JP6805672B2 - 炭材内装造粒粒子の製造方法および炭材内装塊成鉱の製造方法 - Google Patents

炭材内装造粒粒子の製造方法および炭材内装塊成鉱の製造方法 Download PDF

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本発明は、高炉などで製鉄原料として使用される塊成鉱の製造技術に関するものであり、具体的には、塊成鉱の製造に用いる炭材内装造粒粒子の製造方法および炭材内装造粒粒子を用いた炭材内装塊成鉱の製造方法に関するものである。
高炉製鉄法では、現在、鉄源として、焼結鉱や鉄鉱石、ペレットなどの鉄含有原料を主に用いている。ここで、焼結鉱とは、粒径が10mm以下の鉄鉱石の他に、製鉄所内で発生する各種ダスト、精錬ニッケルスラグや珪石、蛇紋岩などからなるSiO含有原料、石灰石や生石灰などのCaO含有原料、粉コークスや無煙炭などからなる固体燃料等から構成された造粒原料に適量の水を添加し、ドラムミキサーなどを用いて混合・造粒した擬似粒子を焼結原料とし、当該焼結原料を焼結機の循環移動するパレットに装入し、擬似粒子中に含まれる固体燃料等を燃焼させて焼結し、得られた焼結ケーキを破砕し、整粒して、一定の粒径以上のものを成品として回収した塊成鉱の一種である。
近年、塊成鉱として、鉄鉱石や製鉄ダスト等の鉄源と小塊コークス等の炭材を近接配置したものが注目を浴びている。その理由は、鉄鉱石等の鉄源と炭材とを一つの塊成鉱の中で近接配置すると、鉄源側の還元反応(発熱反応)と炭材側のガス化反応(吸熱反応)とが速い速度で繰り返し起きるので製鉄効率が向上するとともに、高炉の生産性を低下させることなく、炉内温度を低下させることができるからである。
このような塊成鉱の製造方法として、特許文献1には、炭材を鉄鉱石粉とCaO含有原料で被覆した湿潤ペレットを作製し、これを焼結原料に混合後、下方吸引型焼結機において焼結する方法が開示されている。
特許第5790966号公報
特許文献1には、上記塊成鉱の製造方法については開示されているが、如何にして内部に炭材核を有し、かつ所望の粒径に制御された造粒粒子を製造する方法については何ら記載されていない。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、炭材内装塊成鉱の生産性を向上できる好適な大きさであって、高い炭材核含有割合を有する炭材内装造粒粒子の製造方法を提供することにある。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)鉄鉱石粉と石灰含有原料とを混合して混合粉とし、
炭材核と前記混合粉とを含む造粒原料を造粒することで、前記炭材核の周囲を前記混合粉で被覆させた炭材内装造粒粒子の製造方法であって、前記造粒原料に対する炭材核の配合割合を1質量%以上10質量%以下にすることを特徴とする、炭材内装造粒粒子の製造方法。
(2)前記炭材核は、粒径が3mm以上10mm未満のコークス粒子であることを特徴とする、(1)に記載の炭材内装造粒粒子の製造方法。
(3)前記石灰含有原料は、生石灰、石灰石およびドロマイトのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、(1)または(2)に記載の炭材内装造粒粒子の製造方法。
(4)前記混合粉におけるCaO含有量が12質量%以下になるように前記鉄鉱石粉と前記石灰含有原料を配合することを特徴とする、(1)から(3)のいずれか1つに記載の炭材内装造粒粒子の製造方法。
(5)(1)から(4)のいずれか1つに記載の炭材内装造粒粒子の製造方法で炭材内装造粒粒子を製造し、前記炭材内装造粒粒子に通常の造粒粒子を配合して焼結原料とし、前記焼結原料を下方吸引式焼結機のパレットに装入して焼結することを特徴とする、炭材内装塊成鉱の製造方法。
本発明に係る炭材内装造粒粒子の製造方法を実施することによって、好適な大きさであって、高い炭材核含有割合の炭材内装造粒粒子を製造できる。そして、当該炭材内装造粒粒子を含む焼結原料を用いることで、高い生産性で炭材内装塊成鉱を製造できる。
本実施形態に係る炭材内装造粒粒子を製造するフローの一例を示す図である。 本実施例におけるコークス粒子配合割合(質量%)に対する造粒粒子の算術平均径(mm)と、コークス粒子配合割合(質量%)に対する炭材核含有率(個数%)の関係を示すグラフである。
