JP2009091664A - 粒状金属鉄の製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素質還元剤を含む原料を還元溶融して粒状の金属鉄を製造するに際し、特に、Fe純度が高く且つ粒径が大きくて搬送や取扱い性に優れた粒状金属鉄を高歩留りで生産性よく製造することのできる方法を提供すること。
【解決手段】炭素質還元剤と酸化鉄含有物質を含む原料を還元溶融炉内で加熱し、該原料中の酸化鉄を固体還元した後、生成する金属鉄を更に加熱して溶融させると共に、スラグ成分と分離させながら凝集させて粒状金属鉄を製造する方法において、前記炭素質還元剤として固定炭素含有率が73%以上であり、且つ前記原料中の揮発分量を3.9%以下であるものを使用し、該原料の酸化鉄含有物質中に含まれる酸化金属成分に対し、炭素質還元剤の配合量を45%以下に抑える。
【選択図】図4

Description

本発明は、鉄鉱石等の酸化鉄とコークス等の炭素質還元剤を含む原料を還元溶融して粒状の金属鉄を製造するに際し、特に、Fe純度が高く且つ粒径が大きくて搬送や取扱い性に優れた粒状金属鉄を高歩留りで生産性よく製造し得る様に改善された方法に関するものである。
鉄鉱石等の酸化鉄源とコークスや石炭粉等の炭素質還元剤を含む原料を加熱して固体還元し、引き続いて加熱溶融させて金属鉄を製造する方法については、例えば特開平9−256017号公報や同11−335712号公報等に見られる如く既に多くの提案がなされている。これらの公報には、固体還元により生成する還元鉄を加熱し、該還元鉄を浸炭して融点を降下させれば溶融が促進され、金属鉄の生産性向上が図られることも明らかにされている。
しかしながらこれらの公報では、固体還元により生成した金属鉄が溶融する際に、固体還元工程で副生するスラグを分離しながら凝集してFe含量の高い金属鉄が得られる旨の記述は見られるが、該金属鉄を搬送や取扱いの容易な粒度構成の粒状金属鉄として如何に歩留りよく製造可能にするか、といった点については必ずしも十分な検討がなされているとは言えない。また原料の質や配合によっては、固体還元後の溶融工程で金属鉄が副生スラグと十分に分離されないで粒状化がうまく進まず、スラグを抱き込んだものとなったり、或いは極めて微細な粒状物となってその分離作業が困難となり、製品として適正粒径範囲のものが歩留りよく得られないこともある。
また特開平09−310111号公報には、炭材内装ペレットを加熱還元して還元鉄ペレットを製造する際に、炭材中に含まれる揮発分含有量を少なく抑えることにより、加熱還元時における該ペレットの破壊(バースティング)を防止し、得られる還元鉄の品質および生産性を安定化させる技術を開示している。しかしながら該公報に開示された発明は、原料ペレット中の酸化鉄を溶融させることなく加熱還元して還元鉄を製造するもので、金属化率自体は高められるものの、得られる還元鉄は多量のスラグ成分を抱き込んでおり、Fe純度自体はかなり低い。しかもこの発明では、未溶融状態の還元鉄を製造する方法であるから、スラグ成分の排斥された高Fe純度の粒状金属鉄を得る技術とは異なり、勿論、目標粒度構成の粒状金属鉄を歩留り良く製造するといった課題は生じない。
上記の他にも、酸化鉄源と炭素質還元剤を含む原料を加熱還元して還元鉄を製造し、或いは加熱還元後更に溶融させて粒状の金属鉄を製造する方法は多数提案されているが、上記公報に開示の方法を含めてこれまでに知られている粒状金属鉄の製造技術では、製鉄・製鋼用あるいは合金鋼製造用等の原料としての品質や取扱い性などを総合的に考慮して、適正粒径範囲の粒状金属鉄を歩留りよく製造するための具体的な技術として確立されているとは言い難い。
更に、前述した様な金属鉄の製造原料となる炭素質還元剤については、コークスやオイルコークスの如き加工炭材や無煙炭、瀝青炭の如き固定炭素含有率の高い良質炭材を使用することが望まれるが、最近では良質炭の枯渇に伴って褐炭などの如き低品質炭を使用せざるを得ないことも多く、これらの低品位炭を炭素質還元剤として使用した場合には、最終的に得られる粒状金属鉄の品質や歩留りが低くなり、特に適正粒度構成の粒状金属鉄を得ようとすると、予期しない様々な問題が生じてくる。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、炭素質還元剤として良質の炭材を使用した場合はもとより、低品質の炭材を使用した場合でも、Fe純度が高くて且つ適正粒度構成の粒状金属鉄を高歩留りで生産性よく製造することのできる方法を確立することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の製法は、炭素質還元剤と酸化鉄含有物質を含む原料を還元溶融炉内で加熱し、該原料中の酸化鉄を固体還元した後、生成する金属鉄を更に加熱して溶融させると共に、スラグ成分と分離させながら凝集させて粒状金属鉄を製造する方法において、固定炭素含有率の高い炭素質還元剤を使用するところに要旨を有している。
