JP7293910B2 - 酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化鉱石の製錬方法に関するものであり、例えば、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を原料として炭素質還元剤により還元することで還元物を得る製錬方法に関する。
酸化鉱石の一種であるリモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用して鉄とニッケルの合金(以下、鉄とニッケルの合金を「フェロニッケル」ともいう)を製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用して高温高圧で酸浸出し、ニッケルやコバルトが混在した混合硫化物(ミックスサルファイド)を製造する湿式製錬方法等が知られている。
上述した様々な方法の中で、特に乾式製錬法を用いてニッケル酸化鉱石を還元して製錬する場合、反応を進めるために原料のニッケル酸化鉱石を適度な大きさに破砕する等して塊状物化する処理が前処理として行われる。
具体的に、ニッケル酸化鉱石を塊状物化する、すなわち粉状や微粒状の鉱石を塊状にする際には、そのニッケル酸化鉱石と、それ以外の成分、例えばバインダーやコークス等の還元剤とを混合して混合物とし、さらに水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば一辺あるいは直径が10mm以上30mm以下程度の成形物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」ということもある)とするのが一般的である。
塊状物化して得られるペレットには、含有する水分を「飛ばす」ために、ある程度の通気性が必要となる。さらに、その後の還元処理においてペレット内で均一に還元が進まないと、得られる還元物の組成が不均一になり、メタルが分散したり偏在したりする等の不都合が生じる。そのため、ペレットを作製する際には混合物を均一に混合したり、得られたペレットを還元する際には可能な限り均一な温度を維持することが重要となる。
加えて、還元処理により生成するメタル(フェロニッケル)を粗大化させることも非常に重要な技術である。生成したフェロニッケルが、例えば数10μm以上数100μm以下の細かな大きさであった場合、同時に生成するスラグと分離することが困難となり、フェロニッケルとしての回収率(収率)が大きく低下してしまう。そのため、還元後のフェロニッケルを粗大化する処理が必要となる。
例えば、特許文献1には、金属酸化物と炭素質還元剤とを含む塊成物を、移動床型還元熔融炉の炉床上に供給して加熱し、金属酸化物を還元熔融させる粒状金属の製造方法において、塊成物同士の距離を0としたときの塊成物の炉床への最大投影面積率に対する、塊成物の炉床への投影面積率の相対値を敷密度としたとき、平均直径が19.5mm以上32mm以下の塊成物を、敷密度が0.5以上0.8以下になるように炉床上に供給して加熱する方法が開示されている。この方法では、塊成物の敷密度と平均直径とを併せて制御することで、粒状金属鉄の生産性を高められることが記載されている。
しかし、特許文献1に記載の技術のように、塊成物の直径が決められた範囲に限定されると、塊成物を製造する際の収率の低下が避けられず、その結果としてコストアップになる懸念がある。なお、塊成物の敷密度が0.5以上0.8以下の範囲では、細密充填でないうえ、塊成物を積層することも難しくなるため、効率の低い処理となってしまう。
上述したように、ニッケル酸化鉱石を混合、還元して、ニッケルと鉄とを含むメタルを製造するにあたって、生産性を高くすること、低コスト化すること、高品質化することは、重要な要素であるにもかかわらず、多くの問題があった。
特開2011-256414号公報
本発明は、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を含む混合物を還元することでメタルを製造する製錬方法において、得られるメタルの品位を高めることができ、高品質のメタルを効率的に製造することができる酸化鉱石の製錬方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、還元炉内の雰囲気ガスの酸素を所定濃度以下に維持した状態で、混合物を熔融して還元処理を施すことにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1は、酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を得る混合工程と、
前記混合物を還元炉に装入し、該混合物に還元処理を施すことによりメタルとスラグとを含む熔融状態の還元物を得る還元工程と、を有し、前記還元工程では、還元炉内の雰囲気ガスの酸素濃度を0.5質量%以下に維持した状態で前記混合物に還元処理を施す酸化鉱石の製錬方法である。
