JP7292581B2 - 酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化鉱石の製錬方法に関するものであり、例えば、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を原料として炭素質還元剤により還元することで還元物を得る製錬方法に関する。
酸化鉱石の一種であるリモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用して鉄とニッケルの合金(以下、鉄とニッケルの合金を「フェロニッケル」ともいう)を製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用して高温高圧で酸浸出し、ニッケルやコバルトが混在した混合硫化物(ミックスサルファイド)を製造する湿式製錬方法等が知られている。
上述した様々な方法の中で、特に乾式製錬法を用いてニッケル酸化鉱石を還元して製錬する場合、反応を進めるために原料のニッケル酸化鉱石を適度な大きさに破砕する等して塊状物化する処理が前処理として行われる。
具体的に、ニッケル酸化鉱石を塊状物化する、すなわち粉状や微粒状の鉱石を塊状にする際には、そのニッケル酸化鉱石と、それ以外の成分、例えばバインダーやコークス等の還元剤とを混合して混合物とし、さらに水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば一辺あるいは直径が10mm以上30mm以下程度の成形物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」ということもある)とするのが一般的である。
塊状物化して得られるペレットには、含有する水分を「飛ばす」ために、ある程度の通気性が必要となる。さらに、その後の還元処理においてペレット内で均一に還元が進まないと、得られる還元物の組成が不均一になり、メタルが分散したり偏在したりする等の不都合が生じる。そのため、ペレットを作製する際には混合物を均一に混合したり、得られたペレットを還元する際には可能な限り均一な温度を維持することが重要となる。
加えて、還元処理により生成するメタル(フェロニッケル)を粗大化させることも非常に重要な技術である。生成したフェロニッケルが、例えば数10μm以上数100μm以下の細かな大きさであった場合、同時に生成するスラグと分離することが困難となり、フェロニッケルとしての回収率(収率)が大きく低下してしまう。そのため、還元後のフェロニッケルを粗大化する処理が必要となる。
例えば、特許文献1には、金属酸化物と炭素質還元剤とを含む塊成物を、移動床型還元溶融炉の炉床上に供給して加熱し、金属酸化物を還元溶融させる粒状金属の製造方法において、塊成物同士の距離を0としたときの塊成物の炉床への最大投影面積率に対する、塊成物の炉床への投影面積率の相対値を敷密度としたとき、平均直径が19.5mm以上32mm以下の塊成物を、敷密度が0.5以上0.8以下になるように炉床上に供給して加熱する方法が開示されている。この方法では、塊成物の敷密度と平均直径とを併せて制御することで、粒状金属鉄の生産性を高められることが記載されている。
しかしながら、特許文献1にあるような、特定の直径を有するものを塊成物として用いる方法では、特定の直径を有しないものを取り除く必要があるため、塊成物を作製する際に収率が低いという問題があった。また、特許文献1の方法では、塊成物の敷密度を0.5以上0.8以下に調整する必要があり、塊成物を積層させることもできないため、生産性が低く、しかも製造コストが高いものであった。
このように、酸化鉱石を混合及び還元して金属や合金を製造する技術には、生産性を高め、製造コストを低減させ、メタルの品質を高める点で、多くの課題があった。
特開2011-256414号公報
本発明は、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を含む混合物を還元することでメタルを製造する製錬方法において、得られるメタルの品位を高めることができ、高品質のメタルを効率的に製造することができる酸化鉱石の製錬方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、混合工程にて酸化鉱石と混合するに先立ち、炭素質還元剤を予め乾燥することによって上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1は、酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を得る混合工程と、前記混合物を還元炉に装入し、該混合物に還元処理を施してメタルとスラグとを含む還元物を得る還元工程と、を有する酸化鉱石の製錬方法であって、前記混合工程にて前記酸化鉱石と混合するに先立ち、前記炭素質還元剤を予め乾燥する還元剤乾燥工程を有する、酸化鉱石の製錬方法である。
(2)本発明の第2は、前記還元剤乾燥工程では、前記炭素質還元剤の水分率が10質量%以下となるように乾燥する、酸化鉱石の製錬方法である。
(3)本発明の第3は、第1又は第2の発明において、前記炭素質還元剤は石炭である、酸化鉱石の製錬方法である。
(4)本発明の第4は、第1から第3のいずれかの発明において、前記酸化鉱石はニッケル酸化鉱石である、酸化鉱石の製錬方法である。
本発明に係る酸化鉱石の製錬方法によれば、高品質なメタルを効率的に製造することができる。
ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係る酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石である酸化鉱石(酸化物)を炭素質還元剤と混合し、その混合物(ペレット)に対して製錬炉(還元炉)内で還元処理を施すことによって、メタルとスラグとを生成させるものである。