この発明を実施する際に用いられる上記炭素質還元剤としては、固定炭素含有率が73%(質量%を意味する、以下同じ)以上、より好ましくは74.5%以上のもので、前記原料中の揮発分量を3.9%以下、より好ましくは3.2%以下に抑え、更には、該原料の酸化鉄含有物質中に含まれる酸化金属成分に対し、炭素質還元剤の配合量を45%以下、より好ましくは44%以下に抑え、また、上記還元溶融炉内で固体還元により生成した金属鉄が溶融する際の温度を1400℃以上、あるいは1460℃以上に制御すれば、粒径の比較的大きい粒状金属鉄をより高い歩留りで得ることができるので好ましい。
上記の好適固定炭素量範囲の炭素質還元剤としては、それ自体固定炭素量の多い炭材を単独で使用し得る他、比較的固定炭素量の多い高品質の炭材と固定炭素量の少ない低品質の炭材を併用し、それらの配合比率を調整して所定の固定炭素量を確保するようにすれば、低品質の炭材であっても支障なく用いることができるので好ましい。また、還元溶融炉内で固体還元により生成する金属鉄が溶融する前に、原料近傍に粉状炭素質物質を装入すれば、該粉状炭素質物質が固体還元末期における原料近傍の雰囲気を高還元性に維持することができ、生成する金属鉄の再酸化がより確実に防止されると共に、該炭素質物質が金属鉄への浸炭源となって金属鉄の溶融、凝集をより低い温度で効率よく進めることができ、還元溶融炉の熱劣化の抑制、操業のための熱エネルギー低減、更には粒状鉄の生産性向上などに寄与できるので好ましい。
また、本発明で得られる粒状金属鉄の粒径は特に制限されないが、生産時に副生するスラグとの分離効率や、製品としての搬送や取扱いの容易性等を総合的に考慮して好ましいのは粒径で2〜50mm、より好ましくは3〜40mmの範囲である。ここで粒状金属鉄とは、必ずしも真球状であることを意味するものではなく、楕円状、卵形状、あるいはそれらが若干偏平化したものを包含する粒状物を総称するもので、上記好ましい粒径とは、略真球状のものはその直径を、楕円形や卵型のものは長径と短径の平均値を、また若干偏平化したものについては、長径と短径および最大厚さの総和を3で除した値を意味しており、本発明によれば、粒径が3〜40mmの範囲の粒状金属鉄を80%以上、更には90%以上の歩留りで得ることができる。
また炭素質還元剤中の固定炭素とは、JIS M8812で定める定義および測定法による炭素分を意味し、揮発分も同規格に定められたもので、CH4の如き低級炭化水素などの揮発性有機物や、吸着したH2,CO,CO2,水分等、更には酸化鉄含有物質としてダスト類を用いた場合はZn,Pbなどが含まれる。
また、前記還元溶融炉から前記粒状金属鉄と共に炉外へ排出された前記原料中の炭素質還元剤もしくは粉状炭素質物質の一部または全部を、前記原料中の炭素質還元剤として再利用することも、本発明を実施する際の好ましい形態として推奨される。
本発明は以上の様に構成されており、酸化鉄源と炭素質還元剤を含む原料を加熱還元して粒状金属鉄を製造する際に、該原料として固定炭素量や揮発分量の特定された炭材を使用し、あるいは更に、酸化鉄源に対する炭材の配合量を適正に調整することにより、商品としての搬送や取扱いに適した粒度構成の粒状金属鉄を高歩留りで生産性よく製造し得ることになった。
上記の様に本発明では、鉄鉱石や酸化鉄またはその部分還元物などの酸化鉄含有物質(以下、酸化鉄源または鉄鉱石等ということがある)と、コークスや石炭などの炭素質還元剤(以下、炭材ということがある)を含む原料を還元溶融し、生成する金属鉄を更に加熱して溶融させると共に、副生するスラグ成分と分離しながら凝集させて粒状金属鉄を製造する際に、特に原料中の酸化鉄源に対し還元剤として作用する前記炭素質還元剤として固定炭素量の高いものを選択して使用し、更には原料中の揮発分量や、原料中の酸化鉄含有物質中に含まれる酸化金属成分に対する炭素質還元剤の配合量などを適正に調整することにより、還元・溶融時における金属鉄の溶融と凝集を促進し、適正粒度構成の粒状金属鉄が歩留りよく得られる様にしたものである。
ここで使用される原料としては、上記酸化鉄源と炭材を含むものであればその形態には特に制限がなく、それら粉末の均一混合物、あるいはこれらを必要により適当なバインダーを併用してペレット、ブリケットあるいは小塊状に成形したものであってもよいが、本発明で意図する比較的粒径の大きい粒状金属鉄をより高い歩留りで生産性よく得るには、平均粒径に換算して3〜30mm程度のものを使用することが望ましい。
以下、実施例図面を参照しつつ、本発明で採用される基本的な製法をより具体的に説明すると共に、上記各要件を定めた理由を明確にしていく。
図1〜3は本発明が適用される本発明者ら自身が開発した移動床型還元溶融炉の一例を示す該略説明図で、ドーナツ状の回転移動床を有するドーム型構造のものを示しており、図1は概略見取図、図2は図1におけるA−A線断面相当図、図3は、理解の便のため図1における回転移動床の回転移動方向に展開して示す概略断面説明図であり、図中1は回転炉床、2は該回転炉床をカバーする炉体であり、回転炉床1は、図示しない駆動装置により適当な速度で回転駆動できる様に構成されている。
