JP2023158803A - ニッケル酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents

ニッケル酸化鉱石の製錬方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023158803A
JP2023158803A JP2022068809A JP2022068809A JP2023158803A JP 2023158803 A JP2023158803 A JP 2023158803A JP 2022068809 A JP2022068809 A JP 2022068809A JP 2022068809 A JP2022068809 A JP 2022068809A JP 2023158803 A JP2023158803 A JP 2023158803A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reduction
nickel oxide
oxide ore
mixture
furnace
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022068809A
Other languages
English (en)
Inventor
隆士 井関
Takashi Izeki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2022068809A priority Critical patent/JP2023158803A/ja
Publication of JP2023158803A publication Critical patent/JP2023158803A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Manufacture Of Iron (AREA)

Abstract

【課題】、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造する方法において、製錬コストを抑えながら、高品質なフェロニッケルを、CO2排出量の少ない方法で効果的に製造することができる技術を提供する。【解決手段】本発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、ニッケル酸化鉱石と、炭素質還元剤と、を混合して塊状の混合物とし、その混合物を、熱源として電気を用いた電気加熱式の還元炉に装入し、還元炉内で所定の還元温度に加熱して還元処理を施す、ことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケル酸化鉱石の製錬方法に関する。
リモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用してフェロニッケルを製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用してミックスサルファイドを製造する湿式製錬方法等が知られている。
ニッケル酸化鉱石を製錬する場合、まず、その原料鉱石を塊状物化、スラリー化等するための前処理が行われる。具体的には、ニッケル酸化鉱石を塊状物化、すなわち粉や微粒状から塊状にする際には、そのニッケル酸化鉱石以外の成分、例えばバインダーや還元剤と混合して混合物とし、さらに水分調整等を行った後に、塊状物製造機に装入して10~30mm程度の塊状物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」ともいう)とするのが一般的である。
このようにして形成されるペレットでは、水分を飛ばすため、ある程度の通気性が必要である。また、ペレット内で還元が均一に行われないと組成が不均一になり、メタルが分散し、偏在してしまう。このため、原料を均一に混合して混合物とすることや、ペレットを還元する際に可能な限り均一な温度で処理することが重要となる。
加えて、還元して生成するメタル(フェロニッケル)を粗大化させることも非常に重要な技術である。なぜならば、生成したフェロニッケルが、例えば数10μm以下の大きさである場合、スラグと分離することが困難となり、フェロニッケルの収率が大きく低下してしまうからである。そのため、還元により生成するフェロニッケルを粗大化することによって、スラグとの分離性を高めて収率を向上させることが重要となる。
また、近年、ニッケル品位が高い鉱石や、メタル化したときに不純物が混入し難い鉱石が少なくなりつつあり、高品質のフェロニッケルを製造するためには、さらなる高い製錬技術が必要とされる。さらに、金属価格は乱高下することがしばしばあり、価格が下落した際でも採算が取れるような体制にしておかなくてはならず、製錬コストを如何に低く抑えられるかが重要な課題となっている。
以上述べたように、ニッケル酸化鉱石からニッケルを製錬する技術においては、多くの技術課題が残されている。一方で、近年では、環境負荷低減への要望が非常に高まっており、製錬分野においては特に、温室効果ガスの削減、具体的にはCO削減への要望が非常に強くなっている。CO低減対策に関しては、各分野で様々な研究、開発が進められているが。一例として、CO排出量が多い鉄鋼製錬では、文献1「2050年における世界の鉄鋼部門からのCO排出量削減ポテンシャルの推計」のような論文が出されており、CO排出量は2005年比で6%~12%増加すると推計されている。
ニッケル乾式製錬においてもCOの排出量は多く、その一因として、還元工程での処理において、ロータリーキルンを用いるクルップレン法、予備還元にロータリーキルンを用いるエルケム法等の方法で、キルンの燃料として石炭を用いている点が挙げられる。
さらに、これら化石燃料やLNG等のガスでは、燃料自身に若干の水分が含まれているため、燃焼に伴って水蒸気が発生し、その発生した水蒸気が熱分解されて、還元工程での処理において還元物を再酸化させ、還元効率を著しく低下させることも知られている。
このように、ニッケル酸化鉱石を混合し、還元して、フェロニッケル等のメタルを製造する技術には、生成するメタルの高品質化のみならず、生産性の向上や製錬コストの抑制、そしてCO排出量の削減等、多くの重要な課題がある。