例えば、酸化鉱石として、酸化ニッケルや酸化鉄等を含有するニッケル酸化鉱石を原料とし、そのニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物を得て、混合物に含まれるニッケルを優先的に還元し、また鉄を部分的に還元することで、鉄-ニッケル合金のメタルを生成させ、さらに、そのメタルを分離することによってフェロニッケルを製造するニッケル製錬方法が挙げられる。
以下では、このニッケル酸化鉱石の製錬方法を例に酸化鉱石の製錬方法を説明する。具体的に、このニッケル酸化鉱石の製錬方法は、図1に示すように、炭素質還元剤を乾燥する還元剤乾燥工程S1と、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物を得る混合工程S2と、得られた混合物に還元処理を施す還元工程S3と、得られた還元物からメタルを回収する回収工程S4と、を含む。
<1.還元剤乾燥工程>
還元剤乾燥工程S1は、原料成分である、炭素質還元剤を乾燥する工程である。このように後述する混合工程にて酸化鉱石と混合するに先立って炭素質還元剤を乾燥することにより、得られるメタルの品位を高めることができる。
通常、石炭などの炭素質還元剤には、20~40質量%程度の水分を含んでいるが、本発明者の研究により、炭素質還元剤に由来する水分により還元炉内で得られた還元物が酸化されて、得られるメタルの品位が低下することが明らかとなった。
そこで、本実施の形態に係る酸化鉱石の製錬方法では、混合工程にて酸化鉱石と混合するに先立ち炭素質還元剤を予め乾燥する還元剤乾燥工程を有することを特徴としている。これにより、炭素質還元剤に由来する水分により還元物が酸化することを抑制して、得られるメタルの品位を高めることができる。
また、このように水分を含んだ炭素質還元剤により混合物を作製した場合、その混合物を加熱して還元処理を施す際に、混合物中の水分が揮発し、揮発した水分と共にその混合物に含まれるニッケル酸化鉱石が排出されてしまい、結果としてメタル回収率が低下することが分かった。
このようなメタル回収率の低下は、排出されたニッケル酸化鉱石を回収して再び還元処理を行うことにより解決することもできるが、排出されたニッケル酸化鉱石を回収する回収機構等を設けなければならない等の手間やコストもかかり、生産上の観点から好ましいとはいえない。
このとき、酸化鉱石と混合するに先立ち、炭素質還元剤を予め乾燥することにより、混合物中に炭素質還元剤に由来する水分が含まれることを抑制して、ニッケル酸化鉱石の排出を抑えることができ、メタルの回収率を向上させることができる。
炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、この炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石の粒度や粒度分布と同等の大きさのものであると、後述する混合工程において、均一に混合しやすく、還元反応も均一に進みやすくなるため好ましい。
炭素質還元剤を乾燥する方法としては、乾燥対象である炭素質還元剤を所定の乾燥温度(例えば、120℃以上400℃以下)の大気雰囲気内に保持する方法や、所定の温度の熱風を混合物に対して吹き付けて乾燥させる方法、ロータリーキルンで回転させながら乾燥する方法等、従来公知の手段を用いることができる。
炭素質還元剤に対する乾燥処理は、その炭素質還元剤の水分率が10質量%以下となるように乾燥することが好ましく、8質量%以下となるように乾燥することがより好ましく、5質量%以下となるように乾燥することがより好ましい。このような水分率となるように乾燥することで、後述する還元工程S3において炭素質還元剤に由来する水分に基づく酸化を抑制することができ、得られるメタルの品位をより効果的に高めることができる。
なお、還元炉内への水分の混入を抑制する観点では、炭素質還元剤の水分率は少ないほど好ましく、炭素質還元剤の水分率の下限値は特に限定されないが、例えば1質量%以上とすることができる。炭素質還元剤の水分率が1質量%以上10質量%以下であれば、上述のように炭素質還元剤に由来する水分に基づく酸化を抑制できるとともに、例えば後述する混合工程S2にて混合物を所定形状の成形物(ペレット)に成形する場合に成形性を高めてペレット(混合物)の強度を確保することができる。
<2.混合工程>
混合工程S2は、ニッケル酸化鉱石と還元剤乾燥工程により乾燥した炭素質還元剤とを混合して混合物を得る工程である。具体的に、混合工程S2では、まず、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に、炭素質還元剤を添加して混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.2mm以上0.8mm以下程度の粉末を添加して混合し、混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されないが、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、ニッケル酸化鉱石は、酸化ニッケル(NiO)と、酸化鉄(Fe)とを少なくとも含有する。
炭素質還元剤の含有量(混合物中に含まれる炭素質還元剤の含有量)としては、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルの全量をニッケルメタル還元するのに必要な化学当量と、酸化鉄(酸化第二鉄)を金属鉄に還元するのに必要な化学当量との両者合計値(便宜的に「化学当量の合計値」ともいう)を100質量%としたときに、50.0質量%以下の割合とすることが好ましく、40.0質量%以下の割合とすることがより好ましい。鉄の還元量を抑えて、ニッケル品位を高めることができ、高品質のフェロニッケルを製造することができる。また、炭素質還元剤の混合量は、化学当量の合計値を100質量%としたときに、10.0質量%以上の割合とすることが好ましく、15.0質量%以上の割合とすることがより好ましい。ニッケルの還元を効率的に進行させることができ生産性が向上する。
