JP2020097771A - 酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】得られるメタルの品位を高めることができ、高品質のメタルを効率的に製造することができる酸化鉱石の製錬方法を提供する。【解決手段】酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を得る混合工程と、混合物を還元炉に装入し、混合物に還元処理を施してメタルとスラグとを含む還元物を得る還元工程と、還元物を熔融する熔融工程と、熔融して得られた熔融物からメタルとスラグを分離する分離工程と、を有する酸化鉱石の製錬方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化鉱石の製錬方法に関するものであり、例えば、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を原料として炭素質還元剤により還元することで還元物を得る製錬方法に関する。
酸化鉱石の一種であるリモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用して鉄とニッケルの合金(以下、鉄とニッケルの合金を「フェロニッケル」ともいう)を製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用して高温高圧で酸浸出し、ニッケルやコバルトが混在した混合硫化物(ミックスサルファイド)を製造する湿式製錬方法等が知られている。
上述した様々な方法の中で、特に乾式製錬法を用いてニッケル酸化鉱石を還元して製錬する場合、反応を進めるために原料のニッケル酸化鉱石を適度な大きさに破砕する等して塊状物化する処理が前処理として行われる。
具体的に、ニッケル酸化鉱石を塊状物化する、すなわち粉状や微粒状の鉱石を塊状にする際には、そのニッケル酸化鉱石と、それ以外の成分、例えばバインダーやコークス等の還元剤とを混合して混合物とし、さらに水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば一辺あるいは直径が10mm以上30mm以下程度の成形物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」ということもある)とするのが一般的である。
塊状物化して得られるペレットには、含有する水分を「飛ばす」ために、ある程度の通気性が必要となる。さらに、その後の還元処理においてペレット内で均一に還元が進まないと、得られる還元物の組成が不均一になり、メタルが分散したり偏在したりする等の不都合が生じる。そのため、ペレットを作製する際には混合物を均一に混合したり、得られたペレットを還元する際には可能な限り均一な温度を維持することが重要となる。
加えて、還元処理により生成するメタル(フェロニッケル)を粗大化させることも非常に重要な技術である。生成したフェロニッケルが、例えば数10μm以上数100μm以下の細かな大きさであった場合、同時に生成するスラグと分離することが困難となり、フェロニッケルとしての回収率(収率)が大きく低下してしまう。そのため、還元後のフェロニッケルを粗大化する処理が必要となる。
例えば、特許文献1には、金属酸化物と炭素質還元剤とを含む塊成物を、移動床型還元熔融炉の炉床上に供給して加熱し、金属酸化物を還元熔融させる粒状金属の製造方法において、塊成物同士の距離を0としたときの塊成物の炉床への最大投影面積率に対する、塊成物の炉床への投影面積率の相対値を敷密度としたとき、平均直径が19.5mm以上32mm以下の塊成物を、敷密度が0.5以上0.8以下になるように炉床上に供給して加熱する方法が開示されている。この方法では、塊成物の敷密度と平均直径とを併せて制御することで、粒状金属鉄の生産性を高められることが記載されている。
しかし、特許文献1に記載の技術のように、塊成物の直径が決められた範囲に限定されると、塊成物を製造する際の収率の低下が避けられず、その結果としてコストアップになる懸念がある。なお、塊成物の敷密度が0.5以上0.8以下の範囲では、細密充填でないうえ、塊成物を積層することも難しくなるため、効率の低い処理となってしまう。
上述したように、ニッケル酸化鉱石を混合、還元して、ニッケルと鉄とを含むメタルを製造するにあたって、生産性を高くすること、低コスト化すること、高品質化することは、重要な要素であるにもかかわらず、多くの問題があった。
特開2011−256414号公報
本発明は、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を含む混合物を還元することでメタルを製造する製錬方法において、得られるメタルの品位を高めることができ、高品質のメタルを効率的に製造することができる酸化鉱石の製錬方法を提供することを目的とする。
本発明者は、還元処理を施すことにより得られた還元物を熔融し、得られた熔融物からメタルとスラグを分離することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1は、酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を得る混合工程と、前記混合物を還元炉に装入し、該混合物に還元処理を施してメタルとスラグとを含む還元物を得る還元工程と、前記還元物を熔融する熔融工程と、熔融して得られた熔融物からメタルとスラグを分離する分離工程と、を有する酸化鉱石の製錬方法である。
