JP2011246760A - フェロモリブデンの製造方法およびフェロモリブデン - Google Patents

フェロモリブデンの製造方法およびフェロモリブデン Download PDF

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Abstract

【課題】モリブデン鉱石等を原料とせず、フェロモリブデンを高効率、かつ安価に製造するフェロモリブデンの製造方法およびこの製造方法により製造されたフェロモリブデンを提供する。
【解決手段】二硫化モリブデンを含む廃潤滑剤、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、脱硫剤およびスラグ形成剤を混合する混合工程(S1)と、混合した混合物を、加熱、溶融した溶融物中に、生成したフェロモリブデンを析出させる溶融還元工程(S2)と、生成したスラグと、フェロモリブデンとを分離する分離工程(S3)と、を含み、混合工程(S1)において、生成するフェロモリブデン中に、炭素が7質量%以下残留するように、炭素質還元剤を配合し、(CaO+MgO/SiO)の質量比を0.5〜1.65、かつ、(MgO/CaO)の質量比を、0を超え1.5以下とし、溶融還元工程(S2)において、加熱温度を1400〜1600℃に制御することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、二硫化モリブデンを含む使用済みの潤滑剤から、フェロモリブデンを製造するフェロモリブデンの製造方法およびこの製造方法により製造されたフェロモリブデンに関する。
従来、フェロモリブデンの製造方法としては、主にテルミット法と電気炉法があり、現在ではテルミット法が主な製造方法として用いられている。
テルミット法によるフェロモリブデンの製造方法としては、まず、製造原料として輝水鉛鉱(モリブデナイト)を、浮遊選鉱によりモリブデン精鉱(二硫化モリブデン約85%)とし、これをヘレショフ炉やロータリーキルンで酸化焙焼して酸化モリブデンとする。そして、この酸化モリブデン、鉄源、還元剤(フェロシリコン粉およびアルミニウム粒)および媒溶剤(鉄鉱石、ミルスケール等)を混合して混合物とし、テルミット反応炉を用いてフェロモリブデンを製造する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、電気炉法は、現在あまり用いられていないが、モリブデン原料として酸化鉱、硫化鉱のどちらも使用可能である。電気炉法では、モリブデン原料、鉄源、還元剤および媒溶剤を混合して混合物とし、電気炉を用いてフェロモリブデンを製造する。ここで、還元するときにフェロシリコン、アルミニウム等の還元剤を用い、また、含まれる硫黄をスラグに固定化するため、CaOとSiOの比率(CaO/SiO)を質量比で3.0以上にする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、硫化鉱(輝水鉛鉱)を原料として、移行アーク式プラズマ反応器において、スリ−ブ内壁に原料をキャリヤーガスにより供給し、アークにより融解して、るつぼに滴下させることにより、フェロモリブデンを高純度に効率的に生成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
フェロモリブデンの別の製造方法としては、酸化モリブデンと酸化鉄の混合物を、ガス状還元剤を使用した500〜650℃および800〜900℃の2段階の還元により、金属モリブデンと金属鉄の混合物を得る方法が提案されている。この方法の特徴は、処理中にモリブデンまたは鉄を溶融させないことであり、また、ガス状還元剤として解離アンモニア、一酸化炭素、水素、リフォームした炭化水素およびその混合物を利用することである(例えば、特許文献3参照)。
また、その他の製造方法として、まず、約10〜90質量%の金属化された鉄、約7〜65質量%のモリブデン酸化物、約5〜26質量%の固体炭素質材料よりなる混合物にバインダーを加え、圧縮して団鉱を形成し、この団鉱をスラグ形成物、付加炭質材料とともにキュポラ等のシャフト炉内等に装入する。そして、炭質材料を燃焼させてモリブデン酸化物を加熱し、金属状態に還元させ、かつ、鉄およびモリブデンを溶解させて、炉内にフェロモリブデン溶湯を形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