土木学会論文集G(環境),Vol.70,No.6(環境システム研究論文 第42巻),II_239-II_247,2014
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造する方法において、製錬コストを抑えながら、高品質なフェロニッケルを、CO排出量の少ない方法で効果的に製造することができる技術を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を還元する際のエネルギーに電気を利用することによって、還元時に起こり得るその混合物の部分的な酸化を抑制することが可能となり、その結果、ニッケルメタル化率やニッケル含有率の高いフェロニッケルを製造でき、かつCO排出量を大幅に削減できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、前記ニッケル酸化鉱石と、炭素質還元剤と、を混合して塊状の混合物とし、前記混合物を、熱源として電気を用いた電気加熱式の還元炉に装入し、該還元炉内で所定の還元温度に加熱して還元処理を施す、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、還元温度を1200℃以上1500℃以下として還元処理を施す、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記還元炉は、回転炉床炉である、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
本発明によれば、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造する方法において、製錬コストを抑えながら、高品質なフェロニッケルを、CO排出量の少ない方法で効果的に製造することができる技術を提供することができる。
ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪ニッケル酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤等と混合し、その混合物に対して製錬炉(還元炉)内で還元処理を施すことによって、メタルとスラグとを生成させるものである。この製錬方法においては、少なくともニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して塊状の混合物とする。
そして、本実施の形態に係る製錬方法では、混合物を還元処理するにあたり、熱源として電気を用いた電気加熱式の還元炉を使用することを特徴としている。このように、電気加熱式還元炉内で還元処理を施すことによって、酸素による酸化の影響を効果的に低減でき、高い品質のフェルニッケルを製造することができる。また、還元炉の加熱用燃料として石炭、コークス、LNG、LPG等の化石燃料を用いた場合と比較して、電力であれば、原理的に火力発電以外にも水力発電や、太陽光や風力等の再生可能エネルギーによっても得ることができるため、トータルとしてのCO排出量を削減することができる。
以下では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれるニッケル(酸化ニッケル)と鉄(酸化鉄)を還元することで、鉄-ニッケル合金(フェロニッケル)のメタルを生成させ、さらにそのメタルを分離することによってフェロニッケルを製造する製錬方法を例に挙げてより具体的に説明する。
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、図1に示すように、ニッケル酸化鉱石を含む原料を混合する混合処理工程S1と、得られた混合物を所定の形状に成形する混合物成形工程S2と、成形された混合物を還元炉に装入し所定の還元温度で還元処理する還元工程S3と、を有する。また、還元処理により生成し、かつ成長したメタルとスラグとを分離してメタル(フェロニッケルメタル)を回収する分離工程S4を有する。
[混合処理工程]
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的には、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と共に、炭素質還元剤を添加して混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.1mm~0.8mm程度の粉末を混合して混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
また、混合処理では、混合性を高めるために混練を行ってよい。例えば、二軸混練機等を用いて混合物を混練することで、混合物にせん断力を加え、炭素還元剤や原料粉末等の凝集を解いてより均一に混合できるとともに、各々の粒子の密着性を高めて、還元工程S3にて均一な還元処理を行い易くすることができる。
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されないが、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、ニッケル酸化鉱石は、構成成分として、酸化ニッケル(NiO)と、酸化鉄(Fe)と、を含有する。
本実施の形態においては、ニッケル酸化鉱石に対して、特定量の炭素質還元剤を混合して混合物とする。炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、炭素質還元剤は、上述した原料鉱石であるニッケル酸化鉱石の粒度と同等のものであることが好ましい。ニッケル酸化鉱石の粒度や粒度分布と同等の炭素質還元剤を用いて混合することで、均一に混合し易く、よって還元反応も均一に生じさせることができ好ましい。
炭素質還元剤の混合量としては、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量を100質量%としたとき、50.0質量%以下の割合とすることが好ましく、40.0質量%以下の割合とすることがより好ましい。なお、酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量とは、酸化ニッケルの全量をニッケルメタルに還元するのに必要な化学当量と、酸化鉄を鉄メタルに還元するのに必要な化学当量との合計値(以下、「化学当量の合計値」ともいう)と言い換えることができる。
