JP2009209408A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料充填層の通気性を改善して焼結鉱の生産性を向上させるとともに、高い成品歩留りを確保することのできる焼結鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】鉄鉱石、副原料、返鉱、炭材等の原料を二系統に分割し、いずれの系統にも4%以上の結晶水を含有する鉄鉱石及びフリーカーボンを含有する原料を配合し、前記分割した一方の系統の原料を高速攪拌ミキサーにより調湿および混合後、パンペレタイザーにより8.0〜11.1%の水分含有率にて擬似粒子とすると共に、他方の系統の原料をドラムミキサーにより6.0〜7.5%の水分含有率にて擬似粒子とし、両系統で製造された擬似粒子をドラムミキサーにより混合することなく、焼結機への搬送過程及び/又は焼結原料層の形成過程において混合し焼成する焼結鉱の製造方法である。前記一方の系統の原料をパンペレタイザーにより9.1〜10.1%の水分含有率にて擬似粒子とすることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、高炉で使用する焼結鉱の製造方法に関し、具体的には、鉄鉱石、副原料、返鉱および炭材などの原料を二系統に分割し、いずれの系統にも4質量%以上の結晶水を含有する鉄鉱石およびフリーカーボンを含有する炭材を配合し、配合された原料に対しそれぞれ個別に造粒処理を行って擬似粒子を製造し、両系統において製造された擬似粒子を混合して焼結鉱を製造することにより、焼結鉱の生産性を向上させつつ、成品歩留りも確保することのできる焼結鉱の製造方法に関する。
高炉用の鉄源として使用される焼結鉱は、一般に下記の方法により製造される。焼結鉱の原料である粉鉄鉱石、副原料および炭材は、荷揚げされ、銘柄毎にヤードに野積みされる。副原料とは、SiO2を含有する原料、CaOを含有する原料、MgOを含有する原料など、鉄鉱石、炭材および返鉱を除く原料を意味し、炭材とは、コークス、石炭、ダストなど、フリーカーボン(以下、「F.C.」とも略記する)源を含有する原料を意味する。
これらの原料は、予め計画された配合比率にしたがって原料槽から切り出され、ドラムミキサーにより6.0〜7.5質量%程度の水分含有率にて混合、調湿および造粒処理を施される。これは、種々の粒径の粒子が水分を介して合体し、擬似的な粒子が形成される過程であり、形成された擬似的な粒子を「擬似粒子」と記す。そして、通常は、粒子径が1mm以上の原料を核粒子として、その周囲に粒子径が0.25mm以下の原料が付着した、粒子径が2〜4mm程度の擬似的な粒子が形成される。この擬似的な粒子を、以下では、「被覆擬似粒子」と記す。被覆擬似粒子は、サージホッパーに装入された後、サージホッパーの下方からロールフィーダによって切り出され、スローピングシュートを介して焼結機のパレット上へ装入される。このように、焼結機に装入された原料を「混合原料」と称する。混合原料は、パレット上で被覆擬似粒子により構成される充填層を形成し、通常は、500mm程度の一定の層厚となるように調整される。
こうして形成された焼結原料充填層(以下、単に「原料充填層」とも記す)は、点火炉においてその上表面に着火される。この着火により、原料充填層内に存在する擬似粒子中の炭材の燃焼が開始し、炭材の燃焼部分は燃焼帯を形成する。原料充填層は、給鉱側から排鉱側へ移動する間、下方から吸引されているので、空気が原料充填層の上部から下部に向かって流入する。これにともなって、上記の燃焼帯は原料充填層の上部から下部に向かって次第に移行する。なお、燃焼帯において発生する燃焼熱は、燃焼帯が上部から下部に移行するにつれて蓄積されるので、一般に、原料充填層の上部では熱不足になりやすく、これに対して下部では熱過剰になりやすい。
この燃焼帯の移行にともない、燃焼帯で発生する熱によって周囲の被覆擬似粒子が昇温されて、擬似粒子が部分的に溶融し、その融液により被覆擬似粒子間か架橋されて(以下、上記の現象を「溶融および同化反応」とも記す)焼結し、原料充填層は最終的に焼結ケーキを形成する。このようにして形成された焼結ケーキは、焼結機の排鉱部から排鉱される。上記のように、原料充填層は、焼結機のパレット上に装入されて以降、焼結ケーキを形成し、冷却後、排鉱されるまでの間に、昇温、焼結反応および冷却の各操作を受けるので、それらの条件により焼結成品の品質は左右される。
ところで、近年、ピソライト鉱石やマラマンバ鉱石のような結晶水含有率が4質量%以上の鉄鉱石(以下、「褐鉄鉱」と称する)の使用量増加にともない、原料充填層内における通気性の悪化や成品歩留りの低下が問題となっている。これは、褐鉄鉱が赤鉄鉱に比べて結晶水の含有率が高く、昇温過程において結晶水が分解した後、多孔質となるので、融液と同化しやすく、その結果、融液の粘度が高くなり、原料充填層内の空隙が閉塞されて、充填層の通気性を悪化させることに起因している。
そこで、従来、原料充填層の空隙構造を制御することにより、焼成中の通気性を確保するための様々な技術が検討されてきた。
