は、防食剤としてモリブデン酸塩を添加した使用済みの冷却排水等を対象とするものであり、この使用済みの冷却排水等からモリブデン酸イオンを回収し、防食剤として再利用することを目的としたものである。そのため、鉄鋼用の添加材等に用いるためのフェロモリブデンを生成することはできない。
特許文献3、4に記載の技術は、モリブデンを溶存すると共に、硝酸および硫酸を含有する廃酸を対象とし、この廃酸からモリブデン化合物を回収するものである。しかし、特許文献3の技術においては、モリブデン化合物は結晶として回収されるものであり、特許文献4の技術においては、MoOを主成分とした粉末として回収されるものであるため、やはり、鉄鋼用の添加材等に用いるためのフェロモリブデンを直接生成することはできない。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モリブデンを含む廃酸から、フェロモリブデンを、高効率、かつ安価に製造するフェロモリブデンの製造方法を提供することにある。
請求項1に係るフェロモリブデンの製造方法は、複合酸化物生成工程と、複合酸化物分離工程と、混合工程と、溶融工程と、フェロモリブデン分離工程と、を含み、前記混合工程で混合した混合物中のCaOとAlの比率(CaO/Al)が質量比で0.81〜1.22であることを特徴とする。
このような製造方法によれば、複合酸化物生成工程において、モリブデン、硝酸、および、硫酸を含有する廃酸に、アルミニウムイオン供給物質を添加することで、アルミニウムおよびモリブデンを含む複合酸化物(Al(MoO)が生成する。
また、複合酸化物分離工程において、生成した複合酸化物が廃酸中から分離され、混合工程において、複合酸化物に、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、および、CaO供給物質が混合される。なお、ここでの酸化鉄供給物質とは、酸化鉄を含有する物質の他、酸化鉄そのものや、その他のFeの酸化物のことをいう。また、ここでのCaO供給物質とは、CaOを含有する物質の他、CaOそのものや、その他のCaの酸化物のことをいう。そして、混合した混合物中のCaOとAlの比率(CaO/Al)が質量比で0.81〜1.22となるようにCaO供給物質を配合することで、酸化カルシウムと酸化アルミニウムから形成される酸化物の混合体の融点が低下し、最終到達温度1450〜1550℃の条件で、スラグが溶融するようになる。
次に、溶融工程において、この混合された混合物を、最終到達温度1450〜1550℃の条件で加熱することで混合物が溶融し、フェロモリブデンからなる溶融金属と、酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムからなる溶融酸化物と、を含む溶融物が形成される。そして、フェロモリブデン分離工程において、溶融物を冷却して生成したスラグからフェロモリブデンが分離され、フェロモリブデンが製造される。
請求項2に係るフェロモリブデンの製造方法は、前記CaO供給物質として、炭酸カルシウムおよび生石灰のうちの少なくとも1種を用いることを特徴とする。
このような製造方法によれば、CaO供給物質として炭酸カルシウムおよび生石灰のうちの少なくとも1種を用いることで、効率よくCaOを供給することができ、また、経済性が向上する。
請求項3に係るフェロモリブデンの製造方法は、前記溶融工程において、前記混合物を溶融するための保持容器に炭素質材料を用いることを特徴とする。
このような製造方法によれば、保持容器からの溶融した混合物の取り出しが容易になる。
本発明の請求項1に係るフェロモリブデンの製造方法によれば、モリブデンを含む廃酸から、Mo濃度の高いフェロモリブデンを、安定して、高効率、かつ安価に製造することができる。また、廃酸中のモリブデンを除去して、フェロモリブデンとして回収することができるため、主に、鉄鋼用の合金元素添加材に再利用することができ、資源の有効利用、環境保全等に寄与することができる。
請求項2に係るフェロモリブデンの製造方法によれば、効率的、経済的にCaOを供給し、フェロモリブデン中のS濃度を抑制することができる。請求項3に係るフェロモリブデンの製造方法によれば、溶融した混合物を保持容器から容易に取り出すことができる。