(2)本発明の第2は、本発明の第1において、前記還元炉としてバーナー炉を用い、バーナーにより前記混合物に還元処理を施す酸化鉱石の製錬方法である。
(3)本発明の第3は、本発明の第2において、前記バーナー炉におけるバーナーの空燃比を0.8以上1.1以下の範囲とする酸化鉱石の製錬方法である。
(4)本発明の第4は、本発明の第2又は第3において、前記バーナー炉におけるバーナーは、ガスを燃料とするものである酸化鉱石の製錬方法である。
(5)本発明の第5は、本発明の第1から第4のいずれかにおいて、前記酸化鉱石はニッケル酸化鉱石であり、該ニッケル酸化鉱石を還元してフェロニッケルを製造する製錬方法である。
本発明に係る酸化鉱石の製錬方法によれば、高品質なメタルを効率的に製造することができる。
ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。 還元炉の構成の一例を示す模式図であり、その還元炉における還元処理の様子を説明するための図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.酸化鉱石の製錬方法の概要≫
本実施の形態に係る酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石である酸化鉱石(酸化物)を炭素質還元剤と混合し、その混合物(ペレット)に対して製錬炉(還元炉)内で還元処理を施すことによって、メタルとスラグとを生成させるものである。
例えば、酸化鉱石として、酸化ニッケルや酸化鉄等を含有するニッケル酸化鉱石を原料とし、そのニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物を得て、混合物に含まれるニッケルを優先的に還元し、また鉄を部分的に還元することで、鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを製造する方法が挙げられる。
そして、本実施の形態に係る酸化鉱石の製錬方法においては、還元炉内の雰囲気ガスの酸素濃度を0.5質量%以下に維持した状態で、混合物を熔融して還元処理を施すことを特徴としている。
このような方法によれば、還元炉内の雰囲気ガスの酸素を所定濃度以下に維持するとともに、混合物を熔融還元することで、生成するメタルの酸化を効果的に防ぐことができ、メタルの品位を高めることができる。
≪2.ニッケル酸化鉱石を用いてフェロニッケルの製造する製錬方法≫
以下では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれるニッケル(酸化ニッケル)と鉄(酸化鉄)を還元することで、鉄-ニッケル合金のメタルを生成させ、さらに、そのメタルを分離することによってフェロニッケルを製造する製錬方法を例に挙げて説明する。
具体的に、本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、図1に示すように、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を得る混合工程S1と、得られた混合物を還元炉に装入し、混合物に還元処理を施すことによりメタルとスラグとを含む熔融状態の還元物を得る還元工程S2と、得られた還元物からメタルとスラグを分離する分離工程S3と、を含む。
[混合工程]
混合工程S1は、ニッケル酸化鉱石と還元剤である炭素質還元剤とを混合して混合物を得る工程である。具体的に、混合工程S1では、まず、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に、炭素質還元剤を添加して混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.1mm以上0.8mm以下程度の粉末を添加して混合し、混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されないが、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、ニッケル酸化鉱石は、酸化ニッケル(NiO)と、酸化鉄(Fe)とを少なくとも含有する。
炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、この炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石の粒度や粒度分布と同等の大きさのものであると、均一に混合しやすく、還元反応も均一に進みやすくなるため好ましい。