例えば、非特許文献1には、原料充填層の空隙構造を制御する方法が開示されている。同文献に開示された方法は、褐鉄鉱であるマラマンバ鉱を主原料として粗大擬似粒子を製造し、原料充填層内に粗大擬似粒子を配合することにより、原料充填層内の粗大粒子の周囲に空隙率の高い部分を形成する。この充填層中の空隙率の高い部分を優先的にガスが流れる結果、原料充填層全体の通気性が改善される。ここで、同文献に記載された粗大擬似粒子は、通常の被覆擬似粒子とは構造が相違し、粒子径が1mm以上の核粒子も複数個含有されるとともに、粒子径が0.25〜1.0mmの中間粒子径のものも擬似粒子内に取り込まれる。その結果、通常の被覆擬似粒子の平均粒子径である2〜4mmよりも大きな5〜20mm程度の粒子径の擬似粒子が形成される。
同文献では、このような擬似粒子を「粗大擬似粒子」と称している。この粗大擬似粒子の存在により通気性が改善され、燃料となるF.C.の燃焼速度が上昇するので、燃焼帯の降下速度が増大し、焼結時間が短縮されて、焼結鉱の生産性を向上させる効果が発揮される。ここで、原料充填層内に粗大擬似粒子を配合せずに、主として被覆擬似粒子を配合した原料を用いる焼結製造プロセスを以下では「従来法1」と称し、また、原料充填層内に粗大擬似粒子を配合する焼結製造プロセスを「従来法2」と称する。
しかし、非特許文献1に開示された方法では、原料充填層内に粗大擬似粒子を配合した焼結鉱製造プロセス(従来法2)は、粗大擬似粒子を配合しない焼結鉱製造プロセス(従来法1)に比べて、依然として焼結成品の大幅な歩留り低下が起こっており、さらなる改善が必要である。また、非特許文献1には、粗大擬似粒子の製造方法や配合方法などの製造プロセスは開示されておらず、焼結成品の歩留りを抜本的に改善するための粗大擬似粒子の具体的な製造方法およびその配合方法については、今後の研究開発課題であるとの指摘に止まっている。
本発明者らは、先に、特許文献1において、混合原料中に粗大な擬似粒子を配合することにより生産性を向上しつつ、焼結成品の歩留りも維持することのできる方法を提案した。同文献にて提案した方法は、原料充填層内に粗大擬似粒子を配合する焼結鉱製造プロセス(従来法2)であり、粗大擬似粒子を使用しない焼結鉱製造プロセス(従来法1)に比較して、成品歩留りが低下しやすい。そこで、同文献にて提案した方法では、原料充填層の層厚を上昇させ、粗大擬似粒子の粒径を制御し、さらに、粗大擬似粒子の配合比率を制御することにより、成品歩留りの改善を図っている。この方法は、成品の歩留りを改善できる優れた方法であるが、本来の目標である焼結鉱の生産性の改善効果が低減するおそれがある。
一方、特許文献2には、粗大擬似粒子の機能を有するペレットを焼結原料中に混入する際に、生ペレットの加熱および焼成のために、焼結原料の焼成に必要な粉粒状固体燃料とは別に、ペレット質量の3〜5%の粉粒状固体燃料を添加して、焼結結合強度を改善し、成品歩留りを保つ方法が開示されている。また、このペレットを焼結原料中に混入する際には、ドラムミキサーによりペレットと焼結原料を十分に混合し、焼結原料中においてペレットが偏在しないようにすることが重要であることも記載されている。
しかし、実際に粉コークスや高炉ダストなどのF.C.を含む燃料を配合した粗大擬似粒子を原料充填層内に配置しても、粗大擬似粒子がさほど良好には焼結されず、特に鉄鉱石中の褐鉄鉱の配合割合が多い場合には、大幅な成品歩留りの低下を引き起こす状況が観察される。つまり、褐鉄鉱の配合割合が多い原料の場合には、粗大擬似粒子を製造する原料配合系統および残りの原料配合系統の双方の系統に、燃料となるF.C.含有原料を配分しても、成品歩留りは改善されない点が大きな問題点となっている。
さらに、特許文献3には、ペレットフィードを20〜40%と高い配合率で配合した焼結原料を焼結するに際して、ペレットフィードにベントナイトと水を加えて予備造粒ラインにおいて粒子径が2〜7mm、造粒水分が8〜10%のミニペレットの粗大擬似粒子を造粒し、これを残部原料に配合し、ドラムミキサーにて全体の造粒水分が5.5〜7.0%になるように粗大擬似粒子を調製し、これを焼結原料として焼成する焼結鉱の製造方法が開示されている。ここで、上記のように、原料の一部を予備的に造粒した粗大擬似粒子を、残部原料ととともに配合し、ドラムミキサーにより再び調湿および混合、または調湿、混合および造粒する方法を、以下では、「予備造粒法」と記載し、原料の一部を予備的に造粒することを「予備造粒系統で造粒する」と記載する。
一方、特許文献3に開示された方法によれば、残部原料とミニペレットとをドラムミキサーにより造粒することにより、ミニペレットが核粒子として作用し、ミニペレットの表面に微粉の鉱石類、コークスおよび副原料が付着した被覆擬似粒子が形成される。そして、被覆擬似粒子の表面部分においてコークスの燃焼により発生した燃焼熱が粒子内部に伝わるのにともなって焼結が進行する。また、ミニペレット中に含有される少量のベントナイト中のシリカがシリケート系スラグとなってミニペレット中のペレットフィードを結合するとともに、ミニペレットを構成するペレットフィードの個々の粒子がヘマタイト結合され、ミニペレットは融体化せずに焼結される。その結果、原料充填層の焼成時における焼結層の通気性の悪化を防止することができ、焼成速度を向上させることができるとされている。
