JP2021102797A - 酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化鉱石を還元して還元物を得る酸化鉱石の製錬方法において、メタルを十分に粗大化させて、メタル回収率を向上させる酸化鉱石の製錬方法を提供する。【解決手段】酸化鉱石を還元してメタルとスラグとを含む還元物を得る酸化鉱石の製錬方法であって、酸化鉱石と炭素質還元剤と酸化アルミニウムとを混合して混合物を得る混合工程と、得られた混合物に還元処理を施し還元物を得る還元工程と、を有し、混合工程では、酸化アルミニウムの質量に対する酸化鉱石に含まれる二酸化ケイ素の質量の比が2.0以上であって、混合物に含まれる、酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの合計100質量%に対して該二酸化ケイ素の含有率が40質量%以下となるように、前記酸化アルミニウムを混合して混合物を得る酸化鉱石の製錬方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化鉱石を還元してメタルとスラグとを含む還元物を得る酸化鉱石の製錬方法に関する。
リモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用してフェロニッケルを製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用して加圧浸出し、得た浸出液に硫化剤を添加してミックスサルファイド(混合硫化物)を製造する湿式製錬方法等が知られている。
ニッケル酸化鉱石を製錬する場合、まずその原料鉱石を塊状物化、スラリー化等するための前処理が行われる。具体的に、ニッケル酸化鉱石を塊状物化、すなわち粉や微粒状から塊状にする際には、そのニッケル酸化鉱石以外の成分、例えばバインダーや還元剤と混合し混合物として、さらに水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば10〜30mm程度の塊状物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」という)とするのが一般的である。
このペレットは、例えば、水分を除去する(飛ばす)ためにある程度の通気性が必要である。さらにペレット内で還元が均一に行われないと組成が不均一になりメタルが分散、偏在してしまう。このため混合物を均一に混合し、混合物の還元時に、可能な限り均一な温度とすることが重要である。
加えて、還元されたて生成したフェロニッケルを粗大化させることも重要となる。なぜならば、生成したフェロニッケルが、例えば10μm以下の小さなサイズであった場合、メタルとスラグとを分離することが困難となり、フェロニッケルの回収率(収率)が大きく低下してしまう。このため還元後に生成するフェロニッケルができるだけ粗大なことが望まれる。
具体的は、特許文献1に示すような酸化鉱石の製錬方法が知られている。特許文献1の製錬方法は、酸化鉱石と炭素質還元剤を含んだ混合物から形成されるペレットを積層してペレット積層体を形成することを特徴としている。特許文献1によれば、この酸化鉱石の製錬方法は、ハンドリング性の低下を抑えながらも、1度の還元工程で処理できる混合物の量が増加し、且つより高品質のメタルを得ることができる。
特開2018−150567号公報
さて、この酸化鉱石の製錬方法を工業的に用いた場合、メタルとスラグとを含む還元物を得る還元工程においてメタルの粗大化が不十分となることがある。
メタルの粗大化が不十分であると、メタルとスラグとを分離するために得られた還元物を粉砕する粉砕工程を備える必要がある。そのような工程を増やした場合、工程数を増やしたことで製造コストが上がるばかりでなく、粉砕工程を経た後にメタルを回収する際にはその粉砕メタルの一部が紛失して、メタル回収率が低下することがある。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を還元してメタルとスラグとを含む還元物を得る酸化鉱石の製錬方法において、還元により生成するメタルを粗大化させることができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、所定量の酸化アルミニウムを混合して得られた混合物に還元処理を施すことによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1は、酸化鉱石を還元してメタルとスラグとを含む還元物を得る酸化鉱石の製錬方法であって、前記酸化鉱石と炭素質還元剤と酸化アルミニウムとを混合して混合物を得る混合工程と、得られた混合物に還元処理を施し還元物を得る還元工程と、を有し、前記混合工程では、前記酸化アルミニウムの質量に対する前記酸化鉱石に含まれる二酸化ケイ素の質量の比が2.0以上であって、前記混合物に含まれる、酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの合計100質量%に対して該二酸化ケイ素の含有率が40質量%以下となるように、前記酸化アルミニウムを混合して混合物を得る
酸化鉱石の製錬方法である。
(2)本発明の第2は、第1の発明において、混前記還元工程では、前記混合物を移動炉床炉の炉床に載置して、還元処理を施す酸化鉱石の製錬方法である。