任意成分の添加剤である鉄鉱石としては、例えば、鉄品位が50.0質量%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。
混合工程S2では、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を均一に混合することによって混合物を得る。下記表1に、混合工程S2にて混合する、一部の原料粉末の組成(質量%)の一例を示すが、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
Figure 0007292581000001
混合に際しては、混合性を高めるために混練を同時に行ってもよく、混合後に混練を行ってもよい。混練は、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸混練機、二軸混練機等を用いて行うことができる。混合物を混練することによって、その混合物にせん断力を加え、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いて均一に混合できるとともに、各々の粒子の密着性を向上させ、また空隙を減少させることができる。これにより、その混合物において還元反応が起りやすくなるとともに均一に反応させることができ、還元反応の反応時間を短縮することができる。また、品質のばらつきを抑えることができる。
また、混合を行った後、あるいは混合及び混練を行った後、押出機を用いて押出してもよい。これにより、混合物に対して圧力(せん断力)が加えられ、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いてその混合物をより均一に混合させた状態とすることができる。さらに、混合物内の空隙を減少させることができる。これらのことから、後述する還元工程S3において混合物の還元反応が均一に起りやすくなり、得られるメタルの品位を高めることができ、高品質なメタルを製造することができる。
押出機は、高圧、高せん断力で混合物を混練して成形できるものであることが好ましく、一軸押出機、二軸押出機等を挙げることができる。特に、二軸押出機を備えたものであることが好ましい。高圧、高せん断で混合物を混練することにより、原料粉の混合物の凝集を解くことができ、また効果的に混練することができるうえ、混合物の強度を高めることができる。また、二軸押出機を備えたものを用いることにより、連続的に高い生産性を保ちながら混合物を得ることができる。
また、混合物を所定形状の成形物(ペレット)に成形してもよい。成形物の形状としては、例えば、球状、直方体状、立方体状、円柱状等とすることができる。このような形状は、簡易な形状であって複雑なものではないため、成形コストを抑制しつつ不良品の発生を抑制することができ、得られる成形物の品質も均一となり、歩留り低下を抑制することができる。
<3.還元工程>
還元工程S3は、得られた混合物を加熱して還元処理を施してメタルとスラグとを含む還元物を得る工程である。還元工程S3における加熱還元処理により、製錬反応(還元反応)が進行して、フェロニッケルメタル(以下、単に「メタル」という)と、フェロニッケルスラグ(以下、単に「スラグ」という)とが分かれて生成する。
ここで、本実施の形態では、還元剤乾燥工程S1において、酸化鉱石と混合するに先立ち炭素質還元剤を予め乾燥している。このことから、還元炉内に炭素質還元剤に由来する水分の持ち込み量が抑えられ、その水分に基づく酸化を抑制することができる。これにより、得られるメタルの品位を高めることができる。
還元工程S3における還元処理は、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を、所定の還元温度に加熱した還元炉に装入することによって行われる。還元処理においては、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルは可能な限り完全にかつ優先的に還元し、一方で、ニッケル酸化鉱石に含まれる酸化鉄は一部だけ還元して、目的とする高いニッケル品位のフェロニッケルが得られる、いわゆる部分還元処理を施してもよい。
このような部分還元処理を施す場合には、先ず還元反応の進みやすい混合物の表面近傍において混合物中のニッケル酸化鉱石及び鉄酸化物が還元されメタル化してフェロニッケルとなり、殻(シェル)を形成する。一方で、殻の中では、その殻の形成に伴ってスラグ成分が徐々に熔融して液相のスラグが生成する。これにより、混合物中では、メタルと、スラグとが分かれて生成する。
また、還元処理としては、上述した部分還元処理に限られず、還元炉内に投入した酸化鉱石を含む混合物を熔融させて還元する熔融還元処理を施してもよい。このような熔融還元処理の場合、熔融還元により得られたメタルとスラグとが比重差によって分離する。具体的には、比重の重いメタルがスラグよりも下層に構成されるように分離する。このように熔融状態のメタル(熔融メタル)がスラグの下に堆積した状態になると、炉内雰囲気において酸素分圧やCO分圧に変動が生じたとしても、スラグの下の炉底に溜まったメタルの組成への影響を抑制することができ、メタルの酸化を効果的に抑えることができる。
還元炉としては、特に限定されないが、単一の炉を用いても、移動炉床炉等の炉床が回転移動等して工程ごとに連続的に処理可能となる炉を用いてもよい。部分還元処理を施す場合には、連続的に還元反応を進行させ、一つの設備で反応を完結させることができる移動炉床炉を用いることが好ましい。熔融還元処理を施す場合には、熔融炉を用いることが好ましい。