しかし、特許文献2および特許文献3に開示された焼結鉱の製造方法は、予備造粒系統においてペレットを造粒し、そのペレットと残る原料とをドラムミキサーにより混合していることから、非特許文献2にて指摘されているように、ドラムミキサー内での混合過程において、混合と同時にペレットの崩壊も発生する。その結果、特許文献2および特許文献3において開示された技術では、ミニペレットの崩壊により擬似粒子の粒子径が低下し、擬似粒子が成長しない。その結果、擬似粒子の粒子径増大による通気性の改善効果は僅かであり、したがって、焼結鉱の生産性の大幅な改善は望めない。また、原料として褐鉄鉱を配合することを前提としたものではなく、その改善効果もさほど大きなものとはなっていない。
特願平2006−238971号公報 特開平5−287391号公報(特許請求の範囲、段落[0007]および[0008]) 特開昭61−213328号公報(特許請求の範囲、2頁右上欄19行〜右下欄6行) 川口尊三、上城親司、松村勝:鉄と鋼、Vol.92(2006)779〜787頁 大山伸幸、井川勝利、武田幹治、有山達郎、神野哲也:鉄と鋼、Vol.90(2004)546〜553頁、特に、551頁左欄6〜11行。
上述のとおり、従来技術においては、下記の問題が残されている。すなわち、(1)特許文献1に開示されたように、原料層内に粗大擬似粒子を配合し、原料充填層の層厚、粗大擬似粒子の粒子径および配合率を制御する方法は、焼結鉱の成品歩留りを改善できる反面、生産性の改善効果は低減しやすい。(2)特許文献2および特許文献3にて開示されたように、予備造粒系統においてペレットを造粒し、そのペレットと残りの原料とをドラムミキサー内で混合し造粒する方法では、混合と同時にペレットの崩壊が発生し、焼結鉱生産性の抜本的な改善には至らない。
本発明は、赤鉄鉱に比べて結晶水含有率が高い褐鉄鉱(結晶水含有率が4質量%以上)の使用量が増加するにともない、昇温過程での原料充填層の通気性が悪化し、成品歩留りが低下するという実情に対処するため、前記した従来技術の有する問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、原料充填層の通気性の改善により焼成時間を短縮して、焼結鉱の生産性を向上させ、かつ、その成品歩留りを維持することのできる焼結鉱の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、原料充填層の通気性の改善により焼成時間を短縮して、焼結鉱の生産性を向上させつつ、その成品歩留りを確保できる焼結鉱の製造方法を検討し、下記の(a)および(b)の知見を得て本発明を完成させた。
(a)褐鉄鉱を配合した焼結鉱成品の歩留り悪化の主因は、粗大擬似粒子の焼結反応の進行不良であり、粗大擬似粒子を結合させるための焼結反応が悪化する原因は、粗大擬似粒子内に含有されるF.C.成分の燃焼不良によるものである。さらに詳細な調査により、下記の事項が判明した。
(a−1)F.C.成分の燃焼不良部分では、擬似粒子中の水分含有率が12.0質量%以上と極めて高いことから、その周囲が高温状態にあっても、F.C.に着火しにくい状況にある。また、擬似粒子の粒子径を増大する目的で、造粒時に原料の水分含有率を高めることが、逆に粗大擬似粒子内のF.C.の着火を悪化させている。
(a−2)原料充填層内において、被覆擬似粒子中の水分含有率と粗大擬似粒子中の水分含有率との差が大きいと、焼成過程での熱バランスが崩れやすく、むら焼けが生じて成品歩留りが低下する。
(a−3)粗大擬似粒子の主原料として褐鉄鉱を多量に使用した場合に、F.C.の燃焼不良部分が増加する。この理由は、褐鉄鉱は結晶水を含有する他に、吸水性が高いことがあげられ、褐鉄鉱を主体とした配合により粗大擬似粒子を製造するには、必然的に造粒に必要な添加水分(擬似粒子中の水分含有率)が高くなる。したがって、粗大擬似粒子中の水分と結晶水との合計含有率が高くなり、局部的に多量の水分蒸発が起こり、吸熱作用が働くためである。
(a−4)上述したF.C.の着火性を悪化させる粗大擬似粒子の数が増加するにつれて、原料充填層中における水分含有率の不均一も大きくなり、むら焼けが生じやすくなるので、さらなる成品歩留りの低下を惹起する。
(b)上記(a)の知見から、焼結過程におけるむら焼けを抑制するためには、粗大擬似粒子のそれぞれの水分含有率を11.1質量%以下まで低下させ、好ましくは10.1質量%以下まで低下させることが重要である。また、粗大擬似粒子の水分含有率と被覆擬似粒子の水分含有率との差を小さくする観点から、両者の水分含有率の差を3.1質量%以下とすることが好ましい。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示す焼結鉱の製造方法にある。