記製造方法により製造されたフェロモリブデンは、Mo濃度が高く、S濃度が低いものとなり、また、効率的、経済的に得ることができる。さらに、鉄鋼用の合金元素添加材として利用することができる。
次に、図面を参照して本発明に係るフェロモリブデンの製造方法およびこの製造方法で製造されたフェロモリブデンについて詳細に説明する。なお、参照する図面において、図1は、フェロモリブデンの製造方法のフローを示す図、図2は、廃酸中に含まれるモリブデン濃度に対する、廃酸に添加されたアルミニウムイオン供給物質のアルミニウム濃度のモル比と、複合酸化物の回収率の関係を示すグラフである。
≪フェロモリブデンの製造方法≫
図1に示すように、フェロモリブデンの製造方法は、複合酸化物生成工程(S1)と、複合酸化物分離工程(S2)と、混合工程(S3)と、溶融工程(S4)と、フェロモリブデン分離工程(S5)と、を含むものである。
以下、各工程について説明する。
<複合酸化物生成工程>
複合酸化物生成工程(S1)は、モリブデン、硝酸、および、硫酸を含有する廃酸に、アルミニウムイオン供給物質を添加し、アルミニウムおよびモリブデンを含む複合酸化物を生成させる工程である。
[廃酸]
廃酸は、製造されるフェロモリブデンに含有されるモリブデンの原料となるものである。廃酸としては、タングステンフィラメントの製造時において、モリブデンを溶解除去する際に発生する廃酸を用いる。しかし、用いる廃酸は、これに限定されるものではなく、モリブデン、硝酸、および、硫酸を含有するものであれば、これ以外の廃酸についても本発明を適用することができる。
[アルミニウムイオン供給物質]
アルミニウムイオン供給物質は、廃酸中にアルミニウムイオンを供給する物質であり、廃酸中に添加することで、アルミニウムおよびモリブデンを含む複合酸化物(Al(MoO)を生成・沈殿させることができる。
アルミニウムイオン供給物質としては、廃酸中にアルミニウムイオンを供給できる物質であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウムの塩化物(AlCl)、アルミニウムの硫酸塩(Al(SO)、アルミニウムの硝酸塩(Al(NO))、アルミニウムの酢酸塩((CHCOO)Al)等を用いることができる。
なお、複合酸化物(Al(MoO)が生成する際の反応の概要は次式で示される。
「2Al3++3(MoO2−→ Al(MoO)」
また、アルミニウムイオン供給物質の配合量は、廃酸中に含まれるモリブデン濃度に対して、アルミニウム濃度が、モル比で2/3に相当するように添加するのが好ましい。図2に示すように、廃酸中に含まれるモリブデン濃度に対するアルミニウム濃度のモル比(図中、Al/Moモル比と記す)が2/3相当未満では、複合酸化物(Al(MoO)の生成が不十分となりやすく、複合酸化物の回収率が低下する。一方、2/3相当を超えて添加しても、反応するモリブデンが無くなるため、2/3相当を超えて添加する必要は無い。なお、複合酸化物の回収率=[得られた複合酸化物の量×複合酸化物に含まれるMo濃度]/[廃酸中に含まれるMo濃度]である。
<複合酸化物分離工程>
複合酸化物分離工程(S2)は、前記廃酸と、当該廃酸中の複合酸化物を分離する工程である。
廃酸(廃酸溶液)から複合酸化物を分離する方法は、特に限定されるものではなく、複合酸化物を分離・回収できるものであれば、どのような方法でもよい。しかし、複合酸化物は比重差によって廃酸溶液中に沈殿するため、廃酸溶液を吸引ろ過する方法を用いるのが好ましい。廃酸溶液を吸引ろ過することで、複合酸化物を、容易、かつ簡便に、分離・回収することができる。
なお、廃酸溶液から分離した複合酸化物に、廃酸溶液中の硫酸が含有されていてもよい。この硫酸は、後記する溶融工程(S4)での加熱還元処理時に生成する酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムからなる溶融酸化物を含むスラグ分中に、硫黄分を吸収させることができ、得られるフェロモリブデン中のS濃度を低減させることができる。そのため、複合酸化物を事前に水等で洗浄する必要は無い。
<混合工程>
混合工程(S3)は、前記複合酸化物に、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、および、CaO供給物質を添加して混合する工程である。