図1は、本実施形態に係る炭材内装造粒粒子を製造するフローの一例を示す図である。貯蔵槽10に保管された鉄鉱石粉16は、搬送機14に所定量切り出される。同じく貯蔵槽12に保管された石灰含有原料18も、搬送機14に所定量切り出される。鉄鉱石粉16と、石灰含有原料18は、搬送機14によって混練機20に搬送される。鉄鉱石粉16と、石灰含有原料18は、適量の水19とともに混練機20で均一に混合されて混合粉22にされる。
混合粉22は、搬送機24に所定量切り出され、貯蔵槽26に保管されたコークス粒子28も、搬送機24に所定量切り出されて、混合粉22とコークス粒子28とを含む造粒原料となる。本実施形態において、造粒原料に対するコークス粒子28の配合割合が1質量%以上10質量%以下になるように、混合粉22とコークス粒子28とが切り出される。造粒原料は、搬送機24によって造粒機30に搬送される。
造粒機30では、適量の水19が供給されて撹拌されることで、供給された水の水架橋力等によってコークス粒子28の周囲に混合粉22が被覆される。これにより、コークス粒子28を炭材核とし、当該炭材核の周囲が混合粉22で被覆された炭材内装造粒粒子32が製造される。なお、混合粉22によって被覆されたコークス粒子28は、炭材内装造粒粒子32における炭材核になる。
このようにして製造された炭材内装造粒粒子32に、炭材核を内装させていない通常の造粒粒子を所定量配合して焼結原料とする。なお、通常の造粒粒子とは、粉鉄鉱石と、石灰石およびドロマイトなどの石灰含有原料と、生石灰等の造粒助剤と、コークス粉や無煙炭などの炭材(以下、「凝結材」ともいう)と、を混合し、造粒機を用いて造粒した造粒粒子のことを意味する。焼結原料は、下方吸引式焼結機のパレットに装入され、下方吸引式焼結機で焼結されて炭材内装塊成鉱が製造される。
本実施形態において、混練機20として、炭材核を内装していない通常の造粒粒子の製造に用いるインテンシブミキサーを用いた。また、造粒機30として、炭材核を内装していない通常の造粒粒子の製造に用いるディスクペレタイザーを用いた。このように、本実施形態における炭材内装造粒粒子の製造方法は、混練機20および造粒機30として既存の装置を用いることができるので、これら装置を新たに準備するための装置コストが発生することがない。
また、本実施形態において、造粒原料に対するコークス粒子28の配合割合が1質量%以上10質量%以下になるようにコークス粒子28を混合粉22に配合している。コークス粒子28を造粒原料に対する配合割合で10質量%以下になるように配合することで、造粒機30内のコークス粒子1個に対する被覆層を形成する混合粉の量を最適な値にでき、炭材内装造粒粒子の算術平均粒子径(以下、「算術平均径」という)を8mm以上にできる。算術平均径が8mm以上の炭材内装造粒粒子を含む焼結原料を用いて、炭材内装塊成鉱を製造することで、炭材内装塊成鉱の粒径が5mm以上となる割合が増える。粒径が5mm以上の塊成鉱は、成品塊成鉱として次工程へ搬送されるが、5mm未満の粒径の塊成鉱は、次工程に搬送されない。このため、炭材内装造粒粒子の算出平均径を8mm以上にして、炭材内装塊成鉱の粒径が5mm以上となる割合を増やすことで、炭材内装塊成鉱の生産性を向上させることができる。
一方、コークス粒子28を、造粒原料に対する配合割合で10質量%を超えて配合すると、造粒機30内のコークス粒子1個に対する被覆層を形成する混合粉の量が少なくなり、炭材内装造粒粒子の算術平均径が8mmよりも小さくなる。炭材内装造粒粒子の算術平均径が8mmよりも小さくなると、当該炭材内装造粒粒子を含む焼結原料を焼結した場合に、水の蒸発と、鉄鉱石粉16の部分溶融によって炭材内装塊成鉱が収縮し、当該炭材内装塊成鉱の粒径が5mm未満となる割合が増える。上述したように5mm未満の粒径の塊成鉱は、次工程に搬送されない。このため、粒径が5mm未満の塊成鉱が増えると、炭材内装塊成鉱の生産性が低下する。
なお、本実施形態において、粒径とは、JIS Z 8801−1に準拠した公称目開きの篩を用いて篩分けされた粒径であり、例えば、粒径5mm以上とは、JIS Z 8801−1に準拠した公称目開き5mmの篩を用いて篩上に篩分けされる粒径を意味し、粒径5mm未満とは、上記篩を用いて篩下に篩分けされる粒径を意味する。