さらに、原料としてモリブデンを含む廃棄物から合金鉄を製造する方法として、使用済石油脱硫触媒等の各種廃棄物からV、Mo、Ni等の有用金属を回収する方法が提案されている。すなわち、使用済石油脱硫触媒を灯油等の軽質油を用いて付着する重油を洗浄した後、洗浄済触媒と油分に遠心分離する。洗浄済触媒は、その他使用済の触媒(硫酸製造触媒、無水マレイン酸製造触媒、フタル酸製造触媒)と重油あるいはペトコーク焚きボイラーより発生する燃焼灰を混合して、必要に応じてブリケット等に成形する。そして、混合物もしくは成形物は、炉底出鋼型電気炉に装入して、通電・溶融し、使用済触媒中あるいは燃焼灰中のNi、Mo分は、燃焼灰中のカーボンおよび別途装入したスクラップ等の鉄源により優先還元され、Ni−Mo合金鉄となる(例えば、特許文献5参照)。
特公昭37−17112号公報 特開昭58−27937号公報 特開昭50−16607号公報 特開昭61−231134号公報 特開2004−35995号公報
日本鉄鋼協会編、鉄鋼便覧、第3版、第2巻、発行所:日本鉄鋼協会、平成14年7月30日発行、第7章第3節第5項
しかしながら、前記したフェロモリブデン等を製造する方法では、以下に示す問題がある。
特許文献1〜4に記載されたフェロモリブデン等の製造方法は、モリブデン鉱石等を使用したものである。ここで、近年のモリブデン鉱石の高騰により、モリブデン鉱石を原料としないフェロモリブデンの製造方法が求められ、モリブデン鉱石等を使用する特許文献1〜4に記載の製造方法では、経済性に劣り、前記要求を満足できないという問題がある。
さらに、特許文献3に記載の製造方法では、ガス状還元剤として解離アンモニア、一酸化炭素、水素、リフォームした炭化水素およびその混合物を利用する方法であるため、別途これらのガスを用意する必要がある。
特許文献5に記載の製造方法は、使用済石油脱硫触媒等の各種廃棄物からフェロモリブデンを製造するものであるが、特許文献5に記載の製造方法は、バナジウムの回収が主目的であり、モリブデンはNi−Mo合金鉄の形で得られるものであるため、フェロモリブデンの製造方法としては、不十分であるという問題がある。
非特許文献1に記載のテルミット法では、モリブデン精鉱の酸化焙焼工程が必要であり、副生物として大量の亜硫酸ガスが発生するため、この亜硫酸ガスを除く処理が必要であること、テルミット反応後のフェロモリブデンの冷却処理や破砕処理に費用がかかること等の理由により、経済性に劣るという問題がある。さらに、ロータリーキルンは、ダスト発生量が多く、キルン内にダムリングが生起しやすいという問題や、原料の滞留時間にばらつきが生じるため過剰な処理搬送路の長さを必要とし、設備の設置面積が大きくなるという問題、キルンの表面積が大きくなり、熱放散量が多いため、燃料消費量が高くなる等の問題もある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モリブデン鉱石等を原料とせず、フェロモリブデンを高効率、かつ安価に製造するフェロモリブデンの製造方法およびこの製造方法により製造されたフェロモリブデンを提供することにある。
本発明者らはフェロモリブデンの製造を効率的、経済的に行う方法に関し、鋭意研究を重ねた結果、モリブデン原料として二硫化モリブデンを含む使用済みの潤滑剤(廃潤滑剤)を用いたフェロモリブデンの製造方法およびこの製造方法により製造されたフェロモリブデンを発明するに至った。
すなわち、請求項1に係るフェロモリブデンの製造方法は、モリブデン原料として二硫化モリブデンを含む廃潤滑剤、鉄原料として酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、脱硫剤およびスラグ形成剤を混合する混合工程と、前記混合工程で混合した混合物を、加熱、溶融して溶融物とし、当該溶融物中に、生成したフェロモリブデンを析出させる溶融還元工程と、前記フェロモリブデンを析出させた溶融物を冷却して生成したスラグと、当該スラグ中のフェロモリブデンとを分離する分離工程と、を含むことを特徴とする。
そして、前記混合工程において、前記炭素質還元剤に含まれる炭素が、前記酸化鉄供給物質中の酸化鉄を還元するために必要な質量を超え、さらに、生成するフェロモリブデン中に、0質量%を超え7質量%以下残留するように、前記炭素質還元剤を配合する。また、前記脱硫剤としてCaO供給物質およびMgO供給物質を用い、前記スラグ形成剤としてSiO供給物質を用い、前記混合物中のCaOおよびMgOと、SiOとの比率((CaO+MgO)/SiO)が、質量比で0.5〜1.65、かつ、MgOと、CaOとの比率(MgO/CaO)が、質量比で0を超え1.5以下とする。さらに、前記溶融還元工程において、加熱温度を1400〜1600℃に制御する。なお、ここでの酸化鉄供給物質とは、酸化鉄を含有する物質の他、酸化鉄そのものや、その他のFeの酸化物のことをいう。また、ここでのCaO供給物質とは、CaOを含有する物質の他、CaOそのものや、その他のCaの酸化物のことをいい、ここでのMgO供給物質とは、MgOを含有する物質の他、MgOそのものや、その他のMgの酸化物のことをいう。さらに、SiO供給物質とは、SiOを含有する物質の他、SiOそのものや、その他のSiの酸化物のことをいう。