(3)本発明の第3は、第1又は第2の発明において、前記酸化鉱石はニッケル酸化鉱石であり、前記ニッケル酸化鉱石を含む混合物に還元処理を施してフェロニッケルメタルを含む還元物を得る酸化鉱石の製錬方法である。
本発明によれば、還元により得られるメタルを十分に粗大化させることができ、これによりメタルを効果的に回収することができる。
酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係る酸化鉱石の製錬方法は、酸化鉱石と炭素質還元剤と酸化アルミニウムと混合する混合工程を経て得られる混合物に還元処理を施すことによって、メタルとスラグとを含む還元物を得るものである。そして、この混合工程では、酸化アルミニウムの質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が2.0以上であって、混合物に含まれる、酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムと(FeO−SiO−Al)の合計100質量%に対して、二酸化ケイ素の含有率が40質量%以下となるように混合物を得ることを特徴とする。
このように所定量の酸化アルミニウムを混合した混合物に還元処理を施すことによって、混合物中のスラグの融点が低下して、得られるメタルを十分に粗大化されることが可能となり、これにより、メタル回収率を向上させることができる。さらに、酸化アルミニウムによって混合物中のスラグの融点が低下するため、酸化鉄(II)や酸化ニッケルと炭素質還元剤との接触頻度が高くなり、これにより混合物中の還元反応が均一となり、高品質のメタルを得ることができる。
以下では、ニッケル酸化鉱石を還元してフェロニッケルメタルを含む還元物を得るニッケル酸化鉱石の製錬方法を例に挙げて説明する。
≪ニッケル酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係る酸化鉱石の製錬方法は、図1に示すように、酸化鉱石と炭素質還元剤と酸化アルミニウムとを混合して混合物を得る混合工程S1と、得られた混合物に還元処理を施して還元物を得る還元工程S2と、還元工程S2にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する回収工程S3と、を有する。
<1.混合工程>
混合工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末と炭素質還元剤と酸化アルミニウムとを混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.2〜0.8mm程度の粉末を混合して混合物を得る。ここで、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末の混合は、混合機等を用いて行うことができる。
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されないが、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、このニッケル酸化鉱石は、構成成分として、少なくとも、酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(III)(Fe)と二酸化ケイ素(SiO)とを含有する。
炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、この炭素質還元剤は、上述した原料鉱石であるニッケル酸化鉱石の粒度や粒度分布と同等のものであることが好ましい。粒度や粒度分布が同等であることにより、均一に混合し易くなり、還元反応も均一に生じることになるため好ましい。
炭素質還元剤の量としては、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量を100%としたとき、50.0%以下の割合とすることが好ましく、40.0%以下とすることがより好ましい。なお、酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量とは、混合物内に含まれる酸化ニッケルの全量をニッケルメタルに還元するのに必要な化学当量と、混合物内に含まれる酸化鉄を鉄メタルに還元するのに必要な化学当量との合計値(以下、「化学当量の合計値」ともいう)と言い換えることができる。
このように、混合物に含まれる炭素質還元剤の量(炭素質還元剤の混合量)を、化学当量の合計値を100%としたときに50.0%以下の割合とすることで、還元反応を効率的に進行させることができる。
なお、炭素質還元剤の混合量の下限値としては、特に限定されないが、化学当量の合計値を100%としたときに、10.0%以上の割合とすることが好ましく、15.0%以上の割合とすることがより好ましい。このように、炭素質還元剤の混合量を10.0%以上にすることで、ニッケル品位の高い鉄−ニッケル合金を製造し易くすることができる。
本実施の形態においては、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤と共に所定割合で酸化アルミニウムを混合して混合物を得る。このように、酸化アルミニウムを所定割合で混合して混合物とすることで、還元工程S2における還元反応の過程で生成するスラグの融点を低下させ、生成するメタルが熔融したスラグ中を移動するようにさせることで、メタルが凝集して粗大化させることが可能となる。