このように、炭素質還元剤の混合量を、化学当量の合計値を100質量%としたときに50.0%質量以下の割合とすることで、還元反応を効率的に進行させることができる。
なお、炭素質還元剤の混合量の下限値としては、特に限定されないが、化学当量の合計値100質量%に対して、10.0質量%以上の割合とすることが好ましく、15.0質量%以上の割合とすることがより好ましい。
また、上述したように、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤のほか、任意成分として鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の添加剤を添加して混合することができる。
鉄鉱石としては、例えば、鉄品位が50質量%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト(Fe)等を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。
下記表1に、混合処理工程S1にて混合する、一部の原料粉末の組成(質量%)の一例を示す。なお、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
Figure 2023158803000002
[混合物成形工程]
混合物成形工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を成形する工程である。すなわち、原料粉末を混合して得られた混合物を、ある程度の大きさの塊状物(以下、「ペレット」ともいう)にする。なお、混合物は、成形して得られた塊状物の形態で、次工程の還元工程S3における還元処理に供され、還元炉内に装入される。
混合物を塊状化して得られるペレットの形状としては、直方体状、円柱状、球状等の種々の形状とすることができ、特に限定されない。その中でも、混合物を成形し易い形状とすることで、成形にかかるコストを抑えることができる。また、形状を単純化することで、不良品が出ることが殆どなくなり、成形における収率を高めることができる。
成形(塊状化)した混合物の体積(ペレットの体積)としては、特に限定されないが、8000mm以上であってよい。ペレットの体積が小さすぎると、成形コストが高くなり、また、還元炉に装入するのに手間がかかる可能性がある。さらに、ペレットの体積が小さいと、ペレット全体に占める表面積の割合が高くなるため、還元処理を行ったときに表面と内部とで還元の差の現れやすくなって、高い品質のフェロニッケルが得られないこともある。その点、ペレットの体積が8000mm以上となるように成形することで、成形コストを抑えることができ、また取扱いが容易となるだけでなく、高い品質のフェルニッケルを製造することが可能になる。
また、所定の形状に成形した後、その成形した混合物(塊状物)に対して乾燥処理を施してペレットとしてもよい。還元する前に乾燥処理を行っておくことで、還元処理においてペレットが急減に加熱され破裂するといった不具合を抑えることができる。乾燥処理において、その乾燥温度としては、150℃~400℃程度とすることが好ましい。このような温度範囲で乾燥することで、混合物内での還元反応が進むこと無く、効果的に乾燥することが可能となる。
下記表2に、乾燥処理後の混合物(ペレット)における固形分中組成(質量%)の一例を示す。なお、混合物の組成としてはこれに限定されるものではない。
Figure 2023158803000003
[還元工程]
還元工程S3では、混合物成形工程S2で得られた混合物(ペレット)を還元炉内に装入し、所定の還元温度に加熱して還元処理を施す。このような還元処理によって、製錬反応(還元反応)が進行し、メタル(フェロニッケルメタル)と、スラグと、が生成する。
還元処理においては、ニッケル酸化鉱石を含むペレットを還元炉の炉床上に載置し、そのペレットに対して、例えば1200℃以上1500℃以下の還元温度、より好ましくは1250℃以上1400℃以下の還元温度に加熱する。
このような還元処理によって、例えば1分程度のわずかな時間で、先ず還元反応の進みやすいペレット表面近傍においてペレットに含まれる酸化ニッケル及び酸化鉄が還元されメタル化して鉄-ニッケル合金となり、シェル(以下、「殻」ともいう)を形成する。一方で、殻の中では、その殻の形成に伴ってペレット中のスラグ成分が徐々に溶融して液相のスラグが生成する。これにより、1個のペレットの中で、フェロニッケルメタル(以下、単に「メタル」ともいう)と、酸化物からなるスラグ(以下、単に「スラグ」という)とが分かれて生成する。そして、加熱による還元処理の処理時間が10分程度を経過すると、還元反応に関与しない余剰の炭素質還元剤の炭素成分が、鉄-ニッケル合金に取り込まれて融点を低下させる。その結果、鉄-ニッケル合金は溶解して液相となる。
ここで、本実施の形態に係る製錬方法では、還元炉として、熱源に電気を用いた電気加熱式の還元炉を使用して還元処理を行うことを特徴としている。
従来、主として、加熱用燃料として石炭やコークス、LNG、LPG等の化石燃料を用いたバーナー炉(バーナー加熱式の還元炉)を使用して還元処理が行われていた。ところが、石炭のような固体はもちろん、重油等の液体を燃料として用いた場合、燃焼を100%行うことは難しく、空気(酸素)を過剰に入れて燃焼加熱することが必要になる。さらに、LNGのようなガスでは、水素を含むため、燃焼時に多量の水が発生する。そのため、これらの化石燃料を熱源として用いた還元処理では、不可避的に多量の酸素や水が炉内に存在するようになり、還元反応が進まないことや、還元できたとしても生成したメタルが部分的に酸化(再酸化)してしまう等の問題が生じ、その結果、高品質なフェロニッケルが得られないことがある。
そこで、本実施の形態に係る製錬方法では、熱源に電気を用いた電気加熱式還元炉を使用して還元処理を行うようにしており、このように電気を熱源として用いた還元炉内での還元処理によって、炉内への酸素の混入や水の発生を無くことができ、不可避的に酸化してしまう混合物の酸化を極力抑えることができる。これにより、メタル化率やメタル中ニッケル含有量を向上させて、高い品質のフェロニッケルを製造することが可能となる。