また、コークス粒子28を、造粒原料に対する配合割合で1質量%以上となるように配合することで、炭材核であるコークス粒子28を含有する造粒粒子の割合が低下することを抑制できる。炭材核を含有する炭材内装造粒粒子の割合が低下することを抑制できれば、炭材核を有する塊成鉱が増え、当該炭材内装塊成鉱を高炉に装入することで、製鉄反応を起こし易くなり低温還元が可能になる、という効果が得られる。
一方、コークス粒子28を、造粒原料に対する配合割合で1質量%よりも少なく配合すると、造粒機30内のコークス粒子1個に対する被覆層を形成する混合粉の量が多くなり、造粒粒子の算術平均径が10mm以上になる。さらに、造粒機30内のコークス粒子1個に対する28の数が不足し、コークス粒子28を含有せず、混合粉22のみで造粒される造粒粒子の割合が高くなる。
炭材核を含有せず、混合粉22のみ造粒された造粒粒子は炭材を有さないので、当該造粒粒子が焼結機で加熱される際には、周囲の炭材核を内装させていない通常の造粒粒子に含まれる凝結材の燃焼熱が伝熱されることによって塊成化が進行する。しかしながら、混合粉22のみで造粒された造粒粒子の算術平均径が10mm以上になると、周囲からの伝熱によって内部まで加熱され、十分な強度を発現させることは難しく、成品塊成鉱の歩留が低下して炭材内装塊成鉱の生産性が低下する。特に、炭材核であるコークス粒子28を含む炭材内装造粒粒子の割合が、全造粒粒子の80個数%未満になると、十分な強度を有さない塊成鉱が増え、炭材内装塊成鉱の生産性の低下が著しくなる。
なお、本実施形態において、炭材核としてコークス粒子28を用いた例を示したが、これに限られず、無煙炭であるホンゲイ炭等を用いてもよい。炭材核としては、コークス粒子およびホンゲイ炭のように、揮発分の少ない炭材を使用することが好ましい。なお、粒径3mm以上10mm未満のコークス粒子である小塊コークスは、入手が容易であるとともに加熱してもガスが発生しないので、炭材核として小塊コークスを用いることがより好ましい。
また、炭材核の粒径は、3mm以上であることが好ましい。粒径3mm以上の炭材核を用いることで、塊成鉱製造過程で、炭材核の燃焼による消失を防止できる。なお、炭材核の粒径は、4mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることが更に好ましい。一方、炭材核の粒径を10mm以上にすると、塊成鉱製造過程で炭材核の燃焼により生じる燃焼熱が大きく、被覆層の過溶融を引き起こす。その結果、炭材核が露出し、更なる炭材核の燃焼により、周囲の炭材内装造粒粒子の過溶融の原因となる。また、被覆層の過溶融まで至らなくとも、燃焼時に発生する主としてCOからなる燃焼ガスの発生量が多くなり、その膨張圧によって被覆層に亀裂を生じさせ、結果として炭材内装焼結鉱の歩留り・強度低下の原因となる。従って、炭材核の粒径は10mm未満であることが好ましい。
石灰含有原料としては、生石灰および/または石灰石を用いてよいが、造粒粒子製造の観点から造粒効果の高い生石灰を用いることが好ましい。また、塊成鉱の生産性および塊成鉱品質を改善することを目的として融液の粘度を増加させるドロマイト[CaMg(CO]を石灰含有原料に添加してもよい。すなわち、石灰含有原料とは、生石灰、石灰石およびドロマイトのいずれか1つ以上を含有する原料である。
また、混合粉22中のCaO含有量が過剰な場合、焼結時に混合粉22による被覆層が流動化し、コークス粒子28が吸引ガスに接触して燃焼し消失する。このため、混合粉22の全質量に対するCaO含有量が12質量%以下になるように、鉄鉱石粉16と、石灰含有原料18とを配合することが好ましい。なお、CaO含有量は、混合粉22の全質量に対して10質量%以下とすることがより好ましく、8質量%以下とすることがさらに好ましい。
本実施例では、図1に示した炭材内装造粒粒子を製造するフローに沿って炭材内装造粒流子の造粒試験を実施した。鉄鉱石粉(粒径150μm以下、比表面積2,000cm/g)と、融剤として生石灰(粒径75μm以下)をそれぞれ所定の比率で配合し、インテンシブミキサーを用いて均一に混合して混合粉とした。混合粉とコークス粒子(粒径3mm以上10mm未満)との配合割合を変えた造粒原料を複数準備し、この造粒原料をディスクペレタイザーへ供給した。なお、造粒に必要な水は、インテンシブミキサーおよびディスクペレタイザーへ適量供給した。