酸化アルミニウムの混合割合は、ニッケル酸化鉱石に含まれる二酸化ケイ素の質量に応じた範囲とすることを特徴としている。具体的には、酸化アルミニウムの質量に対する二酸化ケイ素の質量の比(SiO/Al)が2.0以上であって、得られる混合物に含まれる、酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムと(FeO−SiO−Al)の合計100質量%に対して、二酸化ケイ素の含有率が40質量%以下となるように、酸化アルミニウムの混合割合を制御する。これにより、後述する還元工程S2において、還元物中のメタルをより効果的に粗大化させることが可能となる。なお、二酸化ケイ素の質量は、酸化鉱石の成分を定量分析することで求めることができる。
混合物に含まれる、酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムと(FeO−SiO−Al)の合計100質量%に対して、二酸化ケイ素の含有量が10質量%以下となるように酸化アルミニウムの混合割合を制御することが好ましい。
ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤のほか、任意成分として添加する添加剤である鉄鉱石としては、特に限定されないが、例えば、鉄品位が50%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。
また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。
原料粉末を混合して混合物を得る際、混合性を高めるために原料粉末を混練してもよい。これにより、混合物にせん断力が加えられ、炭素還元剤や原料粉末等の凝集が解けてより均一に混合できるとともに、各々の粒子の密着性が上がるため、均一な還元処理を行い易くすることができる。
また、混合物を所定形状の成形物(ペレット)に成形してもよい。成形物の形状としては、例えば、球状、直方体状、立方体状、円柱状等とすることができる。このような形状は、簡易な形状であって複雑なものではないため、成形コストを抑制しつつ不良品の発生を抑制することができ、得られる成形物の品質も均一となり、歩留り低下を抑制することができる。
また、得られた混合物(成形物)を乾燥処理してもよい。混合物中の水分により、還元時に急激な昇温によって水分が一気に気化、膨張して混合物が粉々になってしまう場合がある。例えば混合物の固形分が70質量%程度で、水分が30質量%程度となるように乾燥処理を施す。
具体的に、混合物に対する乾燥処理としては、特に限定されないが、例えば150〜400℃の熱風を混合物又は成形物に対して吹き付けて乾燥させる。
特に体積の大きな混合物を乾燥させる場合、乾燥前や乾燥後の塊状物にひびや割れが入っていてもよい。塊状物の体積が大きい場合には、還元時に塊状物が熔融して収縮するため、ひびや割れが生じることが多い。しかしながら、塊状物の体積が大きい場合には、ひびや割れによって生じる表面積の増加等の影響は僅かであるため、大きな問題は生じ難い。そのため、還元前の塊状物にひびや割れがあってもよい。
なお、還元炉での混合物の形成等の取り扱い時や還元加熱処理時に、混合物に破壊が生じない態様となっていれば、乾燥処理を省略してもよい。
<2.還元工程>
還元工程S2では、得られた混合物に還元処理を施し還元物を得る。還元工程S2における加熱還元処理により、製錬反応(還元反応)が進行して、フェロニッケルメタル(以下、単に「メタル」という)と、フェロニッケルスラグ(以下、単に「スラグ」という)とが分かれて生成する。
還元工程S2における還元処理は、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を、所定の還元温度に加熱した還元炉に装入することによって行われる。還元処理においては、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルは可能な限り完全にかつ優先的に還元し、一方で、ニッケル酸化鉱石に含まれる酸化鉄は一部だけ還元して、目的とする高いニッケル品位のフェロニッケルが得られる、いわゆる部分還元処理を施してもよい。
このような部分還元処理を施す場合には、先ず還元反応の進みやすい混合物の表面近傍において混合物中のニッケル酸化鉱石及び鉄酸化物が還元されメタル化してフェロニッケルとなり、殻(シェル)を形成する。一方で、殻の中では、その殻の形成に伴ってスラグ成分が徐々に熔融して液相のスラグが生成する。これにより、混合物中では、メタルと、スラグとが分かれて生成する。
ここで、本実施の形態では、混合工程S1において、酸化鉱石と炭素質還元剤と酸化アルミニウムとを混合している。これにより、その混合物に対する還元反応の過程で生成するスラグの融点が低下して熔融部分を生成させ、生成するメタルがスラグの熔融部分の中を移動することでメタルが凝集し、その結果としてメタルの粒径が粗大化する。そしてこのように、還元物中のメタルが粗大化することで、メタル回収率を向上させることができる。