(2)本発明の第2は、第1の発明において、前記還元炉はバーナーを備え、前記還元工程では、該バーナーにより前記混合物に還元処理を施す酸化鉱石の製錬方法である。
(3)本発明の第3は、第1又は第2の発明において、前記還元物を熔融する熔融炉に該還元物を搬送して熔融工程に供し、前記熔融炉は高周波熔融炉又は電気熔融炉である酸化鉱石の製錬方法である。
(4)本発明の第4は、第3の発明において、前記還元炉は内部空間を備える接続部を介して前記熔融炉と接続され、前記接続部の前記内部空間を不活性ガスで置換した後に、該内部空間を通じて前記還元炉から前記熔融炉へと前記還元物を搬送する酸化鉱石の製錬方法である。
(5)本発明の第5は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記熔融工程では、前記還元物を還元剤とともに熔融する酸化鉱石の製錬方法である。
(6)本発明の第6は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記熔融物をアトマイズ処理して粉末を得るアトマイズ工程を更に有し、得られた前記粉末を分離工程に供する酸化鉱石の製錬方法である。
(7)本発明の第7は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記酸化鉱石はニッケル酸化鉱石である酸化鉱石の製錬方法である。
本発明に係る酸化鉱石の製錬方法によれば、高品質なメタルを効率的に製造することができる。
ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。 還元物を熔融する熔融処理を施す態様例を説明するための図であり、本体部の周囲にコイルが巻かれるように構成された高周波熔融炉の断面図である。 還元物を熔融する熔融処理を施す態様例を説明するための図であり、本体部の内部に電極を備える電気炉の断面図である。 熔融物にアトマイズ処理を施す態様例を説明するための図であり、熔融炉と接続部を介して接続されたアトマイズ装置の断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.酸化鉱石の製錬方法の概要≫
本実施の形態に係る酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石である酸化鉱石(酸化物)を炭素質還元剤と混合し、その混合物(ペレット)に対して製錬炉(還元炉)内で還元処理を施すことによって、メタルとスラグとを生成させるものである。
例えば、酸化鉱石として、酸化ニッケルや酸化鉄等を含有するニッケル酸化鉱石を原料とし、そのニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物を得て、混合物に含まれるニッケルを優先的に還元し、また鉄を部分的に還元することで、鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを製造する方法が挙げられる。
そして、本実施の形態に係る酸化鉱石の製錬方法においては、還元処理を施すことにより得られた還元物を熔融することを特徴としている。
このような方法によれば、還元物を熔融することにより、還元物に含まれるメタルを凝集させてメタルとスラグとを効果的に分離することが可能となりメタルの品位を高めることができる。
≪2.ニッケル酸化鉱石を用いてフェロニッケルの製造する製錬方法≫
以下では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれるニッケル(酸化ニッケル)と鉄(酸化鉄)を還元することで、鉄−ニッケル合金のメタルを生成させ、さらに、そのメタルを分離することによってフェロニッケルを製造する製錬方法を例に挙げて説明する。
図1は、本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。図1に示すように、ニッケル酸化鉱石の製錬方法は、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物を得る混合工程S1と、得られた混合物に還元処理を施す還元工程S2と、還元物を熔融する熔融工程S3と、熔融して得られた熔融物からメタルとスラグを分離する分離工程S5と、を有する。また、熔融工程S3を経て得られた熔融物に対してアトマイズ処理を施して粉末(アトマイズ粉末)を得るアトマイズ工程S4を設けることができ、この場合、得られたアトマイズ粉末を分離工程S5に供し、そのアトマイズ粉末からメタルとスラグを分離する。
<2−1.混合工程>
混合工程S1は、ニッケル酸化鉱石と還元剤である炭素質還元剤とを混合して混合物を得る工程である。具体的に、混合工程S1では、まず、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に、炭素質還元剤を添加して混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.1mm以上0.8mm以下程度の粉末を添加して混合し、混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されないが、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、ニッケル酸化鉱石は、酸化ニッケル(NiO)と、酸化鉄(Fe)とを少なくとも含有する。
炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、この炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石の粒度や粒度分布と同等の大きさのものであると、均一に混合しやすく、還元反応も均一に進みやすくなるため好ましい。
炭素質還元剤の含有率(混合物中に含まれる炭素質還元剤の含有率)としては、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルの全量をニッケルメタル還元するのに必要な化学当量と、酸化鉄(酸化第二鉄)を金属鉄に還元するのに必要な化学当量との両者合計値(便宜的に「化学当量の合計値」ともいう)を100質量%としたときに、50質量%以下の割合とすることが好ましく、40質量%以下の割合とすることがより好ましい。鉄の還元量を抑えて、ニッケル品位を高めることができ、高品質のフェロニッケルを製造することができる。また、炭素質還元剤の混合量は、化学当量の合計値を100質量%としたときに、10質量%以上の割合とすることが好ましく、15質量%以上の割合とすることがより好ましい。ニッケルの還元を効率的に進行させることができ生産性が向上する。
任意成分の添加剤である鉄鉱石としては、例えば、鉄品位が50質量%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。
混合工程S1では、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を均一に混合することによって混合物を得る。下記表1に、混合工程S1にて混合する、一部の原料粉末の組成(質量%)の一例を示すが、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
Figure 2020097771
混合に際しては、混合性を高めるために混練を同時に行ってもよく、混合後に混練を行ってもよい。混練は、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸混練機、二軸混練機等を用いて行うことができる。混合物を混練することによって、その混合物にせん断力を加え、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いて均一に混合できるとともに、各々の粒子の密着性を向上させ、また空隙を減少させることができる。これにより、その混合物において還元反応が起りやすくなるとともに均一に反応させることができ、還元反応の反応時間を短縮することができる。また、品質のばらつきを抑えることができる。
また、混合を行った後、あるいは混合及び混練を行った後、押出機を用いて押出してもよい。これにより、混合物に対して圧力(せん断力)が加えられ、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いてその混合物をより均一に混合させた状態とすることができる。さらに、混合物内の空隙を減少させることができる。これらのことから、後述する還元工程S2において混合物の還元反応が均一に起りやすくなり、得られるメタルの品位を高めることができ、高品質なメタルを製造することができる。
押出機は、高圧、高せん断力で混合物を混練して成形できるものであることが好ましく、一軸押出機、二軸押出機等を挙げることができる。特に、二軸押出機を備えたものであることが好ましい。高圧、高せん断で混合物を混練することにより、原料粉の混合物の凝集を解くことができ、また効果的に混練することができるうえ、混合物の強度を高めることができる。また、二軸押出機を備えたものを用いることにより、連続的に高い生産性を保ちながら混合物を得ることができる。
また、混合物を所定形状の成形物(ペレット)に成形してもよい。成形物の形状としては、例えば、球状、直方体状、立方体状、円柱状等とすることができる。このような形状は、簡易な形状であって複雑なものではないため、成形コストを抑制しつつ不良品の発生を抑制することができ、得られる成形物の品質も均一となり、歩留り低下を抑制することができる。
成形物の形状は、特に球状であることが好ましい。球状の成形物であることにより還元処理が均一に施され、ばらつきが少なく、かつ生産性の高い製錬を行うことができる。成形物の形状を球状とする場合には、直径が10mm以上30mm以下程度となるように成形することができる。また、直方体状、立方体状、円柱状等とする場合には、概ね、縦、横の内寸が500mm以下程度となるように成形することができる。
成形物の大きさとしては、特に限定されないが、成形物の体積が8000mm以上であることが好ましい。成形物の体積が8000mm以上であることにより、成形コストが抑制され、さらに、成形物全体に占める表面積の割合が低くなるため、還元処理が均一に施され、ばらつきが少なく、かつ生産性の高い製錬を行うことができる。
また、得られた混合物を所定の還元用の容器に充填してもよい。容器に充填された混合物が容器に充填された状態のまま還元処理が施されることにより、後述する分離工程S5において還元されたメタルが磁選等の処理によりメタルを分離回収しやすくなり、ロスを抑制することができる。
混合工程S1では、得られた混合物に乾燥処理を施してもよい。混合物は、混練や成形物の成形等において上記混合物を多量の水と共に混合する。本実施の形態におい乾燥処理を施すことは必須の態様ではないが、多量の水を含む混合物に乾燥処理を施すことにより、後述する還元処理において水分の気化に伴う混合物の膨張を防ぐことができる。