具体的に、電気加熱式還元炉では、その炉内に不活性ガスを流しながら炉内をプラス圧(1気圧以上)に保った状態で、電気エネルギーにより所定の温度に加熱して還元処理を行う。このような電気加熱式還元炉では、実質的に炉内に酸素が存在しない状態を維持でき、また水も発生しない状態を実現することができる。そして、このような炉内雰囲気であることで、混合物に対して均一に還元処理が進行していき、生成したメタルが再酸化する恐れがなく、よって高い品質のフェロニッケルが得られる。
また、このように電気による加熱であることから、加熱時には二酸化炭素(CO)が発生することもない。したがって、加熱用燃料に石炭や重油、LNG等を用いた場合と比較して、特に製錬所でのCO排出量を有効に削減することができる。さらに、バーナーによる加熱方式と比較して、排ガス量が非常に少なくなるため、排ガスと共に持ち去られる熱エネルギーが極めて少なくなる。具体的に、電気を使用した場合では、石炭やLNG(液化天然ガス)等のバーナーを用いた場合と比較して、数10~50%程度のエネルギー消費を抑えることができ、極めて効率的な製錬操業を行うことが可能となる。
加えて、排ガス量が少ないことから、ダストの発生を大きく抑えることができる。そのため、排ガス処理やダスト回収にかかる費用や設備費を有効に低減できる。
さらに、電気による加熱では、温度を容易にかつ精度よく制御できるという利点がある。このことから、還元炉としてはより具体的に、一連の加熱や冷却処理を連続して行う移動炉床炉(電気加熱式の移動炉床炉)を用いることが特に適している。
移動炉床炉としては、特に限定されず、例えば、円形状であって複数の処理領域に区分けされた回転炉床炉を用いることができる。回転炉床炉では、所定の方向に回転しながら、各領域においてそれぞれの処理を行う。回転炉床炉では、各領域を通過する際の時間(移動時間、回転時間)を制御することで、それぞれの領域での処理温度、処理時間を調整することができ、回転炉床炉が1回転する毎に混合物が製錬処理される。また、移動炉床炉としては、ローラーハースキルン等であってもよい。
[分離工程]
分離工程S4では、還元工程S3にて生成した還元物からスラグを分離して、メタル(フェロニッケル)を回収する。具体的には、ペレットに対する還元処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混在物(還元物)から、メタル相を回収する。
固体として得られたメタル相とスラグ相との混在物からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。
また、得られたメタル相とスラグ相は、濡れ性が悪いことから容易に分離することができ、上述した還元工程S3における処理で得られた大きな混在物に対して、例えば、所定の落差を設けて落下させる、あるいは篩い分けの際に所定の振動を与える等の衝撃を与えることで、その混在物からメタル相とスラグ相とを容易に分離することができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[混合処理工程]
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:75重量%、平均粒径:約65μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、ニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量100質量%に対して33質量%の割合となる量で含有させた。
[混合物成形工程]
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒してペレットとし、φ16.0±0.5mmの大きさに篩った。その後、篩ったペレット試料を12に分け、各試料を次の還元工程に供した。
[還元工程]
各試料を還元炉(回転炉床炉)に装入して、下記表3に示す条件で還元処理を施した。還元炉内には、その炉床に灰(主成分はSiO、その他の成分としてAl、MgO等の酸化物を少量含有する)を敷き、その上にペレットを載置するようにした。
より具体的に、実施例1~6では、熱源として電気を用いた電気加熱式の回転炉床炉を用いて還元処理を行った。このとき、炉内に酸素が入り込まないように窒素ガスを流し、炉内がプラス圧になりようにした。
一方、比較例1~3では、微粉炭バーナーを用いて加熱する回転炉床炉を用い、比較例4~6では、LNGバーナーを用いて加熱する回転炉床炉を用いて還元処理を行った。このとき、炉内はプラス圧になるように排気量を調整した。
このようにして還元処理を行って得られた還元物について、ニッケル(Ni)メタル率、メタル中ニッケル(Ni)含有率を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S-8100)により分析して算出した。下記表3に、分析結果から算出した値を示す。
なお、ニッケルメタル率は[1]式、メタル中ニッケル含有率は[2]式で算出した。
Niメタル率=ペレット中のメタル化したNiの量÷(ペレット中の全てNiの量)×100(%) ・・・[1]式
メタル中Ni含有率=ペレット中のメタル化したNiの量÷(ペレット中のメタルしたNiとFeの合計量)×100(%) ・・・[2]式
また、得られた還元物については、湿式処理よる粉砕を行った後、磁力選別によってメタルを回収した。そして、投入したニッケル酸化鉱石のニッケル含有率と投入量、そして回収したニッケル量からニッケル(Ni)メタル回収率を算出した。なお、ニッケルメタルの回収率は[3]式のとおりである。
Niメタル回収率=回収されたNiの量÷(投入した鉱石の量×鉱石中のNi含有割合)×100 ・・・・・[3]式
Figure 2023158803000004
表3に示されるように、電気加熱式還元炉を使用して還元処理を行った実施例1~6では、良好な結果が得られた。すなわち、ニッケルメタル化率は96%以上であり、メタル中ニッケル含有量は17%以上であり、またメタル回収率は95%以上であった。一方で、バーナーを用いて加熱する還元炉を使用して還元処理を行った比較例1~6では、実施例と比較して悪い結果となった。