なお、これらの還元炉はバーナーを備えるバーナー炉であることが好ましい。電気等を用いた加熱に比べて格段に安価に処理を行うことができ、経済効率性を高めることもできる。さらに、バーナー炉では、メンテナンスが非常に容易であり、連続操業も有効に行うことができ、操業効率が高めることができる。
<4.回収工程>
回収工程S4は、得られた還元物からメタルを回収する工程である。部分還元処理を施した場合には、混合物に対する還元加熱処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混在物(還元物)からメタル相を分離して回収する。
固体として得られたメタル相とスラグ相との混在物からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。
また、得られたメタル相とスラグ相は、濡れ性が悪いことから容易に分離することができ、大きな混在物に対して、例えば、所定の落差を設けて落下させる、あるいは篩い分けの際に所定の振動を与える等の衝撃を与えることで、その混在物からメタル相とスラグ相とを容易に分離することができる。
熔融還元処理を施した場合には、熔融メタルと熔融スラグが比重差によって自然に分離し、メタルは還元炉の炉底に溜まる。そのため、還元炉の炉底付近からメタルを抜いて回収することで、メタルのみを選択的に回収することができる。一方、スラグはメタルの上に浮くため、例えば炉壁(スラグ排出口)から抜いて回収することができる。このように、得られたメタルとスラグとは熔融状態にあるため、その比重差によって容易に分離し、メタルを選択的に回収することができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例、比較例>
まず、原料鉱石としての炭素質還元剤(石炭粉、平均粒径:約80μm)を乾燥温度200℃の大気雰囲気内に3時間保持し、表2に示す水分率となるように炭素質還元剤を乾燥させた。なお、比較例では、炭素質還元剤に対する乾燥処理を行わなかった。
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び乾燥処理後の炭素質還元剤を、混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100質量%としたときに28質量%の割合となる量で含有させた。
次に、パン型造粒機により、得られた混合物に球状に成形された直径13.0±0.5mmの混合物(試料)を12(実施例1~9、比較例1~3)得た。
次に、実施例1~9、比較例1~3の混合物(試料)を還元炉に装入した。なお、還元処理においては、還元炉の炉床に予め炉床保護剤(主成分はSiOであり、その他の成分としてAl、MgO等の酸化物を少量含有する)を敷き詰め、その上に試料を載置して還元処理を施した。
このような還元処理の後、得られた還元物冷却後の実施例1~9、比較例1~3の試料を粉砕し、その後磁力選別によってメタルを回収した。
還元加熱処理後の各試料について、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率、メタル回収率を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S-8100型)により分析して算出した。
ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率は、以下の式(1)、(2)、(3)により算出した。
ニッケルメタル化率=メタル中のニッケルの質量/(還元物中の全てのニッケルの質量)×100(%) ・・・(1)式
メタル中ニッケル含有率=メタル中のニッケルの質量/(メタル中のニッケルと鉄の合計質量)×100(%) ・・・(2)式
ニッケルメタル回収率=回収されたニッケルの量/(投入した鉱石の量×鉱石中のニッケル含有割合)×100 ・・・(3)式
下記表2に、加熱還元処理後の還元炉内の酸素濃度、それぞれの試料における、ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率を示す。
Figure 0007292581000002
表2の結果からわかるように、混合工程にて酸化鉱石と混合するに先立ち、炭素質還元剤を予め乾燥することによって、高品質なメタルを効率的に製造することが分かる。

Claims (3)

  1. ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を還元炉に装入し、該混合物に還元処理を施してメタルとスラグとを含む還元物を得る還元工程と、
    得られた前記還元物を冷却することで該還元物を固体状態とし、該還元物から固体状態のメタルを回収する回収工程と、を有するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、
    前記混合工程にて前記ニッケル酸化鉱石と前記炭素質還元剤とを混合するに先立ち、水分率が10質量%以下となるように該炭素質還元剤を120℃以上400℃以下の乾燥温度で乾燥する還元剤乾燥工程をさらに有し、
    前記還元工程では、前記混合物に還元処理を施すことにより、その表面にメタルを有する前記還元物を得る、
    ニッケル酸化鉱石の製錬方法。
  2. 前記還元剤乾燥工程では、水分率が1質量%以上10質量%以下となるように前記炭素質還元剤を予め乾燥する
    請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法
  3. 前記炭素質還元剤は石炭である
    請求項1又は2に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
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