さらに、混合物に乾燥処理を施すことで、還元炉内における混合物に起因する水分混入を抑制することができる。これにより、還元炉内の雰囲気気体に含まれる水分量をより効果的に減らすことができ、還元物に含まれるメタルの酸化をより効果的に抑制することができる。
混合物を乾燥する方法は、特に限定されず、混合物を所定の乾燥温度(例えば、300℃以上400℃以下)に保持する方法や所定の乾燥温度の熱風を混合物に対して吹き付けて乾燥させる方法等、従来公知の手段を用いることができる。このような乾燥処理により、例えば、混合物の固形分が70質量%程度で、水分が30質量%程度となるようにする。なお、この乾燥処理時における混合物自身の温度としては、100℃未満とすることが好ましく、これにより水分の突沸等による混合物の破裂を抑制することができる。
また、乾燥処理は連続して一度に行ってもよいし複数回に分けて行ってもよい。乾燥処理を複数回に分けて行うことにより混合物の破裂をより効果的に抑制することができる。なお、乾燥処理を複数回に分けて行った場合において、2回目以降の乾燥温度としては、150℃以上400℃以下が好ましい。この範囲で乾燥することにより、還元反応が進むことなく乾燥することが可能となる。
下記表2に、乾燥処理後の混合物における固形分中組成(質量部)の一例を示す。なお、成形物の組成としては、これに限定されるものではない。
Figure 2020097771
<2−2.還元工程>
還元工程S2は、得られた混合物を還元炉に装入して、混合物に還元処理を施してメタルとスラグとを含む還元物を得る工程である。還元工程S2における還元処理により、混合物中の炭素質還元剤に基づいて製錬反応(還元反応)が進行して、混合物中では、フェロニッケルメタル(以下、単に「メタル」という)と、フェロニッケルスラグ(以下、単に「スラグ」という)とが分かれて生成する。
具体的に、還元工程S2では、バーナーを備えた還元炉を使用し、そのバーナーにより所定の還元温度まで加熱して還元処理を施す。なお、バーナーにより加熱する際には、バーナーの不完全燃焼を避けるために、燃料と共に空気を過剰に供給して加熱する。
還元処理では、例えば1分程度のわずかな時間で、先ず還元反応の進みやすい混合物の表面近傍において混合物中のニッケル酸化鉱石及び鉄酸化物が還元されメタル化してフェロニッケルとなり、殻(シェル)を形成する。一方で、殻の中では、その殻の形成に伴ってスラグ成分が徐々に熔融して液相のスラグが生成する。これにより、混合物中では、メタルと、スラグとが分かれて生成する。
そして、処理時間が10分程度経過すると、還元反応に関与しない余剰の炭素質還元剤がメタルに取り込まれて融点を低下させて、メタルも液相となる。
還元処理における温度(還元温度)としては、特に限定されないが、1200℃以上1450℃以下の範囲とすることが好ましく、1300℃以上1400℃以下の範囲とすることがより好ましい。このような温度範囲で還元することによって、均一に還元反応を生じさせることができ、品質のばらつきを抑制したフェロニッケルを生成させることができる。また、より好ましくは1300℃以上1400℃以下の範囲の還元温度で還元することで、比較的短時間で所望の還元反応を生じさせることができる。
還元処理における時間(処理時間)としては、還元炉の温度に応じて設定されるが、10分以上であることが好ましく、15分以上であることがより好ましい。
なお、還元温度(℃)と還元時間(分)の数値を乗じた値を還元に要した熱量は、20000(℃×分)以上40000(℃×分)以下の範囲であることが好ましい。高品質なメタルを効率的に製造することができる。
<2−3.熔融工程>
熔融工程S3は、還元処理を施して得られた還元物を熔融する工程である。このように、本実施の形態では、得られた還元物をすぐに冷却してメタルとスラグとを分離する分離工程に供するのではなく、その還元物を熔融する。
(還元物に対する熔融について)
上述した還元工程S2におけるバーナーを用いて加熱する還元処理では、バーナーの不完全燃焼を避けるために、そのバーナーにおいて燃料と共に空気を過剰に供給して加熱するようにしている。ところが、そのような場合には、還元炉内にも空気が過剰に供給されてしまい、得られた還元物に含まれるメタルの一部がその酸素によって再び酸化されてしまうという問題がある。
そこで、本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法では、還元処理を施すことにより得られた還元物を熔融することを特徴としている。このように還元物に含まれるメタルとスラグとが熔融することで、メタルとスラグとが流動性を有するようになり、スラグよりも比重の高いメタルが下部に凝集するようになる。これにより、メタルとスラグとを効果的に分離することが可能となる。
このように還元物を熔融することにより、混合物からスラグが混在するメタル粉末粒子の形成を極力抑制せずメタル粉末粒子を得ることができる。これにより磁力による分離によってメタル相とスラグ相とを分離が容易となり、メタル回収率を向上させることができる。
さらに、熔融物中においてスラグよりも比重の高いメタルが下部に凝集するため、メタルが熔融炉内の雰囲気気体と接触することによるメタルの酸化を抑制し、得られるメタルの品位をさらに高めることができる。
また、還元物を熔融することにより、メタルの凝集に伴ってスラグとの分離が促進されるようになることから、後述する分離工程において、混在物からメタル相とスラグ相との分離がより容易となる。