このような結果となった理由として、実施例1~6では、電気加熱式還元炉を使用した還元処理を行ったことから、実質的に酸素や水がない雰囲気で処理することができ、これにより、還元反応が均一に生じ、かつ生成されたメタルの再酸化が起きなかったためと考えられる。また、実施例1~6では、電気加熱式還元炉であることから、炉周辺でのCOの排出はなく、微粉炭やLNGによるバーナー加熱と比較して大幅にCO排出量を削減することができた。

Claims (3)

  1. 原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、
    前記ニッケル酸化鉱石と、炭素質還元剤と、を混合して塊状の混合物とし、
    前記混合物を、熱源として電気を用いた電気加熱式の還元炉に装入し、該還元炉内で所定の還元温度に加熱して還元処理を施す、
    ニッケル酸化鉱石の製錬方法。
  2. 還元温度を1200℃以上1500℃以下として還元処理を施す、
    請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
  3. 前記還元炉は、回転炉床炉である、
    請求項1又は2に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
JP2022068809A 2022-04-19 2022-04-19 ニッケル酸化鉱石の製錬方法 Pending JP2023158803A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022068809A JP2023158803A (ja) 2022-04-19 2022-04-19 ニッケル酸化鉱石の製錬方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022068809A JP2023158803A (ja) 2022-04-19 2022-04-19 ニッケル酸化鉱石の製錬方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023158803A true JP2023158803A (ja) 2023-10-31

Family

ID=88513737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022068809A Pending JP2023158803A (ja) 2022-04-19 2022-04-19 ニッケル酸化鉱石の製錬方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023158803A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7147409B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP7211031B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
CN113293296B (zh) 一种氧化镍矿熔融还原硫化生产低冰镍的方法
JP7119856B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP7211178B2 (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP7215092B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP7552323B2 (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP2023158803A (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP7415369B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP7292581B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP7459660B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP7293910B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP2024010512A (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP2024010514A (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP7338309B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP2024010510A (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP2024010513A (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP2024010511A (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP7285423B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP7533120B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP7552324B2 (ja) ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP7552289B2 (ja) 酸化鉱石の製錬方法
WO2024018692A1 (ja) 含ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP2021167460A (ja) 酸化鉱石の製錬方法
JP2000119722A (ja) 還元鉄ペレットの製造方法