[酸化鉄供給物質]
酸化鉄供給物質(酸化鉄含有物質)中の酸化鉄は、鉄源として使用するためのものであり、酸化鉄供給物質としては、混合物中に酸化鉄を供給(配合)できる物質であれば特に限定されるものではなく、鉄鉱石(鉄鉱石粉)やスケール(ミルスケール)等を用いることができる。
酸化鉄供給物質の配合量は、所望のモリブデン濃度(目標Mo濃度)から計算される、複合酸化物中のモリブデンと酸化鉄供給物質中の鉄の比に対して供給(配合)する酸化鉄に基づいて定める。ここで、鉄鉱石を用いる場合には、目標Mo濃度=[複合酸化物に含まれるMo濃度]×複合酸化物の量/[複合酸化物に含まれるMo濃度×複合酸化物の量+鉄鉱石中に含まれる鉄の濃度×鉄鉱石の量]×100である。
なお、混合物中における酸化鉄供給物質の配合量は、前記に基づき任意に決定することができるが、目標Mo濃度が20〜60質量%程度となるよう配合するのが好ましい。
[炭素質還元剤]
炭素質還元剤(炭素含有物質)は、酸化鉄を還元するものであり、炭素質還元剤としては、固定炭素を含むものであればよく、石炭、コークス、木炭、廃トナー、バイオマスの炭化物等を用いることができ、また、これらを適宜混合して用いてもよい。
混合物中における炭素質還元剤の配合量は、複合酸化物中のモリブデンと酸化鉄供給物質中の鉄の比に対して配合された酸化鉄および複合酸化物中に含まれるモリブデンがMoOとして化合している酸素を、加熱炉内で還元するのに必要な炭素量以上となるように決定する。
また、炭素質還元剤(固定炭素質)の配合量は、前記の物質(石炭等)に含まれる固定炭素質量を考慮して配合すればよいが、配合される酸化鉄に含まれる酸素量およびモリブデンと化合している酸素量に対してモル比で等量となるように配合することが好ましい。なお、酸化鉄を還元する以上に炭素を配合しても、得られるフェロモリブデンに炭素が移行するだけであるため、それ以上に配合する必要はない。
[CaO供給物質]
CaO供給物質は、スラグ形成剤として、酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムからなる溶融酸化物を含むスラグを形成させるため、また、脱硫剤として、スラグにSを固定化するために配合するものである。
CaO供給物質としては、混合物中にCaOを供給(配合)できる物質であれば特に限定されるものではないが、効率性、経済性の観点から、炭酸カルシウム(石灰)および生石灰のうちの少なくとも1種を用いることが好ましく、消石灰等を用いてもよい。また、SiO以外の不純物を含むものであれば、CaOの含有量を考慮して、配合量を決定する。なお、これらは、混合して用いてもよい。
混合物中におけるCaO供給物質の配合量は、混合物中に生成するCaOとAlの質量比(CaO/Al)が0.81〜1.22となるように配合する。質量比(CaO/Al)が0.81〜1.22の範囲を外れると、酸化カルシウムと酸化アルミニウムから形成される酸化物の混合体の融点が高くなり、最終到達温度1450〜1550℃の条件で、スラグが溶融しないため、フェロモリブデンとスラグの分離が困難になる。
また、CaO供給物質の配合量を決定する際には、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤等に灰分として含まれるCaO量も考慮して配合量を決定する。
なお、脱硫剤としては、CaO供給物質の他、MgO供給物質(MgO含有物質)が挙げられるが、MgOは、CaOよりも反応能力が劣るため、通常はCaO供給物質の配合の一部をMgO供給物質に取り替えて配合する。CaOとMgOを同時に供給できる物質としては、例えば、ドロマイト鉱石が挙げられる。このドロマイト鉱石をCaO供給物質として配合してもよい。
ここで、複合酸化物、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、および、脱硫剤等を混合するには混合機(例えば、スクリュー型ミキサー)を用いる。また、混合した混合物は造粒機で塊成化して、例えば、直径10〜15mm程度の塊成物とするのが好ましい。混合物を塊成化することにより、加熱炉からのダスト発生量が減るとともに、加熱炉内における混合物(塊成物)内部の反応の結果生成するCOガスやCOガスが移動しやすくなり、このCOガスやCOガスによって原料がダストとなることが防止できるためである。造粒機としては、ブリケットプレス等の圧縮成形機やパンペレタイザー等の転動造粒機のほか押出成形機を用いてもよい。なお、混合物を塊成化するため、小麦粉等のバインダーを混合するのが好ましい。