このような製造方法によれば、混合工程において、二硫化モリブデン(MoS)、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、脱硫剤およびスラグ形成剤が混合される。そして、溶融還元工程において、酸化鉄が炭素Cによって還元されてFeが生成すると共に、MoSがCaO供給物質に含まれるCaOと反応してCaSを生成し、MoはFe−Mo−Cを生成し、その後、温度の上昇によってCを含んだフェロモリブデンが析出する。なお、SiO供給物質により、スラグが形成され、MgO供給物質により、スラグの融点が低下すると共に、スラグにSが固定される。そして、分離工程において、生成したスラグと、スラグ中のフェロモリブデンとが分離され、フェロモリブデンが製造される。
また、前記混合工程において、前記炭素質還元剤に含まれる炭素が、前記酸化鉄供給物質中の酸化鉄を還元するために必要な質量を超え、さらに、生成するフェロモリブデン中に、0質量%を超え7質量%以下残留するように、前記炭素質還元剤を配合することで、フェロモリブデンにCが含まれることとなる。これにより、溶融還元工程で保持容器として用いる炭素質の容器が反応することで保持容器が溶解することが防止され、保持容器の損耗(溶損)が防止される。また、金属としての融点が下がることで、低温でモリブデン濃度の高いフェロモリブデンが製造される。
また、混合物中のCaOおよびMgOと、SiOとの比率((CaO+MgO)/SiO)を質量比で0.5〜1.65とすることで、混合物が溶融すると共に、Sの固定効果が発揮される。さらに、MgOと、CaOとの比率(MgO/CaO)を質量比で0を超え1.5以下とすることで、スラグの融点が高くなることが抑制される。そして、混合物を融点(1400℃)以上に加熱することで、混合物が溶融し、また、加熱温度を1600℃以下に制御することで、使用電力量の増大が防止される。さらに、溶融還元工程で、炭素質の保持容器を用いた場合、容器の炭素が反応することで保持容器が溶解する(フェロモリブデンに含まれるC濃度が上昇する)ことが防止され、保持容器の損耗(溶損)が防止される。
請求項2に係るフェロモリブデンの製造方法は、前記CaO供給物質として、炭酸カルシウムおよび生石灰のうちの少なくとも1種を用いることを特徴とする。
このような製造方法によれば、CaO供給物質として炭酸カルシウムおよび生石灰のうちの少なくとも1種を用いることで、効率よくCaOを供給することができ、また、経済性が向上する。
請求項3に係るフェロモリブデンの製造方法は、前記MgO供給物質として、炭酸マグネシウムおよびドロマイトのうちの少なくとも1種を用いることを特徴とする。
このような製造方法によれば、MgO供給物質として炭酸マグネシウムを用いることで、効率よくMgOを供給することができ、また、MgO供給物質としてドロマイトを用いることで、効率よくCaOおよびMgOを供給することができる。さらに、これらを用いることで経済性が向上する。
請求項4に係るフェロモリブデンの製造方法は、前記溶融還元工程において、前記混合物を溶融するための保持容器に炭素質材料を用いることを特徴とする。
このような製造方法によれば、保持容器からのスラグの取り出しが容易になる。
請求項5に係るフェロモリブデンは、前記記載のフェロモリブデンの製造方法により製造されたことを特徴とする。
このようなフェロモリブデンは、Mo含有量(Mo濃度)が高く、S含有量(S濃度)が低いものとなる。
本発明の請求項1に係るフェロモリブデンの製造方法によれば、Mo濃度の高いフェロモリブデンを安定して、高効率、かつ安価に製造することができる。また、フェロモリブデン中のS濃度を抑制することができる。さらに、保持容器の溶損も起こすことなく製造を可能とする。請求項2に係るフェロモリブデンの製造方法によれば、効率的、経済的にCaOを供給することができる。
請求項3に係るフェロモリブデンの製造方法によれば、効率的、経済的にMgOを供給することができる。請求項4に係るフェロモリブデンの製造方法によれば、スラグを保持容器から容易に取り出すことができる。請求項5に係るフェロモリブデンは、前記製造方法により製造されるため、Mo濃度が高く、S濃度が低いものとなり、また、効率的、経済的に得ることができる。
(a)は、フェロモリブデンの製造方法のフローを示す図であり、(b)は、各工程における物質のフローを示す図である。
次に、図面を参照して本発明に係るフェロモリブデンの製造方法およびこの製造方法で製造されたフェロモリブデンについて詳細に説明する。
≪フェロモリブデンの製造方法≫
図1(a)に示すように、フェロモリブデンの製造方法は、混合工程(S1)と、溶融還元工程(S2)と、分離工程(S3)と、を含むものである。
以下、各工程について説明する。
<混合工程>