(熔融炉について)
還元物の熔融は、熔融炉を使用して行うことができる。熔融炉としては、還元物を熔融することのできる炉であれば特に限定されないが、高周波熔融炉又は電気炉を用いることが好ましい。高周波熔融炉又は電気炉であれば、バーナーを備える炉とは異なり炉内に空気が供給されず、熔融処理時に酸素が流入することによるメタルの酸化を防ぎながら、効率的に熔融処理を施すことができる。
図2は、熔融炉の一例である高周波熔融炉の構成例を示す図である。高周波熔融炉10は、熔融炉本体部11の周囲にコイル12が巻かれて構成されている。高周波溶融炉10では、還元炉から搬送された還元物が装入口13から装入され、熔融炉本体部11の周囲に巻かれたコイル15に高周波電流を流すと電磁誘導作用により熔融炉10の内容物である還元物に二次電流が生じることとなる。この二次電流によって還元物が発熱し、還元物が熔融して溶融物Mが得られる。そして、この溶融物Mは、排出口14から排出させることができる。
また、図3は、熔融炉の一例である電気熔融炉の構成例を示す図である。電気熔融炉20は、熔融炉本体部22の内部に電極25を備えている。電気熔融炉20では、電極25に通電することで所定の抵抗を有する熔融炉20の内容物である還元物21が発熱し、この熱によって還元物21が熔融して溶融物Mが得られる。そして、この溶融物Mは、排出口24から排出させることができる。
このように、熔融炉として高周波熔融炉や電気熔融炉を使用することで、還元物を効率的に熔融することができる。また、上述したように、これらの熔融炉では炉内に酸素が流入しないため、還元物中のメタルの酸化を防ぎながら熔融することができる。
(熔融処理について)
熔融炉での還元物に対する熔融処理においては、還元剤の存在下で還元物を熔融することが好ましい。このように、還元剤とともに還元物に対する熔融処理を施すことで、還元物に含まれるメタルの一部が還元炉内の雰囲気気体によって酸化された場合であっても、その熔融炉内で、酸化された一部のメタルを再還元することができる。このような処理により、より高品質なメタルを製造することができる。
具体的に、還元物とともに熔融炉内に還元剤を供給して熔融させるようにすることができる。あるいは、還元炉から熔融炉へ還元物を搬送する途中(搬送中)に、還元物の表面に還元剤を添加して付着させ、その状態で熔融炉に装入して熔融させるようにしてもよい。
還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等のような炭素質還元剤を用いることができる。なお、還元剤を熔融炉内に供給する場合には、熔融炉の所定の装入口から還元剤を投入する。また、還元物の搬送中に還元剤を添加付着させる場合には、搬送炉に設けられた装入口から還元剤を投入する。
熔融温度としては、特に限定されないが、1500℃以上1700℃以下の範囲とすることが好ましく、1500℃以上1630℃以下の範囲とすることがより好ましい。1500℃以上の範囲とすることによって、還元物に含まれるスラグとメタルとが熔融する。
熔融処理における時間(処理時間)としては、熔融炉の温度に応じて設定されるが、15分以下の短時間でメタルとスラグとが分離するため、低コストで実施できる。
(還元炉から熔融炉への還元物の搬送について)
ここで、還元工程S2での還元処理を施す還元炉と、上述した熔融炉(還元物に対して熔融処理を施す熔融炉)とは、例えば搬送配管等の接続部を介して接続されるように構成することができる。搬送配管等の接続部は、内部空間を有するものであり、還元炉にて生成した還元物は、その接続部の内部空間を通って熔融炉に搬送され装入される。
このとき、還元物の搬送に際しては、接続部の内部空間を予め窒素等の不活性ガスで置換しておき、不活性ガス置換された状態の接続部の内部空間を通じて、還元物を搬送することが好ましい。これにより、還元物を熔融炉に搬送する過程において、生成したメタルの一部が酸素等の酸化性成分と接触して酸化されてしまうことを防ぐことができる。
<2−4.アトマイズ工程>
必須の態様ではないが、熔融工程S3での熔融処理により得られた溶融物を、アトマイズ処理して粉末化するアトマイズ工程S4を設けてもよい。アトマイズ工程S4では、熔融して得られた熔融物をアトマイズ装置に装入してアトマイズ処理を施し、熔融物を急速に冷却して微細なアトマイズ粉末を得る。
上述した熔融工程S3における熔融処理では、メタルの凝集が進行し、ある程度メタルとスラグとの分離が進行しているが、その熔融物からメタルを回収するには、得られた熔融物を冷却し固化して、そして、粉砕処理を施した後に磁選等の分離処理を施す必要がある。このような熔融物の冷却固化や、その後の粉砕処理は、時間とコストがかかる操作であり、必然的にフェロニッケルの製造コストを増加させる。
そこで、還元物を熔融して得られた熔融物からメタルを回収するにあたり、その熔融物に対してアトマイズ処理を施すようにすることで、メタルとスラグとがある程度分離した状態で微細な粒子状のアトマイズ粉末とすることができ、粉砕処理を不要とすることができる。粉砕処理を施すとしても、粒子状に微細粉末化しているため、粉砕処理コストを大幅に低減させることができる。また、熔融処理によりメタルを凝集化させてある程度大きな塊のメタルが生成しているため、さらにアトマイズ処理を経ることで、ニッケルの回収率も向上させることができる。