炭素質還元剤の含有量(混合物中に含まれる炭素質還元剤の含有量)としては、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルの全量をニッケルメタル還元するのに必要な化学当量と、酸化鉄(酸化第二鉄)を金属鉄に還元するのに必要な化学当量との両者合計値(便宜的に「化学当量の合計値」ともいう)を100質量%としたときに、50質量%以下の割合とすることが好ましく、40質量%以下の割合とすることがより好ましい。鉄の還元量を抑えて、ニッケル品位を高めることができ、高品質のフェロニッケルを製造することができる。また、炭素質還元剤の混合量は、化学当量の合計値を100質量%としたときに、10質量%以上の割合とすることが好ましく、15質量%以上の割合とすることがより好ましい。ニッケルの還元を効率的に進行させることができ生産性が向上する。
任意成分の添加剤である鉄鉱石としては、例えば、鉄品位が50質量%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。
混合工程S1では、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を均一に混合することによって混合物を得る。下記表1に、混合工程S1にて混合する、一部の原料粉末の組成(質量%)の一例を示すが、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
Figure 0007293910000001
混合に際しては、混合性を高めるために混練を同時に行ってもよく、混合後に混練を行ってもよい。混練は、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸混練機、二軸混練機等を用いて行うことができる。混合物を混練することによって、その混合物にせん断力を加え、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いて均一に混合できるとともに、各々の粒子の密着性を向上させ、また空隙を減少させることができる。これにより、その混合物において還元反応が起りやすくなるとともに均一に反応させることができ、還元反応の反応時間を短縮することができる。また、品質のばらつきを抑えることができる。
また、混合を行った後、あるいは混合及び混練を行った後、押出機を用いて押出してもよい。これにより、混合物に対して圧力(せん断力)が加えられ、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いてその混合物をより均一に混合させた状態とすることができる。さらに、混合物内の空隙を減少させることができる。これらのことから、後述する還元工程S2において混合物の還元反応が均一に起りやすくなり、得られるメタルの品位を高めることができ、高品質なメタルを製造することができる。
混合工程S1では、得られた混合物に乾燥処理を施してもよい。混合物は、混合や混練に際して水を添加して行うことがある。本実施の形態におい乾燥処理を施すことは必須の態様ではないが、混合等に際して添加した水を含む混合物に乾燥処理を施すことにより、後述する還元処理において水分の気化に伴う混合物の膨張を防ぐことができる。
さらに、混合物に乾燥処理を施すことで、還元炉内における混合物に起因する水分混入を抑制することができる。これにより、還元炉内の雰囲気気体に含まれる水分量をより効果的に減らすことができ、還元物に含まれるメタルの酸化をより効果的に抑制することができる。
混合物を乾燥する方法は、特に限定されず、混合物を所定の乾燥温度(例えば、300℃以上400℃以下)に保持する方法や所定の乾燥温度の熱風を混合物に対して吹き付けて乾燥させる方法等、従来公知の手段を用いることができる。このような乾燥処理により、例えば、混合物の固形分が70質量%程度で、水分が30質量%程度となるようにする。なお、この乾燥処理時における混合物自身の温度としては、100℃未満とすることが好ましく、これにより水分の突沸等による混合物の破裂を抑制することができる。
また、乾燥処理は連続して一度に行ってもよいし複数回に分けて行ってもよい。乾燥処理を複数回に分けて行うことにより混合物の破裂をより効果的に抑制することができる。なお、乾燥処理を複数回に分けて行った場合において、2回目以降の乾燥温度としては、150℃以上400℃以下が好ましい。この範囲で乾燥することにより、還元反応が進むことなく乾燥することが可能となる。
下記表2に、乾燥処理後の混合物における固形分中組成(質量部)の一例を示す。なお、成形物の組成としては、これに限定されるものではない。
Figure 0007293910000002
[還元工程]