炉体2の壁面適所には複数の燃焼バーナ3が設けられており、該燃焼バーナ3の燃焼熱およびその輻射熱を回転炉床1上の原料に伝えることにより、該原料の加熱還元が行われる。図示する炉体2は好ましい例を示したもので、炉体2内部は1枚の仕切壁Kで還元溶融ゾーンZ1と冷却ゾーンZ2に仕切られており、該炉体2の回転方向最上流側には回転炉床1を臨んで原料および副原料装入手段4が配置されると共に、回転方向最下流側(回転構造であるため、実際には装入手段4の直上流側にもなる)には排出手段6が設けられている。
該加熱還元溶融炉の熱源としては、ガスや重油、微粉炭、廃プラスチックなどを燃料として用いたバーナ加熱、あるいは炉内に生成する可燃性ガスを有効利用し酸素や空気を供給してこれを燃焼させるタイプ、更には蓄熱型バーナを使用することも可能である。また生成した粒状金属鉄の排出には、スクリューやスクレパーの如き任意の排出装置、あるいはガスの吹付けもしくは吸引を利用して排出させる方法を採用することも可能である。
この還元溶融炉を稼動するに当たっては、回転炉床1を所定の速度で回転させておき、該回転炉床1上に、原料を装入装置4から振動フィーダー5などを用いて適当な厚さとなる様に供給していく。該原料の装入に当たっては、これを通常は10〜40mm、好ましくは20〜30mmの範囲となる様に装入し、また原料として成形体(ペレットやブリケットなど)を使用する場合は、その粒径に応じて単層もしくは3〜10層、好ましくは3〜6層に積層して装入し、単位炉床面積当たりの原料装入量を増大することにより生産性を高めるのがよい。
また原料を層状で装入する際には、該原料層の表面に任意の大きさの凹凸を形成すれば、表面の伝熱有効面積が拡大され、装入された原料に対する加熱効率を一層高め得ると共に、下層側の原料に対する加熱効率も高められるので好ましい。該凹凸の形成は、例えば炉床幅方向に複数の供給口から装入量を変えて装入する方法、炉幅方向に延長して設けた凹凸状ホッパーから装入量を変えて装入する方法、ほぼ水平に装入した後凹凸を有する表面整形部材でなぞって凹凸を形成する方法などを採用すればよい。
炉床1上に装入された原料は、還元溶融ゾーンZ1を移動する過程で燃焼バーナ3による燃焼熱及び輻射熱を受け、原料中に含まれる酸化鉄と炭素質還元剤との反応で生成する一酸化炭素により酸化鉄は還元され、生成した金属鉄は更に炭素リッチ雰囲気下で加熱されることにより浸炭して溶融し、副生するスラグと分離しながら凝集して粒状の溶融金属鉄となった後、冷却ゾーンZ2で任意の冷却手段Cで冷却されて固化し、その下流側に設けられた排出手段6によって順次掻き出される。この時、副生したスラグも同時に排出されるが、これらはホッパーHを経た後、任意の分離手段(篩目や磁選装置など)により粒状金属鉄とスラグの分離が行われ、最終的に鉄分純度が95%程度以上、より好ましくは98%程度以上でスラグ成分含量の極めて少ない粒状金属鉄として得ることができる。
なお上記還元・溶融工程で、還元時(固体還元期)の雰囲気温度が高すぎる場合、具体的には還元過程のある時期に、雰囲気温度が原料中の脈石成分や未還元酸化鉄等からなるスラグ組成の融点を超えて高温になると、これら低融点のスラグが溶融して移動炉床を構成する耐火物と反応して溶損させ、平滑な炉床を維持できなくなる。また、固体還元期に酸化鉄の還元に必要とされる以上の熱が加わると、原料中の鉄酸化物であるFeOが還元される前に溶融し、該溶融FeOが炭材中の炭素(C)と反応する所謂溶融還元(溶融状態で還元が進行する現象で、固体還元とは異なる)が急速に進行する。該溶融還元によっても金属鉄は生成するが、該溶融還元が起こると、流動性の高いFeO含有スラグが炉床耐火物を著しく溶損させるので、実用炉としての連続操業が困難になる。
こうした現象は、原料を構成する鉄鉱石や炭材、或いは更にバインダー等に含まれるスラグ形成成分の組成などによって変わってくるが、固体還元時の雰囲気温度が約1400℃を超えると、上記の様な低融点スラグの滲み出しが起こって炉床耐火物が溶損され、1500℃を超えると原料鉄鉱石等の銘柄に関わりなく、好ましくない上記溶融還元反応が進行して炉床耐火物の溶損が顕著になるので、固体還元期の温度は1500℃以下、より好ましくは1450℃程度以下に抑えることが望ましい。なお該固体還元期の温度が低すぎると固体還元が効率よく進み難くなるので、好ましくは1200℃以上、更に好ましくは1300℃以上とすることが望ましい。
固体還元の後は、引き続いて雰囲気温度を好ましくは50〜200℃程度昇温させて1400〜1500℃に高め、固体還元により生成した金属鉄を溶融させ、溶融した金属鉄を凝集させる。このとき、溶融金属鉄は相互に凝集して粗大化していくが、この間、副生した溶融スラグを排斥しつつ凝集していくので、凝集した金属鉄はスラグを殆ど含まないFe純度の高いものとなり、これを冷却凝固してから粒状金属鉄とスラグを篩や磁選などにより分離すると、Fe純度の高い粒状金属鉄を得ることができる。