アトマイズ処理は、公知のアトマイズ装置を使用して行うことができる。図4は、アトマイズ装置の構成例を示す図であり、熔融炉と接続されているアトマイズ装置の態様を示す図である。なお、図4において、符号30が熔融炉を示し、符号40がアトマイズ装置を示し、熔融炉30とアトマイズ装置40とが接続配管50により接続されている。
図4に示すように、アトマイズ装置40では、熔融炉30にて還元物を熔融して得られた熔融物Mが接続配管50を介してアトマイズ装置40の本体部41内に供給され、本体部41内に設けられた回転ディスク42まで流下する。回転ディスク42まで流下した熔融物Mは、高速回転する回転ディスク42に衝突すると同時にその回転により本体部41内に微細な液滴状となって飛散し、飛散に伴って急速に冷却されることで、メタルとスラグのそれぞれのアトマイズ粉APが生成される。
図4では、熔融炉30として、本体部31内に電極32を備えた電気炉の構成を例示しているが、アトマイズ装置に併設できる熔融炉として電気炉に限られず、高周波熔融炉であってもよい。なお、熔融炉(電気炉)30では、投入口33から還元物が供給される。また、アトマイズ装置40として、ディスクを用いた気中アトマイズ法を適用した装置を例示しているが、これに限られず、例えば高圧水を用いた水アトマイズ装置や高圧ガスを用いたガスアトマイズ装置であってもよい。
このように、後述する分離工程に先立って、熔融物に対してアトマイズ処理を施すアトマイズ工程を設けることで、スラグとメタルがある程度分離した状態の熔融物を、微細な粒子状のアトマイズ粉末とすることができ、粉砕コストを大幅に削減することができる。また、ニッケル回収率を向上させることもできる。
<2−5.分離工程>
分離工程S5は、熔融物からメタルとスラグを分離する工程である。具体的には、熔融処理によって得られた、メタル相とスラグ相とを含む熔融物(混合物)を冷却し、必要に応じて粉砕して粉末化して、メタル(メタル粉末粒子)を分離して回収する。上述したアトマイズ工程により、アトマイズ処理して予め粉末化した場合には、アトマイズ粉からメタル粉末粒子を回収する。
固体として得られたメタルとスラグとの混合物からメタル(メタル粉末粒子)を分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。
さらに、先述した溶融処理を施すことで、メタルとスラグとが効果的に分離されていることから、熔融物(混合物)を冷却して粉末化してもスラグが混在するメタル粉末粒子の形成を極力抑制することができる。これにより磁力による分離によってメタル相とスラグ相とを分離が容易となり、メタル回収率を向上させることができる。
このようにしてメタルとスラグとを分離することによって、メタルを回収する。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1、比較例1>
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85質量%、平均粒径:約70μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤(石炭粉)は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100質量%としたときに28質量%の割合となる量で含有させた。
次に、パン型造粒機により、得られた混合物に適宜水分を添加して球状に成形された直径14.0±0.5mmの混合物(試料)を13(実施例1−1〜1−11、比較例1−1、1−2)得た。
次に、実施例1−1〜1−11、比較例1−1、1−2の混合物(試料)を還元炉に装入して、混合物(試料)に加熱還元処理(還元温度を1350℃)を施した。還元時間は実施例1−1〜1−11、比較例1−1は15分、比較例1−2は30分とした。なお、実施例1−1〜1−11の混合物について還元処理を施した還元炉については、搬送配管(接続部)を介して高周波熔融炉と接続させた。
還元処理後、実施例1−1〜1−10の処理で得られた還元物については、還元炉に接続した高周波熔融炉に搬送配管を通じて搬送した。搬送配管において、その内部空間を予め窒素(不活性気体)で置換しておき、窒素雰囲気下で還元物を高周波熔融炉に搬送させるようにした。また、実施例1−11の処理で得られた還元物については、内部空間を窒素置換していない搬送配管を通じて還元物を高周波熔融炉に搬送した。
そして、実施例1−1〜1−11では、高周波熔融炉において、得られた還元物を熔融する処理を行った。熔融処理の後、得られた熔融物を冷却して、実施例1−1〜1−11の試料を粉砕し、その後磁力選別によってメタルを回収した。
一方、比較例1−1〜1−2の処理で得られた還元物については、熔融処理を施すことなく、還元処理の後、得られた還元物を冷却して、比較例1−1〜1−2の試料を粉砕し、その後磁力選別によってメタルを回収した。
実施例1−1〜1−11の各試料について、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率、メタル回収率を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100型)により分析して算出した。
ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率は、以下の式(1)、(2)、(3)により算出した。
ニッケルメタル化率=メタル中のニッケルの質量/(還元物中の全てのニッケルの質量)×100(%) ・・・(1)式
メタル中ニッケル含有率=メタル中のニッケルの質量/(メタル中のニッケルと鉄の合計質量)×100(%) ・・・(2)式