還元工程S2は、混合物を還元炉に装入し、混合物を還元することによってメタルとスラグとを生成させる工程である。具体的に、本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法では、還元炉を用い、混合物を加熱することによって混合物を熔融させて還元することを特徴としている。熔融還元処理では、還元反応の進行と共に混合物が完全に熔融していき、熔融状態のメタルとスラグとが生成する。このように混合物を熔融して還元することにより、短時間の処理時間で有効に還元することが可能となり、高品質なメタルを効率的に製造することができる。
また、混合物を熔融還元すると、熔融状態のメタルとスラグとが比重差によって分離する。具体的には、比重の重いメタルがスラグよりも下層に構成されるように分離する。このように熔融状態のメタル(熔融メタル)がスラグの下に堆積した状態になると、炉内雰囲気において酸素分圧やCO分圧に変動が生じたとしても、スラグの下の炉底に溜まったメタルの組成への影響を抑制することができ、メタルの酸化を効果的に抑えることができる。
また、この還元工程では、還元炉内の雰囲気ガスの酸素濃度を0.5質量%以下に維持した状態で混合物に還元処理を施すことを特徴としている。このような状態で混合物に還元処理を施すことにより、生成したメタルの酸化を抑制することができ、高い品質のフェロニッケルを高収率で製造することができる。また、雰囲気ガスの酸素濃度は0.2質量%以下であることがより好ましい。
還元炉内の雰囲気ガスの酸素濃度を0.5質量%以下に維持する方法は、還元炉内に酸素が混入しないように還元炉を密閉可能な構造にすることや、還元炉内に還元剤や脱酸素剤を配置して還元炉内の酸素を消費するような方法を挙げることができる。また、後述するようにバーナー炉を用いる場合においては、バーナーの空燃比を所定の範囲に制御することで、還元炉内の雰囲気ガス中の酸素濃度を0.5質量%以下とすることができる。
ここで、混合物に還元処理を施す還元炉は、熔融還元を行うことが可能な還元炉であれば特に限定されないが、バーナー炉を用いることが特に好ましい。バーナー炉を用いて還元処理を施すことにより、効率的に混合物を熔融状態にして還元することができ、品位の高いメタルを得ることができる。以下、混合物に還元処理を施す還元炉の一例であるバーナー炉について説明する。
(バーナー炉について)
バーナー炉を用いた還元処理では、炉内に装入した混合物に対するバーナーによる加熱に伴って徐々にニッケル酸化鉱石の還元反応が進行するため、混合物が熔融状態となる前の固体状態においても還元反応が生じている。バーナー炉内では、ニッケル酸化鉱石に対する還元反応の進行と共に、次第に混合物がバーナー加熱によって固体状態から液体状態、すなわち熔融状態へと変化していき、最終的にはバーナーによる加熱還元処理により生成した、熔融状態のメタルとスラグとが得られる。
従来のキルン等を用いて還元処理する方法等では、混合物を半熔融状態までしかできず、これではメタル粒が成長するのに長時間要してしまいコストが高くなり、また、還元炉内長時間装入されることにより、一度生成したメタルの一部が再び酸化されて高品質のメタルを製造することができなくなる場合がある。また、キルン内に半熔融物が付着し、それが成長してしまうと、メンテナンスのための操業を停止しなければならず、操業効率が著しく低下するという問題がある。
これに対して、バーナー炉を用いて混合物をバーナーにより加熱して還元することで、短時間の処理時間で有効に混合物を完全に熔融させて還元することができる。そして、操業が十分可能な炉内雰囲気制御によってニッケルを略100%の割合で還元することができ、また鉄の還元割合を制御することができる。これにより、高品質のフェロニッケルを安価にかつ生産性高く製造することができる。さらに、短時間の処理によって還元することができるため、生成したメタルの酸化等による組成ばらつきが生じ難くなる。なお、還元の割合(還元度合い)は、混合物における炭素質還元剤の混合比率により制御することができる。
また、バーナーを用いた加熱では、電気等を用いた加熱に比べて格段に安価に処理を行うことができ、経済効率性を高めることもできる。さらに、バーナー炉では、メンテナンスが非常に容易であり、連続操業も有効に行うことができ、キルン等に比較して操業効率が高めることができる。例えば、キルンを用いた操業の場合では、炉内に鉱石が半熔融状態になって付着し、成長していくため、2週間に一度程度の頻度で操業を停止させて付着物の除去作業等を行うことが必要になる。それに対して、バーナー炉では、装入した鉱石を短時間の処理で還元してメタル及びスラグとして全量排出できるため、炉内に鉱石が付着することを抑制することができる。このため、基本的には付着物除去等のメンテナンスが不要であり、例えばエルケム法の電気炉のような連続操業が可能となる。また、エルケム法の電気炉よりも、構造が簡易であって付属設備が少ないため、操業コストや定期メンテナンスのコスト等を低減することができる。