なお、固体還元により生成した金属鉄の溶融は、該金属鉄の融点以上に雰囲気温度を高めることによって進行するが、該溶融開始時の金属鉄の近傍にCやCOを存在させておけば、これらによって金属鉄が浸炭を受けて融点降下を起こし、金属鉄の溶融をより低温且つ短時間で進めることができるので好ましい。即ちこの溶融を速やかに進めるには、固体還元を終えた原料内に上記浸炭に十分な量の炭素を残存させておくことが好ましく、この残留炭素量は、原料中の鉄鉱石等と炭材の配合割合によって調整すればよい。そして本発明者らが実験により確認したところによると、固体還元期における最終還元率がほぼ100%に達した状態、即ち金属化率が100%に達した状態で、該固体還元物中の残留炭素量(即ち余剰炭素量)が1.5%以上となる様に当初の炭材配合量を確保しておけば、固体還元により生成した金属鉄を速やかに浸炭させて低融点化させることができ、1300〜1500℃の温度域で速やかに溶融させ得ることを確認している。
なお浸炭量がゼロの場合、即ち純鉄の溶融温度は1537℃であり、この温度よりも高温に加熱してやれば金属鉄を溶融させることができるが、実用炉においては炉床耐火物にかかる熱負荷を軽減するため操業温度はできるだけ低温に抑えることが望ましく、また副生するスラグの融点を考慮すると、操業温度は1500℃程度以下に抑えることが望ましい。
そして、炉内に装入された原料を、固体状態を保ちつつ、該原料中に含まれる酸化鉄の部分的な溶融を引き起こすことなく還元を効率よく進めるには、炉内温度を1200〜1500℃、より好ましくは1200〜1400℃の範囲に保って固体還元を行ない、引き続いて炉内温度を1400〜1500℃に高めて、一部残された酸化鉄を還元すると共に生成した金属鉄を溶融させて凝集させる2段加熱方式を採用することが望ましく、こうした条件設定により粒状の金属鉄を安定して歩留りよく製造することができ、通常は10分から13分程度で酸化鉄の固体還元と溶融および凝集を完了させることができる。
上記の様な方法を採用して粒状金属鉄を製造する際に、本発明では酸化鉄含有物質中の酸化金属成分に対し還元剤として作用する上記炭素質還元剤として、固定炭素含有率の高いものを使用し、更には揮発分量の少ないものを使用し、あるいは該炭素質還元剤の酸化鉄含有物質中に含まれる酸化金属成分に対する使用比率を特定することにより、粒状金属鉄としての歩留まりを高めるところに特徴を有しているので、以下それらの点について詳述する。
図4〜9は、後述する実施例で得た実験データを元に、本発明で定める前記各要件が製品としての粒状金属鉄の歩留りに与える影響を整理して示したグラフである。尚これらの図では、製品としての搬送や取扱い性に適した粒度構成を確保するための一応の基準として、粒径が3.35mm以上に成長した粒状金属鉄の歩留り(回収率:質量%)で評価した。尚ここでは、酸化鉄含有物質として鉄鉱石を使用しているので、これに含まれる酸化金属成分は酸化鉄分である。
まず図4,5は、原料として配合される炭材中の固定炭素量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を整理して示したグラフであり、図4は固体還元を受けた金属鉄が溶融を開始する時の温度を1400℃に設定した場合、図5は同温度を1460℃に設定した場合の結果をそれぞれ示している。これらの図からも明らかな様に、粒状金属鉄としての歩留りは溶融開始時の温度によってかなり変わり、溶融開始温度を1400℃に設定した場合は、炭材中の固定炭素量が74%の前後で歩留りは急激に立ち上がり、固定炭素量が74.5%以上の炭材を使用すれば、目標粒度構成の粒状金属鉄の歩留りで約80%以上を確保することができ、該固定炭素量が約75%以上になると、90%以上の高歩留りを確保できる。これに対し溶融開始温度を1460℃に設定した場合は、図5に示す如く炭材中の固定炭素量が72%の前後から歩留りは急激に立ち上がり、固定炭素量が約73%以上の炭材を使用すれば、目標粒度構成の粒状金属鉄の歩留りで約80%以上を確保することができ、該固定炭素量が約73.5%以上になると、90%以上の高歩留りを確保できることが分かる。これらの結果からも明らかな様に、固定炭素量が73%以上の炭材を使用した場合は、溶融開始時の温度を1460℃程度以上に設定することにより好適粒子径の金属鉄を80%以上の高歩留りで製造することができ、固定炭素量が74.5%レベル以上の良質炭材を使用する場合は、溶融開始温度を1400℃程度まで低くしても十分な歩留りを確保し得ることが分かる。
尚、上記炭材の固定炭素量が73%程度以上、あるいは74.5%レベル以上である場合は、当該炭材を単独で使用すればよい。また固定炭素量が73%未満である低品位炭であっても、固定炭素含有率の高い高品位炭と併用することでトータルとして上記の好適固定炭素量を確保すれば、支障なく使用することができ、その結果、単独では使用し難い低品位炭であっても有効利用することが可能となる。