なお、複合酸化物、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、および、脱硫剤等が水分を多く含む場合は、事前に乾燥しておくことが好ましい。乾燥の度合いは混合工程での混合手段(本実施の形態では混合機)を考慮して決定し、原料中の水分が10質量%以下となることが好ましい。また、造粒後の混合物(塊成物)の水分が高い場合は加熱炉に装入する前に乾燥してもよい。
<溶融工程>
溶融工程(S4)は、前記混合した混合物を、最終到達温度1450〜1550℃の条件で加熱して、フェロモリブデンからなる溶融金属と、酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムからなる溶融酸化物と、を含む溶融物(溶解物)を形成する工程であり、また、還元反応を起こす工程でもある。
混合機で混合した混合物または造粒機で造粒した塊成物は、加熱炉に装入して加熱、溶融(溶解)する。加熱炉としては抵抗加熱炉、誘導加熱炉等のるつぼを備えた炉を使用することができる。また、この他の加熱炉としては、回転炉床炉や直線炉、多段炉等が使用でき、これらの移動炉床炉は、被加熱物である混合物(塊成物)が炉床上に静置されるため、ダスト等の発生が少なく、また、いずれの炉もコンパクトであり、ロータリーキルンに比べて設備費、設置面積を節減できる。
次に、溶融工程(S4)における還元反応の一例について説明する。
本発明の還元反応の概要は次式で示される。
まず、
「Fe+C → Fe+CO」の反応がおき、また、同時に下記の反応もおこる。
「C+CO→2CO」
このため、800℃以上の温度になると
「Fe+3CO → 2Fe+3CO」の反応がおきる。そして、これらが複合しておこるため、ほぼ、
「Fe+3C → 2Fe+3CO」の形で還元が進行する。
一方、Moについては、
「MoO+3C → Mo+3CO」となる。
このようにして生成したMoが、Feと結合してフェロモリブデンとなる。
なお、Alや、スラグ形成剤、脱硫剤等として使用するCaO、MgO等は、炭素によって還元することが困難なため、加熱時にも酸化物としての形態をとどめており、スラグとして存在する。
ここで、混合物(塊成物)を溶融(溶解)するにあたって、保持容器として炭素質材料(炭素質の成型体)を用いることが好ましい。保持容器として炭素質材料を用いることで、炭素の潤滑性により、溶融後に保持容器から、混合物を溶融した溶融物を取り出すことが容易になる。なお、溶融の際の加熱は、保持容器ごと行うことができる。また、混合物を塊成化せず、粉末のまま保持容器に入れて焼成する場合は、保持容器に、COガスやCOガスの抜ける穴を設ける必要がある。
さらに、混合物(塊成物)を溶融させるためには、最終到達温度1450〜1550℃の条件で加熱する必要がある。最終到達温度が1450℃未満では、混合物(塊成物)の溶融が不十分となり、フェロモリブデンからなる溶融金属と、酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムからなる溶融酸化物と、を含む溶融物を形成することが困難となる。一方、1550℃を超えると、炭素質材料の保持容器で加熱した場合、生成したフェロモリブデンと炭素が反応してフェロモリブデンに含まれるC濃度が上昇する恐れがあり、また、使用電力量の増大を招く。したがって、最終到達温度は、1450〜1550℃とする。
なお、最終到達温度1450〜1550℃での保持時間は、特に限定されるものではないが、混合物(塊成物)の溶融や、溶融金属と溶融酸化物の分離を促進させるため、30分以上1時間以下程度保持することが好ましい。
このように混合物(塊成物)を溶融することで、フェロモリブデンからなる溶融金属と、酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムからなる溶融酸化物は、比重の違いから、上下に2層に分離した状態となる。