(1)鉄鉱石、副原料、返鉱および炭材を原料として、該原料を二系統に分割し、いずれの系統にも4質量%以上の結晶水を含有する鉄鉱石およびフリーカーボンを含有する原料を配合し、該配合された原料に対してそれぞれ個別に造粒処理を行って擬似粒子を製造し、前記両系統において製造された擬似粒子を混合した混合原料を用いて焼結鉱を製造する方法において、前記分割した一方の系統の原料を高速攪拌ミキサーにより調湿および混合した後、パンペレタイザーにより8.0〜11.1質量%の水分含有率にて擬似粒子とするとともに、分割した他方の系統の原料をドラムミキサーにより6.0〜7.5質量%の水分含有率にて擬似粒子とし、両系統において製造された擬似粒子をドラムミキサーにより混合することなく、焼結機への搬送過程および/または焼結原料層の形成過程において混合し焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
(2)前記一方の系統の原料を高速攪拌ミキサーにより調湿および混合した後、パンペレタイザーによって9.1〜10.1質量%の水分含有率にて擬似粒子とすることを特徴とする前記(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
(3)前記一方の系統において製造された擬似粒子の水分含有率から他方の系統において製造された擬似粒子の水分含有率を減じた値を2.1〜3.1質量%とすることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の焼結鉱の製造方法。
本発明において、「副原料」とは、蛇紋岩、珪石などの造滓成分を含む原料を意味し、また、「炭材」とは、コークス、石炭、ダストなど、フリーカーボン源を含有する原料を意味する。「フリーカーボン」とは、酸素ガスと燃焼反応可能なカーボンを意味し、酸素ガスと燃焼反応できない炭酸塩(−CO3)中のカーボンなどは意味しない。
「高速攪拌ミキサー」とは、円筒型容器内に回転運動を行う攪拌用の羽根を備える構造を有し、混合および造粒機能を向上させた攪拌型混合機を意味する。攪拌羽根は数百rpm程度以上の高速で回転する。高速攪拌ミキサーとしては、例えば、アイリッヒミキサーなどが該当する。
「搬送過程および/または焼結原料層の形成過程」とは、ベルトコンベアなどによる原料の搬送過程、サージホッパーへの装入過程、サージホッパーからの原料の切り出しおよびパレット上への原料の落下堆積過程などのうちの1つ以上の過程を意味する。
「水分含有率」とは、試料を大気雰囲気中において105℃で24時間乾燥したときの減量を試料質量により除し、百分率により表示したものである。「結晶水(Combined Water)含有率」は、「化合水含有率」とも呼ばれるもので、JIS M−8211により規定されるように、105℃から950℃までの加熱により発生する水分量を試料質量により除し、百分率により表示したものである。なお、「結晶水(化合水)」は、以下では、C.W.とも略記する。
本発明の方法によれば、原料を二系統に分割し、分割した一方の系統の原料を高速攪拌ミキサーにより調湿および混合した後、パンペレタイザーにより8.0〜11.1質量%の水分含有率にて擬似粒子とするとともに、他方の系統の原料はドラムミキサーにより6.0〜7.5質量%の水分含有率にて擬似粒子とし、両系統において製造された擬似粒子をドラムミキサーにより混合することなく、焼結機への搬送過程および焼結原料層の形成過程において混合し焼成するので、原料充填層の通気性を改善して、焼結鉱の生産性を向上させるとともに、良好な成品歩留りを確保することができる。よって、本発明は、高い生産性と良好な成品歩留りとを両立させることのできる焼結鉱の製造方法として、製銑原料製造分野において広範に適用することができる。
1.発明の基本構成
本発明の方法について、以下に、さらに詳細に説明する。前記の非特許文献1に記載されたように、原料充填層内に粗大擬似粒子を配合することにより原料充填層の空隙率が上昇し、原料充填層の通気性が改善されることは知られていた。しかしながら、非特許文献1の方法では、通気性の向上による焼成速度の向上により、高温保持時間が短縮されるため、焼結成品の歩留りが低下する。また、特許文献1に開示された方法においても、原料充填層内に粗大擬似粒子を配合したことによる成品歩留りの低下を改善するために、原料充填層の層厚の上昇、粗大擬似粒子の粒径の制御、および粗大擬似粒子の配合比率の制御の各対策が講じられている。しかしながら、焼結鉱生産性の改善効果が低減することは否めない。
そこで、本発明者らは、成品歩留り悪化の主因となっている焼結反応の進行不良部分を調査し、その原因を究明するとともに、その対策を検討し、前記(a)および(b)にて述べた知見を得て、本発明を完成させたのである。
図1は、本発明に係る焼結鉱の製造方法を実施するための工程を例示する概略フロー図である。