次に図6,7は、原料中の揮発分量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を整理して示したグラフであり、図6は固体還元を受けた金属鉄が溶融を開始する時の温度を1400℃に設定した場合、図7は同温度を1460℃に設定した場合の結果をそれぞれ示している。これらの図からも明らかな様に、この場合も粒状金属鉄としての歩留りは溶融開始時の温度によってかなり変わり、溶融開始温度を1400℃に設定した場合は、揮発分量が約3.2%を越えると歩留りは急激に低下し、揮発分量が3.2%以下であれば80%以上の歩留りを得ることができ、揮発分量が約2.9%以下であれば90%レベル以上の高い歩留りを確保できる。これに対し溶融開始温度を1460℃に設定した場合は、図7に示す如く該揮発分量が3.9%レベルを超えると歩留りは著しく低くなるが、3.9%程度以下であれば80%以上の歩留りを得ることができ、揮発分量を3.7%レベル以下に抑えれば、90%レベル以上の高歩留りを確保できることが分かる。これらの結果からも明らかな様に、上記揮発分量が3.8%レベルである場合は、溶融開始時の温度を1460℃程度以上に設定することにより好適粒子径の金属鉄を80%以上の高歩留りで製造することができ、揮発分量が3.2%レベル以下である場合は、溶融開始温度を1400℃程度まで低くしても十分な歩留りを確保し得ることが分かる。
更に図8,9は、原料として配合される酸化鉄含有物質(鉄鉱石)中の酸化金属成分(酸化鉄分:T.Fe)に対する炭材量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を整理して示したグラフであり、図8は固体還元を受けた金属鉄が溶融を開始する時の温度を1460℃に設定した場合、図9は同温度を1400℃に設定した場合の結果をそれぞれ示している。これらの図からも明らかな様に、この場合も粒状金属鉄としての歩留りは溶融開始時の温度によってかなり変わり、溶融開始温度を1400℃に設定した場合は、上記炭材量が略44.2%以上になると歩留りは急激に低下し、該炭材量を44%以下とすれば80%以上の歩留りを得ることができ、該炭材量を43.6%程度以下に抑えれば90%レベル以上の高い歩留りを確保できる。これに対し溶融開始温度を1460℃に設定した場合は、図8に現われる如く該炭材量が45%レベルを超えると歩留りは著しく低くなるが、45%程度以下に抑えれば80%以上の歩留りを得ることができ、更に炭材量を44.8%レベル以下に抑えれば、90%レベル以上の高歩留りを確保できることが分かる。これらの結果からも明らかな様に、上記炭材量が45%レベルである場合は、溶融開始時の温度を1460℃程度以上に設定することにより好適粒子径の金属鉄を80%以上の高歩留りで製造することができ、該炭材量が44%レベル以下である場合は、溶融開始温度を1400℃程度まで低くしても十分な歩留りを確保し得ることが分かる。
ところで本発明の実施に用いられる還元溶融炉では、原料の加熱にバーナー加熱を採用することが多い。この場合、固体還元期には、炉内に装入された原料中の酸化鉄源と炭材との反応により大量のCOガスが発生するので、原料近傍は自から放出する上記COガスのシールド効果によって十分な還元性雰囲気に保たれる。
ところが、固体還元期の後半から末期にかけては、上記COガスの発生量が急速に減少するため自己シールド作用が低下し、バーナ加熱によって生じる燃焼排ガス(CO2やH2O等の酸化性ガス)の影響を受け易くなり、折角還元された金属鉄が再酸化を受け易くなる。また、固体還元の終了後は、原料中の残留炭素による還元鉄の浸炭による融点降下によって微小金属鉄の溶融と凝集が進行するが、この段階でも前記自己シールド作用は乏しいので、金属鉄は再酸化を受け易い。
従って、この様な再酸化を可及的に抑えつつ固体還元後の溶融・凝集を効率よく進めるには、溶融領域の雰囲気ガス組成を適切に制御することが望ましい。そのための好ましい手段としては、前述した通り原料を炉床上に装入するに先立って、炉床上に粉状炭素質物質を装入し、あるいは原料が成形体である場合のその表面に予め炭素質粉を付着させておく方法が挙げられる。即ち、この様に炉床面に粉状炭素質物質を装入しておき、あるいは表面に炭素質物質を付着させておくと、これらが固体還元完了後、溶融開始期に、バーナ燃焼により生成した酸化性ガス(CO2やH2O)と直ちに反応してこれらのガスをCOやH2などの還元性ガスに変えるので、固体還元により生成した金属鉄の近傍を高還元性雰囲気に保つことができ、金属鉄の再酸化を可及的に防止できる。しかもこれらの粉状炭素質物質は、生成した金属鉄に対して浸炭源となり、金属鉄の浸炭・溶融に要する時間を更に短縮して粒状化を促進する作用も発揮するので好ましい。
上記炭素質物質の作用効果を有効に発揮させるには、炉床上に予め装入される上記粉状炭素質物質として、粒径が3mm以下、より好ましくは2mm以下、特に好ましくは0.3〜1.5mmの範囲の微細化物を使用し、これを、好ましくは2〜7mm程度、より好ましくは3〜6mm程度の厚さに装入しておくのがよく、また原料を成形して使用する時にその表面に付着させておく場合は、その付着量を該成形体に対して1〜10質量%、より好ましくは3〜7質量%の範囲に設定することが望ましい。但し該粉状炭素質物質は、その効果が最も期待される溶融開始時期の前に上方から降りかける様に装入することも可能である。