<フェロモリブデン分離工程>
フェロモリブデン分離工程(S5)は、前記溶融物を冷却して生成したスラグから、フェロモリブデンを分離する工程である。
加熱炉内で溶融、還元された溶融物である溶融混合物(還元混合物)は、加熱終了後冷却して、るつぼもしくは炉床から排出する。この冷却した還元混合物である還元固化物は、フェロモリブデンと、酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムからなる酸化物を含むスラグとが、上下に2層に分離した固形物として得られる。この固形物のフェロモリブデンとスラグとは、ハンマー等で振動を与えることにより容易に分離することができる。
本発明に係るフェロモリブデンの製造方法は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、廃酸を準備する廃酸準備工程や、ごみ等の不要物を除去する不要物除去工程や、得られたフェロモリブデンを乾燥させる乾燥工程等、他の工程を含めてもよい。
≪フェロモリブデン≫
記記載の製造方法により、例えば、Mo含有量が20質量%以上60質量%以下であり、S含有量が0.041質量%以上0.211質量%以下であり、C含有量が0.12質量%以上3.78質量%以下であり、Si含有量が0.04質量%以上0.09質量%以下であり、Mn含有量が0.03質量%以上0.16質量%以下であり、P含有量が0.039質量%以上0.098質量%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物とするフェロモリブデンを得ることができる。
次に、本発明に係るフェロモリブデンの製造方法について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[前処理]
モリブデンを70g/L、HNOを264g/L、および、HSOを541g/L含む廃酸溶液1Lに対して、Al(MoOを生成できる等量である65g/Lの塩化アルミニウムを添加した。これにより、廃酸溶液中にAl(MoOの沈殿物が生成した。そして、廃酸溶液を吸引ろ過して沈殿物を回収し、130gの生成物(Al(MoO)を得た。なお、この生成物にはSが2.1質量%程度含有されていた。
[加熱処理]
得られた生成物に対し、酸化鉄供給物質として鉄鉱石、炭素質還元剤としてコークス粉、CaO供給物質として炭酸カルシウム(CaCO)、バインダー(小麦粉)を、表2に示す割合になるように混合し、配合物(混合物)を得た。なお、炭酸カルシウムは、CaO供給物質としては、生石灰と同等であるため、本実施例では、代表として、炭酸カルシウムを使用した。鉄鉱石、コークス粉、炭酸カルシウムの成分組成を表1に、配合物の成分組成を表2に示す。また、目標とする配合物中のCaOとAlの質量比率(CaO/Al)を算出した結果を、表2に併せて示す。なお、表1、2中、成分を含有していないもの等については、「−」で示し、表2中、本発明の範囲を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 0005297173
Figure 0005297173
配合は、複合酸化物中のMo濃度に対して鉄鉱石に含まれる鉄分の比(目標Mo濃度)が表2に示す値となるように配合した。ここで、目標Mo濃度=[生成物(Al(MoO)に含まれるMo濃度]/[生成物(Al(MoO)に含まれるMo濃度+酸化鉄供給物質中の鉄の濃度×酸化鉄供給物質の量]である。
また、CaO供給物質の配合量は、配合物中のCaOとAlの比率(CaO/Al)が表2の値になるようにCaOを供給できる量である。
さらに、炭素質還元剤の配合量は、([酸化鉄供給物質の量×鉄と結合している酸素の濃度+生成物(Al(MoO)に含まれるMoと結合している酸素の濃度]/[炭素供給物質中の炭素の濃度])×0.75である。
ここで、0.75とは、還元は主にCOを生成して進むことから、CとOの原子量の比である。