鉄鉱石、副原料、返鉱、炭材などの原料は、系統1(以下、「パンペレタイザー系統」とも記す)および系統2(以下、「ドラムミキサー系統」とも記す)の二系統に分割され、いずれの系統にも4質量%以上の結晶水を含有する鉄鉱石およびフリーカーボンを含有する原料が配合される。系統1の原料は、高速攪拌ミキサー3により調湿および混合された後、パンペレタイザー4により8.0〜11.1質量%の水分含有率にて造粒され粗大擬似粒子とされる。他方、系統2の原料は、ドラムミキサーで構成される一次造粒機5および二次造粒機6により6.0〜7.5質量%の水分含有率にて造粒され被覆擬似粒子とされる。両系統において製造された擬似粒子は、サージホッパー8に装入される過程で混合され、さらに、ロールフィーダ9により切り出される過程、および焼結機7のパレット10上に落下堆積し、焼結原料充填層を形成する過程で混合される。
このようにして形成された焼結原料充填層は、点火炉11によりその上表面に着火され、給鉱部から排鉱部12へと移動する間に下方からの空気吸引により、順次焼成される。焼成後の焼結ケーキは、焼結機7の排鉱部12から排鉱され、クラッシャー13により破砕され、クーラー14により冷却された後、篩15により整粒されて高炉に搬送される。
2.発明の構成要件の規定理由
2−1.造粒系統および造粒機
一般に、焼結原料の処理工程では、回転円筒型のドラムミキサーを用いて造粒処理が行われる。しかし、ドラムミキサーは、多量の原料を簡単に処理できる長所を有する反面、水分を含むドラム内容物の混合攪拌のためには必ずしも好適とはいえない。ドラムミキサーを使用して褐鉄鉱を主体とした原料により水分含有率11.1質量%以下の粗大擬似粒子を製造することは困難であり、粗大擬似粒子を製造するためには、通常は12質量%以上の水分含有率が必要となる。
上記の点を考慮すると、擬似粒子中の水分を均一化するためには、高速で回転する攪拌羽根を備えたミキサー内に、原料を装入し、水分含有率を調整して攪拌する方法が好ましい。攪拌羽根は高速で回転させるほど水分の分布は均一化されるので望ましく、高速攪拌ミキサーとしては、例えば、攪拌羽根が200rpm程度以上の高速で回転するアイリッヒミキサーなどが好適である。
しかし、高速攪拌ミキサーは、水分の混合には優れるものの、造粒操作という観点からは粒子の転動能力に乏しく、逆に、形成された擬似粒子を破壊するという欠点を有する。この点を改善するには、高速攪拌ミキサーを用いて混合および調湿処理した後に、パンペレタイザーを用いて造粒操作を行う方法を採用することにより、水分を十分に均一に分散された状態のもとで造粒原料に転動運動を付与して、水分の分布が均一な粗大擬似粒子を多数、製造することができる。その結果、F.C.の着火性が悪い高水分含有率の粗大擬似粒子の数を低減することができ、F.C.の着火性および燃焼性の良好な、水分含有率が8.0〜11.1質量%の粗大擬似粒子を安定して製造することができる。
ここで、造粒手段として、焼結鉱の製造工程で一般に使用されるドラムミキサーを用いずに、パンペレタイザーを使用する理由は、パンペレタイザーは、擬似粒子に大きな衝撃力を加えることなく転動作用を付与できる特徴を有し、したがって、粗大擬似粒子を崩壊させることなく粒子を合体させることができるからである。また、パンペレタイザーによる造粒は、ドラムミキサーの場合に比較して、造粒原料を設備全体に攪拌させながら転動させるので、粗大擬似粒子の水分含有率が均一となり、11.1質量%以上の高い水分含有率を有する粗大粒子の形成を抑制する作用に優れている。
しかしながら、上記のようにして製造された粗大擬似粒子と、他方の系統において残りの原料を造粒して製造された被覆擬似粒子とをドラムミキサーなどの造粒機により、再度、混合処理すると、前記非特許文献2にて示されたように、造粒と同時に粗大擬似粒子の崩壊や再混合が起こる。その結果、上記の処理を行った場合には、粗大擬似粒子の粒径低下を抑制し、また、高結晶水含有鉱石の同化反応の進行を適正に制御する作用が低下すると推察された。
上記の問題を解決し、粗大擬似粒子を崩壊させることなく焼結機に搬送するためには、高速攪拌ミキサーにより処理後パンペレタイザーにより造粒した擬似粒子と、ドラムミキサーにより造粒した擬似粒子とを、再度、ドラムミキサーなどの造粒機にて処理することなく、サージホッパーに搬送するのが適切である。すなわち、本発明の分割造粒法では、高速攪拌ミキサーによる処理後パンペレタイザーにより造粒した擬似粒子と、ドラムミキサーにより造粒した擬似粒子とを、ベルトコンベアなどによる搬送過程、および/またはシュート状の装入装置によりパレット上に装入して原料充填層を形成させる過程において混合することが重要である。
2−2.造粒時の水分含有率など
パンペレタイザーにより造粒するときの原料の適正水分含有率の範囲は、前記のとおり、8.0〜11.1質量%である。
焼結過程におけるむら焼けを抑制するためには、粗大擬似粒子のそれぞれの水分含有率を11.1質量%以下まで低下させる必要があるからである。前記のとおり、粗大擬似粒子の個々の粒子の水分含有率は、通常のドラムミキサーによる造粒ではなく、高速攪拌ミキサーによる調湿後、パンペレタイザーにより造粒することによって、ほぼ平均値の水準に均一化される。そして、粗大擬似粒子の水分含有率を11.1質量%以下とするためには、造粒すべき原料の水分含有率の平均値も11.1質量%以下とする必要がある。水分含有率が11.1質量%以上の場合には、水分含有率が11.1質量%以上の粗大擬似粒子が増加し、むら焼けが発生することになるからである。したがって、本発明法では、高速攪拌ミキサーにより原料を混合および調湿処理した後、パンペレタイザーにより造粒処理を行う擬似粒子の水分含有率を上記の値以下にする必要がある。