混合工程(S1)は、図1(b)に示すように、モリブデン原料として二硫化モリブデンを含む廃潤滑剤、鉄原料として酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、脱硫剤およびスラグ形成剤(以下、適宜「原料」ともいう)を混合する工程である。
[二硫化モリブデンを含む廃潤滑剤]
二硫化モリブデンは、製造されるフェロモリブデンに含有されるモリブテン原料となるものであり、二硫化モリブデン原料(モリブデン原料)としては、二硫化モリブデンを含有した廃潤滑剤を用いる。ここで、廃潤滑剤とは、使用済みの潤滑剤のことである。
[酸化鉄供給物質]
酸化鉄供給物質(酸化鉄含有物質)中の酸化鉄は、鉄源として使用するためのものであり、酸化鉄供給物質としては、混合物中に酸化鉄を供給(配合)できる物質であれば特に限定されるものではなく、鉄鉱石(鉄鉱石粉)やスケール(ミルスケール)等を用いることができる。
酸化鉄供給物質の量は、所望のモリブデン濃度(目標Mo濃度)から計算される、廃潤滑剤中のモリブデンと鉄の比に対して供給(配合)する酸化鉄に基づいて定める。ここで、鉄鉱石を用いる場合には、目標Mo濃度=廃潤滑剤中のモリブデン量×廃潤滑剤の配合量/(潤滑剤中のモリブデン量×廃潤滑剤の配合量+鉄鉱石中に含まれる鉄の量×鉄鉱石の配合量)である。
[炭素質還元剤]
炭素質還元剤は、酸化鉄を還元するものであり、炭素質還元剤としては、固定炭素を含むものであればよく、石炭、コークス、木炭、廃トナー、バイオマスの炭化物等を用いることができ、また、これらを適宜混合して用いてもよい。
混合物中における炭素質還元剤の配合率は、所望のモリブデン濃度(目標Mo濃度)から計算される、廃潤滑剤中のモリブデンと鉄の比に対して配合された酸化鉄を、加熱炉内で還元するのに必要な炭素量以上となるように決定する。
また、配合する炭素質還元剤(固定炭素質)の量は、炭素質還元剤に含まれる炭素が、前記酸化鉄供給物質中の酸化鉄を還元するために必要な質量を超え、さらに、生成するフェロモリブデン中に、0質量%を超え7質量%以下残留するように、炭素質還元剤を配合する。すなわち、混合物中の炭素量と酸化鉄に含まれる酸素量のモル比(C/O)が等量を超え、さらに、この等量を超えた炭素が、生成するフェロモリブデン中に7質量%以下(0%を含まない)、好ましくは、0.2質量%以下残留するように配合する。
これにより、得られるフェロモリブデンに炭素が移行して金属としての融点が下がることで、低温でモリブデン濃度の高いフェロモリブデンを製造することが可能となる。また、既に炭素がフェロモリブデン中に存在することから、炭素質の保持容器を用いても、保持容器の炭素がフェロモリブデンと反応することが無くなり、保持容器の溶損を防止することが可能となる。
酸素量のモル比(C/O)が等量以下では、酸化鉄が還元されにくくなり、また、炭素質還元剤に含まれる炭素がフェロモリブデンに移行しない。さらに、生成するフェロモリブデン中に、炭素が7質量%以下残存しないと、炭素質保持容器の溶損を防止することができない。一方、1400〜1600℃で加熱、溶融させる際には、生成するフェロモリブデン中に、炭素が7質量%を超えるように炭素質還元剤を配合しても、これ以上、炭素がフェロモリブデン中に溶解できないため、7質量%を超えるように配合する必要はない。
[脱硫剤]
脱硫剤は、スラグにSを固定化するために、スラグ形成剤とともに配合するものであり、CaO供給物質(CaO含有物質)およびMgO供給物質(MgO含有物質)を用いる。
(CaO供給物質)
CaO供給物質としては、混合物中にCaOを供給(配合)できる物質であれば特に限定されるものではないが、効率性、経済性の観点から、炭酸カルシウム(石灰)および生石灰のうちの少なくとも1種を用いることが好ましく、消石灰等を用いてもよい。また、不純物としてSiOを含んでもよい。さらに、SiO以外の不純物を含むものであれば、CaOの含有量を考慮して、配合量を決定する。なお、これらは、混合して用いてもよい。
また、配合量を決定する際には、炭素質還元剤(炭素供給物質)に灰分として含まれる量および廃潤滑剤として使用するに当たり粘度調整用として廃潤滑剤中に含まれるCaO等も考慮して配合量を決定する。
また、廃潤滑剤中に含まれるCaO等をCaO供給物質成分として用いてもよいし、廃潤滑剤中に含まれるCaO等が少ない場合は、さらにCaO等を配合してもよい。
すなわち、CaO供給物質として廃潤滑剤を使用することもでき、この場合の廃潤滑剤は、二硫化モリブデンを含む廃潤滑剤と、CaO供給物質とを混合したものということである。
(MgO供給物質)
MgO供給物質としては、混合物中にMgOを供給(配合)できる物質であれば特に限定されるものではないが、効率性、経済性の観点から、炭酸マグネシウムおよびドロマイトのうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。また、不純物としてSiOやCaOを含んでもよい。