ニッケルメタル回収率=回収されたニッケルの量/(投入した鉱石の量×鉱石中のニッケル含有割合)×100 ・・・(3)式
下記表3に、それぞれの試料における、ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率を示す。
Figure 2020097771
表3の結果からわかるように、高周波熔融により還元物を熔融した実施例1−1〜1−11では、比較例1−1、1−2と比較して、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率がいずれも高くなった。また、還元物を高周波熔融炉に搬送するにあたり、内部を窒素置換した搬送配管(接続部)を通じて搬送し、その後熔融処理を施した実施例1−1〜1−10では、実施例1−11と比較して、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率がより向上した。
<実施例2、比較例2>
上記実施例1、比較例1と同様に、ニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85質量%、平均粒径:約70μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤(石炭粉)は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100質量%としたときに28質量%の割合となる量で含有させた。
次に、パン型造粒機により、得られた混合物に適宜水分を添加して球状に成形された直径14.0±0.5mmの混合物(試料)を13(実施例2−1〜2−11、比較例2−1、2−2)得た。
次に、実施例2−1〜2−11、比較例2−1、2−2の混合物(試料)を還元炉に装入して、混合物(試料)に加熱還元処理(還元温度を1350℃)を施した。還元時間は実施例2−1〜2−11、比較例2−1は15分、比較例2−2は30分とした。なお、実施例2−1〜2−11の混合物について還元処理を施した還元炉については、搬送配管(接続部)を介して電気熔融炉と接続させた。
還元処理後、実施例2−1〜2−10の処理で得られた還元物については、還元炉に接続した電気熔融炉に搬送配管を通じて搬送した。搬送配管において、その内部空間を予め窒素(不活性ガス)で置換しておき、窒素雰囲気下で還元物を電気熔融炉に搬送させるようにした。また、実施例2−11の処理で得られた還元物については、内部空間を窒素置換していない搬送配管を通じて還元物を電気熔融炉に搬送した。
そして、実施例2−1〜2−11では、電気熔融炉において、得られた還元物を熔融する処理を行った。熔融処理の後、得られた熔融物を冷却して、実施例2−1〜2−11の試料を粉砕し、その後磁力選別によってメタルを回収した。
一方、比較例2−1〜2−2の処理で得られた還元物については、熔融処理を施すことなく、得られた還元物を冷却して、比較例2−1〜2−2の試料を粉砕し、その後磁力選別によってメタルを回収した。
Figure 2020097771
表4の結果からわかるように、電気熔融炉により還元物を熔融した実施例2−1〜2−11では、比較例2−1、2−2と比較して、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率がいずれも高くなった。また、還元物を電気熔融炉に搬送するにあたり、内部を窒素置換した搬送配管(接続部)を通じて搬送し、その後熔融処理を施した実施例2−1〜2−10では、実施例2−11と比較して、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率がいずれも高くなった。
<実施例3>
上記実施例1と同様に、ニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85質量%、平均粒径:約70μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤(石炭粉)は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100質量%としたときに28質量%の割合となる量で含有させた。
次に、パン型造粒機により、得られた混合物に適宜水分を添加して球状に成形された直径14.0±0.5mmの混合物(試料)を11(実施例3−1〜3−11)得た。
次に、実施例3−1〜3−11の混合物(試料)を還元炉に装入して、混合物(試料)に加熱還元処理(還元温度を1350℃)を施した。還元時間は15分とした。なお、実施例3−1〜3−11の混合物について還元処理を施した還元炉については、搬送配管(接続部)を介して高周波熔融炉と接続させた。
還元処理後、実施例3−1〜3−10の処理で得られた還元物については、還元炉に接続した高周波熔融炉に搬送配管を通じて搬送した。搬送配管においては、その内部空間を予め窒素(不活性ガス)で置換しておき、窒素雰囲気下で還元物を高周波熔融炉に搬送させるようにした。また、実施例3−11の処理で得られた還元物については、内部空間を窒素置換していない搬送配管を通じて還元物を高周波熔融炉に搬送した。
実施例3−1〜3−11では、高周波熔融炉において、得られた熔融する処理を行った。そしてこのとき、炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85質量%、平均粒径:約70μm)を熔融炉内に添加し、還元剤の存在下で熔融処理を行った。