上記方法によって得られる粒状金属鉄は、副生するスラグを排斥しつつ凝集したもので、スラグ成分を殆ど含んでおらずFe純度の非常に高いものであり、この粒状金属鉄は電気炉や転炉の如き既存の製鋼設備へ送り鉄源として使用されるが、これらを製鋼原料として使用するには、硫黄[S]の含有量をできるだけ低減することが望ましい。そこで、前記金属鉄の製造工程で、鉄鉱石や炭材中に含まれるS成分を可及的に除去して低[S]の粒状金属鉄を得るべく研究を行なったところ、原料調製段階で鉄鉱石や炭材と共に適量のCaO源(生石灰の他、消石灰や炭酸カルシウムなどを含む)を積極的に配合し、鉄鉱石等に含まれる脈石成分などのスラグ形成成分も加味した原料中に含まれる全スラグ形成成分の塩基度(即ちCaO/SiO2比)が0.6〜1.8、より好ましくは0.9〜1.5の範囲となる様に成分調整してやれば、最終的に得られる粒状金属鉄中のS含有量を0.10%以下、更には0.05%程度以下にまで低減し得ることを確認している。
ちなみに、炭素質還元剤として最も一般的に用いられる石炭には通常0.2〜1.0%程度のSが含まれており、これら[S]の大部分は金属鉄中に取り込まれる。一方、CaO源の積極添加による塩基度調整を行なわない場合、鉄鉱石の銘柄などによってかなりの違いはあるものの、原料中に含まれるスラグ形成成分から算出される塩基度は大抵の場合0.3以下であり、この様な低塩基度のスラグでは、固体還元あるいはその後の溶融・凝集過程で粒状金属鉄へのSの混入(加硫)が避けられず、原料中に含まれる全[S]のうち概略85%程度が粒状金属鉄中に取り込まれる。その結果として、粒状金属鉄の[S]量は0.1〜0.2%の非常に高い値となり、粒状金属鉄としての品質を損なう。
ところが、上記の様に原料調製段階でCaO源の積極添加によりスラグ形成成分の組成を塩基度が0.6〜1.8の範囲となる様に調整してやれば、固体還元および浸炭・溶融・凝集の際に副生するスラグ中に上記[S]が固定され、その結果として粒状金属鉄の[S]量を例えば0.050〜0.080%レベルまで大幅に低減できる。該低S化の機構は、原料中に含まれる[S]がCaOと反応し(CaO+S=CaS)、CaSとして固定されるためと考えている。
なお本発明で使用する原料は、前述の如く酸化鉄源と炭材を含む均一混合物やこれらを必要により少量のバインダー(ベントナイトやデンプンなど)を併用して適当なサイズの粒状に凝集させたもの、あるいはペレット、ブリケットなどの成形体として使用できる。成形体とする場合は、たとえばパン型造粒機、ディスク型造粒機、ドラム型造粒機などを用いる通常の成形法を採用すればよい。
また、原料となる酸化鉄源は、鉄鉱石の他、ミルスケールなどを含む広い概念であり、例えば高炉ダストや電炉ダスト、製鋼ダストなどを含むものであっても勿論構わない。更に、鉄鉱石の産地によっては酸化鉄以外にNi,Cr,Mnの如き他の金属の酸化物が含まれることもあるが、それら他の金属酸化物成分を含むものであっても勿論構わない。また炭素質還元剤の種類も特に制限がなく、最も一般的な石炭粉やコークス粉以外に木炭粉などを使用することも可能である。必要により配合することのあるバインダーとしては、ベントナイトやデンプンなどが例示されるが、勿論これらに制限される理由はない。更に原料混合物中に、スラグ形成成分の塩基度調整用として適量のCaO源(生石灰、消石灰、炭酸カルシウムなど)を含有させれば、これらが脱硫剤として作用し、原料混合物中に含まれるSをCaSとしてスラグ側に固定し、S含有率の低い粒状金属鉄を得ることができるので好ましい。
更に、固体還元工程で副生するスラグの融点調整用として、原料中に含まれるスラグ形成性成分の組成に応じて石灰石や消石灰、炭酸カルシウムの如きカルシウム源やシリカ、アルミナなどを適量加えることも有効である。
炉床面への原料の供給には格別特殊な方法が採用される訳ではなく、例えばホッパーや振動フィーダー、ドラムフィーダーなどによって切出し、ガイド用の樋やパイプ、傾斜板を用いて供給する方法などを採用すればよい。
また原料を層状で装入する際に、該原料層の表面に縦方向及び/又は横に任意の形状の山部と谷部を形成して凹凸状とし、表面積を拡大することによって上方からのバーナ加熱や輻射熱による加熱効率高めることは、原料全体の加熱効率が高められると共に、下層側原料層に対する伝熱効率も高められるので好ましい。該凹凸の好ましい形状や大きさ、ピッチ等は、積層厚さによっても変わってくるので一律に規定することはできないが、好ましくは高さ(山頂部と谷底部との間隔)で5〜30mm、より好ましくは10〜30mmの範囲であり、好ましいピッチ(隣り合った山頂部間の幅)は10〜100mm、より好ましくは10〜70mmの範囲であることを確認している。該凹凸の形成法にも格別の制限はなく、例えば炉床幅方向に複数の供給口から装入量を変えて装入する方法、炉幅方向に延長して設けた凹凸状ホッパーから装入厚さを変えて装入する方法、ほぼ水平に装入した後凹凸を有する表面整形部材でなぞって凹凸を形成する方法等を任意に選択して適用できる。
なお原料として成形体を使用する場合、そのサイズによっては特に炉床上に積層装入したときに積層荷重で潰れることがあるので、好ましくは平均粒径が1〜10mm程度、より好ましくは3〜7mm程度の成形体を使用することが望ましい。この様な比較的小径の成形体であれば、積層装入しても積層圧で潰れる可能性は少なく、また熱伝達が速いこともあって、初期の加熱で速やかに乾燥されるので未乾燥状態のままで炉床上に供給することも可能となる。また、装入時の衝撃や積層荷重による破損をより確実に防止するため、該成形体の少なくとも表層側を予め乾燥してから装入することも好ましい実施形態として推奨される。