さらに、一般的に鉱山の近くで還元処理を行うオンサイト製錬では、産出したメタル分のみを市場に輸送すればよいため、原料鉱石を輸送して製錬するよりもコストを大きく低減でき、スラグの処分場所の確保等でも有利となるが、このとき、電気等を用いた加熱を行う場合には、発電所の建設が必要になってしまい非常にコストがかかり、発電費用も一般的に非常に高い。これに対して、例えばガスを燃料とするバーナー炉を用いる還元処理によれば、発電設備を簡略化することができ、オンサイト製錬においてより好適である。
図2は、バーナーを有する還元炉の構成例を模式的に示す図(断面図)である。図2に示すように、還元炉10は、混合物Bを加熱して還元処理を施す処理部11と、処理部11に混合物Bを装入する装入口12と、還元処理により得られたメタルを排出する排出口13と、を備えている。なお、処理部11の内壁や炉床は、スラグコーチングによって保護されていることが好ましい。これにより、炉の損傷を防ぎ、長期間に亘って連続な操業が可能となり、設備費やメンテナンス費を低減することができる。
還元炉10の処理部11においては、例えばその上部にバーナー14が設けられている。処理部11では、装入口12から装入された混合物Bをバーナー14により加熱して、混合物Bに含まれる炭素質還元剤によってニッケル酸化鉱石を還元する還元反応を生じさせる。ここで、処理部11では、バーナー14による加熱によって、還元反応を生じさせるとともに、その還元反応の進行と共に混合物を熔融状態としていく。すなわち、還元炉10は熔融還元炉である。処理部11の内部では、このような還元反応によって熔融状態のメタルとスラグとが生成し、比重差によってスラグとメタルとがそれぞれ上層と下層とに分離した還元物が得られる。
排出口13からは、比重差により分離した熔融状態のメタルが排出される。排出口13は、還元物における下層を構成するメタル(メタル層)が存在する位置に設けられ、比重差により分離しているメタルを選択的に排出して回収することができる。また、図2においては記載を省略しているが、排出口13よりも上方に、スラグ排出口を設けることができ、比重差により分離して上層を構成するスラグを選択的に排出させることもできる。
バーナーの燃料としては、特に限定されず、固体であっても、液体であっても、または気体(ガス)であってよい。具体的には、例えば、コークス、石炭、微粉炭等の固体燃料や、A重油やC重油等の液体燃料、またはLNGやLPG等のガスを用いることができる。その中でも特に、ガスを燃料とするバーナー(ガスバーナー)は、燃焼が比較的安定しており、温度制御しやすく、また高い温度を実現できるため、好ましい。
また、バーナーを用いた加熱においては、バーナーの空燃比を所定の範囲として混合物に還元処理を施すことが好ましい。これにより、還元炉内の雰囲気ガスの酸素濃度を0.5質量%以下に維持した状態で混合物に還元処理を施すことが可能となり、高品質のフェルニッケルを安定的に製造することが可能となる。具体的には、バーナーの空燃比を、好ましくは0.8以上1.1以下の範囲、より好ましくは0.85以上0.95以下の範囲として還元処理を施す。なお、空燃比とは、燃料に対する空気の質量比率をいう。
バーナーを用いた還元処理においては、得られるメタルとスラグのそれぞれの温度が1300℃以上1700℃以下の範囲となるように加熱することが好ましい。特に、得られるメタルの温度が1400℃以上1600℃以下の範囲であり、スラグの温度が1480℃以上1680℃以下の範囲となるよう加熱することが好ましい。メタルとスラグの温度がこのような範囲となるように加熱することで、還元反応を効果的に進行させて、ニッケル含有量の高い、高品質なメタルを製造することができる。
なお、得られるメタルとスラグの温度の制御は、バーナーにおける燃料加熱量を増減する等して加熱温度を制御して行うことができる。
[回収工程]
回収工程S3は、還元炉内でスラグと分離した熔融状態のメタルを回収する工程である。上述したように、還元工程S2における還元処理では、バーナーを用いた混合物を熔融状態にして還元するため、熔融メタルと熔融スラグとが生成する。メタルはスラグと比較して比重が大きく重いため、それぞれは比重差によって自然に分離し、メタルは還元炉の炉底に溜まる。そのため、還元炉の炉底付近からメタルを抜いて回収することで、メタルのみを選択的に回収することができる。一方、スラグはメタルの上に浮くため、例えば炉壁(スラグ排出口)から抜いて回収することができる。このように、得られたメタルとスラグとは熔融状態にあるため、その比重差によって容易に分離し、メタルを選択的に回収することができる。
あるいは、メタルとスラグとを、還元炉の1カ所の穴から混在した状態で回収してよい。このようにすることで、還元炉の構造を簡単なものとすることができ、作業性を向上させることもできる。1つの穴からメタルとスラグとが混在した状態で抜き出した場合、回収したメタルとスラグとは冷却し、固化して、その後、磁選等で分離することでメタルを回収することができる。なお、メタルとスラグとは熔融状態にあるときに既に分離しているため、基本的には固体の状態でもメタルとスラグとが分離した状態が維持されており、磁選等の方法でも容易にメタルを回収することができる。