なお、MgOは、CaOよりも反応能力が劣るため、通常はCaO供給物質の配合の一部をMgO供給物質に取り替えて配合する。しかしMgOをCaOに取り替えることにより、スラグの融点が低下するため、より低い温度で全体の溶融が進みやすくなる。
[スラグ形成剤]
スラグ形成剤は、スラグを形成させるため、脱硫剤とともに配合するものであり、SiO供給物質(SiO含有物質)を用いる。なお、前記した廃潤滑剤、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤等には、不純物としてSiOが含まれるが、これらに含まれるSiOは微量であるため、以下に述べるように、(CaO+MgO)/SiOが質量比で0.5〜1.65となるように、不純物として含まれるSiOに加えて、さらにSiO供給物質を配合することが好ましい。
(SiO供給物質)
SiO供給物質としては、混合物中にSiOを供給(配合)できる物質であれば特に限定されるものではないが、けい石やけい砂等を用いることができる。なお、これらの使用においては、100μm程度以下に粉砕する必要がある。
また、CaOおよびSiOを同時に含有する鉱物として、Wollasteniteも使用することができる。なお、SiOは、CaOと反応させることで、溶融還元工程(S2)での加熱温度で混合物をスラグとして溶融させるために配合するものである。
ここで、廃潤滑剤、酸化鉄供給物質および炭素質還元剤中に、CaO供給物質、MgO供給物質およびSiO供給物質を添加する場合、混合物中のCaOおよびMgOと、SiOとの質量比((CaO+MgO)/SiO)が0.5〜1.65となるように配合することで全体の配合率を決定する。質量比が0.5未満であると、Sをスラグ中に固定しにくくなるのに加え、スラグの融点が上昇し、混合物が溶融(溶解)しにくくなる。一方、CaOおよびMgOと、SiOとの質量比((CaO+MgO)/SiO)は、大きいほどSを固定する能力が大きくなるため、大きな値となるよう配合することが好ましいが、1.65を超えると、0.5未満の場合と同様、スラグの融点が上昇し、混合物が溶融(溶解)しにくくなる。
また、混合物中のCaOとMgOの質量比(MgO/CaO)が0を超え1.5以下となるように、CaO供給物質およびMgO供給物質の配合量を調整する。MgOを所定量含有することで、スラグの融点が低下するが、質量比(MgO/CaO)が1.5を超えると、逆にスラグの融点が高くなり、スラグが溶融しにくくなる。
さらに、混合物中にCaOおよびMgOや、SiOを少量しか含まない場合には、CaOおよびMgO、またはSiOの一方、あるいはCaOおよびMgOと、SiOとの両方を配合し、得られるフェロモリブデン量の質量に対してスラグの質量が0.1倍以上となるようにしてスラグを副生成させて、原料中に含まれるS分を固定化させることが好ましい。なお、得られるフェロモリブデン量とは、配合した廃潤滑剤中のモリブデン量と配合した鉄鉱石等に含まれる鉄分の合計である。
ここで、図1(b)に示すように、廃潤滑剤、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、脱硫剤およびスラグ形成剤を混合するには混合機(例えば、スクリュー型ミキサー)を用いる。また、混合した混合物は造粒機で塊成化することが好ましい。混合物を塊成化することにより、加熱炉からのダスト発生量が減るとともに、加熱炉内における混合物(塊成物)内部の反応の結果生成するCOガスが移動しやすくなり、このCOガスによって原料がダストとなることが防止できるためである。造粒機としては、ブリケットプレス等の圧縮成形機やパンペレタイザー等の転動造粒機のほか押出成形機を用いてもよい。
なお、原料中に水分を多く含む場合は、事前に乾燥しておくことが好ましい。乾燥の度合いは混合工程での混合手段(本実施の形態では混合機)を考慮して決定し、原料中の水分が10質量%以下となることが好ましい。また、造粒後の混合物(塊成物)の水分が高い場合は加熱炉に装入する前に乾燥してもよい。
<溶融還元工程>
溶融還元工程(S2)は、混合工程(S1)で混合した混合物を加熱、溶融(溶融還元)して溶融物とし、この溶融物中に、生成したフェロモリブデンを析出させる工程である。
図1(b)に示すように、混合機で混合した混合物または造粒機で造粒した塊成物は、加熱炉に装入して加熱、溶融還元する。加熱炉としては抵抗加熱炉、誘導加熱炉等のるつぼを備えた炉を使用することができる。また、この他の加熱炉としては、回転炉床炉や直線炉、多段炉等が使用でき、これらの移動炉床炉は、被加熱物である混合物(塊成物)が炉床上に静置されるため、ダスト等の発生が少なく、また、いずれの炉もコンパクトであり、ロータリーキルンに比べて設備費、設置面積を節減できる。