更に上記原料の装入に当たっては、炉床上に粉状炭素質物質を敷いてから原料を装入し、あるいは成形体を使用する場合は、該成形体の表面に炭素質物質を付着させてから炉床上に装入する方法を採用すれば、例えばイ)上記炭素質物質が固体還元時における原料近傍の雰囲気ガスの還元度を高めて固体還元をより効率よく進行させる、ロ)該炭素質物質が固体還元を終えた金属鉄に浸炭してその融点を降下させ、溶融・凝集を促進させる、ハ)該炭素質物質が炉床表面への溶融金属鉄の付着を抑えて粒状化を促進する、ニ)原料を層状に積層して装入したときに起こりがちな下層側の還元不足が該炭素質物質によって補われ、全体の固体還元率を高める、ホ)該下層側の還元不足によって生じがちなFeOに作用してこれを速やかに還元するので、炉床耐火物を著しく溶損させるFeO含有溶融スラグの生成も抑えられ、炉床寿命の延長が図られる、ヘ)原料を成形体として使用する際に、その表面に炭素質物質をまぶす様に付着させておけば、相互の付着や装入用ホッパーなどへの付着も防止されるので、該原料成形体を未乾燥状態で装入することも可能となる。
ここで用いられる炭素質物質としては、石炭粉、コークス粉、木炭粉などが任意に選択して使用される。なお炉床上面に敷く炭素質物質として上記作用をより有効に発揮させるための好ましい粒径は、平均粒径で2mm以下、より好ましくは1.5mm以下のものである。また、原料成形体の表面に炭素質物質を付着させる場合は、平均粒径が0.3mm程度以下のものを表面にまぶす様に付着させる方法、炭素質物質を水などの分散媒に分散させてスプレー付着させる方法などを採用すればよい。
尚、還元溶融炉から粒状金属鉄と共に上記炭素物質や原料中の炭素質還元剤(炉内へ装入されるときに粉として入ってくるもの、炉内で原料ペレットが粉化したときに発生するもの等)が排出されることがあるが、これらは炭素質還元剤として再使用することができる。これらは一度炉内で高温に曝されて揮発分が除去されているので、良質の原料となる。
以下、実施例を挙げて本発明の構成および作用効果を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
酸化鉄源および炭材として下記成分組成のものを使用し、図1〜3に示した様な回転炉床型還元溶融炉を用いて下記の条件で粒状金属鉄の製造実験を行なった。
[酸化鉄源]
鉄鉱石:主要成分;T.Fe;68.1%,Al23;0.5%,
SiO2;1.4%、平均粒径;50μm
[炭素質還元剤]
炭材(1):固定炭素量;71.6%、揮発分量;19.6%、
平均粒径;30μm
炭材(2):固定炭素量;77.0%、揮発分量;9.4%
平均粒径;30μm
[原料調製]
上記酸化鉄源と炭材(1),(2)を下記表1に示す質量比率で配合し、均一に混合した後、パン型造粒装置を用いて粒径が16〜19mmの粒状原料を調製した。
[実験法]
上記粒状原料を回転炉床型還元溶融炉に厚さが約20mmとなる様に装入し、バーナ加熱により原料装入から1100℃までを4分で急速昇温させ、約1350℃で固体還元を行なった後、溶融開始部の温度が約1400℃または約1460℃となる様に温度調整を行ない、溶融・凝集した金属鉄を冷却部(炉床下部に設けた水冷ジャケットを利用)で冷却して粒状金属鉄を得る。原料を装入してから粒状金属鉄を炉外へ取り出すまでの時間は約10〜12分とする。炉外へ取り出した粒状金属鉄は、同時に排出される副生スラグの凝集物と磁選装置により分離して粒状鉄のみとした後、更に篩目が3.35mmの篩を用いて粗粒物と微粒物に分離し、粒径が3.35mm以上の粗粒物の歩留りを求めた。
原料の配合組成や、固定炭素含量、揮発物含量等を含めた緒元および歩留りを表1に一括して示す。また表1の結果を元にして、「炭材中の固定炭素量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響」を表3,2および図4,5に、「原料中の揮発分量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響」を表5,4および図6,7に、「鉄鉱石中の酸化鉄分(T.Fe)に対する炭材量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響」を表6,7および図8,9にそれぞれ示す。
Figure 2009091664
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これらの結果からの考察は、図4〜9の解析で先に説明した通りであるが、要するに、
(1)固定炭素量が73%以上の炭材を使用した場合は、溶融開始時の温度を1460℃程度以上に設定することにより好適粒子径の金属鉄を80%以上の高歩留りで製造することができ、固定炭素量が74.5%レベル以上の良質炭材を使用すれば、溶融開始温度を1400℃程度まで低くしても十分な歩留りを確保することができ、