また、酸化アルミニウムによって混合物中のスラグの融点が低下するようになるため、酸化鉄(II)や酸化ニッケルと炭素質還元剤との接触頻度が高くなり、これにより混合物中の還元反応が均一となって、高品質のメタルを得ることができる。
なお、混合工程S1において、酸化鉱石と炭素質還元剤と酸化アルミニウムとを混合していることで、得られる還元物が完全に熔融せず球状を有したままの固体状となるため、還元物が炉床への溶着が少なく還元物の回収がし易くなる。
還元炉としては、特に限定されないが、単一の炉を用いても、移動炉床炉等の炉床が回転移動等して工程ごとに連続的に処理可能となる炉を用いてもよい。部分還元処理を施す場合には、連続的に還元反応を進行させ、一つの設備で反応を完結させることができる移動炉床炉を用いることが好ましい。
各処理間でのヒートロスを低減して、より効率的な操業が可能となる。つまり、別々の炉を使用した反応を行った場合、混合物を、炉と炉との間を移動させる際に、温度が低下してヒートロスが生じ、また反応雰囲気に変化を生じさせてしまい、炉に再装入したときに即座に反応を生じさせることができない。これに対して、移動炉床炉を使用して一つの設備で各処理を行うことで、ヒートロスが低減されるとともに炉内雰囲気も的確に制御できるため、反応をより効果的に進行させることができる。これらのことにより、より効果的に、ニッケル品位が高い鉄−ニッケル合金を得ることができる。
移動炉床炉としては、特に限定されず、例えば、円形状であって複数の処理領域に区分けされた回転炉床炉を用いることができる。回転炉床炉では、所定の方向に回転しながら、各領域においてそれぞれの処理を行う。この回転炉床炉では、各領域を通過する際の時間(移動時間、回転時間)を制御することで、それぞれの領域での処理温度を調整することができ、回転炉床炉が1回転する毎に混合物が製錬処理される。また、移動炉床炉としては、ローラーハースキルン等であってもよい。
また、予めその還元炉の炉床に炭素質還元剤(以下、「炉床炭素質還元剤」ともいう)を敷き詰めて、その敷き詰められた炉床炭素質還元剤の上に混合物を載置してもよい。また、炉床炭素質還元剤上に載置した混合物を、さらにその炭素質還元剤を用いて覆い隠す状態としてもよい。このように混合物を炭素質還元剤と接触した状態で還元処理を施すことにより、還元反応を効果的に進行させることができる。
<3.回収工程>
回収工程S3は、還元工程S2にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する。部分還元処理を施した場合には、混合物に対する還元加熱処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混在物(還元物)からメタル相を分離して回収する。
ここで、本実施の形態では、混合工程S1において、酸化鉱石と炭素質還元剤と所定量の酸化アルミニウムを混合することにより、得られる還元物中のメタルが粗大化されている。
混在物(還元物)からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、磁力や比重による分離等の方法を利用することができる。しかしながら、還元物中のメタルが粗大されていないときには、メタルとスラグとを分離するために得られた還元物を細かく粉砕する必要があるため、還元物を粉砕する粉砕工程が必要となる。さらに粉砕工程を経た後にメタルを回収する際にはその粉砕メタルの一部が紛失して、メタル回収率が低下する。
本実施の形態のように還元物中のメタルが粗大化されていれば、還元物を粉砕する粉砕工程を備える必要がないため工程数を減らすことで製造コスト自体を減らすことができる。さらに、粗大化されたメタルであれば磁力や比重によって容易に回収することができ、そのうえ、粉砕メタルの一部を紛失することもないためメタル回収率も高い。なお、比重によって分離する場合には、製造コストを抑制する観点から乾式方法によって分離してメタルを回収することが好ましい。
このようにしてメタル相とスラグ相とを分離することによって、メタル相を回収する。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例、比較例>
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(炭素含有量が85重量%であり、平均粒径が約80μmの石炭粉)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して試料を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100%としたときに28%の割合となる量で含有させた。
さらに、下記表1になるように、酸化アルミニウムの質量に対する二酸化ケイ素の質量の比(表1中「SiO/Al」と表記。)及び酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムと(FeO−SiO−Al)の合計100質量%に対して、二酸化ケイ素の含有率(表1中「SiO含有率」と表記。)が40質量%以下となるように酸化アルミニウムを上記試料に添加して混合することで混合物を得た。
混合して得られた混合物についてパン型造粒機を用いて、φ15±0.5mmの大きさの球状の成形物を得た。得られた成形物について、固形分が70質量%程度、水分が30質量%程度となるように、200〜250℃の熱風を吹き付けて乾燥処理を施した。