次に、溶融還元工程(S2)における還元反応の一例としてFeを主体とする鉄鉱石を用いた場合について説明する。本発明の反応は次式で示される諸反応が組み合わさって進行する。
CaCO=CaO+CO(g)
CO(g)+C=2CO(g)
Fe(s)+CO=3FeO(s)+CO(g)
FeO(s)+CO(g)=Fe(s)+CO(g)
Fe(s)+C=3FeO(s)+CO(g)
FeO(s)+C=Fe(s)+CO(g)
3Fe(s)+3MoS(s)+6CaO(s)+7C(s)=6CaS(s)+FeMoC(s)+6CO(g)
FeMoC(s)=3Fe(l)+Mo+C
MoS(s)+2CaO(s)+2C(s)=2CaS(s)+2CO(g)+Mo
見かけの総括反応は
4MoS(s)+Fe(s)+8CaO(s)+13C(s)=3Fe(l)+4Mo+C+8CaS(s)+12CO(g)
となる。
なお、スラグ形成剤、脱硫剤等として使用するCaO、MgO、SiO等は、炭素によって還元することが困難なため、加熱時にも酸化物としての形態をとどめており、スラグとして存在する。
ここで、MoSは廃潤滑剤に含まれるモリブデン原料としての二硫化モリブデン、Feは鉄原料としての酸化鉄供給物質中に含まれる酸化鉄、Cは炭素質還元剤、CaOは脱硫剤、CaCOはCaOを供給するCaO供給物質である。
この反応過程において廃潤滑剤に含まれるMoSは、酸化鉄に含まれる鉄と炭素と反応して一旦、FeMoCなるカーバイドに転換され、その後温度の上昇によって分解して金属モリブデン合金となり、一段の加熱処理により歩留りを下げることなくフェロモリブデンが製造される。また潤滑剤中のMoSに含まれるSについても、一部についてはCaO供給物質としてCaOを同時に配合しておくことでCaSとしてスラグ分に固定される。
ここで、混合物(塊成物)を溶融(溶解)するにあたって、保持容器として炭素質材料(炭素質の成型体)を用いることが好ましい。保持容器として炭素質材料を用いることで、炭素の潤滑性により、溶融後に保持容器から、混合物を溶融した溶融物を取り出すことが容易になる。
さらに、混合物(塊成物)を溶融させるためには、融点以上に加熱する必要がある。このため、加熱温度(最高加熱温度)は1400℃以上であることが必要である。また、使用電力量の増大を防止する観点から、あるいは、後記するように、炭素質材料の保持容器で加熱した場合、温度を上げると、生成したフェロモリブデンが、容器の炭素と反応してフェロバナジウムに含まれるC濃度が上昇する(容器が溶損する)ことから、1600℃以下で加熱する。
なお、本発明で製造するフェロモリブデンは、溶融したスラグ内にフェロモリブデン粒子として生成するものであるが、前記加熱温度の範囲においては、このフェロモリブデン粒子は液体である。このため、加熱温度で保持している間に、フェロモリブデン粒子は溶融しているスラグ中を沈殿し、スラグとフェロモリブデンが物理的に分離した状態となる。すなわち、溶融物を所定時間、保持容器内で経過させることで、溶融物中に、生成したフェロモリブデンを沈殿させる。なお、保持容器を使用する場合は、通常、前記加熱温度で、30分から1時間保持することが好ましい。このフェロモリブデン粒子は、沈殿時に一部スラグ成分を巻き込むため、フェロモリブデン中には、成分としてCa、Sを少量含有する。また、Cを配合することで、容器を構成するCとの反応が抑えられる。
<分離工程>
分離工程(S3)は、フェロモリブデンを析出させた溶融物を冷却して生成したスラグと、スラグ中に析出したフェロモリブデンとを分離する工程である。
図1(b)に示すように、加熱炉内で溶融、還元された溶融物である溶融混合物(還元混合物)は、加熱終了後冷却して、るつぼもしくは炉床から排出する。なお、冷却は、溶融物を所定時間、保持容器内で経過させることにより行えばよい。また、保持容器から排出した後に冷却してもよい(冷却手段)。この冷却した還元混合物である還元固化物を、破砕機により破砕し、篩により、フェロモリブデン(メタル)とスラグに篩い分ける(分離手段)。この破砕や篩による分離は、人力で行うのに加え、スクリーンを用いて行うこともできる。得られたスラグはコンクリート用骨材等に利用できる。なお、分離されたスラグからは、必要に応じてさらに磁選、浮選等の手段によりフェロモリブデン分を回収することができる。
本発明に係るフェロモリブデンの製造方法は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、廃潤滑剤を準備する廃潤滑剤準備工程や、ごみ等の不要物を除去する不要物除去工程や、得られたフェロモリブデンを乾燥させる乾燥工程等、他の工程を含めてもよい。
≪フェロモリブデン≫
本発明に係るフェロモリブデンは、前記した各工程からなる製造方法により得られるものである。