このようにしてメタルとスラグを簡単に分離することによって、高い回収率でメタルを回収することができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
≪実施例、比較例≫
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石、鉄鉱石、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:80質量%、平均粒径:約63μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。なお、炭素質還元剤については、ニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100質量%としたときに38質量%の割合となる量で含有させた。
次に、得られた混合物を成形せずにそのまま乾燥設備に装入して乾燥処理を施した。
次に、乾燥後の混合物を、バーナーを有する還元炉(バーナー炉)に装入した。バーナーとしてはガスを燃料とするガスバーナーを用いた。バーナー炉では、装入した混合物をバーナーにより加熱して熔融状態にして還元処理を施した。この還元処理により、バーナー炉では完全に熔融した熔融状態にあるメタルとスラグとが生成し、比重差によってスラグが上層に、メタルが下層にそれぞれ分離した。
(得られたメタルの分析)
以上のようにして得られた各メタル試料について、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有量(ニッケル品位)、及びメタル回収率をそれぞれ分析した。下記表3に、分析結果を示す。
ここで、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S-8100)を用いてメタル中のニッケル含有量を測定し、ニッケルメタル率については下記(1)式により、メタル中ニッケル含有率については下記(2)式により算出した。
ニッケルメタル化率=ペレット中のメタル化したNiの量÷(ペレット中の全てニッケルの量)×100(%) ・・・(1)式
メタル中ニッケル含有率=ペレット中のメタル化したNiの量÷(ペレット中のメタルしたニッケルと鉄の合計量)×100(%) ・・・(2)式
また、回収したメタルについて、還元処理に供したニッケル酸化鉱石中のニッケル含有率とその装入量、そして回収したニッケル量から、ニッケルメタル回収率を下記(3)式により算出した。
ニッケルメタル回収率=回収されたニッケル量÷(装入した鉱石の量×鉱石中のニッケル含有割合)×100 ・・・(3)式
Figure 0007293910000003
表3の結果に示されるように、還元炉内の雰囲気ガスの酸素濃度を0.5質量%以下に維持した状態で、混合物を熔融還元の処理を施した実施例1~5では、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率、及びメタル回収率のすべてにおいて良好な結果が得られた。
10 還元炉
11 処理部(還元炉内)
12 装入口
13 排出口
14 バーナー
X 雰囲気ガス
B 混合物
S スラグ
M メタル

Claims (3)

  1. ニッケル酸化鉱石を還元してフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、
    ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を得る混合工程と、
    前記混合物をバーナー炉である還元炉に装入し、バーナーにより該混合物に還元処理を施して該混合物を熔融することにより、メタルとスラグとを含む熔融状態の還元物を得る還元工程と、
    前記還元工程を経た前記還元物に含まれる熔融状態のメタルを回収する回収工程と
    を有し、
    前記還元工程では、還元炉内の雰囲気ガスの酸素濃度を0.5質量%以下に維持した状態で前記混合物に還元処理を施す
    ニッケル酸化鉱石の製錬方法。
  2. 前記バーナー炉におけるバーナーの空燃比を0.8以上1.1以下の範囲とする
    請求項に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
  3. 前記バーナー炉におけるバーナーは、ガスを燃料とするものである
    請求項1又は2に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
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