次に、得られた試料(成形物)に対し、移動炉床炉を有する還元炉に装入して表1に示す条件で還元処理を施した。なお還元時には、事前に還元炉の炉床に灰(主成分はSiO、その他の成分としてAl、MgO等の酸化物を少量含有する)を敷き詰め、その上に試料(成形物)を載置するようにした。
このようにして得られた各試料のニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率をICP発光分光分析器(SHIMAZU製 形式S−8100)により分析して算出した。分析結果から算出した値を表1に示す。なお、Niメタル率は(1)式、メタル中Ni含有率は(2)式により算出した。
Niメタル化率=メタル中のNiの質量÷(還元物中の全てのNiの質量)×100(%) ・・・・・(1)式
メタル中Ni含有率=メタル中のNiの質量÷(還元物中の全てのNiの質量)×100(%) ・・・・・(2)式
回収した各試料は、湿式処理よる粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。各試料のメタル中Ni含有率(%)、Niメタル化率及びメタル平均粒径を表1に示す。
なお、実施例1〜5の試料については、下記表に示した通り、還元物中のメタルが十分に粗大化できた。そして、得られた還元物を粗粉砕して回収したメタルからニッケルメタル化率及びメタル中ニッケル含有率を求めた。一方、比較例1、2の試料については、還元物中のメタルが十分に粗大化できなかった。このため、メタルとスラグとを分離するために得られた還元物を粗粉砕した後、微粉砕して、粉砕後の還元物から回収したメタルからニッケルメタル化率及びメタル中ニッケル含有率を求めた。
Figure 2021102797
表1の結果に示されるように、混合工程において、酸化アルミニウムの質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が2.0以上であって、混合物に含まれる、酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの合計100質量%に対して、二酸化ケイ素の含有率が40質量%以下となるように、酸化鉱石と炭素質還元剤と酸化アルミニウムとを混合して混合物を得た実施例1〜5では、メタル平均粒径が大きく、メタルを十分に粗大化できていることが分かる。
また、実施例1〜5ではNiメタル化率及びメタル中Ni含有率も向上していた。これは、酸化アルミニウムによって還元反応の過程で生成するスラグの融点が低下したことにより、混合物中の酸化鉄(II)や酸化ニッケルと炭素質還元剤である石炭粉との接触頻度が高くなり、これにより還元反応が均一となり、十分に効率的に還元反応が進行したためであると考えられる。
一方、酸化アルミニウムの質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が2.0未満である比較例1や、酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの合計100質量%に対して、二酸化ケイ素の含有率が40質量%超である比較例2では、メタル平均粒径が小さく、メタルが十分に粗大化できていない。
さらに、これらの比較例1、2ではNiメタル化率及びメタル中Ni含有率が低下していた。これは、酸化アルミニウムを混合しない混合物を用いたことにより、還元反応の過程でスラグの融点が下がらず、混合物中の酸化鉄(II)や酸化ニッケルと炭素質還元剤である石炭粉との接触頻度が高まらなかったため、還元反応が均一にならず、還元反応が十分に進行しなかったことによると考えられる。あるいは、スラグの融点が下がらなかったために酸化鉄(II)や酸化ニッケルが動きづらくなり還元反応が偏在してしてしまい、酸化ニッケルに比較して多量に存在する酸化鉄(II)が多く還元されたことによるとも考えられる。

Claims (3)

  1. 酸化鉱石を還元してメタルとスラグとを含む還元物を得る酸化鉱石の製錬方法であって、
    前記酸化鉱石と炭素質還元剤と酸化アルミニウムとを混合して混合物を得る混合工程と、
    得られた混合物に還元処理を施し還元物を得る還元工程と、
    を有し、
    前記混合工程では、前記酸化アルミニウムの質量に対する前記酸化鉱石に含まれる二酸化ケイ素の質量の比が2.0以上であって、前記混合物に含まれる、酸化鉄(II)と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの合計100質量%に対して該二酸化ケイ素の含有率が40質量%以下となるように、前記酸化アルミニウムを混合して混合物を得る
    酸化鉱石の製錬方法。
  2. 前記還元工程では、前記混合物を移動炉床炉の炉床に載置して、還元処理を施す
    請求項1に記載の酸化鉱石の製錬方法。
  3. 前記酸化鉱石はニッケル酸化鉱石であり、
    前記ニッケル酸化鉱石を含む混合物に還元処理を施してフェロニッケルメタルを含む還元物を得る
    請求項1又は2に記載の酸化鉱石の製錬方法。
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