前記記載の製造方法により、例えば、Mo含有量が27.03質量%以上64.68質量%以下であり、S含有量が0.10質量%以上0.95質量%以下であり、C含有量が0.51質量%以上7.21質量%以下であり、Ca含有量が0.09質量%以上3.15質量%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物とするフェロモリブデンを得ることができる。
次に、本発明に係るフェロモリブデンの製造方法およびフェロモリブデンについて、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
本発明の混合原料の還元状況を把握するため、実験室規模の小型加熱炉を用いて以下の還元実験を実施した。
配合原料としては、二硫化モリブデンを含有した使用済みの潤滑剤(廃潤滑剤)、酸化鉄の原料として、酸化鉄供給物質であるヘマタイト系の鉄鉱石、炭素質還元剤としてコークス粉(固定炭素分86.3質量%)(関西熱化学社製)、スラグ形成剤として、副生成するスラグの組成を調整するため、けい砂、および、脱硫剤(MgO供給物質)としてドロマイトを混合した。用いた廃潤滑剤、酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、スラグ形成剤、MgO供給物質の成分を表1に示す。なお、廃潤滑剤は、MoSを主成分としているものである。潤滑剤は、MoSを主成分として油類が含有されるものがあるが、用途によっては、粘度を調整するためにカルシウム石鹸等を配合するものもあり、本実施例ではCaO供給物質(脱硫剤)としてのCaOを配合した潤滑剤を用いた。なお、CaOを配合した潤滑剤は、CaO供給物質としては、石灰(炭酸カルシウム)や生石灰と同等である。
配合は、廃潤滑剤中のMo量に対して鉄鉱石に含まれる鉄分の比(目標Mo濃度)が表2〜4の値となるように配合した。すなわち、廃潤滑剤中のモリブデン量×廃潤滑剤の配合量/(廃潤滑剤中のモリブデン量×廃潤滑剤の配合量+鉄鉱石中に含まれる鉄の量×鉄鉱石の配合量)=表2〜4に示す目標Mo濃度ということである。
コークス粉は、炭素と、酸化鉄に含まれる酸素との比率がモル比で等量となる量に加えて、含まれる鉄とモリブデンから生成するフェロモリブデン中に残留する炭素の質量が、計算上、表2〜4の値となるように配合した(目標C濃度)。ただし、−5.0〜0.0の場合は、酸化鉄に含まれる酸素との比率がモル比で等量以下の配合量である。炭酸カルシウム、けい砂、ドロマイトは、混合物中のCaOおよびMgOとSiOの比率(CaO+MgO)/SiO、および、混合物中のMgOとCaOの比率(MgO/CaO)が、が質量比で表2〜4の値となるようにドロマイトを配合した。
混合は、適量の水分を添加して直径600mmの小型パンペレタイザーで造粒し、直径約13mmのペレットを作製した。このペレットを105℃で24時間乾燥したもの1000gを、炭素質からなる内径130mm、深さ150mmである坩堝を備えた小型誘導加熱炉中にバッチ装入した後、雰囲気温度一定の下で保持時間30分間の加熱を行い、還元溶融後、冷却しスラグ分とフェロモリブデン分を分離した。得られたフェロモリブデンを化学分析して、Mo、C、Ca、Sの含有量(濃度)を求めた。雰囲気は窒素雰囲気とし、加熱温度(最高加熱温度)は、表2〜4に示す5水準として、加熱を開始し、最高加熱温度に到達後30分間温度を保持した(焼成)。この加熱実験で得られた結果を表2〜4に示す。
なお、表2〜4において、目標C濃度は、炭素と、酸化鉄に含まれる酸素との比率がモル比で等量となる量に加えて、含まれる鉄とモリブデンから生成するフェロモリブデン中に残留する炭素の質量であり、(CaO+MgO)/SiOは、含有されるCaO質量およびMgO質量とSiO質量の比であり、MgO/CaOは、含有されるMgO質量とCaO質量の比であり、フェロモリブデン回収率は、回収フェロモリブデン量×Mo濃度/装入Mo量である。なお、装入Mo量とは、廃潤滑剤中に含まれるMo濃度×配合割合のことである。
評価としては、フェロモリブデン回収率を求め、フェロモリブデン回収率が50%以上のものを良好、50%未満のものを不良とした。また、焼成後のサンプルの溶融状態を調べた。溶融状態は焼成後サンプルが溶融状態を呈しているものを○(良好)、溶融していないものを×(不良)とした。さらに、炭素質容器の溶損発生が全く認められなかったものを○(良好)、使用後の容器の壁面が5mm以下浸食したものを△(やや良好)、5mmを超えて浸食したものを×(不良)とし、○、△の場合に保持容器の溶損を防止できたものとした。
なお、表1〜4において、成分を含有していないもの、または、混合物が溶融せずフェロモリブデンとスラグが分離できずに成分を測定できなかったものについては「−」で示す。また、本発明の構成を満たさないもの等については、数値に下線を引いて示す。
Figure 2011246760