(2)原料中の揮発分量が3.9%レベルである場合は、溶融開始時の温度を1460℃程度以上に設定することにより好適粒子径の金属鉄を80%以上の高歩留りで製造することができ、揮発分量が3.2%レベル以下である場合は、溶融開始温度を1400℃程度まで低くしても十分な歩留りを得ることができ、
(3)鉄鉱中の酸化鉄分(T.Fe)に対する炭材量が45%レベルである場合は、溶融開始時の温度を1460℃程度以上に設定することにより好適粒子径の金属鉄を80%以上の高歩留りで製造することができ、該炭材量が44%レベル以下である場合は、溶融開始温度を1400℃程度まで低くしても十分な歩留りを確保できることを確認できる。
本発明で用いられる還元溶融設備を例示する説明図である。 図1におけるA−A線断面相当図である。 図1を回転型炉床の回転方向に展開して示す断面説明図である。 溶融開始時の温度を1400℃に設定した場合の、炭材中の固定炭素量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を示すグラフである。 溶融開始時の温度を1460℃に設定した場合の、炭材中の固定炭素量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を示すグラフである。 溶融開始時の温度を1400℃に設定した場合の、原料中の揮発分量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を示すグラフである。 溶融開始時の温度を1460℃に設定した場合の、原料中の揮発分量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を示すグラフである。 溶融開始時の温度を1460℃に設定した場合における、原料の鉄鉱石中のT.Fe量に対する炭材量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を示すグラフである。 溶融開始時の温度を1400℃に設定した場合における、原料の鉄鉱石中のT.Fe量に対する炭材量が粒状金属鉄の歩留りに与える影響を示すグラフである。
符号の説明
1 回転型炉床
2 炉体
3 燃焼バーナ
4 原料および副原料装入手段
5 振動フィーダー
6 排出手段
K 仕切壁
C 冷却ゾーン
H ホッパー

Claims (15)

  1. 炭素質還元剤と酸化鉄含有物質とを含む原料を還元溶融炉内で加熱し、該原料中の酸化鉄を固体還元した後、生成する金属鉄を更に加熱して溶融させると共に、スラグ成分と分離させながら凝集させて粒状金属鉄を製造する方法において、固定炭素含有率の高い炭素質還元剤を使用することを特徴とする粒状金属鉄の製法。
  2. 前記炭素質還元剤の固定炭素含有率が73%(質量%を意味する、以下同じ)以上である請求項1に記載の製法。
  3. 前記炭素質還元剤の固定炭素含有率が74.5%以上である請求項2に記載の製法。
  4. 前記原料中の揮発分量が3.9%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
  5. 前記原料中の揮発分量が3.2%以下である請求項4に記載の製法。
  6. 前記原料の酸化鉄含有物質中に含まれる酸化金属成分に対し、炭素質還元剤の配合量を45%以下に抑える請求項1〜5のいずれかに記載の製法。
  7. 前記原料の酸化鉄含有物質中に含まれる酸化金属成分に対し、炭素質還元剤の配合量を44%以下に抑える請求項6に記載の製法。
  8. 前記還元溶融炉において、固体還元により生成した金属鉄が溶融する際の温度を1460℃以上とする請求項2,4,6のいずれかに記載の製法。
  9. 前記還元溶融炉において、固体還元により生成した金属鉄が溶融する際の温度を1400℃以上とする請求項3,5,7のいずれかに記載の製法。
  10. 前記炭素質還元剤として、固定炭素量の多い炭材と固定炭素量の少ない炭材を併用し、それらの配合比率を調整することにより所定の固定炭素含有率を得る請求項1〜9のいずれかに記載の製法。
  11. 還元溶融炉内で固体還元により生成する金属鉄が溶融する前に、原料近傍に粉状炭素質物質を装入する請求項1〜10のいずれかに記載の製法。
  12. 粒径が3〜40mmの範囲の粒状金属鉄を80%以上の歩留りで得る請求項1〜11のいずれかに記載の製法。
  13. 粒径が3〜40mmの範囲の粒状金属鉄を90%以上の歩留りで得る請求項1〜11のいずれかに記載の製法。
  14. 前記原料中にスラグ融点調整剤を配合し、還元溶融工程で生成するスラグの融点を1400℃以下に調整する請求項1〜13のいずれかに記載の製法。
  15. 前記還元溶融炉から前記粒状金属鉄と共に炉外へ排出される前記原料中の炭素質還元剤もしくは粉状炭素質物質の一部または全部を、前記原料中の炭素質還元剤として再利用する請求項1〜14のいずれかに記載の製法。
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