造粒原料は、ディスクペレタイザーで所定時間撹拌され、水架橋力によって造粒された後に排出した。表1に造粒原料に対するコークス粒子の配合割合(質量%)と、当該配合割合の造粒原料を用いて製造した造粒粒子の算術平均径(mm)と、無作為に抽出した100個の造粒粒子のコークス粒子の含有割合(個数%)を示す。また、図2は、本実施例におけるコークス粒子の配合割合(質量%)に対する造粒粒子の算術平均径(mm)と、コークス粒子の配合割合(質量%)に対する炭材核含有率(個数%)の関係を示すグラフである。
コークス粒子の配合割合が0.5質量%の場合(比較例1)、造粒粒子の算術平均径は8mmより大きな15.7mmであったが、炭材核含有率が64個数%であった。比較例1では、炭材内装造粒粒子の全質量に対するコークス粒子の配合割合が低く、造粒機へ供給されたコークス粒子が不足したため、混合粉のみで造粒される割合が増加し、炭材核を有さない造粒粒子の割合が高くなった。
コークス粒子の配合割合が1.0〜10.0質量%の場合(発明例1〜5)、コークス粒子の配合割合が増加するに従い、造粒粒子の算術平均径は小さくなり、炭材核含有率は高くなった。発明例1〜5のいずれの場合も算術平均径は8.0mm以上になり、また、炭材核含有率も80個数%以上となった。このように、造粒原料に対するコークス粒子の配合割合を増やすと造粒粒子の算術平均径が小さくなるのは、造粒機内部に存在する混合粉の割合が相対的に減少するので、コークス粒子1個あたりに供給可能な混合粉の量が減少するからである。また、コークス粒子の供給割合を増やすと造粒物中の炭材核含有率が向上するのは、造粒機内部でコークス粒子の割合が増加することで、混合粉のみで造粒される造粒粒子が少なくなるからである。
一方、造粒原料に対するコークス粒子の配合割合が20質量%の場合(比較例2)、炭材核含有率は98個数%と高かったものの、造粒粒子の算術平均径が8.0mmを下回り、5.3mmになった。これは、造粒機内においてコークス粒子の割合が過剰となり、コークス粒子1個あたりに供給可能な混合粉の量が少なくなり過ぎたためである。
これらの結果および図2に示すように、造粒機に供給する造粒原料に対する炭材核の配合割合を1質量%以上10質量%以下にすることで、造粒粒子の算術平均径を8.0mm以上にでき、炭材核含有率を80個数%以上にできることが確認された。そして、算術平均径が8.0mm以上であって、炭材核含有率が80個数%以上にした炭材内装造粒粒子を含む焼結原料を用いて炭材内装塊成鉱を製造することで、炭材内装塊成鉱の生産性が向上できる。
10 貯蔵槽
12 貯蔵槽
14 搬送機
16 鉄鉱石粉
18 石灰含有原料
19 水
20 混練機
22 混合粉
24 搬送機
26 貯蔵槽
28 コークス粒子
30 造粒機
32 炭材内装造粒粒子

Claims (4)

  1. 鉄鉱石粉と石灰含有原料とを混合して混合粉とし、
    炭材核と前記混合粉とを含む造粒原料を造粒することで、前記炭材核の周囲を前記混合粉で被覆させた、前記炭材核を有する塊成鉱の製造に用いる炭材内装造粒粒子の製造方法であって、
    前記造粒原料に対する前記炭材核の配合割合は2.0質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記炭材核は、粒径が3mm以上10mm未満のコークス粒子であることを特徴とする、炭材内装造粒粒子の製造方法。
  2. 前記石灰含有原料は、生石灰、石灰石およびドロマイトのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の炭材内装造粒粒子の製造方法。
  3. 前記混合粉におけるCaO含有量が12質量%以下になるように前記鉄鉱石粉と前記石灰含有原料を配合することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の炭材内装造粒粒子の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の炭材内装造粒粒子の製造方法で炭材内装造粒粒子を製造し、前記炭材内装造粒粒子に炭材核を内装させていない通常の造粒粒子を配合して焼結原料とし、前記焼結原料を下方吸引式焼結機のパレットに装入して焼結することを特徴とする、炭材内装塊成鉱の製造方法。
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