次に、得られた配合物を、直径600mmの小型パンペレタイザーを用いて直径10mm程度のペレットに造粒した。この造粒物を黒鉛製容器に装入し、容器ごと抵抗式電気加熱炉内で、No.1〜16、19については、1450℃または1550℃まで昇温し、No.17、18については、1400℃まで昇温し、30分間保持した後に、そのまま冷却した。冷却後、黒鉛製容器内には、一部については、金属(フェロモリブデン)および酸化物を含むスラグが形成され、これらが上下に2層に分離した状態の固形物が得られた。この固形物のフェロモリブデンとスラグを分離した。また、一部については、黒鉛製容器内には、金属(フェロモリブデン)および酸化物を含むスラグは形成されなかった。
得られたフェロモリブデンとスラグの成分組成を表3に示す。また、スラグに含まれるCaOとAlの質量比率(CaO/Al)、および、フェロモリブデンに含まれる硫黄量[S]に対するスラグに含まれる硫黄量(S)の比(硫黄分配比(S)/[S])を算出した結果を、表3に併せて示す。さらに、得られたフェロモリブデンの歩留まり率(回収率)を算出した結果を、表3に併せて示す。
ここで、歩留まり率=[得られたフェロモリブデン量×フェロモリブデン中のMo濃度]/[配合計算から算出されるMo濃度]である。なお、表3中、測定等ができなかったものについては、「−」で示す。
Figure 0005297173
表3に示すように、No.1〜14は本発明の要件を満たす実施例であって、フェロモリブデンの歩留まり率が92.9%以上と良好であった。
一方、No.15〜19は本発明の要件を満たさない比較例であって、No.15、16は、配合物中のCaOとAlの質量比率(CaO/Al)が、本発明の範囲を満たさないため、配合物が溶融したもののフェロモリブデンとスラグは分離しなかった。No.17、18は、最終到達温度が1450℃未満であるため、配合物が溶融しなかった。また、No.19はCaO供給物質を添加しなかったため、スラグ成分が酸化アルミニウムのみからなり、融点が高いことから溶融酸化物を形成することができなかった。
以上、本発明に係るフェロモリブデンの製造方法について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されるものではない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。
フェロモリブデンの製造方法のフローを示す図である。 廃酸中に含まれるモリブデン濃度に対する、廃酸に添加されたアルミニウムイオン供給物質のアルミニウム濃度のモル比と、複合酸化物の回収率の関係を示すグラフである。
符号の説明
S1 複合酸化物生成工程
S2 複合酸化物分離工程
S3 混合工程
S4 溶融工程
S5 フェロモリブデン分離工程

Claims (3)

  1. モリブデン、硝酸、および、硫酸を含有する廃酸に、アルミニウムイオン供給物質を添加し、アルミニウムおよびモリブデンを含む複合酸化物を生成させる複合酸化物生成工程と、
    前記廃酸と、当該廃酸中の複合酸化物を分離する複合酸化物分離工程と、
    前記複合酸化物に、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、および、CaO供給物質を添加して混合する混合工程と、
    前記混合した混合物を、最終到達温度1450〜1550℃の条件で加熱して、フェロモリブデンからなる溶融金属と、酸化カルシウムおよび酸化アルミニウムからなる溶融酸化物と、を含む溶融物を形成する溶融工程と、
    前記溶融物を冷却して生成したスラグから、フェロモリブデンを分離するフェロモリブデン分離工程と、を含み、
    前記混合工程で混合した混合物中のCaOとAlの比率(CaO/Al)が質量比で0.81〜1.22であることを特徴とするフェロモリブデンの製造方法。
  2. 前記CaO供給物質として、炭酸カルシウムおよび生石灰のうちの少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1に記載のフェロモリブデンの製造方法。
  3. 前記溶融工程において、前記混合物を溶融するための保持容器に炭素質材料を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェロモリブデンの製造方法。
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