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Figure 2011246760
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実施No.1〜96は本発明の要件を満たす実施例であって、フェロモリブデンの回収率が良好であった。また、また、焼成後のサンプルの溶融状態についても良好であった。さらに、炭素質容器の溶損発生についても、全く認められなかったか、認められても5mm以下浸食であり、保持容器の溶損を防止することができた。
一方、実施No.97〜109は本発明の要件を満たさない比較例であって、No.97〜99は、加熱温度が下限値未満のため、混合物が溶融せず、フェロモリブデンがスラグ分離できないため、フェロモリブデンを回収できず、フェロモリブデンの回収率は不良であった。No.100〜102は、(MgO/CaO)の値が上限値を超えるため、混合物が溶融せず、フェロモリブデンがスラグ分離できないため、フェロモリブデンを回収できず、フェロモリブデンの回収率は不良であった。
No.103は、(CaO+MgO)/SiOの値が下限値未満であり、No.104、105は、(CaO+MgO)/SiOの値が上限値を超えるため、混合物が溶融せず、フェロモリブデンがスラグ分離できないため、フェロモリブデンを回収できず、フェロモリブデンの回収率は不良であった。なお、No.97〜105は、フェロモリブデンを分離できなかったため、成分は測定できなかった。No.106は、加熱温度が上限値を超えるため、炭素質容器の炭素がフェロモリブデンと反応し、容器の壁面に5mmを超える侵食が認められ、保持容器の溶損を防止することができなかった。さらに、使用電力量が増大し、経済性に劣った。
No.107〜109は、炭素質の配合量が、酸化鉄に含まれる酸素との比率がモル比で等量以下であるため、フェロモリブデンの回収率は良好だったものの、炭素質容器の溶損発生について、使用後の容器の壁面が5mmを超えて浸食し、保持容器の溶損を防止することができなかった。
以上、本発明に係るフェロモリブデンの製造方法およびフェロモリブデンについて実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されるものではない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。
S1 混合工程
S2 溶融還元工程
S3 分離工程

Claims (5)

  1. モリブデン原料として二硫化モリブデンを含む廃潤滑剤、鉄原料として酸化鉄供給物質、炭素質還元剤、脱硫剤およびスラグ形成剤を混合する混合工程と、
    前記混合工程で混合した混合物を、加熱、溶融して溶融物とし、当該溶融物中に、生成したフェロモリブデンを析出させる溶融還元工程と、
    前記フェロモリブデンを析出させた溶融物を冷却して生成したスラグと、当該スラグ中のフェロモリブデンとを分離する分離工程と、を含み、
    前記混合工程において、前記炭素質還元剤に含まれる炭素が、前記酸化鉄供給物質中の酸化鉄を還元するために必要な質量を超え、さらに、生成するフェロモリブデン中に、0質量%を超え7質量%以下残留するように、前記炭素質還元剤を配合し、
    前記脱硫剤としてCaO供給物質およびMgO供給物質を用い、前記スラグ形成剤としてSiO供給物質を用い、前記混合物中のCaOおよびMgOと、SiOとの比率((CaO+MgO)/SiO)が、質量比で0.5〜1.65、かつ、MgOと、CaOとの比率(MgO/CaO)が、質量比で0を超え1.5以下とし、
    前記溶融還元工程において、加熱温度を1400〜1600℃に制御することを特徴とするフェロモリブデンの製造方法。
  2. 前記CaO供給物質として、炭酸カルシウムおよび生石灰のうちの少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1に記載のフェロモリブデンの製造方法。
  3. 前記MgO供給物質として、炭酸マグネシウムおよびドロマイトのうちの少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェロモリブデンの製造方法。
  4. 前記溶融還元工程において、前記混合物を溶融するための保持容器に炭素質材料を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のフェロモリブデンの製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のフェロモリブデンの製造方法により製造されたことを特徴とするフェロモリブデン。
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