さらに、焼結過程でのむら焼けを効果的に抑制する観点からは、粗大擬似粒子の水分含有率を10.1質量%以下にまで低下させることが好ましい。
次に、パンペレタイザー系統で造粒される擬似粒子の水分率の下限について説明する。現在、我国では、一般に水分含有率を6.0〜7.5質量%の範囲に調整して、被覆擬似粒子が製造されており、水分含有率を上記の範囲よりも上昇させると、粒子間の合体現象が活発に起こり、粗大擬似粒子が形成される。
図2は、高速攪拌ミキサーを用いて混合および調湿後、パンペレタイザーにより擬似粒子を製造したときの水分含有率と擬似粒子径との関係を示す図である。同図の関係は、各鉱石銘柄からなる原料を、アイリッヒミキサーにより回転羽根の回転数200rpmにて1分間処理した後、パンペレタイザーにより回転数29rpmにて7分間処理した場合の結果である。
同図の結果から、水分含有率が8.0質量%以上になると、通常の被覆擬似粒子の平均的粒子径を超える4mm以上の平均粒子径の粗大擬似粒子が形成されることがわかる。そこで、粗大擬似粒子を形成するための条件から、擬似粒子の水分含有率の下限値を8.0質量%とした。そして、高速攪拌ミキサーを用いて調湿および混合後、パンペレタイザーにより擬似粒子を製造することによる造粒機能の向上の結果、褐鉄鉱を多く配合した原料を使用した場合においても、水分含有率が8.0〜11.1質量%の粗大擬似粒子を形成することができることも判明した。
以上に説明したとおり、水分含有率が8.0〜11.1質量%の粗大擬似粒子を原料に用いて焼結鉱を焼成するには、高速攪拌ミキサーを用いて調湿した後、パンペレタイザーにより造粒するとともに、さらに、焼結機パレット上に原料充填層を形成するまでの間にも、ドラムミキサーによるような衝撃力を与えることなく、粗大擬似粒子を破壊せずに軽く混合することが重要である。
ドラムミキサー系統において擬似粒子を造粒する際の原料の水分含有率は、6.0〜7.5質量%と規定した。この水分含有率の範囲は、被覆擬似粒子を製造する場合に、通常、水分含有率を6.0〜7.5質量%として操業されていることから、この水分含有率の範囲を採用したものである。
ここで、褐鉄鉱を両系統で使用することを前提としたのは、前述したように、本発明の方法は、褐鉄鉱の多量配合による焼結鉱の生産率や成品歩留の低下を防止することを目的としているからである。
本発明に係る焼結鉱の製造方法の効果を確認するため、下記に示す試験を行い、その結果を評価した。
1.試験方法
種々の銘柄の原料を配合した配合原料を用いて、パンペレタイザー系統およびドラムミキサー系統において擬似粒子を製造し、これらを混合して、内径が300mmの約60kg規模の焼結試験鍋に原料層厚が500mmとなるように装入し、鍋焼結試験を行った。鍋下圧力を20kPaとして吸引しながらLPGバーナーにより1分間着火後、鍋下圧力を9.8kPaで一定として焼成を行い、排ガス温度が最高温度に到達してから3分後に吸引を停止し、焼結試験を完了した。
焼成試験終了後、下記の方法により、焼結鉱成品歩留りおよび焼結鉱生産率を求め、両者に及ぼす改善効果を調査した。
焼結ケーキを直ちに焼結試験鍋から取り出し、焼結ケーキの温度が室温に低下するまで放冷した。冷却完了後に、製造された焼結ケーキを2mの高さから4回落下させた後に、篩目が5mmの篩により篩ってその篩上の質量を測定し、焼結鉱成品歩留りおよび焼結鉱生産率を求めた。ここで、焼結鉱生産率とは、5mmの篩で篩った篩上の質量を、焼結機の有効面積および焼結時間で除した値を意味し、下記式(1)により算出される。なお、鍋焼結試験の場合には、焼結機の有効面積として焼結試験鍋の横断面積を使用した。また、焼結鉱成品歩留りは、上述の5mm篩で篩った篩上の焼結鉱の質量を元の焼結ケーキの質量により除し、下記(2)式を用いて百分率により評価した。
焼結鉱生産率(t/m2/d)=[粒径が5mm以上の焼結鉱の質量(t)/{焼結機の有効面積(m2)×焼結時間(分)}]×60×24 ・・・・(1)
焼結鉱成品歩留り(質量%)={粒径が5mm以上の焼結鉱の質量(t)/焼結ケーキの質量(t)}×100 ・・・・(2)
造粒試験は、下記の試験手順によった。配合する原料を系統1および系統2の二つの系統に分割し、系統1では原料に高速攪拌ミキサーによる混合および調湿処理を施した後、パンペレタイザーにより造粒し、主として粗大擬似粒子を製造した。また、系統2では残る原料をドラムミキサーにより造粒し、主として被覆擬似粒子を製造した。そして、これらの擬似粒子を、搬送過程における混合をシミュレートして、手により簡単に混合して焼結試験鍋に装入し、鍋焼結試験に供した。