そして、実施例3−1〜3−11では、高周波熔融炉において、得られた還元物を熔融する処理を行った。熔融処理の後、得られた熔融物を冷却して、実施例3−1〜3−11の試料を粉砕し、その後磁力選別によってメタルを回収した。
Figure 2020097771
表5の結果からわかるように、高周波熔融炉により還元物を熔融し、熔融時に炭素質還元剤を添加した実施例3−1〜3−11では、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率がいずれも高いものであり、実施例1−1〜1−11と比較しても同等以上の結果となった。
<実施例4>
上記実施例2、比較例2と同様に、ニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85質量%、平均粒径:約70μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤(石炭粉)は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100質量%としたときに28質量%の割合となる量で含有させた。
次に、パン型造粒機により、得られた混合物に適宜水分を添加して球状に成形された直径14.0±0.5mmの混合物(試料)を11(実施例4−1〜4−11)得た。
次に、実施例4−1〜4−11の混合物(試料)を還元炉に装入して、混合物(試料)に加熱還元処理(還元温度を1350℃)を施した。還元時間は実施例4−1〜4−11は15分とした。なお、実施例4−1〜4−11の混合物について還元処理を施した還元炉については、搬送配管(接続部)を介して電気熔融炉と接続させた。なお、電気熔融炉は、接続配管(接続部)によりアトマイズ装置と接続されているものを用いた。
還元処理後、実施例4−1〜4−10の処理で得られた還元物については、還元炉に接続した電気熔融炉に搬送配管を通じて搬送した。搬送配管において、その内部空間を予め窒素(不活性ガス)で置換しておき、窒素雰囲気下で還元物を電気熔融炉に搬送させるようにした。また、実施例4−11の処理で得られた還元物については、内部空間を窒素置換していない搬送配管を通じて還元物を電気熔融炉に搬送した。
そして、実施例4−1〜4−11では、電気熔融炉において、得られた還元物を熔融する処理を行った。
さらに、電気熔融炉での熔融処理後、得られた熔融物を、接続配管を通じてアトマイズ装置に供給してアトマイズ処理を施した。このアトマイズ処理により、微細なアトマイズ粉末を得た。
得られたアトマイズ粉末から磁力選別によってメタルを回収した。下記表6に、それぞれの試料における、ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率を示す。
Figure 2020097771
表6の結果からわかるように、電気熔融炉により還元物を熔融し、熔融物にアトマイズ処理を施した実施例4−1〜4−11では、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率がいずれも高くなった。
10 高周波熔融炉
11 内容物(熔融物)
12 熔融炉本体部
13 装入口
14 排出口
15 コイル
20 電気熔融炉
21 内容物(熔融物)
22 熔融炉本体部
23 装入口
24 排出口
25 電極
30 熔融炉
31 本体部
32 電極
33 投入口
40 アトマイズ装置
41 本体部
42 回転ディスク
50 接続配管
M 溶融物
AP アトマイズ粉

Claims (7)

  1. 酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を還元炉に装入し、該混合物に還元処理を施してメタルとスラグとを含む還元物を得る還元工程と、
    前記還元物を熔融する熔融工程と、
    熔融して得られた熔融物からメタルとスラグを分離する分離工程と、
    を有する酸化鉱石の製錬方法。
  2. 前記還元炉はバーナーを備え、
    前記還元工程では、該バーナーにより前記混合物に還元処理を施す
    請求項1に記載の酸化鉱石の製錬方法。
  3. 前記還元物を熔融する熔融炉に該還元物を搬送して熔融工程に供し、
    前記熔融炉は高周波熔融炉又は電気熔融炉である
    請求項1又は2に記載の酸化鉱石の製錬方法。
  4. 前記還元炉は内部空間を有する接続部を介して前記熔融炉と接続され、
    前記接続部の前記内部空間を不活性ガスで置換した後に、該内部空間を通じて前記還元炉から前記熔融炉へと前記還元物を搬送する
    請求項3に記載の酸化鉱石の製錬方法。
  5. 前記熔融工程では、前記還元物を還元剤とともに熔融する
    請求項1から4のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
  6. 前記熔融物をアトマイズ処理して粉末を得るアトマイズ工程を更に有し、
    得られた前記粉末を分離工程に供する
    請求項1から5のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
  7. 前記酸化鉱石はニッケル酸化鉱石である
    請求項1から6のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
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