その際、高速攪拌ミキサーにより混合および調湿後パンペレタイザーにより擬似粒子を製造する系統1の水分含有率は、9.1〜12.6質量%の範囲で変化させた。一方、ドラムミキサーにより造粒して擬似粒子を製造した系統2の水分含有率は、7.0質量%で一定とした。上記の系統1では、高炉ダストを配合することによりF.C.成分を添加した。また、系統2では、粉コークスを配合することによりF.C.成分を添加した。
2.各シリーズ別試験による評価
試験に使用した原料の成分組成を表1に示す。
Figure 2009209408
従来法などとの比較検討を行うために、以下に示す3つのシリーズ別試験を行った。各々のシリーズ内においては、使用する全原料は同一とした。したがって、焼結鉱の成分組成も同一となる。
2−1.シリーズ1の試験
シリーズ1の試験では、ドラムミキサーを用い、水分含有率を7.0質量%として、使用する原料を二系統に分割することなく、一系統のみで造粒する従来法1−1の試験と、造粒法は本発明法に準拠させたがパンペレタイザー系統の水分含有率が12.6質量%で高すぎる比較例1の試験との比較を行った。パンペレタイザー系統の水分含有率を本発明範囲よりも高くする理由は、ドラムミキサーを用いるなどの本発明法に規定しない造粒法により粗大擬似粒子を製造する場合には、水分含有率が12質量%以上となることが避けられないからである。
シリーズ1の試験における原料配合条件を表2に示す。
Figure 2009209408
また、図3には、シリーズ1の鍋焼結試験の結果を示す。同図(a)は焼結鉱成品歩留りを、また、同図(b)は焼結鉱生産率を、それぞれ示す。
同図の結果によれば、パンペレタイザー系統の水分含有率が12.6質量%の比較例1の試験では従来法1−1の試験に比較して、焼結鉱生産率は12t/m2/d程度向上しているが、焼結鉱成品歩留りが約3%低下する結果となっている。したがって、水分含有率の適正化を図るなどして、成品歩留りを向上させる余地のあることが理解される。
2−2.シリーズ2の試験
シリーズ2の試験では、前記シリーズ1の試験において述べた水分含有率の適正範囲を明確にするため、分割原料については同一の配合条件で、パンペレタイザー系統の水分含有率を12.0質量%とする比較例2の試験と、水分含有率を11.1質量%とする本発明例1の試験とを行って、その結果を比較した。
シリーズ2の試験における原料配合条件を表3に示す。
Figure 2009209408
また、図4には、シリーズ2の鍋焼結試験の結果を示す。同図(a)は焼結鉱成品歩留りを、また、同図(b)は焼結鉱生産率を、それぞれ示す。
同図の結果に見られるとおり、パンペレタイザー系統の水分含有率を11.1質量%とした本発明例1の試験では、水分含有率が12.0質量%である比較例2の試験に比較して、生産率は2t/m2/d程度向上し、かつ、成品歩留りも7%程度向上する結果が得られた。上記の結果から、パンペレタイザー系統の水分含有率を11.1質量%またはそれ以下の値にまで低下させることが、成品歩留りを向上させるための必要条件であることが確認された。
また、本発明例1の試験結果を従来法1の試験結果と比較するため、前記シリーズ1の試験における従来法1−1の試験結果と後述するシリーズ3の試験における従来法1−2の試験結果との算術平均値を求め、これを図4中に水平な実線により示した。パンペレタイザー系統の水分含有率を11.1質量%とした本発明例1は、従来法1に比較して成品歩留りを維持しつつ、生産率が5t/m2/d程度向上した結果となっている。つまり、パンペレタイザー系統の水分含有率を11.1質量%以下に調整することが本発明の重要な要件であることが改めて確認された。
2−3.シリーズ3の試験
シリーズ3の試験では、さらに、パンペレタイザー系統の水分含有率の改善効果を明確にすべく、分割原料の配合条件は同一とし、パンペレタイザー系統の水分含有率を低下させた本発明例についての試験と、全原料を一系統でのみドラムミキサーを用いて造粒する従来法1−2の試験とを行って、それらの試験結果を比較した。
シリーズ3の試験における原料配合条件を表4に示す。
Figure 2009209408
また、図5には、シリーズ3の鍋焼結試験の結果を示す。同図(a)は焼結鉱成品歩留りを、また、同図(b)は焼結鉱生産率を、それぞれ比較して示したものである。同図中の水平な実線は、従来法1−2の試験結果と各発明例の試験結果とを比較するために、従来法1−2の水準を示したものである。
同図の結果から、パンペレタイザー系統の水分含有率を9.1〜10.1質量%とした本発明例2、本発明例3および本発明例4の試験では、いずれも、従来法1−2の試験に比べて、成品歩留りおよび生産率がともに向上していることが明らかである。これらの結果から、パンペレタイザー系統における水分含有率を10.1質量%以下に調整することにより、本発明の効果はさらに顕著になることが確認できた。また、4mm以上の平均粒子径を有する粗大粒子を十分に形成させるためには、前記図2にて得られた結果から、パンペレタイザー系統における水分含有率を9.1質量%以上とすることが好ましい。
図4に示したシリーズ2の鍋試験の結果に見られたとおり、パンペレタイザー系統の水分含有率が11.1質量%の本発明例1の試験では、従来法1−1の試験および従来法1−2の試験の平均値と同レベルの成品歩留りしか得られなかった。これに対して、水分含有率を10.1質量%以下まで低下させた本発明例2、本発明例3および本発明例4は、成品歩留りの向上も認められるので、これらの本発明例は、いずれも、本発明法における好適様態と位置付けることができ、請求項2に係る発明の実施例に該当する。
上記の比較試験においては、原料の水分含有率をパンペレタイザー系統の水分含有率により規定したが、さらに、これをパンペレタイザー系統における水分含有率からドラムミキサー系統における水分含有率を減じた水分含有率の差により表すと、水分含有率の差の好ましい範囲は、2.1〜3.1質量%となる。これが請求項3に係る発明である。
以上の結果から、高速攪拌ミキサーにより調湿した後、パンペレタイザーで水分含有率を8.0〜11.1質量%として粗大擬似粒子を製造するとともに、残る原料をドラムミキサーにより水分含有率を6.0〜7.5質量%として擬似粒子を製造し、これらを混合して焼成することにより、焼結鉱の成品歩留りを維持しつつその生産性を改善することができることを確認できた。そして、本発明の方法は、高速攪拌ミキサーによる調湿した後パンペレタイザーにより造粒して製造した粗大擬似粒子の水分含有率を、さらに9.1〜10.1質量%の範囲に調整することによって、または、パンペレタイザー系統とドラムミキサー系統とにおける造粒擬似粒子の水分含有率の差を2.1〜3.1質量%の範囲に調整することによって、焼結鉱の成品歩留りおよび生産性をともに向上させることができることが確認された。
本発明の焼結鉱の方法によれば、原料を二系統に分割し、その一方の系統の原料を高速攪拌ミキサーにより調湿および混合した後、パンペレタイザーにより8.0〜11.1質量%の水分含有率にて擬似粒子とするとともに、他方の系統の原料はドラムミキサーにより6.0〜7.5質量%の水分含有率にて擬似粒子とし、両系統で製造された擬似粒子をドラムミキサーにより混合することなく、焼結機への搬送過程および焼結原料層の形成過程において混合し焼成するので、原料充填層の通気性を改善し、焼結鉱の生産性を向上させるとともに、良好な成品歩留りを確保することができる。よって、本発明は、高い生産性と良好な成品歩留りとを両立させることのできる焼結鉱の製造方法として、製銑原料製造分野に大きく貢献することのできる発明である。
本発明の焼結鉱の製造方法を実施するための工程を例示する概略フロー図である。 高速攪拌ミキサーを用いて混合および調湿後、パンペレタイザーにより擬似粒子を製造した場合の水分含有率と擬似粒子径との関係を示す図である。 シリーズ1の鍋焼結試験の結果を示す図であり、同図(a)は焼結鉱成品歩留りを、同図(b)は焼結鉱生産率を、それぞれ比較して示す図である。 シリーズ2の鍋焼結試験の結果を示す図であり、同図(a)は焼結鉱成品歩留りを、同図(b)は焼結鉱生産率を、それぞれ比較して示す図である。 シリーズ3の鍋焼結試験の結果を示す図であり、同図(a)は焼結鉱成品歩留りを、同図(b)は焼結鉱生産率を、それぞれ比較して示す図である。
符号の説明
1:系統1(パンペレタイザー系統)、 2:系統2(ドラムミキサー系統)、
3:高速攪拌ミキサー、4:パンペレタイザー、 5:一次造粒機(ドラムミキサー)、
6:二次造粒機(ドラムミキサー)、 7:焼結機、 8:サージホッパー、
9:ロールフィーダ、 10:パレット、 11:点火炉、 12:排鉱部、
13:クラッシャー、 14:クーラー、 15:篩

Claims (3)

  1. 鉄鉱石、副原料、返鉱および炭材を原料として、該原料を二系統に分割し、いずれの系統にも4質量%以上の結晶水を含有する鉄鉱石およびフリーカーボンを含有する原料を配合し、該配合された原料に対してそれぞれ個別に造粒処理を行って擬似粒子を製造し、前記両系統において製造された擬似粒子を混合した混合原料を用いて焼結鉱を製造する方法において、前記分割した一方の系統の原料を高速攪拌ミキサーにより調湿および混合した後、パンペレタイザーにより8.0〜11.1質量%の水分含有率にて擬似粒子とするとともに、分割した他方の系統の原料をドラムミキサーにより6.0〜7.5質量%の水分含有率にて擬似粒子とし、両系統において製造された擬似粒子をドラムミキサーにより混合することなく、焼結機への搬送過程および/または焼結原料層の形成過程において混合し焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 前記一方の系統の原料を高速攪拌ミキサーにより調湿および混合した後、パンペレタイザーによって9.1〜10.1質量%の水分含有率にて擬似粒子とすることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 前記一方の系統において製造された擬似粒子の水分含有率から他方の系統において製造された擬似粒子の水分含有率を減じた値を2.1〜3.1質量%とすることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
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